絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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ニ五八話

Re:

 

 

剣と剣が交差する。

おおよそ、剣撃とは思えぬ音と衝撃を生み出し……振るわれる一撃は必殺。当たれば、確実に死に至る剣閃が走る。

但し、振るわれる剣閃は一筋でなく……幾重にも重なって、相手の命を刈り取らんと閃いていた。

重なる剣閃、確実に命を刈り取ろうとする一撃必殺の閃き。

それに対するは、アルトリア・ペンドラゴン。

【Fate/stay night】と呼ばれる物語の登場人物で、主人公・衛宮士郎のサーヴァントとして現界する剣の英霊である。

彼の有名な聖剣エクスカリバーの担い手で、騎士王とも呼ばれる騎士の中の王。最強とまで言われた、両手剣の使い手。師匠曰く、平行世界の歴史的集束点。誰もが知る、英雄。そんな彼女が、今《神殺し》という怪物と共に神話を再現している。

決して、現実ではあり得ない戦い。

歴史上には、存在しない現代の神話。

言葉もない……だけど、そこにある熱気は本物。

誰も彼もが、戦いの手を止めてその神話を見詰めている。

こんな戦い……見逃せば、次は何時見られるかもわからない。

だから、目を皿の様にして剣閃の一本一本を脳に焼き付けている。手数の多い《神殺し》が、騎士王のパワー溢れる一撃を弾き返し、更に手数とスピードを増して殺しに行く。

きっと、力比べをしたら体格で負ける師匠は力負けするだろうから、それを手数と技術で補っている。

たまに、騎士王の一撃を剣の腹で滑らせる様に流して返しの刃としているからそれは間違いない。だけど、騎士王も負けてはいなかった。剣を流され、体制を崩されつつも師匠の返しの刃を受け止めて、更に追い討ちまでする様は伝説にあるままの姿で……その余りに激しい戦いと、その美しさも相まって俺達はそれに魅入っていた。ゲームで描かれていた、バーサーカーとの戦いも感動したモノだったけど……目の前で、行われているその戦いはアレを遥かに凌ぐ。というか、実際に己の目で見る戦いと画面越しに見る戦いなんて比べる意味もない。

嗚呼……これは、アカンヤツですわ。

こんなの魅せられたら、自分達の振るう剣が偽物過ぎて心がへし折れる。野蛮なハズの命を奪う暴力が、とても美しく尊く儚いモノに見えてその高潔さに憧れる。憧憬という感情だ。

俺も、あんな風に剣を振るいたい……あんな風に立ち回りたい!と願う気持ちがこの場を支配している。誰もが憧れ、誰もが一度は夢想する光景が目の前に広がっていた。

ドパン!と交差した剣撃によって空気が弾け、双方が一定の距離を離れて止まる。強襲を掛けた師匠が、剣を眼前に掲げてジッと騎士王を眺めていた。

 

「フム。中々の強者だな……」

 

「……貴方も。これ程の使い手が、この時代にも居たのですね」

 

「彼の聖剣の担い手と聞いて馳せ参じたが……そのままで良いのかい?僕は、ギアを上げて行く予定だよ?」

 

その視線は、騎士王の剣へと向けられている。

騎士王の剣は、風王結界に包まれていて目には映らない。

だが、師匠の目であればきっと見えているのだろう。

しかし、騎士王に風王結界を解く様子はなかった。何か、条件でもあるのだろうか?鞘に納めたままでは、ウチの師匠は倒せない。

先のバハムート戦後、聖剣解放を使ったのだから剣は丸見えになっていると思ってたんだけど……当てが外れた感じだ。

師匠は、どう思っているんだろうな?

 

「……存分に」

 

言って彼女は、風王結界を解きもせずに構える。

 

「その余裕、何時まで続くかな?《ギア・セカンド》……」

 

次の瞬間、師匠の姿が欠き消えて気が付いた時には騎士王を横凪ぎに数メートル吹き飛ばし剣を振り切った状態で停止していた。

騎士王に至っては、その一撃に気が付きもしなかったのか、半ば起き上がった状態で驚きの表情をしている。

 

「貴方は、アサシンですか!?」

 

「メイガスだ!」

 

「ですが、今のは気配も何も……」

 

というか、セイバーが気が付かなかった!?

《超直感》スキルを持つ、セイバーが師匠の接近と一撃必殺の剣を一切感じなかったと!?マジで!?何をしたら、超直感が働かないなんて事になるんですか!?

 

「型に嵌めようとするな。僕は、サーヴァントじゃない。それに、サーヴァントとするなら僕は合計五つの箱に収まるぞ?メインは、キャスター。次に、ランサー。セイバー。アサシン。バーサーカー……流石に、アーチャーやライダーは無理だわ。スナイパーは出来るけど、専門って訳でもないし……」

 

何時もの事ながら、多才ですね。後、二つでコンプリートじゃないですか。もっと、頑張りましょうよ!(他人事)

 

「……………………」

 

「一応、名乗っとくわ。セフィロト・ザイグアス所属アロザイド総長第七戦鬼《神殺し》如月双夜だ!!」

 

「《神殺し》……!?」

 

「構えろ、騎士王・アルトリア・ペンドラゴン!僕は、そんじょそこらのサーヴァントとは格が違うぜ?」

 

「…………その様ですね」

 

言って、彼女は聖剣を納めていた風王結界を解き放った。

どうやら、師匠の存在を認め本気で戦う決意をしたモヨウ。

顔付きも、先程までと違って覇気を感じる。

師匠に至っては、完全な自然体で殺気も闘気も感じない。

だが、ビリビリとした雰囲気はあるので抑えているだけだろうと予測できた。両者、マジモードですね。

そして、始まった戦いは師匠の一方的なモノではなく両者かなり際どい場面が幾つもあったけれど、ほぼ互角と言わざるを得ない程の剣撃の応酬が続く。

体格は、セイb……騎士王がやや優勢。パワーも騎士王。

スピードは師匠で、技術も騎士王より上に感じる。

しかし、経験よりも超直感が師匠から優位性を奪っている様にも感じだ。だが、希にその直感が外れて師匠の一撃が騎士王に届く。いや、本当にアレどうやってるんですか!?後で聞いたら、意識の隙間を打ってるとか何とか説明された。

意識に、隙間?があるんですね……?

《ギア》を上げた師匠は、普通に騎士王を圧倒していた。

騎士王は、防戦一方に追い込まれて現在は起死回生の機会を伺っている状況だ。だけど、そんな感じで圧倒しているのに未だ騎士王は健在している。普通なら、もう決着が付いていてもおかしくはない。なのに、決着を付けないとなると何かを待っている?

 

「くっ……遊んでいるのですか!?」

 

「あ!?何かをだ?」

 

「貴方程の使い手なら、もう私を御しているのでは!?」

 

「ああ……そっちか。別に、殺す気ねーし?」

 

そっち?他にも、遊んでいる事があるんですか?

 

「は!?では……」

 

「何故、戦ってるのかって?あんた、アーサー王なんだろう?」

 

「はい」

 

「両手剣の担い手内では、最強の剣士なんだろ?」

 

「最強かはわかりませんが、それなりの者と自負しています」

 

「なら、戦わないとモッタイナイだろ?」

 

「…………は?」

 

呆気に囚われる騎士王。

その気持ちは、多分騎士王だけのモノではなかった。

周囲を見回せば、誰も彼もが呆気に囚われた顔をしている。

きっと、『何言ってんだコイツ』的な感想を得ていると考えられたが……すいません。師匠は、割りとそんな人なんです。

一部の使い魔達が、バトルジャンキーになった理由もわかりますね。そりゃ、主人がバトルジャンキーなんだから使い魔だってバトルジャンキーになるってもんですよ。

 

「モッタイナイ……ですか。貴方は、私を馬鹿にしているんですか?」

 

「馬鹿にはしていない……」

 

「それに、先程『神殺し』とおっしゃっていたようですが……」

 

「言ったよ?何、君も【神】が人間の味方だとか言う口なの?」

 

「はい」

 

「ここにも勘違い野郎が……」

 

「私はーー」

 

「無利益で、力を貸してくれる【神】は居ないよ?」

 

「……………………」

 

「この場にいる、転生者を含め【神】が人間に手を貸す等という事には必ず裏がある。例えば、人々の信仰を集める為に奇跡を起こしてみるとか?」

 

「それは……どういう意味ですか?」

 

「【神様】ってのはねぇ、人々の信仰によって力を得る存在なんだ。信仰信者が、多ければ多い程その【神様】の力は増す。だから、最初に大々的に奇跡を起こしてみせるんだ。後は、たまにで十分。百年に一度でも、人間はとっても有り難がるからね……」

 

残酷なまでの真実が、騎士王の心を抉る。人間の信仰心が、神様の力となるなんて考えても居なかったのか騎士王の表情は硬い。

その上、師匠が撒き散らす猛毒が騎士王だけでなく周囲の転生者達にも直撃していた。

 

「そう言えば君は、王の選定をやり直したい等という分不相応な願いを聖杯に託した愚か者だったね?フン。人間に、時間を操れる訳ないだろう?」

 

はい(*・ω・)ノ。

俺が、教えました( ̄∇ ̄*)ゞ。

そして、とても残酷な猛毒をいただいています。

 

「それは……ですが、優れた魔術師ならばーー」

 

「君は、君が振り回した多くの人の時間をも否定する気なのかい?君が取った政策で、痛みや悲しみを得た者も居ただろう。それを乗り越え日々を謳歌する人々の人生をも君が左右するのか?あんた、何様?」

 

「くっ……ですがーーー」

 

「下らん!そんなクダラナイ事に、民を巻き込むな!!王の選定をやり直したい?ハッ!やり直して、その先に待つ結果が滅びでもお前は王の選定をやり直したいのか!?」

 

「それは……」

 

「それで、多くの民がお前の時以上に死んだらどうする!?また、やり直すのか?自分の理想が叶うまで?」

 

「ーーーーー」

 

「傲慢だな。騎士王よ……お前は、傲慢だ。人の生き死にを無視して、時間を巻き戻し思い描く妄想を民に押し付けて滅びろとはいやはや……王失格だな?アルトリア・ペンドラゴン?」

 

「……………………」

 

「所謂、【蛮族】とはお前の事か!?そんなアホゥには、負けられんな。人類最後の守護者にして、最強の盾。《神殺し》が、お前の腐った心を叩きのめしてやるよ。高々、『国』一つ守れぬ者が《神殺し》である【俺】に勝てるとでも?俺の背中には、世界が……全人類の命が乗っ掛かってんだ!負けられない。負ける訳には行かない。俺に敗北というモノはない。俺が敗北するその時は、全人類の滅び……故に、俺は勝つ以外の選択肢はない!!」

 

師匠が、【俺】とか言ってる。

つーか、元々は【俺】だったらしいからこれが師匠本来の口調なのだろう。まあ、それは良いとして……だがしかし、『勝つ以外の選択肢』がないとか……どんだけ、最後の殿をやって来たんだこの人?。向かう先は、常に滅びかけ。負ければ、《旧・神族》の蹂躙と世界の滅びが待っていて……絶対に負けられない勝負しか出来ないとか。ある意味、《神殺し》って超ブラックな仕事なのでは?等と思いつつも、『師匠居るし良っか』とか『この戦いも見逃せない』とかどうでも良い事を考えていた。

 

「人間は何時だって、利用されるだけ……かぁ」

 

目の前で繰り広げられる、神話級の戦いを眺めつつ俺はそんな事を考えていた。それを、発言したのは師匠達。意味は、わかる。

というか、そもそも人間は神を崇める為に生まれた存在なんだとか……神々の歴史書には、そう書かれているらしい。

なので、自分が管理している世界に人間を増やす馬鹿は多い。

そもそも、その歴史書を作った奴が《旧・神族》と聞いていなければ俺も『ああ、そうなんだぁ』程度で済ませた話だ。

ぶっちゃけ、奴等は本当にロクでもない事をやり過ぎている。

因みに、俺が転生する前に生まれた世界には【神】は居なかったらしい。なんでも、何処かの科学馬鹿が大和大国が全盛期の時代に降り立ってバカをやらかし拉致った結果とのこと。

何やってんですかね?【鮮血の】さんは……。

過激さを増す戦闘。

相対する師匠は、技術とスピードで。

対する騎士王は、パワーとスピードと超直感で。

交差する剣は見えず、ただ剣撃の音だけが周囲に響く。

騎士王は、細かで素早い剣を操りまれに大振りの一撃を……師匠は、手数とまるでナイフを振り回しているかの様な事細かな剣を操っていた。ぶっちゃけ、どっちが優勢かと言われれば師匠と言わざるを得ない。いやー、強いッスねどっちも。

だけど、師匠に勝敗を決める気は無いらしく決め手を使わない。

もし、素人がこの戦闘を見たとしたら……きっと、騎士王が優勢だと思うかもしれない。まあ、ソイツが戦闘の()()であれば……等と思っていると、

 

「セイバー!次の一撃で、倒してしまえ!!」

 

なんて、何処から来たのか馬鹿な事を叫ぶアホゥが現れた。

 

「なっ!?」

 

突然の事に、振り返って驚く騎士王。

その反対側で、邪悪な笑みを浮かべる師匠。

ああ、騎士王の主人となった転生者が出て来るのを待っていたんですね?サーヴァントと主人の関係は、大分前に教えてたから師匠は馬鹿がアホゥをするのを待っていた訳だ。

 

「《神威》」

 

いつの間にか手にしている虹色の剣で、騎士王の主人の体を撫でるように斬る師匠。結果、バギィン!という音と共に彼が持っていた令呪は綺麗サッパリ消え去った。そして、次の瞬間には俺の頭がガシッ!と掴まれていてズガガガッと引き摺られたと思ったら、左手を騎士王の胸に押し付けられて半ば強制的に契約させられるハメとなる。騎士王……つーか、セイバーはそんな師匠の行動に目を白黒させていて師匠が一切の了承なく行動しているのが丸わかりだった。その結果……俺は、セイバーに籠手付きの手で殴られ、師匠はニヤニヤとその様子を眺めているなんて訳のわからない状況が出来上がっている。何がしたいんですか!?

 

「よし、これで僕と騎士王が戦う理由が無くなったな?」

 

「そうですね。最早、戦う理由はありません。ですが、何故貴方がここに居るのです?ギルガメッシュ!」

 

「違います!俺は、神崎大悟って名前で日本人です!!」

 

「……………………」

 

セイバーは、目を細めて俺を一睨み。メッチャ疑われているけど、本当にギルガメッシュではないのでそんなに睨まないで下さい。とは言っても、俺も想定すらしていなかったセイバーとの会遇なのでちょっと困惑気味だった。

 

「しょうがないなぁ……神崎が、ギルなんちゃらとは違うってシッカリ見せてやれば良いじゃん」

 

「ギルなんちゃらって……まあ良いや。どうすれば?」

 

「セットアップしよう!」

 

「絶対嫌でござる!!!」 

 

「ここで、『きゃるーん』しようよ!!」

 

「くっうぅぅ……断固拒否しますっ!!」

 

「大丈夫!きっと、面白い事になるから!!」

 

「俺にまた、黒歴史を立ち上げろと!?今度こそ、死にます!!」

 

「にゃははは。強制に決まってんじゃん」

 

「アンタ、容赦ねぇな……」

《Set up!!》

 

ダーティー・ニーズの疲れた様な声を聞きつつ、俺はまたもや『魔女っ娘ギルちゃん』に変身した。結論だけ述べよう。

その様子を詳しく話す気は、俺には無い……というか、思い出したくもないのでこのまま記憶の奥底に封印する。つーか、何故ブリッ娘なコギャル風魔女っ娘なんてモノを突っ込んだんだ!?

てか、誰の趣味なのか全力で教えていただきたい!!(激怒)

魔女っ娘に、変身した瞬間……その場は、セイバー含む転生者組の阿鼻叫喚となる。まさか、セイバーがあんな風に悲鳴?を上げるとは思わなかった。そのお陰で、俺は一週間程引き籠る事になる。

つーか、割りと好きなキャラであったセイバーの目の前で強制的にくr……暗黒史立ち上げとか……直ぐに、立ち直れる訳がない!!

あんな暴挙をされた上に、セイバーには避けられ……転生者達には同情されるし踏んだり蹴ったりだ。まあ、同情気味の転生者は変身後の操られた俺によって精神をゴリゴリ削られたらしいけど。しかも、逃げ様とした者は師匠の反転バインドで拘束されて間近で俺を見せられたと泣いていた。俺は、途中から意識が保てずにブラックアウトしてしまったが、肉体を得た《ダーティー・ニーズ》は水を得た魚の様に俺の体を操って転生者の精神を削っていたらしい。後は、知らん。師匠が、嬉々として詳細を教えてくれたけど……知らん。記憶にもない!忘れた!!

 

 

……………………。

 

 

そして、セイバーだが……何故か、俺のサーヴァントになる事となった。つーか、契約が切れないんだと。普通は、双方の了承があればプチっと切れるハズなんだけど……どんな契約をされたのか、セイバーと俺のパスはそのままだった。

 

「…………多分、その契約主がMasterだからではありませんか?」

 

「あー……あり得そうだな。他人の繋いだ契約だから、神崎と騎士王二人の了承では切れないんじゃないだろうか?」

 

「マジか!?」

 

「では、双夜に解除して貰いましょう!」

 

「「「無理じゃ(ですね)ね?」」」

 

俺と、師範代(リリィ&オルタ)達の声が重なる。

何となくだけど、今すぐにはこの契約を解除してくれなさそうだ。

何らかの理由で、セイバーを俺に託したらしい師匠はウンディーネ領解放戦後、直ぐ様大富豪クエストの方へと行ってしまった。

多分今頃、クエストを再開しているだろうし……早々、会えそうな気もしない。

 

「あの人、天の邪鬼ですからねぇ……」

 

「あ、言えてますね。間違いないです!兄様」

 

「フム。兄様も、Masterを掴んで来ておるのだな……」

 

「ところで、貴女達は一体……」

 

「兄様の師範をしております。リリィ=テオルグと申します」

 

「オルタ=ラヴォルフだ。兄様諸とも、よろしく頼む」

 

「アルトリア・ペンドラゴンです。セイバーとお呼びください」

 

「剣のサーヴァントなんですよ、彼女。なんで、真名ではなくサーヴァント名で呼んであげてください」

 

「「はい」」

 

師範代達とセイバーの自己紹介も終わった所で、俺は先程からギャンギャン怒鳴り散らしている転生者に向き直る。

そして、余りにセイバーを返せと煩かったので殴って黙らせた。

 

「セイバーは、物じゃないし!俺達の契約は、他者が行ったから俺達では解除不可能だ!!解除したいのなら、アインクラッド10階層にある大富豪邸へ行って来い。もしくは、22階層にあるキリト達の『森の家』とかな……ああ、アスナやSAOヒロインには手を出すなよ?ウチの師匠が、キリト達を強化してるから返り討ちに合うぞ?」

 

「ちょ、マジで!?」

 

「ああ……キリトに、《瞬動術》や格闘術のなんちゃって覇王流とか教えてたぞ?」

 

「《瞬動術》って、ネギマ!?それに、覇王流って事は【リリなの】のハルにゃんか!?つーか、なんでそんな選択肢!?」

 

「すまんな……師匠は、止められないんだ……」

 

「止めろよ!全力で、止めろよぉ!!」

 

「無理だ。拳一つで、爆発四散させられる……」

 

「マジか……」

 

「マジだ!」

 

「マジかあああぁぁぁぁ……」orz

 

という訳で、セイバーの元主はアインクラッドに昇る為に一度アルンに赴き、世界樹を経由して空に上がるとのこと。

なので、多少の助言をしたら真っ青になっていた。

まあ、アインクラッドの一階層から徒歩で五階層まで上がらないと転移門がつかえないとか、早くしないとエリアボスが復活するとか言われたら真っ青になるのも仕方がない。現在は、チートツールでもアインクラッド方面には行けないとの事で面倒極まりない状況が出来上がっているそうだ。

 

「何というか……自分達で、自分達の首を絞めてるよな……」

 

「ですね。そもそも、アインクラッドに転移出来なくなったのは彼等がNPCを奴隷にしていたから……ですから」

 

「私も、何度か止めましたが『俺達の世界なんだから問題ない』との一点張りで……途中、私をも襲おうとしたので斬って捨てました」

 

「???。生きていたが……?」

 

「いえ、比喩です。ですが……それ以来、奴隷漁りをする様になって困っていたのですが……「士郎がいるもんな?」な、な、な、な、何故、そそそそそそそそそそそれ、を!?」

 

「いや、そんなに激しく反応されても……」

 

セイバーの元主は、NT属性だったのか?

まあ、この様子ならNTったりはしていないみたいだけど。

それでも、俺的に衛宮士郎は好きなキャラクターだったのでセイバーとのカップリングはハズせない。そりゃ、攻略するとなればNTりには行くかもだけど……その予定はないのでパス。

 

「とりあえず、剣を合わせれば俺がどんな奴かはわかるだろう?」

 

「……剣を、使うのですか?」

 

「一応、格闘術と剣術は習得しているが……勝っちゃうかもな?」

 

「ほぉぅ……」

 

あ!冗談のハズが、セイバーのやる気に火着けちゃった。

セイバーは、不敵な笑みを浮かべてこちらを睨んでくる。

そう言えば、セイバーって負けず嫌いだった様な……とは言え、既に言い放ってしまった言葉を戻す事は不可能なので、諦めてセイバーとガチ模擬戦をやる事になった。つーか、初手くらいはいたたく気概で最初から《神速》を使って穿ちに行く!!

これ以外に、俺を示す事は出来そうにないので割りとガッチガチになりつつもセイバーと向かい合って《ダーティー・ニーズ》を構える。そして、師匠の『始め!』の声で《神速》に入り瞬動術で間合いを殺して取りに行った。

 

「はあああぁぁぁぁ!!!」

 

「!?」

 

正眼に構えたまま、前へ突き進み『突き』を出す。

絶好のタイミングで、最高の速度と力で繰り出されたそれは吸い込まれる様にとセイバーへと迫って行った。セイバーは、驚いた様子で何とか避けようとギリギリのタイミングで避け様として……籠手にヒットさせた。ニヤリと笑って、スレ違う際についでの駄賃とばかりに蹴りも入れておく。彼女は、蹴りの威力が高かったのか…自ら飛んだのか…吹き飛んで着地する。俺は、瞬動術の勢いをいなしつつ振り返ってもう一度突っ込んだ。

 

ーーー《硬気功》

 

   ーーー《金剛》

 

その上で、防御を固めて体当たりと洒落込む。

当たれるか否かは、どうでも良いので彼女がどう対応するかを確認する。というか、彼女が《瞬動術》にあんなに驚いていたので多分初見と思われた。だが、一度は見せたんだから対応可能だよね?って事で続け様にもう一回の発動である。

結論、力付くで捩じ伏せられました。割りとアッサリ、上段の大振りでズドンと(笑)。パワーにパワーで対抗するとか、何やってんですかね?脳筋ですか?

 

「先程の非礼、謝罪します。貴方は、ギルガメッシュより強い!見た目が同じでしたが、あの者とは別人でした」

 

「プッ、ァハハハハ!……俺が、強い?違うよ、セイバー。俺は、最弱だ。だって、俺が目指すべきは……師匠だからな!」

 

言われて、師匠に視線を向けるセイバー。

しかし、構えは解かず警戒は最大のままだ。いやぁ……流石としか言えないな。これが、歴戦の戦士か……勉強になるわ(笑)。

 

「…………あの御仁は、別格……そうですね。あの御仁に比べれば貴方は最弱でしょう。では、いかがなさいますか?」

 

「もちろん、届くまで!!」

 

と声を張り上げ、再度突撃しようとしたら唐突に師匠が割り込む様に転移してきて,

 

「その前に聞くけど、神崎の事気に入った?」

 

「ファ!?」

 

ブ チ 壊 し で あ る !

 

「…………心意気は。ですが、見目は苦手です」

 

「だってさ。イケメンくん?」

 

「ちょ!?雰囲気ブチ壊さないでください!!」

 

 

ブ チ 壊 し で あ る !!

 

 

 

 

 




この後、神崎くんは凹みますw。
というか、雰囲気ブチ壊しとか双夜も無茶しますよね!
まあ、仕切り直し的な意味もあったんで神崎の調子を崩す為にやったみたいですけどw見事調子を崩して、最終的にセイバーに負けましたw。未熟者めwwww。
とりあえず、本話最初の出だしはちょっとカッコいい文章を目指した結果です。やったのは、神崎くんで目の前に広がる光景に合わせた結果でした。やりそうだよね(笑)。
流石に、【神話の再現】って設定なんだから何時もと同じじゃ絞まらないので頑張ってみたよ(笑)。文章をカッコ良くなんてどうしたモノかと思ったけど……なんとか、それなりのモノになったかな?と思ってます。でも、続かなかったよ(笑)。神崎くんの感想的地の文を書けばそうなるのは目に見えてたし、最後まで続ける気も無かったからねぇ。とりあえず、出だしだけそういう風に作ったよ(笑)。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺は、クラスメイト(勇者)の召喚に巻き込まれた一般人だ。そして、現在は冒険者として生計を立ててはいるが……何故か、日々の糧は勇者を名乗るクラスメイト達に奪われ、ただ黒パンを齧るだけの日々を過ごしている。
当初、召喚した王様から貰った金貨10枚を元手に、金貨5枚で戦闘を教えてくれる元女冒険者(借金奴隷)を買い、追放された城下町でそこそこの日々を過ごしていた。
なのに、奴等がまた俺の目の前に現れて俺から何もかもを奪って行く。最近では、俺を財布扱いしていて装備も稼いだなけなしのお金も奪われ冒険者も出来ず空腹に喘いでいた。
ぶっちゃけ、詰んでいる。別の町に行きたくても、旅が出来る程のお金も腹一杯食べられる糧もない。それなりの関係を築いていた女冒険者は、奴等に生意気だと連れ去られて風の噂で死んだと聞いた。その上、その女冒険者の死に対する責任は主人である俺へと押し付けられ勇者は拝めめなし、俺には大きな罪科が課せられて冒険者証も剥奪された。
そして、今…俺は、勇者共に捕まり訳のわからない裁判に掛けられている。性奴隷ではない、女冒険者に性的暴行を加えた上殺害したという罪を…だ!
この世界の法律では、奴隷に対して暴行を加える等をすると罪に問われるらしいのだが…それを殺ったのは俺じゃないので大丈夫かと思っていた。
だが、罪を確認する魔道具を使って無実である事が確定しているにも関わらず、裁判は俺が犯人であるかの様に続いている。要は、生け贄という奴なのだろう。流石に勇者を裁く訳には行かないから、無実の俺を犯人に仕立て上げて裁こうという腹なのだろう。全く、権力を持つ奴はなんでこんなに傲慢に成れるのか…何なんですかね?超白けるんですけど?
それで、俺は死刑になるらしいのだが…その判決を、裁判官らしい方が読み上げた所で問題が発生したらしい。
このファンタジー世界には、本物の神様が居て嘘か偽りかを判断しその判決が正当であれば俺の罪が確定するらしいのだが…その神様が、OKを出さない限り俺は無実の者として解放されるという。だけど、俺には何の罪も落ち度も無いので神様からOKが出ず裁判は膠着状態におちいったのである。
そして、最終的には神様が降臨して俺を指差し『無罪』と言い切った…のだが、ここで光の勇者が割り込んで来て正義と平等の神様を丸め込もうとしたのである。
結果、光の勇者が外道勇者となり勇者であったハズのクラスメイト達が全員暗黒系の職種へと変質してしまったのだ。
更には、そんなアホゥ共を呼び出した聖女が魔女に…召喚を命じた王様が魔王となって暴走を始めてしまう。
その場は、正義と平等の神様によって救われた訳だが…何故か俺が『勇者』という事になり、彼ら全員を倒さなければ成らなくなってしまった。
あの…ちょっと、勘弁して下さいませんかね?なんで、一般人で巻き込まれの俺が勇者に成るんですか!?え?じゃないと世界が滅んでしまう?てか、俺等は魔王を倒す為に召喚されたんですよね?何で後から、魔王が生まれてるんですか!?は?あの召喚は、王様の独断!?マジで!?ちょ、聞いてないッスよ!?
勇者の称号も無ければ、勇者装備も使えない一般人で巻き込まれの雑魚である俺が……無い無い尽くしの超ハードモードで、魔王とその配下の元勇者達を倒す為に戦う事を強制された物語がーーー始まらねぇよ!!逃げるに決まってるだろ!?つー訳で、送還!!

職業:一般人。称号:巻き込まれし者。特殊スキル:元の世界への帰還呪文。ステータス:低(MPだけ高)。
……の物語でした(笑)。
まあ、こういうのもアリですよね。皆と一緒に…と彼は思っていたのに、裏切られて一人で帰る一般人。あー、裏切らなかった人達と帰るでも良いけど…基本、異世界に召喚されてステータスが低い雑魚に良くするクラスメイトって居ないですよね?希に見掛けるけど。異世界召喚モノって、基本『俺TUEEE』をする予定の物語が多いからか、徹底的に弱者を痩け降ろし省く物語が多数なんだよ。だから、こういうのも面白いかなぁって(笑)。アリかなぁ…?弱者をボコボコにしてたら、元の世界へ戻る為の鍵だったというオチ。ある意味、最大のザマァ!!だよね(笑)。

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