絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

492 / 592
三七六話

Re:

 

 

時空の狭間/【船】内。

 

「という訳で、トーマが我等のチームに入る事となりました!仲良くするよーに!という訳で、僕は用事が……」

 

それだけ告げた師匠は、なんやかんや言い訳をして去って行った。その後を、すずか達が追い駆けて行ったけど《妖精転移》で巻く師匠。邪険にするくらいなら、最初から【紫天の書】から出さなきゃ良いのになんて律儀な。

まあ、そのお陰で白亜と翼も居たりする。白亜の馬鹿は、結局【紫天の書】入りを果たした模様。

契約内容は、知らないけど……俺の心配を他所に、目の前で楽しそうに翼と話をしている。コイツ、マジで殺してやろうかしらん?見た目は、イリヤスフィールの大人バージョン。もしくは、母親の方かな?中身は、師匠によって浄化された挙げ句に変態共に追い回され現実を理解できる様にはなったものの夢見がち。ただ、玉の輿だとかイケメン云々とかは言わないので女性としてはベクトルが違う夢見がちだけどな?そうだな……TS転生した元男が、魔法少女になって楽しんでいる様な感じだ。見た目は、極上な美少女。中身は、男的な感性を持った中性体…というのも、本人が男とイチャ付くのは難しいけど出来なくは無いと断言してしまったからである。第一世界で、師匠に浄化された後ずっと女として生きて来た源蔵はものの見事に女性的感性をGETしてしまったらしい。まあ、生前より長い間ずっと女性としての人生を過ごして来たんだ。

そりゃ、変わってしまっても致し方無いと言うモノ。

ハッキリ言うとだな?半分以上が、女性としての意識へと変わってしまったという。なので、俺に腕を絡めたとしても忌避的な感情は湧き上がらず……見た目が良い、俺の外見にちょっと嬉しくなるとか言われて俺の方が右往左往したわ!思わず、『勘弁して下さい』と俺の方が土下座して離れて貰った。転生とは、なんて恐ろしい奇跡なのだろうか……嘗ての男友達が、女性へと変わって行く様を見せられるという事がこれ程までに恐ろしい事となろうとは思いもしなかった。てか、そもそも女性化はお仕置きのハズだっただろう!?何、馴染んでいるんだよ!?

等と、ツッコミ三昧したい所なのだが……でも、それをやると俺の暗黒無双歴史を指摘された挙げ句にどこの誰が作ったかもわからんアイドル風動画よろしく可愛らしい振り付けで踊りだすので沈黙せざるを得ない。というか、普通に痛み分けとなりかねない。まあ、【組織・本部】に居た間に白亜とはちょっとばかり馬鹿をやり過ぎたので、これ以上キズを広げる様な行為はしたく無い。

 

「お前が、あんな馬鹿をやらなかったら俺があんな事をする事も無かっただろうに……滅びろ!お、カマーン野朗が!!」

 

「あ゛あ゛ん!?喧嘩売ってるの?何なら、買うよぉ?」

 

唐突に、キレッキレな不良みたいに奇麗な顔を歪めて睨み付けて来る白亜。その見た目で、ガン飛ばして来るとかマジ有り得ないんですけど!?というか、そんな顔どこで覚えて来たよ?

 

「お?お?殺るか?殺るのか?ん゛ん゛ん!?」

 

サクッと、《ダーティ・ニーズ》を宝物庫から取り出して見せると何故かとても嫌な顔を見せる白亜。まあ、コレを使った勝負を何度かやらしているからこの後の流れも予測出来たんだと思われる。というか、誰だって強制的な悪夢の再現なんてされたくも無い。しかも、そこに師匠が居たら最悪二人で暗黒歴史を立ち上げる事になりかねない。

てか、既に俺も白亜もやらかし済みだ。

その場に、師匠が居たばっかりに『英霊エ○ヤ』の姿でフリフリの衣装を身に着けさせられて、アイドルよろしく可愛らしい振り付けを強制的に踊らされた同士である。

正に、痛み分けだった。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「とりあえず、落ち着こうか?」

 

「そう、ね。落ち着きましょう……」

 

俺と白亜が、睨み合っていると師範代がそそくさとカメラを三脚にセットする様子が見えて、俺も白亜もそういう気分では無くなってしまった。例え、この様子を報告されたとしても後からお仕置きと称してあの悪夢を再現される可能性は低い。低いけれども、ゼロでは無いので俺も白亜もソレを警戒して振り上げた手を下ろす。それと同時に、手を振り上げた事を謝罪をして先程の失言を取り下げる事とする。俺もアイツも、こんなくだらない事で暗黒歴史をそう何度も安々と作る気は無い。

 

「てか、お前……【紫天の書】に取り込まれたのか?」

 

「ん?まさか、そんな訳無いでしょう?てか、アレがあんな内容だなんて思ってもみなかったわよ」

 

おや?どうやら、白亜は【紫天の書】に取り込まれたのでは無い様だ。つか、『あんな内容』とはどういうモノなのかが気になる。しかし、今はもっと聞くべき事柄があったのでスルーした。

 

「なら、どうやってここに居る権利を得たんだ!?」

 

「普通に、拝み倒して《神殺し》に転生させて貰ったわ……」

 

「…………え?《神殺し》に転生させて貰ったのか!?所属は……異端児派だとして、種族は!?」

 

「もちろん!神崎と同じ、第二戦鬼っていう戦闘系の《神殺し》に転生したわよ?だから、これからもよろしくね?先輩」

 

「そ、そうか……第二戦鬼に、転生したのか……」

 

言って、俺はソファーに身を沈めた。という事は、白亜、トーマの共に【第二戦鬼】に転生したという事になる訳だ。可哀想に……【隠鬼】に転生していれば、安穏と過ごせただろうに【戦鬼】になっちまったのか。そうなると……そうか。アレをもう一度やる事になる訳ですね?

当然、【戦鬼】の師範代は俺と同じテオルグさんとラヴォルフさんだから俺が受けて来たアレをコイツ等も受ける事になる訳だ。そっか、そっか!なら、俺が突っ掛かる必要も無ければ文句も言う必要は無いよな!うん、うん。

俺達は、一蓮托生だ。

一緒に、あの絶望を体験しようじゃないかw!!

 

「という事は、戦闘訓練や実戦式鍛錬をお前等も受けるんだよな?ようこそ!修羅の世界へ。俺と共に、三途の川を渡ろうじゃないか!!大丈夫。一度渡ってしまえば、二度三度渡る事になっても度胸は付くから何の問題もないよ?」

 

「え゛!?修羅の世界!?ちょ、ちょっと待って!修羅の世界って何!?神崎、貴方……一体、どんな鍛錬をして来たの!?」

 

そりゃぁ、ちょっとばかし人間性を失うレベルの鍛錬をさせられましたけど?ええ。というか、人間である事を止めろとか言われましたよ?まあ、既に《神殺し》という種族?なので人間ではありませんが……何せ、正規の方法で成った訳では無いからやりたい放題(訓練)のしたい放題(鍛錬)されてますね?後で聞いた所、《神殺し》という種族は無く【戦鬼】というのが種族名だと教えられた。

まさか、《神殺し》が【鬼】にまつわる種族だったとは知りもしなかったよ。てか、角とか無いんですけど!?

まあ、そこら辺の詳しい話はいずれまたするとして……今は、白亜への説明である。というか、決定事項?逃れられない運命?

 

「とりあえず、【戦鬼】に転生しちゃった今……座学と訓練と鍛錬からは逃げられないから。何なら、逃げても良いけど相手は師範代達だから頑張ってね?そして、トーマ。自分は、関係ないと思ってるみたいだけど【隠鬼】と【戦鬼】では必要とされる戦闘力が違うから再教育確定なんだなぁ……」

 

「ちょ、あ、いや!それなら過去の俺を回収して来て下さいよ!そうすれば、再教育と言わず内容が変化するだけのハズなんで!」

 

「残念ながら、それは無理な話かと思われます」

 

何とか、地獄から逃れ様と足掻くトーマをバッサリ切り捨てたリリィ(ラヴォルフ)。理由を聞けば、既に現代トーマの処遇はそのままにされていて近く放置される事が決定したという。即ち、今更目の前に居る未来トーマを変革させる気は無いとのこと。乙。

 

「そんなぁ!過去の俺をこっちに連れて来て、教育するだけの話ッスよね!?それが、なんで放置なんて話になるんですか!?」

 

「そりゃぁ、知識的な問題だろ?ぶっちゃけ、【組織】で使われる器具関連やその他の書類作成の知識がある奴を白痴に戻す馬鹿は居ない。そっち方面で、部外者の俺達をフォローしろって事?ですよねー?師範代……」

 

「兄様の言う通りだ。知識面だけでなら、お主は兄様を遥かに上回っておる。なれば、それを活用して当たり前であろう?」

 

「兄様方は、戦闘面では優でておられますが【組織】関連となると初心者に毛が生えた程度です。なので、諦めて下さい」

 

「そう言えば、端末の使い方も覚束無かった様な?」

 

そんな訳で、現代のトーマは【隠鬼】としての修行を続行となった。その上で、今度は【戦鬼】としての鍛錬が課せられる。まあ、それで無くても、《堕ち神》に負ける程度の能力しか無いので再教育を受ける事になるのは避けられなかったんだけど。

なにはともあれ、現在トーマが出来るとされている技能の確認と知識のすり合わせが行われた。結果、座学は免除。午後からの鍛錬だけを受ける事になる。つまり、俺と組み手をする事に。

 

「とりあえず、軽く組み手でもするか?」

 

「あー、そうですね。俺も、自分がどこまで出来るのかわからないんでお願いしたい所です」

 

「じゃ、外で……って、そう言えば【船】に乗っていたんだっけ?師範代、ちょっと体を動かせる所って無いッスか?」

 

「あると思いますよ?てか、コレって魎○鬼タイプの【船】ですよね?流石にユニットは、付いて無いとは思いますが…トレーニングルームは、付いているハズです」

 

「…………そう言えば、俺ってばこの【船】の事なんも知らねぇや。つか、内部を見た事も無かったっけ……」

 

「アハハハ……本当に、戦闘面以外の知識が無いのか……」

 

眼の前で、乾いた笑いをするトーマにどうした物かと視線を巡らせる。と言いますか、多分コアユニット云々もネタだと思ってた。

だって、アニメ技術ッスよ!?チートアニメの代表格である【天地○用】の摩訶不思議技術ッスよ!?再現出来るハズが無いじゃ無いですか!そりゃ、師匠と【鮮血の】さんが心血を注いだとは聞いていますが……ありとあらゆるフィールド特性を持つ【光○翼】が、再現できるとか有り得ない話じゃ無いですか!!俺は、その話を聞いた時に眉唾程度のモノだと思ってましたよ!?

 

 

 

…………移動中…………。

 

 

 

 

「そう、思っていた事がありました……」

 

「あー…うん。多分、俺もこの目で見るまではそんな感じだったよ……だって、信じられないもんなぁ……(遠い目)」

 

唐突に、訳のわからない事を呟いた俺にトーマが苦笑いを溢す。つーか、今、正に!目の前に、広がる広大な大地を前に俺は現実逃避に近い感想を言う。

 

「ありえないだろ!?こんなモン!!」

 

「わかる。超、わかる!普通に、信じられないよな?」

 

「そりゃ、格納庫は見た事があるぜ?どっかのL級戦艦が並んでいたもん。ちょぉーっと、サイズ的に良く収まったなぁって思ったけれど!でも、アイテムBOXの技術があれば出来ると思ってた!!でも、これは……マジかぁ……」

 

チート技術が、目の前にデデン!!と広がっているのを見せられて何時までも否定し続ける言は難しい。というか、歩きじゃ時間が足りないとシャトルで一周して来たので間違いなく【船】の中だと思われる。途中、別の惑星に転移したんじゃ無いかと調べてみたりもしたんだけれど……転移用の出入り口を使わなくても艦橋に行けたので間違いなく本物だ。そうか、あの摩訶不思議なチート技術を再現されましたか?ハハハ。あの人の頭の中は、どうなっているんでしょうね?一度、かち割っても良いのかな?

 

「かち割ったとしても、ピンク色の奇麗な贓物が入っているだけですよ?ええ、以前Masterがかち割っておられましたので確かです。その時は、もう一人犠牲者が居ましたが……はて、誰だったのやら?」

 

「飛龍だの。散財の理由がわからず、精神構造にも歪みが無かった故、凶行に及んで頭をかち割ったんじゃ……」

 

「他にも、頭をかち割られた方が居ますから奇異でた行動は慎む事をオススメします。ええ、下手は打たないでくださいね?」

 

【組織】には、その行動の理屈が不明で頭をかち割られた人々が居るらしい。しかも、変な行動を続けると似た様な目に遭うとのこと。全く、あの人達はフットワークが軽いと言うか……殺意が高過ぎるというか?行動が速くて酷すぎる。チラッと、トーマ達に視線を向けると気が付いた白亜がドン引きしていた。

 

「殺らないぞ?というか、頭をかち割ったら中身とか見られないだろう?スプラッタなだけじゃないか……」

 

「ちょ、『殺るのか!?』くらい言わせてよ!?」

 

「言わせた所で、何も変わらないだろう?時間の無駄だ」

 

そろそろ、説明も終わった事だし鍛錬の時間も差し迫っていたので談笑を切り上げる。ただ、白亜達に取っては最後の砦的な時間なので出来るだけ引き延ばしたいのはわかるんだけれど……マジ、時間の無駄だ。ほら、師範代達が『鍛錬の時間ですよ』とトーマと白亜の首根っこを掴んで広場の方へ連れて行く。俺は、逃げても意味が無いとわかっているのでその後に続――と見せ掛けてぇ!!逃げるなんてしねぇよ。体力の無駄である。ただ、疲れ果てて捕まり更に鍛錬とか……苦しいだけでしか無い。

 

「行くぜ!《神速》ぅ……グベェ!?」

 

「はいはい、やると思ったよ。そして、置いておいた拳に自ら当たりに来てくれてどうもありがとう。そう言うのは良いから、基本的な技術の方を魅せてくれないかな?」

 

向かい合い、師範代の掛け声で始まった組み手はトーマの自爆で決着と相成った。つか、《神速》を相手も使える場合はフェイントを入れないと即対応されるんだぜ?

まあ、《神速》状態でフェイントを入れるのは中々に至難の業だけどな?その後も、二度三度と自爆してくれたトーマは普通に雑魚でしか無かった。

 

「こりゃ、逃げる事を前提に鍛えられているみたいだな?」

 

「まあ、【隠鬼】ですからね。諜報が主体ならば、そうなるのも頷けます。ただ、本人の資質上どこが隠密なのかは不明ですが…」

 

堂々と、現れてましたからね。隠密なれば、隠れ潜みその絶え間なる忍耐力で情報のみを集諜するのが間諜だと思われる。のだが、トーマに至っては完全に俺達の前に転がり出て来てましたから。

 

「所詮は、勘違い系の主人公……ですかねぇ?」

 

「主人公と言いますか……性格上、無理では?」

 

「勘違い系の主人公ですら無かったか……そう言えば、最終的にコイツが辿った人生って種u……お疲れ様です」

 

ウチの師匠が、とても御迷惑をお掛けしております。でも、工口ゲー主人公な人生だったんですからウハウハで楽しかったでしょう?そう、考えると娯楽転生者羨望の存在と言えるかも知れない。

 

「現状、唯一ハーレムを完遂した転生者ですね?氏ねよ、リア充」

 

「ちょ、アレをハーレムだと言わないでくれ!!」

 

「二人も美少女を手にして置きながらハーレムではないと?ふざけやがって!舐めてんのかこの野郎!!」

 

とりあえず、お仕置きとして全力の一撃を入れて置いた。その直後、全力の一撃を入れた事を後悔。いやー、生臭くグロ過ぎるスプラッタな光景はある意味凄まじい衝撃だった。つか、木端微塵にした後…漂って来た生臭さに撃沈。そう言えば、《グロ耐性》無かったわ。《腐臭耐性》も、な。清楚で、潔癖な現代っ子です。

 

「それで、白亜の方はどうですか?」

 

「そうですね……体力は無い。腕力や握力は、人間の平均値。まあ、少女よりかは幾分マシですけど……完全な術師タイプでしょうか?なので、先ずは体力作りから始める予定です」

 

「並行して、リンカーコアをつかわぬ魔法や魔術に術式を教えて行けたら良い所かのぉ?まあ、やってみん事にはわからぬ」

 

「どっちも、落第って事ですか?基礎訓練から、って事ですね?」

 

「「落第……」」

 

いや、別に《神殺し》の落第生という話じゃ無いよ?ただ、【戦鬼】としては微妙なので基礎訓練から入って行くだけで……なんにせよ、二人は【戦鬼】としての体力を身に付けて行く事となる。

 

「じゃぁ、二人には師匠とビーストに追い回される地獄を体験して貰いましょうか?ほら、昔俺がやられた体力作りですよw」

 

「そう言えば、あの強制マラソンの被害者でしたね?兄様は……」

 

ええ。毎日、鳴海市内を永遠と走り回されました共。

背後から、殺気(師匠)と威圧(ビースト)が迫って来る恐怖は今思い出しても身が引き締まる感じである。毎日毎日、朝から夕方までひたすら走らされるアレはガチで地獄だった。途中、速度が遅くなったら容赦なくビーストに轢き逃げされたからな!?その後、師匠が食事や水分補給をしてくれてある程度としたら回復魔法を掛けてくれた。

そして、また走らされるという悪夢。時間を短縮?した結界内で、一週間程走らされた事により長時間走る事にも慣れて来て気が付けばシグナムと延々鍛錬が出来るくらいになってた。

 

「考えれば、あの時から俺の人外化が始まってたんだろうなぁ…」

 

リアルタイムでは、一週間程度だったけど……俺の体感時間的には、半年くらい時間が流れた様な気がする。

なので、本当に短期間で劇的な体力作りが行われたんだ。

あの後、白亜と遊んだりした時にマジで『あるぇ?こんなもんだったかな?』という困惑があったんだよ。なんて言うか、弱くは無いんだけど切り結ぶ剣戟が短時間しか持たない……と言えばわかる?

 

「あの程度の体力で、英霊○ミヤになろうとか……嘲笑しか浮かばない。もっと、体力を付けろよ?フェイカー……」

 

そして、今や女の子になってもっと体力が落ちるというオチ。もう、目も当てられない。ここで、改善すると良いね?

 

「……神崎に、生暖かい視線を送られているんだけど!?」

 

「あ、こっちにも向けられた!?」

 

「とりあえず、師匠は無理でもビーストは貸して貰えるから体力作りを始めようか?という訳で、ビーストくん呼んで貰える?」

 

「問題ありません。体感時間の拡張は行いますか?」

 

「もちろん!使えるモンは、なんでも使わないと、な?次の世界で、ある程度使える様にして置かないとイケないんだろう?」

 

「そうだの。でなければ、処分は免れんからのぉ?」

 

「「処分!?処分って(なに)なんだ!?」」

 

「そりゃあ………………俺の口からは何も言えない!!」

 

とりあえず、溜めに溜めてから視線を逸し言葉を濁す。 

 

スマン!

 

こういう悪戯は、師範代達のモチベーションを上げるのに必要なんだ。余り、体力作りに面白味を見い出せなさそうな師範代達を乗せる為に敢えてその様な態度を取る。乗せられたとも言う。すると、師範代達のテンションが一気に上昇したのがわかった。

 

「では、始めましょう!ええ、着いて来れれば処分はありませんから大丈夫ですよ!ええ、着いて来れれば……」

(テンションUP)

 

という訳で、地獄の体力作りが始まったのだった。

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

一ヶ月後/【船】内中央農業区

 

「ここの施設が、使えていれば『ママ』達を死なせずに済んだんだけどなぁ?でも、アースラ以外使えなくて……ごめんね?」

 

「そっか、あの時もここが使える状況ならもう少し生きられたんだね?でも、私達はまだ続いてるから大丈夫だよ」

 

そう言って、師匠を膝の上に抱いたすずかが静かに笑う。

 

「このお茶、美味しいですね?どこの茶葉ですか?」

 

「本部にある、農業区の【茶葉棟】と名乗るグループが販売してます。最強の女剣士ポアン・レイグ・アグレイ様を筆頭に、数十の農家が提携して作成しておられる茶葉ですね」

 

「へぇ……私も一つ、欲しいくらいよ?」

 

「では、後で通販サイトをご確認下さい」

 

地面にシートを敷いて、座っている師匠達とは別の場所。どこから持って来たのか、カフェにある様なテーブルを設置しお茶をしているアリサとカリム・グラシアがリリィから茶葉の説明を受けている。いやー、とても平和ですね!!とりあえず、師匠達の平和な空気とは別に俺達の方は完全に別世界となっていた。どっちかと言うと、スポ根的な空気と言いますか……殺伐としている。

 

「というか、時間が掛かりましたね?」

 

「ウム。体力作りで、ここまで時間が掛かるとは思わなんだ」

 

「俺自身、二週間程でそれなりの形になりましたからねぇ?」

 

「我等も、それくらいでイケると踏んでおったよ……」

 

それが、一ヶ月も掛かった理由はあの馬鹿共の根性が思ってた以上に腐っていたからと言わざるを得ない。と言いますか、度々訓練から逃げ出そうとするあの馬鹿共を捕まえて追い回す作業が面倒臭かった。トーマなんかは、修得している【隠鬼】のスキルを十全に使って隠れ様とするし……白亜なんて、適当に轢き飛ばされたらそのまま復帰を諦める始末。ホント、必要以上に手間を掛けさせられるなんて思いもしなかったよ。

だから言って、この馬鹿共を放置する訳にも行かず……仕方がないので師匠に監督をお願いした。結果、何とか一ヶ月である程度の基礎訓練が終了。それなりの体力を得た馬鹿共に、これからは鍛錬をさせて行く事になるのだが……先が思いやられる。

 

「全く……だから、こっち側に来るなと言ったのに……」

 

「まさか、こんなにキツイなんて思わなかったんだもん……」

 

「俺が、短期間で修羅や羅刹になった理由がわかるだろう?」

 

「うん。今なら、わかる……これは、アカン!!」

 

ええい!頭を抱えて唸るんじゃない!!後、お前はマジで頭の中がお花畑だったんだな?修羅の世界にチートなんて無いぞ?

 

「トーマも、【隠鬼】だった頃の方が良かったんじゃ無いか?」

 

「それ、スッゴク実感してるよ。俺、あのままで良かった!」

 

「ま、相棒が居ないから時間の問題だったけどな……」

 

「フム。では、トーマはこのまま武術の鍛錬へ移行させるとして……白亜は、呪術師の実践鍛錬へ移行するとしよう。武術関連は、このまま我が担当するが呪術となればリリィの領分じゃな」

 

ほーら、更なる地獄の口が開いたぞ?って、青冷めていやがる。コイツ、本当に大丈夫なのか?【戦鬼】も、才能が無いんじゃないのか!?と、思わずには居られない。

これが、根性の腐食具合でそうなっていると師匠が言うから叩き直しをしているんだが……本当に、根性が腐っているだけなんだろうか?資質じゃねぇ!?

 

「つー事は、授業が別れるんですか?」

 

「そうですね。呪術師のカリキュラムとしては、午前中を座学と術の実践的な行使。午後からは、体力作りと簡単な護衛術の修得ですか?本格的なモノは、ある程度使える様になってからになります。でないと、また逃げられそうなので……」

 

「これだから、主人公なんて選択しなきゃ良かったんだ……なんて、言われない様にしないとな?衛宮士郎もクロエも、主人公側だったんだから負けていられないぞ?」

 

「今は、後悔しているよ。神崎みたいに、やられ役だったらもっと気楽だったのかも知れない。重いね、主人公って……」

 

特に、衛宮士郎は努力の果に英霊となった人物だ。

なら、強くなる為にはそれ以上に努力を積み重ねなければならない。まあ、《神殺し》の肉体を得た時点でそれぞれの才能は平均的なモノに変わっているらしいけど。それでも、日々の鍛錬で才能を開花させるのは変わらないんだとか。ホント、お前……なんで、こっち側に来ちゃったんだろうな?【組織】の本部で、ぬくぬくと生きていれば苦労をする事も無かっただろうに……全く、バカが!

 

 

 

 

 




禍焔凍真、再鍛錬開始!と思いきや基礎訓練から再開と相成りました。白亜も、基礎訓練からの参戦です。とはいえ、神崎の時とちょっとだけ異なるので訓練から逃げ出させてみましたw。神崎の時は、基礎訓練を始める前に心をへし折って居るんだよね。なんで、従順では無い奴等を基礎訓練にブッ込む大変さってのを表現。

後は、あの時にこれが使えていたらなぁ…っていう双夜の後悔です。たらればの話なんて、なんの実りも無いんだけど…双夜は、仕方がないかなぁ?って。もし、【船】が使えていたらもう少しマシな未来になっていたかも知れません。でも、ヒロインを死なせる予定なのに延命なんて作者はさせませんよ?しっかり、死んでいただきましょう。

さあ、次こそはまた娯楽転生者との戦いの日々ですね。
今年こそ、終わりまで進めれるか…なぁ?
ぶっちゃけ、転生者との絡みさえ無ければ終われる!!

とりあえず、起承転結で進めて行くしか無いんだよなぁ。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。