絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
Re:
パッと見た感じ、まだ人型を保っている様には見える。見えるんだけど……見える範囲内で、穴という穴に色々突き刺さっている触手から体内へと色々注ぎ込まれている様にも見えた。ぶっちゃけて言うと、完全に手遅れの状態ですよね?コレ……助けられるんですか?と疑問に思うレベル。なので、師匠やウォーティさんをチラッと盗み見る。すると、師匠は大丈夫そうだけれどウォーティさんはかなり厳し目な顔付きでトーマを睨み付けていた。
「師匠、どんな感じですか?」
「ん?ああ。こりゃ、殺した方がトーマの為になるかも?」
「私達の都合で、こちら側に引き込んで起きながら殺すのですか!?最悪、正気でなくても助けるべきだと思いますわ」
「まあ、ウォーティはそうだろうね。でも、【始まりの】の奴は問答無用で斬り捨てそうだけれど」
「……………………」
「まあ、コチラとしても後一人は必要だから……斬って捨てちゃっても、構わないよね?それとも、君が主催になるかい?」
「…………不当に扱わないのであれば、私も文句は言いませんわ」
「神崎に白亜とトーマ……良いコンビになると思うけど?」
「え?」
「トーマの苦労が、目に浮かびますわ……」
「えっ、と?」
「それは、真面目な奴の宿命だろう?諦めると良い」
「どういう事!?」
「トーマを僕の方で、面倒を見ると言っている。ただ、一度殺してもう一度転生して貰わねばならないけどね?」
「このまま、【呪い】から切り離せたとしても後遺症は避けられない。なら、【始まりの魔法使い】の加護で魂までは侵食されていない内に殺して再度転生させてしまえば問題でもなんでもありませんわね……」
その場合、寄親は師匠へと変更になり【始まりの魔法使い】からの干渉は極力小さくなるらしい。ただし、魂に掛けられた加護だけが残るので『ヒモ付き』という状態ではあるのだけれど。それ故に、師匠もウォーティさんも引き取りたく無いとのこと。
「ヒモ付きが、そんなに面倒なんですか?」
「「もちろん!!」」
「常時、【始まりの】に居場所が把握されるんだぞ!?」
「例え、アレが実の親である事を百歩譲って認めるとしても……常時、居場所を把握されるのはゴメンこうむりたいですわね!!」
「…………嫌いなんッスか?」
「「大っ嫌い(よ)だ!!」」
「グフッ……」
師匠達のユニゾンに、反応する声が聞こえたので振り返れば、何故か居る【始まりの魔法使い】。それと同時に、胸を押えて跪く様を見る限り娘であるウォーティさんに『嫌い』って言われた事に傷付く父親そのモノであった。なので、誘導尋問をする。
「それは、実親だから嫌いなんですか?それとも、【始まりの】さんがオヤジ臭く「うぐっ!?」キモくて「ガッ!?」ウザいから「ゲヒョ!?」、だから【嫌い】って事?」
「…………む、無念……ガクッ」
調子に乗って、言いたい放題をしてみたら普通に精神ダメージを与えられたらしく【始まりの魔法使い】に膝を着かせる事に成功した?とは言え、何処の家庭?でも父親が嫌われるのは常識な模様。ただ、この人達を『家族』と言い切って良いのかはちょっと疑問に思うけど。まあ、何にせよ【始まりの魔法使い】が嫌われているという事よりもトーマを優先したい所。
「それで、師匠……トーマの状態は、どうなんですか!?」
「肉体の方は……もう、ダメですわね」
「【呪い】に汚染されて、使い物にならなくなっているみたいだな?良くぞ、この短期間でここまで侵食したモノだ……」
「触手を突き刺して、強制的に【呪い】を体内へ送り込んだんだろ?色々、言葉に出来ない様な所に突き刺さっているぜ?」
「……掘られてるとか?ノズル?管?に刺さってるとか?」
「ウォーティ(女性)が居るんだ。余り、下品な事を言ったらセクハラになるぞ?とは言え、BLネタなのは間違いない!!」
「触手、18禁、BLと来たら『オカズ』とか『○りネタ』か?」
「「アウト!おっまわりさーん?」」
何故か、師匠とウォーティさんの動きと言葉がシンクロ?ユニゾン?している。息もピッタリで、一挙一動ズレる事はない。
てか、この二人……なんで、ここまで動きを合わせられるの?どう見ても、完全な別人だよねぇ?なのに、このシンクロ率!!一瞬、コードか何かで繋がっているんじゃないのかと師匠の周辺を探してみたりもした。だが、コード一つ延びていないにも関わらずこのシンクロ具合……精神感応でもしているのだろうか?
「「してない(わ)ぞ?」」
「…………仲、良いッスね?」
「そのクズが、絡んだ時だけだがな?」
「ソレ以外では、中々気が合わないわよ?」
「性質とかは、似ているんだけど……」
「そうね。でも、考え方とか生き方が気に食わないわ。博愛主義者かっ!?て言いたいわね。女の好みが、おかしいと思うわ」
「あぁあん!?殺されたいのか!?」
唐突に、師匠の殺気が膨れ上がる。ちょ、止めて下さいよ!?その人の殺気って、最悪睨まれただけで物理的な死を迎える奴が出るんですからどんなにおかしくても突かないで下さい!!
「はいはい、落ち着け!どうどう……」
「娘の調教くらいしとけ!この事なかれ主義が!!」
「うぇ!?こっちに、飛び火したぁ!?」
「こんなクズに、調教なんてされたくないわよ!?」
「ああ。すまん、言葉を違えた。こんなクズだったから、なるようになっちまったんだったな?コイツが、全ての元凶だったわ」
「ちょ!?おま、言って良い事と悪い事があるんだが!?」
「「なら、問題無い(わ)な!」」
「酷い(泣)」
ホント、【始まりの魔法使い】が絡んだ時だけ仲が良くなるんだな?……恐ろしい限りである。そこまで、ヘイトを稼ぐ【始まりの魔法使い】もだけれど。実親(?)を、扱き下ろす娘も娘である。
「それよりも、サッサと殺っちゃいません?」
「あ?ああ、そうだな。早くしねぇと、魂が侵食されちまう!」
「クズの加護も、万能じゃ無いから早くしないと不味いわ!」
「ホント、酷いんだけど!?」
「辛辣過ぎて、ノーコメントとしか言えない……」
「あら?別に、良いのよ?一緒に罵っても……ふふふ」
「ああ……何故、こんな娘に成長してしまったんだ……」
そう言って、微笑む娘の背後で嘆く父親が居るんだけど?どうしろと!?でも、一言だけ言えるならば『自業自得』じゃね?
―――断罪の焔よ…最後の救いを与え給え!!
おバカな事を考えていると、師匠がそんな呟きと共に蒼白い焔に身を包む。そして、何処からとも無く取り出した刀で一閃!刃を閃かせば、トーマの肉体が白い物質に変化し崩れて行く。それを見送って、師匠の方へ一歩進み出そうとしたら二人掛かりで止められた。なんでも、あの蒼白い焔には《神殺し》でも触れてはならないとのこと。アレは、全ての物質を塩に変える焔なんだと。
「【塩】、ですか。そう言えば、何かの書物で神罰を食らった馬鹿が【塩】になるとか書いてあった様な気が……なんだったか?」
直ぐに、思い当たるのは『不思議な海○ナデ○ア』くらいだけど?似た様な話を、別の何かで見た様な記憶がある。まあ、うろ覚えでハッキリとした記憶じゃ無いけど?【神々】を題材にしたモノだったハズだ。んー……なんだったかなぁ?
「それじゃぁ、トーマの魂は僕が貰って行くからな?」
「駄目だ!と言っても盗るんだろう?」
「放置してた奴が、何言ってやがる!?何なら、お宅の娘さんに預けても構わないんだぜ?」
「あ?俺の娘に、不良債権を押し付けるつもりか!?」
「不良債権って、自分勝手過ぎやしませんか!?」
「クズの言う事よ。気にしてたら、ロクな事にならないわ!」
「……酷い(泣)。君等、俺に辛辣過ぎやしませんか!?」
「「自業自得(よ)だろう!?」」
「兎に角、貰って行くからな!!」
「へいへい、勝手にしやがれってんだ!ぐふっ!?」
自暴自棄になった所を、ウォーティさんに殴られて沈む【始まりの魔法使い】。マジで、クズなんだな……と、思える暴虐ップリである。つーか、不良債権って言って良い事と悪い事がありますよね?コイツ、マジで《旧・神族》と同類なんじゃないですか?
「何故だろう……とても、軽蔑されている気がする……」
「そりゃ、軽蔑されて当たり前な話だろう?」
「むしろ、軽蔑されない理由がないわ!諦めなさい」
「トーマの転生後を鑑みれば、普通に支援者が『クズ』ですもんね?そりゃ、周囲から軽蔑されても致し方無いかと……」
「……新人にまで、見下される、だと!?」
「見下していませんよ?というか、そもそも俺【組織】に所属した記憶ありませんから。一応、今回の出向で資格の幾つかを得ましたがその中にも【組織】入隊の試験等はありませんでしたよ?」
「え?……ちょ、双夜!?この子、どうなってんの!?」
「あ。神崎は、インスタント・ソウルの実験体で【組織】の隊員じゃ無いぞ?一応、転生被害者に該当するので【組織】で“保護”した事になってるがソレだけだし?」
「あら?それじゃ、【組織】施設を使う権利はあっても命令や依頼を受ける事は出来ないんじゃ無くて?」
「アルバイトは、出来るけどなw」
「ある意味、ルールの内にある抜け穴ね。良かったわね?また、恐ろしい“抜け穴”が見付かったわよ?残業、御苦労様ですわ」
「別に、このままでも良いんじゃ無いかなぁ?ほら、新人発掘には丁度良いかと思うぞ?ただ、倫理感に抵触するだけで……」
「ちょ、お、おま、お前等ァ!?」
どうやら、師匠は【組織】にあるルールの“穴”を突いて俺を育てていたらしい。その『抜け穴』は、部外者でも《旧・神族》の被害者であれば【組織】で《神殺し》の教育や施設を使えるっていう権利がある模様。しかも、【始まりの魔法使い】に黙っていた当たり減るそれ自体が師匠の悪戯に近いモノだった。
即ち、嫌がらせである。
「被害者保護法の抜け穴だな。だが、この抜け穴を塞ぐと面倒が発生するから時間が掛かるぞ?それこそ、百年や千年では足りないくらいにw……つか、塞げねぇからな?クックックッ……」
「塞げないんですか?」
「…………そう、ね。被害者保護法って事は、救済処置法に問題が出るんじゃ無いかしら?……あ!出る。出るわ!!大問題になる法があるわ!?マスコミが、大喜びしそうよ!?」
どうやら、致命的な“穴”があるらしい。というか、教育や施設が使えなくなると発生する問題とは?まあ、道徳的に被害者が教育や施設を使えなくなるのは問題にしか見えないけど。つか、リハビリとか出来なくなるのは駄目なんじゃ無いかな?
「嘘だろぉ……おま、マジでロクな事しやがらねぇなぁ!?」
「にゃはは。抜け穴、見付けてやったのに酷い言い草だw」
「というか、被害者が社会に復帰する為に必要とする教育やリハビリに必要な施設を使えなくしたら道徳的にヤバいんじゃ……」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………」
ヤベェ。【始まりの魔法使い】が、頭を抱えて発狂を始めてしまった。思わず、部外者である俺がトドメを刺してしまう。それに伴い、師匠とウォーティさんからGJを頂いてしまったが……大丈夫なのだろうか?つか、『被害者なら』どんな教育も受けられるってのはどうなんでしょう?最悪、大問題を覚悟で塞ぐか……教育と施設の制限程度に収まるんじゃ無いかなぁ?
「所がどっこい、制限も掛けられないんだなぁ!これが!!」
「保護法とは別に、教育に関する法もありまして……被害者達には、十分以上な教育を与え自由な感性を育てる意義が与えられてますわ。まあ、生まれる前から玩具だった方もいらっしゃいますから仕方がないんですけど……」
「詰まる所、制限も出来ないと?もう、放置するしか無いのでは?ほら、何事もホドホドにって言いますし……」
「メスを入れるとしても、問題の定義を完全に決めてからって事になるのか……だが、ワザと被害者に仕立てるとか【真実の瞳】でも判別出来ない微妙な所を突きやがって!!」
「にゃはは。被害者を出した奴が、別の意義を持ち出せばスルーされるからなぁ?【真実の瞳】万能説、敗れたり!!」
そう、言いながらトーマの肉体から溢れ落ちた光を拾い上げる師匠。多分、あの弱々しい光の球がトーマの魂なのだろう。つか、魂って目に視えるモノだっけか?なんで、視えるんでしょう!?
「不思議か?まあ、本来なら視えるモンじゃねぇからなぁ?」
「…………ああ。魂の話か……そりゃ、ここには俺やウォーティに双夜が居るんだ。視えないモノも、視える様になるさ……」
「三人が三人共、【真実の瞳】保有者ですからね。これだけ揃えば、その影響は周囲にも及びますわ」
「つまり、師匠達が居るから視えるって事ッスね?了解ッス!」
「とりあえず、トーマは回収したからな……戻るとするか?」
「じゃ、ここは消滅させても良いんだな?」
「…………これだから、脳筋は……」
「先に出ますわ。お急ぎになって!」
そう言ったウォーティさんが、何故か俺の肩を掴んで転移する。有無を言わせない行為に、俺が何かを言える訳が無く一瞬で見える風景が宇宙空間に変わり目の前に巨大な戦艦が現れる。すると、次の瞬間にはその巨大戦艦が内側から膨張する様に弾けた。いや、うん…それが、【始まりの魔法使い】のやった事なのはわかりますが中にはまだ師匠が残っていたハズなんですけど!?例え、無事だとわかっていても心配になるのが俺なので思わずウォーティさんに視線を向けてしまいました。
「大丈夫ですわ。むしろ、あのクズの命があるかどうか……」
「あ、そっち?」
「あの蒼白い焔は、中々消えるモノではありませんからね?今頃、『塩』になっているかも知れませんよ?」
「それなら、万々歳なんじゃない?」
「あらあら、ふふふ……」
色んな方面で、色んな人々が喜ぶと思うんだけれど?それはそうとして、やっぱり生きて出て来た二人を見て少しホッとする。デスヨネー!早々、あの二人が簡単にどうにかなるなんて有り得ないデスヨネ!俺、知ってた!心配するだけ無駄だって事を!!
「とりあえず、師匠達が無事だったんで戻ります。アレ?……ウチの【船】知りません?どっかに突き刺さっていたハズなんですが?今の爆発で、どっか飛んで行ったかな?」
とりあえず、見える範囲内にウチの【船】は存在しない。
まさかとは思うけど、出て来た場所の反対側だったのかな?
いずれにしろ、その場合は目の前にあるデブリ帯を抜けて行かないとイケなくなる。あの【呪い】が、物質化して触手となり蠢く中を突き抜けて……え?この中を突き抜けろ、と!?
「うぉ!?って、《ダーティ・ニーズ》!!重力を操って、この【呪い】の塊から離れろ!!」
「……へぇ。ちゃんと、使い方がわかっているのね?」
「体感で教えられましたから……」
「ああ。ポアンに教えられたのね?御苦労様〜」
一瞬、『ポアン』って誰だ!?と思ったけど、直ぐにあの最強の女剣士さんだとわかったのでスルーする。というか、あの人の名前って覚え難いんだよなぁ?えっと、何だったっけ?ポアン、なんたらかんたら……うん、わからん。覚えとらん。そんな感じで、首を傾げたりしていたからかウォーティさんが教えてくれる。
「ポアン・レイグ・アグレイよ。まあ、そこは相性もあるから致し方無いんでしょうけどね?覚えられない子は、ずっと覚えられないから……まあ、ワザと覚えない子もいるけど……」
そう言いながら、遠くを見る様な目であらぬ方向を見るウォーティさん。それって、誰の事を仰っておられるんですかねぇ?俺には、全然わからないなぁ……予想は付くけど。いや、ホントにハッキリ言って貰わないと確信は持てないッスよ!?
ある程度、巨大戦艦から離れると今度はどっかから飛んで来る砲撃に曝される様になった。大まかなモノは、ウォーティさんが弾いてくれるけど……生きた心地はしない。つか、極太のビームが目の前を通り過ぎて行くんですが!?
ひぇっ!?
「大丈夫、大丈夫。当たっても、それ程痛くは無いから……」
「当たるの前提で、おかしな事を言わないでくれませんかね!?」
「大丈夫よ。そもそも、貴方って不老不死なんでしょう?」
「いや、それでも痛いモノは痛いですから!」
「……《痛覚耐性》が、あるのに?痛いの?」
「それはそれ、これはこれです!!」
つか、この人も他の《神殺し》達と変わらないのかよ!?クソォ!外見は、翼と同じく女神なのに頭の中が脳筋じゃねぇか!!《神殺し》ってのは、どいつもこいつも脳みそが筋肉で出来ていやがるのかよ!?そんな事を考えていると、背後から物凄い殺気が溢れ出して来た。『あ、ヤベ』と思った束の間、白い閃光が視界を焼いて来る。『死んだわ』と覚悟を決めた瞬間、剣戟の音が鳴り響き目を開けると師匠の背中が見えて……ホッとした。
「何をやっている!?」
「私、脳筋じゃないわ!!」
「…………あー、またか。そう思われたく無くば、言動には気を付けろと言っているだろう?そんなんだから、嫁の貰い手が居ないんだ。……もしくは、あのクズの娘だと言われるんだ」
「どっちも、酷い言葉だわ!?」
「もしかして、ウォーティさんって…一言多い、とか…お喋り、とか言われてません?なんとなく、残念美人とか言われてそう」
「残念美人!言われてやんのw」
「うっさいわよ!別に、残念美人なんて言われてませんわ!!」
「そっかー。周りが、気を利かしてくれるんッスね?」
「貴方も、双夜と一緒で酷い言い様ね!?」
「いや、だって……黙っていたって、自己完結するだけじゃないですか?なら、反論しないと面倒臭いんだもの……」
「まあ……彼処は、そういう場所だしな?」
まあ、黙っていても人の考えている事を予測して自己完結した挙げ句にキレるとか良くある話だし?ホント、面倒臭い。師匠も師匠で、そういう場所だと納得しているから始末に置けない。そもそも、人の考えている事は予測できるモノじゃ無いんだよ!?
「【真実の瞳】って、便利だわ……」
「……え?【真実の瞳】?思考予測じゃ無くて?」
「もちろん!当たり前じゃない……そこの麒麟児なら兎も角、私達みたいな脳みそまで筋肉で出来ている様な者が思考予測なんて出来るハズが無いでしょう?」
ウォーティさんの話が、余りにもアレだったので思わず師匠に視線を投げ掛ける。師匠は、スィッと視線を逸してこちらを見ない。
ちょっと、どういう事だってばよ!?思考予測が、【真実の瞳】経由だなんて一言も教えられて無いッスよ!?
「…………もしかして、思考予測の訓練とか受けた?それ、多分思考誘導とか視線誘導関連の訓練よ?」
俗に、『ミスディレクション』とかいう誘導系の技術ですよね?知ってます。でも、まさかそんな訓練に繋がるとか思っても見なかった。ちょっと、師匠ぉ!?何、恐ろしいモノを教えようとしてるんですか!?そう言うのは、ちゃんと言って貰わないと困ります。いつの間にか、できる様になって後から指摘されるとかマジ勘弁して欲しいんですが!?いや、もう、マジで止めて……。
「便利なのに……」
「便利なのはわかりますが、本人に内緒で教え込もうとしないで下さいよ。知らぬ間に出来る様になってるとか怖過ぎでしょう?」
「後で、絶対重宝する技術だぞ?便利な上に、言う事を聞いて欲しい相手にゴリ押し出来る様になるんだぞ?」
「ええい!変な勧誘をするんじゃ無い!!」
そりゃ、便利かも知れませんけど。後から、指摘される方の身にもなって下さいと言っているんだよ!?まあ、師匠ならわかっているとは思いますが……それはそれで、新たな火種になるので勘弁して下さい!必要なモノは、言ってから習得させて下さい。それをこの人は、俺の無知ップリに付け込んで変な技術を仕込もうとする。
なので、最近は警戒する様にしているんだが……それでも、意図不明な技術を師範代経由で仕込もうとして来るので止めて欲しい。そりゃ、便利な事は認めますよ?でも、後になってセイビアさんとかに指摘されてから驚く者の身にもなって下さい。マジで、習得したつもりの無い技術を持ってるんだな?と指摘された時とか気不味くて肩身が狭くなる。つか、そもそもなんでそんな技術をコッソリ仕込もうとするんですか!?
悪戯じゃ、済まないレベルですよ!?
「交渉とか、必要技術なんだけどなぁ?ほら、世界に入れて貰う時とか世界と交渉する事があるから必須項目なんだよ?」
「なら、それをちゃんと説明してから訓練に入って下さい!!何もわからないまま、そんな訓練を仕込まれると不安になります」
自分が、何を目標にさせられているのか……とか、わからないままだと不安でしか無い。なので、事前に申告するだけで良いから言葉で告げて欲しいのだ。難しい事を言っているつもりは無いんだけれど……何故、首を傾げたりしているんですかねぇ!?
「まあ、善処はしよう。テオルグや、ラヴォルフ経由で構わないんだな?僕が直接言わなくても……(含み有り気)」
「…………何ですか!?その政治家みたいな発言は!?」
それ、絶対改善しないパターンじゃないですか!?
やっぱり、悪戯感覚で俺に厄介な技術を仕込んでいやがったな!?
「やっぱり!悪戯だったんじゃないですか!?」
「…………その、趣味と実益を兼ね揃えているってだけだ。断じて、遊び半分でやって居る訳ではない!!」
「技術を師範代経由で、教えてくれるのは嬉しい事ではありますが……悪戯的な鍛錬は、拒否、させていただきますね?」
そう言って、ソッポを向けば慌てた風の師匠が俺の肉体をプスプス(ツンツン)指を刺して来る。いや、普通に痛いんですが!?
てか、指先一つで、こんなにも人体に刺さるのかと思うくらい指がメリ込んでいる様な?って、師匠の力でプスプスされたら普通に人体破壊されますよね!?手加減されてはいるみたいですが……コレって、ヤバい状況なのでは?というか、何故俺の肉体は突き破られないのでしょうか!?師匠の力なら、簡単にサクッと行きますよね!?なのに、普通にツンツンってレベルでもないけどツンツンされているんですが!?何コレ!?
「こういう時って、なんて言えば良いんだ?」
「拗ねるなよぉ……とか、照れちゃってぇ……ですかねぇ?」
「言わん!てか、痛いですって!!」
トーマを救出する話のハズだったんだけどなぁ…まあ、始まりの魔法使いとウォーティが絡んだ以上この程度で済んで良かった…というべきか?悩み所だな。下手をすれば、もっと酷い事になってたハズだから控え目に纏まってラッキー!と言った所だろう。いや、マジで!でも、トーマ救出に三話も使ったから十分と言えるのだろうか?謎だ。
とりあえず、これでトーマが合流します。以降、ずっと居る事になるだろうから苦労人がまた増えるよ!やったね!って感じになるかと…破天荒を神崎にするか白亜にするかで悩んではいますが…トーマは、真面目な性格(設定上)とあるので苦労人になる事は宿命なのだよ。基本、苦労人は真面目な奴が背負うのが通例だからwお疲れ様デース!!
トラブルを起こす奴…基本、セイビアみたいなの。
破天荒な奴…セイビアのグループでなら飛龍が該当。
纏め役というか苦労人…セイビアのグループでなら愁。
という感じで、起承転結を行うのが作者の癖?になります。セイビアのグループなら、セイビアが問題を押し付けられる?もしくは、拾って来る?で、事件が起こり飛龍か引っ掻き回して愁とセイビアが解決します。
なので、事件を拾うもしくは起きている所へ突撃。
即ち、『起』に該当する場所へ行きます。そして、白亜(神崎)がそれを認識?『承』任する役割で白亜(神崎)が引っ掻き回す『転』をやって最後にトーマが『結』を担当?って事になるのかな?つか、トーマが『結』を担当?無理じゃねぇ?双夜が『結』でしょう?
そして、最後まで【始まりの魔法使い】が着いて来た理由が不明というオチに誰も彼もがガッカリしている事でしょう。まあ、読んでればわかる話でも無いですからね。じゃ、なんで連れて来たんだよ!?って話になるんだけれど…アレでも、人の親なんだよなぁ。しかも、過保護と来たもんだ。《旧・神族》の所へ行くとなれば、その実力から負けない囚われないとわかっていても来ちゃうのがアレである。更に言えば、世界の【内側】に入らないのであれば十中八九付いて来るんだぜ?後、一割か一分くらいはトーマが心配だったんじゃねぇ?様子見か、何かだと思われる。俗に、暇潰しかも?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
悪役令嬢モノ多くなって来ましたね?
でも、定番化し始めているのでもっと斜め遥か上な解決方法とか出て来ないかなぁ?例えば、婚約破棄したら発動する呪い?的なヤツ。だって、ヒロインが悪役令嬢をざまぁするか悪役令嬢がヒロインをざまぁするか悪役令嬢とヒロインが浮気者をざまぁするかだけじゃ無いですか。試合の放棄とか、逃げ出しとか改変とか…。
そこでフと思っちゃった訳ですよ。これまでは、その3人の中だけで事を終わらせていましたが…そもそも、これってヒロインと悪役令嬢と王子様だけの話じゃ無いんですよねwそう!他にも、見目麗しいイケメン達が居る訳ですよ!なので、右斜め遥か上な解決法を思い付いてしまいました!
婚約破棄された翌日くらいから、イケメン達の人格をオカマやオネェに変えれば良いじゃん!と。そして、BL展開でイケメン同士でイチャイチャして貰えば多くの女性達に新たな扉を開かせる事が出来て万々歳!!お仕置きも兼ねるから、悪役令嬢やヒロイン達も何も言って来ないと思われる。どうせ、ヒロインに至っては妃教育で王子様達と関われないんだから問題ないよね?悪役令嬢は、修道院行きとかで居ないし?最悪、処刑されているかも知れないからそれを見る事も無い。ほら、誰も傷付かないイチャこらが見られる様になる訳ですよ!しかも、周囲に気が付かれる事もありません。学院や学び舎だったら、立つ噂にでもなったんでしょうが…基本的に、卒業式でやらかす訳じゃないんだから醜聞が広がる事も無い。まあ、稀に遭遇した家臣(御婦人)が倒れるくらいで大きな被害も無い!!
それで、扉を開くなら最初から素養があったって話だし?イケると思うんだけどなぁ?敢えて、傷付く人が居るとすれば…見目麗しい男達がワンチャンあったりするけど【呪】われている間はそれが『おかしい事』だと認識出来ない様にして置けば良い。最終的にダメージを負う事になろうとも、自業自得って事でw。
布教しようぜ!BL!濃ゆいのは駄目だけど、緩いのなら大丈夫な俺がオススメします。
因みに、作者はノーマルですぜ?腐った男子では無い。
でも、BLを使った悪戯は楽しいと思える人ではある。
エロ本だと思って、内容を読み始めてそれがBLだと理解しペイッと捨てて避け始める瞬間を見るのが作者をは好きです!!
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。