についていく雑用係の話。

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タカナシタカシおぼっちゃまの旅

 タカナシ家では世界の広さを教えるために子供に旅をさせる。タカシおぼっちゃまもその伝統に倣い旅に出された。私はそのお付きの一人である。

 

 早朝、私は草むらに紛れていた。決してさぼりではない。タカシおぼっちゃまが昨日に投げられたハイパーボールを拾っているのだ。これが私の仕事、アイテム回収だ。おぼっちゃまは大変にコントロールが悪くていらっしゃるのでボールをたくさん投げなさる。タカシおぼっちゃまのお小遣いがいかに高額であるとはいえ、限りはあるのだ。節約は大事なのである。しかしこれだけ大量にあるのだから、一つぐらい見つからなくても仕方はない気もする。そしてそれがたまたま私のズボンのポケットに入っていたとしてもまあそれも仕方がないのではないだろうか。

 

 今日もタカシおぼっちゃまは大量にボールを投げる。タカシおぼっちゃまはぶっちゃけノーコンだ。しかしまあ数打ちゃ当たるというか当たるまで打ったと言うべきか、タカシおぼっちゃまはついにポケモンをゲットなされた。初ゲットである。御屋形様からいただいとポケモンを合わせると二匹目である。ということで今日は私も二つほどゲットした。タカシおぼっちゃまの機嫌もいいし大丈夫だろうということだ。ズボンのポケットの片方だけにモノが入っているというのもなんだかバランスが悪い気がしていたのだ。左右から重みを感じて今日はすこぶる気分が良い。

 

 ボール広拾いにロケット団とかいうマフィアと遭遇する。フーディンで撃退。御屋形様から自衛用にと渡されたこのポケモンは非常に使い勝手が良く気に入っている。もう一匹タカナシ家の伝統によりおぼっちゃま護衛用の強力なポケモンも預かっているのだが、あちらはでかくてあまり使う気になれないのである。羽ばたかれると地面のハイパーボールがどっか行っちゃうし。捕まえたロケット団はフーディンのテレポートでタカナシ家に運んでおいた。なんとまじめなのだろう、私は。

 

 おぼっちゃまはタカナシ家の伝統によりチャンピオンリーグでの優勝を目指していらっしゃる。今日はその第一歩としてジムに挑戦だ。いちおう御屋形様から袖の下とか、山吹色のお菓子だとかは使わないよう厳命されているので私たちのすることと言ったら、観客席に上がってジムリーダーの行動にいちいちブーイングをしてやるぐらいだ。

 

 ジムバッジを集めつつ順調に旅は進む。最近のタカシおぼっちゃまはポケモンを鍛えるためということで険しい道に入ってはバトルを繰り返している。複雑な地形ゆえ当然ボールの紛失も激しい。ところでズボンにはお尻にもポケットがあるのだが。

 

 またボール拾い中にロケット団とかいうマフィアが襲ってきた。ポケモンを出される前に打撃を与え気絶させる。これでもタカナシ家の者として一応鍛えられている身でありこの程度は朝飯前だ。フーディンを出して送っておいてもらう。

 

 ついにタカシお坊ちゃまのポケモンが六匹になった。これでひとまずはパーティーがそろったことになる。やはりトレーナーたるものボールは六つでひと揃いである。上着のポケットもこれでさびしくないだろう。

 

 タカシおぼっちゃまが七つ目のバッジをゲットなさった。ポケモンも十分鍛えられ八つ目のバッジも手に入るレベルであろう。タカシおぼっちゃまは大変張り切っておられ最短ルートで最後のジムに向かい到着次第挑戦することになった。ちなみにコントロールについては一切改善していない。ここまで来るといっそすがすがしい気もする。

 

 ロケット団とかいうマフィアが集団になって襲ってきた。今日は珍しくタカシおぼっちゃまと一緒にいる時間だ。タカシおぼっちゃまは手持ちのポケモンを出して応戦するが多勢に無勢ということもあり徐々に押し込まれていく。これも見聞を広げる一環ということでこのまま見ているというのもありな気もするのだがまあそれでおしかりを受けるのもアレな気がしたので御屋形様から預かったタカシお坊ちゃま護衛用ポケモンをくりだした。

 

 カイリュー。それがタカシお坊ちゃま護衛用ポケモンの正体だ。その力はやはり強力でロケット団の数の暴力をものともせずあっという間に撃退してしまった。

 

 それからタカシおぼっちゃまは見事八つ目のバッジをゲットなさった。しかし、

「チャンピオンリーグにはお前が挑戦すればいいんじゃないかな。」

とおっしゃられそのままお屋敷にお帰りになった。タカシおぼっちゃまはこうして世界の広さを知ったのだった。タカナシ家の伝統的により。

 

 もちろん私がチャンピオンリーグに挑戦することはなく、私自身もそのままお屋敷に戻った。そして私の給料からは今までちょろまかしたハイパーボール代が天引きされていましたとさ。

 

めでたしめでたし。


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