2009.6/21 昼
長鳴神社
階段から、緑色のボールが弾んで落ちてきた。それは至の足元にコツンと当たる。
なんだと思って拾い上げれば、丁度そこへコロマルがやって来た。彼はじっとボールを見つめている。
どうやらこのボールはコロマルのおもちゃらしい。至は屈んでコロマルの頭を撫でると、拾い上げたそれを彼へ差し出した。
自分のおもちゃを口にくわえ、彼はぱたぱたと神社の境内へ戻っていった。至はそんな彼の背中を見送り――ふと気づく。
子どもだ。とある野球チームのユニフォームを模したTシャツに身を包み半ズボンを履いた茶髪の少年と、白いポロシャツを着た銀髪の少年。
どうやらコロマルは彼らと遊んでいたらしい。2人の少年たちは、楽しそうに何かを話している様子だった。ボールを取って来たコロマルの頭を撫でる。
「次は創にいちゃんの番だよ!」「任せろ!」――茶髪の少年に声をかけられた銀髪の少年が頷く。そして、綺麗なフォームで振りかぶった。
「よーし、とってこーい!」
銀髪の少年がボールを投げる。コロマルがそれを咥えようと走る。ボールは大きな軌道を描き、神社の階段を超えて、至の真上へ落ちてきた。
反射的に至は手を伸ばす。ぱしん、という確かな感触を感じた後で、自分の手を見た。先程のボールが、至の手の中にある。
ぱたぱたと足音が響き、それに反応して視線を上げた。コロマルに続いて、茶髪の少年と銀髪の少年が駆け寄ってくる。茶髪の少年は小学生、銀髪の少年は中学生くらいか。
至は軽くボールを弄んだ後、2人の元に歩み寄った。「ほい。君たちのボールだな?」――そう言って手渡せば、2人は声をそろえて礼を言う。
「ありがとうございました!」――なんて快活な挨拶だろう。見ていてとても微笑ましい。やはり子どもが元気なのが一番である。
そんな至の様子に同意するように、コロマルが小さく鳴いた。至も頷き、ぽふぽふと彼の頭を撫でる。
「お兄さんも、コロマルと仲がいいんですね」――コロマルと親しげな様子だった至の様子に、2人の少年が屈託のない笑顔で声をかけてきた。
昨日分寮で会ったんだと言えば、少年たちは合点が言ったように手を叩く。
「もしかして、お兄さんが分寮の新しい寮母さんですか?」
「そうだけど……なんで知ってるんだ?」
「やっぱり。順平さんやゆかりさんが話してたんだ。『最近新しい寮母さんがやって来た』って」
茶髪の少年が問い、至はそれに答えた。間髪入れず、銀髪の少年が神妙な顔つきで頷く。
どうやらこの少年たちは、この近隣に住んでいるらしい。茶髪の少年は月光館学園・初等科の寮、銀髪の少年は近隣にある某企業の社宅にだ。
両者は親戚同士らしく、家同士の距離も近いので、よく一緒に遊んでいるのだという。順平やゆかりも、たまにこの神社にやって来るのだそうだ。
ならば話は早い。至は自己紹介として名前を名乗り、少年2人に問いかける。彼らは屈託のない明るい笑みを浮かべ、元気よく名乗ってくれた。
「僕、乾っていいます。天田 乾」
「俺、
「ほー……。2人とも、立派な名前だな」
子どもの名前には親の願いが込められている。茶髪の少年――乾や、銀髪の少年――創真の親は、きっと彼らを大切に想っていたのだろう。
名前は親が子どもに手渡す最初のプレゼントだ。至にこの名前をくれたのは母親で、航にあの名前を手渡したのは父親だったらしい。別れた母からの、数少ない贈り物だった。
乾と創真は照れたようにはにかむ。ああ、この2人も親が大好きなのだな――至は何となくそれを察し、微笑んだ。
――しかし、どことなく2人の表情が寂しそうに見えるのは気のせいだろうか?
その寂しさには覚えがあった。かつての陽向や千影、そして――両親が離婚し、航と離れ離れにされた直後、至が抱えていたもの。
けれど、それはすぐに鳴りを潜める。創真が乾に笑いかければ、すぐに乾も楽しそうに笑い返したからだ。
大丈夫。乾には、彼を支えてくれるかけがえのない相手がいる。そして創真にも、彼を支えてくれるかけがえのない相手がいるのだ。
彼らの絆は強固に結ばれている。ちょっとやそっとじゃ、決して切れることはないだろう。エルミン時代の友人や、JOKRE事件の戦友に勝るとも劣らないくらいだ。
「2人はとても仲がいいんだな」と問えば、即座に「「はい!」」と勢いのいい返事が返ってくる。もちろん、乾も創真も満面の笑みを浮かべていた。
「それにしても、さっきのボール! あんな綺麗な体制でキャッチできるなんてすごいです!」
「そうそう! 結構勢いよく投げたから、『しまった!』って思ったんだー」
あははは、と。少年2人の笑い声が響く。
その様子がとても楽しそうなので、至もつられて微笑んだ。
「いやー、昔は色々あったからねー。そのせいで、反射神経とか運動神経が鍛えられたって感じかな」
「すごいなー! 空本さん、何かスポーツとかやってたんですか?」
「高校時代、クレー射撃やってたんだ。あとは、他の部活で欠員が出た時のピンチヒッター。フェンシングやらサッカーやら演劇部やら、色々やったっけ」
「うわぁ、それって過労死してもおかしくないですよ!!」
わいわいがやがや。
……どれだけ話し込んだのだろう。ふと気づけば、空の向こうが藍色に滲み始めていた。
もうすぐ夜の帳が下りてくるころだろう。少年2人にも門限と言うものがある。
「それじゃあ、また今度」「「さようならー!」」――挨拶もそこそこに、少年たちは並んで同じ方向へと帰っていく。
思い出したのは、かつて両親が仲睦まじく暮らしていた頃。学校帰り、いつも航と一緒に並んで競争してた。同じ方向に帰って行くのが『当たり前』だと信じていた。
生まれた頃から一緒だったのだから、死ぬその瞬間も一緒なんだとばかり思っていた。そう信じて疑わなかった、幼い頃の記憶が脳裏を駆ける。
彼らの背中を見送った後、至も分寮へむけて歩き出す。空には、まばゆく一番星が瞬いていた。
【1-4.絆を紡ぎ、なぞるだけの簡単なお仕事】
2009.6/27 昼
辰巳ポートアイランド
「……復讐サイト?」
『ああ。それ絡みの事件が、ウチの管轄内で発生したんだ。……達哉が、巌戸台の面々と合同調査をすることになった』
ただ今の着信は周防 克哉。電話越しの声がものすごく寂しそうに聞こえるのは、きっと気のせいではない。奴は筋金入りのブラザーコンプレックスである。
至にも航という朴念仁の弟がいる。確かに奴は(恋愛面で)手間がかかるが、至は「あいつなら大丈夫だろう(恋愛以外)」という確証を持っていた。勿論、その根拠はどこにもない。
克哉の場合はおそらく至と真逆なのだろう。どうしても、弟が心配で心配で(以下延々と続くため省略)たまらない。
どんなに達哉本人が「大丈夫だ」と念を押そうとも、どんなに「大丈夫だ」ということを示そうとも、克哉には通じないのだ。
弟にして相棒である達哉を信じることが出来ないというのは、いささか問題ではないだろうか? いい加減信じてやれよと至は思う。
永遠にコンビを解消するわけではないのに。この合同捜査が終われば、達哉はちゃんと克哉の相棒として復帰できるのだ。
今回の一件は、達哉個人の試金石的な事件だ。今まで克哉とのコンビが多かった彼が、己自身の力で事件解決のために駆け回ることになる。克哉の力を借りずに、だ。
「いい加減、達哉を信じてやれって。かっちゃんお兄さんだろーが」――……なんだろう。受話器の向こうから、とても沈鬱なため息が聞こえてきた。面倒なので話題を変えよう。
「それで? 合同調査なんてしなくても、克哉の腕だったら一気に事件解決しそうな気がするんだけど。ネットの書き込みとか探ればすぐわかるじゃんか」
『そちらの証拠は押さえてある。……問題は、被害者の殺害方法と殺人現場の状況証拠だ』
「というと?」
『……目撃者が1人もいない。その場に居合わせていたはずの人間でさえ、誰も言い争う声や銃の発砲音を聞いていないんだ』
はぁ、と、克哉が大きく息を吐いた。『仲間内ではお手上げ状態になっているんだ。仲間内では』――何か含んだ言い回しである。
まるで“自分には何か確証がある”と示しているかのようだ。他の人間たちにはわからない、何か重要な――
――……“他の人間たちには、わからない”?
「……もしかして」
『君の考えは僕と同じものだと確信している。……そして、達哉の考えともだ』
せーの。誰にも頼まれていないのに、至は心の中で克哉に合図する。無論、受話器越しでは声に出さねば届かない。
しかし不思議なことに、次の瞬間、至と克哉の声は綺麗に二重奏を奏でていた。
『「――影時間内での犯行」』
影時間はペルソナ使いしか知覚できないし、ペルソナ使いだけが動くことが出来る特殊な空間だ。一般の人間はその存在自体知らないし、感じることもできやしない。
あの時間内でなら、「目撃者が1人もいない・争う声や銃の発砲音さえ聞こえない・成功率100%」の3拍子が容易に成り立つのだ。
ペルソナ使いだからこそできる完全犯罪である。同時に、一般人は犯人を捕まえることはできないのだ。ペルソナ使いの人間がいないなら、もうそこでドン詰まりである。
運がいいのか悪いのか、周防兄弟はペルソナ使いの警官だ。しかし、彼らがそのことを話しても、一般人にカテゴライズされるであろう上司に、信じてもらえる可能性など皆無。
何故ならそこには証拠がない。影時間を証明するものも、影時間内で犯行が行われているという確たるものも、何一つ持って来れないから。
受話器越しからぎりぎりと嫌な音が響き渡る。どうやら克哉の歯ぎしりのようだ。
彼はかつて、JOKER事件の担当から外された経験がある。あの時は上司――もとい敵の部下が真相に触れさせぬよう邪魔をしていたが、克哉が無力を噛みしめていることは変わらない。
そして尚且つ、ペルソナの力を悪用する犯罪者に、達哉をたった1人だけでぶつけなければならないのだ。本来なら、彼の傍で力になってやりたかっただろうに。
(……こりゃあ、とんでもないヤマになりそうだな……)
何かがのた打ち回るような響きで呪詛のようなものを唱える克哉の声をBGMに、至は剣呑な表情を浮かべて空を見る。
雲一つすらない青空の向こう側。その奥に、重苦しい鉛色の雲がかすかに顔をのぞかせているように見えたのは、きっと気のせいではないのだろう。
『……ああそうだ。今日付けで、達哉が巌戸台に到着する予定だからな。今、君は巌戸台にいるんだろう? 暇だったら手伝ってやってくれ』
「あら、イタリーじゃない! 元気だったー?」
「……久しぶり、至さん」
――通話が切れる寸前に克哉が言った言葉や、背後から聞こえてきた男女の声は、ちょっとだけ「気のせいであってほしかった」というのが本音である。
$$$
周防 達哉は、兄の克哉とコンビを組む若手刑事だ。そして、JOKER事件で至たちと戦ったペルソナ使いである。
しかし達哉はそのことを覚えていない。覚えてはいないが、“わかって”はいる。それ故、現在でも付き合いが続いているのだ。
そんな彼に寄り添うように佇むのは、キスメット出版の雑誌記者・天野 舞耶。彼女もペルソナ使いであり、JOKER事件の戦友である。
達哉は克哉の言うとおり、復讐サイト絡みの件でここに来た。舞耶は別件の取材でこの地を訪れたらしい。「こんな所で会えるなんて思わなかった」――彼女は楽しそうに笑う。
至だって舞耶と同じ感想である。しかも、この2名が同時にやって来るだなんて。職業別々の人間が、何をどうすればこんなことになるのだろう。偶然って恐ろしい。
この2人、偶然出張が重なったのを利用したか、あるいは色々画策して同じ場所になるよう仕向けたんじゃなかろうか。そう考えた理由は、2人の背後にうっすらと漂うペルソナ――達哉のアポロと舞耶のアルテミスがイチャイチャしているように見えたためだ。
おかしいな。平時にペルソナを、しかも街中で召喚したりする程、この2人ははっちゃけていないはずだ。
……いや、違う。達哉と舞耶は気づいていないのだ。自分たちが微弱ながらも共鳴していることに。
(……そんだけ好きあってるんだなぁ)
至は思わず口元を緩める。
この2人のなれ初めやら何やら――平行世界での出来事やJOKER事件のことを考えると、なんだか今の光景が尊く神聖なものに見えるのだ。
それ故、どうしても、至は彼らのうふふあははな光景に対して強くモノが言えないのである。……結果、多少こちらの精神がすり減ってしまう羽目になっても。
「で、どうして至さんはこっちに?」
「あー……ちょっと、仕事でな」
「仕事って、対怪異調査員の? ……やっぱり、この街で何か起きてるのね。それって影時間絡み?」
「まーな。詳しく言えないけど、その最前線ってトコか。当時の達哉と同年代位の面々が踏ん張ってる」
「この街にもペルソナ使いがいるのね……」
ふむ、と、舞耶が真剣な面持ちになって考え込む。10代向け雑誌担当とはいえ、表情は立派な記者そのものである。そこに担当や貴賤はない。
隣に座る達哉も、目を鋭くしていた。おそらく克哉から影時間だ何だの話を聞いていたためだろう。
「……もしかしたら、至さんたちが“復讐サイト”で暗躍してるペルソナ使いと接触する可能性も否定できない」
剣呑な表情。有りうるかもしれない可能性を憂うかのように、達哉がまっすぐに至を見返す。
JOKER事件当時、彼は18歳。丁度、陽向や千影たち放課後特別活動部と同年代だ。あの年代は多感な時期で、大人に反発したりすることも多い。特に達哉はそうだったらしい。
大人という存在に対して強く反感を抱く年代の子どもたちは、大人で警察である達哉の話を聞こうとしない。接触だって、全力で避けようとするだろう。話し合いというものが通じればいいのだが――彼の顔にはそう書いてある。
ペルソナ使いが一番多い年齢は10代後半~20代前半に集中していた。おそらく、件のペルソナ使い達もそのくらいの年齢だろう。更生の余地は充分にある。できればそうなってほしい――そう、達哉の目は雄弁に語っていた。
それと同時に、影時間の最前線にいる放課後特別活動部の面々についても心配しているようだった。
平行世界やJOKER事件の戦いも過酷なものだったから。……肉体的にも、精神的にも。
「確かにな。同年代が相手となると、辛いモンだってあるだろう」
「こっちはただでさえ面倒な事態に陥っているのに」と至はぼやく。タルタロスやら満月のシャドウやら、厄介な事態が次から次に襲い掛かってくるというのに、その上にまた心配事が追加されてしまうとは。
これ以上、陽向や千影たちに負担がかかる事態は避けたい。避けたいが、相手は影時間の利点を活かして立ち回るペルソナ使いたちだ。そして、奴らが行っていることは立派な犯罪行為である。面々が見過ごせるとは思えなかった。
あの子たちは躊躇いなく突っ込んでいくだろう。特に、正義感が強かったり、お人好し気質な人間であれば。……むしろ、正義感が強い面々しかいなかった気がするなと至は思い至る。かくいう自分も人のことは言えそうにないが。
それを察知したのか否かはわからない。しかし、本当にいいタイミングで、達哉と舞耶が声を合わせる。
「「至さん(イタリー)が一番注意してください(注意しなさい)」」――見事にハモった。
勿論、至には自覚も前科もある。だから、ただただ苦笑し返すことしかできなかった。
「復讐サイト絡みの情報を得たら、ソッコーで達哉に回すからな」
「ついでに、後輩達にも注意を促しておいてください。用心するに越したことはない」
うん、と、互いに頷く。その余韻のせいか、ぴりぴりとした空気が漂う。
どこまでも真剣で重苦しい雰囲気を吹き払ったのは、底抜けに明るい舞耶の声だった。
「こんな時こそ、レッツ・ポジティブシンキングよ2人とも!」
ああ、相変わらずである。至が苦笑し、達哉が口元を綻ばせる。「舞耶姉らしい」――達哉も達哉だ。相当惚れこんでいるらしい。
彼女の発言をきっかけに、この場に和やかな空気が流れた。流石は正統派の天然(?)ムードメーカーである。何て素敵な合言葉だ。
互いが互いに顔を見合わせて、笑う。
――さあ、思い出話に耽るとしようか。
$$$
同日 夜
巌戸台分寮/ラウンジ
報告を終えたら、周囲が一気に静まり返った。驚きに見開かれた面々の視線が突き刺さる。
そんなに珍しいことを言ったつもりはないのだが、一体全体どうしたのだろうか?
「……警察官や雑誌記者にも、ペルソナ使いがいるなんて……」
「しかも、全員が至さんの知り合いって……」
「すごいってどころじゃねーぞ……」
どこか夢心地の口調で、明彦・ゆかり・順平が呟く。確かに眼差しは至に向けられているはずなのに、何か別なものを見ているかのようだ。
補足として、知り合いの職業を全部あげてみた。南条コンツェルンのTOP、世界を飛び回るアーティストやモデル、大人気の芸能人、人探しのプロ・マンサーチャー、探偵、会社員、研究者、警察官等々。それはこのまま至の人脈に直結している。
ペルソナ使いが築くコミュニティは、後に大きな力となる――なんだろう。明らかに別のシステムに直結している気がしないでもない。……そもそもシステムって何だ? 思考を別な方向に向けている間に、今度こそ周囲が上の空になった。一部の面々が狂ったように笑う始末。正常なのは陽向と千影だけである。
思い返せば、至は人脈を駆使してここまで生きてきたように思う。なんやかんやで、自分は彼らに助けられっぱなしだった。
生活費や仕事は圭に斡旋してもらったりしてる。場合によっては、航に頼ることもあった。
仕事では達哉や克哉・パオフゥやうらら・たまきとタダシに協力を依頼することもあった。
その代償や代わりとして、彼らの仕事を手伝ったり調査依頼を受けたりして、どうにか陽向や千影を養う分の給料を得ている。いい意味で、割に合わない気がしないでもない。
「しょうがないな」と彼らは笑う。笑って、その度に力を貸してくれた。微力ながら力を貸すこともある。そうやって、至は今日この瞬間まで生きてきたのだ。
築いてきた絆を振り返れば、本当にいろんなことがあった。楽しかったこと、苦しかったこと、辛かったこと、悲しかったこと――戦いの日々を、鮮明に思い描ける。
(……いつか、ここにいる面々も、そんな風に思える日が来るのかな)
来たらいいな、と至は思う。今はまだ、そういう関係や絆を結んではいないけれど――けど、いつか、すべてが“思い出”に変わるときに。
駆け抜けた道を振り返って、笑いあうことが出来たなら。そんな日が来てくれたら、いいと思う。
けれどその前に。
「お前ら、俺の報告聞いてたか?」
「「「「「あ」」」」」
人脈に気を取られたせいで、別のペルソナ使いの存在についてすっぽ抜けた面々に、改めて警告をし直さなくては。