絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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日常編は、番外で書きます。

(仮)暗黒歴史(予定)


モチベーションしだいかな?


序章5

Side     双夜

 

 

 

 

 

ふと、目が覚めた。

オレンジ色の部屋の中で、仰向けに俺は寝ている。

窓の外に視線を向ければ、空は濃い藍色だった。

 

 

「…………?」

 

 

自分に、何が起きたのか思い出せない。

否、まだ頭の混乱が治まっていないだけで、思い出そうとすれば思い出せるはずだ。

 

 

「ーーーーー」

 

 

そのまま、寝転がった状態で考える。

そして、ついでに身体の状態も確認する事にした。

 

 

ーーアクセス。

 

 

人口的に作り替えられた魔術回路に魔力を流す。

 

 

ーーシステム状況確認。

 

 

魔力が、全体的に行き渡ったところで、状態確認術式を起動。身体をスキャンする。

これにより、わかるのは各回路の状態と身体的状態。

 

 

ーー魔術回路……正常。

 

 

ーー精霊回路……正常。

 

 

ーー身体機能……正常。

 

 

ーーナチュラル・モード……正常。

 

 

ーーバトル・モード……正常。

 

 

ーー劣化術式……正常。

 

 

ーー記憶領域……正常。

 

 

ーー分割思考……正常。

 

 

ーーマスター・コールにより分割思考起動します。

 

 

一応、システムや身体に問題はないらしい。

システム的に問題ないなら、分割思考を使用して《記憶の整理》を優先しつつ最近の記憶を確認(掘り出す)する。

検索にヒットした最初の記憶は、この世界に来た当初の記憶。月村すずかに保護され、《記憶の混乱》が起きるまでの経緯。そして、次の瞬間出て来たのは……暗黒歴史だった。

 

 

「ぐおっ!!」

 

 

プライド・ブレイクと羞恥心によるダブルパンチ。

あまりの暗黒歴史っぷりに、頭を抱えて悶絶するはめとなった。遠慮なく、若々しい乙女達に甘える自分。

無邪気に走り回り、知り合った人々からお菓子や玩具を貰って喜ぶ自分。無理矢理お風呂に連れていかれて怯える自分。山に行き、海に行き、それぞれのイベントを楽しんでいる姿が思い出される。

 

 

「…………はは。人生のやり直しかよ……」

 

 

その記憶に、ギリッと歯を食い縛る。

なかなかに、楽しそうな思い出だと考えながら……もし、自分にも少しくらいはこんな楽しい子供の頃の記憶があれば、違った結末があったのかもしれないと夢想する。

その思い出に、魅いられた。

だって、楽しそうだったから。

自分の人生では、そんな記憶は無かった。

血と硝煙臭い、泥にまみれた人生だ。

記憶の中で、「ママ」と呼ばれている乙女達に感謝する。

 

 

「さて……アルカリア、いるか?」

 

 

一人、薄暗い部屋の中で呟く様に呼び掛ける。

返答も無ければ、誰も気配も出て来なかった。

影の中にも、白石の中にも近場にもいないらしい。

誰も出て来ないところから、自分の代わりに任務を遂行しているのだろうと推測する。

 

 

「はは。苦労をかけるなぁ……」

 

 

身を起こし、立ち上がろうとして気が付いた。

自分の周りに、血溜まりが出来ている。

触って確認すれば、自分自身の血溜まりだった。

 

 

「なるほど。俺が目覚めた理由は、これか?」

 

 

つまり、俺は『殺された』らしい。

記憶を思い返せば、きっとこれに関する記憶も出て来るだろう。そうかかるモノではないので、気長に待つことにした。

今は、平和な記憶を楽しみたい気分だったからだ。

だけど、そうは言っていられないだろう。

気を取り直して、周囲の状況に目を向けた。

魔力波を展開して、この部屋を含む周囲の状況を読み取って行く。もしかすると、一刻を争う状況かも知れないからだ。

 

 

「上下左右前後異常なし。範囲拡大……」

 

 

己の五感の一つ、『触覚』を広げて行くイメージで魔力波を広げて行く。魔力波というのは、空気中にある魔力元素を使い触れたものを正確に情報として自身に教えてくれる技術だ。一種のレーダーの様なモノ。

これに、何度命を救われた事か。

 

 

「ここは、二階なのか……ん?一階に倒れてる人を発見。だが、これは……」

 

 

音を発てないように気を付けつつ、部屋を出て移動を開始した。部屋を出て確認するのは、魔力波を無力化してこちらの探索を回避している者がいるかいないかである。

流石に、そんな超絶技巧の持ち主はいなかった。

魔力波に触れた瞬間、相手の魔力波長や魔力資質・魔力量を瞬時に把握。自身の魔力を相手と同調させて、探索を回避……何て事は、普通の人間には出来ない。

まあ、それができるのは【風紀委員】ぐらいなものだろう。

 

 

「……刹那過ぎるだろう!?化け物め……」

 

 

そんなことを呟いてみたが、そもそもあれは人間ではないので愚痴ったところで意味は無い。

そんな事を考えているうちに、階段の所までやって来た。

階段の上から、そっと一階を覗き込む。

やはり、薄暗く良くは見えない。

魔力波的には、誰もいないという情報が読み取られてはいるが、兆が一の可能性がある故に慎重に移動する。

 

 

「隠透技術……展開。重力軽減術式……起動」

 

 

魔法発動を隠す技法を使い、魔法を起動させた。

やり方は、魔力波回避に似ている。

魔法発動に伴い、発生する魔力波長を魔力元素を使い打ち消すというモノ。ただ、他人がやるのとは違い魔法を使った本人がやる行為なのでアレよりも易い。

その後、重力を操作する魔法を構築。

これにより、自身の体重を三分の一くらいにした。

階段を降りて、重力操作を止め周囲を見回す。

されど、人の気配も襲撃犯の気配も何も無い。

とりあえず、誰かが倒れている部屋に急ぐ。

その部屋は、リビングだった。

中に入り、誰かが倒れている部屋の中央に移動する。

血溜まりの中に倒れていたのは、記憶にある人物だった。

 

 

「チロー……じゃない、士郎さんか……だが、やはりこれは……」 

 

 

視線を台所の方へ向ける。覗き込めば、ももちゃ……桃子さんが、血を流して倒れていた。

否、そんな風に見えている。

 

 

「何やってんの?お前ら……?」

 

 

声を掛けてみた。

 

 

「……周囲に危険はありませんか?マスター……」

 

 

「まだ、確認中だな……とりあえず、この町に悪意のある人物は……人間の範疇レベルだ」

 

 

「もう、大丈夫って事じゃ無いですか!?」

 

 

怒った様に怒鳴って、士郎モドキと桃子モドキは血溜まりの中から立ち上がった。

 

 

「で?何やってんの?」

 

 

「フレールくんから、襲撃されていると連絡があったので慌てて駆けつけたんですよ!!そしたら、士郎さんや桃子さんが殺されそうになっていたので身代わりに……ああ、お二人は[影]が預かっていますよ?」

 

 

「安全が確保できるまで、死んだ振りか……適切だな」

 

 

「お誉めに預り光栄です」

 

 

「他には?」

 

 

「月村家とバニングス家にも襲撃がありました。そちらも、問題はありません。ただ、バニングス家は使用人が多く……」

 

 

「ああ。だから、俺の方が手薄だったのか……わかった。安全が、確保され次第順次回収した人物の解放を……」

 

 

『了解!!』

 

 

「待て、なにょ……なのはマーーさんは!?」

 

 

「大変ですね、マスター……」

 

 

目元にハンカチを当てて、涙ぐむ真似をする使い魔。

芸が細かいタイプの使い魔だった。

はっきり言うと、ウザい系の使い魔だ。

 

 

「なのはさん、すずかさん、アリサさんは、襲撃者により拉致られました。身代わりも考えたのですが、空間転移をされたので追跡程度しかできていません……」

 

 

「追跡は、出来ているんだな?」

 

 

「はい。抜かりはありません!!」

 

 

「なら、良いだろう。及第点をくれてやる!」

 

 

影の中から、[影]が現れる。

真っ黒で、目が一つだけあるその使い魔はグオッと巨大化すると口を開けて士郎さんと桃子さんを吐き出す。

 

 

「うっ……ここは?」

 

 

いきなり、士郎さんが目覚めた。

普通は、こんなことは起きないのだが……目覚めたものは仕方がないので、現状の経緯を話しておくべきだろう。

 

 

「士郎さん……」

 

 

「ん?おや、双夜くんじゃないか……はっ!!双夜くん、無事だったかい!?君達は、誰だ!!」

 

 

目を覚ました士郎さんは、俺を見て無事を確認して周囲に気配を感じて警戒している様だった。

見た目も、士郎さんや桃子さんにそっくりなので要警戒対象となったのだろう。

 

 

「俺の配下の者です。危険はありません……」

 

 

「……双夜くんの配下?ということは、使い魔ってやつかい?」 

 

 

「はい。その認識で、問題無いです」

 

 

「そ、そうか……」

 

 

士郎さんが、戸惑うように俺を見ている。

 

 

「ああ。こちらが、本来の人格なんです。気にしないで下さい」

 

 

「そ、そうなのか……わかった」

 

 

士郎さんの困惑気味を見て、ここ半年の記憶と羞恥心が甦ってくる。片手で顔を覆い隠し、赤らんだ顔を見せない様に反対側を向く。

 

 

「ヴァジュ、ここに襲撃のあった家々の主要メンバーを出してくれ……人選は任せる。お前たちは、追跡班と合流して監視の任についてくれ……」

 

 

「マスターの警護は、どうされますか?」

 

 

「……こちらの警護担当なのか?」

 

 

「はい。アルカリアからの指示を受けてます!」

 

 

腕を組み、考える人の形を取る。

襲撃者からなのはさん達を救出するには、戦力が必要だが……その戦力をこちらに割いている以上、あちらにはそこそこの戦力が揃っていることになる。

ヴァジュが吐き出す、各家々の主要メンバーを見れば、既に目覚め起き上がり俺を見ているのが大半だった。

 

 

「なら、このまま警護を頼む。空間転移反応を気にしててくれ……」

 

 

『了解しました。マイ・マスター!!』

 

 

「…………それ、言う必要あんの?」

 

 

『その場のノリと勢いです!!』

 

 

「さよか……はあ……」

 

 

呆れて、ため息が出てしまった。

全く、何でこんなのが生まれたのやら……と考えて、自分が放置し過ぎた責任だったと考え直し、不毛なので思考から追い出した。

 

 

「さて、自己紹介から始めようか?」

 

 

気を取り直して、こちらを困惑気味な顔で見ている面々に話しかける。

 

 

「俺は、如月双夜という魔導師だ。《記憶の混乱》による幼児後退の際は、本当に世話になった。心から、礼を言う。ありがとうございました……さて、今現在各家々の娘さん……なのはマーーさん、すずかさん、アリサさんが、何者かに拉致られ行方知れずになっているのは、気がついているか?」

 

 

一旦、言葉を止めて各家々の様子を伺う。

若干、バニングス家がザワついたが、大きな混乱はない。

 

 

「まあ……行方知れずというのは、語弊があるが……今の所は手の出しようがない。なぜなら、なのはーーさん達は」

 

 

「マスター、マスター!言いにくいなら、ママって言って良いんですよ?大丈夫ですよ、誰も気にしませんから!!ほら、ママって、ママーってイギャーーーっ!!」

 

 

「うっさい!!黙ってろ!!」

 

 

防御術式を瞬間アレンジで手の形に。

その手で、使い魔の頭を掴んで締め上げる。

 

 

「失礼。なのは、さん達は、別の使い魔が追跡中なので、居場所はわかっています」

 

 

空中に窓枠を展開して、追跡中の使い魔と通信を繋げる。

 

 

「アルカリア、いるか?」

 

 

今度は、通信に向かって呼びかける。

 

 

『はい。お目覚めになられたのですね?マスター!!』

 

 

すぐに、返答があった。

 

 

「ああ。心配をかけたな?で、早速で悪いんだが……現状を報告してくれるか?」

 

 

『はい。誘拐犯達は、あの巨大な船の中にいます!!』

 

 

窓枠(ウィンド)には、空を飛ぶ黄金の巨大な船が映っている。映像から察するに、あちらは昼の様だった。

巨大船の周りを、カプセル形や丸い形の機械が飛び回っている。

 

 

「……結構、大掛かりだな……あれは?」

 

 

『【聖王のゆりかご】です!!』

 

 

「また、大層な名前だな?詳細は?」

 

 

『ここは、第一管理世界ミッドチルダと呼ばれる異世界で……現在、ジェイル・スカリエッティという広域次元犯罪者によってテロが発生していました!!ですが、別の団体が【ゆりかご】を制圧。その後、マスターの保護者を人質に立て込もっている状態です!!』

 

 

と、いうことらしい。

かなり、緊迫感のある状況だ。

しかし、異世界へ逃亡とは……なかなか考える。どんなに頑張った所で、この世界の住人には手が出せない。

 

 

「フム。考えたなぁ……異世界に逃亡とは、こちらが手を出せないという状況を作られたか……」

 

 

呟いてみるも、俺が異世界の壁を超えられない訳でもなく、さほど問題は無かった。

振り返れば、各家々の者達が複雑そうな顔をしている。

 

 

「さて、アルカリア。今、動かせる奴は何体いる?」

 

 

『すぐに動けるのは、50体ですね。全員を呼び戻すのなら、3日もあれば十分かと……』

 

 

「じゃあ、その3日以内にミッドチルダ側の代表者と面会出来る状況を作れるか?」

 

 

『代表者とですか?ちょっと、難しいですね。こちらは、今のところ上も下も大混乱ですから……』

 

 

「割り込みすら不可能なのか?」

 

 

『はい。じょ』

 

 

突然、アルカリアの背後で光が溢れ、通信が一時的に砂嵐へと変化する。

何らかの妨害か、はたまた爆発か……状況は不明だ。

 

 

「ど、どうしたんだい!?」

 

 

士郎さんが、驚いた顔で慌てて質問を投げ掛けてくる。

 

 

「あちら側で、爆発に巻き込まれたか……妨害的攻撃を受けたのでしょう。すぐに回復しますので、少々待ってください」

 

 

「……ずいぶん、落ち着いているんだね……」

 

 

「元々、傭兵ですから荒事には慣れているんです。基本、俺の担当が指揮になりますので……この程度で、慌てていては役に立ちませんよ」

 

 

「そ、そうなのか……仲間が、心配じゃ無いのかい?」

 

 

「心配するだけ無駄です。こいつらは、簡単に壊れるようには造っていません。それこそ、隕石直撃クラスの大打撃ならひび割れを起こすかもしれませんが……」

 

 

「隕石の直撃……」

 

 

「核兵器なんぞ、隕石の直撃と比べれば……玩具程度のものだ!!……なんてのを謳い文句にしてました」

 

 

実際には、ミサイル(核)の直撃すら耐えられる!!である。

以前、使い魔の【魔核】を造って耐久実験をした時、偶々実験場を使っていた【鮮血の小悪魔】が悪戯心でこちらの邪魔をしようとした事があった。

それは、彼の実動兵器が俺の作品である【魔核】を破壊しようとするもの。しかし、その実動兵器では【魔核】に傷一つ付けられなかった。気を悪くした【鮮血の】が、「ライバル」宣言をして……以来、こちらの邪魔ばかりするようになるのだが……まあ、それは良い。別の話しだ。

 

 

「とんでもないなぁ……」

 

 

「まあ、それぐらい頑丈にできてますから……」

 

 

画面が元に戻り、多少煤けたアルカリアが写し出されると「おおぉ……」と歓声が上がった。

 

 

『すみません。マスター……ミッドチルダが、【ゆりかご】からの攻撃で蒸発しました』

 

 

「おぅおぉ……?」

 

 

「ああ……そう。なら、残存している戦力があるか探しておいてくれ!それと交渉するから……」

 

 

『了解しました!!』

 

 

アルカリアからの通信は、以上をもって終了した。

それにしても、状況がコロコロと変化する。

こちら側の被害は、三人娘の拉致程度で死者は出ていない。ミッドチルダは、【ゆりかご】という巨大な船の攻撃で蒸発。多くの死傷者が出たはずだ。

 

 

「向こう側は、物騒だな……とりあえず、一応記録はしておくべきだろう。えっと、今日は西暦何年の何月何日だ?」

 

 

「西暦2015年9月17日でございます」

 

 

「あ、おじいちゃん……ありがとう!」

 

 

「マスター、マスター!!今、全開で素ですね!?素ですね!!『おじいちゃん、ありがとう』って可愛イギャーー!!」

 

 

人の羞恥心を、煽りまくる使い魔にお仕置きする。

本気で、この頭を砕くべきか悩み処だ。

もう、一気にプチッと行ってしまおうか……という、邪心が生まれる。とはいえ、プチッと殺ったところで数分もすれば復活するので意味はない。

 

 

「見てないで、止めろよ?」

 

 

「あ、プチッとなされないんですか?残念です……」

 

 

「……お前もか」

 

 

芸人の相棒は、血を見るのが大好きなイカれ頭だった。

いや、本当……どうして、こんなのばかりなんだろう?

もうちょっと、使い魔達は自重しても良いと思う。

 

 

「まともな使い魔がいない……くそっ!!戦力だけを追い求めて、育成を放置するべきでは無かったかっ……」

 

 

後悔、先に立たず。そして、今や後の祭り。

そんな言葉が、頭を過って行った。

 

 

「それで、どうするつもりだ?」

 

 

恭にぃ……恭也さんが、今後の事を問うて来た。

この返答次第では、恭也さん達も着いて来るとか言い出しそうだ。それでは、使い魔達が殺された振りをしてまで敵の目を欺いた事が無駄になってしまう。

この人達が、生きている事を相手に悟らせるべきでは無い。

それに、ここの守りが手薄になってしまえば、前線にも影響を及ぼしてしまう恐れがある。その場合、こちらの守備を割いて……なんて事をすることになるだろう。

それでは、あまりにも不効率だ。

 

 

「もちろん……なのは、さんを助けに行くよ?でも、それは身軽な俺の仕事だ。あなた達が、出向く必要性はない」

 

 

「だが、しかしっ!!」

 

 

「恭にぃは、雫ちゃんとおばさんを護っていたら良い。そう、おばさんを……おば……『忍ババァ』!!」

 

 

「ちょっと!?」

 

 

「すまない。ちょっと、トラウマが…………」

 

 

頭を押さえて、フラフラと身を揺らす。

今まで、散々虐められて来たんだ。

この辺りで、それを清算したって許されるはず。

 

 

「と、とにかく……恭にぃは、雫ちゃんと『忍ババァ』を護っていれば良いんだよ。なのは、さんは、俺がちゃんと連れて帰って来るから」

 

 

「ちょっと、まさかソレを定着させる気なの!?」

 

 

『………………』

 

 

「双夜くん……それは、ちょっと……」

 

 

恭にぃの非難の眼差しも無視して、忍ねぇの反論を脚下して押し通す。

士郎のちょっと引いた、小言も聞かなかった事にした。

 

 

「良い?後衛の憂いは、前衛の行動に影響を及ぼす事もあるんだ。恭にぃ達は、ここに残ってその憂いを断ち切って欲しい」

 

 

「双夜……」

 

 

「わかってる?きっと、なのは、さんを拐って行った奴等はあなた達が死んでいると思ってる。そんなあなた達が、のこのこと出て行ったらソレを欺いてくれた使い魔達の苦労が水の泡だ」

 

 

「それは……」

 

 

「ぶっちゃけ、俺の幼児後退が治ったのって……敵に殺されたからだよ?そんで、生き返ったの……自動蘇生魔法っていってね?特定回数殺されない限り、死なないんだよ。便利でしょ?」

 

 

『ーーーーー』

 

 

息を飲む音が聞こえた。

きっと、正確にその魔法の内容が伝わったのだろう。

この魔法、間違った解釈をすると……ただの便利な魔法だが、実際は拷問系の魔法である。

なぜなら、【特定回数】殺されないと死ねないのだ。

 

 

「にゃははは。みんな、頭が良いなぁ。この魔法が、拷問魔法だってわかっちゃうんだ……」

 

 

「…………」

 

 

「大丈夫。俺の精神は、ちょっとやそっとでは壊れないよ。一度捕まって、殺害蘇生を繰り返した事が「ーーー双夜くんっ!!」

 

 

士郎が、言葉を重ねる様に怒鳴った。

 

 

「もう、良い。もう……良いよ」

 

 

「そう。なら、ここはプロフェッショナルに任せてくれるかな?」

 

 

「………………わかった」

 

 

士郎も恭にぃも、ちゃんと納得してくれたようだ。

今まで、様子を伺っていたバニングス(父)も頷いてくれた。

 

 

「じゃ、その前にエイミィさんとこに行かないと……」

 

 

確か、エイミィさんはミッドチルダ側の人だったはずだ。

きっと、エイミィさんなら、ミッドチルダへの行き方を知っているだろう。

 

 

「次に会う時は、みんなが揃ってからだね?じゃ、いってきまーす!」

 

 

手を振って、俺は高町家のリビングを出た。

使い魔達は、彼等の護衛として残るように言ってある。

足早に玄関へ向かい、すずかが買ってくれた靴を履く。

扉を開けて、いざ!という時に声がかかった。

 

 

「双夜くん……」

 

 

振り返れば、ももちゃーー桃子さんがいた。

その隣には、美由希さん。

 

 

「何?ももちゃん……みゆおばさん……」

 

 

「グハッ!!」

 

 

「双夜くんは、大丈夫なの?」

 

 

口撃(コウゲキ)に美由希さんが撃沈。

桃子さんは、怖くて口撃はできなかった。

 

 

「…………?」

 

 

何の事かわからず、首をかしげていると桃子さんは続けた。

 

 

「一人で、大丈夫なの?」

 

 

「一人じゃないよ。使い魔がいるさ……」

 

 

「……帰って、来る……のよね?」

 

 

「もちろん!でも、一緒にお風呂は入らないよ!」

 

 

とはいえ、帰って来られるかはやってみないとわからない。

もしかしたら……とか、あやふやな言葉は使わない。

例え、戻ってこられない事がわかっていたとしても。

 

 

「ふふふ。いーえ、絶対一緒しましょ?」

 

 

「えー……幼児後退化宣告とか、勘弁して欲しい……」

 

 

「ああ。双夜くんの場合、そうなるのか……」

 

 

「このトラウマがある限り、エロには発展しないなぁ……じゃ、ささっと行ってサックと解決。あっさり、帰って来るから待っててね?……いってきまーす!」

 

 

引き留めようとする二人との会話を切り上げて、足早に外へと飛び出した。

残暑厳しい秋空の中を、ハラウオン家目指して歩き出す。

思い出す記憶の中で、何度か足を運んだ事があるので迷うことはない。この世界に来て、半年間も無駄にした。

それだけあれば、この世界で起きている危機を見つけ出し、解決の糸口をみい出していただろう。

 

 

「予定は、未定とは良く言ったものだ……」

 

 

予想外の時間浪費がなければ……とも思う。

だけど、自分にとっては有意義だったかもしれない。

そろそろ、時間を取るべきかな?とは思っている。

 

 

「…………」

 

 

ハラウオン家がある、マンションのエントランスを抜けてエレベーターホールへ。エレベーターに乗って、ハラウオン家のある階へ辿り着いた。

ある扉の前に行って、呼び鈴を鳴らす。

「はーい」と声がして、エイミィ・ハラウオンが出てきた。

 

 

「初めまして、如月双夜です。今日は、折入ってお願いが……」

 

 

「…………へ?」

 

 

こちらの要望にエイミィ・ハラウオンは、鳩が豆鉄砲を当てられたような顔をしていた。

 

 

  ◆

 

 

「そっか……記憶が戻ったんだね。良かった良かった。それで?お願いって?」

 

 

 「昨晩、何者かに高町なのはが拉致られました「へ?」アリサ・バニングスと月村すずかも同様です「ちょ……」正確には、高町家・バニングス家・月村家の三家が襲撃され「え?え?」虐殺された……と言えば、わかりますか?」

 

 

「ちょ、ちょっと、待って!」

 

 

「ああ。大丈夫ですよ?俺の使い魔が、気をきかせて身代わりをしてくれたので、実質的な被害はありません」

 

 

「ちょっと、待って!!どういうこと!?なんで、そんなことになってるの!?」

 

 

「では、先程……ミッドチルダが、無くなったという情報は確認しましたか?」

 

 

「ーーーーー」

 

 

その後のエイミィさんの慌て振りは、見ていたら腹を抱えて大笑いしていたかも知れない。

てんてこ舞い。

まさに、そう呼ぶに等しい慌て振りだった。

 

 

「あれ?あれ?あれれ?」

 

 

「どうしました?」

 

 

エイミィさんが、通信機をいじり始めて数分後、なにやら困惑気味な声が上がる。

 

 

「時空管理局と通信が繋がらないんだよ……次元嵐でも起きてるのかな?」

 

 

「……最悪のケースも視野に入れて置くべきかもしれませんね。例えば、時空管理局壊滅……とか」

 

 

「あははは。ないない、ありえないよ!」

 

 

エイミィさんは、「管理局壊滅とか、ありえない」と言っていたが、俺は知っている。未来が、予定調和されているなんてこと事態「ありえない」ことを。

 

 

「これは、完全に後手に回ってしまったかもしれません」

 

 

来客用に出された紅茶を飲みながら、俺は最悪の未来を想定するのだった。

 




今回は、ちょっと長め。
本編の主人公が、アレだった為に起きた弊害でこんなことに……。


ミッドチルダ蒸発!!
時空管理局……?
Vivid&Forceルート蒸発!!
ついでに、恋愛フラグもへし折った感じ(笑)

魔法少女リリカルなのはが、転生者によってしっちゃかめっちゃかにされていく!!


過去を変えれば、普通はこうなるはず……。修正力があれど、原作に引っ張られていようが改変をすれば……こうなってもおかしくはない。

高町なのはの非魔導師化も

フェイト・T・ハラオウンの行方不明も

いるはずの転生者不在も

良く良く考えたら、ご都合主義が無いと上手く行かないモノばかり。

スバルもギンガもティアナもエリオもキャロもフェイト・T・ハラオウンも高町なのはあっての者なので、非魔導師化がもたらす最悪の影響により出番消失。
ルーテシアやアギト……ゼストや戦闘機人も出てこない始末。stsじゃ無くなった(笑)

世界難易度……さてはて、どれくらいだと考えます?
一応、作者的にはノーマル扱い何ですが……。

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