絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三七三話

Re:

 

 

 

「ハッ!?」

 

やあ、こんにちは。皆、大好き神崎大悟くんだよぉ?

現在は、数回の死亡ののち復活した所だ。何故、死亡したのかって?そりゃ、インスタント・ソウルに融合ーーそれとも、オリジナルに吸収?ーーした『奏(カナデ)』にぶん殴られたからだ。

いやー、凄まじい衝撃だった!まさか、一撃で爆散させられるとか師匠以来だなぁ?事の始まりは、【組織】で『奏』の『魂の健康診断』が終わり黒く邪悪な師匠が戻ってからのお話だ。

師匠は、真っ黒い笑顔でSAOモドキ世界へ戻ると言った後その場に居た全員を引っ括めて《時渡り》を実行した。まさか、触れる事無く数人を一度に《時渡り》させれるとは思っていなかったので凄く驚く。しかも、いきなりだったから着地に失敗して頭から落ちちゃったよ。一瞬の浮遊感の後、SAOモドキ世界に戻った俺達は師匠に連れられてアルンに強制連行された。

その上で、インスタント・ソウルの『翼』をオリジナルの『奏』に対面させたのである。本当なら、ある程度の時間を置いて其々に意思確認をするらしいんだけど……師匠は、それを全力スルー。

『翼(奏)』は、対面するや否や唐突に肉体が輝き出して光の球体化する。そして、それらは8の字を描く様に混ざり合い、一人の人間の姿へと変化した。変化した後の『翼(奏)』は、少しの間ボーっと立ち尽くしていたけれど。唐突に正気に戻った瞬間から、俺をフルボッコにし始めた。

 

ええ、『俺、爆散事件』の始まりである。

 

理由は不明だが、『翼(奏)』の琴線に触れる何かしらのモノがあったらしく、顔を真っ赤にした『翼(奏)』は俺を殴るという暴挙に出た。あー……この暴力的な所は、【魔法少女】世界に転生した翼の性質を引き継いだ結果かな?有無を言わせない、一方的な蹂躙は特定の条件を満たした翼に良く見られた傾向だ。

 

怒ってんのかな?

 

ーー恥じらってんじゃね!?

 

ハハハ、まっさかぁ。恥じらう奴が、唐突に殴り掛かって来る訳が無いじゃないか!そりゃ、絶対的に無いとは言い切れないが恥ずかしいからって暴力で誤魔化そうとするなんて現実ではない。

 

つかよ、お前ならそういう時どうする?

 

ーー……逃げるんじゃね?もしくは、『orz』?

 

そう!その通りだ。普通は、暴力で誤魔化そうとはしない。まあ、希にラノベやアニメでそういう誤魔化しをするキャラクターを見掛け無くもないけど。でも、基本は逃げ出したり誤魔化したりするのが普通だ。そもそも、翼は多少の歪みはあったものの良い所のお嬢様なんだぜ?まあ、あれから大分経つし今はもう儚き夢の欠片ではあるけれど……初めて会った頃の翼は、大人しそうな『深窓の御令嬢』だった。

 

ぶっちゃけ、()()月村すずかとタメ張ってたんだぞ!?

 

ーーマジで!?すずかと、同レベルだと!?

 

そうだ!どっから、どう見ても清楚で可憐なお嬢様だったのに!それが、どう道を踏み外したらこうなるのか……こんな、暴力女に。時間って残酷だよな。ああ、あの頃の翼に戻して欲しい。

一通り、殴り殺された俺は顔所が全身がぐちゃぐちゃになっていだから、一旦俺の再生(蘇生)が終わる分だけの時を開けてから『翼(奏)』は己が想いを告白した。

『満男』である俺が、自分を探して来てくれた事は凄く嬉しかった。例えそれが、他人の手を借りたモノだったとしても。だが、『翼(奏)』が苦しんでいる時に自分の写し身とイチャイチャしていたのは許せない。だから、今後は関係性を見直して『翼(奏)』が俺を許せる様になったら元に戻してくれるとのこと。

 

「はあ?」

 

「何か、気に食わない事でも?」

 

「いや、俺……別に翼と、付き合ってた訳じゃないぞ?」

 

「は!?あれだけの事をしておいて!?」

 

『あれだけ』が、どれの事を指すのかわからないけれど。

ぶっちゃけ、最近になって漸く俺自身が翼に心揺らされているんだという事がわかって来た状況で……ねぇ?

 

ーーお前、鈍いの?鈍感だったりしちゃうのぉ!?

 

すると、困惑する様な意思が俺に向けられた。

だけど、それはそれをわかった上で原作ヒロインの方が好きだからとスルーしてただけなんだよね。まあ、それも【呪い】の影響から来たモノだったけど……って言ったら、『馬鹿じゃね!?』と反論された。

 

「いやいや、別に鈍感でも馬鹿でもねぇよ?」

 

あの頃はまだ、原作ヒロインの方が魅力的に見えてたってだけだ。

 

「ほら、精神操作されて原作ヒロインに執着する【呪い】を受けていた俺が同じ現実から来たリアル女性と恋仲になるとか……それなら、転生してまでやる必要ないよね?」

 

「え!?ちょっと!?」

 

ーーお前……(超呆れ心)。

 

「転生したからには、物語のヒロインとくっつくのが普通なんじゃねぇの?って思ったんで、翼の事は気になったは気になったけど……最近まで、恋愛対象じゃ無かったんだよ……ハハハ」

 

「……………………」

 

ーー……oh……。

 

満男君は、呆れを通り越して絶望し……翼は、表情が完全に抜け落ちて無表情。いやー、美女の無表情があんなにも恐ろしいモノだとは思いもしなかったよ。つか、目に生気が無くて無感情に見詰められると……色々、来るモノがあるよね?ね!

 

「満男くん、ごめんね?もうちょっとだけ、良い?」

 

ーー……OK!

 

なんか、『翼(奏)』が大きな勘違いをしている様子だったので本音の所を素直にブチ撒けてみたら何故かまた爆散四散させられた。

殴られる直前、『翼(奏)』が何か言っていたみたいだけど……その直後、頭を潰されたので何も聞こえなかった。

何かを伝えたいなら、頭からではなく頭以外を殴って欲しいんだけど?まあ、そこら辺はまだ幼い(年下)『翼(奏)』にはわからないかも知れない。因みに、俺の中に居る『満男君』は『翼(奏)』と念話で会話できるらしく、俺の意思とは関係なく『翼(奏)』とOHANACHIしている模様。それは、構わないんだけど……妙な了承を俺の意思とは関係なくするのは止めてくれませんかねぇ?

 

ーー自業自得。それに、俺も痛いんだから問題無し。

 

はあ。そうですか……止めないって事ですね?畜生!!

 

『翼(奏)』の方は、早々に意思を統一しちゃったみたいだけど……俺の方は、まだ時間が掛かっている。そこら辺の詳細はわからないけど、どうも二度によるインスタント・ソウル(劣)と二度の融合が影響を及ぼしているらしい。元々、俺はインスタント・ソウルを更にインスタント・ソウル化させて《神殺し》に転生した身だからな。なのに、インスタント・ソウル(劣)をインスタント・ソウルと融合させて……それを更に、オリジナルと融合させているから魂の規格から外れ掛けているとのこと。それを師匠から聞いた時、俺も【始まりの魔法使い】みたいな事になったりしないだろうな!?と思ってしまった。まあ、それは師匠がキッパリ否定してくれたのでそんなに心配はしていないが……それでも、人外への道をひた走っている自分がどこに至るのかがとても心配だ。とりあえずは、何はともあれ。

 

「所でさ、翼は『奏』とどっち呼びの方が良いんだ?俺は、『満男』はちょっとアレなんで神崎大悟と通すつもりだけど」

 

もちろん、満男君と相談した上で本名よりカッコ仮名の方を使う事とした。流石に、その名前が嫌でカッコ仮名を名乗っているのに今更元の名を名乗る気はない。まあ、『神崎大悟』って名前もなんとなく黒歴史的なモノの気がしないでもないけど……ねぇ?

 

「そうね……『不知火翼』で、良いんじゃ無いかしら?」

 

「俺というより、満男君は『奏』と呼びたいみたいだけどな?そっちの名前は、どうするんだ?」

 

「どうもしないわ。生前は、確かにそう呼ばれていたけど……今は、不知火翼で違和感もないしシックリ来てるもの……」

 

「フム……まあ、俺のは黒歴史でもあるから辛い所があるけど」

 

「あら?黒歴史なの?」

 

「まあ、色々とありまして……師匠も、『神崎大悟』で覚えられちまったからなぁ。訂正しても、変えてくれなさそうだ」

 

「……言うだけ、言ってみれば良いじゃない……」

 

「いや、もう言った。言って、邪悪な笑顔で拒否られた」

 

「ああ、そうなの……」

 

ーーザマァ!中二病、乙!

 

「思いっ切り、ブーメランなんだがなぁ……」

 

ーーうるせぇ!

 

そんな感じで、満男と罵り合いながら『奏』は『翼』へと……俺は、『神崎大悟』で統一する事になった。まあ、もう暫くは心の声という名の『満男君』が念話で話掛けて来たりするだろうけどな。それに、統一された記憶の整理もしたかった。

『満男君』と融合しつつある今日この頃、俺が持つ記憶と『満男君』が持つ記憶の相違点が色々ややこしい問題を持ち上げてくれている事に憂鬱な気分である。つか、元々の記憶と悪神に歪められた記憶の齟齬が割りと沢山あるのだ。例えば、『俺』の記憶にはイジメに遇っていたモノがあるのだが……その理由が、陰険で不細工なヲタクだったから。なのに、『満男君』の記憶にあるイジメの原因が『奏』が死んだ事で明るい性格だったモノが抑制され根暗になったから……と、かなり『奏』が理由な部分が大きい。

その上、引き籠りに成った理由もイジメに堪えきれなかったとか良さげな先輩に名前から否定されたからとかでも無かった。

そもそも、『満男君』が引き籠りに成った理由は何時までも『奏』の事を引き摺る俺に業を煮やした浅上兄妹が散々構った結果だ。

合コンに連れ回したり、スナックやキャバレーに連れて行き……この世には、他に良い女が五万といる等と語った結果『満男君』は引き籠りに成った模様。つか、『佐藤奏』を美化し過ぎて他の女性が塵芥と化していたのが原因だ。そりゃ、現実と妄想のギャップが激しくて引き籠りにも成りますわ。

 

ーー妄想じゃねぇし!それに、『奏』を美化してねぇよ!?

 

「あー、はいはい」

 

つーか、何をするにしてもその全てに『佐藤奏』が絡んでいて合理性とか効率等というモノが完全に抜け落ちている。普通は、死んだ者にそこまで執着したりする事は無いハズなんだけど……歪められた未来が、ここまで『満男君』の人生を狂わしているとなるとやはりあの悪神は存在しては成らない存在だったのだろう。

 

「つか、師匠。佐藤奏が、死んでいなかったら満男君と彼女はどうなっていたんでしょうね?」

 

「そりゃ、結ばれてたんじゃ無いか?もしくは、一旦付き合って別れないと成らなかったとか?」

 

「ん、ん、ん!?それだと、執着はしないでしょ!?」

 

「あー……それがだな。満男君が、佐藤奏と別れるその日までは確実に執着したと思うぞ?そして、別れた日以降はキッパリ諦めれたんじゃないかなぁ?」

 

「はい?どういう事!?」

 

師匠が言うには、『佐藤奏』が生きていたという前提の場合……付き合って別れるその日まで、『満男君』は『佐藤奏』に執着していた可能性があるとのこと。意味不明なんですけど!?

 

「多分、悪神は『佐藤奏』の魂を得る事に執着して得た後の事を考えて無かったんだろうな。その為、『運命の改変』が行われておらず『佐藤奏』を奪われた『満男君』は必要以上に『佐藤奏』を求め執着していたんだろうね」

 

という事らしい。つまり、『運命の改変』さえ行われていれば『満男君』が『佐藤奏』に執着する事は無かったハズだ。だが、それが行われていなかった為に『満男君』は『佐藤奏』に執着し続けていた。つか、死んだ人間にストーカーですか!?

 

「でも、それって……満男君とわたしが、結婚とかして生涯共に居たりしたらどうなってたの?」

 

「…………ひぇ!?」

 

ーーひぇ!?

 

翼さん、そんな糞恐ろしい想定はしないでいただけませんかねぇ?只でさえ、死者に執着するストーカーと化しているのに、それを一生涯やれとか鬼畜か!?つか、満男君も怯えてるじゃないか!?

ぶっちゃけ、俺も一瞬それを考え掛けて止めたのに……なんで、ワザワザそんな誰も幸せに成れない事を口にするかなぁ!?というか、翼さんは満男君が一生涯引き籠りであった方が嬉しかったりしたのだろうか?てか、一生涯引き籠り人生とかしたかったか?

 

ーー止めろ!考えさせんじゃねぇよ(怖)!!

 

デスヨネー。

 

そんな人生、俺も嫌過ぎる。やはり、あの悪神を倒した事は良い事であったのだ。例え、その結末が煮え切らない結末であったとしても既にこの世に存在しないモノに文句は言えぬ。

 

「出来れば、もうちょっと燃え上がる展開があれば納得出来たんだけどなぁ……」

 

ーーこれが、本当の不完全燃焼ってか?

 

「それな!」(σ ´∀`)σ

 

「まあ、【混沌】が割り込んで来たからなぁ……」

 

セイビアさんだけなら、【混乱】という属性なのだが……セイビアさんと飛龍さん、それから愁さんの三人を足すと【混沌】という扱いになるらしい。他の二人が、どんな属性を持っているのかは教えて貰えなかったけど……足したら、【混沌】になると言うのでそれなりにややっこしい属性なのだろう。つか、《神殺し》一人一人に特定の属性が付くとの事なので師匠にも在るのかと聞けば【憤怒】と帰って来た。そうか、師匠の属性は【憤怒】なのか!そりゃ、【魔王】になりますわ(笑)。【憤怒】と言えば、七つの大罪で『サタン』に位置する大罪ですもんね。『サタン』は、魔界では【魔王】と呼ばれる大悪魔。うんうん、師匠にピッタリ!

それに伴い、師匠には他にも【絶望】とか【悪夢】とかの属性もあるのだとか……因みに、【始まりの魔法使い】は【怠惰】で【虚無】とか【終焉】とかの属性が付随するとのこと。

 

ーーアハハハ。成る程、《神殺し》は悪魔であったか!!

 

「止めろ!信者に聞かれたら、死ぬ!!」

 

「もう、遅いですよ?兄様」

 

「フム、暫しお休みを……と思っておったが、必要ないようだ」

 

「ほら、見ろ!阿鼻叫喚地獄の開幕じゃねぇか!!」

 

「お疲れ様~♪」

 

「お疲れ様~……じゃねぇよ!?」

 

結局、俺は満男君の失言によりドナドナされる事となった。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

久々の師範代達による修行は、苛烈を極めた。まあ、元々は俺と融合途中の満男君が発した失言が原因だけど。それ以上に、他の使い魔達によるリンチという名の鍛練によって余り良くない癖が付いていたらしい。それを短期間で、矯正する為と称して行われた修行は満男君が早々に根を上げてしまうまでに苛烈と化したのだった。俺は、それほど苛烈だとは思わなかったんだけど……そこら辺は、初心者とひたすら修練に取り組んだ者との違いだろう。

とりあえず、色々とあってヘトヘトになった俺は己の肉体を引き摺る様にして拠点としているアルンのキリト宅へ戻る。

まあ、そこにはキリト達の他に凍真達も住んでいるんだけどな。

だけど、その拠点に戻ってみると何故か師匠しか居なくてガランとしていた。そして、師匠はダイニングのソファに座って部屋に入って来た俺を見据える。

 

「あれ?師匠だけですか?」

 

「ああ。皆には、席を外して貰った」

 

その様子から、師匠は俺に用があるらしい。

だが、皆に席を外させる程の用とは一体如何なる用なのかは予想が付かない。というか、俺が師範代達にしごかれている間に翼への事情確認が終わったので今度は俺の番とのこと。

 

「えっと……何を聞きたいんですか?」

 

「プライベートな話だ。故に、皆納得してくれている」

 

「はあ……プライベートですか?」

 

良くわからないけど、翼の事情確認の時に猛毒が撒き散らされたので皆は席を外したとのことだった。つか、猛毒?翼は、一体どんな事を語って聞かせたのだろうか?だが、あの報告書の束を見た後では大体予想が付いた。あれをそのまま、皆に語って聞かせたのだろう。その結果、皆納得したんじゃなくて逃げ出したと?

 

「……そっちの方が、有り得るんだけど……」

 

「まず、僕が君に聞きたいのは……本来の記憶と、改変された記憶の齟齬だ。どこまで違って、違わないのかを聞かせて欲しい」

 

「はあ……まあ、良いッスけどね……」

 

そういう訳で、俺は満男君の記憶と自分の記憶を師匠に聞かせた。

それによって、何がどうなるのかはわからないけど……今更な事もあってそれ程苦では無い。とりあえず、思い出せる範囲で過去の記憶を語っていると、途中で話を止められたり質問されたりした。というか、師匠の質問によって良く良く考えてみると俺の記憶……かなり、おかしいって事がわかったんですけど!?

小学生低学年で、翼こと『佐藤奏』が検査入院した経緯が不明だった。これは、翼本人も覚えていなくてかなり無理矢理感が伺えて来る。そもそも、悪神はどうやって『佐藤奏』を転生させれる状況に持ち込んだのかも不明だった。

 

「あれって、死なないと無理なんですよね?」

 

「無理だな……」

 

「じゃあ、悪神はどこで翼を見初めたんですかねぇ?」

 

「そっちは既に、【組織】に通報して調査中だ。その内、わかるだろう。続きを話すが良い」

 

「マジか……」

 

俺は、その師匠の様子からこの後話す内容によっては頭の痛い話に成りそうな事を理解して頭を抱える。ヤベェ……もっと、詳しく記憶のすり合わせをしておくべきだった!と満男君と共に後悔した。だけど、それもまた今更な話なので色々と飲み込むハメになる。ええ、色々と面倒な感情を飲み込みましたとも!

その後も、話せば話すだけ俺と満男君の記憶がヤバいモノだというのがわかり本当に頭を抱える事となった。

つか、悪神よ……なんて、矛盾だらけの改変を行ってやがる!?おかしいだろ!?どんな根暗設定なら、美少女な女子生徒に告白なんてするんだよ!?しねぇだろ!?そんな勇気、引っ込むわ!

 

「これ、おかしい。おかし過ぎるだろ!?」

 

いや、マジで勘弁して下さいよ!?満男君の設定と、俺の設定は分けて改変して欲しかった……というのが、正直な気持ちだ。

つか、満男君は翼が居なくなった(死亡)後の話なのだが……本来の性格が成りを潜め、根暗になったという設定なのにそのままそれを俺に反映して置いて、年上の美少女に告白させるなんて記憶を作ってやがったんですけど!?てか、陰キャな根暗野郎が陽キャ美少女に告白なんてすると思うか!?普通は、しねぇ。

むしろ、黙ってストーカーになるのが基本的な流れだ。まあ、仮にそんな奴が居たとしてフラレたなら……どうなるっていうんですかねぇ?何はともあれ、【俺】は陽キャ美少女に告白して『名前がダサい』からと断られている。これ……女性不振的トラウマにしたかったのかな?

 

「何が、したかったんですかねぇ?」

 

「トラウマを作りたかった……とか?」

 

いやいや、どんなトラウマだろうと要らねぇよ!?

つーか、これを引き籠り理由にして引き籠っていたという結論だけを作りたかったのかも知れない。それによって、俺は心臓発作によって死んだ事にされた……と?まあ、引き籠りですもんね。必殺のトラックで、殺す訳にも行きませんよね。つか、俺が死んだ理由ってなんだったかなぁ?必殺のトラックじゃなかったっけ?

 

「無茶苦茶過ぎるんですが……」

 

「そうだろうな……」

 

「満男君も、白目を剥いております……」

 

えっと、『佐藤奏』が死んで根暗になった【俺】は中学の時にイジメに遇って年上の美少女な先輩に告白しフラれて引き籠りに成った。ん?……んん!?高校生になった記憶があるんですけど……しかも、高校を卒業してますね(笑)。引き籠りに成ったんじゃ無かったのか!?なんで、高校に行ってんだよ!?

 

「引き籠りに成った後、高校に入学して三年間通って卒業してますね……その後、大学に行った俺氏……」

 

ーー………………oh……。

 

はい、訳がわかりません。その上、俺が死んだ時の時系列すらわからないというオチ。もう、どうしろと言うんですかねぇ!?

満男君も、『佐藤奏』が死んだ後の人生を振り返ってたけど、【俺】と同じ様に訳のわからない記憶があって混乱している模様。

 

「つーか、俺も満男も大学卒業しているんですが……しかも、満男に限っては引き籠りじゃなくて在宅勤務とか……」

 

収入あったんかい!?しかも、趣味のゲームとイラストでそこそこの金額を稼いでいた模様。更には、実家に仕送りまでしている始末。引き籠りじゃねぇだろ!?つか、満男君……【俺】に転生する前にちゃんと引き継ぎとかやってるんですね?

 

ーー普通は、するだろ!?そこら辺、やってないと迷惑が掛かるからな!?つか、俺、引き籠りじゃねぇし!!

 

「悪神は、在宅勤務を知らなかった模様。部屋に引き籠っていたら、ニートな引き籠り扱いとか時代遅れですか!?」

 

「在宅勤務?プログラマーなら、自宅でも仕事は出来るか……つか、在宅勤務ってのはウイルス性の流行り病以外でも行われるんだな……」

 

「師匠の世界では、在宅勤務ってなかったんですか?」

 

「そもそも、在宅では出来ない事の方が多かったな……」

 

「あー……魔法使いの世界でしたね……んん!?えっと、ウイルス性の流行り病以外でってどういう事ッスか!?」

 

「インフルエンザとか、人が集まる場所を限りなく少なくする為に政府が行っていた政策だよ?パンデミックを抑える方法だね」

 

まあ、基本的に魔力の高い魔法使いは己の周囲に《シールド》を展開してウイルス自体を排除していたらしいけど……魔法世界ならでわの方法でした。もしくは、定期的にウイルスを死滅させる魔法を使って周囲に気を配っている魔導師も居たそうな。

 

「色んな意味でスゲー(笑)」

 

話が脱線したけど、師匠の世界の話も面白かったので良しとする。

つか、師匠の世界で在宅勤務はパンデミック回避の政策らしい。

マジか……魔法使いの世界の政府とか、ちょっと興味を引かれるんですけど?後で、聞いてみようかな?

とりあえず、【俺】にしても満男君にしても死亡した時系列が不明なので思い出せる所までは思い出してみる事にした。まあ、30歳前後の記憶まではあったので30歳まで生きたのは確かだ。

だが、それ以降の記憶は満男君共に無かったので俺は30歳までは生きていたらしい。つか、十分生きているじゃ無いですか。

なのになんで、転生なんてしたんですかねぇ?まあ、乗り気にする為に記憶を弄ったみたいですが……必要のない所まで、弄るのは止めて欲しかった。つか、何故訳のわからない改変をしたのか……本当にわからんのだけれど!?

 

とりあえず、丸一。

小学生低学年の頃……佐藤奏が、検査入院して死亡。

 

ーー医療ミスでもありましたか?

 

「ぶ、ふっ……くっ……止めろ。噴いたわ!」

 

俺氏、明るかった?性格が成りを潜めて根暗に。

根暗な俺氏、イジメによって更に根暗へ。

俺氏、何を思ったのか年上の美少女な先輩に告白。フラレる。

俺氏、大学卒業後、在宅勤務で荒稼ぎw。

そして、いつの間にか死亡。

 

ーーこれ、奏が居たらどうなってたんだろうな?

 

「ん?……確かに、とっても謎だ……」

 

 

 

 

 




とりあえず、色々理由はあるけれど……神崎君には、女性不振のトラウマが必要だった。そもそも、《神殺し》の介入が無ければ神崎君は翼と出会う事も無かったからな?ついでに、原作ヒロインと仲良くなる事も恋人関係になる事も無かった訳で……己の記憶を振り返る事も、省みる事もなかったハズだ。だが、《神殺し》が介入した事で神崎君は《神殺し》側に回収されてしまった。本来であるならば、神崎君も翼と同じ様に繰り返し転生させられる存在だったんだ。それも、翼と出会い彼女の苦しみを知って苦悩するキャラだったハズなのに双夜の介入で早々に改心してしまったのである。要は、神崎君も不知火翼を不幸に貶めるファクターの一つだった訳だ。だけど、そのファクターを早々に《神殺し》が持ってったので別の方法で不知火翼を不幸にしなければ成らなくなった。ぶっちゃけ、神崎君が使えないので他の幼馴染み転生者達も要らなくなったってのが原因。だから、中々幼馴染み転生者が出て来れないという結末が出来ちゃった訳だ。いっぱい居たのにねぇ?
①月詠拓斗(ツキヨミタクト)
②霧島白亜(キリシマハクア)
③三桜燐(サンオウリン)
④有栖川零(アリスガワレイ)アルトアイゼン・リーゼ
⑤遠藤蒼炎(ソウエン)ライン・ヴァイスリッター
⑥黒龍巽(コクリュウタクミ)
⑦浅上美愛(アサガミミア)
⑧浅上亮(アサガミリョウ)
この八人が、神崎君達の幼馴染み転生者だ。
ギリギリ、浅上兄妹が出せたけど……それ以外は、成りを潜めている。霧島君が、TSしてイリヤ化してるけどね(笑)。
それ以外は、比較的に全うな転生者だよ(笑)。まあ、悪神は去ったからその内出て来ると思われる。でないと、色々面倒だ。出さない方が、問題になるんだよなぁ……コイツ等って……はぁ。

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m(_ _)m

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