絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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筆がノッてしまった……W


閑話 仕事中 2

凍真

 

 

一瞬、ゾワリと悪寒が走り目が覚めた。

目の前に広がるのは、青い空だ。それをしばらく見上げ、こんな風に平穏無事に余生を過ごしたい等と思うが……そうは、言っていられないだろう。

ガバッと起き上がると、何故か目の前にメイドがいた。

周囲を見渡して、そこがバニングス家であることを思い出す。確か……夜鏡の馬鹿に巻き込まれて、野分のルシフェリオン・ブレイカー(LB)を食らった事を思い出した。

全く、酷い目に合ったものだ。

流石に、このまま担架で運んで貰う訳にはいかないので、運んでくれていたメイドさん達にお礼を言って自分の足で立ち上がった。

 

 

「おっとと……」

 

 

まだ、フラフラしているけれど気になるほどではない。

一応、身体の動作を確認してからメイドさんの指示にしたがって屋敷の方へと足を向ける。

確か、すずかがアリサ達とお茶していたはずだ。

身体を引き摺るように、屋敷へと向かう。時間が掛かったが……何とかテラスにたどり着き、女性達の声が聞こえる部屋のガラス扉を開けて中を見た。

瞬間、ピンクのバインドに拘束される。

 

 

「な、何だ!?」

 

 

慌てていると、ヒョッコリガラス扉の間からチビッ子の頭が出てきて目が合った。

 

 

「何だ……凍真か……もたもたしてたから、馬鹿が覗いているのかと思った……」

 

 

言われて、確かに不審者的だったかもと反省する。

しかし、疑いが晴れてもバインドを解いてくれそうにないチビッ子に不安になって来た。

 

 

「…………………………」

 

 

チビッ子は、俺を見上げながら手で顎を押さえて、何やら思案中であった。何故だろう……全く、良い予感がしない。

こう、女郎蜘蛛に捕らわれた餌の如く、ドキドキしながら食べられる瞬間を待っているような気分である。

 

 

「そぉーや、何やってるの?」

 

 

「あ、アリちゃママ…………どう、料理してやろうかと……」

 

 

「っ!!」

 

 

明るい声でアリサの事を呼び、超低音ボイスで恐ろしい事を言い出すチビッ子にドン引きしてしまう。邪悪な笑みを浮かべながら、バインドを解いて部屋へと引っ込んで行った。

 

 

「……はあ。何がしたいんだ、アイツは……」

 

 

「……わからないの?」

 

 

俺の呟きに、アリサが問う。

残念だが、俺は彼女程あのチビッ子を知っている訳ではない。俺は……俺達【転生者】は、チビッ子の事をまだ理解しきれていなかった。

俺達が、知っている事は少ない。《神殺し》で、歪みのある世界に召喚されて調整する存在だとしかわからない。

 

 

「そ。まあ、良いわ……そぉーや♪」

 

 

何か良くわからないが、アリサは興味が失せた様に部屋に戻って行った。中を見ると、アリサが困っている様な顔のチビッ子に抱き付いていて、すずか達が笑っている。

少し安心して、部屋に入ると何故か注目された。

ちょっと、怯んで歩みを止めるとチビッ子が俺の背後を指し示す。振り返れば、夜鏡が爽やかな笑顔を浮かべてカッコ付けていた。成る程と、一歩引いて場所を開けてやる。

 

 

「何を話しているんだい?」

 

 

空けた間を抜けて、夜鏡が彼女達の元へと近付く。

 

 

「何で、道を開けてやるのさ……」

 

 

「どうせ、何も変わらないだろう?」

 

 

いつの間にか、隣に来ていたチビッ子に訊ねられ答える。

俺は、すずかにさえ手を出されなければ、夜鏡が何をしようとも文句は無い。

 

 

「ってか、アリサに捕まって無かったか?」

 

 

「抜ける方法は、いくらでもあるさ……とりあえず、馬鹿には……現実を教えてやるべきだろう……」

 

 

「どうやって?早々、簡単にはいかないだろう?」

 

 

「お前さぁ、群れをなしたおばちゃんに詰め寄られた経験ってある?」

 

 

「……………………無いなぁ……」

 

 

「生前を含めても?」

 

 

「ああ」

 

 

「何て幸せな……」

 

 

何故か、遠い目を何処かしらに向けるチビッ子。

一応、その状況を頭の中でシュミレートする。

群れをなしたおばちゃんに、詰め寄られるというイメージを……まあ、怖いんじゃないかな?としかわからなかった。

しかし、それがどんな意味があるのかはわからない。

 

 

「……それ、意味あるのか?」

 

 

「……はぁ。想像力が乏しいな、君達は……」

 

 

「失敬な!僕は、双ッチのいうことわかるで!?群れをなしたおばちゃんやろ?……一方的な暴力やな!」

 

 

「っ!?」

 

 

いつの間にか、真横にいる錬月に驚かされる。

 

 

「……何だ。知っているのか……なら、彼処にいる女性達がおばちゃんレベルになった頃……どうなるよ?」

 

 

「…………ああ。ハーレムの未来見たりっちゅうヤツやな!」

 

 

錬月が、少し顔を青くして納得している。

まさか、あれだけでチビッ子の言うことを理解したと言うのだろうか。

 

 

「後、ハーレムがどんなものか知っているか?」

 

 

「ラブラブのウハウハで、ツヤツヤなんやろ?まあ……その後は、地獄やけど……」

 

 

何故か、錬月とチビッ子の話がはずむ。

てか、おばちゃんの群れって『一方的な暴力なんだー……』みたいな感想を得た。

だけど、今一イメージが湧かない。

 

 

「なんだそれは?っと…………凍真が、今一要領を得てないみたいだぞ?」

 

 

「せやな…………あ、良いこと思い付いたで♪」

 

 

「良いこと?」

 

 

「凍真、イメージが湧かへんのやったら僕が一発で思い浮かばせてやるでぇ?」

 

 

「ほぉぅ……」

 

 

「要は、スーパーで見かけるタイムセールに群がっとるおばちゃんって考えたらエエんや!」

 

 

錬月のおかげで、おばちゃんの群れという恐ろしさを明確にイメージできてしまった。それを、目の前にいる彼女達と重ねると……恐怖の光景が目の前に浮かんでくる。

『少し、頭を冷やそうか?』と魔力を集束させつつ、笑顔で恐怖を撒き散らす【白い悪魔】とか……黒化した吸血姫とか……色々。

そんなモノを想像する度、ゾワリ、と背筋に寒々とした悪寒が走り……さあぁっと、血の気が引いて行った。

 

 

「ああ、あれなぁ……売れ残った最後の商品に群がるおばちゃんみたいだよな。我先にと手を伸ばし、敵の手を払い除けて争う一方的な暴力の時間。ギラリと殺気をみなぎらせて、獲物を狩る獣の如く有らん限りの声を張り上る様は……普通に怖い」

 

 

「やめーや……今、悪寒が走ってもうたやないか!」

 

 

「……すずか達が、そんな風になると……?」

 

 

「人間は、年老いて行く生き物だ。順当に行けば、ほぼ間違いなくなるだろう。で、子供が生まれればその将来すら考えなければならない。ハーレムだったら、尚の事……しかも、母が多いって事は子供もいっぱいいるって事だろうから……肝の座り切った母親が多いだろうなぁ……。なのは、さんとかは、確実に……」

 

 

「アカン!未来が……未来が、見えるぅ!!」

 

 

錬月の言う通り、明確なイメージが頭の中にドンドンと思い浮かんで行く。そして、行き着く未来のイメージすら明確になった。

 

 

「ハードな人生だな……」

 

 

「まあ、その前に……下半身が、インポッシブルになって……馬鹿なら、薬に走るだろうから……身体がボロボロになるんじゃないかな……?」

 

 

「え……なんで!?」

 

 

「歴史を紐解けば、そんな話はゴロゴロしているぞ?王室側室関係の話しと言えばわかるか?最終的に薬に頼り、身体を壊して死に至るとか……すじゅか辺りなら、良く知っているんじゃないかなぁ?」

 

 

「ああ。そういやぁ、聞いたことあるわ……なんやったかなぁ……?」

 

 

最早、言葉すら無かった。

聞いた事がある様で、全くわからない方面の知識だ。

 

 

「とりあえず、あの馬鹿にハーレムがいかに恐ろしいモノなんか教えてやらな……」

 

 

そう言いながら、チビッ子が自分の胸からリンカーコアらしきモノを取り出し、握り潰したのである。

 

 

「ちょ、おまっ!?」

 

 

「問題ない。俺にとって、リンカーコアは消耗品みたいなモノだ……」

 

 

「リンカーコアが……」

 

 

「消耗品やて!?」

 

 

「ああ」

 

 

大人モードをへてチビッ子は、夜鏡の頭を鷲掴みにする。

ゴキッ!と首が鳴って後ろ側に引き倒され、蒼いバインドで拘束されていく。っていうか、リンカーコア無しで魔法を使っているってどういう事だろう。

 

 

「さて、君は未だにハーレム願望があるのかい?」

 

 

「テェメェには、関係無いだろう!?」

 

 

「いやいや、ちょっとだけ関わっているんだなぁ……」

 

 

「ああ!?」

 

 

「だから、君にはハーレム願望を諦めて貰うよ?」

 

 

邪悪極まりない笑顔で、馬鹿の頭を掴んだままアリサに別室を借りると告げチビッ子は夜鏡を連れて行く。

 

 

「ハーレム願望……ね。どうりで、やたら周囲の女性に声掛けるはずよね……」

 

 

「せやけど、この日本では重婚なんてできへんやん……」

 

 

「……結婚しないまま、同居するつもりだったのかな?」

 

 

「ミッドでは、その辺りどないなん?」

 

 

女性の会話に、錬月が加わる。

小さく溜め息を吐いて、自分もその輪に加わって行く。

 

 

「お前も、ハーレム願望があるのか?」

 

 

「ありませんって!ハッハッハッ……」

 

 

「でも、男の子なら一度くらいあるんじゃ無いかな?」

 

 

すずかに問われて、錬月は少し考える様に視線を下げる。

だけど、直ぐにすずかを見て言った。

 

 

「僕は、誰かの幸福を見とる方が性に合っとるねん……例えば、凍真とすずッチとかな?」

 

 

ニヤニヤし始めた錬月の顔を見て、すずかが顔を赤くした後視線を下げてモジモジし始めた。

 

 

「良い趣味してるわね……あんた」

 

 

「せやろ?恋のキューピットとか、やっとた方がずっと楽しいで?まあ、一応恋人おるんやけどな……」

 

 

苦笑いで付け加えられた一言に、俺は驚愕した。

 

 

「え……聞いてないぞ!?」

 

 

「そら、言っとらへんからな……」

 

 

「な、何故!?」

 

 

「恋愛云々で、弄られとうは無い!!」

 

 

腕を組、堂々とそんなことを言い放つ錬月に言葉を失う。

コイツ……人の事は散々オモチャにしておきながら、言うに事欠いて弄られたくはないとはどういう了見だ。

 

 

「「「……ッブフッ!……アハハハハハ!!」」」

 

 

女性達が、一斉に笑い始める。

胸ぐらを掴み、グイッと引き寄せ睨み付けた。

錬月も負けじと、俺にガンを飛ばしてくる。

 

 

「恋人って、誰だよ?」

 

 

「教えると思とんのか?」

 

 

「ああ!?てm『ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁーーー…………』

 

 

別室からの悲鳴に、俺の言葉は掻き消された。

錬月を見ると、複雑そうな顔で間の悪い悲鳴に沈黙している。かくいう自分も、先の悲鳴でこれを続ける気分ではなくなっていた。

 

 

「こら、喧嘩できる状況やあらへんなぁ……」

 

 

「気分が削がれるって、こう言うのを言うんだな……勉強になる……」

 

 

「にゃははは……」

 

 

「……せや、賭けせぇへん?」

 

 

はやてが、唐突に賭けを持ち掛けて来る。

 

 

「賭け?」

 

 

「せや!馬鹿が、更正するかせぇへんか……をな?」

 

 

何の賭けかと思いきや、夜鏡の更正するかしないかの賭けだった。だが、その賭けには興味がある。

あの踏み台転生者が、チビッ子に更正できるのかっていう疑問もあるが……早々簡単にはいかないだろうと予測された。

 

 

「何賭けるんや?」

 

 

「翠屋のシュークリームでどうや?」

 

 

「乗った!僕は、更正するに賭けるわ!」

 

 

錬月は、更正する方に賭ける様だ。

さて、俺はどちらにしようか?と考える。

 

 

「私は、しない……かな?」

 

 

すずかは、しない方に賭ける様だ。と、答えた後、こちらにすがるような視線を向けてくるすずか。その様子を見て、すずかに付き合ってやることにした。

 

 

「俺もしないと思う……」

 

 

「うーん……私も、しないと思うよ?だって、今までずっとあんなだったし……」

 

 

「そうだね……私も、しない……かな?」

 

 

なのは&フェイトも、夜鏡が更正しない方に賭けるみたいだ。余程、夜鏡に付き纏われ続けたトラウマが強いらしい。

 

 

「更正する。私は、双夜を信じるわ!」

 

 

アリサは、夜鏡というよりチビッ子を信じるらしい。

流石、母親だ。子供ではないけど、世話をしている子を選ぶところは母親って感じがする。

 

 

「私は、更正できないと思うわ……」

 

 

野分も、『更正しない』に票を入れる。

そう言えば、彼女も夜鏡の被害者だったなぁ…と思い出す。

見た目が、光星の殲滅者に似ているからと夜鏡に付き纏われていたはずだ。確か、シュテルンだったか……あまり、覚えてはいないがゲーム版のキャラだったはずだ。

 

 

「うーん……私は、『更正する』に入れとくわ。双夜君には、お世話になってるしなぁ……」

 

 

きっと、リインフォースの事を言っているのだろう。

ここに来て、恩義票とは……一瞬、悩んだ所を見ると心情的には『しない』側なんだろうが、今はチビッ子を信じる気らしい。

これで、全員が票を入れた事になる。

夜鏡が、『更正しない』側が……俺、すずか、なのは、フェイト、野分。『更正する』側が……錬月、アリサ、はやてとなった。

 

 

「これで、私等が勝ったら……一人一個ずつ、シュークリームをおごるんやで?」

 

 

「ってことは……五対三やから、僕等が勝ったら、一人五つずつ。そっちが勝ったら、一人三つずつって事かいな?」

 

 

「せや!いっぱい、食べれるやろう?」

 

 

「……………………」

 

 

ただ、食い意地が張っているだけだったみたいだ。

 

 

「そう、うまく行けば良いがな……」

 

 

………………………………

 

 

 

……………………

 

 

 

結論だけを言おう。

夜鏡は、更正……した。いや、更正したというよりも……何て言うか……女性恐怖症となって帰って来た。

 

 

「女、怖い……ハーレム嫌い……(ガタガタブルブル)」

 

 

「って、何しやがった!?」

 

 

部屋の隅で、なのは達に怯える夜鏡がガタガタと震えている。誰が、どう見てもその光景は異常の一言に尽きた。

 

 

「……まあ、僕が体験した記憶を追憶してもらっただけなんだけど……」

 

 

「記憶を追憶?」

 

 

「あー……仮想現実で、実施体験?みたいな感じで……それを、高速化してエンドレスのバッドエンドルートを数セット」

 

 

良くわからないが、色々やったらしい。

後半、声を小さくして早口で捲し立てていたが……ろくでもない行為と、俺は受け取った。

 

 

「最初は、すごく楽しんでいたんだぜ?ハーレム最高!って……ただ、不満を爆発させたおばちゃんの群れ体験をした辺りから、女性の恐ろしさを自覚し始めて……最終的に、ああなった……」

 

 

「ひぃっ……く、来るなッ!来るなあぁぁぁ!!」

 

 

なのは達が近付こうとする度に、声を張り上げて恐怖におののく夜鏡。最早、精神疾患のそれである。

 

 

「なんや……コレ……」

 

 

「暴徒化したハーレム体験は、キツかったらしい……」

 

 

「暴徒化したハーレム……って何だ?」

 

 

「他人の欲望成就の為に、自分が道具扱いされる事に嫌悪感を抱く者は多いって事だよ。それが過ぎると、人はそれに恐怖を抱き……自分に向けられれば、精神を病むって事さ」

 

 

「???」

 

 

チビッ子は、苦笑いして冷ややかな視線を夜鏡に向ける。

やはり、このチビッ子が何を考えているのか俺にはわからない。得たいの知れない存在のままだ。

 

 

「さて、僕は部屋に戻るよ。アレは、君に任せる……」

 

 

「何か予定でも?」

 

 

「君達のやらかした原作ブレイクの後始末。それから、僕のやった改竄による影響を修正しないといけないからさ……」

 

 

「調整と修正……か……」

 

 

「ああ。またな……」

 

 

それだけ言って、チビッ子はこの部屋から出て行った。

このカオスと言って遜色ない状況を放置して、更なる混沌に向かって行く。

 

 

「はあ……さてと……」

 

 

チビッ子を見送って、自身もカオスと化した状況に飛び込んで行く。先ずは、煽る錬月を沈めて夜鏡を怯えさせる女性達を、宥め抑えないと状況を納める事はできないだろう。

この状況を静めなければならない苦労の予感に、溜め息が出るけど何とかしない事には治まる気配は無い。

むしろ、段々カオスがエスカレートしている様にも感じられる。全く、とんでもないカオスを押し付けられたモノだ。

この状況を治めるだけで、この日は終わって行く。

夜鏡は、この後しばらく女性に怯え続け周囲を驚かせていた。仕事にすら影響が出ていたらしいから、本当に更正して……いや、更正と言って良いのかはわからないが、改善はされたらしい。

踏み台が、【原作】にアプローチする様を密かに楽しんでいた俺的には、肩透かしを食らった気分であるが……【原作+α】には、好評だ。

 

 

「はあ……疲れた……」

 

 

自宅の部屋のベッドの上で、今日の疲れを溜め息と共に吐き出す。本当に、今日は色々あった。

あり過ぎた……とも言えるかも知れない。

瞼が落ちるその瞬間、燃える様に輝く赤い何かを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ふふ♪」

 

 

「…………ん……?」

 

 

何かが聞こえて、フと目が覚めた。

辺りを見回して、そこが自分の部屋でないことに気が付いた。起き上がろうとして、ほとんど動けない事に気が付く。

ハッ!として、目を開けると薄暗いけれど確かな灯りが部屋を照らしている。良く見れば、天井だと思っていたのは布状のナニカ……。それで、そこが何処なのか判明する。

どうやら俺は、月村家にいるらしい。

 

 

「……………………先輩♪」

 

 

その声で、傍にすずかがいるんだとわかる。

だが、何処かおかしい。何て言うか……熱に浮かされた様な、猫なで声というか……トロけた声が聞こえる。

頭だけは、自由に動かせる様なので、身体の状況を知るために持ち上げた。すると、俺の身体というか『俺』自身が大きなリボンでラッピングされてベッドに横になっている。

リボンからは、何か甘い臭いがしていてそのせいですずかがトロけているようだった。

そうこうしていると、すずかが顔を上げて目が合った。

赤く充血した目と、金色に輝く瞳孔と視線が交差する。

ドクンと、心臓が跳ねた。

その瞳に、どんな効果があったのかはわからないが目の前の女性を滅茶苦茶にしたいという欲求が込み上げてくる。

しかし、身体は動かせず……だけど、一部だけがその興奮に応えた。すずかの視線が、それを捕らえる。

 

 

そして、動けない身の俺は全てをすずかに委ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………なにコレ?」

 

 

「エロ小説?」

 

 

「えー……凍真をリボンでラッピング言うたら、コレやないんか!?」

 

 

「「…………飢えてるんだな……」」

 

 

どういう流れかはわからないが、錬月が変なものを執筆して持ってきた。チビッ子も普通に読んでいるので、全年齢対象かと思っていたのだが……後半に行くに連れて、ハードな内容になっていく。

 

 

「だから、何がしたいんだよ!?」

 

 

「せやかて、僕は双ッチに凍真をリボンでラッピングしてすずッチに渡したらどうなる?って、聞いたから……」

 

 

だから、こんなモノを書いたらしい。

 

 

「ミッドの恋人に慰めて貰ってこいよ……」

 

 

「!?なんで、僕の恋人がミッド出身やて知ってるんや!?」 

 

 

「フッ……愚問だな。使い魔に尾行させた!」

 

 

自身満々に、そんなことを言い出すチビッ子。

そう言えば、このチビッ子の戦力を考えると……この程度の事、調べるのは造作もないだろう。

全く、とんでもない子供である。

 

 

 

 

 




追憶体験は、ハーレムがラブラブでウハウハなんだと考えている踏み台にはキツい話である事は事実である。『その後』とか、『将来性』を全く度外視してるからなぁ……。
ハッピーエンドと人生は違うモノなんだよ。
ゲームや物語でのハッピーエンドは、そこで終わるけど……人生のハッピーエンドは、本人が死ぬまで続く拷問みたいなモノだからね?それをエンドレスで知ってしまった踏み台は、それでも続く拷問じみた幸福に絶望する。
結果、夜鏡皇也は『女性恐怖症』を患ってしまった。
哀れ……。

オチは、トバッチリで錬月w

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