俺と三浦は旅行から帰って来てからもう1ヶ月以上会っていない。
あ、喧嘩してるわけじゃないよ。ただ単に大学の準備で忙しいだけだよ。
俺は東京の私立文系、三浦は埼玉の私立文系に進学した。
俺は親父から自宅を追い出され、東京で一人暮らしをすることになった。
あのクソ親父。俺と小町をくっ付けて置きたくないからって追い出しやがって。小町に会えなくて寂しいじゃねえか。
でも、東京に出てきてよかったことも一応ある。
池袋のアニメイトが近いことだ。
今日も俺は息抜きのため、池袋のアニメイトに来ている。
何買おうかなーと考えたところで欲しいものは前に一気に買ってしまった事を思い出した。
外に出て、映画でも見ようとサンシャイン通りを歩いていた。
「あれ?比企谷君?ひゃっはろー」
会いたくない人に会ってしまった。あの人実家暮らしだよな。行動範囲広すぎだよ。
「げ、魔、雪ノ下さん。」
「今比企谷君なんて言おうとしたの?言っちゃいなさいよー。」
こんな事を言いながらうりうりと、地味に攻撃してくる。
てか怖い、怖いよ。
言い方は笑ってるのに目が全く笑ってない。
しかも周りの目も怖い。
ここで俺はとりあえず話を変えようと思った。
「それで雪ノ下さん。何か用ですか?」
「いやー別にー。用もないのに話しかけちゃダメだった?」
その目はズルい。上目遣いはズルい。そんな風に見られたら断れる人いるの?いたら俺は尊敬するよ。
「別にそんな事はないですけど。」
「あー。それならよかった。で、比企谷君は何してるの?」
「する事もないんで映画でも見ようかと思ってたところですよ。」
「ふーん。じゃあ私も暇だし比企谷君と映画見ようかな。」
うわーっ。選択肢間違えた。映画なんて言わなきゃよかった。やっぱりこういう時は嘘の中に本当の事も入れないとダメだな。
俺はなんとなく、暗殺教室が見たい気分だったから暗殺教室を見た。
なんか、原作と全然違ったな。
「面白かったね比企谷君。」
「あー。そうですね。」
本当に雪ノ下さん付いてきたし。
一緒に遊ぶならやっぱり
小町=戸塚>三浦>雪ノ下=由比ヶ浜>雪ノ下さんって感じだな。
え?材木座?誰それ?
映画を見終わったら時間が5時過ぎになっていたので、これ以上いると金の無駄遣いを、しそうになったから帰る事にした。
「雪ノ下さん。俺もう帰りますが、どうするんですか?」
「じゃあ私も帰るかな。それじゃあね比企谷君。」
え?なんで俺が歩いてきてるの知ってるの?ストーカー?
疲れた。本当に今日は疲れた。
まさか池袋で雪ノ下さんと会うとは思ってもみなかった。
もう二度と合わない事を願いたい。
でも、雪ノ下さんが雪ノ下を振った事をあんまり気にしてないようだったのは良かった。
もしかして雪ノ下はその事は教えてないの?
でも、雪ノ下さんなら無理やりにでも聞きだしそうだしなぁ。
そんな事を考えていると携帯が鳴った。
うん。この音はメールだな。またAmazonか迷惑メールかななんて思い、送信者を見ると。
差出人:三浦 優美子
宛先:比企谷 八幡
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件名:ヒキオ、無視したらどうなるかわかるよね?
2015年4月19日 21時30分
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GWまたどっか行こ。
暇な日教えて。
休日は休むから休日なんだとか変な理由で全部無理とか言わないでね
三浦のメールはなんか見やすい。
由比ヶ浜みたいにヒエログリフみたいなのがいっぱいついてるような想像もしてたが、全然そんな事なかった。
てか、件名と最後の絵文字怖い。
特に最後の絵文字。この絵文字をこんなに怖いと思ったの初めてだよ。
差出人:比企谷 八幡
宛先:三浦 優美子
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Re:了解
2015年4月19日 22時10分
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一応毎日空いてる。
今回は先に行き先とか教えて。
俺は養われる気はあるが、施しを受ける気は無い。
差出人:三浦 優美子
宛先:比企谷 八幡
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Re:オッケー
2015年4月19日 22時13分
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今回は泊まりなしで金使わない場所で遊ぶから安心しろ。
何日かは今度またメールするから。
最後の何だしw
それじゃあ、おやすみ。
最後に俺はおやすみと送ってメールは終わった。
あれから1週間程経ち三浦から5月4日の10時に池袋の駅前集合という事になった。
三浦ホント優しいな。わざわざ俺の家の近く選んでくれて。
5月4日
GWという事で、小町がちょうど今日まで俺の部屋にきてくれていたおかげでコーディネートなどをしてくれた。小町の見送りをして、すぐに集合場所に行った。
うわ。早すぎた。まだ9時30分じゃん。
俺は最近始めたパズドラをやりながら時間を20分程潰していた。
「あれ?ヒキオじゃん。早く無い?」
こういう時はこうやって言えばいいんだっけ...。
「いや、今来たところだ。」
「ふーん。まあそういう事にしといてあげる。」
「さいですか。」
「で、まずどこ行くんだ?」
「映画館行こうよ。今あーし見たい映画あるんだ。」
「ふーん。了解。なんの映画見たいんだ?」
「暗殺教室。」
え?そんなに暗殺教室って人気あるの?
「あー、あれか。」
「もしかしてヒキオ見た事あった?もし見た事あるんなら他にも見てみたいのあるからそれでもいいんだけど。」
「い、いや、無いぞ。」
「ふーん。なら良かった。じゃあまた他の映画も見に来よ。」
「了解」
こんな会話をしているうちに映画館に着いた。
「それじゃあチケット買ってくるわ。」
「ありがとねヒキオ。」
「おう。」
運悪く、前の時と同じスタッフに当たってしまった。うわ。絶対なんか勘違いされてるよ。
俺は1時頃のチケット買い、三浦に渡した。
「これから映画まで何すんだ?」
「ボウリングでもやる?」
「そうだな。」
とは言ったものの、
さすがですGW。
混み具合が半端じゃない。何分待ちか聞いてみると3時間半と言われた。
「どうするか。」
「それじゃゲーセンで遊ぶしかないし。」
「それもそうだな。」
「ヒキオってどんなゲームが得意なの?」
「だいたいなんでもできるぞ。」
「じゃあ勝ったら服脱ぐやつやってるの?」
「や、や、や、や、やってるわけにゃいでしゅよ。」
「いや、その反応でバレバレだから。」
「ヒキオってホント面白いね。」
「うっせ。」
「ねー。ヒキオ。あんたUFOキャッチャー得意?あーしあれ欲しいんだけど。」
「ん?どんなやつだ?」
三浦が指差したのは、最近人気のツムツムの人形だった。しかも特大の。
「あれは難しくないか?」
「なんで?」
「あれは引っ掛けるところが少ない。あと、試しに一回やるけどアームのパワーをよく見てろよ。」
俺は100円入れてゲームを操作した。
「よし!ここだ!」
ふぇぇ...
ガシッ
ポトン
「な。だろ。場所はあってるはずなのにしっかり掴め無いんだよ。まったく最近のゲーセンはこれだから。」
「うわ。これ詐欺じゃん。じゃあヒキオ、プリクラ撮ろ。」
「え、いや俺は写真を撮られて魂抜かれるの嫌だから遠慮しておく。」
「何言ってんだし。いいから撮る。」ギロッ
「ひゃ、ひゃい!」
怖かった。本当に怖かった。どうしたらあんな目できるの?
プリクラを撮り三浦がお絵描きをしてる時、時計をみたら11時30分になっていた。昼飯食ったほうがいいかな。
お絵描きを終え、三浦はプリクラの半分を渡してきた。
「なあ、三浦そろそろ飯食いに行かないか?多分12時になってからじゃ店入れないぞ。」
「ふーん。じゃあどこにする?」
「三浦は何食べたい?」
「あーしはなんでもいい。ヒキオは食べたいものないの?」
「俺はなんでもいいぞ。」
「ならここの地下にもあるしサイゼにしよっか。」
「そうだな。」