絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
はやて
エイミィさんに場所を聞いた私は、シグナム達を引き連れて現場にやって来た。現場言うても、まだ何が起こったのかは知らない。せやけど、双夜が会話できへんようになるくらいの事やから相当な事が起きとるはずや。
「あら?はやてさん」
扉の前で、青い顔をしたリンディ提督を見付けた。
「リンディ提督、何かありました?」
「え?ああ。大丈夫、双夜君が止めてくれたから……」
「……リンディ提督、どないしたんですか?顔色が真っ青ですけど?」
「ごめんなさい。詳しくは双夜君との約束でお話はできないの……でも、その……余り聞きたくない内容だったから……」
リンディ提督でさえ、聞きたくないと言い切る話しやったんやろ。ちょっと、内容が気になったけど深入りはしない方がいい様な感じや。
「そうですか。そや、双夜はどこですか?」
「まだ、中でお話し中です。もう少し、かかるみたいね……」
『ギャーーーー!!!止めろぉーーーーー!!!!』
部屋の中から、神崎の悲鳴が聞こえてきた。
一体、部屋の中では何が行われているんやろか……。
ムッチャ、気になる。
『ふはははは!!貴様は、一生再起不能になるのだ!!自らの行いを悔い改めるが良い!!!ふはははは!!!』
『い、嫌だあーーー!!お、俺の生き甲斐を奪わないでくれぇーーー!!!』
なんやろ……凄まじく気になる。
リンディ提督の許可さえあれば、今すぐ部屋に突入して確認したい気分や。
「あ、はやてちゃん……どうしたの?中に入らないの?」
「それがなぁ……」
「ごめんなさいね?今は、誰も入れるなって言われているの……」
「義母さん、大丈夫?顔色悪いよ?」
「フェイトさん……大丈夫。ちょっと、重い話しだったから……」
「神崎君のレアスキルの件ですか?」
「…………ああ。双夜君ね?私には、箝口令を告げておいて…………でも、理由はわかるから文句は言えないのよね……」
リンディ提督が、ブツブツと何か呟いて疲れたような笑顔を浮かべて……肯定した。
「それもあるわ……」
「登録は、されていないんですよね?」
「……していれば、大問題になっていたでしょうね」
「魅了系のレアスキルですもんね……」
漸く、なのはちゃんも到着した。
『あーははは!この、【ニコポ・ナデポ】は破壊させて貰う!例え、貴様がコミュ障を患っていようとも……恋愛に関しては、実力でその手に掴むが良い!!!』
『や、止めろぉー!!それがないと、俺のハーレム計画があぁぁぁーーー!!!』
『知ったことか!《スキル・ブレイク》!!』
バキィンッ!!と、頭に響く様な音が鳴り響く。
それと同時に『ぎゃーあああーーー!!』と断末魔の様な声が聞こえた。
『あーはははは!!この様な能力で他人の心を弄ぼうとするから、こういう目に合うのだよ!ざまぁ!!』
「双夜が、ムッチャノリノリや……」
『そして、貴様は向こう50年間不能になり……女の《裸》を見ても何の反応もしなくなるのだ!!』
『や、止めてくれぇ!!!それだけは……それだけは、勘弁してください!!!!』
「なんやろ……物凄く恐い会話が繰り広げられておるみたいやけど……」
『本来なら、テメェの玉をパキュッと潰すところなんだぞ!』
『ひぃ!?』
『何?そっちの方が良かった?』
『い、いえ!こっちの方が、断然良いです!!』
男からしたら、背筋が凍るような会話が繰り広げられている。せやけど、内容を聞いてみれば私達の生活が改善されようとしていた。
『だよね?だよねぇ?リハビリすれば、30代後半には治るって言ってるだろう?頑張って、リハビリすれば良いんだよ!』
『で、ですが……そのリハビリって、どうすれば……』
『エロ本眺めてても治らないからな?精力ってのは、所謂【生命力】だ。なら、生命力を増幅させてやれば治るんだよ!』
『そ、その方法は!?』
『要は、体を鍛えて健全な肉体を作れって事さ。そうだな……シグナムを格闘のみで、捩じ伏せる事が出来るぐらいか?とりあえず、ジョギングから始める事だ!あーははは!!』
『魔法無しッスか!?』
『お前はな。シグナムは、魔法有りだ!』
『そ、そんなぁ……』
なんや……凄まじく、難易度の高い話をしてる。
素手で、魔法無しで、魔法有りのシグナムを捩じ伏せる?やなんて……そんなん、無理やん。
「ほぉぅ……」
話を聞いて、眼をギラギラさせているシグナムを見れば、更に難易度が上がっているようにも感じるし……。
神崎大悟、ご愁傷さまや……。
『今、この部屋の外にシグナムいるから……今の話、聞かれてるぞ?即ち、難易度がうなぎ登りって訳だ!』
「あ、気が付いとったんか……」
気が付いた上で、その話しをしとったということは……シグナムに聞かせる前提ってことや。何つー策士。
シグナムの性格を正確に把握した上での行動に、私は身体が震えるのを止められなかった。
『………………鬱だ。死にたい……』
『そうか、貴様以外の男に彼女らが持って行かれても良いと言うんだな?最終的に、同窓会でモブな紳士達から「結局、神崎は口先だけの厨二病だった」と言われ続ける訳か!』
『!?それは、嫌だあー!!それだけは!!』
『だったら、一人でもGETしてみるが良い!!まあ、貴様には彼女達の心をGETするなんて大業成せるとも思わないがなあ!!』
『クソッ!見てろよ!?ぜってぇー、誰かと結婚してやるぅ!!』
『無駄無駄無駄無駄!!魅了系能力のことを彼女達に教えたから、テメェの好感度は奈落の底だ!!』
『き、貴様ー!!』
『あーははは!!復讐している暇は、お前には無いぞ?何たって、先に【生命力強化】のリハビリが待っている訳だからなあ!!』
『ち、畜生っ!!』
策士過ぎるやろ!?
如月双夜……なんて、恐ろしい子……。
パシュッと音がして、恐ろしい子供が先に出てきおった。
「フッ……あー楽しかった。シグナム、これからちょっと忙しくなるかもだけど……バトルジャンキー増やしといたから、問題ないよね?」
「ああ。構わん……ヤツが、どの様に成長するか今から楽しみだ!!」
「そうか。……さて、八神はやて。さっさと彼氏作らないと……アレが、彼氏になる可能性が出てきたんじゃないか?」
クケケケケと悪魔のような笑い声をあげる双夜。
その瞬間、私は理解してしまう。
もし、神崎がシグナムに挑戦し続けるなら一番接触が多くなるのは必然的に私や。即ち、このまま行くと神崎大悟とその様な関係になる可能性は私が最も大きい事になる。
「クックックッ。良かったね?これで、彼氏出来るんじゃないか?」
ニヤリと、悪魔のような笑顔で言われた私は、心に誓うた。その未来だけは、絶対に回避すると!
「くっ……」
「お?神崎氏のお出ましか?」
全員の視線が、扉に集中する。
そして、私達はその姿に唖然とした。
何故なら、現れた神崎は『真っ白に燃え尽きて』いたからだ。比喩でも揶揄でもなく、本当に燃え尽きていた。
「……よ、よお……今まで、ごめんなぁ……」
それだけ、私達に告げると神崎はフラフラと転送ポートの方へと消えていった。
「って、何やっとんのや!?」
「あ?恐怖と絶望で、徹底的に心をへし折っただけだが?」
「恐怖と絶望で、人間があないなるか!?」
「なるよ?なんなら、お揃いにしてやろうか?」
「いらんわ!!」
まさか……影が薄くなった上に、煤けているようにも見えるやなんて……怖っ!!ムッチャ怖っ!!!
「まあ、いいや。じゃあ、リンディさん……話があるので、ちょっとお時間よろしいですか?」
「え!?か、構わないけど……て、手短にお願いするわ……」
「あっはっはっはっ!そんなに怯える必要性は有りませんよ?大丈夫。ちょっと、さっきの話を口に出来ないように暗示を掛けるだけですから!」
ニヤニヤと笑い近付いてくる双夜に、何故か腰が引けているリンディ提督。やはり、さっきの神崎を見た後では、双夜が怖いのだろう。
「大丈夫、大丈夫。怖くなーい……恐くなぁい……」
「恐いわぁ!!」
スパン!とハリセンで双夜をどつく。
何でワザワザ恐怖を煽るような言い方をするんや!?コイツは……。
「……八神はやて、黙っていようと思っていたんだが……やっぱり言っておこうと思う……」
頭を擦りながら、双夜がグイッと見えない手で私の胸ぐらを掴んで引き寄せる。そして、私の耳元に口を寄せるととんでもないことを言い出した。
「もし、これで神崎氏が八神はやてではなくなのはママやフェイトちゃんと付き合ったり結婚した場合、君には女性として魅力が無かった事になるが……その辺り、わかっているよね?君が、どんな決意をしたかは知らないけれど……」
双夜はニンマリ笑って、スルリ、と離れると固まっている私の脇を素通りしてリンディ提督を連れて行ってしまった。
「ーーーーー」
「は、はやて?どうしたの?」
「あ……あんの……」
「は、はやて?」
「あんの糞餓鬼!!いてこましたろかぁ!?」
回避すると誓うとうのに、別の女に流れたら私に魅力が無かったやとぉ!?ふざけんのも大概にせぇよ!?
んなこと言われたら、後に引けへんわ!!
「見ぃとれよ……」
絶対、私の虜にして貢がせるだけ貢がせて捨てたるわ!!
「……おやおや、正義の味方が聞いて呆れるわ!」
「………………」
なんて、八方塞がり。
今の一言で、私の行動の大半をがんじがらめにして双夜は去っていった。これでは、なにもできない。
逃げれば女性としての魅力を疑われ、流れに身を任せれば高い確率で神崎と恋仲に。貢がせ様にも自身の理念が邪魔をして、行動できなくなってしまった。
「がああああぁぁぁーーー!!!」
「はやてが、壊れた……」
ヴィータが、何か言ってたみたいやけどあんのちびっこ策士に対する怒りで、聞こえへんかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しばらくして、漸く落ち着いた私は食堂の机にグッタリとしていた。当然、周りにはなのはちゃん達や私の騎士達もいる。
「…………」フヨフヨ……。
「………………」
目の前をフヨフヨと浮かび移動する謎生物。
そういえば、これあの餓鬼の使い魔やったはずや。
そう思うだけで、ムカァ……と怒りが腹の底から沸き上がって来る。
「…………」フヨフヨ……。
「……(イライラ)」
「…………」フヨ~ヨ……。
「……(ムカムカ)」
「…………」フユ~。
段々、ワラワラと集まって来た。
その内の一匹をガシッと捕まえて怒鳴る。
「何やねん!!嫌がらせか!?」
「護衛だ!」
「護衛!?そんなん、必要あらへん!!家には、強ーい護衛が四人もいるんやで!?今更ーー」
「誰が、八神はやての護衛だと言った?なのはママとフェイトちゃんの護衛だよ!」
「え?」
「にゃ!?」
「ーーー…………なのはちゃん達に、何かあるんか?」
「何もないなら、何もないで良いさ。だけど、僕は未来から来た人物だ。その未来を考えると、護衛の一つでも付けたくなるさ……」
「……ふーん。っていうか、コレ役に立つんか?」
「……フレールくん。緊急事態発生だ!」
「きゅ!!」
謎生物が、短く鳴いた瞬間私は床に押さえ付けられてもうた。背中にズッシリとした重みがある。
背後を見れば、イケメンの青年が私を拘束していた。
「あ、主!?きーー「あれ?はやてさんではありませんか?」
私やと気が付いたその青年は、パッと手を放してくれる。
「えっと……どちらさんですか?」
「ああ。こちらでは、初めてでしたね?私はテオルグ。マスター……如月双夜の使い魔の一人です」
使い魔の一人?
『フレール』ゆう使い魔とこの青年だけや無いの?
そういえば、リンディさん家で何や言うとったな。
色々有りすぎて、覚えてへんけど……。
「テオルグ、アルカリアは?」
「この辺りにいるのは、バトルジャンキーか人格破綻者くらいなものです。他は、交渉に使えるからと保有世界へ行きました」
「バトルジャンキー……人格破綻者……まあ、交渉や頭を使う事には使えないけど……嫌なチョイスだなぁ……」
「ほぉぅ……」
ギラギラした目付きで、シグナムがニヤリと笑う。
あかん。あれは何を言っても止まらへんときの顔や。
シグナムにとっては、最高の状況になっとる訳やな。
「はああぁあぁ……幸福が逃げるっちゅうねん!」
「こっちのバトルジャンキーも反応するし……ってか、やっぱりあったんだ……【次元消滅術式】搭載型爆弾……保有世界は、多いのか?」
「いえ、前回よりは少ない様です。ただ、完成物があるのかもわからないので現在捜索中といったところですかね?協力(部品製造)者も少ない様ですし……前回の様にはならないかもしれません」
「ちょぉ待ち!何の話や!?」
「(じぃ)…………なら、《ルール・ブレイカー》はちゃんと機能してはいるんだな?とは言え、油断するなよ?」
「(じぃ)…………はい。交渉が簡単に済む世界もあるようです。ただ、時空管理局に対して因縁を持っているところは時間がかかりそうだと言われました。……あの方々が、油断する様な方々ですか!?」
「ちょっと、無視せんとってくれへん?」
「(じぃ)…………また、時空管理局か。あそこは、要らんことしかせんな……」
「(じぃ)…………そうですね。ぶっちゃけ、邪魔な組織です!」
何やようわからへんけど、この二人私を見ながら話を進めとる。これは、アレか!?『無視してないよ!』とアピールしとるんか!?
「(じぃ)……過去に何があったのか、調べる必要があるなら……後日、報告書で上げちゃって!」
「(じぃ)……了解です!」
「せやから、無視すんなや!!」
ポムッ。ナデナデ……。
「とりあえず、俺はやることあるから地球に……ってか、フェイトちゃんに付いているよ」
「おい!」
「では、緊急時はフレールくんに呼ばれた時だけということで良いんですね?」
「ごらぁ!!」
「シグナムが、戦いたいみたいだから……そっちもヨロシク!」
「止めんかぁ!!」
「大丈夫ですよ。バトルジャンキーは、多いですから……」
「そうか。あ、人格破綻者どうにかならんか?」
「止めてぇ言うとるやろう!?」
「無理です!!ご自分で、何とかしてください!」
「えー……面倒臭い。もう、放置したままにしようかなぁ……」
「くっ……このぉっ!!あれ?立てへん……」
「あははは。マスターらしいですね!では!」
「おう!またなぁ(´ω`)ノシ」
「う、嘘やろ……」
「あ、ごめんごめん。動き封じてた」
「お前かぁ!!!」
立ち上がって、ちびっこの胸ぐらを掴み上げる。
人を散々無視しよったあげくに、動きを封じてただぁ!?
「人をおちょくんのも大概にせえや!!」
「あ?そんなにおちょくられたいのかよ!?」
「な、何やて……」
まさか、今までのアレはそういうのでは無かったとゆうんか!?……しかも、今から本番が?
「そうだなぁ……フェアリーマジック!《ロルホップ》!」
「?」
「ふふふ……おんやぁ?気付かないのぉ?ふーん。ま、その程度だったって事かぁ……ケケケ……」
何やようわからへんけど、ムッチャ腹立つというのはわかる。
「は、はやて!」
「は、はやてちゃん……胸が」
「胸ぇ……………………ふぅおがぁああぁぁぁ!?」
ささやかにあったはずの、双丘が……漸く、大きくなったと大喜びしたはずのソレが……無いっ!!?
「な、何でやっ!!何でこんなことにぃ……はっ!!これか……コレなんか……」
「妖精魔法は、半永久的に変化しない魔法!即ち、一生貴様の胸はそのまんまだぁ!!!!」
「なっ!なんやてぇーーー!!!」
足に力が入らず、思わず膝を付いた。
一生このまま……一生このまんま……その絶望的な宣言が、私の頭の中でリフレインする。私が、おちょくってみいや!何て言ったばかりに、胸が……胸が、無くなってもうた。
「よぉ!抉れ女ぁ……どうした?さっきまでの威勢は?まさか、その程度で心折れちゃったの?ふふはーはははは!!」
「……このっ!女の敵がぁ!!返せー!私の胸返せ!!」
「はぁん?女の敵だぁ!?《オオロフォ》!!」
「きゃっ!?」
「フェイトちゃん!?」
「お、重い……」
「グハッ!!」
フェイトちゃんの中学生らしからぬ双丘が……あの大きい胸が更に大きく……。私は、致命的な精神ダメージを負った。
フェイトちゃんは、フラフラとしていたが最終的に座り込んでしまう。
「はっ!」
「くっ……わ、私に何の怨みがあるんや!?」
「未来で虐められた、怨みだ……」
こんな……こんな……自分が撒いた私怨に、まだなにもしていない私が苦しむはめになるやなんて……。
「さ、最悪や……ぐすっ……」
こうして私は、久しぶりに枕を悔し涙で濡らす事になった。
もう、二度とこんな惨めな涙は流さんと心に誓う。
翌日。
「ふざけんなやあああぁぁぁ!!!!!」
朝、目が覚めたら元に戻っていた胸を見て私はブチギレた。心の誓いも虚しく、悔し涙を流しながら。
50歳まで、下半身不能状態化って……サキュバスの能力だよね?中では、何が行われているのやら……(焦)
玉をパキュッ!!とか、恐ろしい話がされてますね!
更に、《ニコポ・ナデポ》を《スキルブレイク》で破壊。
因みに《スキルブレイク》は、《ルールブレイカー》系の能力です。
そして、八神はやての胸が無くなり戻りました(笑)
マジギレしてますが……報復はされません。したところで、人外魔法・真・妖精魔法を使われたら半永久的に胸囲ストンッ!!状態にされるだけなので(苦笑)
というわけで、GW連続投稿はこれにて終了!!
これ以上やると……ストックが尽きてしまうっ!!
誤字・方言あれば報告をお願いします。
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