絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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以前、ボクサーが良い一撃を貰って気を失う直前に見た女性に惚れると言う話を聞いた事がある……。ハテサテフム、如月双夜の場合はどうなるのだろうか?


閑話 仕事中なんだよ!!5

アリサ

 

 

 

翌朝、リビングに下りるとはやてが目の下に隈を作ってソファーにグッタリとしていた。何でも、一睡もできなかったのだという。なのに、身体は超が付くほど元気らしいので、双夜が何かしたのだろうと当りを付けた。

しかし、昨日あんなにはしゃいでいたのに、一睡もしないで超が付くほど元気っていうのはどういう状態なのだろうか。

全く、想像のできない症状にちょっとだけ引く。

疲れも無いとか、常識を軽く飛び越えた事をしつつ……その当人が目を擦りながら階段を降りて来た。

私を見て、ニパァと笑顔になる寝ボケ眼の双夜。

私が知る中で、双夜は寝起きが一番素直で可愛い。

両腕を広げれば、笑顔で私の胸の中に飛び込んで来る。

 

 

「おはよう、双夜」

 

 

「おはよぉなの♪」

 

 

ぎゅうっと抱き締めて、双夜の頬に自分の頬を擦り合わせる。モチモチとした肌と、ぷにぷにとした触感が気持ちいい。

本当に幼い子供の肌の様で、こんなのがほぼ永遠に続くのかと思うと羨まし過ぎると言うものだ。

しばらくすると、双夜が身動ぎし始めて離れて行こうとする。どうやら、完全に目が覚めてしまった様だ。残念。

 

 

「こうやって見とると、ホンマの親子みたいやなぁ……」

 

 

「あら、『ホンマの』じゃなくて……本当に親子なのよ!」

 

 

「せやけど、一万年も生きとるんやろ?年上なんとちゃうん?」

 

 

言われて、双夜を見る。

だけど、年上という感覚は無かった。

どう見ても、5、6歳程度の幼児にしか見えない上に……私にはもう、双夜が保護するべき子供という感覚しか生まれて来ない。

 

 

「残念ながら……それは君達の成長感覚であって、僕等の成長感覚とは異なるモノだ。僕等は、年間感覚で年をとらない。基本的に周期で、年を数えているんだ」

 

 

「周期?」

 

 

はやてが、疑問の声を上げる。

 

 

「不老不死にも、成長はあるって事だよ。ただ、何百年……何千年……何万年……と個体差があるけれど……それでも、ちゃんと成長している」

 

 

「ふーん……なら、双夜くんは何歳になるん?」

 

 

「僕?僕の場合は、まだ何周期で成長するのかはわかってないよ。まだ一万年程しか存在してないから……だから、零歳児って事になってるよ?」

 

 

「なっ……ぜ、零歳やて!?それ、大丈夫なんか!?」

 

 

それは、私も初耳だった。

 

ーーってか、それは大丈夫なの!?

 

零歳の赤ちゃんが、一人で生活しているとか……常識では、考えられない事だ。

 

 

「余り、よろしくはないらしい。けど、僕はあの【組織】にいたくは無かったんだ……だから、流れの《神殺し》として生活している」

 

 

「……………………」

 

 

「ぶっちゃけ、小学生なのに法関係の組織に所属して働いているタヌキと同じレベルじゃないか……」

 

 

「誰がタヌキや!?って、それを言われると弱いわぁ……」

 

 

「こっちの法からしたら、即行で営業停止になるレベル。僕も初めて聞いたときは正気を疑っちゃった……」

 

 

「……………………」

 

 

確かに、法的機関なのに小学生を働かせているのは疑問にさせるだろう。中学生でも、同じだ。

これが、翠屋の手伝いであるなら双夜は何も言わなかったかもしれない。

 

 

「法を順守するなら、最低でも高校卒業は必須だ。エリート名乗るなら、大学位は卒業しておいて欲しい……」

 

 

「…………そうよね。エリートやキャリアって言葉は、大卒の人ってイメージが強いわよね……」

 

 

「それが、ミッドチルダでは、魔力ランクが高ければエリート。学が無くてもキャリア……経験も実力も無いのに前線行きとか……アホか?」

 

 

双夜の辛辣な言葉が、はやてに突き刺さる。

それが面白く無かったのか、はやてが顔を歪めていた。

 

 

「ムッ……学力や経験は、無いかもしれへんけど……実力は、ちゃんとあるよ?シグナムやアインス、ヴィータにシャマル。ザフィーラもおる!!」

 

 

「その結果が、高町なのはの撃沈だろう?」

 

 

はやての言葉を真っ向から、バッサリ切り捨てたよこの子。

でもそれは、なのはの疲労に気が付かなかった私達にも突き刺さる。私達が、もっとなのはを気に掛けていれば……防げたかも知れない事だ。

 

 

「ぁ……ぅ……」

 

 

はやてが、言葉を失い黙り込む。

 

 

「双夜、言い過ぎよ!」

 

 

「だが、自覚は必要だ。自分達が、成長途中である事を忘れた結果がなのは、さんだろう?それが、彼女に何をもたらした?リンカーコアの出力が、数%落ちた……」

 

 

「そ、それは……」

 

 

双夜の現実を直視した一言に、言葉を返せない。

魔法なんて、ファンタジーなモノを使うくせに正論と現実的な言葉で責め立てるなんて……なんて厄介な。

 

 

「それが、学力も経験も実力も無かった君達の結果だ」

 

 

「……双夜くんは、その辺りどうなんや?」

 

 

「にゃははは。小中高を行き直して、大学も出たよ?その後、魔法大学院まで行って卒業しました。ついでに、武術機関に弟子入りして闘いの技術を習得。とりあえず、手段としては……拳・槍・剣術を修練。剣が、ちょっと苦手なんでアレだけど、そこそこ強いよ?」⬅(小学校は、この時が初)

 

 

「せ、せなんや…………アカン。負けとる……」

 

 

はやての質問は、返しの刃でバッサリ切り捨てられた。

それよりも、大学を出て魔法大学院に行ったというのは……一般的(科学系)な大学と魔法的な大学って解釈で良いのだろうか……。

 

 

「それで、良いと思うよ?」

 

 

「ーーーーー」

 

 

また、見透かされてしまった。

 

 

「武術とかも習ったんや……」

 

 

「あ。一般的な武術というよりは、【神】を殺す為の武術を習った……と言うべきかな?普通に戦うだけなら、まだ人間だった頃に習得しているよ?」

 

 

「「…………ああ!」」

 

 

はやてと声が重なった。

言われて、双夜が《神殺し》と呼ばれる存在だった事を思い出す。つまるところ、【神】を殺す為の勉強をしてその知識と技術を得た……ということらしい。小中高への行き直しも、それに関係する話らしいので私達の常識と一緒にしてはいけない。

 

 

「まあ、一般的な学校とはかなり違うかな?ああ、でも……普通の授業もあるよ?理数系とか、言語系とか……」

 

 

ただし、社会や歴史はガッツリ《神殺し》のモノだったらしい。人間の社会のそれではなく、《神殺し》誕生秘話とか【神】と【神の眷族】に関する事で埋め尽くされていたとか……しかも、双夜一人しかいないからワンツーマンだったと愚痴っていた。たまに、三対一になることもあったそうだ。

問題児だったのか、とも聞いたのだが……苦笑いされるだけだった。

 

 

「前例の無い、レアケースだったんだよ。俺って存在自体がさ……だから、アイツ等も戸惑ってたんじゃないかな……?」

 

 

それでも、しつこく聞いたらそんな答えが帰ってきた。

前例の無いレアケース。

それが、双夜だということらしい。

全くもって、なんのことやらサッパリであった。

 

 

「……おはよぉー……」

 

 

そこへ、アリシアがパジャマ姿のままで目を擦りながら降りて来た。更に、その後ろに続くのは下着姿のフェイトだ。

半分寝たまま、アリシアに手を引かれて降りて来る。

双夜が、返答しようとして振り返り……フェイトの姿を見て、逃げ出した。

 

 

「ちょ、アリシア!なんで、そんな格好のフェイトを連れてくるのよ!?」

 

 

「ふぇ?…………女の子だけだし、大丈夫かなぁって……」

 

 

アリシアは、ヘラヘラと笑いながら言い訳を口にする。

ちょっと、寝ボケている様なアリシアが『女の子だけ』を強調して発言する辺り確信犯のようだった。

その背後で、眠気を抑えきれずフェイトがコックリコックリと船をこぐ。フェイトが眠そうなのは、アリシアとはやてが眠らせなかったからだろう。私が早く起きたのは、睡眠を邪魔するアリシアとはやてを無視して眠ったからだ。

全く、睡眠妨害なんて子供じゃ無いんだから。

 

 

「ダメに決まっているでしょ!」

 

 

「何々?なんの騒ぎ!?」

 

 

「どうしたの?アリサちゃん……」

 

 

私の怒鳴り声を聞いて、なのはやすずか達も降りて来た。

見上げれば、私服に着替えた友人達の姿がある。

パジャマで下着姿なのは、アリシアとフェイトだけだった。

 

 

「……………………」

 

 

「…………zzz」

 

 

グルッと全員を見回して、アリシアはニッコリ笑顔になった。そして、フェイトの手を引いて階段を上り、半分くらいで振り返える。

 

 

「……着替えてくるね?」

 

 

「まったくもう……」

 

 

大きな溜め息を吐き、周囲を見回してみる。

しかし、双夜の姿は見えなかった。

全く、アリシアには困らされてばっかりだ。そりゃ、元気なアリシアは周りの雰囲気を明るい方へと引っ張ってくれるけど。今回は、それが裏目に出てしまった形だ。

ベランダに出て、外も確認するが……双夜の姿はない。

完全に、雲隠れしてしまった様だ。

 

 

「はあ……」

 

 

朝食が、始まる前に戻って来たら良いけど……たぶん、無理だろう。後で、探しに行かないといけない。とりあえず、いるかいないかわからないけれど呼び掛けてみる。

 

 

「フレールくん、いる?」

 

 

恥を忍んで呼び掛けてみると、ポン!という音と「うきゅ?」という鳴き声が背後から聞こえる。振り返れば、数匹の蜥蜴をデフォルメしたようなヌイグルミがフヨフヨと集まって来るところだった。

 

 

「なんやそれ!?」

 

 

「双夜の使い魔よ……フレールくん、双夜が何処にいるか……知らない?」

 

 

言葉が通じているのか不明だけど、そのヌイグルミ達は会話をしているかの様な鳴き声を上げ始めた。

しばらくすると、一匹のヌイグルミが片手を上げて他のヌイグルミ達と共に四方八方へ散って行く。

どうやら、双夜を探しに行った様だった。

 

 

「双夜くん、どうかしたの?」

 

 

「あの子、女性の裸にトラウマがあるらしくって……下着姿のフェイトを見て逃げちゃったのよ……」

 

 

「ほほぉう……」

 

 

「で、あの子の使い魔に探しに行って貰ったんだけど……」

 

 

「私達も探しに行こうか?」

 

 

なのはが、心配そうに提案してくれる。

 

 

「大丈夫よ。フレールくんに、任せておけば問題ないわ」

 

 

「ふふふ。アリサちゃん、まるで魔法使いさんみたいだね」

 

 

何故か、すずかが楽しそうにそんな事を言い出した。

私が、フレールくんを使役しているように見えたらしい。

でもまあ、悪くない気分だった。

 

 

「あら、すずかが呼んでも出てくるわよ?あの子達は……」

 

 

「え?そうなの……じゃあ、フレールくん?」

 

 

残っていたのか、水色のヌイグルミがポン!と出現した。

フヨフヨとすずかの肩に降り立って、じーとすずかを見て用件を待っている。

 

 

「え、えっと……ど、どうしよう、アリサちゃん……」

 

 

ただ、呼んだだけなのにジッと待っているヌイグルミに慌てたすずかが、私に泣き付いて来た。

 

 

「くす……ちゃんといるか、確かめただけよ。戻って良いわ」

 

 

「きゅ!」

 

 

敬礼をして、また空気に溶けて行くヌイグルミ。

普段の双夜も、あれくらい可愛ければ……と、そう考えて、その考え自体が危険な行為だった事を思い出す。

頭を小さく横に振って、その思考を追い払った私は苦笑いをしてリビングのソファーに座る。

 

 

「はあ……慣れてるんだね、アリサちゃん……」

 

 

「まあ、私の子供だもの。わかってて、当然よ!じゃあ、朝食にしましょうか……鮫島!」

 

 

「はい。かしこまりました……アリサお嬢様」

 

 

何に対抗意識を燃やしているのか、呼んで直ぐ現れた鮫島に少し呆れる。そして、その後に当然のように続くファリンさん達。食器と料理が、スピーディーに並べられる光景を見つつ苦笑いをしてしまった。

いや、本当に何に対抗意識を燃やしているのやら。

 

 

「きゅきゅ!」

 

 

「ん?……ああ。ご苦労様……」

 

 

いつの間にか、フレールくんに連れられて怯えた双夜が戻って来ていた。しきりに、周囲を見回して部屋の中を確認している所が小動物ッポクて抱き締めたい衝動にかられる。

 

 

「大丈夫よ。もう、怖いのはいないから……」

 

 

「……ホント?」

 

 

目にいっぱい涙を貯めて、上目遣いで私を見上げてくる双夜。しばらく、キョロキョロと部屋の中を見回していたが、トトトトと私に駆け寄ってきてギュッと抱き付いてきた。

 

 

「大丈夫だから……ね?」

 

 

頭に手を置いて、撫でていると段々力が抜けて行って身を預けて来たので、もう大丈夫だろうと朝食の席に誘ってみた。

了承を得たので、一緒にダイニングのテーブルに着いて手を合わせる。漸く、安全を確認したのか双夜は『いただきます』をして、フォークで器用に食べ始めた。

双夜に好き嫌いは無いので、サクサクフォークが進んでいく。鮫島の話やメイド達の話を聞く限り、本当の子供は好き嫌いがあって食が遅い事があるらしい。

だけど、双夜にそれはない。なんたって、ゴ……アレですら食べられるのだから、好き嫌いがあるはず無いのだ。

口元を押さえて、自爆してしまった自分に嫌気が差す。

まあ、一食くらい抜いたって大丈夫だろうと考えて目の前にいるなのはと目が合った。

 

 

「双夜くん、好き嫌い無いんだね……」

 

 

「……そりゃ、私の子供だもの好き嫌いなんてさせる訳無いでしょう?」

 

 

「ゴキブリだって、食えるしな!」

 

 

「「……………………」」

 

 

瞬間、真っ青になった友人達が口元を押さえて箸をテーブルに置く。双夜に悪気はないのだろうけど、そういう事は時と場合を考えて発言して欲しい。

 

 

「……そういえば、はやてとフェイトの姿が無いみたいだけど……どこ行ったか、知ってる?」

 

 

苦し紛れだったけれど、周囲を確認して無理矢理話題を変えた。だけど、みんなも話題を変えたかった様でなんの文句も言われない。むしろ、積極的に私の話に乗ってきた。

 

 

「え?ああ、そういえば……いないね……」

 

 

双夜が、部屋に戻って来た辺りからはやてとフェイトの姿が見えないのだ。一体、どこで何をしているのだろう?

そんなことを考えていると、唐突に玄関の方からバタバタと走る音が聞こえて来て、ダイニングと廊下を繋げる扉が勢いよく開いた。

そこにいたのは、水着姿のフェイトとはやてだ。

はやては、パレオ的な水着で邪悪な笑みを浮かべながら魔法の杖を構えていて……フェイトは、涙目で顔を真っ赤にして白のビキニからはみ出そうな発育の良い身体を隠している。

 

 

「逃がさへんでぇ!!」

 

 

大量の白い光の輪っかに、逃げ出そうとしていた双夜が捕まる。しかし、それも一瞬の事で双夜は光の輪っかを引きちぎりながらダイニングの窓目掛けて走った。

だが、はやて達にはそれで十分だった様で、高速移動するフェイトに双夜はあえなく捕まり……半泣きで暴れるだけ暴れた双夜は、はやての体当たりダイブによって押し倒されてしまう。ただこの時、はやてやフェイトにも予想外のアクシデントが起きてしまう。

ゴン!と大きな音がして、双夜がピクリとも動かなくなってしまった。どうやら、倒れた際に床で頭を強打してしまったのだ。

 

 

「ちょっと!あんた達、何やってんのよ!?」

 

 

慌てて駆け寄り、フェイト達の下敷きになった双夜を抱き起こす。肩を掴んで揺すろうとしたら、シャマルさんに止められた。

 

 

「頭を強く打った患者を、揺すっては逆効果になることがありますので……少し、私に任せてください!」

 

 

「あ……うん。お願いします……」

 

 

「ーーーーーにゅ!」

 

 

シャマルさんが調べ始めた瞬間、閉じられていた目がパチッと開きガバッと双夜が起き上がった。そして、シャマルさんをジィーっと穴が開くくらい見詰めて「ゆず子ちゃん?」と訪ねる。それで、私には全てが理解できてしまった。

 

 

「……幼児後退化だ…………」

 

 

最悪だ。ああ、いや……私としては、ウェルカムな事柄だが、特定の人にはちょっと……いや、かなり悪夢に近い事柄になった可能性がある。

 

 

「《リヴゥフロー》!!」

 

 

ポン!と音を立てて、シャマルさんが9歳くらいの女の子に変身する。それを見て、ああ…と頭を押さえてヘタリ込む。

子供にされたシャマルさんは、目を白黒させて自分が置かれた状況を確認していた。だが、幾度見直しても……どれだけ確認しても現状は変わらない。周囲が、ざわめき立つ。

特に、守護騎士であるシグナムさん達には辛い可能性があるからだ。守護騎士全員を幼児化した場合、どんな事になるのか予想がつかない。

シャマルさんは、幼児化により9歳の……かつて、未来のはやてが精神を病んでしまった時に双夜が治療行為と称してシャマルさんを子供にさせたのが始まりの『ゆず子ちゃん』になってしまった。対象者を二十四時間、子供の頃の姿に変化させる妖精魔法。こうなったら、どんなことをしてもシャマルさんは『ゆず子ちゃん』のままである。

 

 

「なんや、これ!?なんなんや、これぇー!?」

 

 

はやてが、頭を抱えて混乱している。他の守護騎士は、見なかった事にしてあらぬ方向を見ていた。

 

 

「ゆず子ちゃん♪」

 

 

双夜に抱き付かれて、更に混乱が加速しているのかシャマルさんの顔色が青色へと変化して行く。

そうやっていると、まるで次元航行艦に乗っていた頃の事を思い出す。遥か彼方の未来にあったでき事に、想い馳せながら目の前の光景に目を細めた。

 

 

「これが、妖精魔法っていう双夜の魔法よ!」

 

 

「妖精魔法……」

 

 

「ホンマに……私達の魔法とは、ずいぶん違うみたいやな……」

 

 

確かに、攻撃一辺倒ななのは達の魔法とは似てもにつかない双夜の魔法。ここまで、違うと魔法にはまだまだ可能性がある様にも思えて来る。

 

 

「《ロルホップ》×2!!」

 

 

「きゃっ!?」

 

 

「へぇ!?」

 

 

はやてとフェイトに、私達の目的であった胸が平らになる魔法が掛けられる。それを見て、双夜が安心したように溜め息を吐いたのを私は見逃さない。

色々と策を練っていたようだけど、双夜にはどんな策も瓦解させる魔法が存在している。だから、何をやっても無駄だ。

 

 

「な、なんやぁー!わ、私のむ、胸がああぁぁぁっ!?」

 

 

「あ……私のも無くなってる……」

 

 

「フェ、フェイトちゃん……」

 

 

はやてが、胸の薄くなったフェイトを見て驚愕の顔で膝をついた。そのまま、orzの状態へと変化していく。

 

 

「わ、私は……これから誰のオッパイを揉めばええんや……」

 

 

揉まないという、選択肢は無いらしい。一瞬、怒鳴り付けてやりたい気分になる。しかし、未だすずか、アリシア、なのは、野分、私の胸は薄くなってはいない。

警戒していると、はやてが立ち上がり「私には、まだ!」とか言い出してすずかに狙いを定める。

 

 

「《ヴルグァン》!!」

 

 

「はぅあ!?」

 

 

すずかに飛び掛かろうとしたはやてが、小さな悲鳴を上げて倒れる。はて、《ヴルグァン》とはどんな魔法なんだ?

 

 

「はやて……大丈夫か?」

 

 

「……………………」

 

 

「は、はやてちゃん……」

 

 

「……………………」

 

 

「主!?」

 

 

「ほぉへー……」

 

 

「主、どうされたんですか?主!?」

 

 

「……………………」

 

 

シグナム達の呼び掛けに、全く反応しなくなったはやて。

ずっと、自失状態でボォッとしている。

どうやら、これが《ヴルグァン》の効果らしい。

まさかとは思うが、この状態が二十四時間続いたりしない……はず。一時的なモノであると信じたい。

 

 

「ねぇ、アリサちゃん……」

 

 

「……なによ?」

 

 

「これ、二十四時間続いたりしないよね?」

 

 

「…………双夜に、聞きなさいよ……」

 

 

私には、なのはの目を直視することができなかった。

それを見ていた全員が、幼児後退化した双夜に視線を向ける。しかし、そこにいたのは無邪気にラクガキを始めている双夜がいた。

 

 

「あ、コラコラ……双夜、そんなとこにラクガキしちゃダメよ……鮫島、画用紙ないかしら?」

 

 

「はい。少々お待ちくださいませ……」

 

 

一礼して、鮫島は部屋を出て行く。

その間に、双夜を抱き上げてダイニングテーブルへと移動した。その直ぐ後、鮫島が画用紙を持ってきて双夜に渡す。

双夜は、クレヨン……ではなく、炭を握っていてそれでラクガキをしていた。

 

 

「……ってか、いつからそんなモノを!?」

 

 

きっと、フェイトの下着姿を見て逃げ出した時かな?と当たりを付けた。昨日のバーベキューの残骸を手にしている事から、あの辺りまで逃げていたのだろう。

溜め息を吐き、双夜を見て……自分の目を疑った。

目を擦って、もう一度確認して余りの驚きに言葉を失う。

何故なら、双夜の頭に白い猫の耳が生えていたからだ。

それどころか、お尻の方には尻尾もある。

 

 

「え?……ええっ!?」

 

 

ハッ!として、なのは達を確認するが……なのは達も、口をパクパクさせて驚愕の顔で双夜を指差していた。

良かった……と、自分だけでは無い事に安心して、少しだけ双夜のソレに興味を持つ。アレは、地で生えているのか……それとも、エクステの様な被り物なのか、確認してみたくなった。だから、夢中でラクガキをしている双夜に気が付かれ無いように手を伸ばし、耳にちょんと触ってみる。

すると、ピョコピョコと動いたじゃないっ!!!

今度は、先程の様なちょん触りではなく、明確に触れてみると双夜は猫耳を伏せてしまう。

 

 

「くはっ!!あ、あ、あああ、アリサちゃん!わ、私にも触らせてくれるかな!?」(ハートを射抜かれた人1)

 

 

猫好きのすずかが、真っ先に陥落してしまった。

恐るべきは、猫耳双夜。まさか、彼氏持ちのすずかを射止めるとは……。

 

 

「あ、アリサっ!わ、私も、良い!?」(射抜かれた人2)

 

 

「お、お姉ちゃん!」

 

 

次に落ちたのは、アリシアだった。

手をワキワキしながら、双夜へと一歩また一歩と近付いて行く。しかし、暴走するアリシアを押し留めているのはフェイトだった。だが、その努力を水の泡と化すのは……双夜に抱き付いたなのはだ。その後ろには、野分の姿も見られる。

 

 

「きゃああぁぁぁぁ♡♡♡!!」(射抜かれた人3、4)

 

 

とか叫びながら、双夜の耳をちょんサワサワと撫でまくる。

すると、双夜が段々嫌々そうに顔を歪め始めた。

しかし、その事に誰も気が付かない。私は、止めさせ様と声を掛けようとしたのだが……先に双夜が、キレた。

シュバッ!シュバッ!!と、爪で引っ掛かれるなのは達。

赤くみみず腫になったその傷が、ちゃんと手加減されていることにホッとした。

 

 

「にゃー!《リヴゥフロー》×10!!!」

 

 

私を含め、その場にいた全員が小学三年生くらいの姿に変化させられてしまった。鮫島やファリンさんノエルさんは、キッチンにいて難を逃れたみたいだ。

しかし、守護騎士達まで子供になるとは思いもしなかった。

あのリインフォースさんも、小さな子供に変化している。

そして、はやてはというと……呆然自失状態な上、更に子供の姿で胸の部分がえぐれている。

否、えぐれているのではない。ペッタンコを軽く越えて、肋骨が胸囲から見えてしまっている。まるで、ガリガリに痩せ細り……皮と骨だけになった人みたいだった。

 

 

「それでなくても、幸薄そうなのに……更に薄く……」

 

 

野分がブツブツと、何かを呟いているけど無視してこの混沌をどうするかで頭を悩ませる事となった。

 

 

 

 




如月双夜、幼児後退するの巻き!もしくは、猫化(笑)。
はやての報復は、水着姿でフェイトちゃんを巻き込んでの体当たり作戦。頭を打って気を失う直前、フェイトちゃん見てた訳だけど……どうなるかな?
顎じゃないと惚れないなら問題無し。
本当は、なのはさんを覚醒させて……とか、考えていたんだけどオチはヌコ耳尻尾にしてみました!
この後、双夜は事ある毎に幼児後退化を狙う【原作組+α】に狙われ続ける事になります。桃子を混ぜるかで悩みますが。
ヌコ耳尻尾は、十話辺りから続く後遺症です(笑)普段は、幻で消していますが……まだ、治ってはいません(笑)
その結果、あの場にいた(はやて含む)女性陣のハートをパキュン!と射抜きましたwという話w
双夜にとっての悪夢の開始ですw仕事が……w

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

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