絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三五四話

Re:

 

 

悪口大会の次の日、俺はリンディさんに連れられて何故か本局のリンカーコアを測定する施設に連れて来られた。

それで、ここの主・マリー女史によって身体の隅々まで調べられて今は放置されている。そんなに俺の身体データを見詰められたら、とっても恥ずかしいじゃありませんか!?

 

「神崎君、貴方……元は、魔法が使えたのよね?」

 

「…………ああ、そういう事ですか。ええ、使えましたよ?他のイレギュラーに、虚数空間に捨てられてここに来るまでは……」

 

面倒だったので、イレギュラーな存在である転生者達に虚数空間に捨てられたというサイドストーリーを作りそう教えてある。

その際、虚数空間内では例のレアスキルでこちらへ渡って来たとも言った。そのお陰で、虚数空間内を移動した際の方法をでっち上げなければならなくなったが……そこはそれ、いつもの【鮮血の】さんクオリティで何とか凌いだ。【鮮血の】さんが作って寄越した、とある箱の内部が居住可能なモノだったので何とか回避。つか、これ……失敗作で捨てたいけどSAOモドキ世界では捨てられないからって俺の宝物庫に預けられたヤツなんだよね。

その時は、『俺の宝物庫はゴミ箱じゃねぇ!』とか言ってたけど……全く、頭が上がらない状態であります!!

ま、まあ……他にも、色々ガラクタが入っているけど。

その内、活用法が見えたりするのだろうか……?だったら、嫌だなぁ……と、少し鬱になって遠くに視線を向ける。

ぶっちゃけ、あの人達がやる事って大体が後に問題が出た時の対応策であって無駄が無さ過ぎるんだよな。まあ、偶然らしいけど……師匠に言わせると、必然であって偶然ではないとのこと。

はてさて、そんな事はお構いなしにリンディさんとマリー女史は俺のリンカーコア消失と今後の話で盛り上がっている。本人をそっちのけで、今後の話をされると色々面倒なんですが……どうしたものか?あ、俺に事務系の仕事は無理ですからね?

とりあえず、本局に来たのでリンディさんを促して武装隊が訓練をしている訓練所に案内して貰う。ここに来るまで、ずっとVRゲーで寝てばっかだったから体が鈍っている様な気がして……ちょっと、動きたかったからだ。ただ、何も考えずに体を動かして調子を整えたかっただけなんだけど……何故か、その場で訓練していた武装隊の一団と模擬戦をする事になった。

まあ、相手がプロと言え負ける様な存在でもないので問題なく蹴散らしますが……これが、師匠や師範代達だと殺すつもりで向かって言っても掠りもしませんね。態と当たってくれる事もありますが、基本的に当てろ派なので全く一切『チッ』とも掠りません。ええ、反撃はありで!しかも、カウンターオンリーで!!普通に死にます。いや、揶揄や比喩ではなくガチで殺されます。

なので、師範代達との修行は……指導→構え→暗転→目覚め→指導→暗転→目覚め→構え→暗転→目覚め以下ループ。というようなルーチンワークになります。いやー、不老不死じゃないと耐えられない修行とか……気が狂ってしまいそうだ。という訳で、遠距離から魔力弾を撃って来た彼等はなんちゃって覇王流の旋衝派で受け止めて投げ返す。武装隊の面々は、そんな俺にビックリ!

慌てて、対応して来ようとするけど……慌てている所へ、《瞬動術》で飛び込み殴る蹴る投げ飛ばす等して蹂躙中。適当に、狼狽えている奴を掴んで飛んで来る魔力弾の前に投げ飛ばせば防ぐ事もなく当たって自滅。設置型バインドは、速過ぎて反応が遅れ……直接展開しても、アンチェイン・ナックルで粉砕して自由気ままに撲殺。『ヒャッハー』言いながら、《鎧通し》な防御無効打撃で立ち上がる心をへし折るのも忘れない。つか、軽く内蔵を叩いているので立ち上がれないってのが現状だろう。という感じで、一部隊終了。これで、終わり?みたいな顔して首を傾げた後、周囲をキョロキョロして遠巻きに観戦していた外野へ突撃してみた。結果、大乱闘の上で俺一人が勝利を納め負けた武装隊員達は再訓練を課されて不満の声を上げている。だが、俺が『もう一戦逝く?』と聞けば誰も不満気な声を上げる者は居なかった。

 

「いやー、良い準備運動になったよ♪」(鬼)

 

「じゅ、じゅんb……そ、そうか……」

 

「まあ、俺には師匠が居るんだけど……師匠の場合、防ぐ云々考えている内に、間合い殺されて意識刈り取られ暗転。気が付いたら、メディカルームだったなんて何時もの事だし……」

 

「……oh……」

 

「ああ、師範代達でも似た様な感じか……俺、超雑魚だわーって自覚させられて鍛練や修行ルートだからなぁ……」

 

「お、おぅ……あれで、雑魚……」

 

「周囲が化け物過ぎて、自分の立ち位置を見失った辺りから本格的な地獄が始まるんだよ……」

 

「「「……………………」」」

 

何故か、武装隊の方々がドン引きしている様子だけど……クックックッ、事実なので問題なし。つか、本当に立ち位置がわからなくなった辺りで地獄が始まったから俺に取ってはそれが普通だったりする。ってか……俺、本当に強くなってんの?

そりゃ……人間程度には負けるつもりもないけれど、自分がどれだけ強くなったかなんてそうそうわかるハズがないんですけど?

つか、翼に力負けするんですが?あれ、どうなってるんですかねぇ?そう言えば、似た様な特典を再セットしてたっけ?努力系と技術系……それから、限界無しな念能力?

あるぇ!?そういう風に聞くと、翼って最強なんじゃね!?

 

「元も、サイヤ人でテイルズ系の必殺・奥義使えて念能力と……うん。普通に、主人公だったわ……」(小声)

 

俺、これに勝とうとしてたんだぜ?なんて、無理ゲー(笑)。

今ですら、勝てないってのに当時の俺は何を考えていたんでしょうね?今なら、普通に翼をハーレムに加えてウッハウハしたいと考えるけど……まあ、その前に翼の髪を金色に染めなければ!!

 

「なんだ?この、使命感……翼の色彩を変えたい気持ちが強いんですが!?お、俺の直感が、翼の色彩を変えろと囁いて来る!?」

 

まあ、冗談なので気にしなくても良いですよ?普通に欲望いっぱいで、翼の色彩を変えたいと思っただけなので……あんなに、翼と恋人になる事を嫌がっていたのにね?

色彩が、アレだったからって……正に、現金。つか、ストレートに好みだったとも。

振り返り、バラけた武装隊員の人達が新たに訓練を再開するのを見送って、俺はリンディさんが待つモニタールーム的な場所へと移動する。つか、俺の師匠に関しての質問は全てスルーしたので武装隊員の方々が再度こっちに突撃してくる事はない。それじゃあ、俺はこの辺で……と思ったら、《直感》が反応して反射的に振り返った。

 

「うん?……今、誰かに見られていなかったか?」

 

確かに、視線を感じたんだけど……しかも、敵意込みの。もしや、この世界の転生者でも居たかな?まあ、こっちは今更11歳の御子様に手出しする予定はないので適当に全員と顔合わせしたら未来に転移する気なんですが?ああ、なんならクロノを間に立たせてからかい尽くしても良いかも知れないな(笑)。

次に遭遇するなら、地球にあるハラオウン邸辺りとか?

他の転生者共の動向もあるので、ここは気が付かなかった振りで次へと持ち越す事に……もし、奴等がヒロイン達に下らない事を吹き込むのならその時はクロノに盾となって貰おう。

是非、排除しに来てくれ!期待しているぜ?イレギュラー。てな訳で、俺はリンディさんが待つモニタールームへと急いだ。

 

「いやはや、俺も良い性格になったもんだ……」

 

悪質な人が、俺の周りにはたくさん集っているから俺もそれに引き摺られる形で悪辣になりつつある。まあ、今まではそんな余裕がなくて引っ込んでいたモノかも知れないけど。それでも、俺自身から周囲に混乱をバラ撒いて遊ぼうとはしなかったハズだ。

これをやるのは、俺じゃなくて師匠とか【鮮血の】さん辺りなんだけど……一体、誰に似たのやら?間違いなく、師匠系だろう。

そんなこんなで、リンディさんと合流した俺は色々と買い物とかに連れ回されて地球は日本の海鳴市へと連れて来られた。

想定はしていたので、ミッドチルダ経由としては遠くまで来ちまった感じだけど……さて、クロノくんは帰って来ているかな?

残念ながら、クロノくんは不在でした。まあ、先に帰って来ていたエイミィさんとフェイトが迎え出て来てくれたけどね。

 

「クロノは、不在か……」

 

「あら?クロノに、用でもあったの?」

 

「居てくれたら、イレギュラー専用の盾として活用出来たのに……残念無念」

 

「盾……イレギュラーって事は、あの子達が来る予定でも?」

 

「本局で、殺気や敵意バリバリの視線を向けられたから……今日中に、他のイレギュラー達と共に……『フェイト、ソイツから離れろ!』とか言い出して、俺を全力で変態扱いの危険人物として排除しようとするだろうな(笑)」

 

「……排除されると言いながら、何故、笑って居られるのかしら?というか、それがわかっていて防いだりはしないのかしら?」

 

「え、何で?全力で、矛盾を含んだ言い回しで突っ掛かって来るだけのお子ちゃま共に真っ当に対応する必要ないだろう?だから、クロノが居てくれたら()に出来るなんて言ってるんだけど……『クロノきゅん、パパって呼んでくれて良いよ?』とか言ったらどんな顔をするかなぁ?ハハハ」

 

「……からかう気満々ね」

 

額に指を当て、眉を寄せたリンディさんが頭痛そうに唸っている。

ええ、そりゃぁもう全力でからかう気満々ですが?だって、クロノってば『叩けば響く鐘の如く』で反応が良過ぎるんです。

 

「イレギュラーが、ギャーギャー騒ぐ中でフェイト達そっちのけでリンディさんを口説く俺……どこの誰が、変態扱いの危険人物と俺を見るのかなぁ?全力で、リンディさん狙いの若者ですよ?」

 

ああ、本当に惜しまれるとしか言い様がない。ここに、クロノくんが居てくれたら全力でリンディさんを口説きに行く予定だったのに……残念だ。本当に、残念だ。

 

「ぶっちゃけ、ペチャンコちゃんより大人な女性の方が好きですが?それが、未亡人と来たら涎モノですね。まあ、リンディさんはもう賞味期限が過ぎてますが……」

 

「…………どういう意味かしら?」

 

「ひぃ!?」

 

低い声に振り返れば、とっても良い笑顔で凄んで来るリンディさんが怖い。つい、短い悲鳴を上げて誤解するリンディさんに言い訳を並べ立てた。つか、全力でリンディさんの勘違いです!!

 

「違う違う!未亡人ネタで、漬け込む隙があるのは旦那さんが死んで数年の内って意味だから!旦那の居ない寂しさに、隙が出来る瞬間に滑り込むのがプロって話。まあ、コミュニケーション障害な俺の出来る事じゃねぇけど(笑)」

 

未亡人ネタは、そこそこの鮮度が命ですからね。独り身なら、何時でも漬け込む隙だらけになりますが……リンディさんには、クロノが居るし!!無理ムリ(ヾノ・∀・`)。

冗談じゃなく、伴侶を失った人妻の寂しい心の隙間にソッと入り込めるのが……番が死んで、数年程度って話なだけだ。まあ、聞いた話だけれども……誰にとは、言わないよ!?

リンディさんには、クロノという心の支えが居たお陰でアッサリ寂しさを仕事と子供で埋める事に成功している。

ぶっちゃけ、俺にはその隙間に入り込む技術はないのでリンディさんと良い関係を築きは出来ても恋仲には成れなかったと思うぞ?

 

「コミュニケーション障害?」

 

「そうは、見えないけど?」

 

「え……んー。いや、コミュ障なハズだぞ?改善は……し始めてるかもだが、最近まで会話もまともに出来なかったからな?」

 

あ、でも……《神殺し》に転生してからは、コミュ障では無かった気もしないでもないけど?周りが、アレだったからなぁ……いやいや、そう簡単に改善するなら世間一般のコミュ障達が引き籠っていたりはしてない。つか、俺の前世って引き籠りのニートだぜ?そんな、あれ等と似通っている所がある俺は間違いなくコミュ障のままだ。

よって、まだ改善の兆候は見られないと断言できる。(比較対象がおかしい件)

 

「そんな訳で、奴等の動言には耳を貸さない方向d……」

 

「フェイト!助けに来たぞ!!」

 

「ほぉら、おいでなすった……」

 

「アハハハ……」

 

見れば、非常識にもベランダから突入して来た三人の少年達が居た。つか、非常識ではあるもののベランダのガラス戸は開けてから入って来るって程度の常識はあった模様。これが、ガラス戸を壊して突入して来ていたらそこから突き崩せていたんだが……残念。とは言え、キラキラしてるなぁ……もとい、ギラギラかな?

見た目は、いずれも容姿端麗。しかも、色彩がカラフルだ。輝いている(笑)とも言えるけど、ブレる事なく格好いいイコールモテるがデフォルトの踏み台さん達。イケメン&男の娘を特典で得ると、踏み台補正はないけどデメリット有りで特典外で補正を得ると踏み台補正が付くという罠。可哀想に……知らないんだろうなぁ。いやいや、普通にそれは裏話だった(笑)。

てか、俺は【ギルガメッシュ】キャラ特典で補正はないけど踏み台扱いだったオチですね。世間一般のネット小説内で、転生系【ギルガメッシュ】が踏み台であったが故に。

しかも、ギルガメッシュ特典で悪人&負けフラグも立つ鬼畜仕様。キャラ系は、原作設定が有効なので原作によってその後の人生にも補正が入るとのこと。

だから、早期にカオスルートに移転する事をオススメ!!

例えば、原作……俺の場合は、『ギルガメッシュ』なので原作のギルガメッシュが取りそうにない行動を徹底的にやるとカオスルートに直行出来る。身体を鍛えるとか、エクスかリバー一本に絞って鍛練をするとか。それで、基本の『ギルガメッシュルート』から外れて未来が未知ルートに突っ込んで行きます。お陰で、シグナムと添い遂げる事が出来ましたが……そんな裏設定、全く気が付く訳がねぇよ!?鬼か!?悪魔か!?鬼畜か!?

しかも、世界は【魔法少女】の世界(笑)と来たもんだ。

エクリプスがあったとしても、男ではどうにもならないって悪夢。頑張れ!と応援したいが、彼等が出来る事は世界を壊して《旧・神族》の玩具になる事だけ……全く、救いがないな!!

そんな人生も、楽しめれば言う事はないけれど……歪められた彼等に、それを楽しむ余裕もライバルが居る事で振り返る余裕もない。ただ、転生させた神々の目的に沿って突っ走るだけの簡単なお仕事です。正に、娯楽人生ですね!

 

「……い……おい!聞いているのか!?この、変態!!」

 

「神々の娯楽風情が、生意気にも喚いているぞ?せめて、神々の掌の上から脱し自由を謳歌できるようになってから喚け」

 

「あ?何言ってんだコイツ!?」

 

「どうした、イレギュラー?神に選ばれたと、有頂天でノリノリなんだろうが残念。君等は、選ばれた訳じゃない。まあ、ある意味で選ばれたとも言えなくもないが……所詮は、神々の娯楽だ」

 

「あ!?訳わからんって言ってるだろ!?そんな事よりも、二度とフェイトに近付くんじゃねぇぞ!!」

 

「あんな、チンチクリンに興味はないよ。ああ、いや……フェイト、俺の事は『パパ』って呼んでくれて構わないよ?」

 

「パパ?」

 

「パパァ~!?」

 

「という訳で、リンディさん……さっきの話、考えて見てくれないかなぁ?(通じてる?通じてたら、ちょっと乗ってくれるとありがたいんだけど?)」

 

等と言いつつ、リンディさんの手を取り自分側に引き寄せながら目を見詰める様に口説く振りを始める。ついでに、通じるかわからなかったけど念話モドキを実行してみた。流石に、接触してないと使えないみたいだからなぁ。普通には、飛ばせないみたいなので手を繋ぐ事で通信が通るんじゃないかとやってみた訳です。

とっても、難しいです。これを簡単にやってた師匠、マジスゲー。

 

「……そ、そうねぇ。私もそろそろ、独り身ってのもアレだし……(念話!?これ、念話よね!?というか、神崎くん魔法が使えたの!?リンカーコアも無いっていうのに!?)」

 

「お?受けてくれるんですか!?本当に?(接触通信くらいしか出来ませんが……)」

 

「ええ、前向きに考えさせて貰うわ(後で、お話があります。逃げないで下さいね?)」

 

(えー?)

 

はい、振られました(笑)。

そして、居残り確定です。

 

「え!?えぇ!?ちょ、リンディ提督!?」

 

いえいえ、エイミィさん……俺、振られましたから抉らないで下さい。割りと、凹んでるみたいなので……畜生!!

 

「…………え!?ちょ、フェイトじゃない!?何で、アィエエアエエエエ!?何で!?何で、おばさん!?オバ専なのか!?」

 

「あら?藤堂くん……それ、どういう意味かしら?」

 

「あ、や、うん。ナンデモナイデス(; ・◇・)オネエサマ!!」

 

ハハハ、混乱してる。皆、超混乱してるよ(笑)。

しかも、リンディさんの極寒笑顔で喚いていた転生者が超怯えた様子で片言に。ああ、わかるよぉ?ああいう時の女性って怖いもんなぁ?とは言え、神々云々と伝えた時の転生者達の反応が今一。

もしかして、神様転生じゃないのかな?でも、特典貰っているみたいだし……ヒロイン達への執着も感じる。複数人で、気が大きくなっているみたいではあるけど大人な女性の冷徹な笑顔で固まる程度じゃぁ小物感出ちゃうぞ?背後で、抱き合っている奴等なんて最早空気だし……これが、この世界のイレギュラー達かぁ。

頭、悪そうだな。相手の話を聞かず、自分の言いたい事だけを言って会話してると思っていそうな馬鹿を見て……ああ、俺もこんな感じだったんだろうなぁと己が身を振り返る。昔、師匠が俺を馬鹿馬鹿言ってた理由がわかった気がして頭を抱えそうだった。

そして、俺が言った言葉は全てスルー。もう、覚えてもいませんね?背後の空気だった転生者達も、話が別へと移って行ったので深く考えもせずにワイワイフェイトを口説きに行った模様。

 

「あ、そうだ。バルディッシュ?今の録画してたら、クロノにメールで送っといて?」

 

調度、テーブルの上に置いてあったので適当にクロノへメールするようお願いしてみる。流石に、持ち手ではないので反応しないかな?と思っていたんだけど。

 

《Yes,sir.》

 

「え?」

 

バルディッシュに直接話し掛けてみたら、普通に返事してくれたのでそのまま続行。フェイトが、不思議そうにバルディッシュを見た後……手に取って、振っているのが印象的だった。そんなフェイト達は放って置いて、大人組がいるダイニングテーブルの方へと移動した俺は適当に座ってニヤニヤと結果待ちである。

 

「さぁて、どんな反応が帰ってくるかなぁ?」

 

「神崎くん?貴方、相当性格が悪いのかしら?」

 

「ええ?でも、気になりません?クロノの反応……」

 

「……………………」

 

割りと長い沈黙の後、何も答えずに黙り込んでしまったのでやっぱりリンディさんも気になる所だったらしい。なので、エイミィさんが入れてくれた普通のお茶を飲みつつ少し待ってみる事に。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「あるぇ?あ、バルディッシュの方に連絡行った?」

 

《No.》

 

「リンディさんの方は?」

 

「来てないわ……エイミィの方には?」

 

「来てません」

 

「…………まさか、信じた!?」

 

つか、どんな映像を送ったらアレを信じるって言うんだよ!?

だが、そこは母子家庭で息子一人な経験のない俺ではわからないので待つしかないのだが……真面目くんの弊害か!?

 

「信じたって……神崎君は、リンディ提督の返事待ちでしょ?」

 

「んん!?あるぇ?エイミィさんは、あれが本気で返答待ちだと思ってる!?つか、俺……振られたんだと判断したけど?」

 

「え!?」

 

「大人の社交辞令って知らね?『前向きに検討する』的な返答はお断りの謳い文句だったハズだぜ?」

 

なあ?とリンディさんへ視線を向けると、ニッコリ笑顔で返された。それを見たエイミィさんは、何故か愕然とした様子で間延びした『えぇー』を信じられない表情で続ける。

 

「神崎くんは、大人の社交辞令を知っているのね?」

 

「知りたくもねぇのに、師範代達が一般教養として教えてくれたんだ。他にも、知りたくもない話を永遠とされて辟易したよ……」

 

「あらあら……」

 

「教えられた時は、今のエイミィさん状態で固まったもんさ」

 

「でしょうね。それにしても、クロノは本当に信じたみたいね?」

 

「今頃、どんな返答を返すかで頭を抱えていそうだ……」

 

「あの子もそろそろ、そういう大人のやり取りを覚えてくれると良いんだけど……まだまだ、先は長そうね?」

 

「普通は、仕事間の交渉とかでやってそうなのにな?」

 

「プライベートと仕事が、分けられているんですよ……」

 

「真面目に育ったのを喜ぶべきか……真面目過ぎるのを嘆くべきか……難題だな?」

 

「まったく……」

 

頭を抱えてしまったリンディさんを尻目に、俺はチョビチョビ飲んでいたお茶の残りを一気に飲み込んだ。いやー、からかい安いって時たま間が悪いので困るよな?そこら辺、師匠は絶妙な感じでからかっていたけど……今回の俺は、失敗したらしい。

その後、一日が経過しても返答が無かったので忘れない為にメモを取って置きお休みする事に……もちろん、冗談半分でリンディさんの寝室へ追従しようとしてみたがやんわり断られましたとも。

因みにイレギュラー達は、夕食後各々の自宅へ戻って行ったよ?

流石に、お泊まりを申し出る強者は居なかったとだけ言っておこう。まあ、大分長い間居着いていた奴は居たけど……リンディさんの笑っていない笑顔に耐え切れずスゴスゴと帰って行ったのだった。だから、女性は怒らせると怖いんだって……理解しろよ。

そして、翌日……目の下にドス黒い隈を作ったクロノくんが帰って来たので訳を話したらその場でパタリと眠りに着いたのだった。

 

「超、悩んだんだろうなぁ……」

 

「それで?クロノくんは、何て?」

 

「いや、普通にリンディさんがOKなら構わないって言って貰ったけど?」

 

「その為に、徹夜かぁ……」

 

「仕事しろよ……」(鬼畜)

 

 

 

 

 




神崎くん、クロノ居ないからってフェイトちゃんをからかいに行った感じです。まあ、ウザい転生者を退ける為とは言え、良くやりますよね?双夜には、出来ぬ芸当なので楽しかったですが。次は、未来でヴィヴィオに対してやるんですかねぇ?パパ候補が多い中で、『パパだよぉ~?』……普通に殺されそうですね(笑)。まあ、新たな道を開拓出来るので神崎君を今後も使って欲しいと要望した【うーな】さんには感謝してます。ありがとうございます!!


どうでも良い話。

磯の風味が駄目っぽい。目を閉じれば、海を連想するんだけど……油の浮いた、深い緑のゴミに汚れた海が連想されて駄目になりますね。綺麗な海と聞いて、どんな海を連想しますか?作者には、子供の頃に行った汚い海しか思い浮かばなかったよ……。

あ、そうそう。どうでもいい話だけど、かなりあり得そうなネタが一つ思い付いたよ(笑)。インフルエンザ系のお話で、ファンタジー系の世界に転生した転生者が【細胞分裂】を伝えた世界があったとしよう。多分、転生者が死んだ後……その【細胞分裂】は、魔物化の兆候的な話になってると思われる。きっと、イメージしやすい様にと転生者はスライムの分裂を例えとして伝えているだろうからねぇ。
イメージ的な話なのに、異世界人はそれを魔物化の兆候扱いで病気になった人を殺し捲るんじゃないかなぁ……と。

インフルエンザ……細菌……体の中で『増える(分裂)』……をスライムの分裂(イメージ)で表現=巡りめぐって、【魔物化の兆候】とそのまま伝わると思われw。下手な表現と、似た様な魔物の居る世界で紛らわしい事を言うと……まあ、おかしな事になりかねない。っていう話。

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれてありがとうございます。

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