絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三三六話 #

双夜:閑話

場所/???

 

 

「あ、そうだ。アリちゃママに、すじゅかママ、あのね?僕と“約束”して欲しいんだ」

 

「「約束?」」

 

二人は、俺の言い分に怪訝な顔をする。だけど、『ママ』達を救う為にはこの“約束”を取り付けられるかどうかに掛かっているだろう。流石に、『契約』は《神殺し》への転生になるので“約束”の方を結んでみる。これなら、拘束度は『契約』より緩いから何とかなるハズだ。

 

「うん。“約束”……これなら、絶望の連鎖とループからアリちゃママやすじゅかママを助けられるかも知れない」

 

「……………………」

 

「ずっと、そのままなんて嫌、だろう?」

 

「そりゃ、“ずっと”は嫌だけど……」

 

「その約束をすると、二度と双夜に会えなくなるとかじゃ無いんだよね?」

 

「大丈夫。流石に、死ぬまでとかずっとって訳じゃなくなるけど……会える時には、必ず会いに行くよ?」

 

まあ、その為には思い付いた解決法を成功させないとイケないんだけどね。でも、失敗はしないと思われる。

ただ、成功例が存在しないのでハッキリ断言出来る訳じゃないけど。ぶっつけ本番で、失敗しても『ずっと一緒』になるだけで問題もなさそうだ。

 

「いつでもって訳じゃないんだね……」

 

「仕方がないじゃない。まあ、すずかの気持ちもわからないで無いけど……でも、今までよりもずっと良いんじゃない?」

 

「そだね。“私”の絶望で、色んな世界軸を渡り歩くより……双夜が、私達の元へ来てくれる方が良いよね?」

 

「私も、約束するわ」

 

「うん、約束するよ」

 

こうして、俺と『ママ』達の“約束”は取り付けられた。

それにより、『ママ』達が絶望の果てに上書きされる事は無くなるだろう。だけど、それによって絶望が広がるというのでは本末転倒なのでこれまで以上に忙しくなるのは間違いない。そもそも、上書き現象というのは俺の失敗を補填する為の措置だと思われる。

原作ヒロインが、絶望の果てに精神を保てなくなるって事は俺が間に合わなかった事を意味している訳だ。それを回避する為に、『ママ』達が希望を繋いで居てくれていただけの話しなのではないか?と、最近は思うようになっていた。

 

「じゃあ、この玉を持ってもう一度僕の後に続く形で宣言してくれる?」

 

ならば、本当に救わないとイケないのは『ママ』達だろう。そもそも、この【魔法少女】の世界は『痛みと悲しみと残された希望』というテーマで作られた物語だ。

なのに、ヒロイン達が絶望しその果てに精神を保てなくなるっていう事はそのテーマから逸脱している事になる。

俺達は、物語が歪み壊れない様にその歪みを修正するのが仕事だったハズだ。

 

「良いわよ?」

 

「うん」

 

「じゃーーーーーーーーー」

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

数年後、後を残留組の使い魔にお願いして俺は新たな世界軸へと旅立った。ある程度、回復したとは言え日本が受けたダメージは致命傷レベルのモノで……救援を他国に求めたら、数日後には世界中がそれを知る事になっていたよ(凹)。その結果、懸念していた異能者の迫害みたいなモノが始まりそうになったけど。

そこら辺は、情報操作によって『羽モドキが生える程度ではなく、戦車の砲弾すら跳ね返すレベルの能力者が力に溺れて暴走した!』と公表する事で論点をズラし異能者に向けられる迫害の目を反らす事に成功。多少の危機的状況が、何度か生まれそうになったけど……その度に、情報を操作して論点をズラし力に溺れない様に教育をする。

もしくは、管理外だけど暴走する強大な能力者は時空管理局に助けを求めるという事で話を着けた。

世間には、公然の秘密って事になっているけど……大々的に、そういう存在が居るって事を公開しちゃってるからな。彼方の支部を、日本に置く事で公でも秘密裏にでもなんとか出来る様に状況を整えて置けた。それによって、地球に帰られないかも知れないと思われていた転生者や原作ヒロイン達は時空管理局の監視下に置かれているという建前で親の元へ帰らせる事に成功。その際に、俺の引き取り云々で揉めたけど……時空管理局支部に詰める事でそれを回避。まあ、フェイトちゃんとラブラブ同棲な日々で転生者に妬まれ追い回されたり、アリちゃやすじゅかに睨まれたりととても忙しかった。

後は、経済と政治力だけど……そこら辺は、時間を掛ければ掛けるだけ成長するモノなので支援はしたけど放置して来たよ?流石に、そこまで干渉したら色々面倒な縛りが出て来るので国連に丸投げしたともいう。まあ、二度目の行政指導が入ったと思えば納得出来るんじゃないかな?

故に、俺はあの世界から旅立った訳だけど……今は、別の問題を抱える世界軸へと至っている。というか、システム・アガシオ一つ分の使用使い魔が八割に至ってしまった。

他のシステム・アガシオから、追加で使い魔を補充するか……一度、再編して入れ替えてしまうかで迷っている。

 

「いや、本当に……百万なんて、あっという間に使い切っちゃうなぁ。まあ、世界の数が多いから仕方がないと言えなくもないけど。でも、これじゃぁ任務に支障が出ちゃう……」

 

「未来から、回収しますか?」

 

「どこのブラック企業だよ!?はぁ……仕方がない。システム・アガシオMk-Ⅱを導入するか?現在状況で、戦闘にならない者の使用魔力を下げる。もし、戦闘になった場合は近くにいる戦闘班に任せるか……個人の戦闘技術で乗り越えて貰え」

 

「Mk-Ⅱですか?」

 

「魔力の供給問題で、使えなかった機体だよ。あ、変な風に染めるなよ?と言っても、入れ替わりで交流する事はないだろうけど」

 

「そんな!?我等がMasterの素晴らしさを分かち合えないなんて……これ程、悔しい事はあり得ません!!」

 

「うっせー、黙ってろ!全く、狂信者ってどこまで侵食してやがるんだろうなぁ……」

 

出来れば、こういう状態にならない方が断然良いのだけれど。それでも、放って置くと段々歪んで行くか腐って行くので指導は必要かと思われる。こういう狂信者と、新参者は一緒にしては駄目なので完全に分けて使わねばならない。なので、後任には感情を抜いた報告書だけを見せて現状を把握させてから送り込む予定である。

とりあえず、前世界軸の農地には魔力消費の少ない汎用型使い魔を送り込む事にして戦闘用使い魔はMk-Ⅲから派遣する事とした。それにより、一旦初期型のシステム・アガシオは全ての使い魔を回収し再起動となる。意識の強制終了。だけど、直ぐに意識は戻る。だが、他人に命を握られているかの様な状態に彼等は恐怖しないのだろうか?と、回収&再起動の度に思う。自分だったら、間違いなく耐えられないだろう。出来るなら、殺生与奪権を持つ者を殺してその権限を消し去ってしまいたい。それが、普通の人間が行う対応だろう。だが、使い魔達は違う。

どれだけ()()を与えても、絶対に殺生与奪を奪うという私的理由で俺を攻撃したりはしない。そりゃ、バカスカ殺されているはいるけど……こちらが、死なない事をわかった上で攻撃してくる訳だ。そこに、危機的感情や私的な理由は無く……大まかに、俺が人外である事の証明だったり別の理由だったりする。それ以外で、使い魔が俺を傷付ける事は無い。

 

「……………………」

 

何はともあれ、続々と引き継ぎ報告が上がって来てほぼ漏れなく後任の使い魔が其々の問題や事後処理へと散って行く。済みになったモノに関しては、再確認の上で即時引き上げの報告書が届いた。それに対して、許可のメールを送って待機を命じて置く。

どうせ、世界軸を渡れば事後処理やら何やらの為に仕事は山程出て来るのだから、休める内にしっかり休んで貰わねばならない。これで、良し!っと。それじゃ、新たな問題へと向き合わねばなるまい。と言っても、特出して大きな歪みが発生している訳では無いので目に付いたモノから順次解決して行くだけである。

さて、今度の世界はどんな世界かな?

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

そうして、降り立った世界は最終決戦真っ只中だった。

空を見上げれば、聖王のゆりかごが大気を揺らし風を切り裂いて進んで行く。下を見下ろせば、ガジェットが大挙を組んで地上管理局の塔へと殺到していた。

 

「…………え?どうしろと!?」

 

ぶっちゃけ、判断に困る所である。そりゃ、管理局側に手を貸した方が良いんだろうけど……いきなり、こんな場面に放り出されて何をしたら良いのか判断に困るんですが!?えっと、これ……《ディバインバスター》で薙ぎ払えば良いんですかね?

とりあえず、管理局の通信を傍受して状況の確認を行う。それでわかった事は、転生者が原作ヒロインをGETする為に格好いい所を魅せようとヒロイン達の妨害をしているって事だけだった。

 

「何て言うか……毎度の事ながら、似た様な事しかしないんだな……えっと、転生者、え?」

 

神崎が良く、『転生者えぇ……』とか言っていたので真似てみたのだが上手く出来ただろうか?何となく、違う様な気もしないでも無いんだけど……等と、遊んでいる場合では無さそうなのでアイテムボックスから、例によって1メートル程の棒を取り出す。

その棒に魔力を通して、3メートル程の槍へと変化させた俺は真名を告げて解き放つ。

 

「《ニーヴェルヴァレスティー》!!!」

 

さて、聖王のゆりかごに何れだけのダメージを与える事が出来るかなぁ……っと?あ、ヤバい!!うっかり、決戦兵装で攻撃したらユーリの時と違ってゆりかごの土手っ腹に巨大な穴を開けてしまった。瞬間、ゆりかごが失速した感じでゆっくり高度を下げ始めたのですが……どうしよう!?

あるぇ!?ユーリの時は、そんなに大ダメージに成らなかったのに聖王のゆりかごは駄目なんですかね?あ、サーチャーが飛んできた!?大騒ぎになってるッポイ!!ちょ、ちょっとした、うっかり、だったんです!!

と、とりあえず、紫天の書を出してユーリを呼び出し相談を持ち掛けるが、ユーリは苦笑いするだけで慰めてもくれない。

 

「良し、ユーリが殺ったって事で!」

 

「逃げましょう!!」

 

「あ、そうだ!ユーリも、攻撃して共犯になろうぜ!」(混乱中)

 

「双夜?混乱してますか?」

 

「唐突に、こんな状況に放り込まれたら無計画な事しか出来ないんですけどぉ!?」

 

「その結果が、ゆりかごの大破ですか……」

 

「まだ、中破だよ!?」

 

未だに混乱したままだけど、飛んできたサーチャーが何処のサーチャーなのかを逆探知で調べる。すると、機動六課のサーチャーだという事がわかったのでまだ首は繋がっているらしい。

 

「とりあえず、落とそうか?」

 

「落とすんですね?」

 

「機動六課の隊長さん達は、妨害工作で動けないみたいだからね。行くよ!レイジングハート!!」

《All right. Master. Stand by ready. set up.》

 

「ブラスターⅢ!」

 

《Divine……》

 

「バスター!!」

《Buster!!》

 

《ディバインバスター》発射と同時に、通常のビットとオリジナルS&Bビットを呼び出す。Sビットは、フレールくんに預けて地上管理局の塔の方へ……Bビットは、俺とユーリに複数付けて聖王のゆりかごへ突撃する事になった。

原作ヒロイン達は、転生者に邪魔されているらしいから期待出来ないし……それで、負けられてヴィヴィオが大変になるのも困るので大元には俺達が突撃する。というか、AMFがあるからフォーミュラの方が良いかも知れないけど……俺の身体は、高密度のエネルギー体なのでナノマテリアルは使えない。まあ、対策はしてあるからエネルギー効率は悪くは無いんだけど……それなりに、ロスしているので魔力消費は大きい。試し撃ちの時は、はっちゃけてたけど……今回は、長期戦になりそうなのでロスは避けたい。

だから、Bビットの中に物理系のビーム兵器を混ぜて置いた。

これで、ガジェット対策は万全だろう。

 

「狙い撃つぜ!」

 

「行きましょう!」

 

フレールくん達と別れて、俺とユーリは空へと上がった。途中、眼鏡のお姉さんから警告を受けたけど、隊長さん達が幼馴染みズに妨害されている事を仄めかして黙らせる。『本当に、勝てるの?』とか『余裕寂々みたいですね』とか言ってみた。

それと、戦力は幾らあっても足りないだろう?と告げて強制飛び入り参加。まあ、先に行っちゃったユーリを追い掛けるって目的もあるしな(笑)。飛んでいると、向かって来るガジェットが居たのでそれを破壊する目的で《ディバインバスター》を穿つ。ユーリが、先行しているのでビーム兵器は使わない。てか、使えない。

本当だよ!?ユーリなら、防げるからって撃たないよ!?

ユーリは、既に大分先へと行ってしまったので俺も後を追って空を駆けた。眼鏡のお姉さんは、何故かとても嘆いている様子だったけれど。俺の知った事じゃないのでドンドン進んで行く。

射程距離に入ったので、カートリッジをロードして《ディバインバスター》を穿つ。ガジェットは、レイジングハートがアクセルシューターで排除してくれているので問題なく届く。

 

「チッ……」

 

流石に、外す事はないけど……目的である、転生者の排除にはならなかったので舌打ちをする。全く、目障りな奴等だな。ならば、《ディバインバスター》の方を大きくすれば良いのかな?

【船】へ、S級ビット緊急発進を申し込む。何故か、却下されたけど遠隔操作で二機出撃させる事に成功する。

残りは、途中でキャンセルされたので全機の出撃は叶わなかった。だが、二機もあれば問題ない。最悪、突撃させて無理やり下へ押し込んでやれば軌道が狂って上手く上がれず、第一世界を一周させなければ成らないなんて状況になるんじゃね?って訳で、俺はそれを成すべくゆりかごの後方へと周り込んだ。つか、ユーリどこ行った!?

 

「聖王のゆりかご周辺にいる全ての空戦魔導師に告ぐ!その空域から離脱しろ!!」

 

『ちょ!?アンタ、誰や!?』

 

『はぁ!?誰だよ、テメェ!』

 

『ここに来て、新たな転生者ですか!?』

 

『なのはは、渡さねぇ!!』

 

「準S級艦・バスタービット!百メートル級《ディバインバスター》行きます!!《ソニック・ムウゥゥブゥゥゥ》!!!」

 

『は?』

 

瞬間、俺の後方に準S級ビット艦が現れ膨大な魔力を収束しつつ消失。次の瞬間には、聖王のゆりかご目の前に出現した。出現した瞬間、馬鹿みたいに巨大な《ディバインバスター》が穿ち出される。これには、文句や不満をブチまけていた転生者達も黙って逃げる以外の選択肢を選べず……その巨大な《ディバインバスター》に押し負けた聖王のゆりかごは艦首を下に向けざるを得なかった。

流石、魔力動力炉搭載型の魔導艦である。

出力が洒落にならないね(笑)!!

 

『ーーーって、危ないやろ!?』

 

「エクセリオン………ブレイカー!!!!」

 

放出された魔導艦砲撃で、使い切れなかった魔力を今度は自分で集めてゆりかご後方からブーストに向けてブレイカー魔法を撃ち込む。定石通りなら、これによって更にゆりかごは失速する事になるだろう。まあ、直ぐに再生されるかも知れないが……土手っ腹に巨大な穴が開いているので、先ずはそれを修復しない限りブーストにまで手は回らないと思われる。ほらほら、頑張って直さないとドンドン壊れて行くよぉ(笑)。そんな状況下で、今度はユーリの攻撃である。本当に、息のつく暇なく攻撃されるゆりかごはドンドンボロボロな外見へと変わって行くのだった。

 

「にゃははは!このまま、墜ちてしまえ!!」

 

『め、メチャクチャや……』

 

『あれが、新たなライバル……』

 

『普通に、ヤバいんですけど……』

 

『怖い……』

 

「死にさらせぇ!!」

 

聖王のゆりかごを、Bビットで囲んで徹底的に《ディバインバスター》やビーム兵器を叩き込んで行く。ほぼ、一方的なタコ殴り状態で、反撃をしようにも先の百メートル級《ディバインバスター》で上層の砲台は壊滅。攻撃手段を潰されたゆりかごは、ガジェットを大量排出して反撃しようとするが、周囲を囲まれているので中々こちらにまで攻撃を届かせる事が叶わない状態だった。

 

「《ディストーションフィールド》最大出力!艦首下げ、マイナス二十!残りのエネルギーをブーストに……ブースト、フルブースト!!ついでに、《ソニックムーブ》!!!」

 

瞬間、失速して艦首が下を向いていたゆりかごに俺の準S級ビット艦が剥き出しになった上層部分に突き刺さる。

そこへ、全エネルギーを魔導砲に注ぎ込んだ《ディバインバスター》が炸裂した。ついでに、準S級ビット艦に搭載されている魔力動力炉を暴走させて自爆させる。

結果、聖王のゆりかごに大きな穴が開きました。

下方と上層が繋がって、大きなトンネルが開通したのである。

 

「やったぁ!トンネル開通!!」

 

『アカン、頭が痛くなってきた……』

 

『き〇がいがいる!?』

 

『あれは、ヤバいだろ!?』

 

『新たな転生者が、イカれた狂人とか……マジか……』

 

外野がうるさいけど、事後処理は丸投げしてあげるから頑張って?

そして、残った準S級ビット艦にBビットも集めて収束に入った。さっきの《エクセリオンブレイカー》は、試験的に搭載した新システムの試し撃ちだったけど、今度のは本気の《SLB》である。コイツで、俺の魔力は打ち止めだけど……ユーリが居るので、俺の出番はここで終了である。

聖王のゆりかごは、完全に失速。

頑張って空に上がったとしても、軌道上に上がれるのは一日程後の話だ。もしかすると、この《SLB》で墜ちるかも知れないけど……俺は、気にしない!!

 

「リンカーコア排出。コアブレイク!レイジングハート、『モード・ヘカト』に移行。全力で行くよぉ!」

《All right. Master.》

 

レイジングハートが、【鮮血の】が組み込んだフォーミュラ込みの外装へと変化する。それに伴い、展開した魔法陣は魔力を電気エネルギーへ変換する為の法陣。これを、本来のフォーミュラにも対応出来る様に魔改造する予定ではあるけど……今は、膨大な魔力と【エレメンタル・マナ】に変換して融合させる。それにより、AMFでは弱体化できないエネルギーへと変化した。

 

「全力全開!エクシード……ブレイカアアァァァ!!!!」

 

結果、問答無用で中央にあるゆりかごの【核】を貫通した挙げ句に起爆。良く、これで浮いて要られるなぁと感心したくなるくらいの状態でゆっくりと墜ちて行くゆりかごがあった。

 

『うわぁ……個人で、ゆりかごを落としやがった……』

 

『つか、アレ……フォーミュラ・カノンじゃね?』

 

『マジか!?そりゃ、墜ちるわ……』

 

「にゃははは!聖王のゆりかご、恐れるに足らず!!」

 

『こらぁ!あの中には、私の大事な子が居るんだよ!?』

 

おっと……なのはママが、御立腹な叫びでクレーム付けて来ましたよ!?まあ、ヴィヴィオの乗る船をフルボッコにすれば御立腹になるのもわかりますが……ゆりかごが、墜ちたのでシステムから切り離されたんじゃないかな?なら、文句は止めて欲しい。

 

「知ってるよ?だからこそ、ここまで負荷を掛けておいたんじゃないか。少しでも、システムから切り離される様に……まあ、ここまで来るとシステムの方が落ちてるかも知れないけど……」

 

まあ、それは建前だとしてもこの様子ではゆりかごのシステムの方がダウンしている可能性は高い。それに、最深部に居る人の安全は一切保証出来ないし……ねぇ?

戦闘機人の四番さん……下手したら、もう生きてないかも知れないけど。それはもう、仕方がないよね?ヴィヴィオを使って、ミッドチルダを征服なんて言い出した時点で敵対フラグが建っちゃったんだから。ほら、ぼぉーと突っ立ってないでヴィヴィオを迎えに行け。

じゃないと、俺がヴィヴィオを迎えに行っちゃうよ?

さて……何はともあれ、原作ヒロイン達の邪魔ばかりしていた転生者諸君は少しお仕置きしないと駄目だね?

下手をしたら、ヴィヴィオがまた車椅子生活を強いられる可能性があった訳だし……なので、手を横に差し出せば戦闘の間に彼等を調べてくれた使い魔が彼等の詳細が書かれたファイルを寄越してくれる。

見れば、ほぼ全員が美形転生している愚か者たちだった。

チラッと、ファイルを差し出した使い魔を見ればこちらの言いたい事を理解したのか複数の使い魔を呼び出し指示を飛ばしている。内容からして、生前の姿に扮した使い魔によるディープなキッスをブチュウっとされる悪夢が実行されるとのこと。

それは、過去の自分を否定する愚か者達に精神的大ダメージを与えて行動不能にするという行為。当人が【醜い】と認識する容姿で、現在の自分とディープなキッスをされた転生者はかなりの精神ダメージを受ける様だが……そんなに、駄目なんですかね?

なので、最近では転生者に有効な精神攻撃として使い魔の間で流行っているらしい。俺の悪戯が、それの原因だが……まさか、ここまで復旧するなんて誰が思おう。原作なんて気にせず、思う存分楽しんでくれる事を願いつつ……無理だろうなぁっていう諦めを持って見送った。

 

 

 

……………………。

 

 

チョンチョン。

 

「やあ?俺、久しぶり……愛しているよ?」

 

早速、其々の対象の背後に忍び寄った生前の姿に扮する使い魔がに爽やかに話し掛け……驚いた様子の転生者が、正気を取り戻す前にブチュウっと生前の姿の使い魔が相手にディープなキッスをする。瞬間、状況を混乱する頭で理解したであろう転生者がキスをされたまま魂の叫びを上げた。上げているんだろうけど、声にならないそれは無言の嘆きとなって空に響く。御愁傷様です。

 

 

 

 

 




ハッチャケてます!!!!
さて、《神殺し》の【契約】と【約束】についてですね。
【契約】は、《神殺し》への転生を目的としたモノで優秀かつ性格が破綻している者に送られる縛りの強い約束です。対して、【約束】は《神殺し》への転生ではありません。どちらかと言うと、個人がする【契約】ですかね?この場合は、双夜個人でした【契約】なので『使い魔への転生』って事になるのかな?まあ、使い魔の【核】(この玉)を手渡して再度宣誓させていたので間違いないかと。これにより、彼女達がどういう風になるかは……まだ、内緒(笑)。
魂への縛りとしては、弱い分類になるので使い魔へと転生しても絶望する自身に引き摺られるのは言うまでもなし。でも、帰る場所が出来たのは間違いないので大きな歪みとなる事はないかな?それに……この場合、双夜の使い魔になったとしても自由が有り過ぎて暇してるイメージしかない。

後は、無計画な双夜の暴走、かな?
何の前触れもなく、いきなり最終決戦で原作ヒロイン達の邪魔を転生者がしているとなれば……聖王のゆりかごを落とすのは仕方がないよね!仕方がないんだよ!!
いつもなら、十分な下調べがあってそれなりに計画を立てての干渉だけど。双夜に取っても、大事な妹が囚われの身なのに己の欲望で邪魔してる転生者が居たら……まあ、こうなるなぁ(笑)。ユーリは、先行して原作ヒロイン達を助けています。じゃなかったら、最初の百メートル級《ディバインバスター》で墜ちてるし!頑張ってるヒロインが!!
なので、周辺に居なくても気にしないで下さい。下がれと言われて、素直に下がると思えなかったのでユーリを使いました!!本当は、ツヴァイでも良かったんだけど……混乱させるよりかはマシかなぁって。余計な時間を使うより、迅速な避難を優先。転生者達は、そのまま墜ちれば良かったんじゃない?過去の自分にディープキスをされる事もなかった訳だし(笑)。これにて、一件落着!って事で。


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