絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

97 / 592
踏み台くん名募集中!!
名前だけでも良いのでくださいませんか?
サブ登場人物の名前も募集中です!


七三話

神崎大悟

 

 

翌朝。

師匠が造った闇の書で、蒐集されているリーゼ姉妹を眺めるという体験を俺達はしていた。

師匠は、何故か某マッドサイエンティストを彷彿させる様な笑い声をあげていて、微妙な気分にさせてくれる。

まあ、師匠がネタをやっているっていうのはわかったので黙って見ているだけに留めておいた。

たがしかし、何故ここでジェイル・スカリエッティ!?

どうして、そんなネタに走っているのか全くもって不明だ。

俺の記憶が正しければ、俺のいた世界では面識すら無かったはずなんだけど。別の平行世界で、会ったのなら……まあ、納得しておこう。微妙に、状況とマッチしていて鬱だけど。

理解した上で、やっているのだろうから悪意満々なのがわかってしまう。誰に対してなのかは、言うまでもないだろう。

蒐集が終わり、ページ数を数えていた師匠がリーゼ姉妹に埋ったページが少ないと文句を言っている。

ぶっちゃけ、リーゼ姉妹は魔力を蒐集された被害者なので文句を言われる謂れは無いのだが……師匠を焚き付けた事と、魔力を蒐集された手前、文句を言い返せる程の気力はないらしい。

 

「ほれ見ろ、お主等が謝らぬから闇の書が二冊になってしもぉたわ……」

 

「あの時に謝っていれば、こんな事にはならなかったでしょうに……どう、責任を取るつもりなんですか!?」

 

何故か、リーゼ姉妹を責める側にユーリがいるという状況(違和感半端ない)が、出来上がってしまっていた。

微妙に棒読みなので、前回の如く打ち合わせがあったのは間違い無さそうだ。

しかし、いつ打ち合わせをしたのかはわからない。

俺は、その様子を積み木遊びをしながら伺っていた。そう、積み木遊びをしながらっ!!

 

「……………わかっているのに……これが、効率の良い訓練だってわかっているのに……凄まじい、羞恥心が抑えられない!」

 

リーゼ姉妹に見られているかと思うと、余計に羞恥心が沸き上がってくる。

 

「ま、その年で積み木遊びは……なぁ?」

 

「くっ……一思いに、殺せ!」

 

「写メろうか?」

 

「止めて!弄りネタにしないでぇ!!」

 

「これが終わったら、本格的に訓練するから……後、瞬動術使って顔面でスライデングは止めような?」

 

「止めて!!恥の上塗りはキツいッス!!」

 

「って、言ってもなぁ……身体に慣れてない馬鹿のやる事って気になるじゃん。しかも、前世界で使っていた技を再度使えるからって練習している場面に出くわしたらなぁ……」

 

「止めて!それ以上は、俺のハートを抉らないでっ!!」

 

「一つ一つ使って、悦に浸っているお前を見て思った事言って良い?」

 

「止めて下さい!本当に、止めてぇ!!」

 

「レン・K・ヴォルフラムと同レベル……だよね?」

 

「ゴフッッッッ……!!」

 

師匠の放つ言葉(刃)は、エクスカリバー並の切れ味を持っていた。バッサバッサと切り捨てられて、俺のハートはもう瀕死である。それを師匠は、笑い捨て「これも、精神鍛練だ。頑張れ!」等と言ってきた。

 

「それで、師匠……その闇の書は、どうする予定何ですか?まさかとは思いますが、本当に本局で使う予定じゃあ無いですよね?」

 

「ギル・グレアムに変身させた使い魔で、アースラ乗組員を襲うっていうのはどうよ?」

 

師匠の提案が、リーゼ姉妹の急所に当たりビクッ!?と反応していた。

 

「鬼ですよね!師匠って……まあ、知ってましたけど!……それは、殺り過ぎです!!」

 

一応、注意だけはしておく。

まあ、あんまり効果は無いだろうけど……言わないよりは、マシなので。逆に言い過ぎると、本当に殺り始めるので注意程度にしておいた。

 

「神崎、一通りの訓練と修業が終わったら……紫天の書に呑まれてね?そのまま、守護騎士システムに組み込むから……」

 

「俺、紫天の書の守護騎士になるんですか?」

 

「うん。その予定……出来そうにないなら、俺と接吻する事になるから……頑張ってね?」

 

「…………師匠と接吻……?」

 

「何?したいの?ゴキブリを食べた、この口で?」

 

「ゲフッッッ!!」

 

一瞬、5歳程度の男の子にキスされた所で、それ程まで精神的ダメージにはならないなぁとか思っていたけれど……そう言えば師匠は、アレ(G)ヲ……クチニ出来ル人デシタネ。

 

「嫌ッス!全力で、修業頑張ります!!」

 

「まあ、俺の方で引き取っても良かったんだけど……高々、この世界の知識の為だけにモブ以下宣言させる訳にも行かないからねぇ……嫌だろう?舞台裏へ就職なんて……」

 

「あー……師匠と一緒なら構わないッスよ?」

 

「……何?プロポーズ?」

 

「え?いやいや、純粋に強くなれそうだなぁ……と……」

 

「止めとけ……お前をコッチに引き込む予定はないよ」

 

「……えっと、守護騎士システムに組み込まれた後なんですけど……成長とかしないんですか?」

 

「するよ?この紫天の書と、闇の書の守護騎士システムは別物だからねぇ。僕の魔改造もされているし……でも、組み込まれて直ぐに使えない騎士は守護者じゃ無いだろう?」

 

「あ、ま、そうッスね……」

 

つまるところ、俺は不老長寿ではあるけれど他の平行世界へは行けないから紫天の書の守護騎士化させてユーリと共に師匠について回る事になるらしい。

最終的には、守護騎士システムから切り離して生体強化と妖精処理を解除して俺が選んだ世界に放して貰えるとのこと。そこで、第四の人生を過ごさせてくれるらしい。

 

「……それまでは、師匠達と一緒に戦えるんッスね?」

 

「鍛えてもやるぞ?色んな、技や術を教えてやるから僕からの依頼……受けてくれるか?」

 

「ええ!もちろんです!!欲しいのは、『魔法少女リリカルなのはの原作知識』であってますか?」

 

「ああ。良いんだな?」

 

「はい!」

 

「なら、契約完了だ。よろしく頼むぞ?神崎……」

 

「はい!!」

 

こうして俺は、師匠の旅に付いて回る事になった。

その後は、原作についての質問で俺は聞かれるまま事細かに無印の流れを語ってみせる。【無印】について聞かれたけど、サブタイトルの事だと言ったら関係ないのかと飽きれていた。あれは、【転生者】が物語の流れを分ける為に言っている事なので気にするだけ無駄だと思われる。

そのまま、なのはがレイジングハートを手に入れ変身する所まで話すと……『変身シーンてなんや?』と、ディアーチェに聞かれた。隠す事も無かったので、なのはが裸になってバリアジャケットを纏うシーンだと答えたら全力で殴られる。

変身シーンがあるって事は、八神はやての裸も見たって事だろう!?とキレられてしまう。そう言えば、このディアーチェは八神はやてが融合事故を起こして生まれたバットエンドな未来的存在でしたね。

そんなこんなを交えながら、フェイトが出てきた所を話していると師匠がジュエルシードを一度に集める事は出来ないのかと聞いてきた。

 

「無理ですね……フェイトとなのはが、友達になるという事柄も踏まえてますから……かなり、長い物語になります」

 

「なんて、面倒臭いんだ。僕だったら、一瞬なのに……」

 

「それで、フェイトちゃんを泣かしとったんは誰やねん!?」

 

「……………………」

 

「ちょ、師匠!?」

 

それから、ラストバトルを経てラストダンジョンへ。

 

「ははぁ……フェイトちゃんは、なのはママを支えに立ち上がるんですね……それで、ピンクのトラウマも克服って訳か……」

 

「せやな。普通やったら、トラウマもんやからな……SLBは」

 

「これはまた、新鮮な発想が来たもんだなぁ……そこは、魔法少女補正とか友達補正とか思わないんですか!?」

 

『思わない』

 

そして、物語は佳境へ進み。

プレシアとアリシアが、虚数空間に消えて行った事を話したら、師匠が『待った』を掛けた。

 

「プレシアちゃん、本当に虚数空間に落ちるんだ?」

 

「あ、はい。落ちますね……」

 

「アリシア、生き返らないの?」

 

「ええ。生き返りませんね……」

 

「ああ、いや……アリシアが、生き返らないのは知っていたんだ。そっか。プレシアちゃん、逮捕される訳じゃ無いんだ」

 

「逮捕されるんだと思ってたんですか?」

 

「うん。思ってた……裁判中に病気で亡くなるモノなんだろうと……そっか、アリシアと共に逝ったか……」

 

「なんや、あんまし救いが無いような話やったなぁ……」

 

「そもそも、物語事態が『痛みと悲しみと最後の希望』を題材にしてますからね……仕方ないんじゃないですか?」

 

「それは、少女が体験する様な話じゃないと思う」

 

「せやな。これはちょっと、普通の少女の話やあらへんわ」

 

「……………………」

 

魔法を使える時点で、誰も普通ではないのだけれど……それは、言わぬが華なのだろう。

その後、『名前を呼んで』を話して終了とした。

 

「あはは。なのはちゃんらしいなぁ。名前を呼んで……かぁ」

 

「名前を呼んだら、友達になれるんだ……初耳……」

 

「師匠は、友達いたんですか?」

 

「いたよ?まあ、年齢が離れてたけど……友達って言えば、友達だったかな?……僕的には、仲間とか同志とかいう感覚なんだけどねぇ…………」

 

「……おったんか!?友達が!?」

 

「おっしゃ。表に出ろ!ディアーチェ!!」

 

「あ、や、ご、ごめん……堪忍したってや!」

 

「……まあ良い。で、八神はやての物語もあるんだろう?」

 

「あ、はい。A'sッスね!」

 

「エース?コイツが?」

 

師匠が、ディアーチェを疑わしそうに見ている。

 

「あ、いえ。なのはが、魔法少女を続けてるって意味です」

 

「……なんだ。なのはママが、着々と魔王化してるって意味だったか……」

 

「え?」

 

「ム。なんや?何か、言いたそうやな?」

 

「魔力操作が今一で……広域とか言いながら実は適当な範囲攻撃しかできないディアーチェが、ACEだなんて信じられなかっただけだよ?」

 

「ぐっ……事実だけに、何も言い返せえへん……」

 

「しかし、転生者が絡むと……なのはママが、魔王化するのは避けられない事なのかなぁ?」

 

「あー……やっぱり、ストレスがそうさせるんやろか……」

 

「その点、ディアーチェはハッチャケないよね。あれかな?なのはママが、ハッチャケてるのを見て自分を戒めてるみたいな?感じなのかな?」

 

「それは、あるかもなぁ……私等の世界では、神崎や霧島諸ともディバインバスターで薙ぎ払っとったからなぁ……」

 

「えっと……そんな記憶は……」

 

「その後、リンカーコアが損傷してドロップアウト。非魔導師になって、お菓子の専門学校に通うんだっけ?」

 

「ええ!?って、俺の知らない平行世界の話ですか!?」

 

「え?何言うとるん……アンタ等が、なのはちゃんを非魔導師にしたんやろ?」

 

「ええっ!?」

 

「違うよ……コイツは、シフトBの奴等だから……シフトAの。ディアーチェの世界の知識は無いに等しい」

 

「そうなん?でも、そういう事をする可能性はあるんやろ?」 

 

「いや、無いな。神崎は、僕の弟子になってるからね。それに、コイツはもう……シグナム以外の女性に興味はないよ!」

 

「ちょ、し、師匠ぉ!?」

 

「あ゛!?どういう事や、詳しく説明せえや?」

 

「え?痴呆症?」⬅鬼

 

師匠が、暴露した瞬間……八神はやての顔が、醜く歪んで俺の胸ぐらを掴み上げた。

 

「剣技と格闘技のみで、シグナムを倒したら付き合って貰える……だっけ?」

 

「……結婚しました♪」

 

「なぁっ!?ちょ、シグナムをタラし込んだんか!?ええ度胸や、表ぇ出ぇ!!」

 

「良いですよ?シグナムを下した、我が剣術と格闘術……とくとお見せいたしましょう!!」

 

適当に謳っていたが、ディアーチェは人の話も聞かずにズンズンと表へと出て行く。呆れて、その後を追いつつ師匠を見れば、こちらを見るまでもなく知らんぷりを決め込んでいた。なのに、凄まじいプレッシャーを感じる。

これは、あれか!?俺の弟子なら、勝てという無言の圧力ですか!?少しだけ、ゲンなりしながら外へと出た。

 

「よぉ逃げずに来たなぁ……神崎!!」

 

「……………………」

 

ディアーチェは、仁王立ち状態で俺の前に五メートル程度の間隔を空けて立ち塞がっていた。

腕を組んで、険しい表情で睨み付けてくる。

そして、シュベルトクロイツを展開し構えたディアーチェが魔力チャージを終えて、さあ魔法を使おうとしたところで『待った!』が掛かった。

 

「殺るのは良いけど、なのはママと時空管理局には気が付かれないようにね!!」

 

『ええっ!?』

 

「当たり前でしょう?僕達は今、彼等の目を掻い潜って隠れている立場なんだから……魔法戦は、控えてくれないと……リーゼ姉妹が泣くよ?」

 

『……………………』

 

結局、魔法を禁じられた俺達は別の方法で勝敗を決める事となる。結論だけを言うなら、秘密基地に備え付けてあった対戦VRゲームにド嵌まりした。

俺達が、勝負そっちのけで楽しむというオチとなる。 

 

「もう一勝負や!!」⬅忘れてる。

 

「はっ!次も圧勝してやるよ!!」⬅忘れてる。

 

その後も、様々なゲームで楽しんだ俺達は……戦友(VR限定)と成りきって談笑するまでになっていた。

 

「でさ、シグナムってはやて達がいるところではキリッとしてるんだけど……二人っきりになるとーーーーー」

 

「フムフム……な、なんやてぇ!?見たい!それ、ムッチャ見たい!!」

 

「師匠に頼めば、アカシックレコード経由で見せてくれないかなぁ?」

 

「よっしゃ!ログアウトして、頼みに行くでぇ!!!」

 

そして、土下座までしてアカシックレコード経由で俺の世界のシグナムを一緒に見て、あまりの萌えっプリに二人で悶絶して笑いあった。

 

「あ、アカン!シグナムが、ムッチャ可愛えぇっ!!」

 

「だろ?だろぉ?俺、もうシグナムしか見えないっ!!」

 

「わかるっ!このシグナムは、反則過ぎるわっ!!神崎が、シグナムにゾッコンになる気持ち……スッゴク、わかる!」

 

「シグナムには、恋人を作らせるのが良いんだ!出来るのであれば、その恋人は俺で!!」

 

「まあ、条件が条件やから……よっぽどのバトルジャンキーやないと恋人フラグは建たへんのとちゃうか?」

 

「しかも、魔法有りのシグナムを剣技と素手のみで倒さなければ恋人になれないんだ。難易度は、ルナッティックでさ!」

 

「でも、神崎はそれを倒したんやろ?……………………あ!?」

 

「まあな。って、どうした!?」

 

「へ?あ、うん。何でもないよぉ?」⬅思い出した

 

「そうか?じゃあ、今日はこの辺にしておくか?」

 

「せ、せやな!今日は、この辺で許しといたるわ!!」

 

「???」

 

ディアーチェは、そそくさと自分の部屋へと引っ込んで行った。結局の所、この日は一日中VRをやっていて時間を潰していた感じで終了。

翌日、忘れていた勝負の事を思い出したけれど……もう、どうでも良い気分になっていた。それよりも、VRをヤりたくて俺はずっとワクワクしている。ディアーチェや、ユーリを誘ってまた勝負を……と思っていたけど、師匠の修業に駆り出されてしまった。

 

「言っていただろう?紫天の書に呑み込むから、修業をして出来るだけ動ける守護者にするって。だから、まず走り込みから始めようか?」

 

「………チクセゥ……………っうッス!」

 

「さて……五時間耐久レース行ってみよう!!」

 

「ええっ!?ご、五時間ッスか!?」

 

「……という訳で、ビースト召喚!!イリュージョン、ビーストを普通の犬の姿に!!って事で……殺れっ!」

 

「い゛っ!?う、うわああぁぁぁ!!!」

 

師匠が、低い声で『殺れっ!』と言った瞬間、召喚されたビーストと目が合った気がした。そして、前回の世界同様……否、前回よりも厳しい体力作りが始まったのである。

疲れ果てても、底力で走りきる耐久レース。

全力全開ではなく、全身全霊をかけて走り抜ける。

常に全力疾走。止まる事は許されず、ただひた走るこの行為は一種の苦行であった。背後から、段々と迫ってくる得体の知れない圧力が殺気と共に迫って来る。

それから、ひたすら逃げる為に足を動かし続けた。

だがしかし、俺はこの肉体に施された『生体強化』と呼ばれる技術を完全に舐めていた事を痛感する。

何故なら、生体強化されたこの肉体では五時間程度は普通に走れる行為だったからだ。肉体のあんまりな性能に、戦々恐々しながら走り続ける事となった。

 

「まあ、肉体を鍛えるというより……精神を鍛えているだけの話だから、肉体的疲労はほとんど無いだろう?」

 

「はあ……まあ……」

 

「この後は、一番難しい魔力操作に関しての講義だ。リンカーコアは、使わないから心して受けるように……」

 

「……えっと。一応、リンカーコアはあるんですか?」

 

「その肉体に?……無いよ?」

 

「へ?えっと……瞬動術、使えたんですが……」

 

「元々、魔力を操作できる下地は出来てるからなぁ……多分、周辺に漂っているマナを使ったんじゃないか?」

 

「はあ……良く、わからないッス……」

 

「この世界で使われている魔法と魔力・魔力運用は……僕達が使う、魔法や魔力運用とは別物だからな……」

 

「あ、違うんッスね……」

 

「神崎には、まずその辺りから覚えて貰うぞ?」

 

「痛いのは無しでお願いします!!」

 

「…………全く、この踏み台様は……」

 

「はぅあ!?ちょ、師匠……それは、ちょっと止めていただきたいのですが……」

 

「楽したい思考が、復活しているみたいだからな……無くなったら、普通に呼んでやるよ(笑)」

 

「マジッスか……(泣)」

 

それから、俺はひたすら己の内から魔力を引き出す訓練をしていた。身体の真ん中にあるであろう、フワフワポカポカした魔力を内面に意識を飛ばして、ソレを指先に引き出すという訓練を永遠とする。

コツは、瞬動術をやるのと大差ないと言われた。

むしろ、瞬動術の方が難しいとのこと。

 

「引き出せない……」

 

「感覚的な話だからな。今まで、デバイス任せだったのをイキナリ自分でヤれっていう感じだから……大変かな?」

 

「うーん……」

 

「まあ、これが出来ないと次に進めないから……頑張れ!踏み台!!」

 

心砕ける応援を受けて、俺はひたすら魔力を引き出す訓練を続ける。イメージするのも良いとか、様々なアドバイスを受けるが今一要領を得ない。

 

「僕のイメージは、魔力イコール水かな?液体でも可。それが、血液の様に体内循環しているイメージを持ってる……」

 

「血液ッスか……なんか、生々しいッスね……」

 

「そうか?ってか、【神様】専属の死神に生々しいなんて言うなよ……当然過ぎて、笑えないぞ?」

 

「…………でしたね……」

 

出来るだけ、雑念を振り払い集中した。

目を閉じて、瞑想をするように己の内へと意識を向け続ける。特に師匠が言う、身体の真ん中辺りを重点的に手探りで探し続けていた。一日が経って……三日が経って……一週間が経って……それでも、魔力を引き出す事ができない。

瞬動術や魔力の刃を作り出す事が出来るのに、基礎の基礎が上手くいかないってどういうこと?それでも、師匠は根気よく付き合ってくれた。しばらくして、魔力の刃がそれに該当するんじゃないかと考えて師匠に見て貰ったが……刃の属性を抜いたのが見たいと言われて、出来なかった。

それからというもの、朝早く起きご飯を食べ……何時間も走り込みを続けてから魔力操作・運用の訓練をするという生活が続いている。

 

「お前ってさぁ……器用なくせに、微妙に下手くそだよね」

 

「地味な精神攻撃して来ないでくださいよ……」

 

「いや、だって……無属性の魔力を引き出すのは苦手なのに……属性を付与した魔力は、出せるんだよ?」

 

「…………反論できない……」

 

「まあ、完全にイメージの問題なんだけどね」

 

「イメージ……ッスか?」

 

「形の有る物は、イメージしやすいだろう?でも、反対に形の無いモノはイメージできない。だから、そのまんまの魔力を引き出す事が出来ない訳だ」

 

「……………………」

 

「そうだな……無色の魔力を引き出すのは、今後の課題にして魔力操作の応用は出来ているから、運用の方を学んで行こうか?」

 

「課題……」

 

「とりあえず、魔法云々は後回しにして魔力操作・運用を重点的に訓練・強化して行こう。……僕等の身体強化系の術は、術式や魔法による強化じゃない。魔力運用と魔力操作による強化だ。魔力さえ尽きずに注ぎ続ける事が可能であるならば、強化を維持できる訳だから割りと便利なんだ」

 

「じゃあ、ブーストの掛け過ぎで体を壊したりはしないのか……中々、便利だなぁ……」

 

という訳で、魔力運用による全身体強化をやってみた。

しかし、これがまたあっという間に魔力が底を突いて俺は白目を剥いて痙攣しながら気を失ったらしい。

師匠から、事細かに説明されて、その時の画像も見せられ、「気持ち悪かった」等の感想まで告げられる。

それだけで、俺の心は瀕死であった。

 

「師匠、酷いッス!!」

 

「あ?すまんすまん……本音が……」

 

「ほ、本音って……あ、悪魔ぁ…………」

 

「まあまあ。今回の失敗点は、いきなり全身に魔力を纏ったせいだろうな。先ずは、手、腕、両手、両腕……といった感じに拡げていって、最終的に全身……という方式を取るのが普通だ。そうやって、魔力運用を覚えて行くんだが……」

 

「そこは、最初に言ってくださいよっ!!」

 

「まさか、初めてでそんな事をする馬鹿がいるとは思わなかったんだ……不用意に強化した奴が悪い!」

 

「そんな事、言われないとわからないですよ!!」

 

「……いや、今までこんな事は起こらなかったよ。流石、踏み台転生者だ!!」

 

「……………………マジで?」

 

「うん。…………さて、それじゃあ……今日は終了して、明後日から再開しようか?魔力が尽きてるから、何も出来ないしなぁ……じゃ、ゆっくり休むと良い」

 

それだけ言って、師匠は秘密基地から出ていった。

唐突に、降って沸いた休日に俺は何をしようか?と考える。

周囲を見回して、ディアーチェやユーリを探したけれどいない。師匠は、ゆっくり休めと言っていたけど俺は立ち上がって外へと出て行く事にした。

秘密基地を出て、鳥居を潜り長い階段を下って街へと進んで行く。フラフラと周囲を見回しながら、向かう先は翠屋だった。着いてから、この町で一番の鬼門に来た事に後悔したけれど……来てしまったのは仕方がないので、師匠から配給されているお小遣いでコーヒーでも飲もうと店に入る。

カウンターの席に座り、コーヒーを頼むと士郎さんに話し掛けられた。どうやら、毎朝ジョギングしていたのを見掛けられていたらしい。一瞬、高町家の道場にドナドナされるのかと身構えてしまったがそうではなかった。

 

「何か、スポーツでも?」

 

「ええ。まあ……」

 

ここで、格闘技だとか剣術等と口にしたらドナドナされるので適当に思い付いたスポーツを上げておいた。

 

「マラソン?」

 

「本番は、まだ先なんですが……体力が、落ちない様にしておこうと思いましてね?」

 

「って事は、何処かに所属する選手なんだね」

 

「あ、や……今はまだ。いつかは、そうなれればなぁ……と」

 

「なるほど。夢に向かって頑張っている訳か……」

 

「ええ。マスターも、何かされているんですか?」

 

ぶっちゃけ、この質問はしたくなかったけれど、この流れ的に聞かないのは何か不自然な気がして口にした。

士郎さんは、ニコやかに剣道関係だと答えてくれる。

一瞬、どう返答するかで迷ったけれど一番無難そうな「へぇ……そうなんですか」を選択した。

もし、ここで変に『ああ、やっぱり……風格が~』とか『実は、俺も~』等と口にしていたら、ドナドナルートは間違いないので無難な所を選んでみた訳だ。

その甲あってか、何事もなく俺は四時前に翠屋を出た。

そして、以前自分が住んでいた住所を訪ねたり、臨海公園を見て回ったりして時間を潰し、また神社へと戻って行く。

体を解したり、柔軟等をしてウォーミングアップを済ませると来た道を戻り走り出す。徐々にスピードを上げて、ある一定スピードどを維持しつつ付けて来ている気配を振り払おうとしてみた。

その気配は、臨海公園を探索している辺りで拾ったから、高町家の誰かではない。というか、高町家の者でないのは気配を読み取れた時点で判明している。

もし、あの人達が本気で後を付けて来ていたのなら秘密基地に入ろうとしたところで声を掛けてきていただろう。

即ち、さっきから付け回しているあの気配は【転生者】の可能性があった。探索の途中からだったけど、そういう囮的な行為をやってみたいと閃いてしまったのがいけない。

やってから、気が付いて後悔してしまった。

今の俺は、魔力が底を突いている上に魔法すら覚えていない状態である事にだ。師匠に連絡を……と思ったが、連絡先どころかどうやって連絡を入れれば良いのかさえわからない。

もう、ダメかなと思い掛けた所でユーリを見掛ける。

ユーリも俺に気が付いたらしく、速度を緩めて立ち止まるとピョコピョコと近付いて来た。

 

「神崎さん!トレーニングですか?」

 

「あ、いや……師匠に伝言を頼みたいんだが、念話を頼めないか?どうも、厄介な事になっているらしくって……」

 

「良いですよ?それで、なんてーーー」

 

伝言内容を告げる前に、封時結界が俺とユーリを含めて閉じ込められた。

 

「すまない……俺が、巻き込んだようだ……」

 

「……いえいえ。大丈夫ですよ?フレールくんが、今頃双夜に連絡してくれているはずです!」

 

「……そうなのか?便利だな……」

 

「えっと……多分、神崎さんにも憑いているはずですよ?」

 

「ヘェーソーナンダー……」棒

 

そんな感じで、緊張感の無い会話を続けていると長く艶のある髪をなびかせてヤツが現れた。

ーーナルシー……じゃなかった、ナルシスト?……でもないなぁ……踏み台!ではあるんだけど……あ、レンだ!レン……レン?なんだっけ?度忘れしてしまう。まあ、ああいうヤツは自分から名乗りを上げるタイプだろうから、黙って入れば問題は無いと思われる。

 

「時空管理局、最高の美女!レン・K・ヴォルフラムですわ!覚えておきなさい、犯罪者!!」

 

ーーあー、何て言うか…頭の足りてない馬鹿女的発言がきた。風格的に言えば、お金持ちのおバカなお嬢様。

調度、その上に胡座を掻いたらああいう感じに仕上がるんじゃ無いかなぁ……と思われる。とりあえず、どうしたモノかと考えつつ隣を見ると誰もいなかった。

 

「は?ユーリ!?」

 

背後を見て、左右を見て、上空を見上げて……何処にもいない事を確認。そこで思い至るのは、師匠の邪悪な笑顔。

どうやら俺は、おいてけぼりにされたらしい。と、そこである事を思い出した。そう言えば、俺の胸にはリンカーコアが入って無いんですよね。つまり、師匠が俺に求めているのは自身の潔白と非魔導師であるというアピールとみた!

 

「な、何だ?お、お前は、誰だ!?……そ、空が……!?」

 

「見付けましてよ!この町に潜んでいる魔導師っ!!今こそ、私の力を見せ付ける時ですわ!!」

 

「あーえっと……………………見た目は美人なのになぁ……」

 

その後、俺は無抵抗でノックアウトされて次元航行艦アースラヘ連行される。まあ、結論だけを言うなら……リンディさん達に頭を下げられて解放されました。

護送中も、ちょこっとの抵抗でボッコボッコにされ、少しでも反抗的な態度を見せるとデバイスで殴られて……俺が局員だった頃は、こんな事しなかった的な事柄を永遠とされる。

リンディさんやクロノ相手に、慰謝料を要求したら普通に手持ち云々がという事で雀の涙程をいただき海鳴に戻された訳だ。当分の間、監視が付くらしいが……そこは師匠の使い魔さん達が、俺を拉致風に連れ去った時に管理局のサーチャーを破壊してくれたので問題は解決する。

彼等の立場から見て、間違いで巻き込んだ一般人が管理局に関わった結果……海鳴市に潜んでいる魔導師一派(?)に、一般人を拉致られるという事態を招いた形だ。

 

「鬼ですね……師匠……」

 

「あのナルシーに現実を知らしめるには調度良いからな……」

 

「…………知らしめられるッスかねぇ?」

 

「……無理じゃないか?」

 

「デスヨネー。わかってました!!」

 

そして、翌日には俺のクローン?が遺体で発見されるというニュースがTVで流れて……アースラに滞在しているフレールくんの目を通して、リンディさん達が頭を抱える姿が確認されたらしい。その事で、師匠はレン・K・ヴォルフラムがクビにならないかなぁ……と笑う。

 

「この世界では、もう二度と外には出られなくなったんですけど……俺……」

 

「大丈夫、大丈夫!双子って設定が、あるから!!」

 

「偽装の為に、DNA弄ったって言ってたじゃないですか!?どうしたら良いんですか!?」

 

「管理局の奴等が、この世界から離れるまでの話だよ!それに、DNAが弄ってあるなら……他人の空似が、使えるだろう?記憶喪失って事にしておけよぉ!!魔法で消された的な方向で!!」

 

「俺……選択誤ったかも……」

 

「大丈夫、大丈夫!変身魔法も幻の魔法も充実しているから!!超が付く程、簡単な話になるよ!!」

 

師匠が提示する解決方法は、全然別方向での解決方法だった。しかも、俺はまだ基礎段階で魔法なんて何も使えない状態だ。なのに、最初から魔法を使う事が前提になっている気がする。あの時、もしかすると本気で選択を誤ったかもと思ったけど……その考え事態が、間違いである事はこの後直ぐにわかる事になった。

 

 

 

 

 

 

 




困った時のかーんざーき君♪再びw
双夜と神崎の契約話は、作者が企んでいるある事に起因しますが……今回は流れましたw
とりあえず、神崎には双夜がたどった修行を体験します。
多分、歴代の転生者(踏み台)の中では最強の存在になる可能性がありますwしかも、超実力派の(予定)w
その前に、神崎の精神がボロボロにならない事を祈っておく。神崎が、微妙にBL方面へ傾いてますが……シグナム派化しているので正常です。あれは、気にしないで下さいw
神崎大悟……クローンを無慈悲に殺されて外に出られなくなるwそして、全く別の方向で解決案を出された!?

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。