絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

213 / 592
リアルイベントを全て平常運転で乗りきろうとする私。
エイプリルフールが……。


一八七話

Re:

 

 

 

スプリガン領とシルフ領の首都が、バハムート?に攻撃されてから数ヵ月ーー時期的には、【魔法少女世界】で『A's』の始まりが起ころうとする頃ーー後。

本来なら、【魔法少女世界】に戻ってないとイケないんだけど……もう少しだけ、こちらにいなければならなくなったので仕方なく滞在している。その原因は、設置された結界の調整に手間取っているからだ。

ただ、世界樹の結界は……ほとんど、守護者一人にお任せしてしまった為に発案者としては肩身の狭い思いをしている。なので、展開された結界術式の確認と……防御術式・魔力抽出術式の調整の総仕上げを手伝っていた。

 

「まさか、全部一人でヤらされるとは思いませんでした」

 

チクリ、チクリ……と、言葉で刺されつつも現在進行形で術式の調整を続けている。それをする理由は、世界樹から抽出している魔力消費を少しでも抑える為だ。

 

「サーセン。でも、《スイルベーン》と《ガタン》。ならびに、《フリーリア》の結界は僕が展開したよ……」

 

それぞれ、《シルフ》・《サラマンダー》・《ケット・シー》領首都である。そちらは、SAOの原作組が解放された首都に戻りたいと言い出したので急遽追加で設置した。

結界を維持する魔力は、大地の龍脈から滲み出た魔力素を集束して使える様にして……その為に何本か、巨大な楔を龍脈の近くに突き立てる作業を繰り返す事になったけど。

その後で、結界の基になる魔法陣を刻んで組み上げた。

因みに、その結界の設置期間は守護者が掛けた時間よりも短い。ああ、別に俺が優秀だとかそういう意味ではなく……短期間で、それが出来たのもフレールくんの増員が【魔法少女世界】からSAOモドキ世界に届いたからだ。

おかげで、守護者以上に素早く結界を構築する事が出来ーー調整の手間は、増えたけれどーーてSAO(モブ)組にも大喜びされた。特に先見部隊方々の中には、喜びの余り俺を揉みくちゃにして来た者もいる。どうも、転生者達に首都を追われた際、自領に色々と残して来たモノがあったらしい。それに、世界樹の麓の町(アルン)ではそろそろ転生者とSAO原作(モブ)組の両方を収容する事が難しくなっていたのも事実。

故に、三首都奪還の話は渡りに船だった訳だ。それと同時に、フレールくんが来た事で音信不通だった【魔法少女】の世界の情報ももたらされて……神崎は、俺の指示通りにちゃんと動いてくれているらしい事がわかった。色々、放置してきたから心配ではあったんだけど……そこそこ、上手い立ち回りをしてくれているみたい。

 

「便利ですね。貴方の使い魔は……」

 

休憩時、守護者がティーカップ片手にそんな事を言い出した。結界の位置取りを、増員された使い魔で済ませて一気に刻み展開した事を守護者は羨んでいるらしい。

 

「それなら、結界展開に必要な数だけ使い魔を用意すれば良いんじゃない?」

 

「羨ましくは思いますが……我々は、前線用の《神殺し》です。不用意な魔力消費は、無用な取り逃がしにも繋がりますので御免被ります」

 

「左様で……色々、儘ならないねぇ……」

 

「全くです……」

 

そういう訳で、後方支援な俺は使い魔を造り放題だけれど……守護者の様な前線組は、己の魔力消費効率を考えて使わないとイケなかった。ここら辺が、前線戦闘職と準・研究職との違いである。彼等は、純粋に戦闘能力を求め……支援・研究職は技能や知識を求めるって訳だ。

言うなれば、前者はステータス値の向上を。後者は、スキルレベルの向上を考えていると言ったところ……か?

 

「何はともあれ、これが終わったらあちらに帰るからね?」

 

「ええ。わかっています……それにしても、『帰る』んですね?『行く』ではなくて……」

 

「んー……あっちには、馬鹿も居るからね。翼には悪いけど、アイツの回収も考えて置かないと色々と‥ね?」

 

神崎が、寂しがっている事はないだろうけど……お目付け役の翼が傍に居ないのでちょっと心配ではある。本当なら、あの二人はセットで組ませておくべきなんだろうけど……功績の関係で今は離ればなれだ。

ただし、恋愛云々に関しては除外とする。翼が、どれだけ神崎大好きだったとしてもそれだけの為に二人を一緒にする事はないと断言しよう。

まあ、本人が何も言わないけれど。

 

「それで、SAO組(メイン)の方々はまたバラバラに?」

 

「ああ、先見隊にそれぞれと適当に振り分けて行ったからなぁ。でも、護衛であって先見部隊を届けたら戻ってくるらしいよ?」

 

「おや?戻って来られるので?」

 

「うん。…………んん?……あ……」

 

会話の最中、フレールくんから連絡の意志が流れ込んで来る。厳密にいうと、意志と言うより特殊な感覚が割り込んで来るのだけれど……流石にそれを言葉にするのは難しい。

 

「どうしました?」

 

「フレールくんから、連絡があった。キリト?くんが、目を覚ましたって……」

 

「キリト?ああ、憑依されていた彼等(原作メイン組)の中心人物ですか……って、行かなくて良いのですか?」

 

主要人物が、目覚めたというのに普通にコップ(ジョッキレベルの木のコップ)を手に取りチビチビと果実汁を飲み始める俺を見て守護者が疑問の表情を浮かべる。本来なら、直ぐにでも直行するのだが……アスナやユイちゃんが、涙ながらに抱き合っているのでしばらく放置する事にした。

 

「感極まる再会?が終わった頃に向かうよ。今は、親子?で過ごさせるべきかな?」

 

「フフフ……成る程と、言っておきましょう」

 

微妙に、馬鹿にされた様な気もしないでもなかったのだが……気にしないでおく。そう言えば、コイツは【組織】でも珍しい独り身の《神殺し》だったっけ。なら、そういう系統の機微には疎い感じなのだろう。

 

「そう言えば、守護者の使い魔はどうしたのさ?」

 

「鉄さんと共に、アインクラッドの攻略を再開してます」

 

「……翼は、まだスプリガン領だろ?すじゅかママは、このアルンにいたから……」

 

翼は一度、アルンに戻って来たらしい。

俺は知らない。多分、《猫化》していた間の話しだろう。

俺が知っているのは、翼がスプリガン領首都と周辺町村の廃退振りに心を傷め、同じ様に消し飛んでしまったシルフ領の復興の為にスイルベーンに行った事くらいだ。

ただ、疑問なのは何故かスプリガン領に転生者もNPCも……ってか、人っ子一人いない事。理由は不明。

廃墟と化した、廃屋がそのまま放置されていると……その上で、スプリガン領首都はクレーターになっているらしい。

 

「一人で、攻略へ?」

 

あ、俺が消し飛ばした訳じゃないぞ?あっちは、別件。

 

「ええ。一人と使い魔二体で攻略へ行かれました」

 

「……大丈夫なのか?」

 

「大丈夫でしょう」

 

鉄が、神崎レベルなら全く心配すらしないのだけれど……アイツ、そこそこ死角は無くなってはいるものの雑魚である事に代わりは無いから心配だった。

守護者の使い魔が共にいると聞いても、手放しでその言葉を受け止める事は出来ない。近くにいるであろう、フレールくんに指示を出して少しばかり監視しておく事にする。

とりあえず、二・三体付けて監視させておく。

 

「……んー。他の子達には、これまで通りドラゴンの捜索とそれぞれの領土の情報収集でOK。その上で感想を上げるなら……糞転生者、死ね!……かなぁ?」

 

「……『糞』って……そんなに、『糞』なのですか?」

 

『糞』だよ?《超》が付くレベルの『糞』だよ?

 

「聞きたい?……本当に?」

 

「…………聞きたく無くなって来ました……」

 

「なら、聞かなくて良いんじゃないかな?僕も、口にしたくない程、おぞましい内情だよ?見るのも、知るのも嫌っていう位の悪夢。NPCや原作(モブ♀)が、絶望してる……」

 

「…………【神】は、それを娯楽と称しているのですか?」

 

「ぅんん(フルフル)。逆に、怯えてるよ(笑)。断罪されるって……真面目に、仕事し始めてる」

 

「おや?転生者のおかげで、【神】が真面目になるのですか?それは、良い効果と見るべきなのでしょうか?」

 

そういう話ではないと思われる。

そもそも、【神】のお仕事っていうのは【義務】であって気分等で左右されるモノではない。それを【現代の神々】は、『気分が乗らない』とか『休みがない』等と訳のわからない事を宣ってサボろうとする。

そして、【娯楽】と称して【転生者】を生み出し……仕事そっちのけで、【転生者】の動向を伺い遊び惚けている状況だ。ぶっちゃけ、仕事舐めてんの!?って言いたくなる様な事しかしていない。不老不死で、食事も睡眠も必要ないとは言え【義務】くらいは果たして欲しい。

 

「最近、『堕ちる』世界があるだろう?」

 

俺達の手の隙間から、溢れてしまった世界が少しある。

 

「ええ。由々しき事態です。神が、仕事を放棄またはサボり気味で“外堕ち”する世界が増えてます……よね」

 

「原因は、調整をサボっている……のではなく、『元からしなくて良い』なんて……下らない事を言い出した馬鹿のせいで……ね」

 

確か、『複製世界は、調整する必要がない』だったか……《旧・神族》が触れ回った新しい『娯楽』。物語の世界をフルコピーして、そこに【転生者】を送り込み無茶苦茶にさせるという『遊び』。無かった事にも出来ないので、そこそこ困っている。だから、一つ思い付いた事があった。

 

「《神権》剥奪して、一人の存在として『遊ばせて』みますか?【神】でないなら、遊ぶのは自由ですし……」

 

「それで以前、失敗したんだろう?仕事をしない馬鹿が、大量生産されて悪魔族が仕事をするハメになったんじゃないか……」

 

「そうでした。自分達が、『遊び』惚けていた癖に悪魔族では資格云々がどうとかで【神の座】に居座ったんでした」

 

「もう、ぶっちゃけ滅ぼした方が良いんじゃない?もしくは、心をブチ壊すとか……『システムを調整するだけの存在』にしてしまうとか……」

 

「怖っ!?それ、ムッチャ怖っ!!」

 

自我を失ってしまえば、『娯楽』なんぞにうつつを抜かして『遊び』に夢中になる事はない画期的な方法だと思ったんだけど……守護者が、本気で怯えるので没にする。

 

「流石、【魔王】と畏れられた男。なんて事を思い付くんですか!?一瞬、正気を疑いましたよ!?」

 

「ごめん。僕、正気度が薄いんだよね……」

 

そもそも、【組織】に所属している者は基本的に正気度が薄い。まあ、中には守護者の様にある特殊な方向に対してのみ正気度が濃い奴もいるけれど。

 

「グハッ……」

 

地雷を踏んだ事に気が付いたらしい守護者が、血ヘドを吐いてグッタリと椅子に身を預ける。とは言え、守護者が言うように先程の発言は鬼畜を通り越して外道レベルの発案だった。少々、自重せねば。

 

「まあ、言うだけならタダだからね?」

 

「…………ええ。言うだけならタダではありますが……発想が、恐ろし過ぎです。演算だけを求めるなら、コンピューターにでも出来ますから。それを、一応生命体である存在に自我を奪って肩代わりさせるとか……どんな外道発言ですか!?」

 

「だから、ごめんって……」

 

「ここだけの話しにしておきますが……自重してください」

 

「わかってるよ」

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

ある程度、時間を潰してから俺はアインクラッド第22階層にあるアスナ達の【愛の巣《森の家》】へと向かった。

多分、目覚めたキリト?くんが秘密基地のオーバーテクノロジーップリに戸惑っているだろうから。少しだけ、急いで向かってみた。

 

「……えっと、おはよう?」

 

「ん?ああ、君が双夜か……おはよう」

 

キリト?くんは、とても落ち着いた様子でアスナの入れたと思われるお茶でマッタリと秘密基地内の広間で寛いでいた。普通なら、もっと慌ててたり困惑していたりするのだけれど……秘密基地に驚いた様子はなく、全力全開でマッタリモードである。

 

「とりあえず、診断したいんだけど……研究室の方に行って貰えるかな?」

 

「ああ、わかった……」

 

何はともあれ、彼の精神状態を確認しない事には話が進まないので、俺の研究室で彼の状態を確認する。

簡単な診察を終えてわかったのは、集中治療したおかけで危険な状態は脱したということ……それから、日常生活は問題なく戦闘にも参加が出来るレベルだという事だ。

だからと言って、すぐに攻略や冒険への参加は認められないので、しばらくはゆっくり休むようにいっておく。

 

「ふむふむ。意識レベルは問題なし。ああ、そう言えば……『デスゲーム』経験者だったんだよね?なら、耐性もあるのか……だけど、リハビリを経て様子見はするから急激な運動は避けてね?」

 

「『デスゲーム』の事まで知られているのか……」

 

「アスナから、どれくらいの話聞いてるの?」

 

「ある程度は……俺達の世界が、アニメや小説になっていたって話くらいでそんなに詳しくは……」

 

「ふーん。それに関して、何かしら思う事はあるかな?」

 

「いや、言われてみれば……って程度で。ああ、ショックである事には代わりないんだけど……」

 

「へぇ。じゃあ、君があの世界の……いや、VRMMOと呼ばれるジャンルの《主人公》だという話は聞いた?」

 

「……………………」

 

俺の問いに、キリト?くんは微妙に嫌そうな顔をする。

《主人公》という括りに、嫌悪感の様なモノを感じた。

 

「おや?不服……かい?まあ、僕もとある物語の《主人公》だったらしいから気持ちはわからないでもないけれど……ま、全力で事に当たれば良いんじゃね?」

 

ちょこっと他者より、人生が波瀾万丈になって……ちょこっと、他者より事件等に巻き込まれる回数が増えるだけの話だ。あからさまに、嫌悪の対象にする必要はない。

 

「…………そんなもんで良いのか?」

 

「誰が……とか、何を……とか、考えなくても良いんだよ。ただ、全力で“今”を生きていれば自ずと答えは見付かるからねぇ……《主人公》だから、何かをしなければならないっていうのは、ある意味傲慢な考えだよ(笑)。やりたいからやる……程度で全然OK。気にするだけ無駄だよ(笑)」

 

「……………………」

 

「さて、このSAOモドキ世界の説明をしようか?」

 

 

 

……………………。

 

 

 

とりあえず、キリトくんには現在わかっているこの世界の情報&情勢についてを情報共有しておいた。

本当なら、転生者達から説明させたかったのだが……未だに《18禁指定》の薄い本についての熱い論議を交わしているので放置。18禁の薄い本を、教典として配布するかしないかでもめているらしい。前回は、認めるか認めないかでもめていたけど……今度は、配布するかしないかでもめているとのこと。

全く……アイツ等は、どこを目指しているのやら。

 

「後、君……乗っ取られていた頃の記憶あるよね?」

 

「え?……ああ、覚えてるよ……」

 

「ふむ……僕は、その当時の事を全部知っている訳じゃない。最後に呼び出されて、チョコチョコっと君の解放を手伝っただけだ……なので、差し支えがない程度に当時の事を話してくれないかな?ああ、嫌なら別に構わないよ?」

 

キリトくんは、嫌悪や疑問ではなく困惑に近い感情を表情にモロ出ししつつも俺の質問を吟味している様だった。

本当なら、忘れたい記憶であるハズのソレを思い出して語れと言い出したんだから仕方がないと言わざるを得ない。

なんで、そんな事を言い出したのかというと……今後、似た様な事がないとは言い切れないから憑依転生に耐性が出来ているのかを確認したかった……という訳だ。この憑依耐性の有無で、今後キリトくんに施す処置が変わってくる。

その事を踏まえて、説明が必要だけれど今は確認の段階なので何も告げずに問い質してみた。

 

「キリトくん、辛いなら答えなくて良いんだよ!?辛い思いまでして、言いたくない事まで言わなくても良いんだから!!」

 

「いや……大丈夫だよ、アスナ。それで、どんな事を聞きたいんだ?」

 

「じゃあ、異変を感じ?出した頃辺りから教えてくれるかな?」

 

「ああ。異変……というか、おかしいと感じ出したのはーーー」

 

そう言って、キリトくんが語り出したのは俺が予想していた事と変わらないモノだった。まあ、数パターンは考えていたのでその中の一つがヒットした形だけど。

最初は、違和感程度のモノだったらしい。それが、段々と日を追う毎に空白時間が生じて……後に、体外から異物が体内へと無理矢理捩じ込まれる様な感覚を得る様に。

そして、捩じ込まれる感覚は無くなった頃には意識が混濁して、一日に自我を保てる時間が段階を経て短く成って行ったらしい。

 

「あー……憑依型乗っ取り系か……精神生命体系に良くあるパターンだね。これが、寄生型だと違和感と異物感……ならびに、嘔吐や掻きムシリが半端ないんだけどねぇ……」

 

それを体験した者の話では、皮膚の下を百足が這いずり回っている様な感じが永遠とするらしい。で、それを排除したいが為に自ら爪で掻きムシって血塗れになる奴もいる。

似た様な麻薬の禁断症状よりも、異物感が強くて目眩や吐き気どころか頭痛や部分的痙攣等もあるという話だ。

 

「じゃあ、ちょっと憑依するから耐えてみてくんね?」

 

「え?」

 

「は?」

 

言って、二人が首を傾げている間に準備しておいた寄生型の使い魔をキリトくんの胸に押し付けた。すぐに、寄生型の使い魔がキリトくんの胸の中へとズブズブ入り込んで行く。キリトくんは、驚いて胸を押さえて苦しそうに踞ってしまったけれど俺は気にせずその様子を観察する。

 

「ちょ、キリトくんに酷い事しないでっ!!」

 

「あー……大丈夫だよ。精神を侵すモノじゃないし……」

 

「でもっ!こんなに、苦しそうじゃないっ!?」

 

「違和感がすごいだけだよ。苦しみは、ほとんど感じてはいないはずだよ?あ、苦しそうに見えるなら快楽を感じる様にしてみようか?」

 

まあ、そんな事をしたら余りの快感に脳の神経が焼き切れて廃人になっちゃったりするけどね。だから、出来るだけ対象者の苦痛を緩和して違和感のみしか感じない様にしたのが寄生型の使い魔だった。

というか、内側から視てみない事にはキリトくんにどれだけの耐性が備わっているかが計り知れなくなってしまう。

なので、【外側】は《真実の瞳》で……【内側】は《使い魔》でその耐性力を確認するのである。

 

「はい。お疲れ~♪。もう、楽にして良いよ~」

 

「…………はぁ……はぁ……」

 

キリトくんは、真っ青な顔で踞り息を荒上げている。

それを、アスナが優しく抱き締めてこちらを非難の眼差しで睨んでいた。とは言え、俺がヤったのは医療行為であり……文句を言われる謂れはない。

 

「じゃ、キリトくんには今後憑依されないように耐性を付ける訓練もして貰おうか?それと、平行して《魔力》を直接コントロール出来る様になって貰おうかな?」

 

「「は?」」

 

「待って!今後って……また、キリトくんがあんな人達に乗っ取られるって言うの!?」

 

「そういう可能性は……低くはないよ?だから、前回の憑依でキリトくんが耐性を得ているかが知りたかったんだ……さっきのは、それがあるかどうかの確認だよ」

 

《憑依耐性》は、一応あるにはあった。

ただし、雀の涙程度。

多分、スキルレベル的には《1》にも至ってない。

それでも、《憑依耐性》が生じているんだから……後は、経験を積むだけで憑依を抑制出来る様になるだろうと考える。なら、直接《魔力》をコントロール出来る《魔力操作》を覚えさせて《スキル強化》を習得して貰うしかない。

贅沢を言えば、《魔力感知》や《神力感知》等でも良いんだけど。でも、題材がないから諦めるしかないだろう。

とりあえず、憑依しようとして来るモノを感知出来れば良いんだから……それ以外のモノで補えば良い。

 

「奴等……神々の手の内は知っているから、出来るだけそれを妨害する処置をキリトくんにするとして……キリトくんには、憑依転生者を感知出来る様になって貰おうか?」

 

「そんな事……出来るのか!?」

 

「出来る。そもそも、ファンタジー世界に送られてくる魂には微量でも《魔力》が与えられているからね。それを感知出来る様になりさえすれば……全然問題ない」

 

「…………それって、私達にも出来る?」

 

「おや?興味あr……そっか、君達の世界は《魔力》のない世界だったね。今は、ゲームだった頃の名残で魔法が自動発動してるけど……下手をすれば、《魔力操作》なしでの魔法行使は不可になる可能性もあるし……覚えておいた方が憂いはないか……」

 

「そんなっ!?ソードスキルどころか、魔法も使えなくなっちゃうの!?」

 

そう言えば、アスナはキリトくんの面倒を見る為に《森の家》に居残りだったからソードスキルが使える様になった事を知らないのか。というか、その内キリトくんが使えない理由に行き着いて使える様にしそうなんだけど……訂正しておいた方が良いのかな?

 

「…………使えるよ?ソードスキル……教えなくても、その内《主人公》が気が付きそうだけど。あれは、リアル熟練度が足りなかったせいなんだよ。まあ、要するに現実問題として下地がない奴がいきなり達人レベルの技を出せないのは当たり前で……ソードスキルは、熟練者でなければ使えないモノなんだよ……」

 

一瞬、キリトくんが微妙な顔になったけど無視して続ける。どれだけ否定しようと、キリトくんが《主人公》である事に代わりはないからね。

 

「……………………」

 

「あー……成る程。世界が、現実になったんだから……その辺りも現実の法則に乗っ取ってくる訳か……」

 

アスナは、口を開けたまま硬直していてキリトくんは納得の表情で腕をくみ何度も頷いていた。

 

「なので、ソードスキルが使いたかったら……訓練として、素振り一万回をやって《剣術》スキルを習得してから頑張ってね?ああ因みに、『剣を振り回す』のと《剣術》スキルを得る為に『剣を素振り』するのとでは《剣術》スキルの発現が前後する可能性があるからね?」

 

「ん?そりゃ、どういう意味だ?」

 

「うん?ああ、ただ剣を振り回すだけでは《剣術》スキルを習得する事は出来ないって事だよ。これは、アルンで検証していた奴等が報告してきた話でな?『これは、素振りなんだ』と意識して剣を振り回していた奴と……ソードスキルを使いたい一心で剣を振り回していた奴とで、《剣術》スキル習得にバラ付きが出たらしいんだ」

 

きっと、意識……認識?『する』と『しない』のとで差が生まれたのだと思われる。

どういう法則が生じているのかはわからないが……意識(認識)する・しないでスキル習得に影響がでるらしい。もしくは、心構えが必要なのかもしれない。

 

「そんな訳で、『自分は、《剣術》の訓練をしているんだ』という認識の元、素振りをする様にしてくれ。それで、一万回程度で《剣術》スキルを習得出来るから、ソードスキルはそれ以降で……」

 

「そっかぁ……うん、わかったよ!!」

 

「フムフム……成る程なぁ。脳筋パーティーには調度良いスキルって訳か……」

 

「ちょ、キリトくん!?誰が、脳筋ですってぇ!?」

 

「もちろん、俺達が……だ!!」

 

「まあ、今後は脳筋のままではいられないから脳筋じゃなくなるけどねぇ(笑)。《魔力操作》は、INT必須スキルだし……脳筋には、キツい習得になるかもね(笑)」

 

「うぇ……マジかぁ……」

 

とても嫌そうな顔で、ガックリと肩を落とすキリトくん。

その隣で、勝ち誇ったかの様なアスナがいるけど……多分、《魔力操作》のスキルを習得しにくいのはアスナだと思われる。だってこの子ってば、物事を理論的に考える節があるらしいから、超感覚派のキリトくんと比べると《魔力操作》スキル習得はかなり遅れると思われた。

 

「キリトくんは、簡単に習得してくれると思うよ(笑)」

 

「へ?……マジで!?」

 

「うん。アレ、超感覚系だから……理論的に考えずに、感覚で捕らえる者には割りと簡単に習得出来るタイプのスキルだから……」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「…………それって、私には無理って事!?」

 

お?アスナは、自覚ある人だったのか。

 

「フムフム……アスナは、自覚ある人だったのか……ま、難しいってだけの話だよ(笑)。勝ち誇ってたのに、残念だったね?」

 

「くっ……」

 

「はあ……あんまり、アスナをイジメないでくれないか?」

 

「善処するよ(笑)。ま、僕は悪戯好きだから興が乗れば弄り倒すから覚悟しておいてね?」

 

「「善処しない気か!?」」

 

「口にはしてるから、ちゃんとするよ?ただ、我慢出来なくなったらその時は…………ね?」

 

「「ちょ!?」」

 

「じゃ、まずは魔力を感知出来る様になろうか?」

 

「「ちょっと、待って!?」」

 

という訳で、キリトくん達に《魔法感知》と《魔力操作》を教える事になりました。

 

 

 

 

 




漸く、キリトが目覚めました!!
これで、本編が……と思った方々、残念だったね(笑)。
キリトが、ソードスキルと《魔力操作》を得るまでは本編スタートはしないんだよ!!まあ、その前に【リリなの】とスイッチするかもね(笑)。その時は、《魔力操作》に長けた使い魔が頑張ります(笑)。ああ、他のSAO原作組にも教えないと……(笑)。まだまだ、SAOモドキ世界攻略スタートライン到着までの物語は続く!!

まだ、出て来ていないキャラがチラホラと……。

次は、誰を出そうかなぁ(笑)。
出すキャラに置いては、難易度が上がるだけ上がるんだけどねぇ(笑)。対応するキャラでも上がるけど(笑)。

次回、死者現る!  好御期待!?(期待しないでね(笑)

エイプリルフール……これだけか(凹)

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
 
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。