絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
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フェイト
「アルフぅ……大丈夫?」
アリシアが、心配そうにアルフの容態を見ている。
アルフは、こんな傷舐めてれば治るよと強がっているけど精神が繋がっている私には余り良くない状態である事がありありと伝わって来ていた。
「もう少し、我慢しなさい。今、双夜に連絡を入れたわ」
「……プレシア、彼に頼るのは……」
「リニスが、何と言おうと私は彼を頼るわ……」
「ですが、プレシア!?」
「そうだぞ。余り頼られても、僕も忙しい身の上だ……はっきり言って、困る……」
『うわぁ(キャアッ)!?って、いったい何時から!?』
唐突に現れた双夜が、アルフの目の前に座っていてポフポフとアルフを撫でていた。そして立ち上がると、今度は私の頭に手を置く。
「アルフ、どんな感じだ?ひきつった感じとかしないか?」
「へ?……って、いつの間に!?」
いつの間にか治療されていたアルフは、体を起こして調子を確める様に腕をグルグル回すと「大丈夫だ!」と双夜に報告して立ち上がった。
双夜は、それを見届けると同時にリニスを部屋の隅へと連れて行って何か相談の様な事をしている。
「えっと……良いのですか?」
「何がさ!?」
「何か目的があって、プレシアに近付いた訳じゃ……」
「何だ?目的って……はっ!まさか、プレシアを娶とれとか言い出す気ではないだろうなぁ!?」
「言いません!!どんな、歳の差カップルですか!?」
「……それとも、猫耳は萌えるから自分を貰わないかという交渉なのか!?」
「違います!私、これでもモテるんですよ!?」
「つまり……プレシアはモテないという意思暗示ですか!?」
「へぇ。リニス、貴女……そんな風に思っていたの……」
「ち、違いますっ!!何でそうなるんですか!?」
「……プレシアが、クローンを作ろうと言い出した時……ちょっとは、そう考えなかった訳?」
「ーーーーー」
「リニス?どうなの!?」
母さんの周囲に、パチパチと電気が帯電している。
それを見て、リニスは青冷めて耳をペタンと伏せると怯えた感じで母さんを見上げていた。
「と、冗談はさておき……」
「待ちなさい!話をうやむやにしようとしているんじゃないわよ!?」
「えー……僕には、関係ない話だし……用は済んだから、帰りたいんだけど……」
「今後の事もあるから、待ちなさいと言っているのよ!?さあ、リニス……正直に言ってみなさい?」
「……え、えっと、プレシア?」
「もう、正直に言っちまえよ……リニスの方が、プレシアよりもモテるって…… 」
「ちょ……貴方、一体何がしたいんですか!?」
「撹乱」
「リニス、覚悟は良いわね!?」
「プ、プレシアアアアァァァーーーーー!!!?」
リニスに特大の雷が落ちて、母さんは満足げに頷いた。
その後、リニスが気が付くまで母さんは双夜に何かを相談していて双夜は腕を組んで頭を悩ませている。
「悪いけど、それは僕には無理な相談だな……」
「前回の世界では、可能だったでしょう?」
「あれは、月村家の力が強かったからで……僕は今回、人脈を形成している訳じゃないから難しいんだよ……」
「何とか出来ないかしら?フェイトを、あの子の近くに連れて行って上げたいのよ……」
「……はあ。じゃあ、高町家に頼んでみたらどうかな?もう、魔法の事も全部話す勢いで。あの家も、裏側に通じているらしいから……君達の戸籍くらい用意してくれるんじゃないかな?交換条件として、なのはママの魔法の面倒を見るってので手を打てば?」
「……そう。あの子の家も、裏側に通じているのね……わかったわ。その線で行ってみましょう。所で、貴方達は何処に住んでいるのかしら?今回は、人脈を作って無いんでしょう?」
「もちろん、野宿だ!」
「ーーーーー」
胸を張って言い切った双夜に、母さんは目を点にして見ていた。次の瞬間、母さんが双夜に一緒に暮らさないかと持ち掛け始める。話を聞いていたアリシアも、嬉しそうに双夜にアプローチを始めた。
「ちょっと前なら、問題なかったんだが……今は、変態が一人増えていてなぁ……アイツ、ロリコンだから一緒に暮らすとなるとフェイトちゃんやアリシアが危険だ!!」
「捨ててきなさい、そんな害悪!!」
「あー、それに……リニスが、良い顔する訳ないだろう?」
「説得するわ。無理なら、命令するから大丈夫よ?」
「ねえ、双夜……ダメ?」
「えっと……フェイトちゃん?」
「ほら、フェイトもアリシアも良いって言っているのよ!?ほらほら、決めてしまいなさい!!!!」
ジリジリと母さんが、双夜に迫って行くのを見ながら私はアリシアを見ていた。最初にアリシアと会ったのは、ずいぶん前の事だ。あの頃はまだ、保存ポットの中で漂っていたから私の事は知らないはず。なのに、出会って直ぐ私を『妹』だと言ってくれて抱き締めてくれた。
「お姉ちゃん……」
「なぁに?フェイトぉ……?」
「お姉ちゃんも、双夜と一緒に暮らしたいの?」
「うーん……生き返らせてくれたオンを返さないとだね?」
「……そっか。そうだよね!双夜っ!」
振り返ると、そこに双夜はいなかった。
母さんが、「チッ!逃げたわ」とか言っているから双夜は自分の拠点に帰って行った様だ。母さんは、次に会ったら絶対逃がさないと言っていたので、また会う機会はあるだろうけど今すぐには無理そう。
その後、気が付いたリニスが双夜に関わらない様に言って来たけど……母さんとオハナシをしたら、条件付きで何も言わない事にしたとのこと。
…………。
そして、翌日。
私達は第97管理外世界現地名『地球』に移住する事になった。『時の庭園』は、このまま残す形で身の回りのモノをちょこっと持ってなのはが住んでいる世界へと転移する。
転移する先は、第97管理外世界の住居として母さんが用意してくれたマンションへ。
だけど、母さんはマンションに転移して直ぐ、出掛ける用意を始めてリニスと共に家から出て行った。何処に行くのかはわからないけど……行ける所は限られてくる。
「母さん、何処に行ったんだろうね?」
「なのはって子の家だってさ……」
「え?なのはの!?」
「フェイト……聞いてなかったのかい!?」
「だったら、私も行きたかったなぁ……」
「今からでも、遅くないだろう?アリシアは、私が見ているから行ってきなよ」
「うーん……」
「『高町なのは』なら、まだアースラにいるよ?」
声がした方を見ると、奇妙な生き物がフヨフヨと浮かんでいた。突然、出現した珍客にアルフが警戒体制で私達の前に出る。私自身も、バルディッシュを取り出してその奇妙な生き物を警戒した。
「構えなくても大丈夫だよ。この子は、『僕』の使い魔でフレールくんって言うんだ。今、ちょっと手が離せないんでマルチタスクでフレールくんの意識を乗っ取ってお話しに参加中だ……」
「…………もしかして、双夜?」
「如何にも、如月双夜だ」
「何で、そんな姿で……」
「見付かったら、プレシアちゃんに確保されるじゃん!まあ、ここから出ていくのを確認してから来た訳だけど……」
「…………リニス、呼び戻すかい?」
「えっと……」
「どうしよう……」
「迷わないで!そして、呼び戻さないでぇ!!」
双夜は、慌てたように嫌がった。
「兎に角、今のところ君達と一緒に暮らす気は無いよ……それはさておき、フェイトちゃんにお願いがあって来たんだけど……」
「……お願い?」
「それとなくで良いから、なのは、ちゃん(激しく違和感)にそれとなくで良いから海鳴市に自分達以外の魔導師の存在を教えてくれないかな?」
「双夜達の事を言えば良いの?」
「名前は、伏せてくれた方が有り難いかな?大体は『自分達の他に魔導師がいるみたいだ。だから、気を付けてね』って、みたいな感じで警戒するように言っておいてくれると尚良し。ついでに、管理局にも通報しておいてくれると助かる……」
「…………なのはに言えば良いんだね?」
「……そうだね。管理局は、それほど積極的には通報しなくて良いよ。ちょっとした牽制程度に留めて置きたいからね」
『???』
双夜の言うことは、今一良くわからない。
だけど、恩人のお願いだからなのはに会った時にでも言っておこうと了承した。
「さて……僕はしばらく、君達と関わる事はないと思うけど……町中で見掛けたなら、遠慮なく声を掛けてくれて構わないよ。まあ、『高町家』周辺には出没しない様にしているんで、会うとしたらそれ以外でかな?」
「そうなの?」
「うん。ま、『高町家』周辺で見掛けたら、我慢できなかったんだろうとでも思ってくれたら良い」
「…………我慢?」
「こっちの話。気にしないでくれると良い」
「???」
「フェイトちゃんは、今後どうするのかな?」
「今後?母さんとお姉ちゃん、アルフとリニスで暮らすよ?」
「うーん……そういうのじゃなくて、将来的に何になりたいのかな?って、話だよ」
「まだ、決めてない……双夜は、何になるの?」
「……僕は、もう成っているよ。まだまだ、未熟者ではあるけれど……そこそこ、頑張っているよ?」
「え?そうなんだ……」
「何をやってるの?」
「人助け(世界の救済w)。それと似たような感じのお仕事」
立派なお仕事だった。
普段の様子からは、全然想像すらできないけれど誰かを助ける仕事というのはちょっと憧れてしまう。
「私と同じくらいなのに……凄いね?」
「うん。双夜は、今忙しいって言ってたけど……」
「今?猫探ししてるよ?」
猫探し?ああ、人助けが職業なら誰かからの依頼なのかな?それだけで、私は双夜がとても忙しそうなんだ……という感想を思い浮かべた。
「そっか、大変そうだね……」
「そうでもないよ。今日は、いないみたいだから……もう少し探してみて、無理そうなら帰るかな?」
「……手伝おうか?」
「大丈夫。フェイトちゃんは、アリシアのリハビリを手伝って上げて。少し頑張れば、直ぐに歩けるようになるから……」
「わかった。お姉ちゃん、頑張ろうね!」
「うん。頑張ろぉー!!」
「アルフ、頑張ってね?アリシアが、怪我したらアルフがプレシアに雷を落とされるんだから……」
「ちょ、怖いこと言わないでおくれよ!!」
「じゃあ、リニス?」
「リニスは、家事があるじゃないか……必然的にアルフが、アリシアとフェイトちゃんの近くにいる事が多くなるから……」
「ちょ、ちょっと、止めておくれよ……」
「僕は基本、雷に撃ち抜かれるアルフを遠くから見守っているから、盛大に撃ち抜かれてくれ!」
「撃ち抜かれる事前提かい!?」
「もし、そうなりそうだったらフェイトちゃんがコスプレしてプレシアの気を反らすってのはどうかな?」
「コスプレ?」
わからない単語が出てきたので、問い返すと映像付きで「コスプレ」に関する知識を教えて貰った。更には、窓から入ってきたフレールくん2号が袋に入っていたコスプレ用の衣服を渡してくる。
「それは、猫耳メイドさんの衣装だ。それを着て、猫の真似をしてあげるとプレシアちゃんも落ち着くだろう」
「あ、ありがとう!」
「ああ、それ返さなくて良いからね?だから、頑張ってアルフを守ってあげて?」
「ううっ……何から何まで……ありがとうよ!」
「いやいや、人助けをもっとうとしている者からしてみれば、当然の事だよ……あ、それじゃあまたね!」
そう言って、双夜と双夜の使い魔は空気に融けるように消えて行った。それを見送って私は、双夜の使い魔が置いて行った袋をひっくり返す。
すると、中から着け耳等が出てきた。
「これは?」
「猫耳だね♪ 中々、わかってるね!」
「わかってるって、何がだい!?」
「こっちは……アクセサリー?」
「ははぁ……フェイトへのプレゼントじゃないかな?」
「ええっ!?」
私は、アリシアの思わぬ言葉にドキッとしてしまう。
すると、アリシアがニンマリと笑った。
「うっ……な、何?アリシア……」
「フェイトは、双夜が好きなの?」
「ええっ!?そ、そそ、そ、そんな事ないよ!?」
「そなの?じゃあ、双夜は私が貰うね?」
「ええっ!?そ、そういうのは……ま、まだ、早いんじゃ無いかな?」
「そう?別に、不思議じゃ無いでしょう?双夜は、私を助けてくれたんだから……好きになって、当たり前だと思うよ?」
「あうあうあう……」
あ、アリシアが、双夜の事が好き……双夜が好き……。
アリシアの言葉を反芻する。すると、顔がかぁっと熱くなるので、手で両頬を覆って冷やそうと試みる。
しかし、頬の熱は一向に冷えなかった。
「それは良いとして、プレシアはどうするんだい?」
「……………………」
「あの溺愛振りは、そういうのを嫌うんじゃないか?」
「ママかぁ……大変そうだよね……」
「アイツを紹介する時は、私等のいない時にしておくれよ?とばっちりは、ごめんだからね?」
「ちょ……アルフは、酷い事言うねぇ……」
「って、言うけどね……本気になったプレシアが、周りを気にすると思うかい?」
「…………思わないけど……その時は、が☆ん☆ば☆って?」
「頑張って、どうにかなるもんなのかい!?」
「双夜に助けて貰うとか?」
「……アイツ、強いのかい!?」
「…………わかんないかな?フェイトは、知ってる?」
「えっ!?な、な、何かな!?」
「……………………あ、うぅん。何でもないや……」
私を見て、何故かアリシアは視線を外す。
アルフを見れば、苦笑いしていた。
「あ、うん。何でもないよ、フェイト……」
「フェイトに、この話題はまだ早かったかぁ……」
「みたいだねぇ……」
「ふふふ。可愛いなぁ……フェイトは……」
「フェイトは、純粋だからねぇ……」
「……それって、私は汚れているって意味かな?」
「そ、そういう意味じゃないよ!」
「あははは。冗談だよ。あ、でも、冗談じゃない時はママがいる時にしておくね?」
「え゛!?ちょ、ちょっと……じょ、冗談だよね!?」
「うふふ。どうかなぁ……」
いつの間にか、アルフとアリシアが仲良くなっているのを見て少しほんわかとする。良かったぁ……アルフは、アリシアの事を知ってから母さんに不満を持っている様だったから少し心配だった。母さんが、ずっと研究室に籠って私を構ってくれないのはアリシアのせいなのではないかと思っているみたいだったからである。だから、目が覚めたアリシアの事を嫌いになるんじゃないかって少し不安があった。
でも、そんな不安は私の杞憂だったみたいだ。
二人の楽しそうな会話を聞きながら、私は安心して微睡みに落ちていった。
………………………………
……………………
…………
数日後、私達は今住んでいるマンションから引っ越す事になった。今住んでいる所から、電車という乗り物で一駅行った所にある別のマンションに移るらしい。
荷物は多くないので、準備を直ぐに済ませた私は言われるままに車という乗り物に乗る。母さん達は、いつの間に持ち込んだのかたくさんの荷物を業者という人達に運ばせて、それから車に乗り込んだ。
三十分程移動して、私達は新たなマンションへとたどり着く。その後は、業者さん達が母さん達の荷物をマンションへと運び込んで……母さん達が、荷物を解いている内に私達はマンション周辺で遊んでくる事になった。
「本当に、お手伝いしなくて良いの?」
「ええ、大丈夫よ。だから、少し周辺を見てらっしゃい……」
「ほら、ママも良いって言ってるんだから行こ?フェイト!」
「アルフも、ちゃんと二人を見てちょうだいね?」
「うん。任せて!」
という事で、私達はマンション周辺を探索する事になった。
マンションから出て少し迷った後、賑かな方へと向かって歩き出す。しばらく歩くと、人通りの多い通りに出た。
右手を見ると、駅があるので左側に向かって歩いて行く。
すると、ズラリと人が並んでいる『翠屋』と書かれたお店が目に入った。アルフ達と、「美味しいのかな?」と話ながら様子を伺っていると、そのお店の中からエプロンを着けたなのはがトレイにケーキを乗せて飛び出て来る。
「え!?な、なのは!?」
「あ、ホントだ……」
「あの子は、ここで働いているんだね……」
「みたいだね……声掛けてみる?」
「忙しそうだから、また後にしようか……」
「あ、フェイトちゃん!?」
「ほら、呼んでるよ?フェイト」
「あ、うん……」
行列を横目に、なのはの元へ行くとなのはは嬉しそうに私の手を取ってくれた。そして、私の手を引いてお店の中へと連れて行かれる。
「あ、な、なのは?お客さんが……」
「大丈夫。大丈夫!お母さん達に紹介するだけだから!」
「え?えっと、なのははここで働いているの!?」
「うん。家のお手伝いをしているんだぁ……」
「家?……って、ここ、なのはの家がやってるんだ?」
「そう。それに……私じゃあ、年齢的にお仕事は法律で禁止されてるからね?」
「そうなの?」
「お母さーん……」
私とアリシアは、アルフと共になのはの御両親と挨拶をした。その後、お手伝いを終えたなのはとテラスで今日この近くに引っ越して来たことを話す。
すると、なのははとても嬉しそうな顔で喜んでくれた。
「そっかぁ……じゃあ、ずっと一緒にいられるんだね?」
「うん。それに……魔法の練習も一緒だよ?」
「ホントに!?あ、そっか。近くに住んでいるから、魔法の練習もフェイトちゃんと一緒にできるんだ……嬉しいなぁ!フェイトちゃん、よろしくお願いしますね!!」
「うん。よろしくね?……あ、そう言えば、なのはは知っているかなぁ?」
「?……何を?」
「私達以外にも、この辺に魔導師がいるみたいなんだ……」
「え!?私達以外の魔導師?それ、本当!?」
「う、うん。だから、気を付けた方が良いよ?」
「…………うん。わかった、気を付けるね!!そうだ!家のケーキ食べる?とっても、美味しいんだよ?」
「ケーキ?あ、えっと……今、持ち合わせが……」
財布を取り出して、中を確認したけれどちょっと手が出ない金額だった。母さんから、一応お小遣いを貰ってはいるけれどアルフやアリシアの分を含めるとちょっと足りなさそうだ。
それを見たなのはは、苦笑いして言う。
「お金は、また今度でも良いよ?」
「で、でも!それじゃあ、他の人達に悪いよ……」
「うーん……」
「そ、それに、待ってる人を優先しなきゃ……ね?」
「……ううっ。そうだね……じゃあ、お客さんが少なくなったら携帯に連絡するね?フェイトの番号、教えてくれるかな?」
「……携帯?って、何?」
「え?えっと……これ……」
そう言って、なのはが取り出したのはピンク色の可愛いらしい通信端末みたいなモノだった。でも、私もアルフもそんなモノは持ってないので、念話でバルディッシュに送って貰える様にとお願いする。
「ああ、うん。わかったの!」
「じゃあ、また後でね?なのは……」
「あれ?フェイト、もういいの?」
「うん。今は、忙しそうだし……後で、出直す事にしたんだ」
「あー……そだね。じゃあ、お店が空くまで他を見て回ろうか?」
「うん。そのつもり……じゃあ、行こうか。お姉ちゃん」
少し、名残惜しかったけれどなのはと別れて探索を再開する。賑かな通りを抜けて、しばらく歩くと見覚えのある後ろ姿が目に入った。近付いて、声を掛けてみる。
「ん?おぉ、フェイトではないか!」
「えっと、双夜と一緒にいた子だよね?」
「んん?ああ、自己紹介がまだだったか……我は、ディアーチェ・K・クローディアだ!ディアーチェと呼ぶが良い!」
「何で、そんな偉っそうな喋り方なの?」
「ウム。こうしておかないと、双夜に猛毒じゃないけど猛毒ッポイ……ポイズン・クッキングとやらを強制的に食べさせられてしまうからだ!アレは、普通に死ねる!!」
「なんだそりゃ……嫌なら、食べなきゃ良いじゃないか?」
「ゴーレム操作魔法の応用で、身体を乗っ取られて強制的に食べさせられるんだぞ?逃げられる訳があるまい!!」
「あー……そりゃ、御愁傷様だ……」
「その内、貴様等もアヤツの餌食になるがいい!!」
「それは、嫌だなぁ……」
「所で、ディアーチェはここで何しているの?」
「ん。我か?我は……」
「ディア!あっちに行きましたよ!?」
虫取網を持った女性が、ディアーチェに声を掛けながら走り去って行く。それを見たディアーチェは、急に真面目な顔をして私達に断りを入れると、先程の女性が走り去って行った方向に走って行ってしまった。
良くわからなかったけど、彼女等も中々忙しそうである。
もしかしたら、双夜のお手伝いをしているのかもと思い直す。それならば、彼女達も多忙だろうと私は振り返り、彼女等が去って行った方向を見て納得した。
しかし、虫取網で何をしていたのだろう?虫取網なのだから、当然虫を捕まえていたのだろうけど……謎は、益々深まるばかりだった。
その後、臨海公園まで進んだ所で麻袋を持った双夜を見掛けた。ディアーチェ達と同じく、虫取網を持っていて何かを探しているみたいだ。しばらく様子を見ていると、麻袋に何かが入っているらしくモゾモゾと動いている。
すると、双夜が身を低くして移動を始めた。
息を殺し、双夜が進む先には一匹の猫がいる。
私もアリシア達も、息を飲んで双夜を見守っていた。
目標(?)の猫は、周囲をしきりに見回し警戒している。
心なしか、息が粗い気がした。
そこへ、上からディアーチェと一緒にいた金髪の女の子が降って来る。それに気が付いた猫は、慌てて走り出す。
それを待っていたらしい双夜が、フッと消えて気が付いた時には猫を虫取網で掬い上げていた。それでも、逃げようともがく猫を双夜がアッサリ麻袋へと捩り込んだのを見守ってから声を掛ける。
「双夜!」
「?あ、フェイトちゃん……どうしたの?」
何かをヤり切った職人の顔をした双夜が、満面の笑みで私達の元へと歩み寄ってくる。それと同時に、ディアーチェ達まで集まって来た。中には、初めて見る顔もある。
「し、師匠ぉ~……う、動きにくいッスゥ~……」
「ん?まだ、身体に慣れてないからなぁ……お疲れ、神崎」
「『オムツ』したまま投入は、ダメだったのではないか?」
「んー……身体に慣れるには、日常生活が一番手っ取り早いんだけどなぁ……積み木遊びでも、させるかなぁ?」
「大丈夫ですか?神崎さん……」
「帰ったら、マッサージしましょう!良いですよね、双夜?」
「ツヴァイにマッサージして貰えるのだ、感謝するがいい神崎!!だが、もし良からぬ事を考えたなら……わかっておるな!?」
「だから、俺はもうシグナム以外に興味ないって言っているだろう!?この、寸胴娘!!」
「あらあら、神崎さんってばシグナムさんに洗脳までされちゃって……まあ、僕が計画していたモノだけど……レベルUP?」
「家でも、シグナムに視線固定ッス。もし、視線を他に向けたら……地獄のツンデレが始まるんッスよ!?」
『全く、イメージ出来ません(できぬな)……』
「シグナムって、恋人できると人格が変化するんッス。『主達には、絶対見せん!お前だけだからな!?』って……ムッチャ、可愛かったッス!!」
「それ、言っちゃぁ……意味無くないか?」
「大丈夫ッス!それが、現れた当初……はやてと楽しんだんで……まあ、バレた時は大変でしたが……」
「どっち方面でや!?」
「バトル的に……です……はあ……」
「あー……お疲れ様や……まさか、シグナムにそんな萌え要素があったとはなぁ……新発見や!!」
「ディアーチェ、言葉言葉……」
「フェイトちゃん、ゴメンねぇ賑かな奴等で。今日は、どうしたの?もしかして、なのはちゃん家に遊びに行くのかな?」
何故か、双夜がなのはを『ちゃん』付けで呼ぶと信じられないモノを見るような目で双夜の知り合い達が一斉にこちらを向いた。ちょっとだけ、それに気圧されつつ頷いて答える。
「う、うん。今は、お客さんが引くのを待っているんだ……」
「そっかぁ……『翠屋』は、今日も大繁盛だね!」
「みどりや?そっか、翠屋はみどりやって読むんだね?」
「スイヤ?翡翠の翠だもんね……もしかして、フェイトちゃん日本語勉強中?」
「うん。母さんのススメで、学校って所に行く事になってるんだ。入学試験?ってのを受けなきゃいけないから、この世界の勉強もしているよ?」
「そっかぁ……日本語には、同じ文字でも色んな意味や読み方を持つから覚えるの大変だろう?」
「そうだね……双夜は、学校には行ってないの?」
「僕はもう、大学出てるよ?まあ、日本の法律では学校へ行くのは義務になっているけど……年齢的に(笑)」
「えっと……?」
「ああ、日本ってのはここ。地球イコール世界名。日本イコール国名ね?海鳴市は、日本って国の一部の都市だから国が作った法を遵守してるの」
「それは、知ってるよ!!」
「そう?じゃあ、7歳から15歳春までは義務教育ってのを受けなければならないっていうのは?あ、義務教育は強制だよ……」
「……そうなんだ」
「うん。僕は、五歳(嘘)なんで保育園か幼稚園かな?まだ、義務教育の課程には入ってないよ。それでも、義務教育プラス高校3年、大学4年、院生2年分の勉強はしたよ?」
「え?え?ええっ!?」
「……あれ?年数が、合わないよ?」
「飛びっ級なので、問題ないのです」
「スゴいもんだねぇ……」
「まあ、色々あるんだよ(笑)それじゃあ、ソロソロ行くね?」
「あ、双夜!また会える?」
「うん。きっと、また会えるよ。バイバイ!あ、フェイトちゃん!今位から、翠屋に戻ればお客さんが引いた頃に辿り着けるよ!」
「え?」
別れ際に助言をされて、振り返ると双夜はもう居なかった。
今くらいから、翠屋に戻ればお店に着く頃にお客さんが引いていると聞こえたが……双夜の活動範囲には、翠屋は入っていないはず。どうして、その事を知っているのか謎だった。
だけど、双夜が嘘を付いた事は無いので戻って見ることにする。アリシア達も、何も言わなかったので来た道を戻って行く。翠屋に着いた頃には、双夜が言っていた通りにお客さんが空いていて、なのはがコソコソと困り顔で自分のデバイス(待機状態)を見ている所だった。
「なのは?」
「に゛ゃ!?あ……フェイトちゃん!」
フラフラと隠れて(?)いた場所から出てきたなのはは、私と抱き付くやいなや涙目で見上げてくる。
「フェイトちゃぁ~ん……通信届いたぁ!?」
「え?通信……バルディッシュ?」
《No, it has not arrived.》
「何度送っても、戻って来ちゃうの。試しに、クロノ君に送ってみたけどそれは普通に通信出来て返信が帰って来たし……どうなってるの?」
「えっと……クロノには、何て?」
「フェイトちゃんが言ってた、隠れてる魔導師さんの事を……あ、別に言っても良かったんだよね!?」
「え?うん。それは、構わないけど……クロノは、何て?」
「こっちでも、調べてみるって……」
「そ、そう……じゃあ、通信が通るか試してみよう」
「うん!あ、お母さーん。フェイトちゃん、来たよー!」
その後は、なのはに家族を紹介されてケーキをご馳走して貰って楽しく会話した。その時に、試験があると言ったらなのはと同じ学校なのかと聞かれたり、同じなら一緒に学校に通えるね?とも嬉しそうに言われる。私も、なのはと一緒なら嬉しいと返したら何故かアリシアが拗ねてしまう場面もあったけれど、これからの日々が楽しくなって行く予感でいっぱいだった。だから、この町に潜んでいる魔導師の事も双夜の事も、それに興味を持ったクロノの事も忘れてしまっていた。
フェイトちゃん視点でお送りしましたw
フェイトちゃんやアリシアが、双夜に気があるとか言っていますが……多分、恋愛感情じゃないと思われw予定はないw
プレシアとリニスの絡みが面白い件。
リニス(ボケ)で、プレシア(ツッコミ)が楽しみますw
むしろ、双夜が間に入ってリニスを貶めているようにみえますが……プレシアを焚き付けているだけですw
そして、海鳴市に潜んでいる魔導師をフェイトちゃん経由で時空管理局にリーク。
これで、【転生者】……レンの動向を監視する。
一期終了のお知らせ。
次は、二期までの空白期を書きます。ただ、双夜が暇すぎて迷走を始めるので、二期までに何かが終わる可能性もあります。もしかしたら、始まるかも知れませんが……w
二期まで、五ヶ月『も』ある訳ですから。
あのワーカーホリックが、大人しくしている訳がない!!
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
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