絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一七六話

双夜

 

 

「じゅっ……10万個…………」

 

「え……全然、足りないんですけど……」

 

第22階層、《森の家》でマッタリしていた俺は鉄と翼からアインクラッド攻略状況を聞いていた。

今は、俺の出した要望にそこそこ黒歴史だと思っていたらしい彼等は、それが全く足りてなかった事に愕然とした表情で棒立ちになっている。

棒立ちになっているところ悪いんだが、その10万個という数字も最低限の数字で……予備含む必要個数としては、最大100万個以上は確実に必要となる代物。

何に使われるモノかというと、武器・防具等の生産職の鍛治で形に出来る類いのモノだとしか読み取れなかった。

他は、それを組み込むのに使われた《神通力》や細々とした術式に関するモノや良くわからない数式の配列だったりする。ぶっちゃけ、面倒なので必要になるモノを集めて形にしてみないと何が出るかはわからなかった。

 

「何はともあれ、現状の擦り合わせからお願い出来るかな?神崎が言っていた、アインクラッド攻略状況も知りたいし……情報集めが、なんで攻略になってるのかも詳しく!」

 

「ひぃ!?」

 

チラリと鉄に視線を向けると、小さな悲鳴が聞こえた。

だけど、それで僕が許すはずもなく……お願いしていた事と、実際に行われていた攻略についてもしっかりとOHANASHIしないとね。

是非とも、納得出来る理由を説明して貰わないと容赦しないよ?

 

「あ、えっと……つ、翼……」

 

「ちょ、こっちに投げないでよ……え、えっと……い、良いじゃない!原作人物の最重要人物を助けられたんだから!ね?ねぇ!?」

 

「まあ、結果だけを見るなら判断的には間違いではなかったんだろうね。だからと言って、こちらの指示を無視して攻略に勤しむのは契約違反だよ。さーて、どんなペナルティが良いなかぁ……」

 

結果が良かったからと言って、こちらの指示に反する行為を許す訳にはいかない。ましてや、情報収集をお願いしたのにそれを無視して攻略を進めてるなんて違反も違反だ。

それで、まだこの世界の【理】に定着していないすじゅかママが死亡したりしたらどうするつもりだったのか……小一時間程問い詰めたい感情が沸き上がってくる。

 

「はあ……とりあえず、後二・三ヵ月はゆっくりしててよね。それでなくても、君達はこの世界とは異なる【理】の世界から来た異世界人だ。この世界の【理】に染まりきるまでは、無謀な行動は控えてくれないかな?」

 

「えっと……『染まりきってない』とは?どういう意味かしら?それに、《理》って?」

 

「君達は、【魔法少女】の世界からこのVRゲームを現実化させた世界に来たっていうのはわかるよね?じゃあ、そこには【魔法少女】の世界の《理》とVRゲー世界の《理》に大きな違いがある事は理解できるかい?」

 

「えっと……あー、リアルとゲームって違いですかね?」

 

翼の疑問に答えると、鉄が今一理解仕切れてない顔で形式的な返答を返してくる。これは、完全には理解してないけれど、ふんわりとした感覚でわかっているのだろうと思われた。

 

「うん。【魔法少女】とか【仮想現実】とか言ったけど、ちゃんとこちらの意図を汲んで返答しているね。まあ、ぶっちゃけた話。卵が先か、親鳥が先かの話だから……アレなんだけどね」

 

「アレ?いきなり、論点が跳んでった?」

 

「跳んでないよ。どちらも、君達からすると架空の物語が現実化したっていう認識だろうから……そういう論点になるって話なだけだ」

 

「はあ……?」

 

鉄は、何もわかってない顔で適当な相打ちを打つだけのモノと化す。説明した処で、理解出来るとも思わないので放置する事にして、背後にいる原作人物達の様子を伺う。

彼等は、不安気な表情で寝室のある方向を見詰めていた。

それだけ、俺が助けた《キリト》という人物の事を慕っていると思われる。

現状、《彼》の状態は肉体こそ問題ないけれど……精神の方は長期での休息を必要としていた。俺の治療魔法で、それを短縮してはいるけれどまだ危険である事に変わりはない。危険度としては、五段階評価でCに該当し……必要な治療としては、完全に時間治療という状況ではある。

だがしかし、それは《俺》という存在がいない事を前提にした場合のみで問題はない。

 

「大丈夫だよ。精神の治療魔法は、こちらの専売特許だし……僕も、ちゃんと資格を取ってるから……」

 

「人外治療。人間の精神を治療できる魔法があるなんて……ねぇ?」

 

「鉄ェ……不安を煽る事言わない。一応、数万年の実績がある魔法を使っているんだ。魔法文明からしたら、確立した魔法なんだよ?最悪、死者蘇生魔法だってあるんだから……再生魔法とか、魂の補完魔法とかも持ってるし……」

 

「「「もっと、不安になる事を言わない(で)!!!」」」

 

「にゃははは。とりあえず、後は時間が掛かるだけだから。僕は、ストレス発散に行ってくるよ(笑)」

 

椅子から立ち上がり、ジリジリと玄関の方へ進んで行く。

早く……早く、魔物退治に勤しみたい気持ちを抑えつつ翼達の報告会の終了を願っていた。ストレス発散させろ!!

 

「ストレス発散って……現状報告は聞かないの?」

 

「あー……まずは、それが先かぁ……面倒にゃの……」

 

という訳で、ストレス発散は棚上げして現状報告を受ける事に。大きな溜め息を吐き出し、俺は更に詳しい現状報告を聞く体制を取る。

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

結論だけ言おう。

状況的には、色々と問題が次から次に出て来て中々ややっこしい事になっていた。わからないモノについては、こちらにいる間に確認するとして……進行状況については、納得出来る理由だったのでそこに文句は言わない。

 

「僕も家が欲しい……」

 

「なんでやねん!」

 

だから、俺はまず『家』が欲しい事を伝えた。

鉄のツッコミは、適当にスルーしながら今後の予定を立てて行く。

基本的に鉄の話は、【組織】で得た情報以上にアニメ内容を中心に据えたその考察は俺に取って斬新なモノで、俺の興味を尽きさせないモノだった。

ただ、神崎がこの場に居ないのが痛かったけど……それなりには物語を知っている鉄が居るのである程度は問題ない。

そもそも、『SAO』と呼ばれる物語事態がVRゲー(自由度の高いゲーム)を題材にしたモノなのにそれを更に自由にしているからかなりの隙がある事がわかった。

それを神様特典で、現実化させた結果が……様々な要素を組み込まれ、世界観はそのままに別物語の人材をこれでもかっ!?という程突っ込まれたのがこの世界の現状だ。

なまじ、自由度が高いが故にその隙だらけな状態を突いた別要素の突っ込みが超呆れるレベルである。

まあ、これまでの自由度が低いゲームとの差別化を狙ったのだろうけど……もう少し、隙のないゲームにすればこんな事には成らなかったはすだ。

例えば、拠点から拠点への移動を基本的に迷宮系の道にするとか……ある程度の自由を犠牲にして、特定の方向性を持たせた自由度を演出するとか……そんな風にして欲しかった。もう、遅いけれど……もし、制作者が見付かったなら文句の一つでも言わないと気が済まない。

 

「だって、持ち家だよ?何処でも好きに購入出来るんだよ?住んでるNPC追い出して住めるか確認したいじゃん!」

 

「録でもない理由だった……じゃなくて、それは駄目だろう!?NPCが、可愛そうじゃないか!」

 

俺の検証目的に、鉄が呆れた顔をして反論する。

だが、何処にどんな異端技術が隠れているかわからないこの状況でNPC可哀想なんて言ってられない。

そこはもう、心を鬼にして検証するべきである。

 

「まあ、冗談はさておき……家が欲しい!!」

 

言葉を濁しつつ、決して明言しない俺。

その上で、己の欲望を宣言して行く。

 

「秘密基地があるでしょ!?」

 

「うっさい!僕は、家を手に入れるんだ!そろそろ、一階層からフロアボスが復活するんだろう?なら、一気に駆け抜けて資金を集めるのが効率的じゃないか!!」

 

「今、次々出てる問題はどうするのよ?」

 

「そっちは、“視れ”ばわかるから後で確認するよ。今は、モモちゃんによって強化されたストレスを発散させるのが先だ。どうせ、直ぐに終わるからパパッと行ってくるよ!」

 

「「「……………………」」」

 

そう言うと、何故か翼達は微妙な顔付きになって沈黙する。いや、その気持ちはわからないでもない。自業自得だったとしても……スッパっと発散出来る方法が、目の前にあるのにそれをしない方がフラストレーションになる。

 

「じゃあ、ちょこっと遊んでくるからALOで落ち合おう。そうだな……アルンだっけ?あそこで良いよね?」

 

それだけ言い残して、俺は《森の家》を後にする。

翼達の返答は、聞いていない。それよりも俺は、まずこの胸の奥にあるモヤモヤを晴らしたかった。

『ヒャッホー!』と、そこから飛び出すと一目散に転移門広場なる場所へ【真実の瞳】を駆使して駆け出し、アインクラッド第一階層へとジャンプする。

そして、この世界で拾った【錆びた剣】を空間の間から取り出してフィールドへ。そこからは、早かった。

現れる敵を、バッサバッサと切り伏せて勢いそのままに始まりの町から階層を繋ぐ塔へと突撃する。立ち塞がる敵は、すれ違い様に首チョンパで駆け抜け……あっという間にフロアボスの部屋に到達。『ヨッコイショ』と、ボスの部屋への扉を開けて中央へ進み出て現れた豚?犬?と対峙した。ピョンピョンと跳び跳ねて、向かってくるソイツの両腕と両足……それと、尻尾を切り捨てて達磨化させる。

地面に転がって、取り巻きをけし掛けるしか能の無くなったボスをチクチクといたぶりつつ倒す。

最後は、恐怖に彩られた表情でボスは息を引き取った。

それを、見下しながら消えて行くのを眺めていたよ?

思う事は、彼等の様なモンスターと呼ばれる存在の提議。

ある意味、彼等は哀れな存在である。何故なら、コイツ等は倒される為にここに存在しているからだ。

それが、倒されたからって誰も悲しむ者はいないけど。

それでも、何度も何度もこのフロアにリポップして倒され続けるその姿は哀愁を漂わせていた。

見届けた後は、次の階層への階段を駆け登り牛共とモーモーパニックで戯れつつ、録な肉がドロップしない事に辟易して八つ当たり気味に階層を爆走する。

何だかんだで、サクサクッとボスフロアに辿り着き、八つ当たり気分そのままにボス①②③を屠った。

 

「…………腰ミノ?って、誰得?」

 

ドロップしたラストアタックアイテムに、適当なツッコミを入れてボスフロアを後にする。

階段を登り切ると、そこは見渡す限りの渓谷だった。

ヒャッホー!と俺は、水の上を走って移動を開始。モンスターが、ポップしないのを良い事に駆け抜けて行く。

例え、ポップしたとしてもモンスターは水の中。

水面を走る俺に取っては、居ないのも同然の話だった。

ヒャッハーしていると、湖に浮かぶ様に造られた城を発見する。だけど、立ち寄る事なく湖面をUターンして正規ルートへ。グングン加速して、うっかり階層を繋ぐ塔へと激突した。しかーし、激突して負けるなんて俺の辞書にはないのでそのまま迷宮に突撃。スレ違うモンスターを首チョンパで倒しつつ、情けも容赦もないままボスのいる部屋に到達。トレント系のボスを、バラバラに切り刻んで燃やして階段を駆け登ったーーーって、そんな感じで階層攻略をこなして20階層辺りから約束のALOへと向かった。

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

ALOのアルンに着いて、まず思ったのは人(妖精)ーーSAOの原作系人物ーーが多いなぁっていうのと、雰囲気がかなりピリピリしているなぁっていう事だった。

きっと、彼等がALOを取り戻そうとしている解放軍の猛者達なのだろうと当たりを付ける。それだけ、転生者に支配された町や村が多いって事なんだろうけど……全く、録でもない事しかしないんだな転生者等は。

チラチラとした視線を感じながら、俺はその辺を歩いていた者に話を聞いて情報集めをする。それで、俺がNPCで無い事がわかったのか数人から話し掛けられる事となった。

どうやら、迷子かと思われていたらしい。こんな状況下で、他人を思いやれる彼等にお礼を言って散策を再開させた。

適当にアルン内を散策していると、原作系人物達から転生者達が集まっているっていう区画があるという情報を得たので覗いてみる事にする。

すると、とある建物に集まっている転生者達を見付けた。

入り口近くにいた者達を押し退けて、中に入ると奥の方で一心不乱に何かをしている転生者達を見付ける。異様な雰囲気の中、椅子に座って机に向かい何か一生懸命にしている彼等を不思議に思いその手元を覗き見ると……そこには、書きかけの女の子の絵があった。

 

「何これ……」

 

「教典だ!」

 

「教典?」

 

「話し掛けるな。集中出来なーーうわっ!?」

 

怒った様に絵を描いていた転生者が振り返り、俺を見た瞬間に椅子から立ち上がって悲鳴の様な声を上げる。

 

「ん?」

 

気が付けば、周囲にいたはずの転生者達も俺から一定の距離を開けて下がっていた。何となく、一歩踏み出すと同じ様に転生者達が一歩退く。

 

「フムフム…………召喚!ハプシエル!!」

 

『『『ぎゃああああぁぁぁ!!!!!!』』』

 

転生者達は、俺が発したその言葉に反応して爆発したかの様にその場から逃げ出して行く。まあ、呼んでないのでハプシエルは出て来ないんだけど……そんな事は関係ないとばかりに、我先に逃げ様と入り口に殺到していた。

 

「冗談なんだけどなぁ……で?何してるの?」

 

「え?え?え?あ……き、教典を作ってます!」

 

最初、大混乱状態で困惑していた彼は周囲を見回して何とか落ち着きを取り戻した後、ビシッと直立不動で敬礼するとそんな事を言ってきた。

個人差はあるみたいだけど、状況確認が出来る奴はいるらしい。運良く、俺はそれが出来る奴に声を掛けられた様なので、阿鼻叫喚状態の馬鹿共は放っておいて情報収集に励む。

 

「教典って何?」

 

「えっと……何だコレ?どういう状況?つーか、教典は教典ですが……」

 

「絵が教典なの?」

 

「あ?あー……そういう事か。じゃなくて、《同人誌》文化を広め様としているだけです!」

 

「同人誌?」

 

「同人誌とはですね……普通の発表の舞台に恵まれない新人が、ここを文学精進の「知ってるよ!」すいません!!」

 

「そうじゃなくて、僕は《教典》ってのがなんなのかを知りたいの。提議じゃなくて、君が作ろうとしてたヤツね!」

 

「あ、はい。これは、我々の心の支えであります!!」

 

いつの間にか、俺達の様子を伺っていた他の絵師?達がただ質問責めをしているだけの俺を見て安全だと判断したらしく教典作りを再開させていた。

 

「えっと。心の支えって……ハーレム作るんじゃなかったのか?NPC奴隷で、ウハウハしてるって聞いたんだけど……」

 

『『『ぬぁんだぁとおおおぉぉぉ!!!???』』』

 

そう言った瞬間、我先に逃げ様としていた転生者達含む全員が振り返りこちらへと詰め寄ってくる。その上、怒りの怒声を上げて血の涙を流し、口々に『ハプシエル拷問』や『惚れ薬BL拷問』等の地獄を語り出す。

 

『俺達が、あんな目に遇っていたというのに他の転生者はそんなうら……外道な行為を!?許せん!!』

 

『クソッ!クソッ!クソッ!女性恐怖症さえ患っていなければ……ウハウハな毎日を過ごせたというのにっ!!!』

 

また、ある者達はorzな状態で女性恐怖症になったと嘆いていた。ってか、なんでそんな事になっているのかがわからないんですけど。話を聞いてみると、嘆いていた誰もが現実の女が恐いとか言っていて……最早、チート無双とか原作人物ブランドハーレムとかどうでも良くなっちゃったらしい。

その代わりに、二次元の世界に希望を見出だして二次元モノでウハウハする予定なんだそうだ。

その内、俺が話し掛けていた絵師の絵が完成したらしく、出来上がったモノを見せてくれる。その上で、妄想がいかに素晴らしいモノなのかを説法されるのだった。

 

曰く、決して裏切る事のない萌え萌え女子だとか。

 

曰く、自分好みの女性を考えるのが最高なんだとか。

 

曰く、体型ですら望み通りに出来るとかとか。

 

「そう!二次元系のエロ本こそが、我々の心の支え!!エロ本最高ー!!!」

 

『『『エロ本最高!!!』』』

 

「エロ本こそが、我等の心の支えだ!!」

 

『『『同好の志よっ!!!』』』

 

「……………………」

 

もう、完全な負け犬発言に……意図して殺ったとはいえ、罪悪感を感じずにはいられなかった。見た目、リア充な彼等が二次元しか愛せなくなったのは俺が行ったアレが関わっているのは明白である。思惑通りとは言え、狂ったかのような目で訴え掛けられては罪悪感が鰻登りだ。

 

「じゃあ、原作ヒロインはどうするの?」

 

『……………………』

 

全員の視線が、一旦俺に集まったけれど直ぐに反らされて行く。まるで、その事を考えない様にしているかの様だ。

なので、ちょこっと爆弾を投下してみる事にした。

 

「結城明日奈さん。桐ケ谷和人くんに、転生者が憑依して《調教》とかしてたけど……放置で良いの?」

 

『『『ぬぁにぃいぃぃぃ!?』』』

 

それを聞いた瞬間、転生者のいる区画全体が揺れた。

それはもう、鼓膜が破れてしまうのではと心配になる程の音量が大気を……建物を震わせる様にぶつかる。

 

「何処だ!?憑依されたキリトは!?」

 

「助けに行かなきゃ!!俺達の心の平穏の為に!!」

 

「クソッ!クソッ!うら……いやいや、そんな非道な事許されると思っているのか!?」

 

「クズめ、クズめ、クズめ、クズめ!クズめ!クズめ!」

 

「うぉらあ!野郎共、出陣だ!!倉を開けろっ!!」

 

「任せろ!《ゲート・オブ・バビロン》を開けてやる!」

 

「俺の能力で、甘~い甘い《不幸》という名の蜜に沈めてやんよ!覚悟しやがれ!!」

 

『『『リア充許すまじ!俺達と同じ地獄に引き込んでやるっ!!…………くぁっ!?あ、頭が…………』』』

 

ちょっとした、嫌がらせのつもりだったんだけど……何やら大騒ぎをし始めた負け犬転生者達。

だが、最終的に自ら自滅の道へと突き進んで沈んだ。

 

「安心して。既に、僕が断罪を下したから。そして、これが……その憑依転生者だ!」

 

そう言って、半分首が千切れ掛けたヌイグルミ(生け贄)を彼等の目の前に差し出した。【組織】オリジナルの臓物シリーズ、『半千切れ首カバ』である。首が千切れかけた上に、腸が飛び出しているカバのヌイグルミだ。

 

『『『ひぃ!?』』』

 

『ぞ、臓物アニ○ルだと!?』

 

「憑依転生者だったからな。肉体なんて用意できないし……なので、アイン○ベルン御用達の転写魔術でヌイグルミの中に魂を移してみた♪」

 

『……………………』

 

沈黙する一部の転生者達。

 

『……oh…………』

 

沈黙する者達の背後で、目元を覆いヘナヘナとヘタリ込む転生者達。それぞれの反応を見せてから、彼等は俺の非道な行為をこう称した。

 

『ギルティ!!!』←

 

「え?みんなも、ヌイグルミに成りたい?」

 

『『『流石です。双夜さん(チビッ子)!こ、こんな画期的なお仕置き方法があるなんて……そこに、痺れて憧れます!!』』』

 

ほぼ、完全なシンクロ率で手を胸前でパン!と合わせるとモミモミしつつ中腰でこちらの手腕を讃えに来るクズ共。

調子の良い奴等め。それと同時に仲良いな……等と思いつつ、その賛辞をスルーして馬鹿共に『半千切れカバ』を手渡した。それを受け取った転生者は、『半千切れカバ』をしばらく見下ろし妙な事を言い出す。

 

「これ、別に千切ってしまっても構わんのだろう?」

 

何やら不敵な笑みを浮かべて、ネタ臭い事を言い出した。

別段、その事に何も不具合なんて無かったので問題ないという事を伝えておく。

この世界では、それが普通の事らしいからな。

 

「踏み潰しても、君達と同じ様にリメインライトになって復活広間で生き返るだけだから良いんじゃない?」

 

『『『ファ!?生き返るの!?』』』

 

「その方が、裁縫するより面倒がなくて楽だろう?」

 

『『『デスヨネー……』』』

 

「じゃ、この新人をよろしくね?ほら、自己紹介しろ……」

 

『…………え、えっと……おれは……』

 

俺に促されて、《調教》された憑依転生者はボソボソと自己紹介を始める。

 

『『『うおっ!?しずかちゃん(前任者)の声だ!!』』』

 

『さ、流石ぁ~!わかっていらっしゃる!!』

 

その声を聞いたとたん、恐怖に色取られた転生者達から俺を讃える賛辞が飛んで来る。別に持ち上げなくても、魂をヌイグルミに移したりなんてしないっていうのに次々と賞賛と賛辞の言葉が向けられた。

まあ、誰だって臓物シリーズのヌイグルミに移りたくはないだろうし……強制的に己の知る声優声になんてされたくはない。出来るだけ、術者の御機嫌を取って避けようとするのは必然であった。

 

「それと、戦う神様特典なんていらないって子達に朗報だ!僕の権限で、神様特典を対価に等価交換を望むのなら職人技術特典をプレゼント!!二次元モノ(絵)を描くスキルをLvMAXで交換するよ?」

 

ついでだったので、もう一つの懸念事項を取り除いておこうと考えた。二次元に希望をみい出したいのであるなら、下手くそな絵柄よりかは自身のイメージ通りの絵柄の方が良いだろうと思ったからだ。まあ、一番の理由は現実の女性に希望をみい出せなくなった彼等への同情の念と、それを強制した俺の罪悪感によるモノ。そうとは知らない彼等は、その提案に即行で飛び付いて来た。

 

『『『マジで!?』』』

 

そんな訳で、それを求める絵師達に特典のメリットデメリットを説明した上で、神様特典との交換を希望した者達のみに職人技術系の特典を贈呈した。その結果がこちら。

 

「おお……おおっ!スゲー!!思い通りに筆が進むっ!!」

 

「うおっ!?マジか!マジなのか!?こんなふつくしい絵を俺が……マジか。マジかぁ!!」

 

自分が描いた絵を片手に、絵師達が次々と大喜びしている。それは、絵師だけでなく教典を求めて来ていた転生者達も大喜びだった。やっぱり、素人が描いたお世辞にも上手いとは言えない絵より誰が見ても上手いと思える絵の方が良い。

 

「じゃ、僕はレベル二千万のドラゴンを退治する旅に出掛けるからマッタリと楽しんでくれ。ああ、そうそう……もし、この中にそのドラゴンの情報を持っている者がいるなら情報提供お願いしても良いかな?」

 

 

 

 

 




①異世界転移モノで、魔王を倒すのではなく欲深い王が世界征服をたくらんだ系の奴で……双夜達、《神殺し》が当たった(くじ引き?)場合、目も当てられない。
「じゃ、この国以外が滅べば良いんだね?」
とか言って、それ以外の国を……人を嬉々として皆殺しにする奴等が思い浮かぶ。土地は手に入っても、それを開拓する人材が圧倒的に足りない!!その内、ドラゴンの尻尾を踏んで召喚した国も滅びそうだ……。
↑が、双夜でなくて【鮮血の】であっても同じ。
奴等は、自分を利用しようと近づく者には容赦なし。

②同じく、異世界転移モノで。
『DOG DAY'S』とか、『ゼロの使い魔』の場合……第三者として《神殺し》は派遣します。当事者にはしない。あくまで第三者として物語を引っ掻き回します(笑)。
特に、『DOG DAY'S』なんかは間違いなく敵味方関係なく討ち取りに行って大騒ぎにするでしょうね(笑)。ええ、それはもう広範囲攻撃(魔法)でブチ撒けろ!状態です(笑)。

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