絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一五八話

???

 

 

双夜達が、原作ブレイク無双をしている頃。

翼達はというと、第三階層のボスに挑んでいた。

見た目は、大型樹木系モンスター。主に、広範囲の毒攻撃を頻繁に使ってくるウザいモンスターだ。

それを、異世界の魔法と転生特典で無双する奴等がいた。

 

「行くわよ。すずかっ!!」

 

「うん!フォローは、任せて!!」

 

「くらいなさいっ!極光波っ!………からのっ極光剣!!」

 

瞬動術で間合いを詰め、極光波で相手のHPを削り、光を収束した剣で敵を切り刻んで冥空斬翔剣へと繋げる翼。

まさに、HPを削るという大義名分を得た鬼だろう。

ガリガリと、第三階層のボスのHPを削り続けるその姿は見る者を圧倒する。背後からは、すずかの放った援護射撃の矢が敵に見事命中してHPをほんの少しだけ削った。

それ程大きくは削れないが、彼女の目的はボスのHPを削る事ではなく、面倒な広範囲毒化攻撃の妨害が主な役割である。すかさず、大きな盾を装備した鉄が大技を使って一息付く翼の前へと護る様に滑り込んで構える。それが、彼に与えられた役割であり、本人がどれだけ拒否しても兵糧攻め等で拒否事態を無かった事にされた結果でもあった。

ボスが、体制を立て直すよりも早く左右から二人の少女が駆けて抜けて行き流れる様な連撃を入れて行く。

そして、すずかよりも後方に待機していた青年が雷の魔法をボスに叩き込んで戦闘は終了した。

第三階層のボスは、光の粒子に姿を変えて消えていく。

それを見送って、六人は武器を降ろした。

 

「三時間も掛かりましたね……」

 

「全く、どんだけHPがあるのよ!?洒落にならないわ。でも、これが普通って訳じゃ無いんでしょう?」

 

「ええ。本当だったら、30分も掛からないと思います」

 

彼女達のサポートをしていた青年は、そう言いつつも周囲への警戒を解いていない。彼は、如月双夜の依頼で彼女達の護衛を勤めている《神殺し》の青年だ。

本来であるならば、こんな風に手伝ったりはしないのだが……彼女達の熱意に負けて、双夜達の仕事を代わりにこなしているのである。

 

「俺、侍なのに……」

 

鉄が、ポツリと小言を呟く。

役割分担の際、自分は護衛だから積極的に行動するのは契約に違反すると《神殺し》の青年が言った為、鉄が前衛のタンクの役割を押し付けられた。

しかも、強力な攻撃魔法が使えるのも彼だけという状況。

ぶっちゃけ、それ以外の役割が無かったのである。もし、ここに神崎や双夜が居れば話は変わって来たのだろうけど……奴等は、別の世界で仕事中なので文句は言えない。

前衛、翼・使い魔の二人。タンク、鉄。後方支援、すずか。回復・攻撃魔法、《神殺し》の青年……以上が、このパーティーのメンバーだった。

 

「種族、『魔法少女』が嫌だって言ったのは貴方でしょう?男らしい、素敵なジョブじゃない……」

 

「くっ……なんで、種族が『魔法少女』になるんだよ……俺は、男なんだぞ!?」

 

全ては、鉄がセットアップしてステータスを見たのが始まりだ。理由は不明だが、セットアップした鉄の種族は翼と同じ《魔法少女》だった。多分、魔法少女の世界のデバイスで変身する行為が種族《魔法少女》なんだと思われる。

ガックリと肩を落とした鉄は、腰に刺さった刀型デバイス『幽世』を撫でながら大きな溜め息を吐き出した。

トボトボと、三層のボス部屋から長い階段を上って外へと出る。第四層に広がっていたのは、勢い良く流れる真っ青な渓水世界だった。

 

「うわぁ……絶景だね!」

 

すずかが、そのキラキラと流れる渓水を眺めて最初に言った言葉がそれだ。その後に、これ泳ぐの?という疑問が思い浮かぶまで彼等はその光景に見とれていた。

 

「とりあえず、飛びましょうか?」

 

「ですね。飛行魔法が使えない方は居ませんよね?」

 

『問題なし!!』

 

そう、返答した彼等は魔法を使って空へと昇っていく。

本来であるならば、階層出口の裏手にある木の実を使って渓水を泳いで行くのだが、彼等には飛行魔法があるので気が付かない。そのまま、次の街へ。

 

「主街区ロービアだって。まるで、ベネチアね……」

 

「水路の町かぁ。綺麗な所だよね!」

 

「それじゃあ、ボスの情報を調べましょう!」

 

そう言って、彼女達はロービアの町に散って行く。

元々、彼女達は一階層の始まりの町に留まり転生者達の情報を集めて行く予定だった。だが、NPC扱いの住人達が転生者達の手によって虐殺されていたが故、廃墟と化した始まりの町で留まる事が出来そうになかったのだ。だから、NPCのいる町を探して次の町へ村へと移動して行けば、一階層にはNPCと思われる町を維持する住人がいない事が判明した。結果、上の階層に行く必要が出来たのである。

ついでに言うと、NPC(住人)がいない町や村にはモンスターが代わりに住みついていた。彼女達も、安全エリアだと思っていた町に入ってすぐ、モンスターに囲まれた事に驚いていたが護衛の《神殺し》のお陰で正気を取り戻し応戦。何とか、全滅させて町から外に逃げ出す事に成功する。

転生者(クズ)共が、何の為にNPC(元々の住人)を虐殺したのかはわからないが、そこを維持する住人がいない町を訪れた旅人(プレイヤー)は休息も補給も出来ない状況が出来上がっていた。(モンスターハウス的な感じ(笑))

最悪、彼女達ならば秘密基地を設置してそこで双夜達が戻って来るのを待つという手段が無かった訳ではないのだが……彼女達は先へ進む決意をする。

そして、二階層へと至るのだが……そこも、廃墟な町や村しか無かった。ぶっちゃけ、転生者が攻略した階層まではロクに補給すら儘ならないとかいう状況。いやもう本当に、彼等は何がしたかったのか理解すら出来ない。

そして、彼等は三階層へと上がる事に。

三階層は、森を中心としたフィールドだった。

だが、それでもNPCは何処にもいなくて……最早、嘆く事しか出来ないという悪夢。ブチギレ状態で、イベントも何もかもをスッ飛ばして階層を上がって行く。

だが、それによって転生者達がどの階層で諦めたのかが良くわかる結果となった。通常とは、思えない強さの三階層を護る大樹型モンスターのボス。

HPゲージが、五本もあるという不思議。

即ち、大樹型モンスターの毒に殺られたという訳だ。

更に付け加えるなら、フロアボスは時間経過によって復活する。ラストアタックボーナスを、誰でもGET出来る様にという処置……これもまた、転生者が望んだ神様特典の一つだ。

漸く、まともにNPCとの交流を得た彼女達は宿屋兼酒場に集まって情報共有をしていた。

 

「リポップしたボスは、高レベル状態なのかな?」

 

「流石に、それはないでしょ……」

 

すずかの疑問に、翼は辟易した様子で否定する。

流石に、あの超持久戦レベルの戦闘を繰り返したいとは思わないモヨウ。

 

「ふぅ……でも、漸くよね……」

 

「そうだね。転生者以外の人に会うのは久しぶりかな?」

 

「彼等が、何を考えて現地人を殲滅していたのかは不明ですが……これで、一心地つけますね……」

 

「この階層まで、一気に駆け抜けたんだもの。暫くは、ノンビリしたい所よね……」

 

そう言いつつ、翼はフロアボスの情報をノートにメモしていた。とは言え、本当にここまでノンストップだったのも事実。暫くは、ある程度の休みをと考えていた。

なのに、段々と外が騒がしくなってくる。

不穏に思ったすずかが、骨休みをしていた喫茶店?の窓から外を覗き見て驚く。

 

「つ、翼ちゃん!!」

 

「え!?…………な、何よこれ……」

 

翼が、言われて外を見てみれば武装をした一団がまるで盗賊の様に人々を襲っていたのだ。武器を振るう者達は、男を殺し女は捕まえる。そして、捕まえた者達を一ヶ所に集めて首輪を無理矢理付けていた。

 

「な、何よ……あれ……」

 

翼達は知らない事だが、このSAOモドキ世界でも広間には転移門が実在し、フロアボスを倒せば転移門がアクティベート待機状態になる。これを、誰かがアクティベートすれば直ぐに下界と繋ぐ事が出来るのだが、放置していても二時間程で自動アクティベートされるのだ。

今回は、翼達がアクティベートしなかった……と言うか、そんなシステムがあるとは知らなかったので自動でアクティベートとあいなった。その結果、制限解除によって微活動を続けていた未だ見ぬ【転生者】(アルンとスイルベーンを除いた)達が本格始動。

何処からかは不明だが、アインクラッドの転移門の新たな階層開通に気が付いて集まって来たのである。

ここに神崎が居れば、彼等を見ただけで『奴隷商だ!』と言い当てたのだろうが、翼には彼等のしている事が理解出来ない。すずかは、ある程度の知識があったので何となくでわかったけれど口には出来なかった。

 

「翼。判断を……」

 

「……………………」

 

「翼!」

 

「え?」

 

「判断を!逃げるのか?戦うのかを判断しろ!!」

 

余りの光景に、茫然としていた翼の肩を掴み声を荒上げた護衛。普段なら、こんな事はしない彼だが状況によっては翼の判断を待たずに行動するよう双夜に言われてはいる。

今回は、状況的に未熟な翼をサポート……それが出来ないのであるなら、彼自身が指揮を取るつもりでいた。

 

「……ごめんなさい。もう、大丈夫です。とりあえず、一戦交えて無理そうなら撤退します。悪いのですけど、退路の確保をお願いできますか?」

 

「……問題ない」

 

正気を取り戻し、強い目の光を宿した翼を見て護衛は己の必要の無さを改めて認識する。翼は、まだまだ未熟ではあるけれどあの理不尽に揉まれた者でもあるのだ。

この程度で、使えなくなる様な柔な人物ではない。

 

 

 

 

喫茶店の外へと飛び出した六人は、直ぐ様暴虐の限りを尽くしている転生者達とNPC達の間に割って入る。

そして、何人かのNPCを救い出すとある程度の間合いを開けて武器を向けてきた転生者と対峙した。

 

「おおっ!上玉じゃん!!」

 

「プレイヤーみたいだが……俺達の前に出て来たのが運の尽きだな。大人しく、慰みものになれ!!」

 

「あんた達みたいな、弱者(NPC)にしか威張れないブ男なんて願い下げだわ!!」

 

「ああ!?」

 

「このっ……クソあまぁ……」

 

下卑た笑みを浮かべていた男達が、翼の言葉に顔を真っ赤にして武器を抜き放った。それは、感情そのままに抑える事も忘れて生活していると見てわかる蛮勇の馬鹿と成り果てているということ。これなら、まだ引き籠りのブ男の方が気品があるというモノ。

彼等は転生して、そういった気質を失った愚者だった。

そんな男が、イケメンであってもモテるはずもなく……結局、転生前以下のクズと成り果てている。

ぶっちゃけ、顔より性格を矯正する特典を得た方がマシだったかもしれない。それならば、こんなゲスな存在に成り果てなくても良かっただろうと翼は蔑みの視線を向けた。

 

「ちょっと、顔が良くてスタイル抜群だからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!?どうせ、それも神様特典なんだろう?生前は、とんでもない醜女だったんだろうよ!!」

 

その言葉は、全て盛大なブーメランとなっているのだが言ってる本人は気が付かない。

更に一歩踏み込んで、無手の翼に剣をチラ付かせて脅し始める。それで、本当に他者が自分達に従うと信じて疑わない馬鹿のニヤニヤ顔をしていた。

 

「……容姿に関しての特典なんて望んでないわ。ドラゴンボールの孫悟空レベルの肉体(☆5)とハンターハンターの念能力(☆5)。それと、テイルズシリーズの全技・魔法(☆8+)をなんの代償もなく使える様にして貰っただけよ?」

 

『……………………………………』

 

翼がそう告げた瞬間、ブ男達は何を言われたのかわからない様子だった。だが、段々理解が浸透して来たのかその場にいたブ男達が引きつった様な笑みを浮かべ?。

一部は、口を開けて茫然とし……他は、何やら目元を覆って天を扇いでいる。最終的には、蒼白といえる顔色だった。

 

「ちょ、チート過ぎるだろっ!?」

 

「それくらいしか、物語を知らなかったのよ……」

 

「ヤベェ……コイツ等、ヤベェよ……」

 

「え?なんで……?」

 

「全部、レベル関係ないだろう!?」

 

「「?…………ああっ!!」」

 

「チッ、これだから……」

 

「おい、ずらかるぞ!!」

 

誰かが、そう叫ぶとブ男達は我先にと転移門へと殺到していく。翼達は、何をする事なくブ男達を退けた。

ブ男達がいなくなると、捕まっていたNPC達が歓声を上げる。中には、怪我をしているっていうのに動こうとする者の姿もあった。まあ、痛みに悶絶しているけれど。

 

「何だったのかしらね?」

 

「翼ちゃん……(汗)」

 

「レベル関係ない戦闘系特典を暴露したら、そりゃ逃げるって……元々のステータスにアドバンテージがある上に、レベルアップしたら嫌でも差が付くって思うもん……」

 

鉄の言う通り、一般転生者がレベル999で翼レベル1と同等の能力差が出る。そんな翼が、現四階層でレベル98(高レベルモンスターを倒している影響)故に差の方も一般レベル999よりも大きく上昇補正となっていた。

 

「翼が、特典無双してる件……方向性が違うが……」

 

それぞれの感想をのべた後、襲撃されたNPC達の怪我を診て回る。その際にも、翼がティルズシリーズの回復魔法で大活躍していたがそれは別のお話。

翼達が、それぞれNPC達を診て回っている間、護衛の青年は転移門の前にいた。転移門を見上げ、そこに組み込まれている術式を解析して行く。そして、ザンッ!と剣を一振り……転移門を破壊してしまう。

 

「これで、今後の憂いはないだろう……」

 

「良かったのですか?」

 

背後に控えていた、使い魔の二人が声を掛ける。

 

「彼等(NPC)の生活に必要なモノであるなら壊さないよ……だが、これは明らかにプレイヤーの為のシステムだろう?」

 

「出過ぎた真似をしました……」

 

「構わない。彼の者達を思っての発言だろう?問題はないよ……とは言え、転生者というのは未熟な《旧・神族》みたいなモノだな……」←《神殺し》最大の侮辱。

 

「「……………………」」

 

従者と主の会話をする護衛の青年。今後、何度となく繰り返される転移門ブレイク最初の出来事だった。

その後、護衛の青年を巻き込んでNPC達の治療を終えた彼等は惜しまれつつもロービアの街を後にする。

向かうは、迷宮の塔。更にその上層。

まあ、その後の攻略は呆気ない程スピーディーなモノだった。ほぼ、一撃で撃破出来るボス。

雑魚モンスターに、高レベルは存在しなくて瞬殺。

サブストーリーモドキのイベントは、少し頭を捻る事になったけれど順調な滑り出しと言えなくもなかった。

 

「…………それにしても、なんで負けたのかしら?」

 

「ん?何が?」

 

「だって、三階層のフロアボス以来順調じゃない……って事はよ?あのボス戦で、転生者達は攻略を止めたって事になるわ……それが、不思議でしょうがないのよ……」

 

「…………確かに。でも、毒消しを買い忘れたなんて初歩的なミスするはずもないですし……」

 

「うーん……まず、それはないとは思うけど……」

 

「まさかとは思うけど、毒化したのにも関わらず……HPが多いのにかまけて放置していたとか?」

 

「成る程。そして、瀕死状態で良い一撃を貰って死亡。モンスターは、レベルアップして強敵に……とか?」

 

「毒のダメって、定値?それとも、パーセント?」

 

「流石にパーセントはないですよ。定値ですよね?」

 

『『……………………』』

 

その疑問に、全員が沈黙した。

まさかの、誰も知らないという事実。

こんな時こそ、『神崎くーん』なのだが……こことは、別の世界に行っているのでわからないまま放置する事に。

彼女達は、まさに『小骨が刺さったかの様な』モヤモヤ感を抱えて前に進む事となった。

因みに、毒ダメージはパーセント減で毎分7~10%前後のHPが削られて行く。どれだけHPが高くても、10分もすればHP1の状態に。それに、気が付かなければレベル999のHPと言えども楽に削り切られるだろう。

実際、あのモンスターが高レベル化していた訳なので、誰も毒ダメージを気にする事なく戦ったのだと思われる。

それに毒は、数回受けると『猛毒』と変化するのでHP減は更に加速しただろう。

つまり、10分も掛ける事なく転生者達は巨大樹型モンスターを高レベルモンスターへと変化させた訳だ。

二度目の突撃は、全滅ももっと速かっただろう。

 

「本当だったら、お笑いネタね……」

 

「猛毒で、全滅かぁ……そんな、初歩的なミスは流石にしないだろう。生前、たっぷりとRPGとかで思考訓練している訳だし……」

 

「そうよね……」

 

そう言って、翼達はその話題を切り捨てた。と言うか、毒ダメのHP減り率がわからないので棚上げしたともいう。

そして、十階層の中腹辺りまで攻略を進めた頃、護衛の青年が『待った』を掛けた。

 

「戻りましょう」

 

そう提案したのは、青年が順調過ぎる階層攻略に一抹の不安を覚えたからだ。余りにも、順調過ぎる攻略状況に誰かの意思を感じて《神殺し》の青年は危険だと判断した。

 

「そうね。上の階層に、歪みは無さそうだし……高レベルモンスターが出る下層に戻りましょうか?」

 

それは、現状をかんばみた現実的な発言だった。

周りには、瞬殺しか出来ない低レベルモンスターしかいない。この状況で、これ以上の階層攻略は必要ない……と彼女も判断した。それに、下手をすると四階層の二の舞になる可能性もある。流石に、フロアボスの攻略は出来なくてもフロアボスがいない僅かな間に階層を跨ぎ、村や町を襲う事は出来るのだ。それは、出来るだけ防ぎたい事柄だ。

 

「異議ありっ!……すいません。言ってみたかったんです……じゃなくて、レベル二千万のドラゴンは上層にいるんじゃないですか?下層には、ドラゴン種なんて居ませんよね?」

 

その提案に異議を唱えたのは、白い目で見られている鉄。

元々、この世界に来たのはその高レベルドラゴンを狩る為だったはずだと異を告げる。それを受けて、下層に戻るか上層を攻略するかで意見が別れた。

 

「そう言えば、そんなのもいましたねぇ……」

 

青年は、忘れていた様で目頭をモミモミ天を扇ぐ。

 

「そもそも、私達の目的ってそのドラゴンの情報を集める事だよね?なら、このまま上層を攻略した方が良いんじゃないかな?」

 

「ほら、すずかさんもそう言ってますし……」

 

鉄とすずかは、このまま攻略を続けたい様子だ。

対して、護衛の青年は下層に戻って高レベルモンスターを狩りたい様子。この現状からして、彼からすればぬるま湯に浸かっている様な気分なのだろう。

 

「ですが、この巨大なダンジョンにその様なドラゴンがいるという情報はありませんよ?今、一番“先”を攻略しているのは私達です。ならば、アルヴヘイムにいるのでは?」

 

「え?でも……SAOって元々は、アインクラッドがメインだよ?アルヴヘイムは、二作目のゲームだし……原作では」

 

「ですが、ここはそれを元にしたモドキ世界ですよ?」

 

「もしかしたら、転生者特典で階層を攻略しなくても上層に行ける人がいるのかも……」

 

「…………ああ。それは、ありそうですね……」

 

「なら、このまま攻略を続けるって事で良いのね?」

 

「…………仕方ありません。私は貴女達の護衛。貴女達の行く末を見守りましょう……」

 

護衛の青年が、折れる形で彼等は階層の攻略を優先する事になる。この選択が、後に《神殺しの異端児》如月双夜強制召喚のフラグになろうとはこの時誰も気が付いていなかった。そして、この先に待つモノこそが元凶である事も。

そんな事とは知らずに、彼女等は攻略を再開した。

 

「何はともあれ、ドラゴンの情報は最優先で集めるわよ?」

 

『はーい!』

 

まるで、ピクニックに出掛けるかの様な気軽さで彼女達は爆進する。寄り道はそこそこに、次の階層目指して迷宮区に突撃する姿はまさに『冒険者』だった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

そう、遠くない階層で彼女達は本物の『主人公』に出会う。この世界……いや、SAOモドキ世界で『真の勇者』と共に彼女達は何を成すというのだろうか?

その出会いを始まりに、ソードアートオンラインモドキ世界の本当の幕が上がる。神様特典を巡った、物語の真髄を……そして、その特典によって組み込まれた誰も知らない物語の歯車が回り出す時、世界は終演へと向かって走り出す。

嘗て、茅場晶彦が目指した終演が繰り返される。

この世界に巣食う転生者達は、その終演を回避出来るのか!?

彼女達……《神殺し》派は、それを止める事が出k……もとい、間に合うのだろうか!?

それは、誰にもわからない。

例えそれが【神々】であったとしてもその未来は見通せるモノではなくなってしまっている。

この無法と化した世界で、カーディナルシステムが静かに歯車を回す。誰にも知られる事なく、刻一刻とその時が刻まれて行くのだった。

 

 

 

 

 




ちょっと、短いけどSAOモドキ世界の様子でした(笑)。
翼が、かなりのイレギュラーになってますが……気にしないでやってください。他の転生者は、一人につき一作品+αなのに比べ翼は別作品3つですからね。チート過ぎです(笑)。

神殺し最大の侮辱発言!!これは、旧・神族に例える事で神殺し達の間では最悪の悪口扱いになってます☆(笑)。
これを言われるって事は、その神殺しに敵認定されたということ。今後は、護衛の青年にも刺される可能性も?

最後、何やら意味深なナレーションを入れてますが……気にしないでやってください(笑)(笑)。ちょっとした、文字数稼ぎやったんやぁ……(泣)(笑)。

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