見切り発車で始めた物であり、駄文で見にくく、至らぬ点がたくさんあると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
昔のような活気ある時代は過ぎ、アラガミと呼ばれる単細胞生物が闊歩する時代。
オラクル細胞と呼ばれたその細胞同士の結合は強靭であり、いかなる質量兵器もこの荒々しき神に通じることはなかった。
そんな絶望的な相手でも人間は対抗しうる方法を考え出した。
それが
唯一の対抗手段であるその神機を手に取り、アラガミと日々戦い続ける者達、人は彼達を
このお話は、その神機使いの宿敵でもあるアラガミ、その中の人型の形を取り、腕のような翼を持つアラガミ。シユウと呼ばれたアラガミのお話である。
人類が贖罪の街と呼ぶその場所に彼、シユウと呼ばれる個体はいた。
細い通路を抜けた先の建物跡で彼は低強度チタンと呼ばれる物体を食していた。
それから少し経ち、ある程度満腹感を感じたぐらいに食すのをやめ、また違う場所を探して歩き始める。
傍から見れば他のアラガミと同じ行動をしているように見えるが、彼とほかのアラガミとは違う点があった。
彼には”意思”と呼ばれるものがあった。それにより知能が備わり、思考をするようになる。いつから意思を持ち始めたかはわからない。
気づけば、まわりの状況を見て考えることを覚えた。気づけば、自分は他のシユウ達と違うことを自覚した。
そして彼はその意思の中で一つ、ある願望が生まれる。
それは
強者との戦い
である。
彼達、シユウという名前の元になったもの。それは古代中国神話と呼ばれるものにある、戦神の一神の名前からであった。戦神の名を持つようにシユウ達は武人のような戦い方をし、戦闘を好む。
彼もそのひとりであり、生まれながらにして武人だった。それゆえに彼は戦いを好んだ。
今までのような力と力のぶつけ合いでもいい、自分はただただ強きもの…強者との戦いを望んだ。
しかしシユウは中型種であり、新人
だが彼は違った。彼には意思がある。思考という力がある、知恵というものがある。
今まで通り、力と力のぶつけ合いではなく、戦略と呼ばれるものが使える。
しかし現実はそれほど甘くはなかった。知恵が付き、攻め方というものを変えれたとしても、やはり力と力のぶつけ合いは必ず起きる。勝利はしたものの、その時やはり彼は押し負けていた。
事は、ある教会の廃墟にて素材を捕食していた時である。大きい何かが移動する気配を彼は感じ取った。
すると彼は目の前の捕食をやめ、その気配をするところにかけていく。
いざ到着するとそこには虎に扮したアラガミ、ヴァジュラが存在した。
シユウがその場につくと同時にヴァジュラはシユウを視認し、戦闘態勢に入る。背中のマントを逆立て、叫ぶ
「グオオオオォォォオオ!」
それと同時に彼も叫び返す。
「ガァアアアァァアアァ!」
どちらともが叫び終わると同時にヴァジュラから先制としてシユウに向けて飛びかかった。
シユウはそれを確認すると地を蹴り、横に回避する。
ヴァジュラの飛びかかりを回避し、そのままシユウの後ろに回るように移動したヴァジュラに向き直すと手に力を込める。
そしてそのまま両手を前に突き出し貯めたエネルギー弾をヴァジュラに向けて放つ。放たれたエネルギーはそのままヴァジュラへと向かい、その無防備な顔へと直撃。
「グオァッ!」
それが以外に効いたのか、目の前のヴァジュラは軽く怯む。それをチャンスと取ったシユウはそのまま足に力を込め、そのまま一直線にヴァジュラへ疾走した。そのままヴァジュラに向けて拳を振り上げ殴りかかろうとすると目の前のヴァジュラが不意にニヤっとしたような顔をする。
それを見たシユウは、自分の行動の愚かさに気づく。見ればヴァジュラのマントは光を放っており、電撃の範囲攻撃を行う前兆でもあった。
しかし気づいたとしても時は既に遅く、そのまま範囲攻撃が発動し、シユウはそれをまともに喰らった。全身に走る痛みにシユウは軽くふらつくがなんとか態勢を立て直し、ヴァジュラから距離を取る。
そのままシユウはヴァジュラを睨みつける。見ればヴァジュラはマントの上に雷球を精製していた。距離を取るとわかった上での追撃攻撃なのだろう。だが回避を行った直後でもあり、電撃を全身に浴びて少し麻痺をしているその体では直撃は防げても完全に回避は不可能であった。
「ガアァァッ!」
直撃というわけではなく、掠りに近いものなのだが、電撃を帯びたその攻撃は掠りでも対象に大きくダメージを与える。その痛みにシユウは怯み、気づけばヴァジュラはこちらに飛びかかってきていた。
それを確認したシユウは背中の拳を固め、飛びかかってくるヴァジュラに向けてその拳を繰り出す。
「ガアァ!?」
だが純粋な力比べでは体格の大きさから違うヴァジュラに押し勝てるわけもなくそのままヴァジュラの食らいつきに直撃し、そのまま彼は吹っ飛ばされていく。
そのまま埋め込むかのように建物の壁に激突し、その建物が軽く倒壊する。この短時間でダメージが溜まった彼はその体に鞭打って立ち上がる。それをヴァジュラは確認するとマントを逆立て、発光させ、シユウが立っているその場所に電撃のフィールドが形成するように力を溜める。
それをシユウは視認し、回避行動かもしくは反撃をしたいところなのだが激痛でその二つを咄嗟に起こせるほど体は自由ではなかった。
シユウはそのまま回りを見渡し、視界の端に自分が吹っ飛ばされ壁に激突した際に倒壊した建物の残骸であり、大きめの鉄骨がむき出しになっていた。シユウはそれを確認し何かを思いついたようにハッとすると、重い体を動かしてその鉄骨をヴァジュラに向けて全力で投擲した。
「ギャオォォアァ!」
投擲した鉄骨はヴァジュラの前足にうまく刺さり、地面に縫い付けにしたようになる。
それを好奇だと思ったシユウは小さいエネルギー弾を作り、何回もヴァジュラに放ちつつ、ゆっくりと近づいていく。一心不乱にそれを繰り返していた。
放つ。近づく。
ヴァジュラは藻掻くがその鉄骨が外れることはない。
放つ。近づく。
放つ。近づく。
気づけば、もうヴァジュラの目の前までに歩み寄れていた。
ヴァジュラは目の前のシユウになんとかして食らいつこうと必死に藻掻き、シユウに向けて突進をしようとする。だがそれも意味もなく、ただ暴れるだけになっていた。
シユウはそれを見て、ただただ固めた翼の拳を振り上げ、
殴る。
殴る、殴る。
ただひたすらに殴る。
殴るたびに叫び声を出していたヴァジュラは気づけば動かなくなり、声を発することもしなくなっていた。
それを見た彼の顔は笑っていた。死を前にして笑っていた。だがそれは殺した快感からではなく。闘争の果ての勝利、強者に打ち勝ったことからの笑顔である。
しかし武人としては少し納得ができない戦いでもあった。強者に打ち勝つことだけを考え、鉄骨で突き刺し、拘束をする。それを見て自分はただただ勝つことだけを考えて自分の武器である背中の腕の拳をただただ叩きつけた。こうでもしないとこちらが死んでいたことなのだが、正々堂々の戦いを好む彼にとっては解せないものであった。
全ては自分の力不足ゆえであること自覚した彼は強くなろうと自分の意思に誓った。
そして相手の追悼の意味も込め、シユウはヴァジュラの亡骸に近づき、捕食する。
美味しさなど、そんなものなど既に感じない。あっけない終わり方ではあったが、目の前のヴァジュラにただひたすら感謝と謝罪の意味も込め、ヴァジュラを食す。
捕食して少し経つと、ヴァジュラは地面に溶け込むように、否、ヴァジュラから出た黒い靄が空に舞い上がり消え去るかのように融解していく。オラクル細胞が空気中へと霧散し、もう目の前のヴァジュラは消え、いつも見たことのある地面しか存在しなかった。
それを見てシユウは、悲しみを覚える。自分の奥から来るこの衝動に、シユウは疑問を持っていた。
「ガアアァァァアアァアァ!!」
気づけば彼は、地面に膝をつき、大きく咆哮をあげる。
この短時間にいろんなことを体験した。
死を前にする”恐怖”
強者に打ち勝った”喜び”
自分の志に反することをしてしまったことへの”不満”
相手の死を感じたゆえの”悲しみ”
彼は意思を持ち、考えを持ち、知恵を持つ。ならばそれと同時に”感情”と呼ばれるものが芽生えるのも無理がなかった。
自分の体の奥から湧いてくるこの衝動は少し前の自分たちにはなかったものだ。不意に出てくるこの感情と呼ばれるものに忌まわしさを彼は覚えた。だがそれと同時に体の奥からくるこの衝動に彼は心地よさを感じた。
今までは、ただひたすらに捕食をするために移動し、敵意を持つもの達と戦い、ただただ自分の本能に従って、生きていくためだけに必死になっていた。
ふと沸いたこの感情と呼ばれるもの、彼には新しい感覚でもあり、楽しみでもある。楽しければ笑い、喜んで。怖いものには恐怖をし、畏怖する。気に食わぬことには不満を持ち。大切なものを失ったときや、悔しみによって涙を流し悲しむ。
これらによって自分が自分でいられるような気がした。これから先を自由にやっていけるような気がした。
そう考えていると、さっきのヴァジュラのことが彼の頭の中に浮かぶ。彼は、自分の糧になったあのヴァジュラために負けられないと思った。そのために強くなろうと思った。
彼はそう思うと、自分の背中の拳を自分の目の前に持ってきて握ったり開いたりを繰り返す。そして違和感を感じた。
ふと力を込めるとさっきのようなエネルギー弾とは違うものがこみ上げてくる。自分の目の前にあった拳を開き、軽く倒壊している建物に向けて力をさらに込める。すると自分の手のひらから出たのは見慣れたエネルギー弾ではなく、さっきのヴァジュラが使っていた紫電、槍のように尖り、すべてを貫くその電撃が彼の手のひらから放出され、目の前の建物を穿いていく。
あのヴァジュラは自分に力を与えてくれた。いや貸してくれた。そうシユウは感じた。そのことにシユウは感謝すると、その場から離れ、別の場所を目指して歩いていく。
自分が倒したあのヴァジュラのためにも、自分がそれに報いるためにも強くなろうと心に刻み、新たなる力、強敵を求めて彼は歩いていく。
その姿はまさに彼が思い描く武人そのものであった。
読んでいただきありがとうございます。
初投稿の割には主人公が人間じゃないと言うね…自分はアラガミの中ではシユウとオウガテイルが好きなので悔いはありませんが。
あともう何話かぐらい主人公であるシユウ君の強化?があります。それからGODEATER要素がなくなりますが…
これからもよろしくお願いします。