絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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ニニ七話

神崎

 

 

シャボン玉男を放置して、《時渡り》をした俺達は一旦『船』に戻って来て……師匠狂信者に拉致られた。

ああ、拉致られたのは俺だけで師匠はあの場に残ったよ?

コックピット(?)というか……艦橋に。

拉致られたその先で、俺は魔獣に襲われるという不幸な目に遭っていたけれど。命からがら(笑)逃延びる。

その間、師匠がどこで何をしていたかまではわからない。

まあ、師匠の事だから無事だとは思うけれど……俺達は今、食堂の冷蔵庫内に立て込もっている。何故なら、魔獣には物理も魔法も効果無かったからだ。どうやら、全攻撃が無効化されてしまう処置がされているらしい。誰の作品かは知らないけれど、何てモン産み出すんですか!?と全員で憤慨して逃げ出した訳だった。

 

「つーか、俺の俺の休息がああぁぁぁ……」

 

「うるせぇよ!!」

 

「撮り溜めしてた番組を見ながらのんびりマッタリする予定が……」

 

「みんな、同じだろう!?黙れよ!!」

 

何となーく、俺と同じ人種が居る様な気がするんですが……気のせいですか?ヲタク?ヲタクがいるの?

《神殺し》にも!?あー、いや、そう言えば【鮮血の】さんもそうでしたね。それで、師匠が犠牲になっていたんだった。

 

「クソッ!まだ、ウロウロしてやがる」

 

「食堂付近で消えたから、怪しい所を探してるんだよ」

 

「…………知能と嗅覚が弱いって事?」

 

「まさか。罠じゃねぇ?」

 

「成る程。知能が高いのか……って事は、こっちに近付かないのはワザとか……」

 

《透視能力》を持つ《神殺し》の話だと、今尚あの魔獣は食堂の周辺をウロウロしているとのこと。

薄暗い冷蔵庫の中、周囲を見回せば余り良くは見えないけれど、ウッスラと隠れ潜んでいる《神殺し》達の表情が見える。ただ、青冷めているとかは全然わからないけど。

だが、一部の者達の中には恍惚とした表情の連中が混ざっている。えっと……あれ、何ですか?

 

「Masterの狂信者です」

 

「兄様を拉致った方々だ。余り、見ない方が良い」

 

「……oh…………」

 

傍にいたテオルグ師範(見た目、金髪の美少女)達が、恍惚とした集団の説明をしてくれたのだが……知りたくなかった。そんな事実……つか、師匠は知ってんの?そんな、アイコンタクトを飛ばせば帰って来たのは否定の動き。

そうッスか……師匠、知らないんッスか。

【真実の瞳】は、仕事してないんですね。

 

「いいえ。ですが、意図的に外しているみたいですね」

 

「昔、『エライモン見た』と言っておられまして……」

 

「何を?つか、『エライモン』?」

 

唐突に、話し掛けて来たのは統括理事と呼ばれる使い魔の一人でアルカリア・フォーゲストという師匠の側近の方。

元ネタは、『アルカリ、アホですよ!?』という文面から付けられた名前らしい。アルカリって、電池?アホになってたんッスか!?と思ったが……本人が、可哀そ過ぎて俺は押し黙ってしまった……という経緯がある。

 

「何を見たんですかね?」

 

「腐ヤンデレ(最凶)の心情を見たそうです」

 

「ゴフッ(吐血)……」

 

血ヘドを吐いて(揶揄)、パタリと倒れた俺は『なんで、そんなモンを直視してるんッスかあぁ』と嘆きの声を上げる。

つか、何故そんなモンを視ようと思った!?という思いが強くて上手く言葉が出ない。

 

「いっちゃん、見たら駄目な奴じゃ無いですかぁ……」

 

「当時、不穏な空気を纏う馬鹿がいてな?止める間もなかったんだ…………」

 

「それ以来、全力スルーがデフォルトになっている訳だ」

 

「そりゃ、全力スルーしたくもなりますって……あ、もしかして……『ヤミ』さんですか?」

 

「いや、もっとヤバイのがいたから……」

 

「え゛!?アレ、以上!?」

 

ガチ?ガチなのが居るのか!?シャボン玉の原液ではなく、ジェル規模のヤンデレが!?

 

「マジかぁ……じゃあ、今回は軽目だったんですね……」

 

「アレを、『軽目』と表現するか……」

 

「中々、肝が据わって来てますね」

 

「そのまま、Master規模になれれば最強ですよ?」

 

「成れませんって……」

 

「兎に角、あの腐った腐女子なデス・ヤンデレ(最凶)さんは削除されましたので御安心を……」

 

「信者程度なら、問題ないですが……Masterを独占したあげく拉致監禁は御法度なので強制退場していただきました」

 

喉元を、スゥーと親指で切るイメージが頭を過る。

サァーと血が引いてはいたけど『まさかなぁ……』と思いつつ、《退場》という言葉について訊ね様と師範達に視線を向けた。しかし、何故か師範達は曖昧な微笑みでうやむやにする。え!?ちょ、マジなんですか!?

 

「それって、リセット(初期化)された奴の話ですよね?」

 

「余り、新人脅すなよぉ?」

 

「で、デスヨネ!使い魔、殺しても死なないですもんね!!」(必死)

 

つーか、俺の傍でヤンデレや使い魔達のあれやこれや的裏内情話すの止めてくれませんかね?本当に生きた心地がしないので、出来れば俺の居ないところでお話して欲しいなぁ……余りの恐怖故に、俺は現実逃避するしかなかった。

あー……それと、巻き込まないで下さい。

 

「…………まあ、基本はね……」

 

「供給カットされたら、休眠するか消滅するかですけど」

 

「供給カットだけじゃ、記憶までは消えないよ(笑)」

 

「Master関連で、やらかしたら()()()でフルボッコなんですよ?」

 

「もう良いんで、健全な話しませんか!?」

 

『『『健全(笑)』』』

 

訊きたくない話が、延々と行われるのでストレートに話題の変更を申し出てみる。わかっている癖に、彼等は愉しげに笑っただけで止めてくれる気配はなかった。

だから、イラッと来た俺はとあるフラグを建てる事にする。出来るなら、余り建てたくはないフラグだけれど……ムカ付いたので、容赦なく建てる事にした。

 

「くっ……アレは四天王の中でも最弱。たかが一匹倒しても、第二第三の魔獣gフグッ……」

 

「ちょ、おま、何建設しようとしてるんだよ!?」

 

「てい!フハハハ。()()()()()で、我等を倒せると思って居るのか!?…………後から、『台所の黒い悪魔』みたk「止めろっ!」……フッ。別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

「「「こ、コイツ……!!」」」

 

建てて、建てて……建てまくってやんよぉ!!

魔獣大量発生フラグと、死亡フラグ!!ガンガン建てまくって、ガチで引いてやるっ!!さあ、おい出ませ大量魔獣!!こんにちわ、死亡フラグ!!

 

「俺、この戦いが終わったら大好きなあのk……」

 

「止めろ!マジで、止めろ!!」

 

「ちょ、スタンピードが本当になるだろう!?」

 

『ん。わかった』

 

『「「「へ?」」」』

 

フラグ建てをしていると、『ブツ……ジ、ジジ……』という音と共に師匠の声が古いスピーカーから聞こえてくる。

瞬間、この魔獣事件が誰の手で行われたのか即行で思い当たった。と同時に、死刑宣告をされた様な気分に陥る。

 

『スタンピードというか、バイオハザードを望むんだよね?なら、流石に全部を物理・魔法無効とか付けられないけど数を用意する事は出来る』

 

『「「「あ……」」」』

 

「待ってください師匠!」

 

『……なんだ?』

 

「殺るなら徹底t……」

 

「ヤメロ!!」

 

死ね!ガチで、死ね!!

つーか、フラグ回収しやがれ!!

 

「何故、こんな事を!?」

 

『最近どうだい?僕ぁ段々退屈になって来たよ。だから、世界の調整をする合間に空いていた右足で新魔獣を合成してみた。成獣から、6時間6分6秒で泡となり崩れて消滅するけど。それまでは、元気に生き生きと暴れ活動しまくるよぉ?アフォみたいにね(笑)。兎に角、彼等はとても凶悪だ。ボクが数回殺されるくらいには凶悪だ。それでは、精々頑張ってくれたまえ』

 

ちょっと、何処かで聞いた様な台詞だったけれど……俺の目論見通り、魔獣大量発生フラグは建設されて見事回収されたのだった。その結果、冷蔵庫の外が騒がしくなって来たのだけれど……さて、今まで膠着状態だったこの状況が魔獣大量発生によってどう転がるか全く一切予想が付かない。

 

「フフフ……攻撃も魔法も効かない魔獣は、回復魔法で異常回復させて倒すんだろ!?」

 

『フム。正解だ……しかし、それもアニメ知識なのかい?』

 

「……全部に無効処理がされてない以上、魔獣を全滅させるのは容易いだろう!!」

 

「「「おぉう……」」」

 

ただ、懸念があるとすれば何時無効処理された魔獣が紛れ込んで来るかだけれど……それは、運任せとなるだろう。

当たった人、お疲れさまです。目の前に来たら、俺の運命もここまでだったと諦めて下さい。

 

「さあ、いk」

 

台詞は、最後まで続く事なく頑丈なハズの冷蔵庫の扉が破られて魔獣が雪崩れ込んで来た。扉の前に居た《神殺し(?)》なんか、唐突に破壊された扉と共に吹き飛ばされて奥へと見えなくなる。それを見送っている間に、次から次へと魔獣が雪崩れ込んで来てあっという間に逃げ場のない片隅へと圧しやられてしまった。

 

「くっ……なんちゃって《断空拳》!!」

 

慌てて壁際に寄り、なんちゃって《断空拳》で冷蔵庫の壁をブチ壊すと一部殿に残りつつも我先にと逃げ出す。

逃げ出したけれど、その先にも通路を埋め尽くさんばかりの魔獣がひしめき合っていた。

 

「ああんもう!ブチ殺ぉす!!」

 

俺はそう喚き、一気に間合いを詰めて近くにいた魔獣を攻撃する。攻撃された魔獣は、拳がメリ込んだ瞬間硬直した後に弾け飛ぶ。その結果を得て、その場に物理・魔法無効が付与されたタイプの魔獣がいない事を悟った。

 

「押し通る!邪魔するなっ!!」(ネタ)

 

「はは……無茶しやがって!」

 

フラグを建てて回収した者として、先陣を切るのは当たり前の話だ。まあ、下手を打てばその時点で退場となる訳だけど。残念ながら、今回はハズレを引いたらしい。

出来る事なら、先の一撃で退場したかったのだけれど……運命は、中々残酷らしい。

 

「イケイケですよ!!」

 

「油断すんな!何時、何処から現れるかわからないんだぞ!?しかも、御丁寧に見た目は全部同じにしてある!!」

 

俺の報告(?)に、応えた《神殺し》達から注意が飛んで来る。だが、最もな注意だったので俺は素直にその忠告を受け入れた。そして、襲い掛かって来た魔獣を一撃で屠る。

何体かは、一撃では弾けない奴もいた。《神殺し》達が言うには、きっと定着か構成が甘いのがいるのだろうという。多分、俺のフラグによって急遽生産を早めたヤツなのだろう。いやー、ホントすんません。

 

「軽い!!」

 

「土下座しろや!」

 

「ヤメロ!戦力が減る!!」

 

「コイツ等の後には、無効タイプが控えているんだ!」

 

「謝罪は、後に回せ!!」

 

「ギャアアアァァァ……」

 

「無効タイプだ!」

 

「出たぞ!!」

 

「タンクぅ!!」

 

防御特化の戦士達が前に出て、回復系が中央にその周りを攻撃特化の戦士で固めて陣形を整えるが……どれだ!?

見た目は、他の魔獣と同じで狂暴性も変わらず……あー、訳がわからなくなってしまった。状況は最悪。無効タイプの魔獣は、他の魔獣に紛れて見失い面倒な戦いは続く。

 

「畜生!メッサ、ウザいっ!!」

 

「ワザと!?ワザとだよな!?」

 

「ウザい!この上なく、ウザい!!」

 

「みんな、冷静に!これは、罠だ!!」

 

「こっちの精神を揺さぶってくるのか!?」

 

「流石、『魔王』だった男!!卑怯な!!」

 

『OK。無効タイプ、もう一体追加な?』

 

「「「サーセン!マジ、ごめんなさい!!」」」

 

『もう、追加した。ついでに、通常の魔獣も追加だ(笑)』

 

「「「「「「ヤメテ!!!」」」」」」

 

等々と口では嘆いているけど、《神殺し》達の魔獣を殺す手は一切止まっていない。次々と襲い来る魔獣を、千切っては投げ千切っては投げして確実にその数を減らしていた。ただ、その表情だけが百面相状態で芸が細かい。

 

「なんか、凄く微妙な感じがする」

 

「大丈夫!その内、慣れるから(笑)」

 

「とりゃああぁぁぁ!!…………やったか!?」

 

「手を出すな!アイツは、俺が殺る!!」

 

「お、俺が殺らなきゃ……誰が殺るんだよ!?」

 

「ここは、通さねぇぞ!!」

 

「もう、何も怖くない……」

 

「今日は、とても調子が良いんだ……」

 

「クソッタレー!!」

 

「…………なんだろう?死亡フラグが、乱立している様な気がする……」

 

というか、《神殺し》のほぼ全員が死亡フラグを建ち上げていた。なんかのお呪いかと思いきや、全員がドヤ顔でフラグ乱立をしているのでわかっててやっているのだろう。

ああ、不老不死だから死亡フラグを乱立しても大丈夫って事なのか……と思っていたのだけれど、後で聞いたところによると『さっさと撃沈して、誰かに戦闘を押し付ける為』だったらしい。なんて、傍迷惑な!!

とは言え、この戦闘を誰かに押し付けて自身はさっさと退場したくなる理由はわからないでもない。わからないでもないのだが、退場するのは殲滅した後にして欲しい。

それが、その場で戦う全員の総意だった。だがしかし、それが総意だったとしても中には一人くらいならと思う奴も居る訳で……それをやった馬鹿は、助ける間もなく魔獣に引き摺られて行ってしまった。

 

「……………………」(戦闘はしている)

 

「……………………」(激しく、戦闘をしている)

 

「……………………」(手は、魔獣を殲滅せんと動いている)

 

「ちょ、助けないんですか!?」

 

「「「無理だろう!?」」」

 

今のところ、魔獣殲滅で手一杯なので引き摺られて行ってしまった馬鹿を助けられる状況にはない。しかし、助けない訳にも行かないのでとりあえずで聞いてみたが『ムリ』と即答されてしまった。

 

「良いか?今、殺られたらああなるんだ!サボるのは、後回しにしろ!頼りにしてるぜ!!」

 

「「「ジャッジメント!!」」」

 

「ネタはいいから!」

 

とは言え、ネタでも挟んでないとヤってられない。

次から次へと、溢れ出てくる魔獣に辟易としながら俺は向かって来る魔獣を撲殺していく。しかし、何となく魔獣が減っている様には思えなかった。むしろ、増えている様に思えている。ツッコミたくはないが、口にしないとわからない事もあるので聞くだけ言ってみた。

 

「増えてません!?」

 

「増えてるよ?」

 

「増えてんな……」

 

「増えてますね」

 

「増殖中!!」

 

「てか、後方からも来たぞ!?」

 

「殿、全滅!?」

 

いつの間にか、後方が魔獣で埋め尽くされていた。

少し、見え隠れしている所から冷蔵庫に空いた穴へと魔獣達が侵入して行くのが見える。

 

「もしくは、離れ過ぎた!?」

 

『『『ギャアアアァァァーーーーーー』』』

 

そんな疑問が、口々に出て来るが後方から聞こえて来た断末魔的悲鳴で状況が理解出来る。どうやら、俺達は殿をしてくれていた《神殺し》達と離れ過ぎてしまったらしい。

 

「……………………」(戦闘はしている)

 

「……………………」(激しく、戦闘をしている)

 

「……………………」(手は、魔獣を殲滅せんと動いている)

 

「事態に気が付いた時には、何時も手遅れなんだな……」

 

「どうするよ!?状況、最悪なんだけど!?」

 

「あっちもこっちも、挟撃状態なんだよ!?」

 

「奥義とかで、ズバーっと範囲攻撃とか出来ないんッスか!?魔法でも可!!」

 

「それのオチが見えた!放った瞬間、無効タイプの魔獣が割り込んで来て無効されるんだろう!?」

 

「チッ。超面倒臭いんですけど!?」

 

「諦めろ!そして、多分俺達は奴等に蹂躙されるぞ!」

 

「蹂躙されたくなかったら、戦え!魔獣を殲滅して、勝利を勝ち取るんだ!!」

 

「また、死亡フラグ来ター(゚∀゚)ー!!」

 

「ヤメロ!ヘンナコトイウナ!!」

 

「ちょ、そうこうしている内に回復系が拉致られているぞ!?護衛、何やってんの!?」

 

振り返る俺だったが、背後を見て状況を正しく理解した。

魔獣が、()()()()()()押し寄せてくる。

 

『『『あ!?アカン!!』』』

 

そして、俺達は他の《神殺し》共々、その大群に呑まれてしまうのだった。呑まれてしまった後は、何がなんやらサッパリ覚えておらず上下左右前後に揺さぶられて気を失ってしまったからだ。残念無念。

 

閑話休題。

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

「ーーーの様に、転生者の特典を破壊してしまうのは転生者が《堕ち神》に成ることを防ぐ為である。放置は、考えられない。放置してしまえば、転生者が原作と呼ばれる物語に与える影響は計り知れないだろう。存在するだけで、影響するんだからやはり手を加える必要がある。神様特典が、世界や物語に影響を与えない様にするにはノーマルな状況に嵌め込むしかないんだ。ノーマルな状況とは、転生者一人に対して神様特典は一つ辺りの話だな。それならば、如何なる特典であろうとそれ程大きな影響にはならない。だが、メリット特典とデメリット特典が揃った場合は異なる。一つだけなら、プラスマイナス0で問題ないけど……プラスにしようとする力とマイナスにしようとする力が引き合う状態が永遠と続くんだ。そりゃ、周囲に与える影響は洒落にならないさ。相反する強大な力が、転生者を中心にして反発し続けているんだぞ?本人は大丈夫でも、周囲に与えられる影響は世界の根底に響くモノにはなるんだよ。そうなれば、世界が【外】に吐き出される可能性は大きくなる。ちょっとした刺激で、奴等《旧・神族》が大喜びする状況が出来上がるだろう。そうなれば、転生者達が原作と呼ぶ世界以外の複製世界が【外】に吐き出され蹂躙される事となるんじゃないかな?奴等には、それが可能な召喚魔法が実在するからね。それを防ぐのが、僕達《神殺し》であり【組織・ナイトメア】だ」

 

「…………【組織】に名前とかあったんですね……」

 

「ん?ああ、神崎起きたのか……まあ、『絶望という名の悪夢』というフレーズまであるくらいだからな……一応、存在する事はするよ?」

 

一方的に、延々と話をしている師匠の言葉に割り込んでみるとアッサリとした返答があった。見れば、真っ白な空間で師匠がたくさんの猫に囲まれた状態で、その子達に話し掛けているのが見てわかる。ここは?と周囲に視線を巡らせると、日当たりの良い清潔な白色の一室だった。

 

「病院?」

 

「『船』の中にある、住居区健康管理病棟の一室だよ。魔獣事件の後、全員を回収してここに叩き込んだ訳だ。嫌がる馬鹿含めて、ほぼ全員をな?全く、定期健康診断くらい手間かけず受けてくれれば面倒がないというのに……」

 

「健康診断!?」

 

「ああ。《神殺し》には、定期的に健康診断を受ける義務があるんだ。例え、不老不死と言えども病気になる奴はなるからな。だから、定期的に健康診断を受ける義務が発生するんだが……誰も受けてないとアルカが報告するから……」

 

なので、あの魔獣事件を起こして強制的に健康診断を受けさせたらしい。なんて、傍迷惑な……とは思ったけれど、師匠も受けていると聞いて俺は黙る事しか出来なかった。

因みに、俺は前回【組織】に戻った時に師匠と共に受けている。僅か、30分程の診断だった。

 

「ちょこっと、機械に入ってスキャンされるだけじゃないですか……それすら嫌とか、どんだけなんですか!?」

 

そりゃ、まる一日潰れる行程ならわからないでもないけれど、たった30分程度の時間しか拘束されないのに何で嫌がる必要がある!?それで、健康診断が出来るなら楽チンで良い事でしかない。

 

「病気が見付かれば、強制拘束された上に【組織】に強制送還されるからだろう?そして、約半月は病棟に閉じ込められる。なので、奴等は嫌がるんだ。なんせ、奴等の不養生は折り紙つきだからな……スゲーぞ?」

 

「あー……何となくわかります」

 

引き籠りの部屋みたいなモノですね?わかります。

ずっと、引き籠っているから掃除なんてしないだろうし……ウジとか涌いてるイメージがある。まあ、《神殺し》さん達は魔法とかでチャチャッと掃除しているイメージがあるけれど。師匠の言いたい事は、なんとなく理解出来た。

 

「まあ、そんな訳であの魔獣事件を起こさせて貰った訳だ。ああ、その辺の理由は皆知ってるよ?物凄く、抵抗されたけれどね……」

 

「あー……サーセン」

 

「神崎が謝る必要はないよ。健康診断を受けない、アイツ等がイケないんだ」

 

そう言われても、魔獣事件でかなり大暴れした記憶があるのですが……あれ、ヤバかったですよね?

 

「冷蔵庫やその周辺の修復なら、もう終わったよ?」

 

「あー……もう、ですか?」

 

「うん。神崎が、寝ている間に終わったよ」

 

聞けば、俺が寝ていたのは数日に及んだらしい。

もう、この病棟に居るのは俺だけとのこと。

 

「……面倒掛けて、申し訳ありません……」

 

「問題ありませんよ?兄様」

 

「そうだ。思わぬ休暇に、我等がMasterもお休みになられたからな。『病み』も、お前を誉めていたぞ?」

 

その『誉め』は、師匠と過ごせる時間を持てた事に対する『誉め』である様な気がするので素直に喜べない。というか、師匠の周りに集っているにゃんこ達から感謝の視線が俺に集中している様な気がするが気が付かなかった様に視線を反らす。つーか、ガチでこっち見ないで下さい。

大量の視線を向けられて、俺はその病み切った視線の恐怖に怯えるのだった。

 

 

 

 

 




神殺しの健康診断をネタにしてみました。
ついでに、堕落王フェ・ム・トだよぉ(笑)。血界戦線より。
彼の話し方って独特でおもしろかったんだよね(笑)。
そして、引き続き『病み』ちゃんの出番です(笑)。
まあ、『病み』ちゃんの前にガチ勢がいた訳ですが……彼女は、リセットされました(笑)。不死だからって、滅多刺しは許されなかったのだよ。拉致監禁洗脳と、三コンボしたのもアレだったし。なので、初期化されましたとさ。
で、魔獣事件です。倒す数よりも、生産の方が早いとかどうなってるんでしょうね。なんとなく、【組織】から【鮮血の】が拉致られて来ている気がするのですが……全く、語られてないのも気になります。絶対、終わった後でボコられて梱包されて送り返されているんじゃないかと……やりそうだ(笑)
そろそろ、本気で双夜がストライキとか起こしそうですね……もう、いっそうの事なにもさせない方が良いかも知れません。というか……SAOモドキ世界へ飛ばして、ストレス発散&休暇させた方が良いのかな?あの、二年にも及ぶクエストを延々とさせてやろうかしらん?とか、思わないでもない。
クソ面倒で、NPCの好感度を上げるだけの悪夢的クエストを……(笑)(笑)。第10階層にあるアレとレベル二千万のドラゴンについても殺らなきゃなぁ……。

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