絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四八五話

Re:

 

 

「秘密基地が、かなりの魔境だった件」

 

思わぬ出会いを経て、自分達が置かれた状況がかなりヤバいのだと知ったその日……俺は、諦めの境地を知った。

更に、その翌日には師匠も戻って来て魔境の件を伝えたら『何言ってんのコイツ?』と首を傾げられる始末。いや、師匠がそういう反応をするのはわかってたんだけどさぁ……秘密基地が、魔境だって言うのは言われないとわからないじゃないですか!?というか、この中からイリヤスフィールを選べば良かったのでは?態々、別の所に赴任している使い魔を呼び戻さなくても最強種が側に居るじゃ無いですか。だというのに、呼び戻された使い魔さんは何故か四文字程度の存在で最強から程遠い方だった。

 

「任期を終え、帰還しました!」

 

「うん、御苦労様。じゃ、次の任務だけど……」

 

「はいはい。待った、待った!って、師匠?任期を終えて戻って来た使い魔に淡泊過ぎます。ここは、抱き締めるとかグルーミングをして上げて労う場面ですよ!?それに、任期を終えたって事は休暇しに戻って来たんですよね?何、サラッと新たな仕事を与えようとしているんですか!?」

 

『『『おぉぉ……!?』』』

 

師匠を止めて、本来やるべき事を説けば何故か背後から感心した様な声が聞こえた。まさか、これが今まで普通に横行していたんじゃねぇだろうな?マジか、労いも無しに次々に仕事を回されていたのか!?振り返り、使い魔達の期待が籠もった視線を受けて俺は愕然とした気持ちになってしまう。ちょっと、誰か指摘してやれよ!?じゃないと、ずっとブラックな環境で仕事する事になるんだぞ!?嫌だろう?そんな、仕事場とか!!

 

「とりあえず、お戻りになられた使い魔さんは省エネモードに。で、師匠はこのブラシを使ってゆっくり優しく省エネモードの使い魔さんのモフモフを解いて上げて下さい!」

 

戸惑う師匠にブラシを握らせ、小さくなった使い魔さんを師匠の膝の上に乗せる。そして、優しくゆっくりとブラシで撫でる様にオススメすると背後からの圧が上がった。

 

――いや、ちょ、痛いです。

 

「お、おう?…………えっと、こんな感じ?」

 

「優しくですよ!?雑にやったら、労いになりませんからね!?」

 

「あ。俺、グルーミングやった事あるんで実践してみせましょうか?月村家では、仕事のない日とかは大体グルーミングで一日が潰れてたんですよねぇ……」

 

「そう言えば、お前…すずかと添い遂げたんだっけ?なら、経験者で良いんだよな?って訳で、グルーミングされたい方はいらっましゃいますか?」

 

振り返れば、既に何体かの使い魔さんが列をなしていた。いや、まあ、うん。とりあえず、師匠でなくても良いか訊いてからトーマに預ける。すると、その様子を見ていたすずか達までも参加を表明した。手伝ってくれるなら、別にありがたいんだけど。ちょっと、多いかも知れませんよ?ここに居る使い魔だけでも、かなりの数がワラワラと集まって来ているので……大変そうだ。

 

「双夜。ここは、こうして、こう。後、ここをこうして上げると喜ぶのよ?と言っても、彼等の生態が猫と同じかはわからないけど……」

 

いつの間にか、すずかさんが師匠の隣に居てニコニコと遣り方を教えてくれていた。いや、本当に有り難いッス。

まあ、当人は師匠を構い倒せるからそうしている節があるけど。でも、良い事ではあるので見なかった事にした。

下手にイジろうとすると死ぬ。

それでも、勇者は居るんだけどな?

全く、わかっている癖に。

師匠に突撃しに行って、影鞭でペイッと背後へと投げ捨てられる師範代その1が見えた。その直後に、その2もペイッされる。

 

「はぁ……予測出来ているだろうに……」

 

「アレも、一種のジャレ合いだろう?」

 

「もっと普通に、ジャレ合って欲しいです(苦笑)」

 

「……だが、ありがとう……」

 

「良いッスよ。いつも、お世話になっているみたいなんで……これくらいは。それに、やらせるって言ってたし?」

 

「そう言えば、そうだったな……」

 

とりあえず、十七文字のアルカさんをグルーミングして世間話的な事をしてた俺。その後も、師匠にグルーミングされた使い魔が師匠にして貰えなかった使い魔に自慢している場面があったりしたけど……だからと言って、師匠に突撃する使い魔は居なかった。

 

――不文律か何かあるぞ?コレ……。

 

だからと言って、それを俺が知る事は出来ないんだけどな?例え、端末を操作した所でソコに記載されている情報には限りがある。

流石に、師匠の使い魔に関しての情報なんて出回っていないだろうと思いつつ調べてみた。とりあえず、使い魔には序列がある模様。一応、多くの《神殺し》が使い魔(眷属)を所持してはいるけど。師匠みたいに、何十万と作る奴は居ないのでどんなルールが使い魔達の中でが生じるとか実験した者も居ないとのこと。

そういう情報は、師匠が持っていると記載されていたけど……あの様子を見る限り、使い魔の情報を収集している様には見えなかった。つまり、『わからない』という事がわかっただけだ。

所詮、師匠に取っての使い魔ってのは人手でしか無い。合理的と言えば、聞こえは良いけど使い魔達に取っては溜まったもんじゃ無いだろう。それに、誰か別の奴がアップし続けないと使い魔情報はいつまで経っても集まらないだろうな。だからと言って、それを俺がやる気は無いけど。とりあえず、その辺に居た使い魔さんにそういう情報のまとめサイトが無いか訊いてみた。

 

「それ、誰を主人にするかで大きく変わるので諦めたヤツですね。ああ、主人というのはウチのMasterだったり他の《神殺し》だったりでルールが大きく変わるんですよ」

 

「…………そーなんだ?」

 

「そもそも、使い魔の使い方が違うのが原因なんでまとめようにもまとまらないっていうのが正解」

 

「まとめ、られなかったのか……」

 

「なので、そういう話を聞きたかったら統括者を探すと良いでしょう。因みに、統括者は自然と生まれる存在だから主要使い魔に聞いても違うからな?」

 

「マジか……つか、暇してる使い魔って居るのか?」

 

「…………暇そうに見えるのか?」

 

「全然。だから、困ってるんじゃないか……」

 

「……………………」

 

ちょっと、呆れた様な目で睨まれて居るように思うんだがこっちだって調べられるモノなら調べたいんだ。

そりゃ、仕事中は無理でも移動中の束の間に聞けるなら聞いてみたいと思う。そうすれば、多少の歩み寄りも可能になるかも知れないからな?まあ、使い魔と仲良くなっても意味があるかはわからないけれども。

 

「道は、遠いいなぁ?」

 

とりあえず、見える範囲を俯瞰する様に眺める。

見える範囲に、師匠の使い魔が何十匹も居るけど、全員省エネモードで思い思いの時間を過ごしている模様。とは言え、何体かは寝転がりながらもピリッとした空気を纏っているから彼等が護衛の使い魔達なのだろう。こうして見ると、そこそこの数の使い魔が俺達の護衛に回ってくれているみたいで誰がどんな役割を持っているのかわからない。だけど、少し嬉しくなった。

 

「とりあえず、拝んで置こう……」

 

「止めろ!拝むな!土下座を始めるな!!」

 

「そーいえば、お犬様は居るのにお猫様が居ない歴史……」

 

崇め奉ろうにも、猫って気まぐれだから上手く行かなかったんだろうなぁ?その点、お犬様は呼べば来る上躾も楽で使いやすかったのだろう。そう考えると、人間並みの知性を持つ崇め奉るのに適切な気がする。

だから、『悪戯』等と呟きながら聞いてみた。

 

「お犬様ならぬお猫様。それをネタに、悪戯とか思い付きませんか?寅の毛皮に負けて干支に入れなかったお猫様?」

 

「喧嘩売ってんのか!?テメェ……」

 

「まさか。でも、可能でしょう?《魅了》持ちの使い魔に、原作人物を落とさせてイレギュラー達に転生者か!?と思わせつつ、ワザと殺された風を装えば……囮要らずですね?」

 

「…………フム。成程、一理あるな……」

 

「そうなれば、悪戯したい放題のやりたい放題ッスよ?猫は、祟る生き物なんだからイレギュラー相手にホラー系で責めまくり?」

 

「…………もっと、詳しく!!」

 

そんな、悪戯の提案をしていたら背後から師匠がニッコリ近付いて来た。まさか、使い魔より先に師匠が釣れるとは……ヤベ。

 

「いや、その、えっと……発想的なモノは、ホントにそれだけなんですが……使えそうですかねぇ?」

 

「もっと早く、お前からその話を聞けていれば……あんなにアッサリ殺さなかったのに……」

 

あ、なんだろう?何故か、師匠がとても悔しそうにしているんですけど!?もしかして、そういうシチュエーションが可能な転生者が居たのか?面倒臭そうに、転生者狩りに参加したから悪戯とか思い付かずにアッサリ殺しちゃったのかも?残念無念でしたね?

 

「相手が、自害するまで追い込むにはどうすれば良いんですか?」

 

「お前……まさか、転生者を心霊的な方法で自害に追い込む気か!?そんな、面白そうな話……何故、もっと早く思い付かなかった!?そうか、自害するまで追い込めばストレスも溜まらないな!!」

 

グッと、拳を握り邪悪な笑顔で何かを考え出した師匠を横目に集まって来る使い魔達に苦笑いを浮かべる。どいつもこいつも、『悪戯』と聞けばワラワラと集まって来やがって……愉しそうだなぁ?えぇ、おい。やる気満々の使い魔達を置いて、師匠はフラ〜と何処かへ行ってしまうが使い魔達は俺に案を出せとせがんで来る。なので、心霊が元でノイローゼになり自害してしまった人の話をチョイチョイしてみる事に。そこへ、白亜やトーマが参加して途中から百物語風になってしまったけど。結構、面白かった。

 

「とりあえず、次の世界へ行くまでにある程度は形にしておかないとなぁ?つか、ミッドで肝試し的なイベントとか無かった?」

 

過去には、戦争でたくさんの人々が死んでいるんだ。

心霊の一つや二つ、絶対あるに決まっているじゃないですか!?というか、あるよな?な!?

 

「地球なら、割とポピュラーな話だけど……ミッドは、なぁ?」

 

「ミウラん家とか、どうよ?山の中らしいよ?」

 

「後、道場とか狙い目か?居合の師範が居るんだろう?」

 

「無人世界で、幽霊騒ぎは出来ないからミッドでかなぁ?」

 

「猫の祟りって、どんなモンよ?」

 

「飯の上を飛び越えたら、死ぬ?」

 

「あー……なんか、そういう昔話を見た記憶があるわ~?」

 

「ポルターガイスト!扉パタパタ、人影が!!」

 

「いや、だから、猫だよ。猫の祟り!!」

 

「ポロリもあるよ?」

 

「猫の?それとも、人の?」

 

「もちろん、転生者の頭が……」

 

「夢魔に、夢で悪夢を見せまくる?」

 

「エッチなヤツ?」

 

「お前、そんなだから性転換するハメになるんだよ!!」

 

トーマと白亜が、好き放題言い始めると収集が付かなくなった。その内、白亜が馬鹿な事を言い出したので俺が諌める事になる。コイツは、本当にもう!!祟りに関係無い事を言って来るんじゃねぇよ!?ポロリなんて、ねぇって言ってんだろう!?

 

「首が、ポロリ……ですか?そんなモノが、恐いのですか?」

 

「何気ない日常で、それをやられてみ?阿鼻叫喚になるよ?」

 

何気ない日常で、唐突にそんな事が始まったら蜂の巣を突いた様な大騒ぎになりますね。つい、今し方まで生きて話していた相手の首がポロリ……どんな、鬼畜シチュエーション!?

 

「止めてやれよ。そんな、シチュエーション誰が対応出来るんだよ?首ポロリもそうだけど、一瞬で腐り落ちるのも恐怖だよな?」

 

「一瞬で、腐り落ちる……ですか……」

 

「昔、映画で見たヤツだね?でも、アレはコメディ……」

 

「それを、ホラーかパニックに変換すれば良いんじゃね?」

 

「それ、トラウマになるんじゃ……」

 

「どうせ、自害に追い込むなら別に構わないんじゃね?」

 

俺が、まだ満男だった頃に見た映画の話で盛り上がる。と言っても、映画の内容ではなくそれを如何にホラーへ転換するかで盛り上がっている訳だが……周囲の使い魔達が、とても喜ぶので逆に俺達は恐怖で震えていた。

これ、完全にネタ提供ですよね?わかります。他にも、ちょっと古めかしい映画のネタで使えそうなモノを喋っているといつの間にか師匠まで俺の隣に居てヒャッとした。

気配消して、背後に立たないでいただけますか!?

 

「ジェイ○ン。斧持って、仮面被って襲って来る」

 

「チェーンソー版もあったよな?」

 

「それ、二次創作。本物はナタとかナイフだったよね?」

 

「あるぇ?斧じゃなかった?」

 

「多分、チェーンソーのイメージが強く残ってたんだろうな?」

 

「切り裂きジャック……は、対象が女か……」

 

「とりあえず、殺人鬼から逃げ回るヤツは怖い」

 

「…………その殺人鬼、どこから連れて来る予定だよ!?」

 

「え?あー、そうか。関係無い人を巻き込む事になるのか……」

 

そういうのは、事件が起きなきゃ意味が無いってぇの。

だからと言って、転生者を追い詰める為に犯罪を犯す訳にはいかないので諦める。そりゃ、使い魔達による使い魔のみによる殺人鬼演出とか考えなきゃならない。だけど、それも難しい。使い魔には、確固たる住民権が無いから次元漂流者扱いになってまともに捜査されない可能性がある。

しかも、次元漂流者のみを狙う殺人鬼なんて今一怖がられないだろう。そりゃ、一定数の恐怖は得られるだろうけど事件が進めば進む程に恐怖が薄れる気しかしない。

 

「住民権とか、得られますかねぇ?」

 

「……ああ。そうか、次元漂流者扱いになるのか……」

 

「一応、捜査はしてくれるだろうけど……難しいわね」

 

「次元漂流者のみを狙う殺人鬼……なんて、な?」

 

「ある程度は、怯えて貰えるだろうけど……」

 

「余り、優先的には調べて貰えそうに無いな……」

 

「住民登録する為には、ある程度の日数が必要になるから……年単位での潜入が必要になるよなぁ?」

 

「面倒臭いわね。パパッと、やれれば良いのに……」

 

「大規模的なヤツになると更に面倒だぞ?目指せ、次元騒乱罪!」

 

「ジェイル・スカリエッティ並みに大変なヤツw」

 

「結局、使い魔のみでは小規模に抑えられるから住民を巻き込まざるを得ないってか?ぶっちゃけ、クローンでも作るか?」

 

「そうなると、原作人物関連になるから余計面倒になるんじゃ?」

 

「ちゃんとしたシステムがあると、ここまで面倒になるのね……」

 

「アニメの時は、それ程深く考えなかったけど……」

 

「とりあえず、年単位系は止めよう。直ぐに出来る、簡易殺人鬼騒乱事件の演出を考えないとな?」

 

本音を言えば、一つの地域規模で小ぢんまりとしてて良いからニュースにもなるレベルの騒ぎを起こしたい所。

だが、ミッドチルダにある現行のシステムではちょっと上手い具合の事件を起こせない。そこそこの縛りプレイと共に、目の前に積み上げられる問題が俺達の行動を阻害していた。

 

「それ、捏造できるぞ?」

 

――ハズだった。

 

「要は、住民権があってその人物の知り合いが居れば良いんだよな?仲の良い人と、働いている会社と殺される人物を語れるこの世界の住民が居れば問題無いんじゃないか?」

 

「「「……………………」」」

 

ウチの師匠が、何やらとんでもないムチャを言い出したど?そんなん、そうそう簡単に捏造出来る訳が無いじゃないですか!変な事言わないで下さいよぉ?ハハハ……クソぉ!自分が騙せない。

 

「簡単だぞ?対象となる人物達には、酷い悲しみと絶望や苦しみを与える事にはなるが……数年もすれば、忘れてしまう程度の話だ。しかも、トラウマとして残らない」

 

「いやいや、酷い悲しみと絶望や苦しみを与えるのにトラウマにならないとかあり得ないんッスけど!?」

 

「僕達が居なくなれば、忘れる事でもか?」

 

そう言えば、そんなシステムもありましたね。俺達、《神殺し》は基本的に人々の記憶に残らない。だから、例え今は悲しみに暮れたとしても俺達が引き上げた時点でソレ等は無かった事になる。

 

「なんか、とても酷い詐欺を見せられている気分だわ……」

 

「全く、遺憾でありますなぁ?いや、便利だけれども……」

 

「なんて、御都合主義……いや、褒めて無いです」

 

ソレを聞いた当初は、なんて酷いシステムなんだと憤りを感じたりもしたが、こういう話を聞くとなんて都合の良いシステムなのかと感心してしまう。

成程、これが『あらゆる方面から見た物事の捉え方』か。

確かに、不便だったり便利だったりするなぁ?

一概に、何とも言えないけれど。時と場合によって、どんな風にも捉えられるそのシステムは『恐ろしいモノ』と感じられた。誰が、考えたかは知らないけど使い様によってはとても怖い代物だ。

 

「人間関係のやり直しとか、なんて酷いシステムなんだと思ったけど……こういう時は、とても便利に感じますね……」

 

「まあ、人間関係のやり直しはとても面倒だけれど……システム的には、修正作用の副産物でしか無いからなぁ?合理的だとは思わないか?不要な要素を取り除いて、世界の歴史や分岐を修正するシステムがもたらすソレは矮小な人には関係ないから」

 

「……………………」

 

合理的とは!?何となく、師匠が言いたい事はわかる。

わかるけど、アレを合理的というのは違うと思われた。

そもそも、そんな修正を必要とする世界がおかしいのでは?等と、俺は思ってしまうんだけど?

そりゃさ、修正がされなければとんでもない現象が横行するのはわかっているんだよ?でも、大きな障害となりえない事まで修正するのは違うのでは?と愚行する。もしかしたら、その事でトーマみたいな犠牲者が出るのを防ぐ為に行われているかも知れないから。とは言え、その程度なら何の問題も無い様な気がしないでもない。

子供が何人か、増えるだけだろうしなぁ?

でも、そう考えると少子高齢化な世界を体験している分、若者が増える事に何ら問題が無い様にも感じたりする。

何が、問題なのだろう?その親が、転生者である事か?

 

「…………兄様が、深みにハマっている様な気がします」

 

「きっと、堂々巡りな事を考えておるのだろうなぁ……」

 

「え?ああ。えっと……修正作用が、合理的ってのはどういう意味でしょう?別に、問題無い様にも思えるのですが?」

 

「修正されなかったら、普通に問題しか無いけど?って、ああ。そうか、神崎が考えているソレは根本的な部分に大きな間違いがあるんだ。そもそも、神崎はどちら側の見方でソレを捉えている?人間か?世界か?」

 

どちら側って……そりゃ、人間側ですね。

少子高齢化とか、言っちゃってるから間違いなく人間的な視点で考えてますね。

 

「じゃぁ、世界的な視点で僕達の存在がどんな風に見えるかを教えてやろう。ぶっちゃけ、【歪み】に見えるんだよ。更に言えば、僕達が行動してあっちこっちに行くと点が線になるんだ」

 

それは、まるで亀裂が走っているかの様に世界側からは観測されるという。その為、世界はその亀裂を修復する為に世界を修正しその痕跡を消し去ってしまうんだそうだ。

 

「【歪み】、何ですか?」

 

「そうだ。【歪み】だ。とは言え、それ程大きな【歪み】ではなくてマイクロサイズの【歪み】だから空間にヒビが入っている様に見える、らしい。小さなヒビでも、大きな変動があれば大きくなる可能性があるから世界はソレを修復するんだよ」

 

特に、宇宙というのはいたる所で膨張したり縮小したりしているので凍ったフロントガラスにお湯を浴びせるのと同じ効果を得てしまうとのこと。少しでも、亀裂が入っていたら一瞬で全体がヒビまみれになるからな。

ホント、アレは衝撃的だった。

 

「良かれと思って、ぬるま湯をかけたら車が使い物にならなくなるっていうアレですね?修理費も、洒落にならなかったなぁ……」

 

「あー……でも、アレって熱湯をかけるから不味いんじゃなかったっけ?ぬるま湯でも、逝っちゃったの?」

 

「逝っちゃったんだよ。最初は、問題なかったんだぜ?でも、暫くして左下から右上に向かって亀裂が走った瞬間、バシッて……」

 

車のフロントガラスが、くもりガラス化してしまった。ホントに一瞬の出来事で、俺は目の前で起こった現象なのに暫く立ち直れなかったからな?大混乱状態で、立ち尽くしてしまったんだ。

 

「あの時のショックは、一生忘れない!!飛び石もな!」

 

「あ。それ、聞いた事あるかも?凍ってお湯。高速道路で飛び石。落石で、地獄の一月だよね?」

 

くっ……あの月は、本当に苦々しい月だった。

ぬるま湯を掛けたのは、自業自得なので致し方無いとしてもその後の飛び石や落石についてはマジで許すまじ!

飛び石させた主については、追い切れずに断念したけどあの時の恨み辛みは今でも鮮明に覚えている。つーか、若葉マークに百キロ以上の相手を追い掛けろとか無茶振りがハダハダしい。初の高速道路で、カッ飛んで行く速度違反者を追い掛けろって難易度が高いって!その後も、安全第一で走っていたというのにトンネルに入った直後に老朽化したトンネルの一部がフロントガラスに直撃。

前が見えなくて、致し方なくフロントガラスを砕いて走った記憶が……最終的に、国土交通省へ喧嘩を売ってフロントガラス代を勝ち取ったった!!

 

「そう。一月内で、三度もフロントガラスが逝かれました」

 

「何、その不幸3連続は!?たった、一ヶ月で120万消し飛んだの!?ほ、保険は?適応されたんだよね?」

 

「飛び石と落石は、適応されたがお湯は自腹だ!!」

 

「……車のフロントガラスって、40万くらいするんだろう?」

 

「まあ、前面と後面ではちょっと違うけどな……」

 

何はともあれ、中々にショッキングな話であった。もう二度と、車には関わりたく無い所だけど。いや、もうマジであんな悪夢は避けたい。とりあえず、相性が最悪過ぎてどうにもならんから。

 

「とりあえず、《神殺し》が【歪み】なのはわかりました。わかりましたが、それで人間関係までリセットされる謂れがわからないです。記憶の消去や、それに伴う歴史修正とか……」

 

「そもそも、我々が居ないと困る事なんて無いでしょう?それに、僕達は人と関わらない様に行動する事の方が多いんだよ?残っても、残らなくても影響は少ないと思うがねぇ?」

 

「ですが、この物語には干渉しているじゃないですか!?」

 

「そりゃぁ、インスタント・ソウルと同じく複製世界なんてモノは普通の世界より脆いんだ。だからこそ、丁重に扱わねば直ぐに空中分解しかねない。その上、一つの界に複数の世界が混在しているとか……無茶振りも、いい加減にして欲しいね?」

 

「本来は、一つの界に宇宙が一つなのですが……」

 

「更に言えば、平行世界があるとしても無理無く存在させるべきだろう。この世界の様に一つの界に複数の宇宙を内包させて同一の平行世界を乱立させるなど愚の骨頂!!かなりの無理を通して、複数の神々が干渉して居なければ成り立たないとか……結末も、見えると言うモノだ」

 

それ以上に、リソース問題だけでなく【台】となっている【界】の方が保たない可能性があるらしい。そうなれば、ポンッと弾けて爆散するのみとか言われゾッとした。

【界】が弾けるとなれば、その中に内包されている宇宙や平行世界が全て【外】に弾き出される。全てとは言わないが、そこにある生命は《旧・神族》に持って行かれる事になるだろう。奴等の目的である、生きの良い生命体を確保するというモノが達成される訳だ。まさか、一つの世界だけでなく複数の世界を全て手中に入れようと策謀し様とは恐ろしい存在である。

 

 

 

 

 




【界】とは、宇宙や平行世界を内包出来る空間みたいなモノです。【台】は、土台の事。基盤とか、そんなイメージでOK。因みに、グルーミングとトリミングはしっかりやりましょう!ただし、使い魔の省エネモードにトリミングをすると再起動で元の状態に戻るので意味なし。諦めるべし!!

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