絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二一一話

双夜

 

 

「………………あ、何か嫌な予感……」

 

俺の呟きに、何かを察したらしい神崎が青冷めた顔で周囲を見回し始めた。全く、この子ってばそういう直感だけは人一倍になりやがって……中々、頼もしくなってるじゃないか。ほぼ完全に、周囲の状況を無視して俺はニヤリと笑う。とは言え、この不当な扱いは心外なので直ぐに解放して欲しかった。

 

「あのさぁ……僕、捕まりたくないんだけど……」

 

「……あのなぁ……君達は、犯罪を犯しているんだぞ?捕まりたくないです!と言われて、『ハイそうですか』という局員が何処にいる!?」

 

《さて……準備は、良いですか?》

 

《ちょ、待って下さい!師匠、何かする前に俺にチャンスを下さい!それで、何とか出来なければ師匠の好きにして貰えば良いので……お願いします!!》

 

《……………………》

 

こちらが、行動を起こそうとした瞬間、神崎が割り込んで来て自分に任せて欲しいと進言してきた。

俺はそれに、無言で返したがよくよく考えると殺人の現行犯である神崎に武装隊を説得する材料は……無い。多分、神崎の事だから殺人云々の事ーーその転生者が、《堕ち神》となった事でこの世界軸で生きていた人間である事を忘れているーーをオミットしていて、俺達を未来人だからという理由でゴリ押しするつもりなんだろう。だけど……それならば、未来人である俺達があの転生者を殺す理由はどう説明するつもりなんだろうか?そこで、神々云々を言い出せば……また、八神はやての神様超善性説と押し問答する事になるだろうし、それを抜いて転生者と《旧・神族》の企みとかぶっちゃけるのはかなり難易度が高いと言わざるを得ない。やはりここは、力尽くで相手をブチのめし逃げ出した方が良いと思われる。

それ以外では、管理局側に連れて行かれた際に転生者共が煩わしいだろうし……それに加えて、なにょはママ達にマテリアルズの相手までしなければならないから、デメリットの方が大きい様に思えた。

 

「ぶっちゃけ、僕達がそちらに捕まった際のデメリットを上げようか?」

 

「え!?ちょ、師匠!?」

 

なので、神崎が武装隊隊長に話し掛けているのに割り込んでこちらのデメリットを徹底的に伝える事にした。

話に割り込まれた神崎が、非難の声を上げるが無視。

困惑気味な隊長を相手取って、俺は捕まった後の面倒事について語る事にした。

 

「デメリット?」

 

「まず一つ目。高町なのは含む、魔法少女を『嫁、嫁』言ってる馬鹿に絡まれる。別にさ、僕達は彼女達に興味なんてないんだよね。なのに、『俺の嫁に近付く者は排除!』とか言ってる奴等がもれなく留置所に現れて愚痴愚痴言ってくる……」

 

「…………それは……うむぅ……」

 

唐突な発言だったけれど、彼等の行いを一年程見続けて来た武装隊隊長は俺の捕まりたくない理由を聞いてうっかり納得しちゃってる。ああ、やはりこの人達も色々思う事がありましたか。基本的に、奴等の行動は目に余るモノばかりだろうから。

 

「二つ目!」

 

「まだあるのか!?」

 

「そこにいる、高町なのはが僕達に『お話、聞かせてくれないかな?』と言いつつ、模擬戦を申し込んで来る可能性について。彼女、魔法戦に勝ったら勝利者権限でなんでも許されると思い込んでいるらしいので面倒なんだけど?」

 

「……………………」

 

おや?何故か、武装隊面々が微妙な顔付きに。

まさかとは思うが、あの悪癖を周知されてないのか!?

 

「あ、師匠。その話は、武装隊に伝わってないと思います。高町なのはが、模擬戦病でO☆HA☆NA☆SHI厨になるのは局員になってからですから……」

 

「そうなんだ?え、じゃぁ、()()()()()()が武装隊をディバインバスターで吹き飛ばし厨病になるのはこの後なんだ……フムフム。御愁傷様です!!」

 

『「「「「ママぁ!?」」」」』

 

「「あ……」」

 

しまった!うっかり、何時もの調子で口が滑った。

神崎を見るが、苦笑いしているだけで役に立ちそうにはない。だから、これに関しては自分でなんとかする他ない。

 

「とりあえず、それは置いといて……三つ目。これは、一つ目と被るんだけど……僕達、あの馬鹿共に何度か殺され掛けてるんだよね。非殺傷設定を切った、魔法攻撃をされてるんだけど……暗殺とかされないよね?」

 

「……おぉう……殺傷設定で、攻撃されたのか!?」

 

ちょっと、失敗しちゃったけれど巻き返しは可能なハズだから……少しずつ、話を盛って注意を発散させる様に誘導する。うっかり、さっきみたいな事はしない様に気を付けて……カバーストーリーとフォローを再構築してしまう。

 

「一応、()()()()()()()()にその時の映像が記録されてるけど……」

 

「「「レイジングハート……」」」

 

「ぐはっ!?…………聞かなかった事にして、マジで!」

 

「…………そういう訳には……」

 

言った側から、初歩的なミスをしてどうする!?

ええぃ!先程の失態を引きずっちゃってるな!?

切り替え、切り替えだよぉ……俺。ええぃ、仕方ない。

ここは、平行世界と未来知識で神崎じゃないけど押し切るのみ。ゴリ押しではないよ!?ゴリ押しじゃ……。

 

「じゃあ、僕達があの男を殺す理由を教えたら解放してくれる?アイツのせいで、なにょはママが魔導師じゃ無くなっちゃった未来を僕達は語れば良いにょかな?」

 

「!?」

 

もうこの際、殺人を認めてその理由をでっち上げする事にしてみた。本当は、ママが魔導師のお仕事を頑張り過ぎて任務中に過労で倒れて大怪我をするんだけど……それを、あの死んだ馬鹿に擦り付けてしまう事にする。

 

「ぶっちゃけ、あの男はママに良い所を見せようとして……その結果、ママが魔導師を止める原因を作るんだ。リンカーコアが、魔法を使う度に痛むんだったかな?で、魔導師の道を断たれたママは第97管理外世界でパティシエの専門学校に通う事になる。でも、魔法が使えないせいでママは…………」

 

顔を臥せ、その先は言わない。

表情は、悲しみに揺らぐ様にしてちょこっと涙を捏造。

水系魔法と幻影魔法で、悲しい思い出を思い出しちゃった子供を演出。余り、やり過ぎない様にしつつ次の話へと進む。いやー、俺ってば演技派で鬼畜だよね(笑)。

 

「このレイジングハートは、ママの形見に僕が受け継いだモノだ……」

 

形見……と言った瞬間、その場にいた全員が驚愕の表情で『え!?』という顔をする。ですよね。そうなる気持ち、痛い程に良くわかります。

 

「フェイト姉のバルディッシュやシャマル先生のクラールヴィントもあるよ?はにゃてが壊れて、守護騎士の生き残りがシャマル先生だけで……色々あったんだよ……」

 

「なのはちゃんが、魔導師やないだけで私もフェイトちゃんもみんな生きとらへんみたいな言い方やなぁ……」

 

「「「……………………」」」

 

はやての発言で、隊長さん含む原作ヒロイン達は沈黙した。人が折角、明言を避けていたというのに……なんて、アッサリ言いのけるんですかね?

 

「えっと……『俺の嫁達よ!』とか、言ってる人達がね?ママやフェイト姉達が、自分のモノに成らないからって拗ねて拗れて犯罪組織に降り……リンカーコア封じのロストロギアを持ち出して来て、管理局は全滅するし……クロノは、嫁と息子娘を殺されブチギレて『犯罪者は皆殺す!!』とか言い出すし……無茶苦茶だよ?色々……それで、僕達は未来から過去にやって来れた。なら、やるべきは原因となる馬鹿を排除して未来を変える事かなぁって……」

 

『「「「そんな未来なら、納得(や)(です)だ!!」」」』

 

まあ、納得したところで俺達の犯した行為がたち消える訳じゃないけど。それに、今述べた事は可能性の一つであって本当に起こる事はないだろう。だが、あそこまで馬鹿が揃っていると可能性が高いと思わざるを得ない。

そうはならなくても、明確に未来を変化させようとしない限りは原作に近い結末に至るから面倒この上ないんだよね。ジェイル・スカリエッティの代わりに、未来を知る転生者が戦闘機人を操って革命を起こせば酷い事になるのは目に見えている。だって、彼等の目的は究極の処で『原作人物を手に入れてハーレムを造り出す』っていう自己中の極みみたいな事柄だ。そんなもん造ったところで、バーゲンセールで活躍するオバちゃん達を数分眺めれば、己が辿る未来を容易く想像出来るだろう。

 

「ぶっちゃけ、ハーレムなぞ造ったところで数年もすれば肝っ玉母ちゃんが出来上がるだけだと言うのに……馬鹿だな、男って……」

 

「肝っ玉母ちゃんって……」

 

苦笑い気味の隊長が、呆れた様子で反論を挟んで来る。

しかし、フェイト姉以外はそうなる可能性を秘めたヒロインが多いので、その反論はそのまま呑み込ませた。

 

「なるだろう?周りには、自分と同じ人を愛する強者達。そして、生まれてくる沢山の子供。当然、人数が多いから纏めて面倒を見る事になるのは必至。その結果、数年前までは可愛らしい女の子だった娘が、肝っ玉母ちゃんになるのは当たり前かと……」

 

「「「…………確かに……」」」

 

その条件を提示すると、簡単に予想が付いたのか武装隊の面々がうっかり納得してしまった。だよな。子供が多いと母親が肝っ玉母ちゃんになるのはどこの世界でも同じだろう。そして、その事は既婚者であるならば良く知っているハズだ。実際に、それを体験しているハズだからな。

 

「しかも……だ。振り返って見ろよ?一人は、不屈の精神で戦い抜く未来のエースオブエース。見た目も良いから、そこそこの実力を得れば、管理局の広告塔になりそうじゃないか?」

 

「「「…………フム……」」」

 

「それと、既に肝っ玉母ちゃんの片鱗を見せ始めている歩くロストロギア。守護騎士と言えども、常識知らずの彼女達の面倒を見続けている彼女が、今更清楚可憐な乙女になると思うか?」

 

「「「うむぅ……」」」

 

「おい!?ちょっと、待てや!?」

 

「そりゃさぁ……フェイト姉みたいに、元々の性根が清楚可憐な乙女なら露知らず、誰がどう見ても『お母さん』をやってるはにゃてが大和撫子になるのはかなり難しいんじゃね?」

 

「ちょぉ待ちっ!なんで、フェイトちゃんと比べるんや!?そんな事したら、私が霞むんは仕方ないやろ!?」

 

「しかも、自覚あり……と?」

 

「「「フムフム……」」」

 

ちょっと、ぶっちゃけ過ぎている様にも思えるけど、事実なのだから仕方がない。まあ、本人も認めている様だし。

 

「ハッキリ言って、このメンバーを嫁にしたいとか正気じゃねぇよなぁ……フェイト姉(性格)だけなら、幾らでも娶るよ?オプションで、ママが付いて来るけど……」

 

「オプションって……なのはちゃんかて、流石に親友の新婚生活を邪魔しになんて行かへんやろ!?」

 

「甘いなぁ、はにゃては……フェイト姉大好きなにょはママが、離れて暮らす訳がないじゃん。つーか、そのせいであの馬鹿共はハーレム云々を宣言してるんだから……」

 

「…………ん?待って……それ、前提がおかしい。なんで、アイツ等がそんな事を知ってるって言うん?未来の事なんて、誰も予測つかへんやろ!?」

 

おっと。まさか、その矛盾点に気が付いてくれるとはこの世界軸の八神はやては中々鋭い様だ。これなら、本来の史実を語っても問題ない様に思える。まあ、既に話に付いて行けず頭を抱えている高町なのはと、話を全く聞いていないフェイト・T・ハラオウンは省くとして。

ただ、【神】についての明言は避ける方向でちょこっと踏み込んだぶっちゃけをしてみる事にした。

 

「ところがどっこい、アイツ等は知ってるんだよ。だって、アイツ等は転生者だからな。……というか、知っているか?転生ってモノを……」

 

「転生って……生まれ変わりってヤツやろ?一度死んだ人が、輪廻を経てもう一度赤ん坊からやり直すってヤツや!」

 

「そう。彼等は、それをやってこの魔法少女の世界へ転生して来た異世界の魂だ。つまり、アイツ等には前世の記憶がある」

 

「異世界?それに、前世の記憶やて!?」

 

「正確には、平行世界。よーするに、パラレルワールドからの転生者なんだよ。そのパラレルワールドで、この世界……まあ、似た様な世界観を元にしたモノなんだけど……は、アニメとして放映されていたらしいよ?」

 

さて、このぶっちゃけに対して八神はやての反応は?

 

「待って。アニメ?私等が、アニメの登場人物とか言うつもりか?えっと、それはちょっと頭おかしんとちゃうか?」

 

ある意味、ドン引きの対応だった。やはり、彼女の中にある常識がこの現実を妄言と認識したらしい。

 

「にゃははは。因みに僕も、この世界ではないけれど……とある物語の登場人物だったりするんだけどねぇ……実際、その世界が物語であった証拠も得ちまったからなぁ……」

 

「…………本気で言うとんの?」

 

「そもそも、その可能性はあるんだよ?この世界から見た、パラレルワールドとパラレルワールドから見たこの世界は……ぶっちゃけ、昼ドラが現実になってる世界だってあるんだ。そう考えたら、この世界がアニメになっている可能性は……さて、どれ程のモノか……」

 

「……せやったら、あんた……未来人やあらへんやろ!?」

 

「ほぉ……。その可能性に気が付くとはなぁ……流石、時空管理局海上司令殿だ。ま、未来の肩書きなんざ……『へっ』でもないだろうがな……だが、僕が体験した未来はパラレルワールド……この場合は、この世界の複製型平行世界だが……それらを経由して、ここにいる訳だから実際に起こった出来事として真実味はあるんだよ?」

 

「そんなん、起きひんかった可能性かて!!」

 

「だが、本来居ない人物がいる時点で……余程、本来の史実と異なる道を進まねば、それが起きる可能性はかなり高いぞ?わかっているか?ジュエルシードの事件も、闇の書の事件も史実として存在しているんだからなぁ。例えば、リインフォースの消滅とか……?」

 

「っ!!」

 

「来たれ、【蒼天の書】。リインフォース・ツヴァイ、召喚!」

 

はにゃてが、言葉を詰まらせた隙を突いて俺は最後のピースを召喚する。呼べば、目の前に現れる蒼天の書。

そして、半ば強制的にツヴァイを呼び出して八神はやてに見せ付ける。それが意味する事と、その現実を理解させる方法……としては最低の行為。八神はやての目が、大きく見開かれて一歩身を引かせた。

 

「二代目、リインフォース。これが意味する事は、見ればわかるだろう?なんたって、ツヴァイはお前が組み上げた次代のリインフォースなのだからなぁ……」

 

「……あ、ああ…………」

 

「悪い、神崎。失敗した……」

 

「ぶっちゃけ過ぎだよ!このお馬鹿!!」

 

「つい、興が乗ってしまったんだ。許せ……来い!《Millionaire Agathion》!!」

 

瞬間、俺達を囲む武装隊を囲む形で使い魔達が出現する。

あっという間に、形勢は逆転した。武装隊が、武装を解除するのを待ってから俺を拘束しているバインドをブチブチと引き千切り、神崎達と共に包囲網から抜け出る。

 

「残念だったね。時空管理局……敵対しては駄目な存在と、敵対しちゃ駄目だよ?」

 

「くっ……まさか、これ程の戦力を隠し持っていたとは……お前達は、どこの組織の者だ!?」

 

「は?何言ってんの……組織?……ああ。あの子達は、僕の使い魔だよ(笑)」

 

「つ……」

 

「「「使い魔ぁ!?」」」

 

「そうだよ。あれ、言わなかった?僕のレアスキルは《太陽の化身》。天に輝く太陽がある限り、僕の魔力は無尽蔵、無尽蓄、無限大だ!即ち、僕の魔力は尽きない。なら、それを使わない手は無いわなぁ?」

 

嘘です(笑)。まあ、大嘘って訳でも無いけど、本当の事でもないから総合的に嘘って話になる。だけど、やろうと思えばやれるので嘘というのは間違っていた。

 

「さて、リンディ・ハラオウン。聞こえているだろう?少し、話をしないか?」

 

『ええ、聞いていたわ。それで、話って何かしら?』

 

「武装隊を退いてくれないかなぁ?そちらだって、無駄な争いをして被害を拡大させたくはないだろう?ああ、アースラを落とす様な事になっても良いなら続けるけど……てか、アースラってSLBに耐えられるんだろうか?」

 

『………………わかったわ。エイミィ、武装隊を退かせて』

 

「かあ……艦長!?」

 

「じゃあ、こっちも……おい、武装解除だ!」

 

武装隊が、転移魔法でその姿を消し……使い魔達は、俺に言われた通り武装を解除した。何時も、これくらい素直に聞いてくれたら楽なのに……と、交渉中なのにうっかり普段の使い魔の態度を思って溜め息を吐く。

 

『出来れば、貴方の周囲を飛んでるのも退いて欲しいんだけど……』

 

ほら、こっちがホッとしたと思って余計な事をお願いしてくるじゃないか……なので、そちらは別の理由で拒否しておく。というか、こっち見ないでくださいませんかね?

 

「バスタービットを?……これは、保険だよ。主に、バトルジャンキーとか、守護騎士とか、女剣士とか、シグナムを警戒してのモノだ……」

 

「シグナム一択!なんでさ……って、目がギラギラしてやがる!?既に、ロックオン状態でしたか……」

 

「……って訳で、退けないんだよ……」

 

『……………………』

 

それと、俺達の背後に回ったテオルグやラヴォルフも退かせない。まあ、見た目がアレなんで牽制には使えないだろうけど……居ないよりかはマシである。というか、まだ辞令も出してないのに自主的に『妹役』をやってる時点でコイツ等の本気度が伺えた。

 

「はぁ……じゃ、僕達は次の世界軸に飛ぶから……二度と会う事はないだろうけど、またね?」

 

『待って!次の世界軸!?二度と会わないって……』

 

リンディさんが、慌てた様に声を荒上げる。

然程、驚く様な事は言ってないハズだけど、彼女には驚く程の事だったらしい。それとも、【軸】の意味がわからなかったのだろうか?

 

「僕達は、平行世界を旅するハグレ者だ。次元世界が、横並びの世界だと言うのなら……僕達が担当するのは、縦並びの世界。君達では、到達不可能な場所へ移動するだけさ」

 

『平行世界……』

 

「跳ぶ訳には行かないだろう。そこには、その世界の【リンディ・ハラオウン】が居るんだから……リンディ・ハラオウンという人物は、世界に二人と居る訳には行かない。それは、世界に消滅の危機を与えるのと同じ事だ。だからこそ、人は時間転移が使えないんだよ。僕や転生者と違って、その世界に生きる確かな人だから……過去を変えられないのと同じだ。死者が、生き返らないのも同じ法則から来ているからねぇ……ああ、僕達は別だよ?だって、ありとあらゆる【世界】に移住する為の権限を持ってないからねぇ」

 

『移住権を持っていない?』

 

リンディ・ハラオウンは、移住権が無いという俺の言葉が理解出来ないのか首を傾げる。まあ、【世界】に住んでいる者からすると……今、【世界の内側】に存在しているんだから移住権が無いと言われても今一理解出来ないらしい。

 

「そう。本来ならば、誰もが持ち得ているハズのモノを僕達は持ち得ない。何故なら、僕達は生物のカテゴリーに入らない存在だから……一応、質量化しているけど、こう見えて高次元精神生命体なんだよ。僕はね……神崎やユーリは、違うけれど……僕は、存在出来る次元が違うんだよ。だから、存在を劣化させてこの世界に分身を送るのが精々かな?」

 

『………じゃあ、貴方は天使や悪魔と似た様な存在だと?』

 

「なんでそんな、低級存在と一緒にするのさ?基本的に僕達は、その世界の知的生命体と関わらない。関わる場合は、それ相応の理由がある時だけだ。今回だって、イレギュラーである転生者が居たから君達と関わりを持ったけれど関わらないで済むのなら、徹底的に関わらないから……」

 

それが、本来の《神殺し》と呼ばれる存在の行動だ。

基本的に、現地人との接触は禁じられている。いるんだけど、必要に迫られれば接触せざるを得ない訳で……希に、現地人に恋愛感情を持った馬鹿が【組織】に連れ帰る事もあった。まあ、その場合は【組織】の所属ではなく連れ帰った個人の扶養家族扱いになる。

 

「師匠!師匠!俺は、原作ヒロインに関わりたいです!」

 

「…………ふふふ。じゃあ、異性に嫌われる呪いでも掛けてやろうか?何なら、視界に入った瞬間……悲鳴を上げられるレベルのヤツを……」

 

「話の腰をへし折ってサーセン。どうぞ、続きをお楽しみ下さい。あ、でも……俺達を放置しないで下さい……」

 

「放置なんてしてないだろう?会話に加わりたいなら、それ相応の知識を身に付ける事だな。教材はあるんだから、教えを乞えば教えてくれるだろう?」

 

「えっと……教えて頂けるんでしょうか?師範代……」

 

おっかなビックリ、神崎は『リリィ』姿のテオルグ達に視線を向けた。向けたんだけど、邪悪な笑顔で返されて硬直している。正に、蛇に睨まれた蛙だった。

 

「何はともあれ、色々あるんだよ。それに、時空管理局は現在進行形の時間軸で横並びの世界だけの担当だろう?僕達は、縦横並びだけでなく前後左右斜め含む世界の管理なんだぜ?過去、現代、未来、並列、平行……ありとあらゆる世界が担当の僕達よりかはマシだろう?……人手不足?何それ美味しいの?手が足りないなら、過去に戻ってやり直せば良いじゃない。経過を見たいなら、現代に行けよ。結果が見たいなら、未来に行けば無問題。それで駄目だったら過去からやり直しね?……なんて言われる事ないんだから」

 

『ーーーーー』

 

うふふ……と笑いながら、遠い目でかつてそれを言った天使を思い出す。あれは、衝撃的だった。まだ、時間転移を知らなかった頃の話だから、その時受けた衝撃は計り知れない。ええ、それはもう驚いたの何のって……まあ、その結果生まれ育った世界をハッピーエンドに出来た訳だけど。

 

「誰ッスか!?そんな事言ったの!?」

 

「ヴァーヴァリア。神崎は、まだ会った事ねぇか……中々、鬼畜なサディストだよ?セフィロト・ローバリオ所属の天使なんだけど……人手不足を訴えたら、そう言われた……」

 

「ローバリオ?」

 

「あの【組織】には、色んな種族がいるのは知っているだろう?ローバリオは、天使族共の巣だよ。因みに、ガンガルンは悪魔族共の巣だね。テトレモ、ギューリ、エイラム、ソートル、ヘスカテと、色々あるけど……実力主義が、悪循環をもたらして基本イジメっ子しかいないとかいうオチだからな……ああ、カルヲは別だよ?」

 

カルヲは、樹に調教されてサドからマゾに鞍替えしたらしい。まあ、俺があの【組織】に所属する前の話だから人伝に聞いただけの知識である。

 

「種族別で、色々分けられているんですね……」

 

「一纏めにしてると、戦争になるからな。それで、施設が壊れて【鮮血の】がブチギレて次元兵器なんて持ち出して全員を震え上がらせてたけど……」

 

「次元兵器?」

 

「超規模の次元断層を、人工的に発生させる兵器だな。アレ使われたら、数万から数百万の次元が消失するね」

 

『…………なんてモノを……』

 

「大丈夫だよ。【内側】では、使われないよ。僕達は基本、【外】にいるし……“ゼロの次元”に常駐しているからね」

 

『……ゼロの次元?』

 

「【次元】というモノが、生じる前の状態……所謂、次元の卵?と呼ばれる所に住んでいるんだよ。まあ、基本的に生物は住める様な場所じゃないし……そもそも、辿り着くなんて出来ないんだけど。下手に足を踏み入れようモノなら即死だからな」

 

「あー……世界が生まれる前の状態で、ありとあらゆる生命が住めない場所があるんですよ。所謂、高次元世界と言うんですか?そんな場所に、師匠達は住んでいるんです」

 

厳密には、違うんだけど……“ゼロの次元”は、説明し辛いんで困る。まあ、生物というか……神様レベルの存在すら、存在出来ない様な場所なのでその事を人間に説明し様とすると言葉がなくなってしまう。と言うか、そもそもそれを表現する言葉がないんだから仕方がない。

言えたとしても、【死の次元海】とか……【『理』無き灰雲海】とかだろう。いずれにしても、あの場所を確実に表現出来ているとは言えないし……一番、良い得て妙と思われるのはやはり“虚(零)の次元”だ。

 

「じゃ、そういう事なので僕達の事はお気になさらずに。どうしても、気になるって言うなら無限書庫のバックドアとか教えるけど?」

 

「「「無限書庫のバックドア!?」」」

 

原作……もとい、ユーノくんが一番超反応。

流石に、自分の管理区の事が出ると気になるらしい。

 

『……バックドアって、何かしら?というか、何故貴方がそれを知っているのかしら?』

 

「あー、この世界『軸』ではないけれど……時空管理局の無限書庫に司書として勤務していた事があるんだよ。その時に、無限書庫っていうロストロギアの中枢システムにアクセスする事があってね?で、バックドアを見付けたんだよ」

 

まあ、その世界軸ではその権限をユーノくんに明け渡したので今も大活躍している事だろう。

 

「無限書庫は、自動で周辺の情報資料を掻き集める収集ロストロギアだ。なので、バックドアの中には……『お宝』と呼ばれる犯罪の証拠や、それ等を束ねた資料が眠っている訳だ。よって、無限書庫の中枢にアクセスしてバックドアを開ける事が出来れば……無限書庫が、機能し続けて来た時間分の悪意の山が溢れてくるって寸法だ!」

 

そう、そこには処分したと思っている裏帳簿や横領の証拠が山になっているはず。当然、それは時空管理局で不正行為をしている局員も含まれる。

 

「で、それを見付けては館内放送でぶっちゃけてあげたんだぁ♪」

 

「「「『酷い!!』」」」

 

かつてのお楽しみを、語って聞かせたら原作人物全員に残酷非道だと非難される始末。というか、それは犯罪を犯していた奴が悪いのであって俺が残虐非道なチビッ子だという訳ではない。それよりも、管理局内で不正を働いているバカを、検挙出来るのだからもっと喜ぶと良い。

 

「僕、悪くないよ?不正を働いているバカが悪いんだよ」

 

「まさか、師匠……また、無限書庫で司書をやるんですか?」

 

「やらないよ!?世界の歪みを修正するよ……全権は、ユーノくんにまた明け渡すさ……って訳で、フレールくん贈呈です。後で、返してね?」

 

「えっと……何?このヌイグルミ……」

 

「きゅ!」

 

「うわぁ!?」

 

「フレールくんは、使い魔であってヌイグルミじゃないよ?一応、バックドアについてはフレールくんも知ってるし……何より、バックドアを見付けたのはフレールくんだから適任かなって……」

 

「えっと……この子が、バックドアを教えてくれるの?」

 

「そだよ?なので、僕達はフレールくんが無限書庫に行ってバックドアを開けるまではこの世界軸に留まるけど……その後は、次の世界軸に行くから~よろしく♪!」

 

という訳で、俺達はしばらくこの世界軸に留まる事となった。その権利(世界に留まる権利)と神崎の(殺人の)見逃しに、司法取引を持ち掛けて見事もぎ取った訳だ。

いやはや……色々横道に逸れたりしたけれど上手く纏まってめでたしめでたしである。

 

 

 

 

 




双夜、うっかりミス(笑)。大ピンチですね!!
なにょはママにロックオンされたかもです(笑)。
双夜の受難は続く(笑)。まあ、どっちかと言うと自らバラしに行った様にも思えるけれど(笑)。でも、はにゃてと会話しているとこうなっても仕方がないと思えたり(笑)。

捕まるデメリット……転生者に超絡まれるから(笑)。
しかも、逃げ場のない場所でネチネチとイビられるのは流石の双夜でも嫌ですからね(笑)。ユーリが傍にいる限り、転生者達が双夜を無視する事は、まず無いから(笑)。日替わりで来て、ネチネチグチグチと絡んで来そう。

ついでに、マテリアルズ(空気)は残存します。
そういう、ルートなんだと思ってくだい。
シュテル気に入ってるキャラだけど、それはINNOCENTのシュテルであってマテリアルズのシュテルではない。なので、空気でOK(笑)。絡む予定は、INNOCENTのみ。というか、割り込みで入れたから何も考えて無かったんだよ(笑)。
スーパー稲妻キックしか、頭に無かったからねぇ……本当に、それだけで書いた世界軸wwww。


昔、見ていた創作系特撮モノで『戦隊モノ』。
実は、それが『ウッドロー誕生』の元ネタなんだよねぇ……。
超能力は、別ネタから引っ張ったモノだけど……『ウッドロー』は、変身ヒーローになるハズだったんだ。
まあ、昭和仮面ライダーが元ネタです(笑)。それを、異世界転移させる予定だったんだけど……ここで、『どうやって、異世界で整備(マシーン等を)すれば良いんだろう?』と思ってしまったのが終演の原因。結果、整備とかいらないモノで……と考えて超能力に走った訳だ。
元は、『超能力戦隊超レンジャー』なんて題名だったしな!
…………戦隊モノ、ネタ尽き状態だから『超能力戦隊』とかあり得そうだよね(困)。
因みに、異世界ネタは中学2年終業間近に見た夢の話から来てます。『黄金の草原(根幹)』+『変身ヒーロー(ネタ)』+『異世界』+『暗殺者(スタイル)』+『光の剣(スレイヤーズ?)』を足した感じの夢を見たのが最初。それを始まりに、当初は異界から来る魔物を退治する戦隊モノだったんだが……『黄金の草原』が上手くハマらなくてなぁ……なら、『異世界モノにするか!』って話になったんだよ。
大体、私は夢で見た事柄を記憶してるで、支離滅裂で無茶苦茶な記憶なんだけど……それを、物語の根幹にして最初と最後を考えて物語を創ります。あ、当時の話ね?
だから、まず夢で根幹となる物語を見て記憶。
支離滅裂だけど(笑)。
それにTVで流れているアニメや物語と融合させて分離。
もしくは、新たな世界観を創り出して組み込み……全く異なる世界を構築。そこへ、色んな要素をブチ込んで混ぜ混ぜ。
で、出来上がったのが持ちキャラと創作物語達である。
だから、かなり厄介なネタがあります。倫理感がないのも仕方がない。元(夢)が、元(夢)だけに(笑)。
それ(夢)が、元だけに双夜の世界はかなり重い話になりました。基本、殺人オンリーで死者多数の初期ネタから派生したモノだからね(笑)。元ネタは、『奇妙な世界』ってホラーサスペンス。それに、怪異現象を組み込んでホラーミステリーにしようとしたら……魔力と魔法が入って、厄ネタになった(笑)。でもって、厄ネタ回避の為に異世界からの遺物を突っ込んだら……世界が崩壊して、余計ろくでもない話に(笑)。
最終的に、人類vs魔法使いの話になって泥沼化したのが……『双夜の世界の過去(歴史)』。
途中で、誰も止める人がいなかったから行き着く所まで行き着いてしまったお話になりました(笑)。
あれは……酷かった。盛り返すのも大変なお話だったからねぇ……。魔法使いは、迫害されるし……怪異で、死者がいっぱい出るし……遺物に至っては、世界の重要文化財が焼き捨てられて行くし……もう、最悪の物語に。

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m(_ _)m
 
感想もあれば、お願いします!
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