絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一九〇話

聖 聖光

 

 

ぃよぉッス!

オラ、聖(ひじり)聖光(セイビア)。

『聖光』と書いて、『セイビア』と読む訳じゃねぇけど……『セイビア』と名乗っている元・人間だぁ!!

本当は、別の読み方になるんだが……俺は、『聖光』本来の読み方を自分の名前だとは認めていない。

つーか、闇や邪系の魔法が超得意なのに何が悲しくて『聖光』等と名乗らにゃならんのだ!?

イジメか!?

全く、双夜と一緒で名前と性質が合致しない。あ、双夜の場合は性格と性質が合致しないのか……まあ良いや。

しかも、『ギャグキャラ』とか……あー、まあ、あるっちゃあぁあるんだろうけど。でも、もうちょっと性質に近いキャラとかにして貰えんですかね?(メタ話)

『悪の総大将』は、性分じゃないけど『悪の手先』くらいの位置には居たかった。そうでなくても、【悪の組織】に所属しているんですからちゃんと『悪の手先(平職員)』ッポクして……え?【組織】は《悪の組織》じゃ無いって?

いやいやいや、ウチの【組織】はガチ《悪の組織》ですよ!?《死の商人》という、本物の《悪の組織》です。

じゃなかったら、《神殺し》なんてやってませんて(笑)。

麻薬(阿片?)とかも、取り扱っているしなぁ(合法で)。

え?いや、流石に原液では売らないですよ!?

そんな事したら、人を壊しちゃうじゃないですか~w。

やだぁ~、そんなの犯罪じゃないですかぁ~(笑)。

ただの、試薬品ですって……医療関係で使うんですよ。

例えば、麻薬依存患者とかに麻薬治療薬として渡すんです。魔法薬と混ぜ合わせて、効力を徹底的に弱めた《弱依存解消薬》として販売しているだけですよ?まあ、それでまた依存しちゃう訳ですが……《弱依存解消薬》は、幻覚・幻聴・幻触の症状を抑える効果があるんですよ。

幻触ってのは、『皮膚の下を虫が這いずり回っている』っていうアレですね!あの感覚を、抑える効果がある画期的な魔法薬なんです。それで、麻薬の効果が抜け切った頃に今度は《弱依存解消薬》を断って貰って依存レベルを下げ終えたら麻薬断ち完了です。

いやー、便利な世の中になりましたよねぇ(笑)。

そんな感じで、簡単に止められる様になったからと再度麻薬にのめり込む馬鹿が出て来る始末。

おかげで、定期購入される人気商品になりつつあります。

笑いが止まりませんよね!!(ゲスネタ)

ああ、勿論我々は麻薬なんて外道薬品は扱ってませんよ?

扱わなくても、試薬品を購入する人は後を断ちませんから。ええ、それはもう……正に入れ食い状態ですね!

それ以上でも、それ以下でもないですから!!

 

「フフフ……」

 

「あれ?セイビアの本名の話じゃ無かった?」

 

ふぁっ!?ちょ、何で蒸し返すんですか!?

つーか、地文を読んでんじゃねぇよ!?

ちょ、止めろって言ってんだろうがよぉ!?

あ。ああ、いえいえ……人が折角、話を反らしているって言うのに……読もうとしたら駄目ですからね!?

はい。お兄さんとの約束です!!双夜は、嫌がらせで普通に読みやがったが……『セイコウ』でもないですからね!?

ある意味、当て字ではあるけど。

 

「セイビアの本名?ああ、『マサミツ』だよ(笑)」

 

って、誰だ!?俺の本名ぶっちゃけた奴は!?

バラすんじゃねぇよ!マジで!!…………たくっ。

嫌がらせにしても、悪質過ぎるだろうがよ!?

俺が、そう呼ばれていたのは14歳くらいまでで以降は『セイビア』で通っているんだ。なら、通っている方で呼ぶのが礼儀っていうモンじゃないですかぁ!?

思わず、呪殺しそうになっちまった……ひぃ!?

 

「うへへへ……」

 

さて、【組織枠】の今回は本当なら禍焔凍真が担当するーー『マサミツ』じゃねぇよ!?話を変えようとしてるんだ!黙って聞いててください!(懇願)……気を取り直してーーハズだったんだけど……ちょっとした手違いというか、取り返しの付かない『過ち』が彼に降り注いだ結果……彼は、言葉では説明出来ない状態へとなってしまった。

あー……誤解が無い様に言っておくが、別に言葉で説明しようと思えば幾らでも説明は付くからな?

ただ、見て貰った方が早いのでそう比喩しただけである。

 

「クックックッ……」

 

パッと見た感じ、腐敗しきったリビングデッド的な光景が目に浮かんだけれど、もうどうにでも成れっの精神で精神病塔に入院している凍真の部屋に入る。

 

「ぃよぉッス!オイラ、禍焔凍真!この度、漸く師匠の元を卒業した新生《神殺し》だ!苦境苦節の数百年を経て、今日漸く双夜達の元に駆け付ける事が出来るって訳だね」

 

誰?

時空石を片手に、ヒャッホーと大喜びしながら小躍りする凍真。何度か、【門】のある部屋に突撃しようとしたけれど全て止めている。余程、【組織】から出たいらしい。

そこまで、ここから逃げ出したいか!?

 

「これ、何回目?」

 

「さあ……覚えてないよ」

 

「病んだね……」

 

「病んでるね……」

 

「まだ、終わってないよ!?君の修行は!!」

 

銀河さんが、凍真の肩を掴んで前後に揺する。

しかし、虚ろな目(レ○プ目)でニヤニヤしている凍真には全く届いてすらいない様子だった。

 

「もう、誰にもまな板の上に打ち上げられたマグロ扱いなんてさせないぜ!俺は、キモくはないんだよ!!」

 

双夜が暴露したアレが、余程精神的に堪えてしまったらしい。それと、事ある毎に女達から追い討ちの様な暖かな支援を受けていたから……大分壊れ気味だ。

 

「ほら、変なナレーション入れてんじゃん!」

 

「女共が、変に優しくするから病んじゃった!?」

 

「みんな、割りと残酷な事いうよね(笑)」

 

「話が通じない。もう、会話にもならないか……」

 

「これが、俺のハーレムだぜ!!一人、二人程度の女性に満足していた俺がおかしかったんだ!」

 

まあ、見ての通り……中二病化しちゃった訳です。

うーん……この状態を治して、更に戦える様にしないとイケないのかぁ……と頭を抱えつつ途方に暮れる。全く、とんでもない事してくれたなぁ。元凶は、双夜だけど原因はウチの女共な訳だから元凶を責める事は出来ないだろう。

何故なら、元凶は切っ掛けを与えただけだからな。それを元手に、ウチの女共が凍真を精神的に追い詰めた結果がこれ(精神崩壊)だ。責められるはずがない。

 

「何はともあれ、先ずは凍真を正気に戻すのが先決だ。おーい、みんな手伝ってくれないか?」

 

「しゃーねぇなぁ……」

 

「何時もの事さね(笑)」

 

言って、その場で凍真の現状にドン引きしていた奴等が手を貸してくれる。凍真の戦闘能力は、まだまだ人間の域を出ないので割りと簡単に捕まえられた。

まあ、これが双夜だったら全滅してるんだけど。

アイツと来たら、人間のクセに魔力持ちだったから暴れる暴れる。《神殺し》が、編成を組んで陣形を形成して何とか捕まえる事に成功した訳だけど……アレ、ほとんど負け戦だったんだから洒落にならない。

 

「無意識に《ルール・ブレイカー》使ってくるわ……魔法が、進化し過ぎてて神法障壁ブッ壊してくるわ……酷い目にあったけれど……」

 

空間遮断ですら、防げない攻撃なんてもう人間の攻撃じゃねぇよ!?戦闘よりも、事後処理の方が大変だったよ!?

ああいうのは、二度とあって欲しくはないね。

世界の調整が必要な事後処理って、どんだけヤバイ攻撃してんねん!?って話だ。

一時的にではあったけれど、【始まりの魔法使い】が能力封じられて人間レベルに落とされた時はどうしようかと思ったぞ!?周囲の弱体化に、全能力の封印とかどんなチートだよ!?まあ、すぐに戻ったけれど……あれは、《神殺し》達に絶望を与えるに十分な衝撃だった。

 

「うぉらあ!『正気に戻れ』!凍真!!」

 

「……………………(;Oдo)ハッ!?」

 

耳元で、鼓膜を破るつもりで言霊入りの【言】を叫んでみたら一拍を置いて戻って来た凍真。微妙に驚いた様子で、状況を把握出来ないのか周囲を見回してキョドっている。

 

「おはよう。目は覚めたかい?」

 

「えっと……………………ああ……」

 

何を思い出したのか、キョドっていた凍真が周囲を確認した後、また虚ろな瞳で諦めたかの様に連行されるグレイの如く力無く項垂れた。

 

「これ……どういう意味なんだろうね?」

 

「えっと……マグロ化?」

 

「まな板の上の鯉ですかね?」

 

「くっ……殺せ……」

 

「「「……………………」」」

 

一体、どこの女騎士だ!?まさか、男の口からその台詞を聞く事になろうとは思いもしなかった。

てか、不老不死だから殺しても死なないんだけど。

 

「じゃあ、女共に引き渡すか……」

 

「ひぃ!?や、止めて!そ、それだけは……しゅ、修行するから!しゅ、修行の妨げになるから!!」

 

凍真は、冗談で言った『引き渡し』に超反応で嫌がり始める。もう、女共の相手をするのは嫌だ!と言わんばかりの反応だ。このまま行くと、双夜みたく女性恐怖症にも成りかねない。いや、既に成っているのかも知れない。

 

「あー……わかったわかった……」

 

「んじゃ、師匠(♀)に引き渡しに行くか?」

 

「ひぃ!?」

 

「「「…………ああ、師匠も女だったな……」」」

 

何ですこれ?もう、詰んでますやん。

野放しにするにしても、師匠に引き渡すまでもなく八方塞がりな凍真。これでは、精神崩壊も秒読み段階じゃんか。

 

「…………手の空いてる師範代(♂)っていたっけ?」

 

「現状じゃあ、無理だろう?」

 

「ほとんど、出払っているからな……」

 

任務に出ている男達と、女達が交代する周期はまだ当分先だし……手が空いているとしたら、別口の任務を受け持っているロック・ウォーみたいな奴等ばかり。残るは、師匠(♀)達みたいな交代要員の女性達くらいしか居ない。

 

「俺等だって、通常勤務があるし……修行なんて……」

 

「…………師匠と代わって貰うとか?」

 

「余計な仕事が増えるだけだぞ!?」

 

「流石に、脳筋にそれは任せられないだろう!?」

 

「「「デスヨネー……」」」

 

だからと言って、師匠に任せれば精神崩壊は免れず……諦めて、【外】に放り出したとしても梱包されて送り返されて来るのが目に見えている。監視役も、雑魚も要らないと明言されているし……はてさて、どうしたものやら。

目の前で、俺達にすがり付いている凍真を蹴り捨てる事も出来ず……困り果てていた。

 

「……もう、いっそうの事【始まりの魔法使い】に預けてしまうか?コイツを引き込んだのはアイツなんだし……」

 

「「それだ!!」」

 

「ただ、アイツの場合……魔法は、凄腕だけど……武術がなぁ……雑魚以下だから……」

 

「「ダメじゃん……」」

 

後、暇を弄ばせている奴と言えば…………?

 

「いるじゃん!!」

 

「「え?誰か、居たっけ?」」

 

「双夜の連絡用の使い魔が、常駐してるじゃんか!!」

 

「「おぉっ……!!」」

 

適当に、思い付いた事を言っているだけだったが……中々、様になって来たのでその方向路線で纏める事にした。

 

「でも、自分は戦闘用じゃないとか駄々をこねそうじゃんあの娘使い魔……」

 

「……そん時は、戦闘用の使い魔を呼んで貰えば良いんじゃね?あの戦闘狂共を……さ」

 

「素直に呼んでくれるかねぇ?」

 

「とりま、当たって砕けて来ようぜ!!」

 

という訳で、俺達は双夜の使い魔の元へと向かった。

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

結論だけを言おう。

話し半分で、切り捨てられた。

 

「でも、戦力は必要だろう!?」

 

「では、お聞きしますが……神崎は、あの方々に関わり無くてもマスターの領域に至ろうとしています……」

 

「……………………」

 

それは、知っている。彼自身が望み、そうあろうと努力しているからこそ彼はその領域に足を踏み込もうとしているって事くらいは。そもそも、彼にそれだけの【才能】はない。

 

「才能……とは、称されないのですね。どうやら、セイビアさんはおわかりの様ですね。はい、神崎さんに《神殺し》としての才能はありません」

 

《神殺し》の肉体を得ても、彼にそれを成す程の才能はない。精々が、その領域に至れるか否かである。

《神殺し》の肉体を得たからこそ、その領域にまで至れたと言えなくもない。もし、彼が《神殺し》に『成りたい』と望んでも、双夜がそれを許さないだろう。

悪く言う訳ではないが、双夜なら『それ』がどんな意味を持つか痛い程に理解しているだろうからな。

 

「各言う凍真さんでも、その領域には至れないと判断します。もし、彼等のどちらかが《神殺し》に至ったのなら【奇跡を纏う者】の称号を贈らねばならないでしょうね」

 

「至れると?」

 

「マスターは、それを信じている様ですが……あの方は、『成る』事には反対でも『至る』事には寛容ですから……」

 

確かに。双夜は、『成る』事には反対するんだよな。

『至る』事には、寛容だけど。

因みに、『成る』とは周囲に担ぎ上げられる事を指し……『至る』とは、自力で……という意味だ。

 

「凍真は……」

 

「あの方にやる気はありません」

 

うぅっ……バッサリ、切り捨てられるんだな。

双夜の使い魔は、その者の本質を見抜いて言うから凍真にやる気がないというのは本当なのだろう。実際、彼が修行をしているよりも俺達と遊んでいる方が多いくらいだ。

 

「そもそも、あの方はなんの覚悟もなく【監視者】として召喚されただけの身。我々と、共にある事なぞ望まれはしませんよ……」

 

「……………………」

 

駄目だ。コイツ等は、間違いなく『正確に』凍真を理解してやがる。俺が何を言おうとも、その意志が曲がる事はないだろう。凍真が、もう少しやる気のある人物だったらこんな風に一蹴される事はなかっただろうけど……元々が、強制召喚で嫌々《監視者》の任に就いただけの一般人(常識人)だ。神崎君とは、異なる正反対のタイプだろう。

 

「どう、足掻いてもか?」

 

「本人が、頭を下げに来るのでもなく……他人の貴方が、頭を下げるのでは話の元が異なります」

 

「まあ、そうなんだけどねぇ。君んとこの主人が、撒き散らした悪意によって彼……《女性恐怖症》になっちゃったから……」

 

俺は、目の前に佇む双夜の使い魔……『女性』に対してその事を告げる。彼女は、少しだけ目を見開いてから少し困った様な顔をして溜め息を吐いた。

 

「わかりました……と言いたいところですが、戦闘系で師範が可能な使い魔は『テオルグ』か『ラヴォルフ』になります。現在、二人は神崎大悟の師範を勤めてますが……」

 

「構わない。ってか、男性の使い魔なら誰でも良いよ。ウチの女剣士と相談させて、監督させれば良いだけだから……」

 

「……………………そのレベルで、女性恐怖症を?」

 

「ウチの女共が、『優しく』し過ぎた結果のなれの果てだから……アーメン(十字を切って)」

 

「フフフ……酷い目にあった様ですね。わかりました、出来る者を選抜します。ただ、許可を取ってからになるのでその時点で一蹴される可能性がありますが……」

 

「だよねぇ。ワザワザ、監視の目を育てる馬鹿は居ないか……でも、要らぬ者を置いておける程【組織】は寛容じゃないんだよねぇ……」

 

「……【始まりの魔法使い】が面倒を見るべきでは?」

 

『呼び出した張本人なんだから』と、言葉を続け様として彼女は何かを思い出したかの様に黙る。言いたい事はわかるんだけど、アイツが特定の誰かを育成する事はほぼないと考えても良い。

その結果の果てが、創世記に起きた神魔創世最終決戦だ。

人も神も魔族も残れなかった故に、結論が目に見えているだろうからアイツが誰かを育成する可能性は低い。

 

「過去のトラウマに囚われている馬鹿が、自ら進んで一歩を踏み出せるとは思えないんだけど……」

 

「…………それは、我々に言われましても……」

 

「わかってるよ……あーあ、面倒だよなぁ……」

 

色んな問題が、山積みになっているのに内側の問題は解消出来ないままで、外側の問題はクズ共が増やすばかり。

八方塞がりになりつつあるのに、【組織】の表と裏の代表は全てを放置して傍観している始末。

まあ、表の代表は外側の問題解決の為に奔走しているからマシとは言え……裏の代表は、引きニートのまま書斎で本を読み耽ってやがると来た。

 

「もう一回、双夜に魔王化して貰おうか?」

 

「…………お困りなんですね……」

 

「もう、何もかもブチ壊して無かった事にしたい」

 

「いずれ、そうなるのでしょう?」

 

「そうだけど……それに至るまでが、面倒臭い!!」

 

「諦めて、頑張って下さい」

 

「エターナル・エンド出撃しようぜ!!」

 

「穀潰しを出撃させても、何も解決しません。仕事が、増えるだけです」

 

「《旧・神族》を全滅させてしまえば……」

 

「それが出来たら、苦労はしませんよ……」

 

「じゃあ、双夜を暴走させようぜ!!」

 

「ループしてますよ?」

 

「良いじゃん!どうせ、アイツの中身は「それ以上は、許容しかねます。お黙りを……」

 

「……………………」

 

過保護なこって。とは言え、俺も不味い事を言い掛けたので彼女の言い分に従って黙っておく。

これは、【組織】に知られちゃ不味い事柄だ。

双夜への勧誘が、更に激化する恐れがある。

そうなれば、《旧・神族》云々前に双夜との全面戦争が始まってしまうので、それだけは回避せねば……。

 

「あの事……知られてるッポイぞ?」

 

「ええ。わかっておいでですよ……しかし、確証は握られていません。なので、放置しております」

 

「その上で、知らない振りか……良い性格しているよ(笑)」

 

ホント、良い性格しているよ双夜もその使い魔も。

確証が握られていないからって、そこまで大胆になれるとかちょっと正気じゃねぇよな。下手を打てば、ほぼ強制で【組織】に組み込まれても文句が言えないんだぞ?

これまでの我が儘を踏まえたら、ちょっとやそっとでは引き返せない所まで押し込まれて……あー、でもあの魔王閣下の事だそれを逆手に更なる無双チートとか殺りそうだよな(笑)。結論が出たので、この事は忘れる事にした。

折角、積み上げた良好な人間関係をリセットするにはかなり惜しまれる。なら、彼等のトップシークーートップシークレットと認識しているかは不明だが、秘密はそのままに別の交渉に生かした方が健全だろう。

 

「じゃ、黙ってておくから師範の貸し出しよろしくね?」

 

「…………脅しですか?堕ちぶれたモノですね、三世界の英雄も……わかりました。良い返事が出来る様に頑張ります」

 

一応、確約は得られたので俺はその場を後にする。

『果報は寝て待て』と言うし、返答はそのまま放置する事にして凍真の元へと戻る事にした。とは言うものの、トラウマを得た凍真との関係は面倒この上ないので適当に。

こんなハズではなかったのだが……成ってしまったモノは仕方がないので、弄りネタを回収しつつ転移魔法を発動する。ほぼ、一瞬で凍真の元へと戻った俺が目にしたのは数人の女達に責め寄られている凍真と……右往左往する友人達の姿だった。ぶっちゃけ、とても面倒臭い場面に戻ってきてしまったなぁ……というのが、俺の素直な感想。

こういうのは、第三者的立場で遠目に眺めて要られるなら最高なんだけど……当事者に近い位置で見るには、余りにもリスクが高かった。

 

「セイビアさん、助けて下さいっ!!」

 

「えー……面倒臭い……」

 

「ちょ、なんでそんな事言うんですか!?」

 

「ボジション的に、挟まれて仲裁させられそうで……」

 

「意味不明な事言ってないで助けて!!」

 

「ノシ付けて、配送したい気分だ……」

 

「ちょ、ひぃ!?」

 

何もしないでいると、凍真が一人の女性に捕まり引き摺られて行く。本人にはアレだけど、端から見た感じでは幸運そうだし放置でも良いかなぁと思えたので放置を決め込む事にした。と言うか、『今』手を出すと自分も巻き込まれそうなので手を出しあぐねいているのが正解だ。

もうこれ、どうしろと?

ぶっちゃけ、超元気な女共を相手にするなんて面倒事を増やす行為に近いので遠慮したい気分Maxなんだが……それでは凍真がかわいそうなので助けてやる事にする。

 

「あー、ちょっと良いか?」

 

「何よ、無神経。あんたの出る幕じゃないから、引っ込んでなさいっ!!」

 

「……………………」

 

カッチーンと来ましたよ?

もう、アレですよね!

 

「魔王閣下、暴走させるしかないか……」

 

「待ちなさい!良いわ、話を聞いてあげようじゃないの!」

 

誰の事を言っているのかわかっているらしく、話掛けた馬鹿女はコロッと手の平を返して話を聞く体制になる。

 

「もしくは、ハプシエルって手も……」

 

「ちょ!?話を聞くって……いえ、聞かせて下さい!!」

 

ある意味、最終兵器の羅列に女共が色めき立つ。

出来る事なら、相対したくないワーストNo.1と2に顔を青冷めた女達が凍真をほっぽいといてこちらに向き直って来る。ぶっちゃけ、こういう状況は好ましくないんだけど……助けると言った手前何もしないなんて事はしたくない。

だけど、複数の女性に注目された上に詰め寄られるのは嫁の嫉妬を買う可能性があるし、あまりよろしくない話に成りかねないので止めたかった。

 

「じゃあ、凍真を解放してくんね?」

 

「別に、拘束している訳じゃないわ……」

 

「優しくするなって言ってんじゃねぇよ。ただ、トラウマになる程に追い詰めるなって言ってんだよ!」

 

「……………………」

 

何か、心当たりがあったのか相対した女がばつの悪そうな顔をする。それで、ピーン!と来るモノがあった。

 

「まさか、お前等……」

 

「別に、強姦なんてしてないわよ!?」

 

語るに堕ちやがった。

コイツ等、嫌がる凍真を無理矢理強姦したって事か!?

つーか、未だ人間の領域を出ない凍真を人外の力で捩じ伏せて無理矢理押し倒した訳だ。

そりゃ、トラウマにもなるだろう。

 

「とりあえず、風紀委員(最終兵器)に通報しなきゃ……」

 

「ま、待って!話し合いましょう!!」

 

「って、言われてもなぁ……」

 

「黙っててくれたら、お姉さんがイイコトして上げるわよ!?」

 

「あ、間に合ってますんで……」

 

「くっ……噂に違わぬ愛妻家。じゃ、じゃあ、お金で手を打ちましょう!その方が、気が楽で良いわ!!」

 

「あ……」

 

あ……なんで、こんなところに風紀委員!?

女性陣の背後から、忍び寄って来るかの様に風紀委員が現れた。俺と交渉している馬鹿女共は、背後から近付く《絶望》にその事に気が付いていない。むしろ、ヒートアップしたように交渉に熱を上げ始める。

 

「そ、そうね……50万クレジットなら出せるわ!」

 

「あー……間に合ってるんだけど……」

 

「じゃ、じゃあ、100万っ!いえ、200万クレジットならどう!?」

 

「どう!?じゃなくてだな……そんなに、風紀委員に凍真を強姦した事知られたくないのか?」

 

女の背後から、説明を求める視線に晒されて俺はそれに屈した。ちょっと、説明口調になってしまったが馬鹿女は気が付いた様子もなくヒートアップしていく。

 

「なら、ちょっと予算オーバーだけど……500万クレジットでどう!?」

 

「悪いけど、そんなにお金には困ってないんだ……」

 

いや、もう本当に困ってなかったりする。

子供が出来たら、そりゃちょっとヤバイゾーンに入るかもだけど……今のところそんな気配はないし、レイと二人だけなので節約に節約で貯金も溜まり始めているからな!?

 

「…………ぶっちゃけ、後ろ、後ろ……」

 

「……………………っ!?」

 

錆びたカラクリ人形の様に、ギ、ギギッ……と背後に振り返る馬鹿女。とても良い笑顔で、振り返る馬鹿女を受け入れる風紀委員。俺は、風紀委員がにこやかに馬鹿女を捕まえる瞬間を目撃した。

 

「い……ぃやあああああぁぁぁぁぁぁ!!!??」

 

そう、叫びたい気持ちはわからないでもないが……そんな事をしたら周囲の馬鹿にも伝播するだろう!?

悲鳴を聞いて、凍真を取り囲んでいた女共も風紀委員を見付けるなり悲鳴を上げて逃げ出し始める。しかし、風紀委員が手下の風紀委員会を呼び出した(召喚)するとあっという間に馬鹿女達は捕まってしまう。

 

「おー……手際良いなぁ……」

 

「ええ。日々、訓練を欠かしていませんから……」

 

「じゃ、凍真の身柄はこっちで預かるから女共はお任せで!よろ~♪」

 

「ええ。何時もながら、レイさん以外の女性には辛辣なのですね……少しは、優しくして差し上げたらどうです?」

 

「レイが、嫉妬しなけりゃそうするよ……」

 

凍真の首袖を掴んで背中に担ぐ様に持ち上げると、風紀委員が珍しく苦笑いの表情をしていた。何となく、『仕様がないなぁ』と言われている様な気がしたけど、何も告げずにその場を立ち去る。その後、凍真を襲う馬鹿女が現れたという話は聞かなくなった。だが、それで凍真の女性恐怖症が治る訳でもなく……結局、双夜の使い魔(♂)と師匠の連携で何とか修行を再開する事が出来た。

だけど、やる気のない凍真が師匠の元から旅立つ事もなく日々は過ぎていく。やはり、人選間違ったんじゃないか?

【始まりの魔法使い】(あの馬鹿)は……。

 

 

 

 

 




まさかのセイビア視点!!メタァ発言が多くて大変でした(笑)。本当は、双夜の秘密暴露を予定していたのですが……面倒になったので見送りしました。明確に、誰の転生体だとは言いきれないので(笑)。因みに、セイビアは知ってます。
それを知った時は、剃刀持ってて愁の頭に添えてたらしいですが……秘密より、そっちの方が気になります。
どうして、そんな状況に!?と。

微ギャグ。微シリアスなストーリーを、ギャグキャラでやる辺りが鬼畜ッポイんだよ(笑)。まあ、セイビアの場合……普通にこなしてくれるんで楽です(笑)。
因みに、病室にいたのは苦労人3・無神経・大樹(混血のお見舞い)・混血の四人だよ(笑)。後、銀河?

双夜の……ってか、【真実の瞳】について追加話。
何話目だったか忘れたけど、【真実の瞳】が【直死の魔眼】化するってサラッと触れてた話の続きなんだけど。
キーワードは、『死の真実を!』で【直死の魔眼】が発動するんだけど……『石化の魔眼』や『魅了の魔眼』の様な能力は使えないんだよ(笑)。
あくまで、『視る事』専門の“目”だから!!
何かを付与する様な力はありません。真実を視せる事は出来るんだけどね。あれは、地特性なので可能なのだよ。他特性だと出来ないって話だから。
後、魔力を帯びているから【魔眼】というんだけど……視る事専門の“目”は、【○○の瞳】や【○○の目】と表現した方が良いのかな?【直死の瞳】とか【直死の目】とか?
因みに、分類的にはこんな感じに分けられる。
【真実の瞳】……視認特化特性。
【石化の魔眼】や【魅了の魔眼】等……付与特化特性。
そういう質問があったので追加情報です(苦笑)。

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