絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四二話

凍真

 

 

 

俺は元々、【原作】にも【時空管理局】にも関わる気はなかったんだ。なのに、買い物に出掛ければジュエルシードに行き当たり、フェイト・テスタロッサに絡まれる。

次こそは、【原作】に関わらないと決めていたのに皇也のせいでアリシア・テスタロッサが入ったポットを盗み出す事になってしまった。その後、皇也が意識不明で【時空管理局】に担ぎ込まれ……俺は、監禁されて訳のわからないことを永遠と聞かれる。解放されたと思えば、八神はやてが凍結封印された後とか様々なズレが生じてしまっていた。

月村すずかは、【なのは】達と疎縁になるし……アリサは、アリサで変なことを言い出すし……思い描いていた未来とはかけ離れた世界になってしまう。

その数年後、天からピンクの極光が降り注ぎ俺も纏めて消し飛ばされた。

それをやったのは、如月双夜というチビッ子だ。

そのチビッ子の要請を受けて、過去の改竄を行った。

一回、二回とやって八神はやてだけが救えない。

プレシアさんまで巻き込んで、漸く思い描いていた未来に近付けたと思ったら……リインフォースから切り離した闇の書の闇が、黒いU-Dとか正気の沙汰じゃ無い。

結局、チビッ子に助けられて俺等が得たものなんて無い……と思っていたんだけど、満面の笑みで笑う八神はやてを見ていると満足感に溢れる心を持つ自分に気が付く。

なんだかんだと言って、彼女達の死が自分にどれ程の枷になっていたのかに気が付いた。

それ以来、月村すずかとの付き合いも義務感ではなく、普通に楽しめるようになっている。まあ、ちょっと積極的過ぎる彼女に気圧される事があるが……これも、幸福の範疇なのだろう。チビッ子に言われたからという訳じゃないけれど、存分にこの幸福を噛み締めようと思う。

そして、チビッ子には俺達が行った愚行の尻拭いまでさせてしまった。世界の調整は、チビッ子にしかできない事ではあったらしいのだけど……こう、モヤモヤしたモノが腹の下辺りで燻っている。そのまま、俺は日々を謳歌していた。

そして、【時空管理局】でアルバイトと称している嘱託魔導師の仕事を終えて帰宅途中での話。

偶々、見掛けた二人組が気になって後を付けていたのだが……まさか、【時空管理局】の膝元で犯罪者が暗躍していたとは驚いた。まあ、【時空管理局】の最高評議会の事もあるので天地がひっくり返る程驚くなんて事は無かったが……それでも、目と鼻の先でこんなことを目撃すると、そこそこ驚くというものだ。

因みに、こんな事……とは、二人の男女が大きな荷物を運んでいた数人の男を殺害。そして、男達の懐を探って更には荷物を確認しているという状況だ。

見て見ぬ振りなんてできないので、その場に踊り出て身分証を提示。制止を呼び掛ける。

 

 

「時空管理局嘱託魔導師禍焔凍真だ!両手を頭に組んで、その場に跪け!!」

 

 

二人組が、動きを止めてこちらを見た。

そして、相方と顔を見合わせるとまた作業に戻る。

 

 

「聞こえなかったのか!?両手を頭に組んで、その場に跪くんだ!!」

 

 

今度は、全く動じずそのまま作業を続行。

段々、虚しくなってきたその時、背中に固いモノを押し付けられる。まさか、他に仲間が!?と身体を硬直させて、それでも振り返ろうと身体を動かした瞬間、ピンク色のバインドが身体に巻き付き俺を拘束する。

 

 

「どうだ?目的の【物】だったか?」

 

 

「はい。【時空消滅弾】の部品の様です!」

 

 

聞いた事のある声が、荷物を漁っている二人に向けられている。「んん?」と、ゆっくり背後を見るとチビッ子がレイジングハートの先端を俺の背中に当てて立っていた。

 

 

「じゃあ、そいつ等も【転生者】か?」

 

 

「きっと、『凌辱系転生者』かと思われます!」

 

 

「だ、そうだ。良かったな、命拾いして……」

 

 

漸く、俺に声が掛けられて状況を理解した。

つまるところ、俺か……誰か他の【転生者】が命を狙われていたらしい。それをチビッ子達が、先回りして潰し回っているという様だった。

【転生者】達の遺体が、光の粒子となって消えていく。

 

 

「これは……死体が……」

 

 

「証拠隠滅……じゃ無いぞ?彼等は、僕の計らいで別の平行世界へ強制転生だ。今回の【転生】の記憶を消して、今度こそ普通の【転生】だ……その後、必要に応じて地獄に逆戻りかな?まあ……その為に、【魔法少女リリカルなのは】ではない別の世界を創ったんだから……」

 

 

『世界を創った』の一言に、度肝を抜かれる。

 

 

「それ、問題無いのかよ……」

 

 

「【正規転生】だ。つまり、記憶を初期化して本当の赤ん坊として生まれ変わって貰うのさ……【転生システム】は、こちらが押さえているからな。まあ、魔法が使えて楽しい世界なのは保証するよ……」

 

 

「それ、どんな世界!?」

 

 

「様々な世界のシステム突っ込んだから、混合世界とでも言っておこうかな?見た事のある人物も多数出て来るから、スゲーカオスティックな世界になっているだろう。まあ、恒星級の惑星さ……」

 

 

「……………………」

 

 

開いた口が塞がらないとは、こういうのを言うのだろう。

《恒星級》の惑星と来たよ。感心を通り越して、ただただ呆れてしまう。

目の前にいるチビッ子達が行う無茶は、全て俺達【転生者】の為の無茶だ。誰も不幸にしない為に、新たな【世界】を創るなんて……無茶し過ぎている。

 

 

「神々の玩具だとしても、誰にも幸福になる権利はある。ただ、この一つの世界の中で誰もが幸福になるのは不可能に近いからな……やり過ぎない程度に、無茶を重ねるしかないだろう?」

 

 

その為だけに、知り合いの創造主に企画を持ち込んで承認させたらしい。恐ろしいまでの行動力だ。

 

 

「知り合いに、創造主なんているのか!?」

 

 

「【次元の果て】にいたからな……《神殺しの異端児》には、そういう知り合いは多数いる」

 

 

「前から気になっていたんだが……《神殺しの異端児》ってどういう意味なんだ?」

 

 

「ああ。《神殺し》なのに【神】を殺さない存在の事だよ……殺さない変わりに、浄化して……今度は、アドバイザーとして【神】の補佐をして貰っている」

 

 

「……浄化?」

 

 

「ああ、【神】……世界の【管理者】は、人々の負の感情から発生する【穢れ】や【負の感情】そのモノを吸収して【闇】に染まってしまう事があるんだ。染まると言っても、ある程度は浄化できるんだけど……一定量を超えると、浄化できなくなって【闇堕ち】してしまう。今までは、世界の人々に危害を加える怪物となる前に歴代の《神殺し》達が殺していた訳だけど……【神の寿命】が来たって言ってね」

 

 

「神の寿命かぁ……成る程、《神殺し》は【神専属の死神】なんだな……」

 

 

「まあ、そうだな。でも、僕は【闇堕ち】や【神堕ち】した【神】を浄化する事ができる。もう一度、【神】に戻してやれる……だから、《神殺しの異端児》と呼ばれているんだ。他の《神殺し》みたいに呪われてもいないし……」

 

 

【神】を殺す《神殺し》は、皆呪われているらしい。

全員が全員似たような呪いを受けているのではなく、呪いの効果はバラバラらしいけど。

 

 

「……でも、《神殺し》なんですよね?」

 

 

「まあ、な。……撤収!」

 

 

「「はい!」」

 

 

男女の二人組は、荷物の中の重要部分のみを回収したとの事でソレを放棄したままにするらしい。

チビッ子に言われるまま、共にその場を離れて行く。

そうする事で、カメラに写ってもデータには残らないという事だった。

 

 

「色々、便利な魔法を知っているんだな……」

 

 

「神々からの神望も厚いから、他の《神殺し》には受けられない特性もあるし……な?」

 

 

「人望ならぬ、神望とか……無茶苦茶過ぎますよ!?」

 

 

「にゃははは。良く言われる……でも、だからこそ君達を助ける事ができる……【原作】とは別の幸福を示す事ができる。人生は、恋愛だけじゃない。まあ、それも大事だけど……それだけじゃ無いんだって、見せてあげれる!」

 

 

チビッ子は、そういうけれど……でも、『凌辱系転生者』は『それだけ』を目指しているからこそ【原作組】の彼女達を手に入れ様としているのでは無かったか……?

 

 

「彼等の大半は、【正規転生者】だ。つまり、地獄に落ちるはずだった【罪を背負った魂】だ。それが、救済システムを使ってこの世界に【転生】した者と一緒になった結果、【絶望】して世界諸とも滅びようとしている……」

 

 

地獄が一杯で、増築が完了するまで別の世界に【転生】させておく閻魔庁が取った急対策。別の世界と言っても、チビッ子の様に創った世界ではなく既存の世界に送ったのが全ての始まりらしい。

偶々、送った世界がとあるアニメに酷似していたという。

その【転生者】は、自分が主人公だと誤認。その世界の歴史に介入して、自分の思い通りに世界を改編しようと足掻いた結果……世界が、歪み《旧・神族》の知る処となった。

【転生者】が知る……《二次創作》というジャンル……【神様転生】と誤認が引き起こした、崩壊が全ての始まりらしい。

 

 

「君達、人間の欲望には果てが無いと言うが……全く、世界の根幹にまで手を延ばすとは……嫌な時代になったな……」

 

 

「……地獄の増設は、今どれくらいなんですか?」

 

 

ーーってか、地獄よりスケールがでかいのに……地獄より先に完成させたんですか?

 

 

「さあ……増えるだけ増やしてはいるらしいからな。時間が掛かるんだろう?それに、【転生者】は特典持ちのインスタント・ソウルも含まれるから……記憶保有者と共に、世界を歪ませに走っている様だ……」

 

 

とは言っても、【転生者】の全員が全員暴走する訳ではないらしい。幾つかの条件が重なった【転生者】だけが、暴走する様だ。

どこまでも、欲望のまま行動するアホが多いらしい。

【転生】して、記憶がある者は基本的に介入しようとするとチビッ子は言った。

死亡云々の記憶は、【転生】後にはあまり気にされないとも言っていたから、【転生者】は余程そういう状況に憧れている者が多いのだろう。

その代わり、【転生】しても記憶を持たない者もいる。まあ、記憶があってもなにもしない奴はしないらしいけど。

そういう【転生者】は、一生を普通に生きて死にまた【転生】のサイクルを繰り返しているという。

 

 

「善良な転生者は、基本的に何も知らない事が多い。生前に後悔があって、【絶望】している者程記憶を保有しているみたいだから……引きこもりや病人が多いんだ……」

 

 

「悪循環ですね……」

 

 

「だな。さて、こちらは地球に戻るが……君はどうする?」

 

 

「……今からですか?」

 

 

「リンカーコアが無ければ、一瞬で戻れるさ……一緒に帰るかい?すじゅかが喜ぶよ?」

 

 

リンカーコアを胸の中心から取り出して、握り潰すチビッ子。いつ見ても、リンカーコアを消耗品扱いしているチビッ子に驚かされる。

 

 

「あ、いえ……まだ、やるべき事があるので……」

 

 

「そうか。なら、また会おう」

 

 

そう言って、チビッ子はフッと消えた。

予備動作も何も無かったので、少し驚いたけど……周囲に魔法の反応も、残留魔力も無いところを見ると全く異なる魔法の様だった。

 

 

「…………はは。こんなん、どう追跡するんだよ……」

 

 

そんな気も無かったけれど、ザッと調べた結果からは何もわからなかった。デバイスを使っても、判ることは無い。

しばらく、呆然と立ち尽くしていたが……ここで得られるものは何も無さそうなので、早々に立ち去る事にした。

ある程度、繁華街方面に戻って来た辺りで「ドロボー!」の悲鳴が聞こえる。どうやら、俺に休む暇はないらしい。

声のした方に走ると、泥棒は既に鮮血と間違う様な赤い髪の少年に取り押さえられていた。

 

 

「全く、この辺も物騒だな……」

 

 

「あ、あの……時空管理局嘱託魔導師禍焔凍真です!状況の説明を……」

 

 

「如月双夜を見なかったか?この辺で、反応があったはずなんだが……」

 

 

どうやら、チビッ子の関係者らしい。

って事は、下手に関わらない方が良いかもしれなかった。

 

 

「えっと、地球に戻られましたが……」

 

 

「……そうか。【風紀委員】を撒いて来たのに、会えないとは運が無い……見付かる前に戻るとしよう……」

 

 

それだけ言うと、赤い髪の少年は青白い光に包まれて消えた。いや、もう何なんだ今日は?殺人現場に出くわすわ……チビッ子に会うわ……チビッ子の関係者に会うわ……何となく、嫌な予感がする。

知らない所で、思いもよらない事が進んでいる様なそんな感覚を得た。こんな日は、さっさと家に帰ってふて寝した方が賢い様な気がする。そう考えて、地上管理局員に泥棒を引き渡すと早足で家を目指す。

余り、明るくない道を歩き進むにつれ、段々何かに絡まれて行くような感覚を覚えた。ただの気のせいだ!と、気を紛らわせながら早足で歩く。たが、こういう時に限って、悪い予感が的中してしまう予感だけが俺の中に渦巻いていた。

 

 

「くそ!チビッ子と一緒に、地球に戻れば良かった!」

 

 

後悔、先に立たずとは良く言ったモノだ。

ガシッ!と肩を捕まれる。バッ!と振り返れば、腐った死体だった。

 

 

「ギャアァーーーーーッ!!」

 

 

「クールな二枚目から、『ギャー!』いただきました!!」

 

 

ボイスレコーダーを片手に、大笑いの見知らぬ奴がいた。

誰だ?コイツ……。

 

 

「あ、初めまして!如月双夜の使い魔で、貴方の護衛をしておりますパンサーと言います。以後、お見知り置きを……」

 

 

また、チビッ子の関係者らしい。

 

 

「さて、ここにありますはボイスレコーダーです!」

 

 

何が楽しいのか、その使い魔はニコニコとボイスレコーダーをクルクル回している。

 

 

「で、ですね……これ、こんな風にも使えるんですよ!」

 

 

『すずか……俺、君とは別に好きな子ができたんだ……』

 

 

「……………………」

 

 

一瞬、俺の声で再生されたソレを理解できなかった。

アハハハと笑いながら、走り去ろうとするチビッ子の使い魔。だがしかし、そいつを逃がす訳にはいかなくなった。

逃がせば、アレで何をするかわかったモノではない。

ましてや、先程のアレをすずかにされた場合……ミッドチルダでの活動は、困難を極める事になるだろう。

流石にそれは、困るので全力で追いかける。

 

 

『君よりも素敵な人が、いたんだ……』

 

 

取り敢えず、アレを殺してボイスレコーダーを奪い取る事にした。何とか追い付いて、そいつの肩を掴み押し倒す。

そして、ボイスレコーダーを取り上げた瞬間、眩い光が閃いた。見れば、インスタントカメラを構えた男が立っていてニヤニヤ笑っている。良くわからないまま、立ち上がろうとして組敷いた使い魔に目をやると瞳を潤ませた美女がいた。

 

 

「変身魔法です!こんな、美女を組敷いた貴方が映った写真は……あちらですよ?」

 

 

「……………………」

 

 

それを聞いて、言葉を失ってしまった。

なんで、こんなに手がこんでいるんだ!?

 

 

「では、地球に戻るか……」

 

 

考えをまとめる前に、インスタントカメラを持った使い魔の発言でハッ!とする。

 

 

「くそっ!」

 

 

ボイスレコーダーを手に、そのままインスタントカメラと女性を押し倒した写真を持って逃げる使い魔を追い駆ける。

しばらく走って、差が縮まらない事に気が付く。先程の使い魔と違い、この使い魔は足が速いらしい。

段々、人気のない通りに誘い込まれた。気が付いた時には、周囲に人影はなくなっていて、目の前を走る使い魔と俺だけになっている。と、突然目の前を走っていた使い魔が横道に飛び込んだ。俺は逃がすまいと、速度を更に上げてその横道に飛び込む。

 

 

「きゃっ!」

 

 

「うわぁ!?」

 

 

ドン!と何かにぶつかり、転倒してしまう。

ちょっと、脳震盪を起こしてしまったのか頭がフラフラしていた。振り返ると、銀髪の女性が倒れている。

ある程度回復したところで、立ち上がってその女性の元へと歩みより手を差し出した。

 

 

「すいません。急いでいたもので……大丈夫ですか?」

 

 

「あ、いえ……私の方こそ……」

 

 

伏せっていた顔が上がる。

そして、月明かりで見えたのは……人間を遥かに超えた造形美。とんでもない美女が、そこに倒れていた。

基本的に、この世界に不細工な人はいない。元々がアニメだったからなのか、アニメの舞台になった世界だからなのかはわからないが美人やイケメンが多いのである。

だからと言って、全体的にここまで精巧な人間がいるとは思わなかった。フラフラと、吸い寄せられる様に手が伸びる。

その手は、彼女の手を取るより先に彼女を組伏せ、その美しいまでの身体に手を這わせる。

そして、服を乱暴に引き千切ーーーーー。

 

ガン!

 

 

「があっ!?くぅ~~~!!」

 

 

凄まじい打撃を脳天に叩き込まれ、目の前に星が散った。

頭を押さえ、悶絶する。それと同時に、正気に返った。

 

 

「そこまでだ。こんな悪質な悪戯……誰が許したよ?」

 

 

「っ~~~ち、チビ、ッ子ぉ!?」

 

 

地球に帰ったはずのチビッ子が、大きめの杖をかついで俺の隣へと並ぶ。とは言え、俺は頭を押さえて転がっている状態だ。ってか、あんなので打たれたのか?俺は!?

 

 

「すまんな。使い魔が、失礼した……」

 

 

「なぜ、ここ、に?」

 

 

見上げれば、いつの間にか取り返されているボイスレコーダーと写真を受け取っているチビッ子が、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。

 

 

「お前に会ったと言ったら、『連れて帰って来て!』と願われてなぁ……仕方ないので、使い魔達に『穏便』に連れて来いと言ったらこうなった……」

 

 

「…………どこら辺が、穏便なんだ!?」

 

 

「さあ?……所で、これどうする?すじゅかに見せても?」

 

 

明確に脅してきたチビッ子に、怒りよりも先に恐怖の感情を抱いてしまう。その根底には、ニッコリ笑顔のすずかの姿がチラホラと見え隠れしていた。

 

 

「や、止めてくれ!地球に帰れば良いんだろう!?なら、帰るからすずかには見せないでくれないか!?」

 

 

「フムフム……なら、こうすると……」

 

 

全く、人の話を聞いていないチビッ子が、ボイスレコーダーを弄くり回していた。

 

 

『おぉ、我が愛しの君!なんて美しいんだ……ぜひ、俺の花嫁になって……』

 

 

「ちょっと待て……俺、そんなこと言ったおぼえないぞ!?」

 

 

まるで、踏み台の様な発言だった。ってか、今はそんなことをする気は無い。規定範囲内なら、するかもしれないが……それ以上は、成人してからだ。

 

 

「凍真の声に似ているけど……合成音だな。まあ、使えな……くもないか?電話越しになら使える!」

 

 

「ちょ、使う気か!?」

 

 

『帰ったら、プロポーズをしたいんだ!俺の愛を受け取ってくれるか!?』

 

 

「やっぱり、婚約指輪は宝石が付いたヤツじゃないとな?ダイヤモンドより、僕はルビーの方が良いと思うぞ?」

 

 

赤くて血みたいだからな……と聞こえたけど、聞こえなかった振りをする。っていうか……なんで知ってやがる!?

 

 

「ーーーーー」

 

 

「安心しろ。すじゅかには、言ってないから……」

 

 

「なんで……」

 

 

「中学生や高校生が、ちょっと働いて宝石付きの婚約指輪買える訳じゃ無いからな。お前みたいな性格の奴なら、ただ流されて付き合う様なことはしないだろう……という、常識的見解での結論だ……そういう点では、嘱託魔導師って言う仕事は都合が良かろう?」

 

 

チビッ子に、完全に見抜かれていた様だ。

両手で、顔を覆いその場にシャガミ込む。ヤバイ……顔が熱い。きっと、色んな所まで真っ赤になっている事だろう。

 

 

「男らしくて良いじゃないか……馬鹿にも、見習わせたいモノだ……だが、恋人を一人にしておくのは感心しない。せめて、週一で帰って顔を見せてやれ……」

 

 

「~~~~/////。わーーー」

 

 

「じゃないと、浮気してたよ?なんて、言っちゃうよ?そしたら、黒化すじゅかが覚醒するね!病んデレモード!!」

 

 

「止めてくれ!」

 

 

だが、このチビッ子ならヤりかねないかもしれない。

もし、そんな事になったら月村家の屋敷に、監禁されてしまうかもしれなかった。

 

 

「『かも』じゃなくて……確実に、だね!」

 

 

「心を読むなっ!……所で、この美女は……なんなんですか!?」

 

 

「サキュバス因子を埋め込んで造った使い魔だけど?ああ、そいつの側にいる時は……かなり気合いを入れておかないと、サキュバスフェロモンにヤられてフラフラと押し倒してしまうよ?」

 

 

「サキュバス因子……サキュバスフェロモン……………………」

 

 

吸血鬼どころの話では無かった。

サキュバス……淫らな悪魔と書いて、『淫魔』と呼ばれる架空存在だ。まさか、そんな怪物が実在する訳がないだろ……と思っていた事もありました。

 

 

「情報収集では、彼女以上の収集家はいない。最上の情報収集のプロフェッショナルだ……」

 

 

目の前に、黒い翼と角と尻尾を持った美しい女性が召喚されただ立っているだけなのに……ただ、そこにいるだけなのに艶かしくエロい雰囲気が周囲に滲み出ていた。

少しでも、気を緩めると押し倒して組敷いて犯してしまいそうになる。ゴクリと生唾を飲み込んで、ハッ!と正気を奪われかけていたことに気が付いた。

 

 

「なんて、鬼畜っプリ……身体を売らせてーーー」

 

 

「売らせてなんてないよ?ってか、一人で行動させる訳が無いだろう?この写真に収められているモノと一緒さ……」

 

 

「……………………別の方向性で、鬼畜だった……」

 

 

無理矢理、弱味を作って……恐喝して、情報を搾り取るのが彼女の役割らしい。

 

 

「基本的に捏造(証拠品制作)はしないよ?物語を捏造することはあっても、物品関係は直ぐに割れるから……」

 

 

普通に、犯罪者発言をしているチビッ子がいた。

というか、全力で捏造していたヤツが何を言っているのやら……ちょっと、呆れてしまう。

 

 

「捏造?そこの美女に関しては、本当に組敷いたじゃないか……その前のは、変身魔法だったけれど……実際に押し倒した画像だろう?こちらからは、一切手を出していないじゃないか……」

 

 

「……………………」

 

 

ボイスレコーダーの使い魔は、俺が捕まえる為に押し倒し……気が付いた時には、変身魔法で女性に変化。

銀髪の美女は、サキュバスのフェロモンにヤられた俺が組敷いて彼女を犯そうとした結果で……確かに、全部俺からの行動になっていた。

 

 

「ただの認識違いだよ。君的には、違う事をしていたつもりかもしれないけれど……実際にカメラに収められた事は、見る者全てに君が押し倒した……又は、組敷いたという印象を与えてしまうモノ。でもそれは、それを見た人達が感じた事柄で僕等が流布した訳じゃ無い」

 

 

「……………………」

 

 

なんて恐ろしい罠なんだ!?

何を言おうとも、何をどう足掻いても俺が彼女等に何かをしようとしたという状況を作られてしまっている。

捏造のはずなのに、捏造ではないというこの罠。

なんて、恐ろしい方法なんだ……完全にチビッ子の掌の上じゃないか!!

そして、逃げ道も完全に塞がれているから、逃げ出すこともできないとか……詰んでいるとしか言い様がない。

この後、俺はチビッ子の言う通りに地球に戻り、すずかと再会した上一夜を共に過ごすことになる。

ボイスレコーダーと写真については、後日処分したとチビッ子から連絡を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後。このチビッ子がいなくなった世界で、俺はとある写真とボイスレコーダーに苦しめられるはめになるのだが……それは、別のお話である。

 

 

 

 




双夜だけでなく、使い魔達の悪戯が最悪な件。
相手の弱味を握り、脅してくる様は如月双夜さながらである。なんて、使い魔だ!主人の顔が見てみたい……等と言えば、悪魔の如く邪悪な笑みを浮かべた如月双夜をイメージしてください。どっちかというと……邪悪な笑みを浮かべたディアーチェをイメージした方が早いかもですがwあんな感じで笑います。

え?イメージできない?なら、【魔法少女リリカルなのはINNOCENT2巻】の32ページを参照にしてくれれば良い。
マテリアルL・Dが邪悪に笑っているからw(これは、宣伝ではない!宣伝ではないので、あしからず!!大事な事なので、二度言いました!!アカンなら消しますw)
まあ、作者的には……別話『私と家族の一日』が好きだけれどw……乳魔神さん……ワガママボディさん……wwww

後、赤いの来ちゃった(泣)
混沌の権化が……来なくて良いのに……まあ、出て来ちゃったモノは仕方がないので、ハッピーエンド……はムリでも、ノーマル
エンド目指して頑張るかぁ……双夜が泣く結果にならないと良いけど……w

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