どうしてこうなった?   作:とんぱ
<< 前の話 次の話 >>

15 / 86
第十三話

 しかし……やっちゃったな。あそこで浸透掌を出さなくてもよかった。いや、私を身体能力だけの素人と油断していたネテロ相手にボールを奪うのに、そもそも柳葉揺らしすら必要なかっただろう。それなのにどうしてそんなことをしてしまったのか?

 

 ……やっぱり、ネテロと久しぶりに会ったからだな、きっと。リュウショウの時代において最も楽しいひと時がネテロとの勝負の最中だったからね。精神は変われど、記憶や思い出は変わらないからな……。

 

 けどどうしよう。あれではネテロに確実に怪しまれるな。なにせ風間流において浸透掌も柳葉揺らしも殆ど使い手がいない(現在は増えているかもしれないが)はず。浸透掌に至ってはリィーナだけに伝授した禁術。見た目はただの掌底に見えるから分かりにくいが……。

 ネテロのことだ。あれが浸透掌だと気付いたことだろう。そうじゃなきゃ【百式観音】による迎撃なんてするはずがない……しないよね? 今ネテロは私が何者かを考えていることだろう。リュウショウの生まれ変わりという答えに行き着く可能性も有り得る……それはまずい。

 

 ……? まずい、のかな? 確かに転生なんて普通有り得ないし、自分から言っても信じてもらえず狂人扱いされるだけだろう。だからネテロには言えなかった。でもアイツが自分から気付くのなら問題ないんじゃ……?

 いや、でも、拒絶されるかもしれないし、ネテロに拒絶されるのはかなり堪える……やっぱりばれない様にした方がいいのか? けどもう色々やっちゃったしな……。

 

 ……ええい! こうなったらなるようになれだ! ばれたらばれた時のこと、ばれてなかったらそれはそれで良しだ! 

 

 ふう。考え事をしている間に3次試験会場に到着したみたいだ。結局一睡もしてないよ。

 天高くそびえる塔。トリックタワーという塔だ。ここが3次試験会場か。凶悪な犯罪者なんかを収容する刑務所になってるらしいな。

 試験内容は72時間以内に生きて下まで降りること、か。下に降りる階段とかはないし、隠し扉でもあるのかな? ……中の囚人が脱獄出来るような秘密の通路は流石にないよな?

 さて、どうやって降りようか。

 

 あ、壁を直接降りてる人がいるよ。すごいな、もし落ちたら死んじゃうよ?

 

「うわすげ~」

「もうあんなに降りてる」

「……でも大丈夫ですかね。向こうからなんか妙なのが来てますが」

「あ、本当だ」

 

「うわぁああぁあ!!!」

 

 あ、怪鳥に囲まれた。このままじゃ殺されちゃうなあの人。仕方ない。

 

「ふっ」

 

 怪鳥に向けて石を投げつける。あの鳥気持ち悪いな……お、全弾命中。

 

「今の内に上に戻ってください!」

「す、すまない!」

 

 どうにか戻って来られたか。焦って落ちたりしないか心配だったよ。無事で何より。

 

「た、助かった。恩に着るぜあんた……」

「別にいいですよ。試験頑張ってくださいね」

「ああ、あんたも頑張ってくれよ。オレに出来る事があるなら何でも言ってくれ。この借りは必ず返させてもらうぜ」

 

 礼を述べてロッククライマーの人は別の道を探しにいった。別の道で死んでしまうかもしれないけど、そこまでは私も面倒は見切れない。今のもただの偽善だしね。自己満足みたいなものさ。

 

「……なああんた」

「あんたじゃありません、アイシャです。もう二度目ですよこのやり取り」

「どうでもいいよそんなの。それより聞きたいんだけどさ。どうしてそんなに他人を助けるんだ?」

「……助けてはいけないのですか?」

「別にそう言ってる訳じゃないけどさ。1次試験の時もそうだし、2次試験でもあのプロレスラーみたいなのを助けようとしてただろ?」 

 

 よく見てるなこの子。2次試験で試験官に殺されそうだったプロレスラーを助けようと動きかけたその僅かな動作に気付くなんて。大した洞察力だな。

 

「赤の他人なのにどうして助けたりするのか疑問に思ってね。見返りを求めてる訳でもなさそうだし」

「……」

「別に言いたくなければ言わなくてもいいぜ。ちょっと聞きたかっただけだからさ」

 

「……母さんの教えです。自分に出来る範囲で助けられる人がいたら助けてあげなさいって……自分を第一に考えて、それでも余裕があるなら他の人に手を差し出してあげなさいって……。だから、助けました。私にとって今は余裕がありますから。もし私自身に危機が訪れたなら私は他の何においても私を優先しますよ、きっと」

 

「いいお母さんなんだね。アイシャのことを一番に愛してくれてるんだ」

「ええ、自慢の母です」

「……そっか。羨ましいぜ。そんなこと言ってくれる母親でさ。うちのお袋と交換してくれね?」

「だが断る」

「いやマジで返すなよ」

 

 マジですよ。私の世界一の母さんと誰とも知れぬ人を交換するなど冗談でも言えないよ。

 

「あとさ、なんでそんな馬鹿でかいリュックサック背負ってるの?」

「え? だって、ハンター試験って長いでしょ? その間の着替えとか食事とか水分とか入れたらこんなになっただけですけど?」

「……いや、何㎏あるんだよ」

「さあ? 量っていませんからよく分かりませんが、50㎏はあると思います」

「すごいんだねアイシャって……」

「いや服とかそんないらないだろ? 食事だって飛行船で食えたし」

「そ、そんなの分からないじゃないですか。もし試験中に何も出なかったらどうしてたんですか?」

「そんときゃ適当なモンでも食べるよ。ゴンもそうだろ?」

「うん。何か木の実や魚とか、その場にある食べられそうなモノを採って食べるよ」

 

 この野生児どもめ! くそう、残飯とか虫じゃなくて、狩って獲ったもので安全な食べ物なら食べられるけど……。

 

「うう、私は出来るだけ清潔な食べ物を食べなきゃいけないんです……」

「なんだそりゃ?」

 

 仕方ないんですよ! 母さんが、母さんがぁ……!

 

 

 

 さて、どうしようかな。屋上には結構な数の隠し扉があるようだ。既に何人もの受験生が隠し扉を見つけて塔の中へと入っている。しかしそれだと下に降りるのに結構手間がかかるよね。いっそのこと飛び降りるか。

 オーラを放出すればその勢いで空中でも機動することが出来なくもない。結構オーラの消費が激しいし、【天使のヴェール】を使用しているから更にオーラを消費するけど。これくらいなら問題はない。

 

 そうと決まったら誰も私を見ていない時を見計らって飛び降りるとしよう。誰かに見られたら後が面倒だし。

 まずは絶。これで私を見つけるのは困難になる。その後は隠し扉を探すフリをしながら神経を研ぎ澄ませて私を見ている人がいないか確認。それとなく塔の淵へと移動し、私への視線や注意が途切れたら即アイキャンフライだ。

 

 

 

 円で確認しても神経を研ぎ澄ましても、現在私を見ている人はいない。すでに結構な人数の受験生が隠し扉で下に進んでいるし、他の受験生も隠し扉を探すのに夢中だ。今がチャンスかな。

 最後まで油断せず……あらよっと~!

 勢いで飛んだけど意外と恐怖心は少ないな。むしろ楽しいくらいだ。マフタツ山から飛び降りた時も特に恐怖は感じなかったし。ま、この程度でどうこう言ってたらネテロ相手に闘えないよね。

 そうだ。どうせ誰も見ていないのだから【天使のヴェール】を解除しよう。たまには解除しないと疲れる。それに何だか分からないけどハンター試験が始まってからオーラの消費量が上がってるんだよな。もしかして緊張してるのかな。出来るだけ絶で消耗を抑えていたけど、予想以上にオーラが減っている。

 

 そろそろ地面も近づいてきた事だし、着地の準備といきますか。地面に向かってオーラを放出。勢いが弱まったところで足にオーラを集めて地面に着地。

 ふぃぃ。着地成功。ネテロが飛行船から普通に着地していたから、わざわざオーラを放出しなくても大丈夫かと思ったけど、念には念を入れてみた。今の感じだと、堅だけでも着地出来てたかも? もし次に高所から飛び降りる機会があれば試してみよう。そんな機会そうそうないと思うけど。

 

 さて、降りたのはいいけど入口はどこだ? ……まさか、入口はない、何てことないよね? と、とりあえず塔をぐるっと廻ってみよう。どこかに入口があるはずだよ、うん! おっと、【天使のヴェール】を使用しておこう。どこに人がいるか分からないし。

 ……ネテロに転生がばれても、このオーラの質だけは隠したいなぁ。ほんと、何でこんなに嫌なオーラしているんだろう? やっぱり一度死んだのが原因だろうか? それ以外考えられないし。

 

 ふぅ、良かった……! 入口あったよ! そりゃそうだよね。ここ刑務所になってるんだし、入口ないと困るよね。まさか囚人を屋上の隠し扉から入所させるわけにはいかないだろうし。

 さて、入口あったのはいいけど、どうやって入ろう? 刑務所だけにすごい頑丈そうな扉なんですけど……当たり前だけど鍵もかかっているし、壊したら駄目だよねやっぱり。

 

「あのー! すいませーん! どなたか居ませんかー?」

 

 扉に向かって呼びかけてみる。刑務所なら監視カメラとかあるはずだし。

 

『……何者だ? なぜこの場所にいる?』

 

 お、良かった返事が来た! 無理やりこじ開けることにならなくてすみそうだ。

 

「私はハンター試験受験生です。ほら、番号札もありますよ」

『……なぜ受験生が塔の入口にいるんだ? 屋上からスタートしたはずだ』

「入口から入っては駄目とは言われていませんが?」

『いや、そういう意味ではなくてだな……』

「……駄目なんですか?」

 

 駄目なら屋上まで登らなきゃいけなくなる。正直勘弁してもらいたいんだけど……。

 

『……番号札は本物と確認された。入口を解放する。すぐに入れ……』

「ありがとうございます!」

 

 いやぁ、良かった良かった。これで3次試験も合格だ。あとは3日間待つだけ……3日?

 

「あの、すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

『何だ? 早く言いたまえ』

「試験が終わるまでの間、食事とかはどうなっているんです?」

『……試験終了者には食事提供の用意がある。安心するといい』

「それは良かった。保存食はあるけど、やっぱり味気ないんですよね」

『囚人食だから期待しない方がいいがね』

「え?」

『扉が開いた。早く入りたまえ』

 

 

 

「……え?」

 

『401番アイシャ、3次試験通過第1号!! 所要時間1時間02分』

 

 

 

 

 

 

 俺は三次試験が終わるまでの間することもなかったので、トリックタワーの休憩室でゆっくりと鑑賞をしていた。もちろん鑑賞しているのはこれまでの試験の映像だ。

 俺の念能力【箱庭の絶対者】は試験中ならばその試験の過去から現在のリアルな映像まで自由に鑑賞できる能力を有している。これで受験生の絶望に歪む表情がたっぷりと楽しめるってもんだ。試験官になって正解だったぜ、くくく。

 

 俺が1次試験の映像を鑑賞して満喫している時に、不思議なモノを視た。

 あれは受験番号190番のニコルだったな。こいつは最高だった。なにせ俺が用意した下剤入りジュースに引っ掛かった唯一の受験生だからな。ニコルがあれを飲んだ時の俺の顔はきっと愉悦に歪んでいただろうな。

 

 だがそこでよく分からない現象が起こった。ニコルの目の前にいきなりペットボトルが出現したんだ。催眠術とか超スピードとかじゃねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を……いや、念があったか。

 つまりあれはニコルが具現化したペットボトル! 漏らしたくないという必死の想いがニコルに念能力を目覚めさせ、あのペットボトルを具現化したのだ!!

 

 ……いやねえよ。念なめんな。そんな馬鹿げた事で念に目覚めるなら、俺の3年間は何だったんだ? 邪念を払うとかほざきながら俺を徹底的に扱きやがって! いっそ殺せと何度願ったか……。

 ふう、落ち着け。とにかくあのペットボトルはニコルが出したものじゃない。あいつは纏すらできていないからな。そもそも念能力者が1次試験で落ちるわけがない。

 じゃあ、あのペットボトルは誰が出したんだ? 明らかに念が関わっているはずだ。何もない空間から急にペットボトルが現れるなんて念以外では考えられない。だが俺の眼には、【箱庭の絶対者】にはニコル以外の誰も映っていない……一体誰の念能力だ?

 

 そんな風に思いながらペットボトルが出現した場面を何回かリプレイしてみると、奇妙なモノを見つけた。ものすごく存在感がないため今まで気付かなかったが、そこには馬鹿でかいリュックサックを背負った服が走っていた……。

 

 頭が悪くなったとか眼に異常があるとかじゃねえ。本当に見たまんま服だけが走ってやがる。なんだありゃ? まるで透明人間が服を着て走っているかのようだ。

 ……あのリュックサックには覚えがある。確か受験番号401番のアイシャ、だったか。特に目立つ所はない普通の……いや、かなり美人の少女だった。

 

 つまりアイシャは念能力者。自分の身体を透明にする能力を持っているのか? 服だけは透明に出来ないってところか? だとしたらなんて中途半端な能力だ。いくら透明になっても服が見えたら効果半減だろうに。

 しかし……その場にいると分かってもかなり存在感が薄いな。服だけが走っている異常な光景なのにここまで気付きにくいのはよほど絶が上手いんだろう。

 401番アイシャ……こいつはかなり要注意の受験生だぜ。

 

 

 

 次にアイシャを視たのは2次試験の映像でだ。

 俺が視ていたのはヒソカが試験官ごっこをしている場面だった。

 ヒソカ……ありゃ化け物だ。念に目覚めてからあそこまで際立ったモノに会ったのは3人目だ。俺より強い念能力者なんてゴロゴロいるだろうが、あれは別格だね。ハンター試験以外で出会ったら即逃げるよ。

 幸いあいつは俺への興味が少ないみたいだからな。多分敵対しない限り大丈夫だろう。ヒソカに攻撃された時は内心焦ったぜ。

 何せ攻撃は効かないと分かっていても、あの殺気に禍々しい念だ。正直死ぬかと思った。やっぱり【箱庭の絶対者】は最高の能力だぜ。

 

 そんな化け物ヒソカが試験官ごっこに興じているのを鑑賞。

 いやぁ、自分に降りかかるのは最悪だが、他人の不幸は蜜の味ってのは本当だな。この映像を肴に一杯やりたいもんだぜ。

 アイシャを見つけたのは、ヒソカが草むらにトランプを投げつけた後の事だ。その場には誰もいないのにヒソカは確かに草むらに向かって話しかけている。いや、それだけじゃない。ヒソカのトランプが草むらに当たる瞬間、草むらから服が飛び出した……。

 そんなとこに隠れてたのかよ。本当にすごい絶だな。あの時ヒソカに飛んできた石はアイシャが投げたってことか。わざわざヒソカの興味を引くことはないだろうに。自殺志願者か?

 

 だが予想に反してヒソカは2次試験会場に向かって去って行った。アイツが殺らないって事はアイシャは合格ってことか。俺の中の危険人物リストに載せておくか?

 ……いや、さっきのもどうやらあの受験生、レオリオ……だったか? そいつを助けようとして石を投げたみたいだからな。強いのかもしれないがただのお人よしだ。危険人物に挙げるほどじゃねえな。

 

 

 

 そして俺は三次試験会場トリックタワーを鑑賞している所だ。

 隠し扉に気付いた連中が段々と下へ降りている。あいつらの中で一体何人が俺を楽しませてくれるのか。そんな風に思っていた時、ふとアイシャの事が気にかかった。

 あいつはこの3次試験でどう動くのか? ちょっと確認してみるか。

 

 見つけた。意外と簡単に見つかったな。絶を使っていないようだ。そりゃ服だけが動いていたら目立って見つけやすいわな。……ん? おかしいな。こんなに目立つなら周りの連中ももっと注目してもおかしくないはずだ。なのに他の受験生はアイシャの事を特に気にしていない……。

 もしかして透明になる能力ではない? じゃあなんで服しか映っていないんだ?

 ……だめだ分からねえ。念能力にはそこまで詳しいわけじゃないからな。リィーナ先生に聞けば分かるかもしれないが……。

 いやだめだ。今やっていることがばれたらまたあの地獄の日々に逆戻りだ。それだけは勘弁願うぜ。

 

 おっといけない。アイシャを見失った。どこだ?

 ――いた。また絶をしてやがる。恐らく、服だけ目立つ様じゃなかったら俺は見つけることが出来ないだろうな。見事なもんだぜ。隠し扉を探しているのか。だが徐々に塔の端へと近づいている気がする。何でだ?

 

 ――!? ウソだろおい! 飛び降りやがった! 本当に自殺志願者だったのか!?

 あーあ。こりゃ死んだな。あの高さから飛び降りて生きていられるなんて念能力者でも無理だよ。例外はあのネテロ会長ぐらいだよ。空でも飛べるなら別だけどな。……もしかして飛べるのか? ちょっと確認してみよう。

 

 どんどんと地上に近づくアイシャ。飛んでる様子はねえ。マジで死ぬ気か? そう思った時! アイシャの身体からオーラが噴き出した!!

 なんだありゃ!? あんな禍々しいオーラをなんであんな少女が!? さらに恐ろしいのはその後だった、アイシャが地面と衝突する瞬間! アイシャから有り得ないほどのオーラが放出された! 信じられねぇほど濃密なオーラが!

 オーラ放出の勢いで落下速度を緩めたアイシャは悠々と地面に降り立った……。放出されたオーラの量、そして……ヒソカと見紛わんばかりの禍々しいオーラの質!

 お人よし? とんでもない! あいつはヒソカと同レベル、下手したらそれ以上の危険人物だ!

 俺は即座にアイシャを危険人物リストの上位に入れた。あいつとは絶対関わらない様にしなきゃな……。

 

 

 

 

 

 

 ……やっぱりおかしい。絶をして休息しているのに体内オーラがほとんど回復しない。常に減り続けてるのは有り得ない。

 最初は緊張している為、普段より消耗が激しいのかと思ったけど、さすがにそれは考えにくい。

 

 ……何らかの特殊な念能力を受け続けている? それなら納得がいく。【ボス属性】で無効化していたらオーラが消費されるのも分かる。

 問題はその念能力がどのような能力かだ。だれが使用した念だ? 私だけに念をかけているのか? 一体何のために? 監視か? 恐らく1次試験からこの念は使用されている。試験が始まってからオーラの消耗が増えたからだ。

 幸い【ボス属性】で無効化してもそこまでオーラは消費されていない。【天使のヴェール】を発動しなければハンター試験最後まで保つだろう。

 あまりにも消費が少なすぎたとはいえ、【ボス属性】が発動しているのに気付かなかったのは問題だな。最近弛んでいるかもしれない。気を引き締めよう。

 

 ……念能力者が誰なのか。試験官か受験生の可能性が一番高い。試験官ならトンパさんが第一候補だ。1次試験からずっとここまで着いてきている。現役ハンターなので念能力も使えるだろう。

 第二候補はあの顔面針男だ。ヒソカだとは考えにくい。あいつはこんな回りくどい念能力を覚えたりしないだろう。他の受験生で念を覚えている者がいる可能性もある。私みたいに隠しているかもしれない。

 

 誰が能力者か。結局可能性だけで断定は出来ない。そもそも私の知らない人かもしれないのだし。今、私に出来ることは少しでもオーラが回復する様に精神を落ち着かせて休むだけだ。

 久しぶりに禅でも組むか……リュウショウ以来だな、禅を組むのは。








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。