絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

84 / 592
踏み台くん名募集中!!
名前だけでも良いのでくださいませんか?
サブ登場人物の名前も募集中です!

没戦術コーナー1
〇大規模ミスト(霧の魔法…儀式系)
〇練金術(水をアルコールに…)
上の二つを合体。アルコール・ミスト完成!
これで、都市を覆えば!!30分で制圧だぜ☆!!
でも、良く良く考えると子供や肝臓の弱い人が急性アルコール中毒になるんじゃねえ?という事で、大量虐殺系の魔法と化し没となりました。正常な判断が出来ず、人々を問答無用で無力化できる画期的な戦術だと思ったのになぁ…。


六一話

フェイト

 

 

色々あって、私達は時空管理局の次元航行艦にある食堂に集まっていた。目の前には、私を助けてくれた少年が座り適当に汲んできたお茶を飲んでいる。

先程まで、真剣な様子で管理局の偉い人相手に交渉をしていた人物とは別人みたいになっているけど……今は、管理局の出方を待っていると言っていた。

 

「そんなに見詰めても、何も出ないよ?」

 

「はうっ!?」

 

視線が合ってもいないのに、私がジィーと見ていた事に気が付かれていたみたいだ。

 

「良かったのかしら?あれ程、死者蘇生や時間転移の事を知られるのを警戒していた貴方が……」

 

「ああ……どちらにしろ、リスクとリターン方式で見れば知らなかった事にした方が良い事柄だからな……それに、あの魔法を知ったら管理局の上層部の大半が犯罪者と化すだろうし……そんな事になれば、管理局は立ち行かなくなる……」

 

それらを踏まえて、リンディさんに言ったと胸を張って言い切られた。母さんは、利用されるだけされて殺されていたかも知れない事を告げたけど、『問題ない』の一言でその話は終了する。

 

「あ、あのね……」

 

「どう?自分を始められそう?」

 

「え……?」

 

「ほら、前に言っただろう?君はまだ、始まってもいないって……今までは、誰かの代わりだったけど。その席には、アリシア当人が座っている。僕は……君が、君になれる手助けをできたかな?」

 

「……………………うん……」

 

「そうか。何処かのプレシアちゃんは……君にアリシアを重ねて見ていたみたいだから、アリシアでない君に苛立ちを覚えて鞭でビシバシ打っていた訳だけど……」

 

少年が、チラッと母さん達を見る。

釣られて見てみると、母さんが怒気を立ち上らせるアリシアに必死に言い訳をしていた。

 

「もうニ度と、そんな事は起きないと思うよ?」

 

「ちょっと、今のワザとでしょう!?」

 

母さんが、矛先を変えて怒り出す。

それを少年が、ニヤニヤと笑いながら軽くあしらっていた。

 

「あ、あの、あのね!君は、これからどうするの?」

 

「双夜だ。如月双夜!君とか貴方とかじゃなくて、双夜って呼んでくれ……意味合いが、一々他人ポク聞こえて嫌だ」

 

「…………双夜は、これからどうするの?」

 

「……僕は、時間待ちだ。以前、僕の『ママ』が死んじゃったって話しただろう?アレな、未来の話だったんだ。今から10年後……生きていれば、僕を拾ってくれるのが高町なのは……JS事件最初の被害者の少女……だよ……」

 

「…………あの映像機で、放送されてた女の子か……」

 

「うん。アルフ、正解だ。だから、僕は彼女を助けたいんで時間を潰している所なんだ……」

 

寂しそうに話す双夜を見ていると、とても悲しくなってしまう。どうしてかはわからないけど、双夜が悲しそうにしているのが嫌だった。

 

「時間を潰して……って、どれくらい待つのかしら?」

 

「そうだね……フェイトちゃんが、14歳になる頃までかな?」

 

『ーーーーーええっ!?』

 

ちょっと、考えられない程の時間を潰していると言う双夜に私達は驚きの声をあげてしまった。

 

「そうしないと、時間転移魔法が使えないんだよ……フェイトちゃんが、14歳位になれば僕はもう一度時間転移魔法を行使して過去へ飛び……過去を改竄する。そしたら、こんな風に君達と話をする事も無くなるだろうし……」

 

「…………成る程ね。こうしている時間は、貴方が歴史に干渉して作り出した時間だから……もう一度、やり直せば私達の感情はリセットされるって訳ね……」

 

母さんは、双夜の言っている事がわかるみたいだけど……私には、今一わからない。これは、要勉強しなければいけないだろう。

 

「うーん。まあ、間違ってはいないけど……似たような事柄だ。時間転移魔法を発動する際に、僕に触れていれば記憶や人格が上書きされるんだよ。時間転移後の当時の君達に」

 

「…………え!?ちょっと待って、それどういう意味!?」

 

母さんが、慌てた様に立ち上がり双夜に質問を返す。

 

「だから、今の君達を連れて過去に戻る事が出来るんだ。まあ、記憶と人格だけだけど……僕は、その現象をRETAKEと呼んでいる」

 

「記憶と人格を……?」

 

「そう。今の君達を、過去の君達に記憶と人格のみを上書きする事が出来るんだ。データを部分的に上書きする様なモノだから、完全な上書きではないんだけど……それでも、自身の行動に制限を付けたりする事は可能だろう」

 

「なら、私が過去に戻って貴方を探し出せば……アリシアを早い段階で生き返らせる事が出来るって事なのかしら?」

 

「上書きした当初は、上書きされた人格が全面に押し出される感じになるから……そうだね。僕を見付け出せれば、アリシアに『大っ嫌い!!』なんて言われなくて済んだかも?」

 

「……………………どれくらい前に戻るのかしら?」

 

「さあ……ランダムなんじゃないか?最低でも、僕が来る一ヶ月前は確実だろうから……下手をすると、それ以上前になる可能性も否定できない……」

 

母さんが、双夜の話を聞く度に頭を抱えているように思える。私やアリシアには、話の内容が難しすぎてただ聞いているだけとなっていた。できるなら、双夜と色々お話したいのに……会話に入って行けない。

 

「ううっ……」

 

「…………っと、この話は後にしよう。プレシアちゃん、また時間を作るから……今は、フェイトちゃんにもわかる話の方が良いみたいだ」

 

「…………そう……ね。時間を作ってくれるなら、私は構わないわ。それに、今のフェイトを見たら何も言えなくなってしまったもの……」

 

何故か、みんなに注目されていて私は恥ずかしくなってしまった。良くわからないけど、双夜と漸く話せるんだと思ったら……何を話せば良いのかわからなくなってしまう。

 

「あうあう……」

 

「ところで、貴方……今は、何処に住んでいるの?」

 

「闇の書の主の所……」

 

「え……ええっ!?」

 

それは、聞いた事のあるロストロギアだった。

第一種危険指定遺産のロストロギアだ。見付け次第、封印か破壊かをしなければならない危険なモノ。そんなモノの主の所に住んでいるなんて……とまで考えて、双夜と比べたら一体どっちが危険なのかわからなくなってしまった。

 

「……貴方の場合、闇の書も何とかしてしまいそうね」

 

「実際、何とかできてしまうんだよ……完全封印も可能だし……時間制御系魔法で活動を阻害する事も可能だ。そもそも、僕の使える魔法は人間が思い付くようなモノじゃないから……封印方式が、君達の魔法と完全に異なるから闇の書に封印を侵食破壊される懸念もない」

 

「…………そうよね……」

 

「今のジュエルシードに施された封印だって、普通の封印解除法では解除できない。だから、二度と暴走する事も無ければ誰かの願いを叶えたりも出来ないだろう」

 

「……………………使えない様にしたのね?」

 

「当初の予定では、プレシアにジュエルシードは使えない役立たずなロストロギアだと認識させて……その上で、フェイトちゃんだけを救う予定だったんだけど……時の庭園に行ったら、プレシアの絶望と悲しみに囚われたアリシアを見付けたんで、予定を変更してアリシアに生き返って貰った訳だ」

 

そこで、一旦会話が途切れた。

母さんが、眉を寄せて考え込んでしまったからだ。

 

「双夜も魔導師なんだよね?」

 

「ん?ああ……まあ、普通の魔導師では無いけどな……」

 

「じゃ、じゃあ、どうして魔導師になったの?」

 

「どうしてって…………僕の生まれた世界は、第97管理外世界。現地名称『地球』の平行世界に該当する世界なんだけど……基本的に魔導のある世界なんだよね。君達の管理世界よりも、魔導師が多くてねぇ……惑星人口の約八割強が魔導師って世界だったんだ。魔導師になると、色々就職しやすくなったり、収入が良かったりしたんだよ」

 

「世界人口の八割強……す、すごいね……」

 

「まあな。Sランク魔導師が、24億人もいる世界だから……有名に成りたかったら、新しいジャンルを開拓して『賢者』とか等の称号を手に入れないとダメだったりするんだけどね……」

 

「え、Sランク魔導師が24億……すごい、世界だね……」

 

聞いているだけで、ゾッとするような世界だった。

ここにある、『地球』とは別の『地球』らしいけど……下手をすれば、私はそんな怪物達のいる世界に一人で立ち向かっていかなければならなかったらしい。本当に、ここでは無くて良かった……と、心の底からホッとした。

 

「まあ、SSSランク魔導師が数人いて……更には、EXランク魔導師がいるから誰も反旗を翻そうとは思わない世界だよ……」

 

「SSSランクが数人!?しかも、EXランクですって!?」

 

「普通に怪物だよ?アレ。まあ、あんなのがいると……『オレ、最強!』とか、思い上がる馬鹿が出てこないけどね……」

 

「そうでしょうね……そんな存在がいたら、思い上がるなんて不可能でしょ……」

 

「因みに、俺はその人の血縁だったりします……」

 

『…………………………………………ええっ!?』

 

何気なしに言われた言葉が、頭の中に浸透するまでちょっと時間が掛かったけど私達は声を上げて驚いた。

EXランク魔導師の血縁!?

 

「正確には、分家筋の遠い親戚に該当するだけだけどね……一応、名門(?)の血筋だよ?」

 

「へぇ……貴方、坊っちゃんだったのね……」

 

母さんが、何か楽しそうに言った。

 

「普通は、そう思うよな?でも、残念……本家と分家では、ある一つの違いがあったんだ。つまるところ、分家の血筋には『魔力』を持つ者が生まれにくく……俺の生みの親は、魔導師を憎んでいて【反魔法・魔力否定団体】のカリスマ的リーダーと目されていた。……僕が魔力持ちだとわかった時点で、存在を剥奪されて地下牢に幽閉されたよ」

 

「…………そんなっ!?」

 

衝撃的な話だった。

それを聞いた瞬間、私の頭の中は真っ白になって愕然とした気持ちで双夜を見詰めるだけとなる。

 

「酷い話ね……」

 

「だな。食事とかは無くて、サッサと死んでしまえ的な意思表示だった。まあ、僕はその辺に生えてるコケとか虫とか食べて生活していたし……水は、泥水だったり奴等が持ち込んだ毒物とかを僕に憑依している【精霊】が浄化したものとかで命を繋いでいたんだ……」

 

双夜の言葉で、ふと『せいれい』って言葉の意味がわからなかった。『せいれい』ってなんだろう?

それでも、話は続いていく。

私は、質問のタイミングを逃してしまった。

 

「…………かなり、過酷な話だけど……それって、幾つ位の話なのかしら?」

 

「……三歳の頃だけど……」

 

『三歳っ!?』

 

衝撃的なんて話じゃ無かった。

私が三歳の頃と言えば……記憶の三歳は、アリシアのモノだから……それでも、リニスが作ってくれた美味しいご飯が思い出される。ちゃんとした食事と、ちゃんとした寝床で……母さんに優しくはして貰えなかったけど、それなりに幸せに暮らしていた記憶しか無い。

 

「殴られたり、蹴られたり、『死ね死ね』言われたりぃ……『あんたなんて、生まれて来なければ良かったのよ!』とか『生まなきゃ良かった……』とか、散々言われて……一年程したら、誘拐犯に病院に連れて行かれました」

 

『なんて、善良な誘拐犯なんだ!?』

 

食堂にいた、ほぼ全員の声が一つになった。

聞き耳を立てていたみたいで、うっかり反応した局員さん達は顔を赤くしたり照れていたりしている。

 

「後に……僕を引き取ってくれる人だね」

 

『ますます、好感の持てる誘拐犯だ!?』

 

他の局員の人達と、『良い人だね』って話していると双夜が苦笑いしていた。何故だろう?……と、首を傾げているとその後の話で理由を知った。

 

「でも……物凄い、トラブルメーカーなんだよ。真夜中に、ペットショップに忍び込み遊びたかったとか言いながら子猫達と遊んで見付かったり……可愛いからと動物園の山羊を、盗み出そうとしたり……何かの菌に感染させた実験中のモルモットを病院から逃がしたり……と……」

 

『あれぇ?良い話だったはずなのに……』

 

「養母には、実の娘さんがいて……僕達は、義母さんが犯すトラブルの度にお店や応接室に行っては頭を下げ続ける日々を送っていた。それらと同時進行で、魔導の師匠達にしごかれていてな?……そこそこ、戦える様になったら今度は世界中を旅して回り見聞を広めたりしていたんだ」

 

『へぇ……大したもんだ……』

 

「行く先々で、実親に雇われた暗殺者が襲撃してきたけど……中々、楽しい旅になったと思うよ?最初の頃は、殺さない様にしていたんだけど……立ち寄った町の宿泊施設を丸ごと爆破されちゃって、襲撃して来る暗殺者は殺さないと被害が半端ないって学習する事になったり……」

 

『……………………』

 

えっと、止むを得ない場合の殺人は殺人にならないんだよね?

 

「……僕が、世界を旅していたのは25歳から30歳程までだから5年間のみだね。暗殺者の襲撃回数は千を超えたけど……で、その後。故郷に戻って、占い師をしてお金が貯まったんで人生初の中学校に35歳で入学したよ?」

 

『んん!?』

 

「普通なら、12歳から15歳くらいの時期に通う義務教育なんだけど……19歳まで、入院していたから学校には行って無かったんだよ!19歳以降は、25歳まで魔導の師匠の元で訓練をしていたから大変だったよw」

 

「35歳で、入学できるものなの?」

 

母さんが、疑問に思った事を言葉にする。

すると、双夜はコクリと頷いて苦笑いした。

 

「ウチの世界には、800歳とか……不老長寿系の魔導師がうようよいるよ?魔力の高い低いによって寿命が延びたり延びなかったりするんだよね……まあ、そんな不老長寿共がいるんで……友人に先立たれた奴が、人恋しさに友人を作りに再度中学校に通うなんて事は良くあるんだよ……」

 

「はあ……奇妙な制度があるのね……」

 

「ここら辺は、世界の特性みたいなものだから……この世界にだって、僕達の常識を外れた制度が実在してるし……似たようなモノさ……」

 

世界を渡れば、その世界独特の習慣がある。

きっと、それと似たようなモノなのだろう。

私は、そう理解した。

 

「それじゃあ、貴方も友人を作りに?」

 

「いや……150年間、自分の家に引きこもっていた婚約者が中学校に友人作りの為に出てきたって聞いたんで……顔見せの為に会いに行った」

 

『こ、婚約者ぁ!?』

 

それは、流石に私も驚いた。

周りの人達の中には、口を開けたまま固まっている人もいてその様子は様々である。私自身も、良くわからないけど凄くショックを受けていた。

 

「まあ、僕の師匠が彼女と共にいられるくらいの魔力資質を持つ者を探していてね……その眼鏡に、僕が引っ掛かったって訳。本当なら、師匠が彼女と共にいたかったらしいんだけど……師匠の魔力資質では、彼女と共に生きる事は出来なかったから……彼女に見合う、人材を探していたって言ってた」

 

「その師匠さんは、それで納得していたのかしら?」

 

「してたんじゃ無いかな?僕を見付けた時には、もう先が無いってわかってたみたいだし……まあ、かなりのご老体だったからねぇ……因みに、彼女は200年生きていたけど外見年齢は10歳から13歳程のモノだったよ……」

 

「200歳で、外見年齢が10歳から13歳程度?なんて、羨ましい……女として、嫉妬するわ……」

 

「僕は35歳で、外見年齢は12歳程度。特殊な方法で、身体だけは大きくしたから……多分、数百年はそのままだったはずだよ?」 

 

『はあ……とんでもない世界だなぁ……』

 

「その後は、中学生とドンチャン騒ぎの日々。ぶっちゃけ、魔法使いになる奴は問題を抱えているのばっかなので、仲良くなった奴の問題を片っ端から片付けて…………因みに、僕のいた世界は……君達みたいに、宇宙探索や開発が面倒だからとか理由を付けて次元世界に喧嘩売ったりはせずに、真面目に宇宙開発をやろうとしていた訳だ。僕が作った魔法技術をそっち方面に調整して発表したら、割りと良い感じに事が進んで……【賢者】の称号を得られたよ」

 

双夜がそう言った瞬間、双夜の背後に巨大なディスプレイが現れ大音量である映像を流し始めた。

 

『[ーーーそれでは、宣誓していただきましょう!!]』

 

それに映っていたのは、もう少し大きくなった姿の双夜で大きな壇上の上でマイクに向かっている光景。

 

「うぉっいっ!って、誰だぁっ!?」

 

それに気が付いた双夜が、慌てた様に騒ぎ出す。

 

『[………………………………………………この度……【愛を叫ぶ魔王】を襲名いたしました如月双夜です……]』

 

「ちょ、テオルグか!?テオルグなのかっ!?」

 

誰かの名前を叫んでいるけど、ディスプレイの方の音量に負けて聞こえない。

 

『[固い!固いですよぉ?もっと、軟らかくお願いしまーす♪]』

  

『[……テメェ。後で、マジ滅ぼすからなっ!?覚えてろよ!?]』

 

「ふざけんなぁっ!!止めろおぉぉっ!!!」

 

『[ほらほら、みんな待ってますよぉー(笑)]』

 

『[……………………みんなー!僕が、如月双夜……【愛を叫ぶ魔王】だよー☆]』

 

『!?』

 

「あー………………orz」

 

『[ほらほら、呼んでみてぇー?でも、如月双夜なんて堅っくるしい言い方は嫌だよー?うん。「ソウニャ」って呼んでくれるかなー?はい、セーノ……ソゥーニャ☆!!]』

 

『[[ソゥーニャー!!]]』

 

『[ノン、ノン!ソ☆ウ☆ニャ♡♪……もっと、愛を込めてぇーーー!!!!!]』

 

『[ソゥーニャー♡♪!!]』

 

映像が終わり、双夜を見てみると映像で流れていたのと同じ体制でシクシク泣いていた。その時、「羞恥心で死にそうだ」と呟いていたのであの映像は双夜に取って恥ずかしい事だったのだろうと思い当たり忘れる事にする。

 

「鬱だ…………」

 

「ソウニャ♡うん。可愛いね?」

 

アリシアが、双夜の側で頭を撫でながら何度も『ソウニャ』と呼んでいる。母さんは、そんなアリシアを優しく見詰めながら苦笑いしていた。

 

「それにしても、【愛を叫ぶ魔王】ってなんだい?賢者の称号とか言っていたけど……」

 

アルフが、称号の説明を求める。

私も聞きたかったから、双夜に視線を向けた。

 

「僕の世界では、魔法使いって言うのは犯罪者の名称なんだ。過去、欲望の果てに世界を滅茶苦茶にした魔導師達がいて……僕達は無害で、世界に利益をもたらす者ですよーって非犯罪者宣言なるモノをしなければならない。全人類に、自身の顔を売るっていう意味合いもあるからとても大事な宣誓だ。そして、今のがその宣誓だった訳だ……」

 

「犯罪者の名称……」

 

「うん。元々、僕の世界は魔法なんて存在しなかった世界だったんだけど……ある日、突然に魔法が使えるようになったんだ……その使えるようになった人材が、欲望の果てに犯罪に走り、己の目的の為に魔法を使用した訳よ……」

 

局員の一人が、手を上げて質問する。

 

「時空管理局は、来なかったのかい?」

 

「………………来てないよ?あったのかも確認されてない……と思う。当時の状況は、後世に残って無いからわからないかな?来ていたかも知れないし……来てなかったのかも知れない」

 

「……?当時の状況って?」

 

「僕が生まれる前の話だからなぁ……僕は、弟97管理外世界の西暦で633年後に生まれたから、失われた当時の状況(記録)を知らないんだよ」

 

『……………………』

 

もう、何度目になるかはわからないけど……また、驚かさせられた。本当に双夜が、未来から来たのだろうか?

 

「貴方、未来から来たの!?」

 

「まあ、そんな感じだ……」

 

母さんの問いに答えて、漸く羞恥心から立ち直ったのか双夜は大きな溜め息を吐き出して立ち上がった。

腕を伸ばし伸びをして、私達に振り返る。

 

「時間転移魔法が、本当に実在しているのか!?」

 

また別の局員が、双夜に対してそんな質問を投げ掛けた。

双夜は、その局員を見て一度大きく頷くと苦笑いしながら告げる。

 

「それで、来た訳じゃないけど……肯定だ。一応、考察はしたから結論だけを言うけど……管理局年間予算の数十年分のお金が掛かる。まあ、それでも時間転移魔法が起動出来るかもレベルの話で……下手をすれば、もっと掛かるかも。デバイス程度の処理能力じゃあ間に合わないから、かなり巨大な情報・プログラムの演算処理施設が必要。しかも、複数機いる。生半可な処理能力じゃあ、全然間に合わない。それに、エネルギー消費も半端ないし……魔導力炉が、何千機とかの話で、時空管理局を破産させても足りないと思うぞ?」

 

『……………………』

 

みんなが、完全に押し黙る。

私も、そんな規模の話だとは思っていなかったから言葉が無かった。だけど、ふと疑問に思った事があって双夜に聞く。

 

「…………双夜は、それをどうやって使っているの?時間転移魔法を使えるんだよね?」

 

「僕の時間転移魔法は、様々な魔法の複数合作なんだ。妖精魔法とか、人外の魔法も組み込んで発動維持している。魔力の方は、外部供給だ。自身だけの魔力では、不可能だからな……それに、他にも色々条件を整えないと無理だ」

 

今、双夜が行っている時間潰しもその条件に含まれる事柄なんだそうだ。他にも、月の満ち欠けや転移場所とかにも気を使わなければならないらしい。それに、自分の私的な理由での行使は禁止されているんだって。

人間の欲望には果てがなく、私用に使わせると際限が無くなって世界に迷惑を掛ける事になるらしい。

出来るところまでは、出来る事をヤり切って……それでも、理想の状況に成らなかった場合や滅んでしまった時のみ使う様にしているとも言われた。

 

「もし、時間転移魔法が使える様になったら……先程でも言ったけど、時空管理局の上層部の人間が、全員とは言わないけれど犯罪者になるだろうな。使い方次第で、世界を統べる覇王にも超権力者金持ちになるのも過去を改竄出来るなら思いのままだ……そうなった場合、歴史改竄による世界の変動は留まる事を忘れるだろう……」

 

「世界の平和を守る、正義の管理局局員がそんな事をするはずがないだろう!?」

 

局員の方々が、双夜の発言に反論する。

 

「にゃははは!正義(笑)。んな事を言っているのは、君達みたいな下っ端くらいなモノさ。上官で、権力に胡座をかいた欲望まみれの馬鹿は確実だぞ?見た事無いか?そう言う、権力を傘に私的欲望に走っている馬鹿とかを……」

 

また、双夜が私ではなく別の人と話を始めてしまった。

色々、お礼とか話がしたいのに……みんなが、それを邪魔していく。段々、我慢が出来なくなってきた。

双夜の衣服を摘まんで、弱々しく引く。

一回目は、気が付いて貰えなかった。

だから、双夜の手を握って強目に引っ張る。

 

「ん?ありゃ、フェイトちゃん?」

 

「あ……あ、えっと、ち、違うんだよ!?そ、そ、そういうつもりじゃぁ……あうあう…………ご、ごめん!」

 

その場にいた、全員の視線を受けて私はとても恥ずかしくなって逃げ出した。食堂を出て、全力で走って行くとドン!と何かにぶつかる。見れば、黒い執務官の少年だった。

私がぶつかったせいで、少年は尻餅を付いている。

 

「いてて……危ないじゃないか……」

 

彼は立ち上がり、こちらを見て彼は怒った様に告げる。

申し訳無いのと、ちょっと怖かったのもあって言葉が出なかった。

 

「出歩くな……とは言わないが、出来れば前を見て走りたまえ……」

 

「あれぇ……クロノンじゃん。何々?フェイトちゃんを軟派?」

 

背後から、双夜の声がして振り返る。

執務官の少年が、ギョッ!?とした顔で双夜を警戒し始めた。きっと、また女の子の格好をさせられるとでも思っているのかも知れない。

 

「違う!って、また君か……今度は、何をするつもりだ!?」

 

「フェイトちゃんを追っ掛けて来ただけだよ。あんまり警戒していると、また悪戯しちゃうぞ?今度は、脱げない呪われたワンピースとかどうよ?白一色とか、なかなか清楚可憐ポクて良さげじゃないか?」

 

「止めてくれ!っていうか、あのバインドは何だ!?全く、外れる気がしなかったぞ!?」

 

「ああ、アレ?エネルギー反転術式込みのバインドだ。理論は、作用反作用の応用だけど……バインドに掛けられる作用を抑えて、反作用の方に全振りしてみただけだ……」

 

「…………そんな事が、可能なのか!?」

 

「人外の魔法だ。君達の魔法でも、再現出来るとは思うけど……魔力消費が、多くなると予想する。ああ、そうだ執務官。他の局員に、時間転移魔法が実在するって教えちゃったけど……問題ないよね?」

 

「……………………問題あるに決まっているだろう!?」

 

「えー……じゃあ、口止めよろしく♪」

 

少年執務官は、頭を抱えながらフラフラと来た道を戻り始める。きっと、上官に報告しに戻ったのだろう。

 

「彼は、禿げるなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 




フェイトちゃん視点です☆!
殆ど、会話に付いて行けずに放置状態ですが……これはこれで面白いと思われ。フェイトちゃんは、勤勉ですのでその内付いてこられるようになるかも……w

テオルグではないと思いたいけれど、使い魔がまたやらかしましたw『ソウニャ♡』宣誓の映像は、使い魔達の壺なのかな?双夜には、地獄w

この話の先にあるクロノ・ハラオウンは、本当に禿げそうな勢いで髪の毛が落ちて行きそうw

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。