今日も虚しく、終業のチャイムが校内に鳴り響く
軽いテンポで八幡以外の学生の気分を高揚とさせている
等の本人は、今朝よりも数段以上はるかに上の般若のような表情で席の前に立つ人物を殺すような視線をぶつけていた
「やぁ、八幡このあと暇かい?」
「暇じゃねえよタコ」
不機嫌にさせている戸塚彩夏は満面の笑みで八幡に話しかける
端から見るとただ八幡が理不尽なだけのように見えるが仕方のないことである
クラスの可愛い(中身はイカれてるが)担当に対して
我らが八幡は不良(正真正銘のイッてるやつ)と勘違いされている
これは八幡にとって部が悪い
「酷いなぁ八幡は……、いつもそういってボクのことをぞんざいに扱ってさぁ……」
戸塚が妖艶な表情で八幡を見る
「キマシッ」
教室の端で誰かが倒れたようだ、クラスが騒がしい
八幡はそんな情報を耳に入れつつ、戸塚に対して睨みを聞かせる
「それ以上ふざけたことするならわかってんだろうな……」
本気の殺意を向ける
ルーキーにだって向けたことのない、憎悪に満ちた視線
それを戸塚はヘラヘラと笑いながら受ける
「わかった、わかったから落ち着きなって」
八幡は盛大に舌打ちをし、席を立つ
「ほんとは奉仕部に依頼があるんだよ」
「あ?テメーでどうにかしろよ、それくらい余裕だろ?」
実際に彼ほどの狡猾さであればわざわざ奉仕部に来る必要など微塵もない
しかし、戸塚は依頼があるという
八幡はすぐさま、これは罠だと判断した
「……ひねくれてるというよりもこうも拒絶を顕にされると引くしかないね」
戸塚は困ったような表情を浮かべ、教室を出ていこうとする
「あ、でも近々お邪魔するからね」
「……チッ」
戸塚は最後にそう言い残し、出ていった
八幡もカバンを手に取り奉仕部へと歩を進めた
クラス中の冷めた視線を背中に受けながら、彼は孤を貫く
「よぉ」
「あら比企谷くん、遅かったのね」
部室に入るなり本を読んでいた雪ノ下は顔を本から上げ八幡に微笑みかけた
「まぁ、なんだ、ちょっとゴタゴタがあってな」
「そう……」
八幡は頭をかきながらバツの悪そうな感じで答える
それに対して雪ノ下は深追いせず、同情するだけにとどめる
そして、八幡も席につき本を取り出す
その瞬間だった
「し、失礼しまーす……」
客が来た
「ようこそ、奉仕部へ」
いつも通り探るように挨拶をする雪ノ下
「……あん?由比ヶ浜じゃねえか」
それに対して、少し驚いたように話しかける八幡
「や、やっはろー……」
それに対して少しビビりながらも挨拶をする由比ヶ浜
八幡は決してバカではない
ましてや、鈍感でもない。つまりは由比ヶ浜がビビった原因などすぐさまわかる
「あー、すまないが雪ノ下さんよぉ、俺は少しだけ暇を貰うぜー」
気を効かせて部室を出ようと席を立とうとするが
雪ノ下はそれを制した
「ダメよ比企谷くん、あなたは奉仕部に所属してるのよ」
確かに正論である、しかし八幡からしたら勘弁してほしいのに変わりはない
「しかしだな……」
由比ヶ浜をちらりと見る、由比ヶ浜は条件反射よろしくビクッと震える
「とにかく比企谷はここにいなさい」
雪ノ下は由比ヶ浜の様子を知りながらおそらく参加を強制していると八幡は確信したのであった