絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三六七話

Re:

 

 

「さて、シコリだった問題も解決したし?そろそろ、メインディッシュと参りましょうか?」

 

問題解決と言うか、ただの先送りかつ丸投げした俺がその結末に何かが言える訳でも無いけど……コレで、一応の終結である。不満は、多々あるだろうけど。俺的には、生前の出来事に対して何らかの賠償を求めたり償いを求めたりはしたくない。だって、もう新たな人生をスタートさせて面白おかしく過ごして居るのに過去から因縁が追い掛けて来た!とか、望みもしなかった事で今の人生を無茶苦茶にされるくらいなら忘れる事を選ぶ。だから、美愛や亮の提案を蹴ってセイビアさんに丸投げしたのである。

後で、文句を言われるだろうとしてもそれは甘んじて受け入れる事にしよう。俺が出来る事は、出来る範囲でやるとしてそれ以外のモノは師匠に手伝って貰う予定だ。

ここで、下手をして『師匠に相談』したりすると師匠に多大な迷惑を掛ける事になるので言葉選びは慎重に行う必要がある。でも、それは師範代達が担当してくれるって言うのでお任せ出来る所はお願いする予定。

下手に、便り切ると後々が恐ろしい事になりかねないのでちゃんと話し合いには参加して置かないととんでもない事になっていそうだ。折角、突き放したのにまた一緒に仕事をする事になるとか。

とりあえず、今は目の前の問題を棚上げしたままもう一つの命題へと話を誘導して行く。それは、もちろん『白亜をイジる』という目的に移る為の動きだ。浅上兄妹も、今か?今か?とその時を待っていた様だし、なぁ?そして、声を掛ければ悪魔の様な笑顔でチワワの様に怯える白亜へと悪辣な視線を向ける。

 

「さっきから、ずっと気になってはいたんたよ?」

 

「だが、先に済ませないとならない要件があってねぇ?致し方無かったのだよ。霧島白亜……いや、柴田源蔵くん?」

 

「ひぃ!?…………う、裏切り者おおおぉぉぉぉ!!」

 

失敬な!人聞きの悪い事を叫ばないで欲しい。と言うか、そもそもですねぇ?お前が、かつての日々で英霊エ○ヤモドキを演らなければこんな【イジり】が発生する事はなかったんですよ?なのに、あんな風にノリノリでギルガメッシュ(俺)と原作ヒロインを巡って争うから悪魔達にネタを提供する事になる。まあ、売ったつもりも無ければ買った記憶も無いんですけどねぇ?

一応、苦労させられた身としては『けじめ』は付けさせていただきますけど?だから、甘んじて受け入れるんだな?フェイカー。

 

「そう言えば、コイツが《ニコポ・ナデポ》ですずかを落とさなければお前等が炙り出される事も無かったのに……」

 

いやー、炙り出しの《DB》の雨は最高でしたね?その後に続く、《SLB》の雨アラレもとてもキレイだったのを覚えているよ?

 

「ちょ!?神崎ぃ〜!やーめーてーよぉ!?」

 

ああ。美愛の件で訪問するなら先にメールを送って置かないと……な?確か、古い言い方で『先ぶれ』って言うんだっけ?現代風なら、アポイントメント。アポ無しで突撃したら、メッチャ怨まれそうだもんなぁ?

下手をしたら、【呪われる】ぜ?

 

「HA、HA、HA、HA!」

 

ガックンガックン、胸ぐらを掴まれて前後に揺さぶられるけど……愉快、愉快。その程度では、この鍛え上げられた肉体をどうこうする事はできないのだよ!何れにしても、白亜が浅上兄妹のストレス発散用の玩具にされる事には変わり無いんだけどな?

そういう訳で、俺は白亜を浅上兄妹に売り渡して拠点から出た。出来る事なら、今後はもう面倒臭い事が無い事を願いたいが……多分、その願いは叶えられないんだろうなぁ?何せ、後三人も見付かって居ない奴が居るから。

姿形所か、使い魔さん達とも接触していないって言うんだから相当である。トーマも、巡り合せが悪いのかアレ以来姿を見ていないが……はてさて、どうなって居るんだろうな?全く、どいつもこいつも心配ばかり掛けやがって!

そんな事を考えながら歩いていると、前方からどこか世紀末を思わせるファッションのガラが悪い兄ちゃん達がこちら目掛けて小走りで駆け寄って来る。あ、何だか面倒臭い予感!そう思った時には、既に肉体の方が動いていて彼等と接触する前に俺は跳び上がっていた。そのまま、壁を二三度蹴ってヤバそうな兄ちゃん達から離れた場所に着地する。すると、兄ちゃん達が追い掛けて来て『おい!お前、俺達になんか文句でもあんのかああん!?』と絡んで来た。瞬間、この人達が面倒臭い人種である事を知る。

 

「その様子だと、当たっても避けてもイチャもんを付ける予定だったんですね?全く、そんな事をしていられる程ヒマなんですかねぇ?こっちは、師匠のお使いで急いでいると言うのに……」

 

ハッタリ半分で、師匠の用事で…というと、たじろぐ様子を見せるガラの悪い兄ちゃん達。それで、この人達の目的がわかったので師匠に連絡を取るから待って欲しいと言ってみた。

 

「い、いや、待て!俺達は、お前に用があるんだよ!!」

 

「え?でも、俺達に文句でもあんのか!?と言って来たのは貴方方ですよね?ほら、先程の音声をリプレイしても貴方方が言ってますよね?」

 

そう言って、嫌な予感がした時点から録音していた音声を再生すると『ヤベェ…』的な反応を見せるお兄ちゃん達。まさか、【組織】に余り立ち寄らない俺がそんな手段を使って来るとは思っても居なかったみたいだ。つっても、コレはトーマに教えて貰ったここでの立ち振る舞いの中に【ガラの悪い輩を見たら即録音】という話があったからやったまでの事。まさか、こんなにも早く実践で使う事になろうとは思いもしなかったよ。そして、その対応をした俺に対してとても分が悪そうな顔をする兄ちゃん達が居た。

 

「御理解頂けた様なので師匠を呼びますね?」

 

「いや、ちょ、ちょっと、待ってくれぇ!」

 

「あ、すみません。既に、通信が繋がっていまして……」

 

「な、なにぃ!?」

 

「あ、ほら、来ましたよ?ええ、とても良い笑顔の師匠が屋根の上をピョンピョン跳ねて向かって来ました……」

 

「僕に喧嘩を売ってるのは、お前等かあああぁぁぁぁ!?」(ナマハゲ)

 

「「「「「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!??」」」」」

 

悲鳴を上げて、へっぴり腰で逃げようとする兄ちゃん達だったがあっという間に追い付かれて何処かへと連れて行かれてしまった。

いやー、鬼畜対応ですね?師匠。怯える兄ちゃん達を、ワザワザ逃して追い駆けっこをしてからの拉致とは……しかも、とても爽やかな笑顔で連れて行っちゃいましたよ?

 

「ああ、クソっ!追い付けなかった!!」

 

そう言って、師匠を追い掛けて来たであろう長い銀髪の青年が後から到着する。顔を上げる銀髪さんは、切れ目なイケメンさんだった。つか、女装とかしたら美女に見えるレベルの青年が来たんですが……どちら様?と言うか、何やら背筋が寒い様な?

 

「お前が、双夜の秘蔵っ子か?」

 

「えっと、初めまして?神崎大悟です……」

 

「セリュウだ。訳あって、ファーストネームだけで勘弁してくれ」

 

「あ、はい。師匠は、何処かに行っちゃいましたが……」

 

「知ってる。目の前で、消えられたからな……まあ、その理由も大方わかっているから説明はしなくて良い」

 

まあ、その理由が貴方の目の前に居る訳ですからね?そんな説明しませんよ?と言うか、師匠とこの方は何をしていたのかちょっと考えてしまう。と言うか、【セリュウ】?俺、この名前にちょっと心当たりがあるんですが?確か、掲示板情報なんだけど……軍のお偉いさんの弟さんですよねぇ?という事は、軍部に関わる何かしらの会議中に呼び出しちゃったんですか!?俺。

 

「なんか、申し訳ありません?」

 

「……何故、疑問系なのかは聞かないで置こう。出来れば、私がここに居た事も忘れてくれた方が良い」

 

「了解であります!(`・ω・´)ゞ」

 

「では、失礼する……ああ、アレが何処に行ったかはわかるか?」

 

「知りません!神出鬼没な方なのでわかりません!」

 

そんな事、こっちが知りたいです。とは言え、ウチの師匠の神出鬼没っプリは軍部でも謎に該当するんですね?

もう、本当にやりたい放題の自由奔放なんだなぁ……(苦笑)。セリュウさんは、俺の苦笑いを見てから大きな溜息を吐いて去って行った。多分、あの人もそれなりな苦労人なんだろう。というか、軍部の大半が苦労人とか……この【組織】、どうなっているんでしょうね?

苦労人のほぼ半分が、該当すると言うし……ウチの師匠もそうだけど、人様に迷惑を掛けるヤバい人が多くて草も生えない。つか、良くそんな状態でこの【組織】が潰れずに済んでいるよな?まあ、それだけ苦労人さん達が頑張って維持しているんだと言う事なんだろうけど……なんか、かなり歪に感じるんですが!?

それでも、【組織】としての体面は維持されているしちゃんと給料も出ているからそれ程でも無いのかも知れないけど……得体が知れなさ過ぎる。だからこそ、【悪】の組織なんだろう。俺の返答に、落胆して去って行くセリュウさんを見送ってから呟いた。と言うか、無意識に呟いてしまったと言うべきか?

 

「潰れないだろうな?ここ……」

 

「潰れないんだなぁコレが!」

 

「ここを失うと、我々に行くべき場所がありませんからね」

 

「だから、ここの維持はやりたい放題の奴でも頑張るんだよねぇ」

 

「って、ええ!?えっと、お久しぶりです。セイビアさん……」

 

何故か、俺の背後には愁さんに飛龍さんを含めたセイビアさん達が忍び寄っていた。と言うか……何故、忍び寄る必要が!?

 

「ああ、丁度良かった。これから、訪問する予定だったんですよ」

 

「ああ。アポイントメールなら、受け取っているよ。つか、俺達の気配に気が付かないなんてまだまだ未熟だな?」

 

「ハハハ……じゃ、師匠の気配も読めないと、ですね?」

 

「アレは、読めるもんじゃねぇから!つか、読めたら逆にスゲーって他の《神殺し》達から尊敬されるぞ!?」

 

あ、そのレベルでしたか。成程、師範代達に謀れた!!

 

「一応、それが目標なんですけどね……」

 

「マジか!?スパルタだなぁ?」

 

スパルタ……そう、誰もが言うけど俺からすると普通の話である。それなのに、過分な評価をされている様で落ち着かない。それ程まで、師匠との差があるんだろうけど……いつかは、追い付く予定なんだ。心折らないで欲しい。

まあ、折れる予定も無いし?そんな暇も与えて貰えないけど。ホント、飴と鞭の使い方を知っている使い魔さん達である。いや、うん……ご褒美がね?まあ、ちょっと俺的に頑張ろうと思えるモノだったというだけの話だ。

白黒セイバーのファッションショーはとても良いモノでした。もちろん、工ロもあるよ?は見ていてとても楽しかった、です。思い出しはしますが、本人達の前では思い出しません。やったら、直ぐにバレて鍛錬に直行です。

どうやら、師範代達でも恥ずかしい事は恥ずかしいモノなんだと知りました。ただ、翼の姿を模倣するのは勘弁して下さい。本人に見られたら、殺されます。いや、ガチな話なんで止めて下さい。もう、本当に止めて……そういう報復はホント勘弁して欲しい。ちょっと、揶揄ってからかって思い出し笑いをしただけなのにハード鍛錬も嫌です!ホント、ごめんなさい。許して下さい。もう、やりませんから(震)。あの時のお仕置きは、とても辛いモノだったよ。

うっかり、トラウマを増やしちゃうくらいのお仕置きでした。

 

「とりあえず、浅上兄妹のスカウトをしたのがセイビアさんで間違い無いですか?」

 

「クレームは、受け付けないぞ?」

 

「あーいえ、クレームでは無くてですね?美愛をトーマと同じ冒険に連れて行ってやって欲しいんですよ。ほら、データパターンは多い事に越した事は無いじゃないですか?」

 

「は?ちょっと待て、お前……自分に想いを寄せる相手をあんな鬼畜なお遊びに加える気か!?いやいやいや、百歩譲って参加させるのは構わない。構わないが、まさか妖精まで付けろと言う訳じゃ無いよな!?」

 

「付けられるんですよね?」

 

「待て待て待て!妖精って、見た目は可愛いが中身は無邪気なサイコパスと同義だぞ!?本気で、言っているのか!?」

 

【妖精】という生き物は、サイコパスらしい。まあ、無邪気というからには邪悪なモノでは無いみたいだけど……サイコパス?

 

「えっと、トーマの精神とか大丈夫だったんですか!?」

 

「心配する所、そこぉ!?いやいや、そこは幼馴染みを心配しようか?マジで!じゃないと、鬼畜の称号が付くぞ!?」

 

「あ、それは構わないです。実際問題、生前の俺を滅多刺しにしたからその償いとして参加させるだけなので……」

 

「え!?滅多刺し……というか、生前?」

 

「聞いてないですか?俺、前の人生を途中退場して《神殺し》になったんですよ。でも、それだと色々面倒だから俺の肉体に別の精神を憑けて俺の代わりをして貰ったら……」

 

「あー……成程。それで、“生前”という話になったのか。それでも、何の兆候もなく滅多刺しにされたと?」

 

「元は、神々が作ったシナリオだったみたいですよ?その後、他の幼馴染みぃズも程なくして死んでますし?」

 

「…………あー、愁……」

 

「はい、わかっています。では、ちょっと行って来ますね?」

 

良くわからないけど、急に真面目な顔になった三人が意味不明なアイコンタクトを交わした後そそくさと動き出す。もしかして、ウチの師匠が何かしましたか!?例えば、報告書を出して居ないとか?いや、まさか師匠に至ってそんな事をするハズが無いからもっと別の問題だろうと思い直す。つか、あの飛龍さんが真顔になる案件ってそんなに無いと思われる。そんな人が、真面目な顔をして怖いくらいに表情を出さないなんて恐ろしいんですが!?

 

「ん?ああ、別に双夜に問題があるとか君達云々という訳じゃ無い。シナリオが、存在する転生者が珍しいってだけだ」

 

等と、セイビアさんは言っているけど……【組織】の記録上にも、『死に至るまでのシナリオが存在する人間が居る事は稀有だ』って事ですよね?つまり、かなり希少だから周辺調査でもされるのかな?と言うか、そんな人間が《神殺し》に転生するっていうのも稀なんじゃね!?詰まる所、要観察対象って事ですかねぇ?

 

「何分、プライベートの事なんで観察するなら金払え?」

 

「ファ!?コイツ、唐突に金の話を始めたぞ!?」

 

「直感持ちに、情報を暴露したのは俺か!?クソォ、タダで観察出来ると思ったのに!シッカリ、裏まで読まれてるじゃん!!」

 

「アハハハ……後で、師匠か師範代に報告するから難癖付けられて余分な賠償金まで絞り取られるよりかはマシなんじゃ?」

 

「おっと、ド正論で殴られてるよ!?セイビアぁ〜」

 

「奴等の教育が、スパルタだとは聞いていたが……ここまでとは」

 

そんな事を呟いているけど、そっちの被害の方がもっとヤバい事に気が付いてセイビアさんの気分が上昇。この人、もしかしなくてもわかりやすい人だった?もしくは、そう見せ掛けられているのか今一わからない。流石、ほぼ無表情な人である。奥さんの前では、その無表情が崩れて色んな感情が見え隠れするけど。

 

「とりあえず、そんなこんなで美愛のお仕置きはトーマと同じ【ワクワク異世界冒険譚】でお願いしますね?もちろん、サイコパス妖精付きの難易度高めでお願いします」

 

「難易度高めって…そもそも、あの冒険譚は難易度高い方だよ?」

 

「というか、トーマがサボるからアトラクションを用意する事になった訳で……お仕置き?まあ、旨は合ってるけどさぁ……」

 

「……サボる、ですか?それって、本当にサボっていたんですかねぇ?というか、アイツかなりの真面目さんだったんですけど……それなのに、鍛錬をサボってたんですか?」

 

「んん!?真面目……そう言えば、報告書の性格欄にそんな記載があった様な?……んー、あー、どうなってたかな?」

 

「アイツを転生させたのって、【始まりの魔法使い】だよね?もしかすると、生活費とかかなりキツかった、かも?」

 

「そんな状況なら、俺バイト三昧してそうですが……」

 

日本人って、生活が苦しいとバイト三昧なんて方法で解決しようとするからなぁ?出来るだけ、多くの時間をバイトに当てて生活状況を改善してから鍛錬に挑もうとしてたと思われる。実際、トーマの奴はバイト三昧してたらしい。

 

「家賃は支払われて、食事代無しとか?」

 

「もしくは、食事代しか無くて家賃は自力調達?」

 

「因みに、【組織】での家賃ってどうなってますか?」

 

「上を目指せば、超お高いよ?下を見れば、ピン切りだけど」

 

「じゃぁ……トイレ風呂完備で、6畳間辺りなら?」

 

「大体、2万から5万かな?徒歩で行ける範囲に色々な設備を望めばもっと行くけど……そう言えば、家の方は双夜からの貸し出しだったっけ?」

 

「師匠の?……妨害とか、されてたんじゃね!?」

 

「あー……そうだよな?自分の監視をする奴をそう簡単に大成できる様なサポートをする訳が無いか……そこら辺も調べる必要が出て来たな?とりあえず、フェイ。先に行って調べて貰えるか?」

 

「OK。じゃ、行って来るぜ!」

 

言って、あっという間に姿形を消してしまった。というか、速い……メチャクチャ、速い。走ると言うか、一瞬で見えなくなってしまった。今いる所って、割と長い直線道路なハズなのに……マジかよ。アレが、真の《神殺し》な身体能力なんだろうか?

 

「とりあえず、お前の要件はわかった。で、お前としてはどうしたいんだ?難易度高めという限り彼女を恨んでいるのか?」

 

「それが、どうでも良いんですよ〜w」

 

「は?」 

 

「ぶっちゃけ、生前の罪とか言われても困るだけなんですよね…」

 

「……つまり、お前は俺に丸投げする気か!?」

 

「《神殺し》にしたのは、セイビアさんなんですから責任の一旦を担って下さいよぉ?これから、帰って来る度に土下座される者の身にもなって欲しいかな?」

 

「……マジか?そんな、レベルなんか……」

 

「なんなら、俺の奴隷にでもなります!とか言われましたが?」

 

「……性的な?」

 

「多分、そのつもり何じゃないかと……」

 

俺が知る限り、女の【奴隷】と言えば性的欲求を解消する為の道具扱いな事が多かった様な気がする。なので、美愛の言うソレは本来の奴隷とはまた違う気がした。詰まる所、彼女の望みが叶う形の【奴隷】を彼女は御所望なのである。

 

「あー……現代人あるあるかぁ……漫画の見過ぎというか……知識が、偏っていると言うか……困るヤツだな?」

 

「ええ、薄い本を見たんでしょうね?男の欲望が詰まった薄い本を……だから、奴隷と言えば性的な奴隷というイメージがあるんだと思われます。例え、本来の奴隷をやらせたとしたら兄が黙っていないでしょうし……」

 

「打算もありかよ……そりゃ、こっちに丸投げしてくるわ……」

 

「まあ、そういう訳なんで一丁頼みますわ……」

 

「了解した。というか、得心が行った。そりゃ、持て余すわ」

 

「決行日は、俺等がまた仕事に出る頃でオナシャス」

 

「わかった。準備はして置こう……はぁ……」

 

ハハハ……いや、本当に申し訳ございません。ウチの幼馴染み達が御迷惑をお掛けします。本来であれば、こんな面倒を引き受けなくても良いハズなのに奴等の後ろ盾になったばかりに……ホント、申し訳ない。とは言え、こちらとしては安心出来る人に丸投げ出来るので快く谷に落とす事が出来る訳ですけど?そんな感じで、美愛の処遇をセイビアさんに丸投げした俺は意気揚々と拠点に戻るのだった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「で、何だコレ……」

 

「ちょっとした、修羅場ってヤツ、かな?」

 

拠点に戻ると、居間では翼と美愛が向かい合ってお茶をしている所だった。ただし、のほほんとした空気では無くピリピリとした緊張感溢れる空気の……お茶会である。ぶっちゃけ、修羅場。

それまで、交わされた会話の内容はわからないけど……この空気からして、ロクなモノでは無いとわかってしまう。いや、もう……マジ勘弁して下さいよ!?なんで、気の休まる場所が失われているんですか!?俺は、疲れて戻って来たのに今度は女の戦いに巻き込まれろと!?うへぇ……。

 

「これはこれは、兄様ではありませんか!」

 

「おお!戻ったか、兄様!!」

 

そして、背後から俺の逃げ道を塞いで来る師範代達がとても晴れやかな笑顔で迫って来る。コレ、全力で俺にこの面倒を押し付けようとしていますよね!?マジ、勘弁願いたいのですが!?

それと同時に、俺へとターゲットを移した美愛と翼があーだこーだと巻き込んで来る。美愛の話は、支離滅裂だったけど……翼の方は、俺が言った事の繰り返しだったので勝敗は翼に傾いた、んだが……それを巻き返す為か、美愛がエ口方面へ行動に出た。俺の腕を取って、胸を押し付けるかの様に腕を抱いたのである。

まあ、慎ましい程度のモノではあったが……それでも、そこそこ柔らかかった?かも知れない。それが、面白く無かったのか……それとも、ライバル?の出現に焦ったのかはわからないけど美愛に対抗して反対側の腕に抱き着く翼。こっちは、圧倒的だった。もう、美愛のソレが気にもならなくなるレベルのモノが押し付けられるのである。

当人に、その気が無くても大ボリュームのソレが押し付けられるだけで俺は有頂天だ。とは言え、それをしている翼が小さく震えてしまっていたので、未だに凄惨な過去が翼を苛んでいるのがわかってしまう。だから、辛いなら止めとけと優しく身体を離し苦笑いして置いた。

 

「辛いなら、無理をしなくても良いんだぞ?」

 

「でも、満男くんが……」

 

「大丈夫。俺の心は、常に翼と共にある。この程度の事で、他に目を向ける事は無いから気にするな。それに、翼の温もりしかわからないよ?」

 

「うわぁ……クッサ!臭い台詞を神崎が吐いているっ!!そして、ナチュラルにペチャパイと罵る神崎がヤバい……」

 

「お前なぁ……聞こえてるぞ?」

 

「聞こえる様に言ってんの!というか、腕大丈夫なの!?」

 

白亜のペチャパイ発言の後、俺の美愛側の腕がキリキリと締め上げられている。ぶっちゃけ、この短時間で腕全体が青黒く変色するくらいには力が入っている様で……面倒臭いなぁ?どうせ、切り落としたとしても生えて来るんだから切り落とすか?そう、斜め上な考えが頭を過ぎった辺で震える翼が美愛の顔を鷲掴みにした。ぶっちゃけ、アイアンクローである。つか、翼の握力でアイアンクローなんてした日には美愛の顔が潰れるんじゃね!?

 

「あ痛たたた!?ちょ、マジで痛いんだけど!?ゴメ、ごめんなさい!調子に乗りました!だから、離して!?」

 

そう、美愛が叫ぶと翼は簡単に離してしまった。

いや、離してOKだった訳だけど……コレ、どういう状況?

 

 

 

 

 




【組織】内では、ほのぼのとした話を書かせて欲しい。

こういう決着は、納得行かないだろうけど……本人が、どうでも良いと思う事を無理やりやらせようとするとこんな感じになってしまう。ぶっちゃけ、気にするのは被害者ではなく加害者だからなぁ。被害者は、サッサと忘れたいのに加害者が気にし過ぎて被害者も忘れられないとか良くある話。この場合は、神崎くんが死んだ後で想いの本懐を遂げたから問題ないとしているけど……殺っちゃった方は、関係ないから罪を償いたいんだよね。でも、当人がどうでも良いと言っちゃうと罪の所在が行き場を失うから困るって話。だからと言って、被害者は必ずしも加害者を罰しなければならない訳じゃ無いから面倒な事になりかねない。
裁判所、とても、大事、って話になるんだよなぁw。

後、トーマの話はオマケ。本当かどうかは……ナイショw

後、『シナリオ有り』は要調整対象となります。
ぶっちゃけ、人間の生涯は基本的に自由であるべきなので…なのに、始まりから終わりまで何パターンのシナリオが作られてあるのは異常なんだと思って下さい。ハッキリ言って、かなり世界のシステムに無茶をさせている状態となるので該当の世界へ赴き世界のシステムを確認して調整が必要なら調整するっていうのが【組織】の常識。なので、話を聞いたセイビア達が動くのも致し方無い事だったりします。因みに、双夜に至っては『シナリオ』持ちが全員死んでから調整者に依頼を出す予定でした。
なぜなら、『シナリオ』持ちが居なくなる前に調整をした場合…高い確率で、『シナリオ』に関係ない人物にまで影響が及ぶ可能性があったからです。下手に、代償・対価が派生する場合は大事になる事が多いから…。例えば?地球の中心にブラックホール?時空断裂?いずれにしても、余りよろしくない結末が待ってます。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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