絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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漸くかぁ……。

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三六話

双夜

 

 

 

思わず、【不幸せ】と称してしまっていた。

うっかりでも、なんでもなく……俺は、その【言葉】を告げる事ができなかったんだ。

あれだけ、彼等の存在を否定する様な事を言いながら……ハッキリと言ってあげられなかった。

 

 

『君達は、世界を歪ませる為の異物なんだ』

 

 

世界を歪ませ、理を壊し世界のシステムを【反転】させる為の鍵。反転したシステムは、前に進む時間とは逆に遡りあるモノを歪ませる。

それは、世界の根幹……最も深い場所にある【モノ】を歪ませ……破壊してしまうだろう。

それは、世界の深部で育まれ続ける……【世界の卵】とも呼ばれる種子。次世代……【未来】へと繋がる……新たな世界を産み出す卵。

 

 

【世界の種子】

 

 

それが、世界の根幹に存在する。

これが壊れてしまうと、【未来】が無くなってしまう。

【未来】が無ければ、世界は……続かない。

だから、【種子】が壊れると【蓋】が開いて《旧・神族》がその世界に入り込んで来る。最終的に、世界が開いてアイツ等の世界に吸収されて家畜場になってしまうだろう。

半永久に……滅びるまで、《旧・神族》に飼われる家畜に成り下がるんだ。そうなってしまえば、逃れる術はない。

 

《旧・神族》……奴等は、創世時代の《神族》だ。

 

今でこそ、堕ちぶれて【最悪】の代名詞となっているが、力(能力)は新・神族よりも遥か高みにあるだろう。

人間が、策を労し小賢しく卑屈に戦ったとしても、腕を一振りされれば瓦解する。それ程の怪物だ。

そこに、慈悲なんて無い。

歯剥かれれば、直ぐ様殲滅される。

いや……殲滅されるぐらいなら、まだ幸福だ。

生きた、苗床にされるよりかはマシだろう。

ただ、奴等に新鮮な質の良い人間を提供する道具とされる苗床。目の前で、生まれたばかりの赤ん坊をバラバラにされて食され……『ありがとうございます』等と言わされるよりかは、十二分にマシだ。

正に、おぞましき創世時代の遺物。

これならまだ、闇の眷族共の方が……醜い姿だけのアイツ等の方が可愛いげがある。俺の影に創った隔離世界……そこに住んでいる彼等の方が、まだ慈悲深い。

 

 

「全く、世界とはなんて醜く歪な事か……しかし、それ故に美しくいとおしい……矛盾した【魔法】の様だ……」

 

 

だから、“人間を辞めた時に思ってしまった”んだ。

護りたい……と、その方法として【俺】は【如月双夜】になった。今となっては、最早思い出す事も叶わない古き記憶。

 

 

ーーこの記憶は、一体いつのモノだろうか?

 

 

【俺】の最も深い部分に残る、【俺】が『俺』である為の証……どれだけの時間を過ごしても、どれだけの人々に会っても、決して変わらない不歪の根幹。

きっと……否、だからこそ【彼等】は【俺】に固執する。

多分、【俺】は……【彼等】と同じ【モノ】なんだろう。

時代や背景……その在り方とかは、関係なく……だけど、【俺】は【彼等】には……至らない。

その為に、『帰る場所』の無い“自由者”になったんだ。

 

 

「本当、ままならないなぁ……」

 

 

回想から、現実に戻って来る。

目の前には巨大な魔法陣があり、そこに【転生者】達が並んでいた。ただ、一人だけはバインドでグルグル巻きになっているけど……まあ、問題はない。

 

 

「じゃあ、行っくよぉー?」

 

 

掛け声を掛けると、俺の両肩を掴んでいる手に力が入る。

ついでに、全員の顔が真面目なモノに変化してキリッくとしたモノになるが……精神や記憶の上塗りなので、過去に行きました的な変化はないんだよね。

魔法陣が、輝き眩い光を放って収まった。

 

 

『『……………………?』』

 

 

「失敗?」

 

 

「いや、世界にノイズが走ってる……」

 

 

全員が、空を見上げたりしてそれを確認する。

世界の色が変化したり、ノイズが走ったりしていた。

 

 

「なにが、明確な変化はない……よ!?滅茶苦茶有るじゃない!!」

 

 

「そりゃ、過去が変化したらこうなるさ(タイムパラドックス)……だけど、普通は気付かない変化だよ?ここにいて、魔法陣の中にいるからわかる変化だ。……ほら、アレ!」

 

 

左手の親指で、それを指し示す。

全員の視線が、横にスライドしてソレを視界に納める。

そこには、半透明から実体へと変化する影があった。

そして、形が定着するにあたってその影が【高町なのは】であることが判明する。

 

 

「まさか、高町なのは!?でも、なんで!?」

 

 

「ここから干渉して、【なのは】を双子にしたんだ」

 

 

「ちょ、そんなことが可能なのか!?」

 

 

「不可か可能かと聞かれたら、可能だと答えるよ?」

 

 

「マジかよ……」

 

 

「とりあえず、八神家の方がダメだったみたいだけど……どうなってるんだ?ハラオウンもいないぞ?」

 

 

「え?えっと……」

 

 

「ねぇ……記憶が増加してるんだけど………………うっ……ぎもぢわるい……なに?これ……」

 

 

不知火が、頭を抱えてヘタリ込んだ。

他の転生者達も、座り始める。どうも、増えるだけのこの作業は堪えるらしい。過去に行って、自我を持って行動し……その上で、記憶が増えることなら問題ないみたいだけど、その経緯をすっ飛ばすのはダメだったみたいだ。

間を置いた方が、良いかもしれない。

 

 

「じゃあ、ちょっと休憩しようか?」

 

 

まだ、一回目なのに……軟弱な……。

顎で合図を送り、背後に控えていた使い魔達に飲み物を配布させる。この様子だと、今日一日……もしくは、それ以上かかりそうだ。

まあ、人間が生きている間にこういう体験ができる可能性は天文学的数字でしか表現できないだろうから……つまり、こんな体験……普通、する事は無いって事だ。不便な……。

 

 

「結構、キツイなぁ……これ」

 

 

「……………………」

 

 

仕方がないので、術式を弄って高速体験でもしてもらうか……もしくは、《ルール・ブレイカー》ベースに別の術式にするか……迷う。

 

 

ーー高速体験かな?

 

 

直ぐに弄れるとしたら、それぐらいしかできない。

 

 

「ねぇ、チビッ子。私達、もう離しても良いのかしら?」

 

 

「あ、や……せめて、ノイズが収まるまで待ってくれる?」

 

 

「どれくらい?」

 

 

「十分から、三十分くらいだよ」

 

 

「そう。暇だわ……」

 

 

俺の肩を掴んで、自身の存在を固定している人が「暇、暇」五月蝿い。ちょっとは、魔法を維持展開しつつ世界の調整をしているこっちの身にもなって欲しい。

マルチタスク無しで、対応しているんだぞ!?

とはいえ、俺的には『暇』よりも……【転生者】が行う、過去の改変状況がわからない故に不安で……かなり、不便な状況だった。

そういう理由で、状況を確認できる魔法を加えてアレンジする。情報……否、記憶共有(一方的な)系の魔法を追加した。

これで、彼等の記憶を閲覧できて状況の把握も可能になるだろう。助言もできるから、効率が良くなるかもしれない。

そして、先程の状況を把握するべく彼等の記憶を覗き見た

 

 

PT事件。

時空管理局と共にプレシア城に乗り込む。

衛兵と戦って、最上階にある魔導力炉へ行く組とプレシア確保組に別れる。そして、プレシアと対峙。戦いになって、プレシアが吐血。話し合いにもつれ込み……フェイト到着。フェイト、プレシアに娘宣言して……プレシア、虚数空間にアリシアと落ちる。

 

 

「……………………」

 

 

今に至る元のルートが気になって、確認すると時空管理局に内緒で裏工作して助け出していた。その後で、戻ってきたプレシアとフェイトちゃんと再会させて問題になり、闇の書事件では【転生者】が一人は病院で意識不明。もう、二人は管理局に缶詰にされていた。

そして、ハラオウン以外の局員が対応。

八神はやてを氷結封印して、虚数空間に捨てていた。

つまり、時空管理局が邪魔って事ですね。全く、足を引っ張るにしてもこちらの邪魔をしないでいただきたい。

まあ、こちら側にもいてもいなくても良い奴はいるけどね。

 

 

「おーい、翼ぁ~。時空管理局、放置しても良いから何とかしろー!」

 

 

「無茶言わないでよ!?そんなこと、出来る訳無いでしょう!?」

 

 

「じゃあ、トウマ~。最初と同じ様に、盗め!」

 

 

「盗むんですか?でも、結局は……」

 

 

「会わせるのは、全部が終わってからでも良いだろう?」

 

 

「「……………………」」

 

 

「ぶっちゃけ、闇の書事件が全部片付いた後でも十分だろう?」

 

 

「……………………」

 

 

「……………………」

 

 

「それでも、良いんじゃないか?」

 

 

「成る程ね……直ぐに、会わせなくても良いのか……」

 

 

今後の方針を決めて、再度過去へ上書きを実行する事になった。そして、魔法陣に魔力を注いで行く。

魔法陣が、眩い程輝き直ぐに収まる。

それで、背後にいた二人の存在が確定した。

ただ、闇の書事件に関しては今回も失敗する。

 

 

「…………直接干渉を受けているのか?」

 

 

そう、邪推してしまう程の問題であった。

前回もそうだったが、時空管理局の動きがおかしい。

ハラオウンが、担当にならないのである。

前平行世界では、神崎がクロノ・ハラオウンとみんなでと言っていたはずだ。なのに、この世界では別の局員が担当になっていた。もう数回、やってみないとわからないけど。

その事を考えながらも、干渉上書きする時間を進めて【闇の書事件】が起きる前に設定を変更する。

つまりは、【原作】時間で10月の少し前。

そこに焦点を置いて、改変の準備をする。

 

 

「よし。次からは、闇の書事件ちょい前からの開始だ!」

 

 

「了解!ところで、さっきから気になってるんだけど……」

 

 

「ん。なんだ?」

 

 

「そこのグルグル、真っ白に燃え尽きてるわよ?」

 

 

「はあ!?」

 

 

見れば、よ……よ……?馬鹿が、真っ白に燃え尽きていた。

何が起きたのか、良くわからないが……燃え尽きてしまう様なことが、彼に起きたのだろうと予測して納得する。

 

 

「ま、気にする必要も無いだろう?」

 

 

「そうね。いても、邪魔になるだけだし……」

 

 

不知火は、辛辣だった。

まあ、俺も邪魔だと思っていたし……都合が良いので、このまま放置しておく事にする。あ、でも……【原作組】の【嫌い】イベントを起こしたのなら、幻惑の中でリプレイを繰り返して完全に潰してしまうのも……一つの手だろう。

 

 

「まあ、今は無理か……」

 

 

改変魔法の維持と世界の調整……存在の固定化と隠蔽工作……これ以上は、ちょっと無理そうだった。

非常に残念ではあるが、馬鹿の完全廃棄は後回しにする。

 

 

「残念無念……とりあえず、闇の書事件を解決……いや、ハッピーエンドを目指して、八神はやて達を助けるぞ!!」

 

 

「「はい!」」

 

 

維持していた魔法を、再起動させる。

それと同時に平行処理で、世界の調整を進めながら応急措置で状況を凌ぐ。後で、オールメンテする予定なので今は応急措置程度で問題ない。

まあ、今回は前回よりも時間が長くなる可能性もあるが……仕方がないだろう。繰り返せば繰り返すだけ、調整が難しくなるけど……自業自得なので、覚悟はしている。

しかし、一回目は失敗に終わった。おまけに、海鳴市にアルカンシェルを叩き込まれてしまう。

 

 

「…………またか?」

 

 

「何故、ハラオウンが担当にならないのかしら?」

 

 

「「もう一回!!」」

 

 

「翼、連続で行けるか?」

 

 

「やるわ!段々、腹立って来たから!」

 

 

魔法を再起動させる。魔法陣の輝きが収まると、微妙な顔をした【転生者】達が棒立ちになっていた。

 

 

「……………………」

 

 

「…………なんでよ!?」

 

 

結果だけを告げるなら、ハラオウンが担当にならなかった。

それ故に、八神はやてが病院で寝ている間に凍結封印されてしまったのだ。

 

 

「最終決戦に至らない……やっぱり、干渉されているんじゃないか?《旧・神族》ってヤツにさぁ?」

 

 

「いや……干渉は、確認できなかった。別の何かが、邪魔しているんじゃないか?」

 

 

「なら、一度だけ……手を貸してやるよ!」

 

 

虹色に輝く剣を取り出す。

そう、《ルール・ブレイカー》だ。それを一振りして、プレシアちゃんに突き刺した。アリシアが、慌てて駆け寄り外傷が無いのを確認して首を傾げている。

 

 

「じゃあ、プレシアちゃん……魔法陣に乗ってくれるかな?」

 

 

「私達には、使えないって言ってなかった?」

 

 

「うん。だから、そのルールを破砕したの。乗って?」

 

 

「…………とても、興味深いレアスキルね……是非とも、研究させて欲しいわ……ねぇ、後で調べさせてくれないかしら?」

 

 

目の色が変わったプレシアちゃんが、俺の両肩をガッシリ掴んで交渉しに来る。とりあえず、今は過去の改変に集中して欲しい。

 

 

「……時空管理局に入り込んで、誰が邪魔しているのかを確認してして来てくれるかな?どうせなら、リンディ・ハラオウンと地球で一緒に住まないか交渉してみたら?保護観察って、システムがあるんだろう?」

 

 

「…………ハッピーエンドの為に、法律ですら利用しろって?凄いわね、貴方達…………」

 

 

「……誉め言葉として、受け取っておくよ?」

 

 

「良いわ。その能力、研究させてくれるのでしょう?」

 

 

「暇があればだけど……な?」

 

 

きっと、彼女の望みは叶わない。

この能力は、プログラムで動いている理数系魔法では無いのだから。どう足掻いても、彼女が……否、誰もがコレに至る事はできない様になっているのだ。

 

 

「良いわよ。時空管理局に、スパイすれば良いのよね?」

 

 

「ああ。原因も調べてくれると、尚良いねぇ……」

 

 

「わかったわ……任せなさい!」

 

 

そう言って、プレシアちゃんは魔法陣の中心へと歩いて行った。そして、こちらへと向き直る。

 

 

「じゃあ、行っくよぉー?」

 

 

待機状態の魔法陣を再起動させる。

眩い光が、全てを呑み込んで収まった時には……ハラオウン一家が出現していて……ホッと一息ついて、プレシアちゃんを見ると何故か青筋を浮かべてマジギレしていた。

 

 

「?……どうしたの???」

 

 

「何でもないわ!ちょっと、腹が立っているだけよ!」

 

 

「……あ。結局、何が原因だったの?」

 

 

「別になんでもないわ!下らない理由よ!!」

 

 

「???」

 

 

プレシアちゃんは、イライラしているようだったので……馬鹿で、ストレスを発散したら?とオススメしておく。

まさか、PT事件の後に【偶々】立ち寄った無人世界で、ジュエルシード以外の危険なロストロギアをハラオウン達が確保していた。その事が、ハラオウン一派を良く思ってない輩の妬みとなり、次元航行艦の発進を阻害していたなんて……そりゃ、誰だってキレるってモノだ。

とはいえ、八神はやての救出はまたもや失敗している。

原因は、別の局員によるハラオウン達への妨害だ。まさか、その局員が直接干渉して他の仲間(猫達)が氷結封印使用とするなんて誰もが思っていなかった。

いや、復讐者の想いが俺等の意思を凌駕した結果だろう。

闇の書の闇は、【転生者】が思っているよりも深かったということか。だが、次は失敗させない。

 

 

「じゃ、プレシアちゃんは魔法陣の外へ……」

 

 

「大丈夫なの?」

 

 

「ハラオウンの事は、既に確定させた。問題はない」

 

 

というか……厳密には、上書きする時間軸を少しずつズラしているのである。そして、今はハラオウン達チーム・アースラが地球に到着し、海鳴市に自宅兼本部を設置したところまで進めていた。

ヴォルケンリッター達の活動は、第97管理外世界の周辺で活発化している。ページ数も12月上旬で、既に600ページを超えていた。犠牲になったのは、高町なのは、野分、フェイト・T・ハラオウン、アルフ、よ……よ……馬鹿、漣、凍真である。それで大体約300ページになったらしい。

(計算方法:高町なのは20ページ基準で)

不知火は、四騎士を一人で撃退したみたいだ。

なんで、そんな事が可能だったのかと言うと……彼女の特典に問題がある。最近、漸くそれ(特典)を聞けた。

不知火翼の特典は……。

 

〇DBの孫悟空並身体能力

 

〇テイルズシリーズの全技・魔法

 

〇念能力(ありとあらゆる病気を治す)

 

 

以上らしい。

とりあえず、ネタ元を聞く限りチートに分類される能力だった。ちゃんと、本人に説明して貰ったので間違い無い。

神の加護が消えても、それらは機能していて消滅していない。理由としては、身体能力をベースとしているからだと思われる。つまりは、習得(修得)したら【神の加護】は関係無くなる特典だったもよう。

八神はやては、急激にページ数を増やしたことで病状が一時的に安定しているらしい。でも、嵐の前の静けさの様な気がして気持ち悪かった。グレアム配下の猫も、今のところはおとなしいモノだ。いや、本当に気持ち悪い。

悪い事が起きる、前触れの様で余り気分は良くなかった。

【転生者】達にも、十分に注意を促し……魔法の再起動を開始する。魔法の眩い光が収まった時、ノイズは歪みとなり世界は真っ暗へと変化した。魔法陣を見れば、誰もいない。

いや、それはまだ良い。それ以上にマズイのは、先程まで確定していたプレシアやアリシア……高町なのはにハラオウンが、消滅してしまっている。それどころか、世界の根幹にある【種子】すら失われていた。

 

 

「ヤられた!割り込まれて、直接干渉された!!」

 

 

先程の魔法の再起動時に、外部から干渉されてしまったみたいだ。魔法の維持や固定化に気を取られていて気が付かなかった。そして、それをヤったのが【管理者】ではなく《旧・神族》の方だということだ。まさか、こちらに直接干渉してくるなんて思わなかった。下手をすれば、自分自身を晒した挙げ句、断罪の対象に成りかねない行為だ。だけど、俺は干渉してきたモノを把握できてないから探しようが無い。

つまり、この世界そのものが消滅してしまったという事だ。

 

 

「クソッ!どこだ!?どこに干渉された!?」

 

 

世界を運営するシステム自体は、生きているので因果律に干渉してアカシックレコードを確認する。干渉された時間軸を割り出して、俺自身も直接干渉すればなんて甘い事は言わない。きっと、アカシックレコードにすら形跡を残してなどいないだろう。

要は、『この世界はいらない』と判断されたんだ。

自分達の思い通りに成らない世界は、消えてしまって構わないという認識なのだろう。

 

 

「アホかっ!そんな我が儘が許されると思ってんのか!?」

 

 

こんな簡単に、リセットボタンを押すかの様に世界を消して良い訳がない。

 

 

《キィン!》

「ああ!?こんな時に、メール!?」

 

 

“《旧・神族》の方は、任せておけ!サクッと片付けて来るからよ♪  by【破滅を導く者】”

 

 

【破壊神】の称号を持つ、シェイドからのメールだった。

シェイドは、世界の【外】で俺からのメールを待ちながら、待機している奴の一人だ。俺が、別の事に集中しているのを見越して《旧・神族》の動向を監視していたらしい。

 

 

「はっ!なら、よろしくっ!!」

 

 

【外】の連中も、暇しているらしい。その暇を利用して、《旧・神族》の監視でもしていたのであろう。

俺だけの隙を狙って、干渉して来たのが運の尽きとなった訳だ。

 

 

「残念だったな!まさか、俺が一人でここに来ていたと思ったか?んな訳あるか!俺は、《神殺しの異端児》だそ!?神を殺せない《神殺し》が、一人で戦う訳が無いだろうっ!!」

 

 

アカシックレコードから、必要な情報を抜き取り閲覧する。

 

 

「ああ、クソォッ!干渉できない時間軸でっ!!」

 

 

コンソールを呼び出して、シェイドにメールを打つ。

内身は、《旧・神族》のヤツが【中】にいることを知らせる為のメールだ。返答には、シンプルに“お前が、討て!”のみ書かれていた。

 

 

「だから、干渉できない時間軸なんだよっ……って、待て!いや、できる!翼が言ってたじゃないか!《ルール・ブレイカー》を、この世界の【過去】に突き刺したって!!」

 

 

良かった。

余りの嬉しさに、小躍りしそうになるけど我慢する。

こちらの状況がわかるのか、影の中からあるモノが入ったバットケースが上がって来た。

 

 

「ありがとう!」

 

 

それを受け取り、中身を確認する。

中にあるのは、一メートル程度の細い鉄の棒が数本。

それを確認して、肩に掛けた。一本あれば、事足りる。

これはそういうものだし、その為に造られた偽物だ。

胸の奥にしまってある、劣化術式と《ルール・ブレイカー》の【鍵】を抜き出し12歳の姿へ。

 

 

「リンカーコア排出!……………………コア・ブレイク!」

 

 

胸の中央から、ピンクに輝く【なのはママ】のコア(偽)を取り出し、左手で握り潰す。

本来の回路に繋がって、準備は整った。

目指すは、凍真達が殺される少し前。

世界の終演が行われている、闇の書事件最終決戦へ。

 

 

「《アクセス!》」

 

 

己の内面に意識を向ける。

人工魔術回路が、蒼く輝き始めた。

美しいまでの紋様が、身体の表面に浮き上がり……まるで、芸術品の様にも思える。人工的に刻まれた魔術回路。

自らを組み換えて、状況に適したモノへと変化させるシステム。今の俺では、通常か戦闘かの二択しか無いけど……それはそれで、十分だった。

 

 

「さてと……それじゃ……あ!いやいや、間違えた」

 

 

口の端がつり上がり、ニヤリと笑ってしまう。

滑稽ではあるが、それでも思い付いてしまったのだ。

こういう宣言も、悪くはない。

 

 

 

 

 

「……さあ!絶望を払いに行こうか!!」

 

 

 

 

 

 

 




如月双夜が実は、転生者だった可能性が!?でも、人間じゃ無くなった……って?まさか、自力で転生したのか!?
【次元の果てから】の奴等があんなカオスな方々なので、あり得ない話ではなさそうだ。
そして、双夜が厨二病を発症!!
つまり、【絶望を払う者】誕生の瞬間。

不知火翼が、かなりのチートだったオチ。

《旧・神族》が、直接干渉してきちゃった。
そのせいで、未来が無くなっちゃった的な話に……全く、酷い話になる。

そして……そして、漸く「さあ、絶望を払いに行こうか!」の台詞を出せた。設定に、書いてあるのに出せないとか、とっても焦らされる結果にwでも、題名と同じ言葉をキメ台詞にするのはどうなんだろう?
とは言え、その題名は(仮)で本決まりではない。
もうひとつ、候補があるにはあった。
『キチガイの世界からこんにちわ』……って、題名が……w
どっちが良いか迷ったあげく、『絶望を~』になっちゃったんだよ!!本当に、どっちが良かったんだろう?

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