絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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二四三話

神崎

 

 

各して、俺と師匠は【魔法少女】の世界へ舞い戻った。

いや、『舞い戻った』というよりも『落ちた』と言った方が確かかもしれない。何故なら、自分達が降り立ったのは海の上で、初っぱなから海水浴をするハメになった。

しかも、ミッドチルダの海!!

あ、味とかで判別した訳じゃないよ!?

そして、何故か気を失った師匠を抱えて何とか陸地に上がったかと思えば、機動六課の最新シミュレーションシステムの端で訓練の真最中。師匠を引き上げて、ホッと一息着いたところをディバインバスターで一網打尽にされてしまう。ぶっちゃけ、ここまでの理不尽を一度に体験したのは俺が師匠と旅をしている中で初めてじゃないだろうか?

その後は、目覚めない師匠を抱えて助けを求めて聖王教会へと運び込まれ、シスター・シャッハの案内で騎士達が訓練している場所へとやってボゥーとしている。

俺は、基本的に無傷だったので師匠を騎士・カリムに預けた後はこの【魔法少女】の世界へ舞い戻るまでの時の事を思い出していた。

 

「……………………」

 

ハッキリ、言ってしまおう。変な揶揄や表現も無しの方向で、俺から見た素直な感想をぶっちゃけ様と思う。

つーか、アレ見てて普通に疑問に思う事は多いし、何より俺はあの人物が気に入らない。本人は、そんなつもりは無いんだろうけど……真面目に修行している俺からすると、完全に不真面目でチャラ男の様にしか見えない。こんな風に、本人が居ない所で悪口を言うのはダメなんだけど……どうしても言っておかなければならない事がある。

ぶっちゃけ、禍焔凍真と師匠の相性は《最悪》と言っても過言ではない。

何故なら、ここ……【魔法少女】の世界へ来る前、SAOモドキ世界・アインクラッド第22階層『森の家』の裏手にある秘密基地内部で師匠は禍焔凍真との対話を行なっていた。しかし、いざ対話を始めようとすると……俺と師匠は、《時渡り》の紅い光に呑み込まれて【魔法少女】の世界へ跳ばされる。

異世界転移をする前、秘密基地の広間には他の重鎮達ーーウォーティさんや【鮮血の】さん達ーーもいたけれど、ポカーンとした顔で消えていく俺達を眺めているだけだった。まあ、ウォーティさんは冷静にウィンドを開いてメールを打っていたけれど……中身の方は、師匠のPCに送られたと見て間違いないだろう。

 

「………………」

 

師匠が、それを覚えているかどうかはわからないが……この《時渡り》が、態とではない事は間違いないんだから氷り漬けにされたりはしないと思いたい。

だが、どうなるかは神のみぞ知るっと言ったところだ。

なので、早く目覚めてウォーティさんのメールに目を通して頂きたいところである。とは言え、先程の様子を見る限り《時渡り》前の事を覚えてはいなさそうだし、気にもしていなさそうなので色々とヤバそうだ。

 

「なので、俺と遊ぶ前に師匠へメールを見る様に言ってください!!」

 

師匠に絡んで、ドナドナされた後リリィ達に俺はお願いしておく。でないと、何時まで経っても返答がない事に怒ったウォーティさんが再度メールを送って来そうで怖い。

 

「師範……もし、師匠がウォーティさんからのメール見なかったらどうなりますか?」

 

「……………………」

 

ウォーティさんに対する二人の対応から、フと頭に浮かんだ疑問を聞いて見ると……サァーっと、青冷めて行く二人の様子からただならぬ未来が夢想された。

この二人が、こんなになるウォーティさんってかなりヤヴァイ人なんじゃ!?と思ったが、決して口には出来ない。

 

「ちょっと、Masterの所に行って来ます!」

 

「あ、はい。どうぞ……」

 

リリィは、慌てた様子で師匠の元へと走り去って行く。

その後ろ姿を見送って、俺はテオルグ(オルタ)に伝言した上で師匠がウォーティさんのメールを確認しない事があるのかを問う。

 

「あ……ああ。確認しない事がある……」

 

「死亡フラグ!?」

 

「ああ、それは間違いなく。たまに、こちらも巻き込まれて氷像になるから……」

 

「そんな!?なんで!?」

 

「色々と、理由はあるが……Masterは、かなりのものぐさなので……」

 

「は?でも、あの人……暇潰しで、仕事する人ですよね?」

 

「ああ……それは、そうなんですが……基本、ものぐさなんですよ。仕事は、キッチリやる方なんですが……メールを見なかったり、部屋を片付ける癖にゴミを溜め込んだりするんですよ」

 

「なんじゃそりゃ!?」

 

今一わからないが、やれる事とやりたくない事が両立するらしい。何を言ってるのかわからないと思うが、あの人は希にそういう事をやるとのこと。

 

「なんで、それが両立するんですか!?」

 

「さあ?性格なんですかね?」

 

「部屋は、片付けるんですよね!?なのに、ゴミを溜め込むんですか!?仕事はするのに、仕事のメールを見ないとか……プライベートなら、わかるけれど……」

 

「なので、人と人との関わりがちょっと……」

 

「あー……まあ、()()が両立するなら確かに他人との関係に支障をきたしますよねぇ……」

 

テオルグ師範は、オルタの顔で苦笑いをする。

何となく、オルタのイメージからそういう表情が連想出来なかったので珍しいモノを見た様な感じがした。

まあ、テオルグ師範もそういうイメージがないので二重の意味で珍しい。基本的に、苦笑いをするのはラヴォルフ師範くらいなモノだ。あの人は、困った顔が似合う人だからな。何時だって、眉を寄せて苦笑いしている。

リリィの姿でない時は、見掛ける度に基本困り顔だった。

対して、テオルグ師範は常にニヤニヤしている人だ。

意地の悪いと言うと、悪い印象を与えるだろうけれど……常に悪戯の隙を狙っている様な人である。

なので、ラヴォルフ師範のリリィは常に問題を抱えている様に見えて……テオルグ師範のオルタは常に悪巧みをしている様に見えていた。たまに、澄まし顔で『兄様』と言って来るので、つい警戒して身構えてしまう。

 

「師匠、ちゃんと見ますかね?」

 

「見るだろ……何か、不安になってきた……」

 

俺の不安が移ったのか、テオルグ師範までも不安に成り始める。フムフム、成る程……言われても、見ない事があるんですね?ちょ、師匠……どんだけ、ものぐさなんですか!?

 

「あの人は、基本のんびりマッタリ過ごすのが好きな方ですからね。まあ、のんびりマッタリした後は仕事しないと悶絶してますけど……」

 

「は!?」

 

「多分、貴方の感覚では『Masterが、のんびりマッタリスローライフ』と聞いたら、短い期間でのお休みとか……そう、思いますよね?」

 

「あー……まあ、そうですね」

 

「違います。あの方は、不老不死なのです。人間感覚の『お休み』と……不老不死の『お休み』は期間が違います」

 

「はあ……」

 

「基本的に、あの方の『お休み』は年間での『お休み』なのです……」

 

年間かよ!?そりゃ、働きたくもなるわ!!

つーか、年間もグータラして『働きたくない』なんて言う奴が居るか!?引き籠りは、省くとして……年間単位での『お休み』なんざ、生活資金を使い込まない事にするとしても数ヶ月が関の山だろう!?

それを、年間単位とか……舐めてんのか!?と言いたい。

 

「え?じゃあ、年間休んでから働くんですか?」

 

「いえ、年間も休みませんね」

 

「はい?」

 

今、『年間休む』と言ったじゃないですか!?

舌の根も乾かない内に、前言を撤回するんですか!?

 

「Masterの場合は、年間のお休み中に仕事を始めて……そのまま、『お休み』を有耶無耶にして『暇潰し』と称し仕事を続行します」

 

師匠の『お休み』は、長くて半年……短くて半月と、期間はまちまちだけれど、ある程度の期間は『お休み』しているらしい。ただ、肉体を『休めて』はなくて『お休み』期間中も修行をしたり料理をしたり勉強をしたりしているとのこと。いや、もう……そこまで、動いていないと落ち着かない人も珍しいと思う。何が、師匠をそこまで駆り立てるのかわからないが、余程ジッとしていられないのだろう。

 

「なんで、そこまで……」

 

「そりゃ、『両親の魂』が《旧・神族》に昇拾されたと聞かされたら居ても立っても居られないでしょう?」

 

「……《親の魂》が、《旧・神族》に【昇拾】された?」

 

「はい。Masterを、【忌み子】とした者達が《旧・神族》に拾われて《神の眷族》と成ったとあれば……どこまで、増長するか……とか、気が気ではないでしょう?」

 

「師匠を虐げた人達ですよね?なんで、拾われたんですか!?生活だって、魔法使いに頼りっきりで……なのに、魔法使いを敬うどころかゴミ扱いしたクズニート達ですよね!?無能に、どんな利を見い出したと!?」

 

「Masterに対しての嫌がらせです」

 

「おおぅ……安定のクズっぷりに、驚きも何もねぇよ!!」

 

《神殺しの異端児》として、有名に成りつつあった師匠に対して牽制の意味を持って《両親の魂》を昇拾したのだとテオルグ師範は言う。だが、それは牽制にも成りはせず……寧ろ、師匠の行動力を高めただけに過ぎなかった。

それで、《旧・神族》が取った行動はというと【静・クリスティーナ=D=アスフォード】の魂を師匠の両親に与えたという噂を流す事だったらしい。

 

「で……師匠は、どうなったんですか?」

 

「【真実の瞳】に嘘が通用するとでも?」

 

「ああ、一応慌てたけど……嘘と見抜いたんですね?」

 

成る程、成る程……明確に嘘とわかる噂って、師匠の『眼』を通すと見抜ける訳か。なら、師匠の恋人の魂って……。

 

「なので、Masterの目的は現在のところ《旧・神族》に昇拾された《親の魂》を破壊する事に集約されています」

 

おや?とは思ったけれど、俺はそれをスルーしてテオルグ師範の話を黙って聞いていた。まあ、訪ね様とはしたんだよ?でも、瞬間的に危機感知能力が凄まじい警告を発したのでなんとか何事もなかったかの様に振る舞う事に成功する。詰まるところ、まだ見付けられてないモヨウ。

つか、師範達を持ってしても見付けられてないという事なのだろう。危うく、死亡フラグを踏む所だった。

なので、師匠の恋人の話は死亡フラグと心のメモに書き込んで俺は師範と共に師匠達の元へと向かう。

とりあえず、師匠がメールを確認したかどうかだけは確認せねば!俺や師範達の生死にも関わって来るので!!

閑話休題。

 

 

……………………。

 

 

結論だけを告げよう……現在、目の前で師匠とラヴォルフ師範がウォーティさんのメールを見る見ないで言い争っている。師匠は、『見る必要はない』と言い取り合わず……ラヴォルフ師範は、『見て下さい!』と師匠の足にしがみ付いて懇願している状態だ。なんで、こんな事になっているのかと理由を聞いてみれば……とても、容認出来る様な話ではなかった。というか、命(氷像化)が懸かっているのに師匠の我が儘でメールを見ないとか有り得ない。

それが許されるとしたら、氷像化は師匠だけでウォーティさんの怒りを受け止めて下さいって話になる。だがしかし、師匠はこちらをも巻き込む予定らしくこちらの要求すら認めない様子。その上、師匠の言い分(見ない理由)が『普段の命令さえ聞かない使い魔のお願いを聞く必要はない!だから、一緒に氷像に成ろう!!』というモノで理不尽極まりない。

そもそも、使い魔達は師匠至上主義なので命令を聞かないというのは違うんだけど……表向きは、ボイコットしているらしいので強くは言い返せないとのこと。

 

「ツンデレか!?」

 

「否定はしない!!」

 

「男のツンデレとか、どこに需要が……」

 

「性別は、一応ないですよ?ただ、判別上必要とされているだけで……性欲とかは、皆無です」

 

「聞きたくなかった、そんな事実……」

 

つまり、テオルグ師範もラヴォルフ師範も性別無しって事なんですね?それを教えられて、思い起こされるのは地獄な修行の日々。見た目男な師範達が、工口工口な衣装で美女に変身してチラッチラッと太股や胸元を魅せて来るという悪夢。まさか、アレが天国だったなんて俺は絶対認めないぞ!!二重の意味で、SAN値がガリガリ削られるけど、納得も認識も出来ないので認めない事にした。

 

「とりあえず……師匠!メールを見ましょう!!」

 

「Master! メールを見るんだ!!」

 

とりあえず、気分を切り替えて師匠の足にしがみ付いて頑張っているラヴォルフ師範に加勢して数で攻めてみた。

 

「見るだけなら、然程問題でもないじゃないですか!」

 

「別に、『既読』表示がある訳でもないんですから見ちゃいましょうよ!!」

 

「いや、奴なら『既読』表示システムくらい作ってそうだ!なので、見ない!!だから、みんなで氷像になろう!」

 

「「「なりたくないわ!!」」」

 

なんで、こんなに頑な何だ!?

まるで、恐怖のメールを……やり取りをしたかの様にも思えて、フと疑問が頭を過った。もしかして、既にウォーティさんと連絡をとり合った後なのではないのかと。

 

「…………もしかして、既に連絡しました?」

 

「ーーーーー」

 

師匠は、正に絶句と言わんばかりの表情で俺を見上げて来る。それだけで、俺は何が合ったのかを悟ってしまった。

あ、これ……恐怖体験後だ……。

余程、怖いやり取りがあったのだろう。師匠は、その恐怖を忘れたいが為に見てないと見た記憶を無かった事にしようとしていたのだ。ウォーティさん、一体師匠に何言った!?ここまで、怯える師匠も珍しいが……師匠に、怯えられる程の事をしたウォーティさんのメールもとても気になる。つか、メールだけで師匠を怯えさせるとか……どんだけなんですか!?

 

「とりあえず、こっちにそのやり取りを送って貰っても良いですか?こっちで、確認するんで……ああ、師匠は見なくて良いですよ?」

 

という訳で、師匠から送られて来たウォーティさんとのやり取りを俺達でも確認する。その上で、ぶっちゃけよう。

余りにも、あんまりな一方的で不毛なやり取りを。

 

 

着信ーーー今回は、それ程時間も取れてませんから凍真を連れて一時【組織】に戻ります。しかし、今回の様な事が続くのであればこちらにも考えがありますから。

 

 

返信ーーーああ、やっぱり時間が無かったか……ウォーティも忙しいのに申し訳ない。次回は、必ず【組織】の方で対話するから大丈夫だよ。

 

 

着信ーーーその時には、私も立ち合いますので日時の方を教えて下さい。決して、私を抜きでやらない様に。

 

 

この辺りまでは、全然普通のやり取りだったんだけど……この後、師匠の返信から一方的な命令が始まった。

 

 

返信ーーー流石にそれは悪いよ。忙しい、ウォーティの手を煩わせるのは申し訳ないし……こちらで、ちゃんと処理するからウォーティはウォーティの仕事をすると良い。

 

 

着信ーーー処理!?私を除け者にして、公の場では出来ない事をする気なのですか!?まさか、暗殺!?

 

 

返信ーーーは?いやいや、話し合いだろう?

 

 

着信ーーー余程、凍真さんを排除したいのですね。わかりました。そちらがその気なら、私にも考えがあります!

 

 

返信ーーーあの……何を……(汗)。

 

 

着信ーーー次は、話し合いの場でお会いしましょう。ふふふ……楽しみにしていますわ。《着信拒否》。

 

 

「ふぁ!?怖っ!!」

 

この、全く話を聞こうとしない感じがまた【始まりの魔法使い】みたいで何とも言えなくなる。というか、完全な一方通行状態でこちらの言い分すら聞かないとか……どういう事なのだろうか!?

 

「ウォーティさんって、思い込み激しいんですか!?」

 

「「いえ、全然……」」

 

「ゾンビさえ、関わらなければ問題ない人だよ?そう、ゾンビさえ関わらなければ……」

 

そう言って、視線を反らすので再度メールを見てゾンビが関わっていない事を確認する。というか、師匠の言い回しが誤解となっている様に見えるけど……どうも、そういう感じでは無かった。むしろ、真横に誰かが居て余計な事をウォーティさんに吹き込んだ様にも思える。つーか、あの場に残った人物達を考えると余計な事を吹き込んでいる様にしか思えなかった。【鮮血の】さんしかり……【女装巫女】さんしかり……。

 

「えっと、何か吹き込まれたとか?」

 

「まあ、そうだろうね……横から、ウォーティのウィンドを覗いてた誰かがこちらの揚げ足を取りまくったんだろうね」

 

「《処理だと!?》」

 

「《こいつ、何する気だ!?》」

 

「《人気の無い所に連れ込んで、殺る気なんじゃ……》」

 

「《暗殺!?》ってな感じですかね?」

 

「にゃははは。ヤりそうな内容だ……」

 

「酷ぇ……」

 

ありありと、その場面を想像出来る事からほぼ間違いなく……【鮮血の】さんと【女装巫女】さんが、色々とやらかした事が確定した。何て、はた迷惑な。

 

「で、どうするんですか?」

 

「……事後承諾で良いんじゃない?」

 

「それ、絶対ダメなヤツですよね!?」

 

それでも、忙しいウォーティさんの手を煩わせる必要はないと断言して師匠はこの件を内々に処理するつもりらしい。大丈夫かなぁ……後で、報復とかあり得そうなんですが……と、こちらの不安を煽る様なフラグを立てつつこの話は終了させられた。

 

「とりあえず、報告は?」

 

「ああ、前回の転生者についてですね?」

 

そう言って、ラヴォルフ師範が手を誰も居ない方へ差し出すとファイルとそれを持つ手が出現。そして、ラヴォルフ師範にファイルを手渡すと出現した誰かの手は消えて行った。ある意味、ホラーな光景だったけれど誰のツッコミも無いので黙っておく。つーか、ツッコミたいけど状況がそれを許してくれそうにない。そうして、モタモタしている内に転生者についての報告が始まってしまった。

 

「やはり、あの者は転生者で間違いありませんでした。それで、中身の方ですが……引きヲタですね。この現世では、明るく振る舞っていますが生前は家庭内暴力を行い両親に多大な迷惑を掛けています。収入は、ネットを通じて投資をしていたみたいですが……」

 

「そこそこ、儲けてはいた訳だ……」

 

「はい。コミュ障なので、引き籠ってはいた様ですがそっち系は有能だったみたいです。まあ、それでもムシャクシャすると物や人に八つ当たりして周囲を怯えさせていたみたいですが……」

 

「……内情とかは、わかりますか?暴力を振るった後に、後悔してたとか……謝罪してたとか……」

 

「一応、暴力行為の後に良心の呵責を起こしていたみたいですが……繰り返し暴力行為を行っていた事から、情状酌量の余地はないと判断します」

 

中々に、厳しい意見ですね。まあ、周囲に迷惑を掛けていた馬鹿に同情の余地はないですけど。でも、現世で心を入れ替えているという可能性もあるのでもう少し調べて欲しい。まあ、裏表があるなら断罪対象だけど。

 

「……ワンチャン、合法的に暴力が振るえるこの世界に転生した可能性もあるので……しかも、周囲の女性は美人ばかり性的欲求も解消できてバッチリだぜ!!の可能性も否定できないですよねぇ……」

 

「お前も大概だよな……」

 

まあ、それを思い付く辺り似た様な性質の馬鹿である事は否定しない。しかし、俺が俺である以上……こればっかりは、治しようがない特性なので諦めて下さい。

 

「諦めない!!」

 

「万に一つの可能性有る限り!!」

 

「絶対に諦めず、叩き直して見せる!!」

 

「何でそんな……力ある限りに全力で言って来るんですか!?しかも、かなりの力説だと!?」

 

まるで、少年漫画の一コマの如く言われても困惑するだけなんですが……暑苦しいので止めて貰えませんか?

 

「という訳で、ウォーティのメールは片付いたんだから修行してこいよ。神崎(笑)」

 

「そうですね。メールの件は、済みましたので修行しましょう。兄様!」

 

「フム。修行と偽って、根性を叩き直すのだな?では、死地へ逝こうか?兄様」

 

「ちょ!?唐突に修行宣言!?つーか、殺す気満々ですよね!?やめっ!ちょ!?引っ張らないで下さいって!!」

 

唐突に標的を俺へと変えた師範代達は、師匠が促すままに俺を死地へとドナドナするのであった。

そして、始まった鬼畜な鍛練。

気を失う事、八回。

死を覚悟した、二十九回。

実際に死に掛けた、十七回……のガチ実践。

師範代達を相手取り、本気ではなかったみたいだけど真剣を使った実践で生きた心地のしない模擬戦が行われた。

危機感知能力が、死のアラームをガンガン頭の中で響かせるので回避も防御もなかり全力だったのに、その上からバッサリ切り捨てに来る恐ろしい模擬戦だ。

 

 

……………………

 

 

……………………

 

 

…………Side 双夜

 

 

ここは、カリ姉が俺の為に用意してくれた寝室。

初めて目覚めた場所でもあるが、カリ姉流の冗談なのか月村家の子供用客室と同様の間取だ。きっと、次元艦で聞いた話から再現したんだろうけど……心臓に悪過ぎる。

一瞬、『戻って来た!?』とか思っちゃったじゃないか……そんな未来、絶対に有り得ないのに残酷過ぎる悪戯であった。いずれ、泣かしてやるからな!?

 

「神崎は?」

 

「用意された客室にて、既にお休みになっておられます」

 

「そうか……じゃあ、報告の続きを頼む」

 

「はい。昼間の続きですが、彼には親が存在してました」

 

「フム。やはり、死んでいたか?」

 

「はい。それも、何者かに干渉された跡が確認出来ます。その上、彼には合計四つのデメリット特典が確認されました」

 

「内容は?」

 

「正規特典が、『努力すれば、割りとどうにかなる程度の能力』で……デメリット特典が、『叶わぬ願い』『届かぬ愛』『蹂躙する理不尽』『堕落する怠惰』です」

 

『叶わぬ願い』は、そのまま己が至上とする未来に至れない様にする特典だ。自分が、思い描く世界や将来をブチ壊す系の特典と言えばわかりやすいか?兎に角、成りたい者に成れないとか……誰かを幸せに出来ない系の特典だったと記憶している。正規特典を思えば、付与しても問題無さそうではあるが……一つ目の特典に、デメリットを付与するのは明確な違反。故に、如何なる人物だろうが今世にまで生前の罪や罰を持ち込ませるのはマナー違反だ。

 

次の『届かぬ愛』とは、恋愛の成就を阻害する特典だろう。もしくは、親愛等も含んでいて親兄弟にも影響が合ったかもしれない。下手をすれば、今世の親から毛嫌いされる可能性があるのでこれも許容出来ない。

 

『蹂躙する理不尽』は、人生を左右する程の思いがけない不幸に直面する特典だ。きっと、彼の両親が亡くなったのはこの特典が大きく関わっているものと思われる。

どんな状況で、両親が亡くなったかはわからないが余程の事がない限り、転生後の人生に左右する特典を付与するのはやり過ぎ案件だ。

 

そして、最後の『堕落する怠惰』は自身ではなく周囲の人物に影響を及ぼす特典だ。例えば、何かに挫折したした者が彼の知り合いにいた場合、その者は彼に悪影響を及ぼす存在へと変化する。しかも、悪い方へ悪い方へと彼を誘おうとするから余計に質が悪い。その上、他のデメリット特典と連動すれば、もっと悪質な結末へと一直線となろう。

 

「……彼は、一体何をしたんだい?」

 

「何も……むしろ、親に投資で貯めたお金で旅行をプレゼントしたり、家計を助けたりしていたもようです」

 

普段、暴力を振るう自分を止められないが故のお詫びか……他にも、親孝行の意味もあったらしい。それなのにこの仕打ちは、ちょっと許容出来そうになかった。

 

「報告にあった、両親に迷惑を掛けた以上の事は無かったと?なのに、この仕打ち……転生被害者なのか……」

 

「その様です……」

 

成る程な。それなら、神崎の前で報告するのは不味いだろう。それでなくても、最近ちょっと神崎には悪影響を及ぼしかねない出来事が連続して起きてしまっている。

アイツは、劣化インスタント・ソウルなので色々と弱体化している事があった。特に強い感情や激情は、弱体化している部分に余り良くないのでこちらに連れて来た訳だけど……こちらでも、同じ様な目に遇うのであれば遠避ける他に護る手段がない。

 

「全く。……なら、神経は治してしまって良いよ。善良な転生者であるなら潰す必要はないからね。でも、だとするなら彼はオリジナル主人公という奴なのかね?」

 

「それは、わかりかねますが……踏み台でない事は間違いないと思われます……」

 

「とは言え、彼への説明は必要だろうから後で接触せねばなるまいな……全く、こんな転生を生み出して何がたのしいんだろうな?」

 

「断罪しますか?」

 

「もちろん。狂いし者に断罪を……破滅誘う者に制裁を……それが、我等《神殺し》であるが故に。……それに、彼の絶望を払ってやるのも僕の仕事だ」

 

 

 

 

 




悪意ある転生とか、残忍過ぎてやってられないですよねぇー?しかも、来世は親に優しくしようと心を入れ替えて頑張っている人物を悪へと落とそうとする奴が神様とか笑えない。因みに、前世でも頑張って自分を直そうとしていたモヨウ。正し、旅行には付いて行けない上にコミュ障で上手く伝えられないという悪夢。何とか伝えて、旅行の切符を握らせたけれど……両親が遠慮して、旅行に行ってくれないという悪循環に悶えていたという話です(笑)。
親「一緒に……一緒に行きましょう?」
自「た、頼むから、か、母さん達だけで行ってくれ!!」
旅行先は、超有名な温泉街。しかも、シーズン中なので人がいっぱーい!そんなところに、コミュ障で引き籠りだった奴が行けるか!?というと、無理です(笑)!!
『外に出るのが怖いんだ!だから、母さん達だけでも日頃の疲れを取って来てくれぇ!!』みたいな?改心するにしても、多くの問題があるよねぇ(笑)。引き籠りは、人がたくさんいる所が苦手です(笑)。しかも、コミュ障なので旅行なんて行ってもチェックインすら出来ません(笑)。
まあ、流石にそんな事はないだろうけど……苦手意識が強い奴程、引き籠るんだよねぇ(笑)。もちろん、作者の独断で偏見で引き籠りと呼ばれる人達を見てます(笑)。

ウォーティは、割りと素直です。その為、周囲の声に惑わされる事もシバシバ。恐怖のメールは、文字だけだから余り怖い感じは控え目になってるけど……ウォーティの恐怖を知る者からすると、普通に不幸のメールみたく感じられるのです。
まあ、メリーさんみたいな陰湿さはないけど……そう言えば、折り畳みの携帯なら回避出来るメリーさんですが、スマホではどうやって回避するんでしょうね?もしかして、回避不可!?

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m(_ _)m

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