絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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前回のナンバーズ、襲撃蒐集について……戦闘機人で、レリックからエネルギーを引き出しているんだからリンカーコア関係なくない?という質問について……レリックの制御って、ジェイルの調整だけで本当になんとかなってると思います?
ぶっちゃけ、レリックの制御にはリンカーコアから供給される魔力が関わってるんじゃ無いかな?と愚行した訳ですよ。
でなければ、幾何学模様の魔法陣が現れるのも不思議なので。だから、双夜が行った蒐集は無意味ではないかと。


二四六話

Re:

 

 

「まあ、何はともあれ助けてくれた事は大いに助かったのでありがとう……と感謝しておくよ。マイナス値高いけど」

 

「因みに、はやては大爆笑だった。これが、証拠だ」

 

言って、師匠にはやてが爆笑している所を映像で投影して貰う。次の瞬間、なのはさんの目付きがヤバい方にシフトした。だけど、気にしない事にする。

どうせ、目標ははやてだし……今回も今回で、見送る予定にした。つーか、この中でまともなのってフェイトだけッポイ。なのはさんは、完全に魔王と化していると俺の本能が訴えて来るのでパス。きっと、転生者のせいで色々とストレス一杯で性格が歪んでしまったのだろう。まあ、本質は変わらなそうなので美女に代わりはないが……恐い。

あんな状態のなのはさんに、『ちょっと、頭冷やそうか?』なんて指を鼻先に突き付けられたらチビる可能性がある。

ぶっちゃけ、魔王ななのはさんを恋人にしたいとは思わない。更にはやても、なのはさんと同じくストレス一杯で性格が汚染されているモヨウ。先程の大笑いだって、日々のストレスがヤバいレベルに至っているから、師匠の平和的な報復に大笑いしていたのだと思われる。

それ故に、なのはさんにメッ!されているにも関わらずヴォルケンズの目がとても優しいモノだった。

という事はだ……普段、はやては然程大笑い出来ない生活を余儀なくされている可能性がチラホラと見え隠れしている。即ち、はやてを恋人にしたら仕事ではなく転生者の愚痴を永遠と聞かされる可能性がある訳だ。流石に、恋人に会っているのに他の男の話を永遠と聞かされるのは嫌なのではやても恋人候補から除外される。となると、はやてを置いておいて恋人を作れるハズのないヴォルケンズも除外。

最後に残るのはフェイトだけど……今のなのはさんから、フェイトを取り上げたら周囲の者にどれだけの迷惑が掛かるか未知数で、手が出せないという状況が出来上がっていた。オノレェ……転生者ェ……!!

ならば、次世代ヒロインであるスバルやティナ……ロリ枠のキャロはというと、なのはさん達と同じ様に転生者の影響があるのか目の下に隈があった。もしかすると、師匠の報復がそうなったのかもと予測するんだけれど……疲労度合いを、師匠経由で聞いたのでほぼ間違いないだろう。

師匠の話では、二人の周囲になのはさん達の幼馴染みな転生者達が出没しているらしい。

しかも、その出現理由は【ナンパ】。

二人は、『その気はない』とか『そんな時間はない』と断っているらしいが相手のしつこさは折り紙つきだった。

最近では、どういうルートで手に入れたのか二人の連絡先をGETして通信でナンパしてくるらしい。そのせいか、ティアナは只でさえ削っている睡眠時間が短くなり睡眠不足。

スバルは、無視しているみたいだけど……色んな伝で連絡して来ようとする奴等のせいで男性不信になりつつあった。そして、キャロはただいま絶賛ストーカー被害にあっているモヨウ。なので、近くにいたエリオに全力依存中。

 

「……どうしろと!?」

 

「どうしろと!?なんだよなぁ……」

 

「何も、出来ないじゃ無いですか!?」

 

「とりあえず、ティアナは寝ろ。スバルは、それぞれの伝に連絡してしばらく通信拒否にしてしまえ。キャロは、一時隔離で考える時間が必要っと……はやてと、なのはさんはちょこっと僕達に付き合って貰おうか?」

 

という訳で、ジェイル・スカリエッティ一派は使い魔達に丸投げして使い物になりそうのない機動六課の面々を使い物になるレベルまで回復させる事にした。ぶっちゃけ、転生者が完全なお邪魔虫化しているんですが……踏み台ですらないなんて有りか!?

 

「転生者が、自己中過ぎてヤバい……」

 

原作崩壊なんて、レベルじゃあ無くなっちゃってるのが辛い。正に、転生者ェ……である。ここまで来ると、彼の判断は間違いではなかった事が唯一の幸いだろう。彼が、『相手に合わせる必要はない!』と言っていなければ、下手をすると機動六課が負けていた可能性もあるくらいだ。

何はともあれ、はやてとなのはさんは師匠に連れられて食堂を出て行き、ティアナはスバルに寄り添われて自室の方へと歩いて行った。キャロは、エリオに連れられてフェイトの元へ。一応、彼女等は『家族』だから。

 

「とりあえず、キャロにはカウンセリングが必要だな……ストーカーに何をされたかを聞いて……」

 

「…………変な物が送られて来るんです……」

 

ん?変な物?

カウンセリングの前に、キャロが聞いてもいない事を話し出した。それ程までに、彼女は追い詰められていたという事なのだろうか?兎に角、俺は彼女の話しに耳を傾けた。

 

「……白いドロドロした液体で……」

 

んん!?白いドロドロした液体!?

 

「……それを飲まないと、私の家族に酷い事をするって……でも、物凄く変な味で飲めなくて……」

 

それって……まさか……(|||´Д`)ウェ~。

そこまで聞いて、俺はその白くてドロドロとした変な味の物体に思い当たる。それはきっと、男の象徴であるアレから吹き出る白いモノに違いない。転生者ェ!なんてモノを、幼子に送り付けて来るんだ!?しかも、それを『飲め』だと!?

 

「それ、まだ持ってる?」

 

「…………部屋にあります……」

 

「じゃあ、見せてくれるかな?」

 

「…………こくん……」

 

そう言って、キャロはフェイトと共に自室へと向かって行く。だがしかし、俺は事情聴取である程度の状況を理解してしまっていた。つーか、キャロのストーカーはかなり倫理規定を逸脱している様だ。あんな幼子に、自身のモノを飲ませようとするとかクズ過ぎるだろう。

 

「師範。ちょっと、キャロのストーカー……探して来てくれませんかね?ガッツリ、お灸を据えないとアカン奴ッポイので……」

 

「構わないぞ?兄様」

 

「暗殺ではなくて、探すだけで良いんですね?兄様」

 

「ああ、殺すのは不味いから……ああでも、半殺しまでなら許す。トドメは、自分で刺すから良い」

 

ロリは、愛でるモノであって情欲を解消するモノじゃねぇんだよ!なので、俺は史上最悪最強の情報網にストーカーの捜索依頼を出す。クズで変態なロリコンに告ぐ!俺が、裁きの鉄槌を降してやるから首を洗って待っていろ!!

とりあえず、事態を把握してブチギレたフェイトが怒り心頭で戻って来るまで、俺は優雅に茶をしばいていた。

大人しい奴がキレると、恐いって本当だったんだね(棒)。

という訳で、師範達がアッサリクズで変態なロリコンの潜伏先を調べて来てくれたのでフェイトと共にカチコミに行ってきます。アハハハ!ブチ殺してやんよ!!

 

 

……………………。

 

 

という訳で、キャロのストーカーをプチッと潰した俺は……フェイトの知り合いだと言う、クズで変態なロリコンをボコして陸の局員に引き渡した。とは言え、あの程度の罪では直ぐに出て来てしまうので男の象徴をスマッシュして千切ってしまう。これで、例の白くてドロドロした液体を出す事は叶わないから大丈夫だろう。

まあ、俺の知るもう一つの方法は色々とアレなので真当な【男】なら取る事はないと思われる。あのクズが、【真当な】奴であるかは別として……今後は、男としての行動は控えめとなるから大丈夫だろう。

ただ、完全には大丈夫と言えないので注意は必要である。

 

「とりあえず、一つは片付いたな……」

 

「えっと、千切っちゃっても良かったのかな?」

 

「ああいうのは、繰り返す可能性があるから千切っちゃっても問題ないよ。それに、あんなクズよりキャロの方が大事だろう?なら、あんな奴の心配より、キャロの平穏の方が重要さ……」

 

「……そう、だね……」

 

フェイトは、そう納得して前を向く。

気落ちしているのはわかるけど、車に乗っている際のわき見運転は止めて欲しい。とりあえず、前を向いてくれたのでホッと一息付いて俺は座席に体重を預けた。

そして、シートベルトを引き千切りフェイトを抱き寄せ助席のドアを蹴破って飛び出る。次の瞬間には、先ほどまで乗っていた車が爆発炎上して、更に砲撃魔法が俺達目掛けて迫って来た。

 

「糞が!なんちゃって覇王流・旋衝波!!」

 

それを、魔力を纏った素手で受け止めてバレットを壊さない様に照射線上から反らす。結果、連続照射タイプではなかったらしく砲撃魔法は反れて行った。これが、ピンクの魔王が放ったモノだったら俺達はそれに巻き込まれていたのだろう。だけど、砲撃魔法の熟練者って訳ではなかった様で割りと簡単に反らす事が出来てしまった。

 

「誰だ!?」

 

「お前こそ誰だ!?」

 

俺の呼び掛けに、反応するのは良いんだけど名乗れよ!

それに、酷く憎しみに近い感じの声が聞こえて見上げれば、かなりの美形な男が憤怒の表情でデバイスを向けてこちらを睨み付けていた。それで、この憤怒の奴がフェイト達の幼馴染み転生者だと理解する。これ程か!?これ程までに、原作ヒロイン達を独占しているというのか……!?

まあ、独占と言ってもヒロイン達からはスルーされている訳だけど……ああいや、有害になっているのか。相手の予定顧みず、アタックしまくりで疲労の元になるとか最悪だ。

 

「俺の名は、神崎大悟。聖王教会預かりの次元漂流者だ」

 

「神楽坂神威、フェイト()の恋人だ!!」

 

「違うよ!?恋人じゃないからね!?」

 

フェイトが、恋人と言われて即反論しているが相手は聞いちゃいない。むしろ、恋人発言後直ぐ妄想モードに入ったらしく悦に浸っていた。ああ、こういうタイプか。

 

「違うからね!?恋人じゃ、無いからね!?」

 

神楽坂が相手にしてくれないからか、フェイトが俺にすがり付く様に否定してくる。そこで、現実に戻って来た神楽坂が抱き合っている様に見える俺達を見て更にブチギレた。

何でしょう?この悪循環……もう、好きにしろよお前等。

 

「ギルガメッシュの分際で、俺のフェイトと抱き合うだと!?踏み台がぁ!!踏み台は、踏み台らしく俺に潰されていれば良いんだ!!」

 

「いや……あのね?」

 

あのさ……俺、名乗ったよね!?それなのに、何で『神崎大悟』の方で呼んでくれないのかな?つーか、ギルガメッシュ言うくらいなら『誰だ!?』なんて言わなきゃ良いだろう!?ぶっちゃけ、自分が転生者である事を認めた上に自分こそが主人公だと思い込んでいるタイプと見た。

いや、そのまんまなんだけど。

 

「ブチ殺ーす!!絶対、殺す!!つか、即刻死ねぇ!!」

 

デバイスのスタンモードを解除して、俺の腕の中にフェイトが居るにも関わらず全力で向かって来る神楽坂。

とりあえず、フェイトから身を離し構えて《神速の領域》に即入る。あ、相手は転生者だから《神速の領域》には入らなくても良かったのか。師範達が、何度も戦闘に入ったら《神速の領域》を発動しろって口が酸っぱくなる程言ってたからうっかり入ったけれど……これは、過剰だった。

まあ、馬鹿の動きがゆっくりになったのでそこそこの余裕は得られたけれど……ピンチ?である事には変わらないからな。とは言え、こうなってくると余裕がある分だけこちらが有利になる訳で……馬鹿の、突き出しているデバイスを前方に出していた左手で外側に押し退けて、大地にベタ付けにしている足から回転の力を上へと練り上げる。

そして、その力を腕へと伝えて派生したなんちゃって覇王流《断空拳》を馬鹿の土手っ腹に《鎧通し》と共に叩き込む。しかし、師匠のそれとは遥かに劣る一撃だったけれど、馬鹿を無力化するには十分な一撃となり奴は沈んだ。

 

「チッ……ザマァない。リアルラカンとか言われて、調子に乗っている割にはショッボイ一撃だな……」

 

自身が放ったそれを、師匠の一撃と比べて凹む。

師匠なら、もっと重い一撃を放っていたハズだ。理想と現実の狭間で、俺は苦々しい思いを噛み潰して吐き捨てる。

自分の一撃は、全く届いていない駄拳であると。

こんなんじゃ、師匠の隣に立てる日は遥か彼方……地平線の先、《世界の果て》にしかない。そんな現実を突き付けられて、俺は血反吐を吐く様な思いを胸に抱くだけだった。

 

「はあ……とりあえず、執務官殿。このテロリストを捕まえてくれないか?」

 

「へ?」

 

「だって、そうだろう?こんな、人工密集地である高速道路に砲撃魔法を叩き込む犯罪者だ。見ろ、戦闘の背景で事故が多発しまくっている!!」

 

そう、背後から聞こえて来る破砕音が俺はずっと気になっていたのである。《神速の領域》に入る前から、解除した後もドシャン!ガシャン!と続く破砕音に気が気では無かったのだ。神楽坂の馬鹿が、フェイトの車を砲撃魔法で粉砕してから、その後ろを走っていた車が粉砕されたフェイトの車に突っ込んでいるのを俺は理解していた。

ただ、あの馬鹿を放置すると被害が洒落に成らなくなると判断した為、対応を後回しにしていた訳だけど……ついに、無視出来る範囲を越えてしまったのである。とりあえず、救助活動をしなきゃ……下手をすれば、死人が出る可能性があった。なので、大ダメージに転がっている馬鹿をフェイトに任せて、俺は次々に玉突き事故を引き起こしている事故現場へと突っ込む。つーかさ、なんでトンネルを出た直ぐの場所で攻撃して来るかなぁ!?

後の事をちゃんと考えろや!!等と、心で叫びながら歪んで開かなくなった運転席のドアを引き千切り、救助活動に勤しむのだった。こうして、神楽坂神威はテロリストとして地上管理局に拘束され、以降の取り調べで訳のわらない言葉を口走り精神疾患者として隔離された病院に生涯軟禁される事となる。なので、隔離される前に師匠が馬鹿の特典をサックリ除去して一つに絞り、チートで無くなった馬鹿は精神疾患者という扱いになったのだった。

閑話休題。

 

 

……………………。

 

 

「酷い目に遇った……」

 

「ご、ごめんね?神威のせいで、迷惑掛けて……」

 

「いや、フェイトが謝る事じゃないだろう?」

 

「でも……」

 

「じゃあ、上手い飯でも奢ってくれ。それで、チャラにするからさ……あ、手料理でも構わないぞ?」

 

そう言って、カラカラと笑う。まあ、あの手合いを散々相手にして来たフェイトが俺に手料理を食わしてくれるハズもないので軽口としては問題無いだろう。それに、食えるとしても原作のフェイトはなのはさんに続く料理家だ。まず、不味い物が出て来る事は無いハズなので胃薬は必要ない。

これが、シャマルさんだったら話は別なんだけど。

もし、彼女の手料理を食べる事になったら……全力で逃げるとも。食ったら、死に目を見る彼女の手料理なんて誰が食うか!?( ゚д゚)ハッ!?ヤバい、フラグになる!!

 

「良いよ?」

 

「はい?」

 

「私の手料理で良いならいくらでも……」

 

「マジで!?じゃ、それで……」

 

ヨッシャー!なんか、良くわからないけどフェイトの手料理が食える事に成りました!!いやー、そのままお酒に酔わせて頂いちゃっても良いかなぁー……と、調子こいた事言ったら師匠にプチッと潰されるので手料理権で我慢する事にする。命と、フェイトの手料理権は死守せねば!!

そんなこんなで、フェイトの手料理権を手にして聖王教会に送って貰い部屋に戻ると……半裸で、亀甲縛りのジェイル・スカリエッティが聖王教会で借りている部屋の床に転がっていた。

 

「ちょっと、待て!!」

 

何故、ここにジェイル・スカリエッティが居るんだ!?

つーか、何故に半裸!?何故に亀甲縛り!?しかも、恍惚としていやがるんですが!?まさかのM化ですか!?変態科学者が、本物の変態に!?いや、そうじゃない!そうじゃない!!元々が変態なら、これ以上変態になるハズが……あ。ジャンルが別だから変態性が増えるだけなのか。

じゃなくてだな、なんでジェイル・スカリエッティがこんなところで半裸かつ亀甲縛りで転がされているのかって話だった。つか、こんな事をやらかした師匠は今何処に!?

 

「あ……神崎、戻ってたのか……」

 

「ジェイル!師匠が、亀甲縛りで、恍惚に、半裸と!!」

 

「落ち着け。言ってる事が、滅茶苦茶だ」

 

言われて、俺は深呼吸をして息を整えると現在状況を確認して師匠に何でここにジェイル・スカリエッティがいるのか問うた。つか、ナンバーズ達はどうなったんだ!?

 

「ハァハァ……師匠、なんでここにジェイル・スカリエッティが半裸で亀甲縛りにされて恍惚としてるんですか!?」

 

「身代わり置いて、拉致って来た。ああ、あちらに置いて来た身代わりにはちゃんとジェイルの記憶を突っ込んでおいたから当人と然程代わらない存在に仕上がっているぞ?」

 

「おい!?」

 

「そう言えば、フェイトちゃんに粉掛けてるんだって?おめでとうと言って置こうか?手料理権……」

 

何で、その事を!?さっきの今で、それを知られていた俺は師匠の情報網に恐れ戦く。わ、わかってたけどね!多分、知られているだろうって事は!!

でも、本当に知られていたのでビビってしまう。

 

「て、手料理を食べるまでは、こっちに居るんですよね!?」

 

「手料理くらいなら問題ないよ。でも、お酒に酔わせて襲っちゃぁ駄目だよ?」

 

「ヒイィィィ!?」

 

ちょ!?思考内で、思っただけなのに何でそんな事まで知っているんですか!?まさか、エスパー!?いやいや、そんなハズはない。多分、先読みの延長の能力なのだろう。

じゃないと、恐ろし過ぎる。行動の把握どころか、思考まで読まれてるなんて事になったら何にも出来なくなっちゃうじゃ無いですか!?流石にそれは……。

 

「ふふふ……何はともあれ、今日一日で転生者の二人を潰した事は誉めておくよ?ああ、君が男の象徴をスマッシュした奴はもう処理済みだから安心してね?」

 

「う、ウッス……」

 

「もう一人の方は、地上管理局の取り調べで『俺が、主人公なんだ!』とおかしな事を叫んでいるらしいからそのまま精神が病んでいる精神疾患者として隔離する予定。だから、隔離される前に処理するから原作ヒロイン達の目を逸らす役目を与えてあげる」

 

「えっと……俺は、何をすれば?」

 

「そうだね……じゃあ、彼女達全員から手料理でも御馳走になれ……ってのは、どうだい?」

 

「……や、流石に全員は……」

 

師匠の言葉を聞いて、先ず俺が思ったのはシャマル先生の猛毒な手料理だった。だが、師匠は俺のドモリを別の意味と取ったらしく、そいうい状況になる様に操作するとか言っている。いやいや、『操作する』ってどうやるつもりですか!?むしろ、そっちの方が気になります!!

 

「大丈夫、大丈夫。楽しみにしておきたまえ……それから、そこに転がっているジェイル・スカリエッティだけれど……折を見て、時空管理局に突き出すから安心すると良い」

 

折を見て?時空管理局に……ですか!?

どんな『折で』、どんな風に管理局に突き出すのかとても気になるけど……見る限り、答えてくれる様子もないので俺は口を噤んだ。

その後、ジェイル・スカリエッティは師匠の影に引き摺り込まれどうなったのかは不明。そして、あちらに残して来たという身代わりがどうなっているのかも不明だった。

そもそも、情報収集端末は師匠のみの技術で方法なので俺は関与出来ないし、使えないので何も知る事は出来ない。

戦闘技術もそうだけど、師匠は個人で物事を判断するから俺が知れるのは事の顛末だけだった。それが、不満という訳じゃないけれど……何もわからないというのは、とても不安な事なので辛い。

 

「大丈夫ですよ。兄様」

 

「Masterに任せていれば確実だ。兄様」

 

「それは、わかっているのですが……何が起きているのかわからないというのはそれだけで不安なんです」

 

今までは、自分の事ばかりで気にも成らなかった事が余裕が出て来たらしく、段々不安になって来たのである。

 

「それは、余裕が出て来た訳ではなく……」

 

「自身の目で、事の一端を見てしまったが故の不安だな。兄様」

 

「あ、そうッスか……」

 

「そうですよ。兄様」

 

「これまでも、そこそこ不安そうだったからな。兄様は」

 

そう、リリィ達に言われたらそうなんだろうと納得出来た。

まあ、納得出来たのは良いんだけど……不安である事は変わらないので、師匠の行動が一々気になっておちおちしていられない。クソォ……き、気になる。

その日は遅くまで、悶々としていて俺は眠れなかった。

 

そして、翌朝。

目が覚めると既に師匠の姿は見えず、俺は何故か迎えに来ていたフェイトに連れられて機動六課へとまた訪問する事になった。フェイト曰く、昨日の御礼らしい。のだが、何故か六課の食堂に着くと六課の主要面々が作った手料理を食べる事になっていたのには驚いた。

これが、師匠の『操作』ッスか!?マジで!?ちょ、俺に取っては楽園なんですけど!?

混乱している内に、用意が出来たらしいはやてから順にその手料理に舌を打つ事となる。ぶっちゃけて言おう、マジで旨い。流石、はやてである。家庭の味とは、正にこの事か!と言わんばかりの美味さにニヤニヤが止まらない。

 

「母ちゃんの味だ……」

 

「誰が『母ちゃん』や!?」

 

次に来たのは、なのはさんの手料理。

こっちは、ヴィヴィオと一緒に舌鼓する。

なのはさんの手料理は、ぶっちゃけて言って『桃子さんから引き継いだ味』だった。つまりは、『翠屋』の味である。

 

「喫茶店の味がする……」

 

「にゃ!?」

 

そして、俺的にはメインであるフェイトの手料理が目の前に置かれた。見上げれば、申し訳なさそうなフェイトの顔がある。首を傾げると、その訳をフェイト本人から聞けた。

 

「ごめんね?私が、昨日の顛末をはやてに言わなければこんな事には成らなかったのに……」

 

「ああ、常日頃のストレスの一つが解消されたから……」

 

「理解し過ぎやろ!?」

 

「いや、アレを見たらなぁ……」

 

「くっ……反論出来へん!!」

 

流石に、アレはない。最近は、話の通じる転生者が多かったから、久々にあのレベルの転生者と合間見えるとちょっと精神的に来るモノがある。そんな輩と、幼い頃から付き合わせられていた彼女達のストレスを思えば容易に想像出来てしまったのだ。

 

「お疲れ様。奴は、精神疾患者として別次元に隔離されるらしいから、これからは一生平穏な日々を過ごせるよ?」

 

「なんで、そんな事まで知っとんねん!?」

 

「ウチの情報網、舐めて貰っては困りますなぁ……ああ、最後の一人もサクッと潰しておくのであしからず。奴等は、二度と君達の前に現れられない様にしておくから安心してね?」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

俺の言葉を聞いて、全員が黙ってしまったので目の前の料理に手を付ける。すると、フェイトらしい優しい味がした。

でも、それ以上にヒシヒシと感じる味があったのでそっちを告げる事にする。即ち、初めて家族以外の人に食べて貰うが故に生まれた味だろう。緊張しているのか……先程から、ピリピリとした感じがフェイトの方から発せられている。

 

「お?初な味がする……」

 

「だから、アンタのその評価はなんやねん!?」

 

「優劣を作らない為の評価だが?」

 

「気ぃ使い過ぎや……」

 

「ハッハッハッ。そう思うなら、何故止めなかった!?」

 

「……………………何の話や……」

 

フィッと、直ぐに視線を逸らすはやて。

唐突に話題を振ったのに、疑問を感じる事なく視線を逸らすとはコイツわかってて止めなかったな!?

 

「アレだ!!」

 

そう言って、指差すのはフェイトの後ろに控えているシャマル先生である。その手には、土鍋が抱えられていてグツグツという音と共に薄紫の湯気が立ち上っていた。

ここに来て、天国から地獄に叩き落とされたくない俺は全力でアレを回避する為にはやてに言い募る。

 

「お前、恩を仇で返す気か!?」

 

「ちゃ、ちゃうねん……」

 

「シャマル先生のポイズンクッキングは、聖王教会でも超有名な話だぞ!?絶対、俺は食わないからな!?」

 

「ええっ!?聖王教会でも()有名なんですか!?

そ、そんなぁ…………!?」

 

「プププ……シャマルの料理は、そんなに有名なのか……」

 

「もちろんだ!何たって、古代ベルカ最強の女騎士を一口で撃沈した逸物だと聞いている!!そんなレベルの料理を、俺は食いたくないぞ!?」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

ちょこっと盛った、逸話を話してやればシグナムとシャマル先生が完全に沈黙した。ああ、この世界に現界した初期の頃に殺ったんだな……フムフム、そうか一口(一撃)なのか。

 

「じゃ、俺はこれにて去るから……フェイト。手料理、美味かったよ。フェイトらしい、優しくて初な味だった……じゃ、俺はまだ死にたくないんでこれにて去らばだ!!」

 

言って、《神速の領域》を発動。

誰の命令なのか、後ろからザフィーラが……前からシグナムが、俺を逃がさん!と迫っていたけどそれを軽くスルーして瞬動術で一気に引き剥がした。

 

「ふはははは。残念だったな、八神はやて!シャマル先生の手料理は、家族である君達が食べるんだな!!」

 

「なっ……速っ!?」

 

オチオチしていると、捕まりそうなので俺は全力全開。本気で逃げ去った。その後の顛末は、知らない。知りたくもないので、勝手に予測してくれ。

 

 

 

 

 




転生者の独占欲?が、段々と陰湿になってきた件。
白くてドロドロな液体ネタは、危険度が高いかもしれません。でも、明確には何と言ってないので大丈夫かな?
抽象的なら、問題ないよね!?何となく、ストレートな物言いよりアウトな気がしないでもないですが……φ(..)。
そして、久々のポイズンクッキングネタ!!
だけど、神崎くん、回避に成功する!!やったね!

とりあえず、また暗躍を始めた双夜くんですが……最高評議会の脳ミソを出すかは不明です。既に、聖王のゆりかごは動かないし、ナンバーズも無力化されているので特に四番。作者的に、彼女が一番心配です。リンカーコアは無事か!?レリックは!?って意味で。何となく、ブレイクされてそう。

神崎くんのショッボイ一撃は、瞬動術込みで発動させるとすっごい事になるからね?まだ、神崎くんの頭では思い付かないんだよね。基本、見とり稽古で自力習得が必須なので。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれる方々に感謝を……。

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