絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
Re:
俺は、旅立って行く翼達に手を振り見送っていた。
結局、選別されたのは翼含む原作の四人と名も無きウンディーネ(♀)二人の計七人。前衛に、カゲムネと呼ばれた槍使いのサラマンダーとユージーン将軍。それから、主人公パーティーからクラインとリーファ。後は、回復担当である……鉄曰く、モブ系手練れウンディーネの女性達。
彼等が、スプリガン領の状況を確認する為に結成されたチームである。そのついでに、周囲の村街情報も集めて来てくれるとのこと。
そっちは、フレールくんが担当すると言ったんだけど明確なコミュ系情報が得られないからと断られてしまった。
確かに、フレールくんから流れてくる情報は抽象的なモノや噂程度のモノが多いが……【真実の瞳】を持つ俺には関係がない。だがしかし、彼等からすると意味不明の情報である。コミュニケーションで、やり取りされる情報は得られないけど噂や盗み聞きでも信憑性の高い情報を得られるので問題はないハズだった。
しかし、ユージーン将軍達はスプリガン領の首都が消し飛ぶ前後の正確な情報を得る為に現地に行って情報を集める必要があると主張。特定ーースプリガン領の首都が消し飛ぶ前後の情報ーーの情報は、人との会話とやり取りで得るモノだと言い切られてしまったのである。
「ま、僕は僕のやるべき事をやるだけなんだけどね……」
そう言って、彼等を送り出した後は世界樹に登って結界術式を展開する投影術式の続きを書き(下書き)始めた。
最初の始点を決めて、歪曲する幹に合わせるのではなく一定の距離を置いて術式を描いて行く。当然の事ながら、世界樹の表面は凸凹しているので、それに合わせずに術式を書き込むと歪な魔法陣に成り果ててしまう。なので、同率の魔法陣とは別の投影式の魔法陣を書き込むのだ。
これを刻むに当たって、気を付けなければならないのは刻み込まれた術式の大きさ。それによっては、先に述べた通りの歪な魔法陣になってしまう。要は、展開された投影式の術式が綺麗に繋がる様に正確かつ適切な位置を計算して刻んでいく面倒な作業である。
遠目に見れば、巨大な魔法陣。されど、近くから見ると歪な曲線にしか見えないなんて事にも成りかねない。
なので、世界樹の幹に刻む術式の位置は何度も何度も繰り返し計測しては下書きして再度位置の確認をして調整しつつ刻んでいくモノとなる。
「……………………」
永遠かと思える作業を黙々と続ける。
しかし、その作業は時として精神を蝕んでくるので……たまに、休憩と称してはすじゅかママの元へ行きその大きな母性にダイブしてモフモフさせて貰う。
希に、ピナをシリカちゃんに借りて癒しを堪能している。
ただピナをモフる間、シリカちゃんが恨めしそうに俺を見詰めてくるのだけはいただけなかった。そんなに自分もモフりたいなら、人目を気にせずモフれば良いのに……彼女は、周囲の目を気にしているらしくモフモフしない。
頭を撫でたり、抱き抱えたりするだけで俺のように顔をピナのお腹に埋めたりはしないのである。
「……………………」
「……………………」
「……モフる?」
「しません!」
これである。周囲の人達は、このやり取りを見て苦笑い。
一部、こちらを指差し腹を抱えて大笑いしている奴等もいるけど気にしない。まあ、中には『お、俺も……』とモフモフを望む奴もいるけど……至って平和だ。
その時は、すじゅかママに抱き上げて貰って母性を堪能している姿を見せ付ける。
一度、暴動になりかけたけど。
止めないよ?ピナを貸し出しているんだから諦めて(笑)!
まあ、俺が言う事じゃ無いんだけどさ。
そして、また気の遠くなる作業である。
数日前。当初、順調に思えた結界術式刻み込み作業だったが……途中、どうしても書き込めない場所があって最初っからやり直しをする事になった。そこで、先に術式を刻む場所を決めてからの作業に変更。刻み込めなさそうな場所が、術式を刻む場所にならない様に場所取りを始める。
「最初から、場所取りをやれば良かったのでは?」
「世界樹を見上げた感じでは、問題なく書き込めそうだったので省略しただけだよ。サクサク進められるなら、そっちの方が早く終われると思ったんだよ!」
守護者がブツブツ文句を言うので、鬱陶しくなった俺は反論しつつ作業を続行。
全く、五月蝿いなぁ……静かに作業しろよ。
後で、掲示板に文句をツラツラ書き込んでやる。
みんな纏めて、鬱れば良いんだ。もしくは、凍真にメールでも送って弄ってやる。掲示板に顔出ししたって事は、オフ会にも参加しただろうからオークの睾丸を食って一晩中苦しんだのではないだろうか?
「……………………」
それか、食われたか……。
あの巻き込まれ体質だ、ほぼ間違いなく最強の女剣士にDTを食われただろう。ストレートに聞いた処で、素直に答えるハズもないから『食われたんだって?』とても書いときゃ自爆してくれるに違いない。
俺の時は、即時報復に走ったから黒い悪魔で阿鼻叫喚の大騒ぎに発展したけど……奴の場合、ゲテモノ料理に悲鳴を上げて女剣士に食われるだけの草食系と成り下がったと思われる。奴等は濃い上に肉食系オンリーだから、凍真みたいな草食系では呑み込まれて流されるだけのオチに成りかねない。
まあ、放り込んだのは《魔導兵器》で俺じゃないーー罪悪感が湧かないーーから良いけど、当事者共は今どんな気持ちなんだろうねぇ?
作業さえ無ければ、迷惑メールを大量に送り付けてやるのに……《魔導兵器》には、高額18禁サイトを無料と偽って(笑)。凍真には、女剣士に食われちゃったの?をメインに草食系と嫌がらせ的なメールを沢山(笑)。
「楽しいだろうなぁ……」
単純作業を繰り返しつつ、そんな妄想に囚われた俺は段々悪戯をしたくなってしまう。チラッと、守護者に目を向けるが……協力してくれている手前、彼には悪戯を仕掛けられない。なら、後は……世界樹の麓、アルンに視線を向けた。
「……………………」
「……………………」
「悪戯、したいんですが……」
「……後にしてください」
「今、殺りたいんですけど!」
「……………………」
何言ってんだコイツ?的な視線を受けて尚、俺は思い付いてしまったそれを殺りたくて仕様がなくなる。
「こちらに、向けないと言うなら問題ないですよ……」
「OK。フレールくん!カァァァームヒーーィアッ!!」
召喚用の魔法陣が出現し、そこからこの世界に連れて来られていたなけなしのフレールくん達が召喚される。そのフレールくん達に、とある指示を出すと『きゅ!きゅ!』と言いながら分裂の逆再生が始まり……フレールくんは、一匹の巨大なフレールくんへと変化。そして、ヌイグルミだったフレールくんはリアルドラゴンへと姿を変えた。
「じゃ、フレールくん!アルンを強襲して、『ガオー』って棒読みで良いから叫んできて(笑)」
『ガオー!』
「そうそう♪ その調子で!」
俺から、OKを貰ったフレールくんはニコニコ笑顔で『ピョーン』と何時もの手の平サイズ認識で飛び出して行く。
だが実際は、翼を広げれば100メートル級のドラゴンと同等の巨体と化しているので……翼を折り畳んで、『ピョーン』をしたフレールくんは風切り音を放ちながら加速して行った。重さも通常と違うから、ドンドン勢いが付いていって……そのまま、街の中央に降り立てば確実にアルンを廃墟へと変えてしまいかねない。そう、判断した俺は重力制御魔法を使ってフレールくんの体重を100分の1に変化させる。そのついでに、フレールくんの体を180度反転。アルン入り口付近へと、降り立たせた。
超重量級のフレールくんが、ズシンと地響きを発てつつアルン入り口を占拠する。
ーーと、そこで……俺はある事に気が付いた。
フレールくんは普段、《空気に融け姿を消し》諜報活動を行っているタイプの使い魔である。それは、一方的に対象を見続けるだけの簡単なお仕事な訳だが……それには、ちゃんとした訳があった。フレールくんは、普通の使い魔に比べて臆病で若干上がり症なのである。
そんな気質の持ち主が、たくさんの人々が集まる場所で姿を晒し、注目を浴びる中で冷静な行動が取れるかと言うとーーー可能性はゼロに等しい。
そんな、臆病で上がり症なフレールくんがそんな状況に陥った場合……考えるまでもなく何れかの行動を取る。
囁く程度の小さな声か……開き直った時みたいに全力の声を出す。
そして、フレールくんは後者だった。
――Gaooooooooohhhhhh!!!!!!!
『『『『『ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』』』』』
『『『『『ひいぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!』』』』』
『『『『『ぅわあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』』』』』
結果。世界樹の麓、アルンは蜂の巣をつついた彼の様な大騒ぎになってしまった。現れたドラゴン?に、気が付いた者から悲鳴を上げて走り回っている。転んで、這いずって逃げ惑う姿が世界樹の側面から良く見えた。
「……………………」
「……………………」
「これ、どう収拾を付けるつもりですか?」
「えー……あー……もち、放置で♡」←鬼
そんなん、フレールくんにお任せするに決まっているじゃないか。そもそも、俺は可愛く『ガオー♪』って言って来いと言っただけなんだから……責められるべきは、命令と違う事をしたフレールくんが悪い。
なので、ここは心を鬼にして放置するのが正解だ。
「大騒ぎですよ。良いんですか?」
「ーー良し!フレールくん、そのまま適当に攻撃開始だ!被害は出来るだけ抑えて!んで、適当に殺られたら撤退してしまえ!」←ガチ鬼
サックリ、方針転換した俺は転生者&SAO組のドラゴン耐性を得とくさせる為と言い訳をして放置する事にした。
いつかは、彼等全員が通る道だ。ボス戦にしろ、何にしろ恐怖耐性や痛覚耐性は必要不可欠。
なら、安全が約束されている“今”が一番重要だろう。
「……というか……戦闘になるんですか?」
「大丈夫だよ!戦闘経験のあるSAO組がいるんだ。それに、何時かは通る道だろう?練習、練習!!」
言い訳は用意された。後でクレームが来ても、今の言い訳と『来るとわかっている強襲では訓練にならない』という二重の言い訳で押し通そう。今、そう決めた。
安全は約束されているし、それ程大きな被害は出ないだろうから不平不満は出るだろうけど……それは、問題外だ。
検証班から、攻略組が出る可能性だってある訳なんだし……今から慣れて貰らわなければこの世界では生きてけない。
そう考えれば、この機会は逃すべきではないはずだ。
「これは、そう!試練なんだよ!!例え、失敗から生じた事柄でも活用出来ればなんでもOKだ!!」
「…………まあ、そうなんですが……後で、クレームが上がって来たりしませんかね?」
「はっ!来るとわかっている襲撃なんて、なんの価値もないだろう?心構えが出来ちゃってる戦闘よりも、心構えが出来てない“今”を突かないで耐性なんて生まれないよ!」
「…………悪戯だったのでは無いのですか?」
「悪戯でも、経験を得られるなら何でも有りだ!!」
「…………ふぅ……その頭脳を、もっと別の事に使ってくれれば『問題児』等と言われる事はないでしょうに……」
「にゃははは。『問題児』!誉め言葉だね!!」
そう吐き捨てて、俺達は麓の様子を伺いつつ結界の術式を世界樹に書き続ける。最終的に、フレールくんが追い払われる形で戦闘は終了し、俺達が麓に戻る頃には戦闘後の後片付けを転生者組が率先して行っていた。
そして、帰ってきた俺を見るなりその場にいた転生者全員が詰め寄って来て文句を言い始める。
「おい!お前、こんな大事な時にどこ行ってたんだよ!」
『『『そうだ!そうだ!!』』』
「ドラゴンが襲って来て、大変だったんだぞ!?」
『『『そうだ!そうだ!!』』』
「俺達で、撃退したから良いものを……」
『『『そうだ!そうだ!!』』』
「ここが、壊されていたらどうするつもりだったんだ!?」
『『『そうだ!そうだ!!』』』
不平不満が爆発しているらしく、言いたい放題な転生者達。だが、悪戯から始まった事だとはいえ……その不満は、不当なモノだという事はわかっているだろう。
なので、アレが仕込みだったという事をバラす。
「ああ、そのドラゴンだけど……僕が用意した奴だよ?」
『『『ファ!?』』』
想定していなかったのか、詰め寄っていた転生者達は口をあんぐりと開けてすっとんきょうな声を上げた。
そして、直ぐに困惑の表情を浮かべてザワ付き始める。
「な、なんで……」
「なんでって、訓練に決まってるじゃないか……」
『『『く、訓練……』』』
虚を突かれた様な反応に、少しだけ悪戯心がヒョッコリ顔を出す。だけど、今は我慢の時。
何とか、抑え込んで飄々とした態度を続ける。
「だったら、何で前もって教えて……」
「前もって教えたら、訓練にならないじゃないか。来るってわかってる強襲なんて、強襲じゃねぇよ。一応、安全マージンは取ってあったんだから良いだろう?」
世界樹の上で、決めていた定期文を繰り返し告げる事で不平不満を声高に叫ぶ馬鹿共を押し黙らせて通した。
「じゃあ、最後にこれだけは答えろよ。お前、今までどこで何してやがったんだ!?」
「ドラゴン避けの結界を世界樹に刻んでた。正確には、その結界術式の下書きをやっていた訳だけど……これが、気の遠くなる作業でねぇ……面倒この上ないけど、やらないとここが消し飛ぶ恐れがあるし……でも、順調だったはずなのに亀裂やら穴が開いてて術式刻めないってどういう事!?最初から、やり直しで位置取りを繰り返し繰り返し……」
『おぉう……』
ブツブツとネガティブモードへと移項したら、転生者達はドン引き状態で一歩後ずさった。
「てか、僕……この世界に来てから、働き通しなんだけど……誰か、変わってくんない?暇、してるんだよね?」
『さて、瓦礫の撤去始めようか!』
『日が暮れる前に、ある程度は片付けちまわないと……』
『行くぞ!野郎共!!』
『『『おうっ!!』』』
手の平を返した転生者達は、そそくさとその場から去り作業に戻って行ってしまった。
「……………………」
さて、次はSAO組の説得だ。
案外、転生者よりかは早く済むかも知れないが……とは言え、人間の反応というのは予想が付きにくくてわからないので油断なく行こう。
……………………
……………………
……………………。
と……思っていたのだけど、そんな必要はありませんでした。SAO組とは、二・三会話しただけで終了。
ドラゴンには驚いたけど、理由を聞けば納得したので問題ないとのことだった。
もし、彼等に不平不満を言わせたなら……ドラゴンなんぞよりも、転生者によるこの世界への理不尽な強制召喚の方が上がって来るだろう。それは、原作主要人物達から聞いているのでわかり切った話である。彼等からしてみれば、誰が原作組を召喚する特典を願ったのかとかが不明過ぎる点とかが最も強い不満だと考えられた。
不特定多数の転生者が、知らぬ所で己達に劣情を抱きそれを解消する為だけにここへ連れて来た訳だから余計に不満は募る。しかも、主要人物ではないけど世界を円滑に運営する為に呼ばれたと知った時の彼等(モブプレイヤー)の反応は大小はあれど酷いモノだった。
その際、SAO組が二つに別れて対立しそうになったのだけれど……そこは、モブ以下の存在である俺(神殺し)の話や主人公ですらない転生者の話を聞かせて何とかした訳だ。
『そもそも、君達の世界の主人公はVRMMOっていうジャンルのアミューズメントメディアだろう?』と言って説得した。ここで、個人名を出すとその場にいた全員が一人のプレイヤーの元に押し寄せるのはわかっていたから。
しかも、転生者に肉体を乗っ取られ……現在は、治療中となれば名を伏せるのは当たり前だ。
彼等は、それを聞いて今一納得はしていなかったけれど説得はされてくれた。ここら辺は、転生者達とは違う点だ。
アイツ等だと、そこから更なる不満をブチ撒けて来るから。その時は、特典ブレイクとかやりようは幾らでもある。
まあ、説得に応じなかった少数派もいたけれど……ソイツ等には、俺の過去を映像込みで語ってやった。
ついでに、俺が“転生者”である事も晒し……如何に“主人公”と呼ばれる存在が理不尽な人生を強要されるかを語ってやる。その結果、少数派の方々含むSAO組連中はドン引き。
それを、遠くから眺めていた《神様転生》の奴等もガチドン引きしていた。
その場にいた、全員をドン引きさせた理由がこちら。
【 転 生 者 特 典 】。
それの何に、彼等がドン引きしたのかって?
そもそも、全ての『転生者特典』が転生者のプラスになると本当に思っているのならそれは間違いだと声を大にして告げよう。特に、俺の……正確には、俺の中にいる“転生者”に至っては、極一般的に知られている御都合主義な転生物語とは色が違っていた。
何故なら、俺の特典は……。
①【主人公補正、マイナス分倍増】。
②【与えられる幸せは、不幸と絶望の味】。
③【人生の難易度ルナティック】。
という、マイナス補正な特典オンリーだったからだ。
「……………………」
因みに①は、その人物の人生を波乱万丈にする特典である。これは、事件に巻き込まれやすくなったり……小さな騒動から国を揺るがす騒動にまで巻き込まれる可能性が高くなる補正だ。ただし、マイナス補正が掛かっている間はマイナス分が倍増するというDEAD特典。
つまり、御都合主義な部分をカットして不公平な状況に陥りやすくなる特典ってことだ。
②は、『他人の不幸は蜜の味』の絶望版である。
『他人の不幸は蜜の味』は、他人から見た当事者の不幸は幸福に見えるというモノだが……この特典は、他人から与えられる幸福ーー俺の場合は、ルイフォードから譲り受けた『静・クリスティーナ=D=アスフォード』との婚約が該当するーーが不幸や絶望となってしまうという特典だ。
③は、その名の通り……詰んじゃった人生(特典)である。
人生を覆そうとすれば、かなり遠回りを強要されたあげく……早々簡単には、覆らないというDEAD特典。【主人公補正マイナス分倍増】と連動して更なる絶望へと誘う類いのモノであった。更に、②を踏まえるとマイナス補正は無限大へとシフトする。
つまるところ、俺が幸福に至る為には他人からの援助を絶対に受けられないという呪いである。
下手に援助を受けると、その《幸福》は不幸や絶望へと変化して、この身に振り掛かってくるーーというモノ。
本当に幸福になりたいのなら、俺自身の手で掴み取らねば……不幸もしくは、絶望がその先の未来で口を開けて待っているという状況になる訳である。
そして、過去の俺の様に《幸福》を掴もうと足掻けば……【人生の難易度ルナティック】が邪魔をして、それでも《幸福》に手を伸ばし特典を打ち払おうとすれば……【主人公補正マイナス倍増】が邪魔となる。そこで、他人の手助けを求め様モノならば不幸や絶望が酷くなり……といった感じで、マイナス補正が不幸のドン底へと導かれるという訳だ。
ぶっちゃけ、『詰んでいる』としか言いようがない。
ーーもう、本当にどうしろと?
何を考えて、俺の中の奴はこんな特典を願ったのかはわからない。事実、俺の“中”の人物は……自分の過去の記憶を消去して、極力【俺】へ影響を及ばさない様に自身の人格を徹底的に薄くしている。介入なんて、完全にない。
ぶっちゃけていうと、明確な不干渉を貫いているのだ。
それは、今でも変わらない。ただ、俺の“中”から俺の人生を一緒に体感しているというのが……この人物の特性だった。希に、干渉があるみたいだけど……何が変わったとか、明確にわかるような干渉は受けていない。今までの人生の中でも、一・二度あったかないかのレベルである。
そんな現状を、SAO組(モブ)に語って聞かせてみた。
その結果、俺が提示した《神殺し》特典……【主人公補正】の壌渡を提案してみたんだけど尽く断られてしまう。
そりゃ、確かに見た目の悪いーー赤黒く、ドクンドクンと脈動する物体を提示した訳だけどーー【主人公補正】を使ったけれどガチンコで嫌がるのは止めて欲しい。
まるで、呪われているかの様な態度をされると自分が【不幸の申し子】みたいに感じちゃうじゃないか!!
いや、まあ、そうなんだけどさぁ……。
海を裂いたモーゼみたいに、俺が移動する度に密集する人が別けーー避けられるというのはそこそこ心に来るモノがある。
結論。SAO組(モブ・納得しなかった者)は、二度と“主人公”になりたい等とは言い出さなくなった。
ただ、主要人物達にはなりたいらしく主要人物と思われる者達に言い寄っている姿は何度か見掛ける事となる。
見よ!人生そのものがルナティックな奴の状況(特典)を!!
そして、双夜が……実は【転生者】だったという秘密を暴露してみました。まあ、厳密には違うんだけど(笑)。マイナス補正がヤバ過ぎて【絶望の神格】なんてモノを得ちゃったりしちゃった訳ですが(笑)。
①【主人公補正、マイナス分倍増】。波乱万丈負債多目。
②【与えられる幸せは、不幸と絶望の味】。幸せは、自分で掴め!他人から与えられるモノは、落とし穴だ(笑)。
③【人生の難易度ルナティック】。詰んじゃった人生。
特典が、無限連動するという厄介なモノってのはヤバヤバですよねぇ(笑)。いや、これを思い付いた時はもっとアレだった訳ですが。後、双夜の秘密に関しては一つを残す処となりました。双夜の秘密は、その『羞恥人生』と『魂の融合者』それから『転生者』である事と後ひとつが命題になってます(笑)。今回は、サラッと流れで出してみた訳ですが……どうよ、この特典。最悪の特典だと思わない?なんで、御都合主義な特典じゃなくて……こんな不幸と絶望と理不尽の代名詞的な特典なんだよ!?って思わなかった?
ぶっちゃけると、双夜は神様転生でも女神転生でも邪神転生でもないんだよ(笑)。“彼”の転生は、本来の道筋とは異なる転生だったからねぇ……だからこそのマイナス特典な訳だけど。
因みに、“彼”……この作品にほんの一瞬だったけど干渉してたよ(笑)。
本当は、【集束する未来】と【覆らない未来】……それから、【絶望という名の悪夢】でも良いかと思ったんだよね。
でも、これだと《ルール・ブレイカー》が使えないと、どう足掻いても未来が変わらないって事になるんだよ。
物語の根幹は【恋愛】だから、希望のある未来にしたかったんだ。世界が、世界だったからね。
過去は最悪でも、未来は希望に溢れている的なモノにしたかったんだぁ。まあ、全力で羞恥に走っちゃったけど(笑)。
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。