絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

465 / 591
四三九話

Re:

 

 

とりあえず、最近の俺が何をしているかはわかって貰えただろう。ぶっちゃけると、シャマル先生の元でのんびりダラリとした生活を送っている。まあ、それは見た目的な話で実際には使い魔を使って転生者達を翻弄しているだけの簡単なお仕事だ。ハッキリ言って、情報さえちゃんと収集していれば寝転がっていても出来るお仕事である。

 

たまに、八神はやてが来て遊びに誘って来るのさえ無ければ本当に自堕落な日々なのにな?

 

だが、目の前で猫じゃらしを振られると動き出さずには居られない。猫の本能が……というよりも、八神はやてがニタニタしながら猫じゃらしを振っているという事実が気に食わない。なので、シャキーン!と爪を出しズバッと手を斬り裂いてやったら大慌て!その場で、シャマル先生に泣き付いて治して貰ってた。ざまぁw。早々簡単に、釣られると思うなよ?俺は、簡単に釣られる程安くはない男だ。その後は、俺をこの!この!と指で突いてたりしたけど……俺が、無視を決め込んだらシャマル先生にまた泣き付いてた。

 

何がしたいんだ?コイツは……(呆)。

 

何はともあれ、嵐は去って行ったからいつも通りに使い魔達から上げられて来る情報を眺めつつ指示を出して行く。転生被害者は、それなりに居るみたいだけれど……殆どが、自業自得みたいなので放置。致命的に、世界へ影響を及ぼす系の能力者だけをピックアップして排除して行く。流石に、デメリット特典が直接的な奴は本人の人格を考慮してから特典のみの排除にしているけど……当人の人格や特典に続きデメリットも駄目な奴は問答無用で排除対象となる。てか、なんでこんなにロリコン系犯罪者が多いんでしょうね?そりゃ、『YESロリータ!NOタッチ』を掲げている奴も居るけど。完全に、不審者しか居ないって言うのもアレだ。そんな輩が、八神道場の周辺やヴィヴィオ達の周りをウロチョロしているって言うんだから恐ろしい。

 

まあ、見付けたら即排除確定だけど。

 

それにしたって、ちょっと尋常じゃ無い程に多い。

コレで、将来的にヴィヴィオ達の恋人を気取るのかと思うと今の内に消してしまっても問題無さそうに思えて来る。というか、気が付かれないんだから問題無いんじゃね?なら、ジャンジャン殺しちゃおうか?

 

特に、地獄からハブられた一時避難中の転生者は犯罪を犯す前に消してしまえ。地獄の拡張は、三割がた終わっているんだ。ちょっと、戻した所で文句が来ても犯罪を未然に防いだと言えば押し通せる。そもそも、地獄に落ちた囚人達を物語の世界だからと言って現世に戻す事自体頭おかしいんだよなぁ?そりゃ、地獄区間の別場所に押し込めて置く事も出来るハズなのに……まあ、そっちはそっちで亡者が天国に紛れ込んでて大問題になった訳だけれど。ちゃんと、管理しないから変な事が起きるんだ。管理してても、変なイベントを起こされる時は起こされるんだけどね?いずれにしろ、亡者共の罰から逃れ様とする行動力はちょっと想像を絶するらしいので頭が痛いと鬼も言ってたっけ?

 

酒の川占拠事件とか…天上の桃食い荒らし事件とか……?

 

ロクな事しねぇなぁ?亡者ってのは。それ等を考えると、現世に戻すのも有りなのかも知れない。まあ、そこで生前と同じ事を繰り返すなら罪は確実に増え……生前を悔み反省し行動を省みるのなら罪は軽減される。亡者共には、その事を説明されて居ないので現世に生まれ変わって『自由になった!』とハメを外す馬鹿が増える模様。

 

結果、地獄に戻った時に罰が増えてクレームを言う馬鹿が増えていると報告が上がって来る。だが、ただの自業自得なのでそのクレームはスルーされる事が多い。と言うか、数年前に第273層が完成したんじゃ無かったのか?

 

今は、第275層?

 

まさか、アレから数年しか経ってないのに地獄落ちの死者が増えた?となると、どっかの平行世界が消滅したってこと?どこの馬鹿だ!?自分の意に沿わないからって、世界をポンポン消した阿呆は!?世界を円滑に回す為に、用意された【魂】が世界消滅後どこに押し掛ける事になるかわかっているだろう!?冥界とか、黄泉とか呼ばれる世界に押し掛ける事になるんだぞ?となれば、冥界や黄泉がどうなるかわからなくも無いだろう?

 

普通に、パンクしますね。

 

最近の地獄って、拡張工事が多過ぎやしませんか?元々、広目に作られていた世界であるのに……そこが、パンクしているとか頭が痛いなんて話じゃねぇぞ!?

そりゃ、平行世界にも地獄ってのはあるけれど……そこが、パンクしたら別の平行世界に亡者が送られる事になっている。なのに、拡張工事をしないと間に合わないって事は既に許容オーバーという事になっている訳だ。という事はだよ?大体の地獄は、全て満席で生前に犯した罪を裁けは出来るモノの刑の執行が出来ないって事になっているんだと思われる。最悪、如月双夜(仮)に彼が管理している世界の開放を求める可能性も出て来たんじゃないか?

 

アイツが、管理している世界……恒星級惑星の開放を。

 

実際には、太陽よりももうちょっとデカいと愚痴っていたから……未だに、開拓というかテラフォーミングが進んでいないらしいけど。太陽が、地球の百倍だとするなら奴が管理している惑星は地球の一万倍デカいらしい。

 

んん!?いや、規模大きくね?

 

え、アイツ……太陽が、どれくらいの大きさか知ってんの?恒星級惑星の表面を地球の1万個分テラフォーミングしたけどまだ終わらないとかホザいてますけど!?

 

それで、漸く半分とか言ってますよ?

 

大丈夫か?というか、どんだけデカいモン報酬としてGETしているんだよ!?コレが、数多の世界を救い捲った転移者が犯した愚行か……アイツも、アイツで阿呆やってるなぁ?てか、泣きを見てるんだけど!?自業自得だな?

これ、早急に開放して貰った方が良いんじゃね?

まあ、テラフォーミングが終わらない限り地獄設置の工事なんて出来ないんだけどさ。それが、まだ半分。

いつになったら、テラフォーミング終わるの?

最悪、【組織】の介入までありそうだ。

速いぞぉ?【組織】が介入したら、あっという間にテラフォーミングが終わって地獄の設置だろ?

その後は、雪崩れ込む様に亡者が送られて来るんですね?

 

わかりますw

 

そこまでが、前菜……その地獄を基点に、平行世界がアストラルサイドに併設されて無尽蔵、無人畜、無限大に亡者が送られて来るまでありそう。だからこそ、アイツは【組織】が介入するのを拒んでいる訳だけれど……下手をすると、押し切られる可能性が出て来た。というか、地球の1万倍?これ、絶対騙されてんだろ?誰だ?アイツを煽って、騙した奴は?アイツ、何かしらのトラブルに巻き込まれてんじゃ無いか?テラフォーミング終えた辺で、丸っと企てた奴に奪われたりするんじゃね?人員的な余裕は無いけど、ちょっと調べてみても良いかも知れない。まあ、アスフォルテ(組織所属の諜報員)辺にお願いしても良いけど……名前を貸してる手前、自分で調べた方が良いんだよなぁ。という訳で、数体の使い魔を派遣した。

 

まあ、そっちはソレで良いとしてこっちの問題は今尚ゴミの様な転生者がウジ虫の如く這い回っている。

つぅぅぅぅかよぉ!!女子更衣室に忍び込もうとするクズを発見したんだが……しかも、ビデオカメラを風通口に設置している転生者が余りにもゴミに見えたので神崎くんの『きゃるーん♪』映像を差し込んで置く。もちろん、一度見始めたら終わるまで見続ける様になる呪いもオマケしておいた。ついでに、精神的なダメージを感じると映像終了後に呼吸する度に肉体がヒビ割れる様な痛みが走る様にもしてやる。俗に、四大公害病的なアレだ。

 

要は、ドが過ぎてるんだよ。転生者ぁ!!

 

魔法少女の世界に転生しておきながら、自分が主人公だと宣誓するその頭蓋が腐り切っている様なモノだ。そんな奴は、腐女子の餌食になってしまえば良い。彼女達なら、君達を有効活用出来るだろうからリンカーコアを破壊して彼女達が居る世界に御招待すれば完了だ。タップリ、掘られて来ると良い。そりゃ、ソレ以外の事はダメダメだったけれど……君達専用のお仕置きとしては、超有能な人材だったからねぇ?だから、幾つかの条件と共に交渉したら簡単にこちら側へと引き込む事に成功したそうだ。

お陰で、物語を現実に出来る子とソレを本に出来る子等……複数の転生者がスカウトされる事になった。

そのせいか、【組織】に居る式部の会が活発になって男共を戦々恐々とさせているとのこと。まあ、それはソレで面白いのでもっと殺れ!!と応援メールを出して置いた。

多分、腐男子と思われたかも知れないけど……俺の目の前をチラ付かないなら問題ない。

 

見掛けたら、【組織】ごと燃やすけどな?

 

キャンプファイヤーの如く。

きっと、燃え盛るぞ?

楽しみだなぁ……探そうか?(鬼畜)

 

《キィン》。

 

そんな事を、つらつら考えて居ると如月双夜(仮)の身辺調査に向かった使い魔から速報が来た。というか、本人に突撃して騙されてるんじゃ無いかを聞くんじゃありません!それと、太陽が地球の一万倍じゃねぇの!?と逆に聞かれたんだがどういう了見か!?アイツ、普通に勘違いしてやがった?全く、何をやっているんだ?学生だろう!?『道理で終わらないと思った』なんて笑ってんじゃねぇよ!?

アイツ、割といい加減な奴なんだな?

 

いや、天然か?

 

そして、地獄の件を了解して来やがったぞ?

それとこれは、話が違うじゃ無いか!?

いや、それよりも勘違いの原因!!

直径イコール大きさじゃねぇよ(怒)!?

あの馬鹿、太陽の直径イコール地球一万個だと思ってたのか!?というか、それどこから得た情報だ!?

太陽の直径に、地球を当て嵌めても109個分にしかならないだろう!?とりあえず、あの馬鹿とメールを大量にやり取りするハメになってお仕事は一時そっち退けで説得と説教をしていた。

 

「ーーーーー」

 

俺は、ニャンコお手てで顔を覆い悶絶。

肉球の感触とか、全く感じ取れないくらい精神的に落ち込んでいた。アイツ、色んな意味でマジヤバい奴だ!!元々、根が素直なんだけど異世界転移で妙な捻くれ方をしているから俺と似た様な奴かと思ってたんだけど……無知な子供と同じ感じだった。でも、中途半端に専門知識があるから周囲から誤解されてて……今回の事で、セイビアに間へ入って貰える様にお願いして置いたよ。

というか、12歳で異世界召喚!?召喚した奴等が、奇妙な選民意識を持っていて……呼び出されたアイツを見て自分達は神々に愛されているとか頭おかしい事を言い出したそうだ。その挙げ句、アイツの低ステータスを見て落胆し逆ギレして無一文で城を追い出したのが始まりだって言うんだから恐ろしい。

 

そりゃ、捻くれますわ。

 

それだけだったら、楽しい生産異世界ライフの始まりなんだけど。その世界は、アイツに全く優しく無くて12歳のガキンチョを生産デスマーチに叩き込んだ挙げ句、その果てに生産力が半端ないからと城に逆戻り。城の一室に監禁して、ひたすらポーション作成をさせていたそうだ。

その後、初級ポーションの材料でエリクサーモドキが出来ちゃって更にアイツの需要が跳ね上がり隷属魔法で強制的に生産デスマーチをさせられたとのこと。これだけ聞けば、アイツが生産系チートの持ち主だとわかるんだけど……ここから、更にアイツの不幸は奈落へと落ちて行く事になる。その世界ってのが、ゲームみたいに経験値を稼ぐとレベルが上がるっていうシステムがある世界で……経験値は、何をしても得られるっていう状態だったそうだ。

だから、アイツ生産職なのにレベルがたった一年で三百に到達してたそうだよ!!異世界人だから、経験値上昇のバフも付いていただろうし?最初から、生産デスマーチで大量にポーションを作り捲っていたんだからとんでもない経験値を得ていただろうさ!!でも、生産職だから低ステータスなのは変わらないだろうし……でも、一番ヤバいのはアイツのエクストラスキルに『不老不死』が生えていた事だろうね?

なんと言うか、その世界は新しいモノを作ろうとして失敗するとモノによっては爆発するんだそうだ。でも、奴は生産職で初級ポーションをエリクサーモドキに出来る訳だから爆発で怪我をしても何とかなっていたんだと。

結果、その後の拷問生活で『不老不死』を自力GETしたんだよアイツ。それを聞いて、召喚主の裏事情に気が付いた。

多分、本当なら自分達で何とかしたかったんじゃね?

でも、どうにも出来なくて召喚に踏み切ったんだと思われる。ただ、いずれの召喚ってのは基本的に召喚主の希望が叶えられるモノなので『自分達でどうにか出来る様になる』っていう深層意識があの馬鹿を召喚したんだと思われ。要は、大量の支援というか縁の下の力持ちが居れば他世界の人材に手柄を横取りされなくてもどうにか出来るんだよ。ほら、歴史の闇に葬り去れるじゃないか生産職なんて有象無象とイコールだろ?元々、自分達で世界の危機を回避したかった召喚主達は自分達が呼んだ異世界人を疎んでいたと考えられるんだ。しかも、低ステータスだったから余計に毛嫌いされてたんだとも思えるし……期待に添えない存在が呼ばれた的な?いや、ホント自己中だよね!

 

わかってるんだけどさ。

 

でも、自分達が望んだ本当の願い的な存在でもあった訳だよ。多分、頭の回転が速い奴は気が付いただろうけど……それ以上に、御都合主義的な状況に何も言わなかったんだと思われる。アイツに取っては、地獄の様な日々の幕開けだっただろうけど……召喚主に取っては、自分達が心から望んだ状況になったんだ。喜んだんじゃないかな?

ただねぇ、問題はアイツが『不老不死』になった事に集約される。なんで、アイツを檻に入れて槍で突っ突くなんて鬼畜な発想が出ちゃったんだろうね?

しかも、エリクサーモドキなんてモノがあったが為にその発想を後押ししたみたいだし?

結果、あの馬鹿は『不老不死』というエクストラスキルをGETしてしまった。本当に召喚主達に取って、最高の存在だよね?アイツってさ。だからこそ、それなりに自嘲はしていたみたいなんだけど……ソレで、彼等のタガが外れちゃったんだ。

 

『自分達には、神々の加護が付いている!!我等こそ、神々に選ばれた者達なのだ!!』ってね。

 

その後は、転がり落ちる様に人生の転落が始まっているから頭が痛い。アイツの捻くれた性格の原因でもあり、アイツが俺達と出会う切っ掛けとなった召喚はとんでもないマッドサイエンティストを生み出す結果となる。というか、なんで【鮮血の】と出会っちゃったかなぁ!?

その出合いさえ無ければ、あんなヤバいモン創られる事は無かったのに!!

 

ああんもう、マジ勘弁して下さい!!

 

しかも、あの二人メッチャ仲が良いんだ。

もう、心の親友的なノリで創られたソレはその場で封印した。もちろん、設計図や理論書等の記録もサッパリと削除して記憶にも残しては居ないから二度と創られる事は無いと思うけど……はぁ。

 

とりあえず、変な改変はやめろ下さい!!

 

「いや、うん……忘れよう。てか、忘れたい……」

 

周囲に人が居ない事を確認しつつ、頭の痛い話を追い出して俺はホタテの干物を齧る。あ゛〜〜〜、酒が飲みたい!!というか、素面でやってられるか!こういう時こそ、アルコールで何もかも忘れてしまいたいのに飲めないって言う、ね?

 

まあ、良いや。

 

お酒は、いつでも飲める。そう言えば、最近は血を啜って無いなぁ?【鮮血の】に言って、また噛み付いて来ようかな?てか、俺は吸血鬼では無いけれど稀に血を啜りたくなる事がある。原因は、俺の元の肉体。

 

多分、血が足りて無いんだと思われ。

 

エネルギー化して、纏まってはいるモノの物質だった頃の状態がアレなもんで色々とガタが来ているんだと思う。それを、無理矢理エネルギーに変換して高次元精神生命体なんかにしたからズレが生じているんだろう。それに、高次元精神生命体になった時に存在を整える為に暫く眠りに付くんだけど……それをキャンセルしたのも、問題になっているんだと思われる。

だから、下手をすると俺って寝たきりか昏睡状態だったハズなんだ。今、俺が元気に行動出来るのは俺と融合しているという精霊のお蔭だろう。

 

というか、それ以外に思い当たる節が無い。

 

そもそも、俺に融合しているという【命を司る精霊】の役割が今一不明だった。そりゃ、【命の精霊】だって言うんだから“命”を扱う事が出来るんだろう。だがしかし、ならそもそも“命”って何ぞ?と考えた時に“命”を明確に納得の行く説明を出来る者が居ない。基本的に、曖昧だし何故か二種類以上の意味があって混乱させられるんだよね。

単純明快に言えば、生と死を含むありとあらゆる生命に関する精霊って事なんだ内容が、空っぽの様な気がして訳がわからなくなるんだよ。

とりあえず、【命の精霊】は死を超越する模様。

どこから、引っ張って来ているのかわからないけど……無尽蔵に補填されるので死ねない状態が続いている。問答無用で、勝手に補填される“命”。お陰で、不老不死と勘違いされた。まあ、然程変わらないので今は訂正もしなくなったけどな。厳密に言うと、俺は不老不死じゃ無いんだぜ?【魂蔵】も、徹底的に魔改造されたしなぁ?

だから、一万年以上も生き延びられていた。

その内、老化が進む様であれば《神殺し》への転生も考えている。ただ、人間とは言えなくて存在があやふやな所があるんだけれど。

そんな事を、ツラツラと考えているといつの間にやら原作のヒロインズが集まって来ていた。コイツ等、忙しいんじゃねぇのか!?

そして、事もあろうに高町なのはがこんな事を宣った。

 

「ねぇねぇ、シャマルさん。この子、ウチに連れて帰ってもいいかな?いいよね?」

 

は?

 

「アカンよ?なのはちゃん。その子、案外凶暴やから。さっきもーーーーー」

 

「いいよ、いいよ。大丈夫、ちゃんと()()()から!」

 

良くわからないが、どうやら俺はロック・オンされたみたいなので怠惰に寝転がっていたのを止めておもむろに身を起こした。

そして、ネコ撫で声で俺を猫可愛がりする高町なのはを無言で見据え素早く猫パンチで頬を殴る。一発で、正面を向いていた顔が90度角度を変えたけど……その程度では、動じないのか高町なのはは気持ち悪い笑顔を絶やさない。

八神はやてが、言わんこっちゃないと高町なのはに駆け寄っているけど……高町なのはのロック・オンを外す事にはならなかった模様。なので、更にニ発三発と連続で高町なのはの頬を打った。

 

「うわぁ……ホントにヤンチャだねぇ?」

 

目と目が合った瞬間、ゾワッと背筋を冷たいナニかが走り抜ける。どうやら、高町なのはでもここまでヤれば怒るらしい。というか、殺気が飛んで来たんだけど?瞬間的に、体毛がブワッと逆立ったので牙を剥き出しにしてフーッ!と威嚇してみる。

 

「ちょっと、頭冷やそうか?」

 

指先に魔力光を宿らせて、こんなイタイケな子猫に向かって脅しを掛けて来たので俺は片手を少し浮かして高町なのはを睨む。フシャーッ!と、怒りに任せて再度猫パンチを繰り出せば大人気ない事にシールドで防ぎやがった。

 

コイツ、ガチで大人気ないな!?

 

「ちょ、ちょっと、なのはちゃん!?」

 

「もう!怒ったんだからね!?」

 

ピヨーン!立ち上がり、《シューター》を起動させた高町なのはを見て俺はシャマル先生の元へと逃げ出す。この女、見た目はなにょはママなのに中身が癇癪持ちっポイんだが!?チィ!コレが、転生者による改変か!?と思いつつ、部屋の中を縦横無尽に走り回る。てか、機材!医療用のお高い機材が!?

 

「ちょっと、なのはちゃん!止めて!機材が……修理費がぁ!!」

 

「なのはちゃん!ちょっと、落ち着こう?な?な?こんなん、可愛い反応やんか!?」

 

ハイハイ、なんちゃって覇王流《旋衝波》!旋衝ハ!!

 

シャマル先生が、半泣きで高町なのはを止め様と騒ぐのでニャンコではあるけれど。本来の技術を使って、バレットを壊さない様に受け止めて何も無い場所へと追いやって行く。流石に、ニャンコがこんな事をすると色々バレるかと思ったけど……追いやった場所が、高町なのは達からは死角だった事もあり何とかなった。

ただ、レイジング・ハートの目までは誤魔化せないだろうから……この後は、逃げる必要があるだろうけど。

その前に、シャマル先生に甘えた所で問題は無いと思われる。だから、記憶のあるシャマル先生に俺はヒシッとしがみ付いた。それと同時に、耳元でボソボソと呟く。

 

「……あー……こ、怖かったでちゅね?……え!?えっと……とっても、凶暴な空戦魔導士さんなんて入れちゃって……」

 

「ちょ、シャ、シャマル?」

 

「ええ!?あ、その……なのはちゃんは、暫く出禁にします!医務室は、暴れる場所じゃありませんから!」

 

「えっ!?あ、ご、ごめんなさい……」

 

チラッと、八神はやてに視線を向けると微妙に疑わし気な視線をこちらに向けていた。流石に、言わされている感満載なシャマル先生の大根役者プリに八神はやては騙されてはくれない模様。俺も、人選間違った様な気はしたけど……やっちまったモンはやっちまった事なので致し方無いと諦める。いやー、短い平穏でしたね?でも、八神家に戻るまではシャマル先生を独占出来るので例え主人であっても邪魔させないよ?

 

とりまー、鳴いてスリスリ。

 

「…………なぁ、シャマル」

 

「ああ、ごめんなさい。はやてちゃん、今日は先に帰って貰っても良いですか?」

 

「え?ああ、うん……それは、構わへんけど……」

 

「ええっと、私は医務室を片付けてから帰りますので夕飯の支度もお願いしますね?」

 

チラッと、医務室内の惨状を見て苦笑いを浮かべるシャマル先生。高町なのはが暴れた結果、見るに無惨な光景が彼女達の視界に入った。まあ、俺も縦横無尽に走り回ったからなぁ……とても、凄惨な惨状と化している。

流石に、色んなモノがバラ撒かれているし中には専門知識が必要な器具も散乱しているから手伝わせる訳にも行かない。てか、アレ……放射能系の医療器具何じゃ?

 

なんで、こんな場所にそんなモノが置いてあるのかな?

 

シャマル先生、まさかとは思うけど趣味で医療と名の付く器具や備品を集めているんじゃ無いよね!?止めてよ。

ここには、局内に住む一般の患者さんも来るんだろ?そんな所に、なんて危ないモノを取り揃えていらっしゃいますか!?

 

「というか、シャマルにムッチャ懐いとんのやけど?なんで?」

 

そりゃ、危険人物とシャマル先生を比べたらシャマル先生の元に居た方が安全だからに他ならない。

若くて、女らしくても彼女なら嫌がる事を率先してやる事は無いとわかるから。それに比べて、八神はやての嫌らしい所はあの日々を通して良くわかっている。

なので、八神はやてには近付きたくも無いし……時折、思い出したかの様に構い倒しに来る高町なのはの二人は危険人物と判断していた。下手に構われると、俺の精神がどっか行っちゃうから面倒だったんだよ。ここに、フェイ姉が加わるともっと危険な状況に陥るし、ねぇ?

 

ーーーと、嫌な事を思い出してしまった。

 

フェイ姉……フェイト・テスタロッサの最後。

ぶっちゃけると、フェイ姉はトラウマと禁断症状の繰り返しでまともな状態では無かった。何の薬が使われていたのかはわからなかったけれど……半年以上経っても、禁断症状が落ち着かないから魔法で無理矢理状態安定化させて様子見を続けていたんだ。だけど、最終的にフェイト・テスタロッサは自殺したよ。男性恐怖症よりも、フラッシュバックする記憶との鬩ぎ合いに耐え切れなくなったのか朝起きたら人知れず貨物コンテナで首を括ってた。

だから、彼女だけは決してこの繰り返しに現れる事は無い。出来るなら、もっとちゃんとした病院で多くの人に囲まれながらゆっくり精神を癒やして行く事が好ましかったんだが……世界そのモノが無くなったんじゃあねぇ?どうにも、出来なかったんだ。

シャマル先生も、なにょはママ達もあの時程絶望した事は無かった。もし、なにょはママをこちらに転生させるとしたら目の前でフェイト・テスタロッサ・ハラオウンを殺害して見せる事になるだろう。それが、唯一……俺が、結論としたなにょはママをここに呼ぶ方法だ。

 

 

 

 

 




ふぅ……コレで、フェイトちゃんの転生体を!という声は静まるんじゃ無いかな?ぶっちゃけ、最初(序章)の最終登場人物達は絶望の中で死んで行ったという前提での設定なのでガチ鬼畜的な絶望を徹底的に作らさせて頂いてます。
まあ、双夜にはどうかはわからないけど。フェイトちゃんの死を皮切に、彼の船での生活は暗く絶望的な状況へと変化して最終的に全滅という話になってます。何の為に、フェイトちゃんが転生者に囚われの身になっていたと思っているんだ。あの最後を演出する為のファクターだぞ!?等と言うとメッチャ叩かれそう。でも、作者の物語の中ではまだマシな方なんだよなぁ。え?もっと、酷い結末とかどうするのかって?……そりゃ、仲間内で殺し合い?フェイトちゃんが、猟奇殺人者となって友人だった彼女達を殺して回るんだ。これ以上ない、絶望的な状況だろう?そう、しなかっただけまだマシなストーリーなんだよ?一応。
いや、ホント正気度が薄くて申し訳ない。サイコパスと罵って貰っても構わないけど……そうはしなかったんだから許して……でも、『絶許』とか言われそうwまあ、どこまでも落し過ぎて収拾が付かなくなる事もありますが海原の如くおおらかな心で読んでやって下さい。

と、とりあえず、フェイトちゃん(病み)は自殺なので転生には関われないんだよーって事で。そもそも、囚われの身であった被害者の精神面を無視するのは戴けない。トラウマと、囚われていた時のフラッシュバックで苦しみ続けるんだからまともに生活出来る訳無いじゃん。被害者の精神は、トコトン悪夢(記憶)に囚われ続けるから中々普通には戻れないんだぞ?それが、人生の半分を締めているなら余計に大変な事になるのに物語だからとか言って再度地獄に落とせとか鬼畜な事を言わないで欲しい。転生者に関わらせたく無いんだよ。特に、そういう目にあった奴等を再度地獄に叩き落とすならそれ相応の加害者である事が望ましい。だから、ただの被害者にそれを強要するのは戴けない。例え、記憶の初期化魔法で記憶を消していたとしても囚われの身であった時の感情ってのは残るって言ってるだろう?内容を思い出せなくても、その時に感じた感情は思い出せるんだよ。それが、フェイトちゃんが体験したフラッシュバックの正体。それが、トラウマになるのは言うまでもなく。無条件で、男性を嫌い怯えるから双夜は5.6歳の子供姿で居たくらいだしねぇ?設定を大事にする作者だからこそ、自殺は否めなかったよ。それが、一番楽だしねぇ?被害者に取っては。それを乗り越える為には、無機質で機能性を優先された次元航行艦内部では無理だし。沢山の優しい人でモミクチャにして忘れさせる事も出来ない。どれだけ頑張っても、あの状況じゃぁ応急処置程度しか出来なかったんだよね。使い魔は、たくさん居るけど精神科医みたいな事が出来る奴は組織で育成中だし?
自殺は、起こるべくして起こった結末だよ。
それに転生ってのは、不慮の事故か誰かに殺されなきゃ出来ないのが通説になってるんだろう?だから、自殺では転生不可という前提設定があります。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

作者のどうでも良い話。
いや、余りどうでも良い話では無いな。
認知症の入った、爺婆の話になるんだけど……徘徊している爺婆の中には、何故か歩道を使わずに車道の両端にある白線と歩道の間を歩くという暴挙を行うんだよね。あの、歩道と白線の間ってメッチャ狭い空間なんだけど……大抵は、自転車が走る場所になってたりするんだけど……そこを、ね?手押し車を押しながら進んで居るんだよ。ちょっと、隣に安全な歩道があるのに白線との間をおっちらよっちらと歩いて居るんだ。夜中とか、早朝とか見え難いから車で走ってるとドキッ!?とするんだけど……アレ、ヤバいと思わね?絶対、死者るよ!?今日も、歩道と白線の間を歩いている(早朝)婆ちゃんいたけど……徘徊?それとも、散歩なのか判断が付かなかった。認知症じゃない人だと、下手に声を掛けても変な目で見られて煙たがられるだけなので声も掛けられないんだけど。認知症の場合は、声を掛けた方が徘徊の可能性があるので断然良い。一時の恥として、声を掛けるけど大抵は散歩中の爺婆だったりする。まあ、ちょっとした早朝の恐怖(弾きそうだった)だったので話題にしてみたけど……アレは、怖いわ。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。