絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四五七話

Re:

 

 

あの後、蹴り飛ばしたら俺は『チーター野郎』に格上げされた。

 

「死ね!死ね!死ねよ、このチーター共が!」

 

あ、白亜も『チーター』らしいデスwww。

 

「いやいや、その程度の魔力ダメージで俺等が死ぬ訳が無いだろう?ほら、殺したいならもっと魔力を込めて撃ってみろよ!?」

 

「神崎は兎も角、わた…俺の方はバリアジャケット纏っているしなぁ?物理兵器は、意味が無いから魔力ダメージでノックアウトして貰わないと……ちょっと、死ねないかな?」

 

そんな事を宣いながら、双剣で銃弾を弾きつつ投影魔術でなんて事の無い剣を撃ち放つ白亜。白亜が、魔術で剣を剣製し撃ち放つまでの合間を縫う様に鉄球を撃ってフォローする俺。最初、鉄球を見た白亜が爆笑しながらなんで鉄球なのかを聞いて来たが……俺の宝具だったモノは、全て【組織】の方々が証拠物件として回収して行ったので何も残って無い。何の証拠物件かというと、転生被害の中でも詐欺に該当する物件だそうだ。

まあ、俺を転生させた神はもう存在すらしないが裁判はまた別件として行われるので証拠物件が必要だったらしい。なので、俺の宝物庫に入っているのは俺が錬金術で作り出した鉄球やなまくらシリーズだけである。それ等を慢心王の如く、ガンガンと撃ち出し時に間合いを詰めて相手の転生者を殴ろうと拳を振り回す。

だが、相手も殴られたら痛みを感じると学習したらしく俺が近づくと直ぐにバックステップで離れる様になった。やはり、痛いのは嫌らしい。だから、俺は戦闘中に白亜へと念話を飛ばす。

 

『コイツ、どうしたら良いと思う?つか、弾切れとか無いの?』

 

『魔力で、弾作ってんじゃね?ってか、弾丸当たって無いの?』

 

『いや、普通に当たってるけど……俺、人間から不老不死に転生したんで無限再生能力ですぐ直るw』

 

『は?不老不死!?ちょ、何に転生してやがるんだよ!?』

 

『人外転生。弾丸つっても、体内にまで入って来ないしなぁ?肉体の表面で、止まってるから再生すりゃぁ普通に吐き出される』

 

これまで、師範代達に散々鍛えられたお陰か相手が放つ弾丸は筋肉まで届いて無かった。これが、『鋼の肉体』ってヤツなんだろう。なので、肉体表面に突き刺さった弾丸は傷が癒えると同時にポロポロと体外へと押し出され体内に残留するモノは無い。

 

『いやー、本当に化け物になっちまったなぁ……w』

 

『いやいや、化け物になったってw大丈夫なのかよ……』

 

『大丈夫だ。問題ない』

 

『ちょ、メッチャ問題ありそうに聞こえるw』

 

『大丈夫、大丈夫。今、所属している場所がマジヤバい所だから定期的に検診もしてくれるしなぁ?おっとっと……』

 

UNKNOWNの放つ弾丸が、顔面付近に当たりそうになったのでちょっと驚く。でも、《閃き》を使えば難無く回避できるので余裕綽々な顔(ポーカーフェイス)で相手を煽るのを止めない。ついでに、《虚空瞬動術》で相手の懐に飛び込み土手っ腹を殴って置いた。それにより、胃の内容物が反吐と共に吐き出される様子は余り見ていたいモノでは無いね。つか、キタネェ!!

 

『マジかぁ……わた…俺は、本当なら時空管理局に所属する予定だったんだけど。アレのお陰で、無所属のままだ』

 

『気にせず、入りゃぁ良かったじゃねぇか……』

 

『それをやると、周囲に迷惑が掛かるんだよ。地球側では、事ある毎にテロに巻き込まれたり、テロの犯人にされたりでFBIやICPOに指名手配されてるよ。こっちでは、犯罪者扱いだし……』

 

『あぁ……だから、敵対していた訳か……』

 

『お陰で、地球じゃぁアルバイト出来なくてこっちに居るんだが……冤罪なのに、身バレしたら逃げなきゃイケないんだぜ?しかも、犯罪者扱いだからまともに施設にも近寄れないしなぁ……』

 

『……親は?居ないのか?』

 

『孤児だから、居ない事になってる。最初の頃と同じさ。身元は作られているけど親は居ないってヤツ。口座もあったけど、どうやったのか全部無くなって一文無しだよ』

 

つまり、地球では黒に近い疑惑のテロリスト扱いで……ミッドでは、ガチ犯罪者な訳か。どちらも、冤罪だって言うのが最悪だな?

そして、銀行口座にいたっては残金が全額消えて一文無しと……こりゃ、ハッキング辺りで活動資金を奪われたか?

そう言えば、UNKNOWNの口座にとんでもない金額があった気がするけど……まさかなぁ?

 

『ハッキングか、クラッキングかはわからんが外部から別の口座に移動されたんじゃね?例えば、目の前のUNKNOWNとかに』

 

『UNKNOWN?』

 

『報告書に書いてあったんだよ。本名の上に、そうルビってあってな?本名が、頭に入らずルビしか覚えて居ないってオチw』

 

『報告書……色々、ツッコミたい事が増えてるけど……先ず、言わせてくれ。コイツの名前がそこには書かれてたのか!?』

 

『記載されてたなぁ?だが、ルビが気になり過ぎて覚えとらん』

 

『……覚えとけよ!!そこ、一番大事な所だろう!?』

 

『いやー、昔から人の名前を覚えるのって苦手で……』

 

『嘘コケ。お前が、真っ先に覚えたろう!?この、ヲタク野郎!』

 

『アニメ関係は、別腹なんだよぉw』

 

『巫山戯んな!変態、ペドフィリア!』

 

『おいおい、聞き捨てならないぞ!?ソレは。それに、今の奏はボン・キュッ・ボンなグラマス美女だからな!?』

 

『…………訂正する。この、ストーカー野郎!!死んだ人間にいつまで執着してやがるんだよ!?隔たれた世界にまで来て、ストーカーですか!?』

 

『いや、マジで勘弁して下さい。そりゃ、後世まで追い掛けたがストーカーは無いだろう?ストーカーは!』

 

つか、【魔法少女】の世界で再会できたのは何処かの某神が企てた事による所が大きいのでストーカーという訳じゃ無い……ハズ。

それに、転生したのだってその某神がやった事であり俺の意思は全く持って介入してないからストーカーとは違うと思われる。

 

『いやいやいやいや、こんな世界の果てまで追い掛けて来てストーカーじゃ無いとか正気ですか?いや、マジでキンっモ!!』

 

見た目、美少女な褐色肌イリヤが汚物を見る様な目で俺を睨みながら罵って来るんですが……泣きたい。メッチャ、戦闘中だけど。

こう、源蔵の一言一言が俺の心をドストレートにズバッズバッと切り裂いてくれるのでついUNKNOWNを殴る拳に力が入る。

まあ、ただの八つ当たりではあるのだが……それだけに、情けない事この上無かった。《神殺し》に転生して少しは成長したと思っていたんだが……まさか、ここでこんな罵りを受ける事になろうとは思ってもいなかったよ。

まあ、だからと言って翼と別れる気は無いんだけどね?

でも、源蔵の言葉はそこそこ俺の心に残ってしまった。

確かに、俺のやってる事は次元規模のストーカーですね?

生きててごめんなさい。死にたくても死ねないんです。

 

『とりあえず、言える事があるとすれば……今、コイツを倒したらお前の貯金も消滅するんじゃね?』

 

『はぁ!?ちょ、それどういう事!?なんで、私の貯金が消滅するなんて話になるの!?』

 

『え?……そりゃ、親の居ない転生者を殺したらポリゴンになって消滅するんだよ。全ての記憶と記録からも、抹消されるんで口座も一緒に無くなるんじゃね?』

 

『ちょ!?待って!本当に待って!!今、コイツを殺すの止めて!!私の生活費画あああぁぁぁぁ!!!』

 

『ああ、それなら大丈夫。お前、この後……ウチで、保護するのが確定してるから。つまり、ウチの【組織】に護送確定?あ、問答無用だから抵抗したって無駄だよ?』

 

『は?はああああぁぁぁぁ!?』

 

『そして、その【組織】には新庄兄妹が居るから枕を濡らす日々は確実だったりするんだなぁ……ちな、お前の中二病な映像はウチの師範代達が面白おかしく報告していると思われ……』

 

『ちょぉ!?嘘でしょう!?』

 

段々、普段使いの言葉使いになりつつある白亜を無視して更なる爆弾を投下して行く。こうやって、追い詰めれば追い詰めるだけ師匠が施した【呪い】の影響がどれだけ鬼畜だったのかがわかる気がして涙が出た。いや、マジで気を張ってないと女の子言葉に引き摺られるんですね。何度も、『私』と言いそうになるのを必死で直していた白亜。これは、かなり深層意識にまで切り刻まれている模様。師匠、男らしくなりたい奴をここまで女の子にする必要があったんですか!?見ているだけで、心苦しくなって来るんですけど!?これが、現在の白亜かぁ……等と感慨深く思う。

 

『更には、穂波や雪に葵もいるから暇を持て余す事はなくなると思うぞ?それに、フルダイブ型のVRMMOもあるし?』

 

「マジで!?ゲーマーの夢、フルダイブ型のVRがあるのか!?」

 

「!?」

 

「声出てる!声出てるから!!念話、念話!!」

 

「おい!どういう事だよ!?フルダイブ型のVRって!?」

 

そして、源蔵だけで無くUNKNOWNまでも釣れちゃったよ!?

あ、そう言えばコイツもゲーマーでしたね?そりゃ、フルダイブ型のVRがあるなんて話を聞けば食い付いて来るのは当たり前か。

とは言え、敵対している奴をアソコに連れて行くのは師匠達的にもアウトだろうから断るしか無いんだけど。でも、あの様子では何を言っても聞きはしないんだろうなぁ……。

 

「ハッ!敵対する勢力に、俺達の遊び場を提供する訳が無いだろう?馬鹿か?馬鹿なのか!?あ゛あ゛!?」

 

「クソッ!どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがってぇ!!」

 

いやいや、普通の反応じゃ無いですか。どこの世界に、敵対する……いや、人を殺そうと襲撃して来た奴に自分の拠点(ゲームが出来る場所)へ連れて行く馬鹿が居るんですか?常識的に、俺の反応は間違って居ない……ハズ。

自信が無いのは、《神殺し》に染まり過ぎて人間の常識が欠如し始めたからである。

だってなぁ?最近じゃ、命を切り捨てた捨て身とか普通にやる様になっちゃったから。まあ、師範代達との鍛錬あるあるだけど。

とりあえず、鍛錬の事は横に置いといて……フルダイブ型のVRが、あると知ったUNKNOWNはこれまでの経緯と思しき愚痴と文句を共に喚き散らしてくれた。コイツ、ただのゲーマーかよ。

 

「俺は、フルダイブ系のゲーム世界に転生したかったんだ!!」

 

「なら、なんで【魔法少女】の世界に転生してんだよ!?」

 

「知るかよ!好きで、こんなクソみたいな世界に転生した訳じゃねぇよ!だが、知らない世界でもねぇから変態共を追い払ってただけだ!どいつもこいつも、ヒロイン達を自分の恋人にするだとかハーレムだとか言いやがって!お前もだぞ!ギルガメッシュ!」

 

「俺は、奏一筋だよ!!ヒロインなんざ、勝手に百合百合してれば良いんだ!!因みに、奏は生前からの付き合いだ!!」

 

「はぁ!?なら、何で転生なんてしてやがるんだ!?」

 

「三角関係の縺れで、死んだからだよ!!」

 

「リア充か!?なら、余計に死ねえぇ!?」

 

「ハッ!こちとら、在宅ワークな引き籠もりだよ!?むしろ、引き籠もりから在宅ワーカーになったんだがな!!」

 

「はぁあ!?どっちにしても、リア充で間違いねぇだろう!?」

 

「ちな、今はイケメンだけど…元は、ガチなブ男だったからw!」

 

は!?ちょ、白亜!UNKNOWNを煽るんじゃねぇ!?

 

「はあぁあ!?ブ男の癖に、恋人も居て仕事もあるリア充……だと!?テメェ……絶対、ブッ殺す!!!!」

 

完全にブチギレたらしいUNKNOWNが、顔を赤黒く染め上げて血走った目で俺を睨んで来る。あ、コレ……説得も、話し合いも出来ないヤツですね?いや、まあ……俺は、アイツの望みだっフルダイブ型のVRMMOが出来る人材だからかな?その為に、必要以上にUNKNOWNのヘイトを稼いでいた。師匠なら、更に煽って行くんだろうけど……面倒事は避けたいので、煽りはしない方向でツッコミも無しだ。

 

『VRゲーのリアルモジュールで、恋人GETしてリアルもVRも超充実!いやー、フルダイブ式のVRゲーム最高ですぜ?』

 

―――――ちょ!?

 

「神崎?……え?今の誰!?」

 

「オ゛マ゛エ゛……コロス。絶対コロス!!」

 

「いや、待て!()()は、俺じゃ無い!!」

 

完全に俺の声ッポかったけど、口も開いて無ければ声も出して無いのにUNKNOWNがブチギレLEVEL2ですよ!?それで無くても、怒っていたのに更に感情を煽られて浮き上がった血管がマジ切れそうなんですけど!?いや、待って!

本当に待って!今のは、本当に俺じゃ無いんだって!!って言ってるのに、顔を赤黒くしたUNKNOWNがデバイスを構えて突っ込んで来た。

 

「シネエエエェェェェ!!」

 

「ヤベェ!《堕ち神》化仕掛けてる!?」

 

「ちょ、アイツの声が電子音ポクなってるんですけど!?」

 

とりあえず、俺の隣でアワアワしていた白亜を蹴り飛ばし宝物庫から取り出した《ダーティ・ニーズ》でUNKNOWNの攻撃を受け止める。つか、眼前で少しずつ輪郭が崩れて行く様子を観察させられるのは勘弁願いたい。ヤバい!マジで、ヤバい!!コイツ、怒りと劣等感で【呪い】を発動させやがった!!その結果、UNKNOWNの人間らしかった輪郭は崩れ肌の色が黒く染まって行く。

 

「ジネ゛エ゛E゛エ゛エ゛ェェェee!!!」

 

「ちょ、コレ……空間封鎖とか、されてんのかよ!?」

 

そう言えば、こんなにドンパチしてたら管理居の空戦魔導師が来ても不思議じゃ無いのに……全く、来ないんですけど!?

これ、最初から師匠達が何かしらの手を打ってやがりましたね!?って事は、UNKNOWNの《堕ち神》化は予定通りだった!?

つまり、UNKNOWNの目的がフルダイブ型のVRゲームだとわかった時点で削除対象と化していた訳か!?そりゃ、ゲームクリアまで時間も掛かるし……破らせるとしても、現状フルダイブ系のVRゲームがあるのは秘密基地のみだけれど。こんなやり方、ちょっと卑怯じゃありませんかねぇ!?

それなら、最初から教えといて下さいよ!?戦闘中に思い至ったら、戸惑うでしょ!?

まあ、それを踏まえた精神修行なんだろうけど……ネタがわかっても、キツイモノはキツかった。

 

「残念だったな?恨むなら、VRゲームの無い世界に転生させた神を恨むが良いさ!!まあ、今は目の前の敵しか目に入らねぇだろうけど!!」

 

「ゴRォズ!GォロGィでYァルゥゥuゥuゥゥッ!!!!」

 

白亜の奴が、口を()()()()()()()結果とは言えこんな展開不本意でしかねぇよ!いつもの事とは言え、幼馴染みの友人の前で人殺しとかやらされる身にもなって欲しい。

 

「神崎!私も―――」

 

「師範代!白亜を頼みます!!」

 

多分、この辺を空間封鎖しているんなら師範代達も居るだろうという前提で白亜を任せて俺は目の前の敵に集中する。段々、人の言葉を口にしなくなった元UNKNOWNを押し返して少し引いた《ダーティ・ニーズ》を突き出す。初撃は、出来るだけ小回りの効く動きで相手の油断を誘ってから大振り。そうしなければ、マジで殺され掛けるのが師範代達との鍛錬だった。ちょっと前までは、直ぐに大振りをして切り捨てられてたけど、今はそんなバカな行動はしない。出来るだけ細かく、小回りの効く振りで最大の効果を引き出すまで粘る。相手のミスは、出来るだけ突いて馬鹿にした様に振る舞う事で隙きを見出すのが戦士の駆け引きだと言われた。騎士の様に正々堂々と戦いたくば、経験をもっと積まなければならないらしい。ぶっちゃけ、正々堂々が通じるのは相手が格下か同等の者だけとのこと。

格上に、正々堂々向かって行ってもあやされるのが関の山だ。相手との実力差を知るのも、戦っている内の間のみで……出来るなら、一合目で分れと言われた。

いや、もう、それ、どんな難易度ですか!?と言いたくなるくらいハチャメチャな話だったけれど――その通りなんだよなぁ(凹)。

一合目から二合目で、相手の実力を測らないとその後が続かない。

まあ、俺は化け物を相手にしているのでずっと生死の境を行き来してますが……最初の頃は、『アレ?もしかして殺れる!?』なんて思わさせられて負けてました。

ええ、これが相手の油断を誘うって事だったんですけど……バカでド素人だった俺は、何度もこの手に嵌りましてフルボッコにされた訳です。ワザとなんだよ!ワザと!!アレは、誘いなんだ!!と、わかってても誘われるバカだったんです。だって、集中して乗って来た当たりでヤられると本能的に誘われるんです。

いや、マジで!頭では、わかっているんですよ?

でも、無意識に誘導されて討ち取られちゃうんです。

コレ、アレなんです。興奮状態でも、頭は冷静であれっていう状態なら大丈夫な誘いなんです。でも、興奮状態で冷静さを失っていると誘われるんです。

 

つまり、『乗っちゃ』駄目なんです。

 

『ノリノリ』っていう状態は、冷静とは別物で誘われると流れる状態なんです。なので、『ノリ』に乗らない様にする事から始めました。後、反射で動いちゃ駄目とも言われてます。でも、根付いた条件反射って中々治らないモノでそういう時は問答無用でバッサリ切り捨てられて来ました。そうするとですね?切り捨てられる痛みと恐怖で、『ノリ』に乗らなくなるんですよ。条件反射も無くなって、逆にバックステップで逃げる様になるんですよw。

え?笑い事じゃ無いって?いや、笑うしか無いですって……痛みと恐怖心で矯正しなきゃ治らないんですよ?最早、笑い話にしないとやってられない。

 

「GAAOOaaaaa!!!!」

 

「チィイィィィィィ!!」

 

先程までと違って、今度は獣と似た様な存在との戦闘なので大振りに変えて行く。これが、人間の様な知能のある存在との戦闘なら駆け引きとか色々とあるんだけれど。ただの獣と化した、元転生者との戦いは油断さえしなければ問題無く倒せる。ただ、問題があるとすれば時折り人間だった頃の知性が残っている場合の時だけだ。今は、未だ獣となったばかりで何処まで理性が残っているのかわからないから、教えられた通り細かく小回りの効く動きで相手を翻弄して行く。時折り、誘って躱して武器では無く拳で殴って蹴って斬り捨てる。パターン化しない様にしつつ、ランダムで動きを乱雑にしながら決定打を穿つ隙きを待った。

 

『gugye!bulga Qoulbu rageyx ounu!!』

 

唐突に、UNKNOWNがグギャグギャ言い出したかと思うと膨大な【呪い】が溢れ出す。まさか、先程のグギャグギャは神への祈りだったのだろうか!?だとすると、それなりに理性が残っている!?もしくは、《堕ち神》と化す前の名残か!?その何方かは、わからなかったけど……相手が、切り札を使ってまで向かって来るんだ。本来なら、迎え討つ事は御法度だけれど、こちらも《ダーティ・ニーズ》に魔力を込めて構える。これ、説教コースだな。

 

「《ダーティ・ニーズ》、レベル2だ。《重力斬撃》行くぞ!!」

 

《――――――――――》

 

魔力を渡して、指示を出す。これで、後は《ダーティ・ニーズ》に宿る精霊にお任せすれば馬鹿みたいな破壊が起こる事は無い。

コレに気が付くまで、銀河さんと最強の女剣士さんには多大な御迷惑をお掛けしました。ええ、ついでに【鮮血の】さんにも。

でも、まさか……【指示】が、必要だなんて思いませんやん。

まあ、精霊の意識がハッキリしてくれば【指示】しなくても良いらしいんだけど……いつになる事やら(諦めの境地)。

膨大な【呪い】を纏い、UNKNOWNだった《堕ち神》が向かって来る。俺は、それを静止した状態で待ち眼前に迫る獣に《重力斬撃》を叩き付けた。つか、なんですかね?この感触。なんか、こう……スライム風呂に、腹からダイブしたかの様な感触が剣から伝わって来るんですけど?なんか、柔らかくて弾力のある物体を押し切るみたいな?感覚が……直ぐに、すんなりと刃が入って行って《堕ち神》を真っ二つに斬り裂いたんだけれど。余韻に浸る暇も無く、背後に現れた師範代達によって秘密基地へと拉致られた。お疲れ様です。OSEEKYOUモードでーす♪。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

「死にたい……」

 

お説教が終わり、秘密基地の居間に戻って来た俺はソファーへと沈み込む様にダイブする。いや、もう……精神的に疲れ申した。

ちょっと、反抗的な事をしただけで何時間もお説教とか勘弁して欲しい。そりゃ、破れかぶれで突撃して来る相手を迎え撃つな!とは言われていたけど。まさか、精密検査までさせるとか思って無かったよ。師範代曰く、あんな風に真正面から受け止めて【呪い】を頭から被って隔離施設行きになった《神殺し》がいるとか色々脅して来るんので困る。ああいう手合は、最後に何を仕出かすかわかったモノじゃ無いんだから、真正面から受け止めるんじゃない!と口が酸っぱくなる程言われた。

 

「はぁ…………あ?白亜は?」

 

「兄様の部屋から、VRダイブなさっておられます」

 

「…………さよか……」

 

UNKNOWNは、ソレがヤりたくて転生したと言うのに白亜の様な物語ヒロインにHAsHAsしている様な奴が、フルダイブ型のVRを真っ先に体験とは……ヤツも、浮かばれんな?

まあ、俺としては白亜が【魔法少女】のアニメを知って居たってのは転生するまで知らんかったが……開放された後に知ったのかな?何となく、アイツをアニヲタの道に引き摺り込んだ奴の顔が頭に思い浮かんだので黙る。

そう言えば、あのアニヲタの名前……何つったかなぁ?

……やっべw。昔は交流があったけど、大学卒業後は新庄兄妹を通してしか交流が無かったから覚えてねぇやw。もう一人なら、直ぐに出て来るんだけど……麻生レオン。平成のキラッキラネームな奴だったから、その日本人らしい見た目とギャップのある地道差と良く比べられてからかわれていたっけ。

そして、もう一人はキレッキレのチャラ男なのに中身『侍』だった奴な。名前は……マジで、思い出せんわぁw。かなり、ヤッベー名前だったのに本人がその名前で呼ばれるのをメッチャ嫌ってたからあだ名しか思い出せないって言うね?でも、まあ……名前の事では親との折衝が激しかったけど家族仲は普通な奴だったんだよ。本当なら、親が付けた名前に文句を言ってたら親との仲がギスギスしててもおかしくは無かったんだけど。親も、アイツの名前に関して悪ふざけが過ぎたと反省していたのだろう。

 

「つか、白亜がそこに居るんだから聞けば良いじゃん!」

 

「はい?何か言いましたか?兄様」

 

「いや、幼馴染み最後の一人の名前が思い出せなくてなぁ……」

 

「…………兄様は、友人の名をお忘れになる程、薄情だったのですね?何とも、お労しや……」

 

「いや、アイツ……本名を呼ばれると、ガチギレする様な奴だったんであだ名しか思い出せないんだよ」

 

「ほぉう?己の名前を嫌うとは……」

 

「両親も認める悪ふざけの産物だな。そのせいか、アイツが親に名前の事で文句を言っても何も言い返せなかったらしいぞ?」

 

下手をしたら、白亜ですらアイツの名前を覚えて居ない可能性があるレベルだからな?思い出せるのは、苗字から取ったアイツのあだ名……『ぽっチ』のみ。多分、『久保田』か『窪田』のどっちかだったと思われる。その後の名前は、外国かぶれの御両親が『ナンチャラ・フォン・○○○○Jr』とか長ったらしいモノにしたものだから話が拗れたんだよw。

 

 

 

 

 




白亜(クロエ)が、UNKNOWNによって追い詰められていた話から始まって今後の方針となる話へとシフト。まあ、地球の方では超重要参考人程度で犯罪者として賞金首になっている訳じゃ無いと思われ。管理局側は、次元レベルで指名手配している訳じゃ無いから小物認識なのかも。本人も、追い回されるから逃げてるだけで本気で捕まえ様とか考えても居ない。

そして、安定な【堕ち神】化ですね。彼の説得は、難しいと判断したので堕ちていただきました。流石にフルダイブ式のVRMMOを秘密基地でやらせる訳には行かないですからねぇ?この結末は、致し方ないと思われ。ただ、彼自体は転生被害者なんだよね。本来なら、彼が望む世界へ転移させるのが正攻法なんだろうけど……魔法少女の世界で、堕ち切らなくてもギリギリであった事は無視できない。だって、VR機器のある世界を望んでいるのに魔法少女の世界で戦っとけや!!と言わんばかりの采配。普通に、堕ちても仕方無くない?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

作者のどうでもいい話。
こんな物語を読んでみたいなぁ…って話。
作っても良いけど……今は、ねぇ?

とあるフルダイブ型のVRMMOで、とある島を攻略するイベントがありました。でも、運営の手違いなのか一つのサーバーに集められたユーザー5000人中、生産職は一人。デスマーチが始まる……って、話とかありませんかねぇ?まあ、人数は横に置いとくとして生産職が一人で前線を持たせる系の話があれば一報を。
で、前線組に願い出るんですね?『頼む!痛覚を100%にして置くから、俺が寝落ちそうになったら刺してくれ!!』と。リアルタイムで二時間。ゲー厶内時間は一週間。不眠不休の生産地獄の幕開けだ!!彼が担当するのは、武具の修復と料理にポーション作り!!ほぼ、オールタイムで前線を維持させろ!!って、話とか無いかなぁ?
ああ。因みに、敵対しないPCに攻撃するとレッド又はオレンジPCになるので生産職な彼は近くに居た女性PCにセクハラをしてオレンジになります。これで、幾ら攻撃されても相手がオレンジやレッドになる事はありません!!
まあ、そんな感じの話が読みたくなった。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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