絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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ちょっとだけ、早く終わった……(泣)。


一七四話

???

 

 

「じゃあ、ちょっくら絶望を払いに行きますか……」

 

 

 

「え?」

 

聞こえた呟きとも取れる小さな声に、アスナが疑問を感じるがそれが何かを理解する前に、ブレる様に消えた幼い幼子に驚いて言葉を失う。

慌てて周囲を見回せば、キリト?の背後にその姿があった。黒いリメインライトを左手に掴み、虹色に輝く剣を振り抜いた体勢で固まる幼子と……フラリと身体を揺らめかせたキリトが見えて思わず手を伸ばして駆け出す。

彼女は寸でのところで、キリトが地面に倒れる前にその胸に彼を抱き止める。

 

「キリトくんっ!」

 

「パパっ!!」

 

直ぐ様声を掛けて、頬を叩いたりして意識を確認する。

様子を見ていた周囲の者達も、ぐったりとして目を覚ます気配のないキリトを見て少し不安もあった。

だけど、アスナとキリトを囲むように集まっていく。

 

「「「キリト!!」」」

 

「キリの字!!」

 

「キリトさん!!」

 

「お兄ちゃん!!」

 

それぞれが集い、声を掛けて行く。

だけど、キリトが目を開ける様子はなかった。

 

「遅いっ!!」

 

その隣では、黒いリメインライトを掴んだ幼子が守護者に文句を言われていた。しかし、彼が悪い訳じゃないのでその文句はたらい回しにされる。

 

「幼児後退化してたんだ。「そっちか!」クレームは、魔導兵器によろしく!!ああっと、そっちの人達。安心して良いよ!憑依していた、転生者は切り離したから!!」

 

「全く、ろくな事をしませんねあの人達は……」

 

まるで、ついでの様に言われたそれにリーファ達は苦笑いを隠せなかった。それに、幼子が持つ黒いリメインライトが気になって仕方がない。

しかし、それに気が付く事なく幼子は守護者と悪巧みを始めてしまう。幼子には、似合わない邪悪な笑顔で。

 

「さて、この馬鹿を解体しますか(笑)」

 

「おやおや……魂の解体ですか。面白そうですね……」

 

ニヤニヤと邪悪な笑顔を浮かべ、《神殺し》の二人が幼子の掴む黒いリメインライトに視線を向ける。

何か打ち合わせの様な話し合いの後、ポイとそれを空中に投げると幼子が手にしていた虹色に輝く剣で一閃した。

すると、リメインライトから三つの光が飛び出して来る。

 

「フムフム……これが、コイツの神様特典ですね?」

 

「クケケケ……そうだよぉ。一つは、《ペナルティ無しでソードスキルが使える》って奴ね。これは、自己の強化に該当するかな?もう一つが、《主人公への憑依》だ。そして、最後が…………お?」

 

クΨ(`∀´)Ψケケケ……と、笑う《神殺し》達にドン引きしつつも鉄や翼達が集まって来る。

 

「それで、最後の特典は何だったんだ?」

 

「うん?……うーん。多分、リーファ達をこの世界に召喚した類いだと思うけど……ただ、これだとエギル達男は召喚出来ないんだけど?あー、《SAOヒロインをこの世界に召喚して!》っていう願いだね……」

 

鉄の問いに、歯切れの悪い返答を返す双夜。

 

「確かに、《ヒロイン》って明言されている以上、男は無理そうね……って事は、それだけじゃダメなのね?」

 

「ダメダメだね。多分、複数人の願いなんだと思う。それを願った、全員の特典を破壊しない限りSAO組の人達が、この世界から解き放たれる事はないと……」

 

翼の疑問には、ハキハキと答える当たり原作人物達に配慮していたモヨウ。でも、最終的に報告する事になるんだからと諦めた感じで何時も通りに喋り出す。

因みに、何が『ダメ』なのかというと《SAO》関係の者達を元の世界へ送り返せるのかという問題について。どうやら、手元にある特典だけではどうにも出来ないらしい。

 

「どれだけいるんだよ!?」

 

「半分として……5000人?」

 

「うわっ……やる気が無くなる数字だな……」

 

「全くだ……正確な人数もわからないまま、ブレイクして行かなきゃならないとか……どんな拷問だよ!?」

 

そう言って、双夜は諦めた感じに首を横に振ると、アスナ達の元へと歩き出し、彼女達の目の前にしゃがみ込む。

そして、キリトの額に手を当てて目を閉じた。

ブツブツと何かを呟くと、双夜の手が淡く輝き始める。

 

「何を!?」

 

アスナは、慌てた様に警戒を示すとキリトを庇おうと身を乗り出した。

 

「《マインドヒール》。効果は……そのままの意味で、精神を回復させる魔法だよ。このままじゃ、一年掛けても目覚めそうに無いからね。きっと、転生者にこっぴどく痛め付けられたんだろうね。……ーーーーー」

 

アスナを安心させる様にニッコリ、幼い子供の様に笑って双夜は慈愛溢れる視線をキリトに向けた。

その際に、口元が小さく動くけど言葉は聞こえない。

 

「ご、ごm「精神を痛め付けるって……どうやって!?」

 

疑問に思ったのか、鉄がアスナの謝罪に被せる様に問う。

 

「簡単さ。精神世界を作って、彼を呼び出し殴る蹴るの暴行を加えたんだろう?精神世界では、肉体を構築しているのは精神そのモノだから……それに攻撃すれば、弱らせるのは容易い……」

 

そして、謝罪をしようとタイミングを計るアスナを放置して話を進める鈍感者達。ある意味、鬼蓄である。

 

「最悪ね。それにしても、憑依されて良く上書きされなかったわね……彼……」

 

「そりゃ、VR系の《主人公補正》って精神に付くモノだし(笑)。肉体を得たからって、憑依者が得られるモノじゃないよ……」

 

「「「え?それって……」」」

 

「うん。憑依者は、何処まで行っても脇役でしかなかった……って事さ。お疲れ様~(笑)」

 

一分以上、存在しているリメインライトに向けて邪悪な言葉を投げ掛ける双夜。と言うより、肉体を失い何処にも行けなくなってしまった彼は、動けない・話せないまま放置される。まあ、周囲の音や声は聞こえているけど。

 

「因みに、あの状態で殴る蹴るの暴行を加えると……転生者の魂にダメージとして蓄積します(笑)」

 

「…………それって意味あるのか?」

 

「無いね。今のところは……まあ、生き返って初めて意味を持つかな?もしくは、転生後に効果を得る事が出来ます」

 

ぶっちゃけ、生き返るか転生した後に蓄積されたダメージが肉体に適応されるのである。

その結果が持つのは、加えられた暴行の質によって変化。

下手をすれば、そのままあの世に逆戻りとなるか……そのまま死に至る事になるだろう。

 

「……………………」

 

全員の視線が、消えないリメインライトに集中している。

リメインライトは、揺らめく事なく燃え続けていた。

 

「殺っちゃう?」

 

「えっと……無抵抗なのを殺るのはちょっと……」

 

双夜の提案に、抵抗の意思を示すリーファ。

 

「じゃあ、ぬいぐるみにでも入れちゃうか?」

 

「「「「え゛!?」」」」

 

更なる提案に、その場にいたほとんどの者が濁った声をあげた。鉄に至っては、F○te/st○y ni○htのイリヤス○ィール・フォン・アイン○ベルンの顔が頭を過って、微妙に引きつった様な笑い顔をしている。

 

「それなら、臓物シリーズが良いですね!」

 

「「「「え゛!?」」」」

 

守護者から、サラッと要望が上げられてリーファ達が『臓物』という言葉に似た様な反応を返えしてきた。今度もスルーして、どんなのが良いかなぁと双夜が通販カタログを見始めると「マジ!?」と目を見開いてガン見してくる。

更に、そのカタログに載っているあり得ない人形達に全員がドン引き。カタログに載っているヌイグルミ達は、何故か腸をはみ出させた状態のモノばかりだったからだ。

通称“臓物シリーズ”。どっかの馬鹿が、とある小説に出て来たアニマルシリーズを再現したモノ。

しかし、その小説とは裏腹に頭のイカれた奴が多い【組織】ではネタ物としてそこそこ人気があったりする。

ついでに言えば、双夜もそのネタ物ヌイグルミにそこそこの興味を示していた。

 

「セップクシロウサギとかどうよ?」

 

「ハラキリライオンでも良いかと……」

 

「なんで、『けん○ファー』ネタが……」

 

元ネタを呟く鉄。それなりに、内容を知っている様子だ。

閑話休題。(それは兎も角)

 

何時までも、こんな森の中にキリトを寝かせては置けないとクラインやエギル達の協力を得て一度《森の家》に戻る事に。黒いリメインライトは、再度双夜の手に握られ移動する。その移動中の話題は……。

 

「モンスターに憑依させるってのはどうだ?」

 

「で、倒すのか?それ、意味ないだろう?」

 

「拷問だよ!ゴーモン!!楽しいと思うぜ?」

 

「それより、一定のダメージを加えてモンスターに憑依させるってのは?簡単に経験値が入ってきてレベ上げもラック楽に……」

 

「「お前……鬼畜的発想禁止な!?」」

 

「アンタ達に言われたくないよ!?」

 

鉄のツッコミに、小さな笑いが起こる。

 

「たくっ……ってか、ヌイグルミに憑依させたらどうなんの?まさか、動いて喋ったりしないよね?」

 

「「するよ?」」

 

「何、当たり前だろ?的な顔してるんだよ!?首傾げんな!つーか、普通に知らんわ。そんな知識!!」

 

「あはははは。そう言えば、あちらは大丈夫なのか?」

 

鉄がブチギレたところで、守護者が【リリなの】世界について尋ね始めた。それに、双夜は一度首を捻り……。

 

「あー……とりあえず、シッチャカメッチャカにはして来たけど……今頃、神崎が頭抱えて泣いてるかも?」

 

等と、苦笑いで答える。当人も、SAOモドキ世界の事があるからと短期間で出来るだけの備えと行為を重ねていた訳だが……彼処まで引っ掻き回すと、今度は色々と修正しつつ変革させていかなければならないので、長期的措置で使い魔と連携を組ながら改編をしていた。

今は、SAOモドキ世界にいるので使い魔達による改編が行われつつあるだろう。そのついでで、神崎が巻き込まれているはずだから、後で文句を言われるかも知れない。

 

「シッチャカメッチャカって、どんな感じですか!?」

 

「スカさん達にトラウマ植え付けて、なのはママが無印をブッ壊したんで、サクッとA's終わらせて来た。そしたら、ゼスト隊が生存ルートで転生者がミッドから来たんだけど僕見付けて攻撃してきたところで召喚された」

 

なんて、笑いながら気のない答えを告げた。

それで、鉄は双夜がちゃんと説明する気がない事を理解する。理由は不明だが、双夜が問題ないと言うのであればそうなんだろうと疑問は飲み込んだ。

 

「えっと……とりあえず、意味不だけど……中々、混迷の世界になっているのはわかった」

 

雑な説明に、鉄が頭を抱えつつ無理矢理納得する。

 

「それじゃあ、こっちでの活動報告を……俺で良い?」

 

「どうぞ。鉄が、言い出しっぺでしょう?」

 

「えっと……兎も角、SAO組がいるんで原作との違いはそこそこわかる様になってます。それで、原作にはなかったアイテムとモンスターがチラホラ。今は、並列的に検証中だけど中々結果が出ない状態のままですかね?」

 

「また、抽象的な報告が……何はともあれ、結果が出てから報告して貰っても良いかな?」

 

「あ、すいません……」

 

「じゃあ、わかってる所までで良いから現状報告をお願い出来る?今の世界情勢でも良いよ?」

 

「それじゃあ……」

 

そう言って、鉄は《森の家》に着くまでの道中で報告出来る事だけを報告した。

 

 

 

……………………。

 

 

 

「フム。ぶっちゃけ、こちらも録でもない感じだな……」

 

鉄の話を聞き終わった双夜は、そう纏めて切り捨てた。

その後、NPCの奴隷売買やALO区域の奪還作戦を聞いて何か思い詰めている様だったが、考えが纏まったのか次の様な指示を出す。

 

「転移門の再設置は任せる。とりあえず、彼等にも使える様にしてくれ。後、キリトの治療が終るまではこっちにいるから……聞きたい事があれば、その間によろしく!」

 

「キリト、そんなにヤバイのか?」

 

「…………簡単に説明すると、魂と肉体を繋いでいるのが精神だっていうのは知っているよね?その精神が、弱まっているって事は魂と肉体の繋がりが弱まっているとも言える状態だな。このまま、放置しても自然回復するけど……それに任せると、時間が掛かってしまう。どれくらい掛かるかと言うと……完治まで二・三年?……で、現在。彼等は、この世界(リアル)で肉体を得ている訳だから……このまま放置すると、一・二年後に目覚める。だけど、今度は肉体のリハビリをする事になるんだ。ずっと、寝て過ごす訳だから……リハビリ施設のない場所で……ね?それに、そこまで肉体を衰えさせると別の心配事も出て来るんだ。医療施設のないこの世界で、そんな悠長な回復を推奨するバカ(医者)はいないよ?」

 

「うわぁ……結構、ヤバイ状態だった……」

 

様々な要因が重なり、キリトが置かれている状況を知った鉄は、ドン引きしつつも双夜の説明に納得せざるを得なかった。話を聞いていた他の者達も納得顔である。

 

「……キリトくんは、大丈夫なんですか?」

 

「え?んー……今は、さっきまで普通に動いて生活していたから、肉体の方は健康そのものだよ。皮肉な事に、クズのお陰で問題はなさ気だな。まあ、彼が昏睡している原因を作ったのはクズなんだけどさ……」

 

「マイナス面が、圧倒的に大きいわね……」

 

「デスヨネー」

 

苦笑いする鉄と翼。何にせよ、あのクズが全ての原因なのである。あれが、キリトという人物に転生さえしなければ彼女達にこれ程迷惑は掛からなかっただろう。

 

「肉体の傷の方は、この世界の魔法でも回復させる事が出来る。ただ、精神の方は……無理そうだよね。それに、あ、補助系の魔法で強化しようとしないでね?あれ、精神を逆に消耗させるから効果が切れると弱っちゃうんだ」

 

「そうなの?難しいのね……」

 

「やる気だったのか……翼……」

 

逆効果と聞いて、翼は肩を落とし……鉄は、驚愕の表情で無謀な事を考えていた仲間を見やる。むしろ、ドン引きだ。

 

「じゃあ、MPを分け与える的な魔法もダメなのかしら?」

 

「魔力と精神は別物だろう?どちらにしろ、負担になる事には違いないからオススメはしないかな?」

 

「そう。役に立たないわね、【テイルズ】魔法……」

 

「それを言うなら、【リリなの】の魔法もだよ……」

 

微妙に二人共、自分達が役に立たないと落ち込む。

そもそも、二人の持つ魔法は途用が違うので当たり前だ。

基本的に、戦闘を補助するのが二人の魔法だった。

 

「僕は、神聖魔法に妖精魔法……それから、精霊魔法と精神に関わる魔法を最低三つは持ってるからねぇ……」

 

「「神聖魔法!?」」

 

「神聖魔法っていうのは……多分、君達が思い浮かべているモノとは別物だよ。神の領域に至った魔法と言い直せばわかるかな?」

 

「「あ、そっち!!」」

 

「神法(魔法の上位版)と変わらないんだけどね。でもあれは、人間の精神に作用する魔法は一切ないから……むしろ、攻撃する魔法だし……まあ、色々あるんだよ」

 

「博識なのね……」

 

双夜の説明に、アスナが驚いた様にいう。

 

「そういうのとは、また違うんだけど。必要だったから、修得したっていうのが現実。【組織】では、医師免許を得るのに幾つかの魔法修得が条件なんだ……」

 

「【組織】の医師免許ですか……あの超実力主義の医師免許って……とても、難しそうですよね……」

 

「実際、合格ラインが〇,一%を切ってますからね……何度も挑戦出来るとは言え、何百年も挑戦しても合格出来ない方はいます……」

 

「「「「「「「「「「0,1%!?」」」」」」」」」」

 

守護者と双夜の説明は、その場にいた全員の驚愕となる。

というか、あの【組織】が発行している資格云々は正規のそれとは大きく異なっていて、通常のそれ等とは難易度の設定がかなり強化されていた。

そもそも、【組織】が発行している資格とは基本知識的なモノではなく応用を中心としたより実践的なモノが多い。

なので、ペーパー試験だけでなく実技試験と戦場に出ての実践試験がある訳だ。更に、鬼畜な事にまだ試験中の素人を仮設現場に放置してその様子を観察する試験もある。

 

「超難関、超落の試験ですね……落ち捲りです(笑)」

 

「一万人参加で、10人合格すれば良い方。最悪、0の年もあるらしいから……」

 

「まあ、不老不死の我々には関係ないのですけどね」

 

「何度でもアタックして根性で合格出来ると言われてるヤツだし……ただし、不老不死限定で(笑)」

 

「えっと……貴方達、人間じゃ無いの?」

 

「「違うよ?」」

 

「僕とコイツ、それからそっちの双子は人外。翼と鉄は転生者で、すずかママは別の物語の登場人物。三人共、そこからこっちに来た子達ね。物語の題名は【魔法少女リリカルなのは】……で、この二人は転生被害にあった子達だね」

 

SAO組の疑問と不安を取り除く為にそこそこ詳しく説明する双夜。つい、先程まで《転生者》に苦しめられた彼女達からすれば、翼達の存在は不安の種となるだろう。

なので、ついでに《旧・神族》と《神殺し》の説明もしてしまうつもりなのだ。まあ、それが正しいのか間違っているのか判断するのは彼女達なんだけど。

 

「転生被害?転生に被害とかあるの?」

 

「転生は、転生でもこの子達の転生は《神様転生》。だから、特殊特典の他にペナルティ特典なんてモノが付いている。神様ってのは、そのペナルティ特典で苦しむ人間を見て笑うんだよ。なんたって、《神様転生》って神様の娯楽扱いになっているからねぇ……」

 

「………………娯楽!?何、それ……」

 

「私のペナルティ特典は、他人の幸せ。当人の不幸……ってヤツでね?私が不幸になれば成る程、周囲の人間が幸せになれるってペナルティ特典だったの。それが、親にバレて突き放されちゃったわ……」

 

「俺は、《迷い子》だな。言葉通り、迷子になるペナルティ特典だな。といっても、迷子というより一年中サバイバル生活してた様な気もする。気の休まる時間は……ほとんど無かった。自宅にすら辿り着けないし……」

 

遠い目をして、黄昏る二人を見て納得するSAO組。

そのペナルティ特典は、確かに《転生被害》と呼ぶに相応しいペナルティ特典だった。

 

「まあ、その娯楽っていうのは『嘘』で……とある者達が、経営している人間牧場の生産力。生きの良いDNAを手に入れる為に流したっていう話だ」

 

「「「「「人間牧場!?」」」」」

 

「あーんぁ。神様の中には、この世界にあるモノ全てが自分達の所有物認識のクズがいるって事だよ。そんな訳があるはずもないのに、未だにそんな勘違いをするクズが存在しているんだ。僕達、《神殺し》はそんなクズを間引くのが役割。で、異常な世界を正常な状態にする為、こうやって出向いているって訳さ……」

 

「まあ、人手が足りなさ過ぎて《時間転移》をフルで使っての干渉ですけどね。過去・現代・未来、入り乱れて改編中です」

 

「あーでも、それ等が真実なのか嘘なのかを判断するのは君達がしてね?何故なら、僕達が説明する事が本当かどうかなんて証明する方法はない。なので、嘘だと思うなら摘まみ出してくれて構わない」

 

「そうですね。摘まみ出された処で、我々のやるべき事は変わりませんし……何より、物語の登場人物に執着する事もないですから」

 

「僕は、やってるよ?執着……ね?『ママ』♪」

 

言って、双夜はすずかの手を握った。

見上げる双夜を、優しいく微笑み見下ろすすずか。

 

「貴方の場合、過去が特殊過ぎて問題外でしょう?」

 

「何だよー。特殊って……変な趣味がある訳じゃないぞ?」

 

「はははは。元人間で、実の両親に殺されかけた子供……でしたか?暗殺者を向けられたんでしたっけ?」

 

「返り討ちにしたけどな!下手に放置すると、優しくしてくれた人諸とも爆破されちゃうし……」

 

「爆破……宿泊施設でしたっけ?それで、殺す覚悟が決まったと聞きましたが……」

 

「そう、数千人の人が亡くなったって。あれは、堪えたなぁ……それ以来、向けられる暗殺者は殺してるよ?」

 

「ね?特殊でしょう?こんな方なので、行く先々の世界で『親』を作るんですよ。今回が、初めてらしいですが……」

 

「中々、そういう事を言ってくれる人はいなくて……」

 

苦笑いで誤魔化す様に答える双夜。

SAO組は、正直とんでも話にドン引きしつつ幼子である双夜を見やる。だけど、不老不死だとも言うし……味方とは思えるけれどまだ不安を抱えていた。

 

「じゃあ、あんた達はこの世界の転生者達をどうにかする為に来たって訳?」

 

「いや、僕達が介入や干渉をしているのは異端技術に対してかな?チートツールとか、別要素による世界の根幹へのアクセス権の排除の為だよ……」

 

「異端技術?世界の根幹???」

 

「異端技術ってのは、その名の通り……特殊な技術。例えば、レベルを改竄するツールとかステータスを弄るツールとかだね。世界の根幹ってのは、この世界を維持し支えている基礎部分の事だよ。あれを弄られると、世界を維持出来なくなって《外界》に押し出されちゃうんだ」

 

「そうなると、《旧・神族》の思惑通りになってしまうのでアクセス権を排除するんです。まあ、簡単に言うとチートツールの回収です」

 

「でもって、そのチートツールで発生した問題の排除かな?レベルが、二千万に至っちゃったドラゴン退治とか……」

 

「「「「「「「二千万!?」」」」」」」

 

世界の根幹がどうのこうのの話だったのに、サラッと言われた彼等の目的にSAO組全員が声を揃えて驚愕の声を上げた。やっぱり、彼女等でも二千万というレベルは聞き逃せるモノではなかったらしい。

 

「え?ちょっと、待ちなさいよ……レベル二千万って、そんなモンスターがこの世界にはいるっていうの!?」

 

「うん。何がしたかったのか、転生者達がチートツールでレベル999にして、こぞって突貫し虐殺されてレベルアップさせたドラゴンがいるんだよ……」

 

「えっと、待ってください。モンスターも、レベルアップするんですか?プレイヤーを倒して?」

 

今まで(ゲームでの)の常識を崩された彼女達は、慌てて再確認をする。だが、それ以上の事が現在進行形で行われていた。

 

「ゲームだったら、そうはならなかったんだろうけど……ここはもう、リアルだからね。ゲームでの常識は通用しないと考えた方が良い……」

 

「そんな……無茶苦茶な……」

 

「うん。だから、ちょっと注意点が……」

 

「注意点?」

 

「そのモンスターが、特定の場所に留まっているなんて事はないと考えた方が良いよ?」

 

「「「「「「「は!?」」」」」」」

 

「ゲームだったら、特定の場所から出られなかったかもだけど……ここは、ゲームじゃないから特定の場所に引っ込んでいる理由はないよね……?」

 

そう言いつつ、視線を反らしていく双夜。

SAO組は、それに対して絶句。モンスターが、一ヶ所に留まっていないと言われ真っ青になっていく。

 

「え、ええ!?え、そ、それじゃあ……外にいるの危なくないですか?」

 

シリカが、周囲を見回しながらリズベットに身を寄せて行く。流石に、そんなモンスターが出歩いていると言われてパニックにならない方がおかしい。

 

「あははは。ゲームでは、絶対安全圏だった町や村はむしろ危険だよ。目立つし、灯りで注意を引くしね……まあ、流石に塔の安全圏は大丈夫かもだけど……」

 

「ドラゴンブレスで、一撃だもんなぁ……」

 

「まあ、ドラゴンは夜行性だから……夜は、灯りを消してひっそりと隠れている事をオススメするよ……」

 

「「「「マジか!?」」」」

 

「「「「マジだ……」」」」

 

いつ何時、空から飛来したドラゴンが己の持つ攻撃手段を振るうかわかったモノではない。例え、それが振るわれたとしても防ぐ手立てはなく……放たれたが最後、全てを呑み込んで消滅するのが現状だろう。

 

「下手に気を引いて、上空からドラゴンブレスを吐かれたら瞬殺される事は間違いないから……」

 

「ドラゴンブレス……」

 

正に、空飛ぶ城塞兵器である。

 

真上からの攻撃に、耐えられる城塞があれば良いのだが……そもそも、想定されていない攻撃(ゲーム時代の)には耐えられないのが現実。このSAOだってそうだ。

見た目的には、人と人が戦う事を前提にした町の作りとなっていた。空からの攻撃なんて、丸っきり想定すらされていないだろう。しかも、守りの要であった《アンチクリミナルコード》は存在していない故に村・町の中でもNPCやプレイヤーに対する攻撃が可能になってしまっている。

そんな状況の中、超高ランクモンスターが攻めて来れば一溜まりもないと断言出来てしまうのだ。

 

「そう言えば、ALO奪還反抗作戦考えているんだって?まあ、反抗するのは構わないが……ドラゴンの気を引いて、上空からブレスで一薙ぎにされないように注意を促しておくべきでは?」

 

そう苦笑いで、双夜が注意を促すと慌てた様にリーファがオロオロし始めた。とは言え、モンスターに薙ぎ払われたところで誰かが死ぬ様な事はないので、何度でも薙ぎ払われてくれれば良いと《神殺し》達は……気楽に考えている。

そこへ、翼から奇妙な報告が上がってきた。

 

「そう言えば、最近幻痛に悩まされてる馬鹿達がいたわ……傷が無いのに、とても痛がるんですって。それは、どうなのかしら?」

 

「え?痛がるの?なんで?」

 

「医師が調べても、外傷が無くて……だから、幻の痛みと呼んでいるけど……それを見た感じ、そうじゃないみたいなのよ……」

 

「……幻痛。…………そう言えば、不思議に思う事が一つあったな。皆に聞きたいんだけど、攻撃を受けた時のダメージって……痛い?」

 

「そんなのは、当たり前でしょ?」

 

双夜の問いに、即答したのは翼。だが、双夜が聞きたかったのは《神殺し》側の意見では無かった。

 

「ああ、《僕達》側の意見は聞いてない。SAO組に聞いているんだ。で、どうなの?ダメージを受けると痛いの?」

 

「改めて聞かれると、ちょっと覚えてないかなぁ?」

 

「……そうだな。基本的に、そんな事を考えて戦わないからな。で?なんで、そんな事を聞くんだ?」

 

返答は、リーファとエギルがする。

他のSAO組は、様子見をしているのか沈黙を保っていた。

 

「いやぁ……もし、痛みを感じないのであれば『幻痛』の正体が説明出来たんだよ。まあ、今考えたモノなんだけどねぇ……例えば、仮説①痛みを感じない場合。幻痛の正体は、受けたダメージの後追い発覚。②痛みを感じている場合。蓄積された現実的痛みの振り返し。③どちらでもない場合。何かの病気だな……」

 

「①の後追い発覚って?」

 

気になったのか、今まで沈黙を保っていたアスナが疑問の声を上げる。流石に、省略し過ぎな言葉ではわからなかったらしい。

 

「その言葉通り、後から戦闘等で得た痛みを感じるんだよ。戦闘中は、痛みにうずくまる訳には行かないだろう?だから、脳がアドレナリン等を大量分泌して痛みを無かった事にしようとする。だけど、何かの拍子にそれが振り返して来て幻痛として当人を苦しめるんだよ。小難しい理論とかあるけど……講義は、また今度♪」

 

「おおぅ……それ、嫌だなぁ……」

 

「②……こっちは、腕や足を失った人が忘れた頃に失われたはずの腕に痛みを感じるっていうアレ。聞いた事は、あるだろう?脊椎反射って言うんだけど、背骨に蓄積された痛みの記憶が再生されているんじゃない?」

 

「ああ……確かに、聞いた事のある話だな……」

 

「で、③は脳神外科で診て貰って来なよ。あ、もう一つ可能を思い付いた……デスペナルティだ。世界が、リアル化しているけど何らかの形でデスペナが生じているって仮説……」

 

「割りと簡単に、ポンポン出て来たなぁ……」

 

【真実の瞳】とは別に、並行思考とIQ250の閃きと処理能力でサクサクと仮説を立てて行く双夜。他にも色々、検証が必要な事案があるが……《幻痛》という新たな事案についてはこんなモノだろう。何はともあれ、《幻痛》についての検証は後日に後回しにされる。

症状を発症している者を、直接見てみない事にはどんな仮説も役に立たないと言い出した。

 

「あ、後……これの意見も欲しいんですが……」

 

そこへ、鉄が思い出したかの様に『黒い獣』が落とす例の『???の欠片』が提示される。

それは、ほぼ完全に『ついで』で持ち出されたモノだ。

双夜は、それを摘まみ上げるとジィーと色んな角度から眺めてからその疑問を口にした。

 

「これ、どれくらいあるの?」

 

「えっと……調子にノッて数千個程集めたけど……」

 

「ふーん……」

 

双夜は、ニッコリ笑ってそれをテーブルの上に置くと、とんでもない切り返しをしてきた。

 

 

 

「 じ ゃ あ 、 1 0 万 個 集 め て く れ る か な ?」

 

 

 

 

 

 

 

 




はみ出しネタを殺るとするなら、しずかちゃんの声(前の)は外せない呪いですよね!!あ、違った。要素です要素!呪いじゃないよ(笑)。再現するなら、呪いになるってだけで(笑)
そして、また出て来た《幻痛(問題)》。
それと、黒歴史の追加です(笑)!!数千個じゃ、足らねぇーよ!せめて、最低でも10万個は欲しいとかとか言われてましたね(笑)。

そして!主人公が出てきました!!
これで、本編が!?と思った方々へ。
m(_ _)m ごめんなさい。
キリトは、休養の為しばらくお休みです☆(笑)。
まだ、始まりませんよ(笑)。

さて、ここからは【リリなの】がアレになったのでSAOとスイッチして話は進んで行くよ!たまーに、【リリなの】が挟まれるけど……メインが、スイッチしただけだから気にしないで!!はてさて、どうなる事やら(笑)。

脊髄反応に関しては、作者のうろ覚えネタなので……ツッコミをお待ちしております!!(超期待!!)

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
 
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
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