どうしてこうなった?   作:とんぱ
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第五十四話

 ゴン達とお泊まり会をしてから3日が過ぎた。

 あれは楽しかったなぁ。皆がリィーナの用意した可愛い服や綺麗な服で着飾られていたし。最初は抵抗していたけど、最後には皆諦めていたな。今日1日だけだと我慢していた。私を思ってのことだったら嬉しいな。

 

 途中でキルアの性転換が切れた時が大変だった。キルアだけ皆よりも早くにホルモンクッキーを食べたから効果が切れるのも早かったんだよね。おかげでキルアは男の姿で女性の服を……あれ以来時々明後日の方角を眺めて黄昏ている。正直すまんかった。

 

 でも……ホルモンクッキーが1日しか効果がないとはなぁ。キチンとアイテムの説明を読んでいなかった。興奮してたし、感動のあまり涙が出て視界が歪んていたしな。

 はぁ……例え私にホルモンクッキーの効果が出ていても目的を果たすのは難しかったのか。1日しか性転換出来ないなら、恋人を見つけるのも難しいだろうし……。女に戻る度に性転換しなくてはならない。

 最大でも200日だ。童貞喪失するだけならそういう店に行けばいいけど、恋愛をするには短い日数だろう。私だってここまで待ったからには恋愛してキチンと童貞喪失したかったし。

 

 なんか、逆に諦めがついて来た。どうせ無理だったんだって。もちろん男に戻れるなら戻りたいけど……。念能力で無理ならもう無理だ。だったら……ビスケの言う通り、女として生きていくしかない。

 それが母さんとドミニクさん……父さんの為でもある。そう思うとそんなに嫌でもない。あの人たちのおかげで今の私があるんだ。あの人たちの想いに応える生き方をしてもいいだろう。

 

 まだ簡単には割り切れないけど、そう思って新たに生きていこう!

 心の整理に時間が掛かったけど、そう思えば少しは前を向けるようになってきた。

 そもそも私にはまだすべきこともあるんだ。ずっと落ち込んでいるわけにもいかない。そう、グリードアイランドが終わった後のあの出来事の為にももっと強くならなくては!

 まずはアレが本当に起こるかどうかも調べなければいけないな。グリードアイランドをクリアしたらネットで情報を調べよう。確か巨大なキメラアントが原因だったから、虫関係の情報をハンターサイトで調べていればいずれ分かるだろう。

 起こった後で動くから後手に回らざるを得ないけど、それは仕方ないと割り切るしかない……。どこであの事件が起こるのか、そこまでは私も覚えていないからな……。確か、ミテネ連邦の何処かだったはずだけど……。

 まあこればっかりは同じ場所で起こるとも、そもそも本当に同じことが起こるとも言えないからな。事件が起きるまで待つしかない。

 もしかしたら時期がずれる可能性もある。もっと先になるか、あるいは今この瞬間にも起きているかもしれない……。

 

 いや、今はそれを考えても仕方ないだろう。まずはグリードアイランドをクリアしなくちゃね。ここしばらくグリードアイランドでの活動を控えていたけど、今日からまた頑張るとしよう。

 

 

 

「皆さんおはようございます!」

「アイシャ! 元気になったんだね!」

「え? ……そんなに違いますか?」

 

 いつもと変わらない朝の挨拶をしただけなんだけど、そんなに違うのかな?

 

「全然違うよ! ちょっと前のアイシャは元気そうに見せてただけだったけど、今のアイシャはいつものアイシャだった!」

 

 そうか、そんなに違っていたのか。

 皆に心配させないようにいつも通りにしていたつもりだったけど、本当につもりだったみたいだな。まだまだ修行が足りないな。……いや、ゴンが鋭いのかもしれないな。

 

「元気になったんなら何よりだぜ」

「ありがとうございます。……その節は皆さんにご迷惑をお掛けしました。申し訳ありません」

「全くだ。おかげで酷い目にあったぜ」

「ああ、少しは反省をしろよ」

「サブ! バラ! ま、待ってくださいリィーナ先生! お、オレからしっかりと言っておきますから何卒ご勘弁を!」

 

 サブさんとバラさんの言い分ももっともなんだけどな。

 しかしすごいなゲンスルーさんの対応の速さは。リィーナがサブさんとバラさんをどうこうする前に反応して先に謝るなんて。というか、本当にゲンスルーさんって仲間思いだな。他人の為にここまでするなんて。サブさんとバラさんと本当に仲良しなんだな。

 

「リィーナ。今回は私の暴走が招いた結果です。彼らの不平は当然の反応ですよ。許して上げてください」

「……分かりました。今回はアイシャさんとゲンスルーさんに免じて無かったことといたします」

「ふぅ。悪いなアイシャ」

「いえ、本当のことですし」

 

 サブさんとバラさんに悪いこともしたしね。性転換の邪魔にならないように念には念を入れて最初の一撃で丸1日は昏倒するようにしていたし。ゲンスルーさんも2人の世話で1日潰れたしね。まあ、修行も免除されたから嬉しかったかもしれないけど。

 

「今日からまたグリードアイランドの攻略を始めましょう。私のせいでしばらく何も出来ていませんでしたからね」

 

 この3日間は私を気遣ってか誰も攻略を進めずにいた。まあゴン達は修行していたけど。

 私は気持ちの整理を付けるために日がな1日ぼうっとしてたなぁ。こんなにゆっくりしたのはどれくらいぶりだろうか? 今日からまた気合を入れ直して頑張ろう!

 

 

 

「さて、アイシャの調子も戻ったことだし、これからの方針を話し合うぞ」

 

 司会ゲンスルーさんによるグリードアイランド攻略会議が始まる。すっかり司会進行役が板についたゲンスルーさんである。

 

「まず、前に話していた通り、オレ達が1番手に入れなければならないのは指定ポケットカードNo.2“一坪の海岸線”だ。既に場所は“道標/ガイドポスト”で割っている。ソウフラビという街だ。だがこのカードはまだ誰も手に入れたことがないカードだ。先ほども念の為に調べてみたが所有しているプレイヤーは0だ。SSランクだけに、それだけ入手方法が困難なんだろう。オレの調べた限りでも入手の目処も立っていないようだ」

 

「困難なのは分かるが、今まで誰も入手しようとしていないわけじゃないんだろ? それなのに誰も入手出来ていないのか?」

「恐らく特殊な条件があるんだろう。特定の時期、特定のアイテム、とにかく何らかの条件を満たしていないと入手出来ないんだろう。Sランクのカードでも他の指定ポケットカードを使わなければ入手が困難なカードは幾つもある。SSランクともなれば困難さは推して知るべしだな」

 

 なるほど。一筋縄では行かなさそうだな。単純に強ければ取れるというわけでもないだろう。その条件をどうにかして見つけなければ。

 

「まずはソウフラビに行ってみるか? ここで話していても現地に行ってみなけりゃ条件も分からないだろうしな」

「まあそうするしかあるまい。だが、問題は、だ……」

 

 ん? 皆が私を一斉に見る。

 ふふ、分かっているさ。どうせ私に移動系のスペルカードは効きませんよ。

 

「いいですよ。私はここで留守番していますから。皆さんでどうぞ」

 

 不貞腐れなんかいないやい。

 いいないいな、皆して空飛んで移動出来ていいな。

 私も飛べるけど、それとこれとは違うんだ。一瞬で別の場所に移動出来るっていうのがいいんだ。

 

「いや、また幾つかのチームに分かれたら……」

「だけどよ、SSランクのカードだぜ? 全員で調べた方がいいんじゃないか?」

「だがアイシャはどうする?」

「また走ってくればいんじゃね? アイシャなら大丈夫だろ?」

 

 そらまあ走ればいつかは辿り着くけどね。街への方向さえ分かればどうにかなる。グリードアイランドがどれだけの広さかは分からないけど、その気になれば1000キロや2000キロくらい走れるだろう。

 

「へへ。まあ待てよ皆、オレにいい考えがある」

「なに? どういうことだレオリオ?」

 

 レオリオさん? いい考えって何だろう?

 

「まあオレの考えを実行するならまずはソウフラビに行かないと意味がないな。一度オレをソウフラビに連れて行ってくれないか? オレはまだ行ったことがないからスペルじゃ行けないんだよ」

「……レオリオ、お前アレを試すつもりか?」

 

 ミルキにはレオリオさんが何をしようとしているのか分かっているのか?

 この2人、時々2人っきりで色々としているようだから、何か私たちに知らないことを知っているのかも。最初はレオリオさんとミルキがここまで仲良くなるとは思ってもみなかったよ。

 

「へへ。まあな。多分アレなら上手く行くはずだぜ」

「いや、だがスペルでの移動は……いや、スペルと違いアレなら……」

「まあ物は試しでやってみるさ。とにかくゲンスルーさんよ、オレを一度ソウフラビに連れてってくれよ」

「何をするか分からんが、まあいいだろう。だがどうせならアイシャを除く全員でソウフラビへ行くぞ。これから何をするにしても移動出来る場所を増やしておくのに越したことはない。何人だろうとどうせ使うのは“同行/アカンパニー”1枚だしな」

「そうだな。それがいいだろう」

「アイシャさん! すぐに戻りますので少々お待ちください!」

「いえ、私を気にせず“一坪の海岸線”を探していてもいいんですよ。レオリオさんの考えとやらが無理でしたら、走って追いかけますから」

 

 光が飛んで行った方向へ向かって走ればいつかは辿り着くでしょ?

 走るよ。走ればいいんだ。クソッ! ゲームマスターどもめ! 細かな設定しやがって!

 

「大丈夫だ! きっと上手くいく! 待ってろよアイシャ、すぐに迎えに来るからな!」

「それじゃ行くぞ。“同行/アカンパニー”使用! ソウフラビへ!」

 

 皆が光に包まれて飛んで行った。

 私のオーラはまた減った。……20m以上離れていれば良かった。

 

 レオリオさん……。どうやって私をソウフラビへ連れて行くのだろう?

 でも、ああ言ってくれたんだ。信じて迎えに来るのを待とう。

 

 

 

 皆がソウフラビへ行ってから5分程経ったか。まだレオリオさんは来ない。準備に時間が掛かるのかもしれない。5分待ってもリィーナが来ないんだから、レオリオさんの考えとやらはまだ実行中なのだろう。もし失敗したらすぐにリィーナが飛んでくるか“交信/コンタクト”で連絡してくるからな。

 

 そうして待っていると空からスペルの飛行音が聞こえてきた。

 きっとレオリオさんかリィーナだろう。どっちかな? いや、信じて待つと決めたんだ。レオリオさんだと思う。

 

 空から着地したのは……レオリオさんだ!

 レオリオさんが迎えに来てくれた。どうやって私をソウフラビへ連れて行ってくれるんだろう。楽しみだな。

 

「待たせたなアイシャ! ちょっとまだ不慣れなことをしてたから時間が掛かっちまったぜ。わりぃな」

「いいんですよ。それより、どうやって私をソウフラビまで連れて行ってくれるんですか?」

「ああ、それなんだがよ……す、少しだけアイシャを抱きかかえることになるけど、い、いいか?」

「え? それは構いませんけど……? でも、それだと……」

 

 リィーナが試したことはレオリオさんも知っているはずだ。例え抱きかかえたとしても、移動スペルでは私を連れて行くことは無理だった。細かいプログラムだと憤ったが、不正防止の為には当然の処置だ。

 

「いや大丈夫だ。オレがこれからすることにスペルカードは関係ないからな。まあ、移動スペルを参考にしてはいるんだがよ」

 

 え? 移動スペルを参考にしているのに、スペルカードは関係ない?

 ……え、も、もしかして……。

 

「ほら、行くぜ」

「あ……は、はい」

 

 レオリオさんに抱きかかえられる。お姫様抱っこだ。リィーナにもされたけど、やっぱり少し恥ずかしいな。なんだかリィーナの時よりも恥ずかしい気がする……。嫌な気はしないけど。

 

「落ちたら危ないから少し強くするぜ。痛くないか?」

「はい、大丈夫です……」

 

 痛くはない。ただやっぱり恥ずかしい。

 多分今顔が赤くなっている。こんな歳で抱っこされるのはな……。

 

「それじゃ行くぜ! 【高速飛行能力/ルーラ】使用! ソウフラビへ!」

「!?」

 

 レオリオさんがそう叫んだ瞬間! 凄まじい勢いでレオリオさんが空を翔けた。

 いや、私もだ。レオリオさんに抱き締められている私も一緒に空を翔けている。下を見ると景色が巡るましく変わっていく。周りは青一色の空だ。これが……皆が移動スペルを使用した時の感じか。

 

 空の旅はすぐに終わりレオリオさんは大地に降り立った。

 周りにはゴン達もいる。ということはやっぱりここはソウフラビなんだ。

 ほんの1、2秒くらいで到着した。凄い。これがレオリオさんの……新たな念能力か!

 

「へへ、どうよ」

「す、凄いです! 放出系の能力を作ったんですね!」

 

 確かにこれなら私でも移動出来る!

 私そのものを移動させることは出来ないけど、移動するのはレオリオさんだ。そのレオリオさんが私を抱えれば、一緒に私も移動する。私の身体に効果を及ぼす能力じゃないから【ボス属性】でも無効化しない! そしてグリードアイランドの移動スペルでもないから私を抱えてもシステムに無効化されもしない!

 これが瞬間移動の類なら私の【ボス属性】で無効化しただろうけど、レオリオさんのは高速飛行して目的地まで移動する能力だ。レオリオさんが言っている通り移動スペルを参考にしたんだろう。移動スペルは目的地に向かって瞬間移動するんじゃなくて、高速で飛んでいく効果だからな。移動スペルを何度も体験したおかげで能力を作るのにかなりの参考になったんだろう。

 

「ああ、前から考えていた能力なんだよ。これも黒の書に載っていたんだよな」

「あ、ああ。そうなんですか……」

 

 私ってこんな能力まで考えていたんだ……。

 いや、今回は良くやったと思おう。良くやったぞ過去の私!

 

「でも中々上手く出来なくてな。グリードアイランドでビスケに色々と放出系について細かく教わってたんだ。都合よく移動スペルなんてあったから、すげぇ参考になったぜ」

 

 確かに能力を使用する時もスペルを使っているみたいだったな。

 移動スペルと同じようにすることで明確なイメージを固めているんだろう。何事もイメージがあるとないとでは大きな違いだ。念に関してはそれがより顕著に現れる。

 グリードアイランドに来たことはレオリオさんにとって予想外にいい刺激になったみたいだ。

 

「移動地点の目標を定めるのをどうしようかと悩んでいたんだけどよ。それはミルキのおかげで何とかなったぜ」

「ミルキの?」

「ああ。ミルキから神字を少し教わってな。オレが念を籠めて書いた目的地の名前を刻んだ神字を目標にすることに成功したんだ」

 

 なるほど。離れた位置に飛ぶのには何らかの目標を作らないと難しいからな。それを神字で補ったわけか。

 

「後は能力を使用する時に刻んだ神字の名前を言えば、そこに飛んでいく仕組みだ。問題は目標の神字が何らかの理由で消えたらそこへは移動出来なくなるし、目標の神字を何処かへ動かされたらそこに向かって移動しちまうことだな」

「……目標が地面の下とかに隠されたらどうなるんですか?」

 

 瞬間移動系じゃないから、石の中にいるとかにはならないと思うけど……。

 

「まあ大丈夫だぜ。地面の下に隠しても特に問題はなかった。一応それはミルキに言われて試しているからな。ぶっつけ本番でアイシャを巻き込むわけにもいかないしな。あと目標が動かされても大体の位置は分かる。もし深海とかに隠されても大丈夫だぜ。まあ目標は地面の下に隠すつもりだから簡単には動かされないだろうけどな」

「なるほど……。本当に素晴らしい能力ですレオリオさん!」

 

 よく考えて作られている。これなら一度行った場所なら下準備さえしていれば何時でも行けるということだ。放出系でも最高に便利な類の能力だな!

 

「ありがとよ。……元々は世界中を素早く移動したくて作ろうとしてたんだよ。これがあれば、助けを求めている患者の元にすぐに行けるからな……。ま、アイシャの役にも立てたし、完成して良かったぜ」

「レオリオさん……」

 

 ……そうか。その為に作った能力なのか。レオリオさんの能力の殆どが、人を助ける為に作られているんだ。これほど人の為に能力を作った人を私は知らない。

 

「レオリオさんは、きっと誰よりも素晴らしい医者になれると思います」

「へっ、よせよ。照れるぜ」

 

 顔を赤らめてそっぽを向いたレオリオさん。

 ふふ、結構レオリオさんって褒められるのに慣れてないよな。恥ずかしがり屋さんめ。

 

「いい話だ。感動的だな。だが死ね」

「ぬわーーっっ!?」

「れ、レオリオさーん!?」

 

 な、何をするだァーッ!?

 キルアとミルキによってレオリオさんが吹き飛ばされていく!? レオリオさんに抱きかかえられていた私は地面に落ちる前にリィーナに抱きとめられた。

 

「何時までアイシャ抱きかかえたままくっちゃべってんだよ! 上手くいったんならさっさと降ろせや!」

「くそっ! こんなことなら神字なんて教えるんじゃなかったぜ! これからも移動の度にレオリオがアイシャを抱きかかえるとなれば……! 貴様との友情もここで終わりのようだな! 眠れ地の底に!!」

「キルアさん。ミルキさん。私が許可します。やっておしまいなさい」

『あらほらさっさー!』

「ぐああ! し、痺れ! お、重い! 身体が痺れて潰れるぅ!!」

 

 やめたげてよぉーー!!

 

 

 

「それじゃあ無事アイシャも合流出来たので“一坪の海岸線”捜索に移る」

『おー!』

 

 ソウフラビ近くの海岸にて再びゲンスルーさん司会進行による攻略会議が始まる。

 ただしキルアとミルキとリィーナの3人は正座で話を聞いているが。膝の上にはミルキの作った重りをこれでもかと乗せている。少しは反省するがいい。

 全く、レオリオさんが何をしたというのだ。

 

「おのれレオリオさんめ……!」

「……何だろう。アイシャに叱られるのも悪くない……」

「兄貴、その領域は危ないから帰って来い」

 

 ……結構余裕そうだな。重り増やすか?

 

『ぬわーーっ』

 

 これくらいでいいだろう。さ、ゲンスルーさん、話を続けてください。

 

「(……もう少し重くしてもいいんだぜ?)」

 

 ははは。こういうところでリィーナに復讐しようとしてると後が怖いですよ? でもたまのリクエストなので応えましょう。

 

『ぬわーーっっ!』

 

「さて、話を戻すぞ」

 

 心なしか満足そうにしているゲンスルーさんが会議を進める。……会議の進行も心なしかゆっくりな気がするけど。

 

「あー、つまりだ。SSランクともなると入手には複雑な流れが――」

 

 

 

 

 

 

「何を言いたいかと言うとだ、情報収集こそが1番大事でありかつ――」

 

 

 

 

 

 

「もしかしたら危険な戦闘もある可能性も無きにしも非ず、なので全員がそれぞれ注意を怠らず――」

 

 

 

 

 

 

「連絡を密にすることで危険の回避を――」

 

 

 

 

 

 

 なげぇよ。

 

「……そろそろいい加減にいたしませんと、私の堪忍袋も限界になりますよゲンスルーさん?」

「というわけだ! 皆頑張って情報を集めてくれ! 以上!」

 

 自分が悪いと思っていたから我慢していたみたいだけど、流石にリィーナも限界に来ていたな。

 慌てて話を切り上げるゲンスルーさん。焦るくらいなら初めからそんなことしなければ良かったのに。

 

 とにかく、全員でバラけて情報収集が始まった。

 ソウフラビの住人に話しかけて“一坪の海岸線”について知らないか聞き込みをする。知っている人がいたらそこからさらに情報の真偽を確かめていくんだけど……。

 

 

 

 

 

 

「どうだ?」

「駄目だな。情報の欠片も出てこない」

「こっちも。一坪のひの字も出てこなかったよ」

「オレもだ」

「私もだな」

 

 全員外れか。

 本当にソウフラビで合っているのか? そう考えるほど情報は手に入らなかった。SSランクとはいえ、これほど情報が出てこないものなのか?

 

「……今までもオレ達と同じように“一坪の海岸線”を探そうとしたプレイヤーはいたはずだ。だがオレ達と同じように見つけることは出来ていない……何かあるな」

 

 何年もグリードアイランドをプレイしているゲンスルーさんでも分からない条件。何らかのアイテムか、時期か、それとも他の何かか……どれも今すぐには分からないものばかりだ。

 

「時期が関係しているとしたらどうする?」

「……可能性としてはないとは言い切れないな。もしそうだとしたら……」

「ソウフラビをしばらく拠点として活動しないか? もし時期が原因だとしたら定期的に情報を集めるしか判断しようがない。もしかしたら情報収集を行った回数がトリガーになっているかもしれない。何も分からない現状だと、ここを拠点に動いた方がいいだろう」

「……そうだな。ここで情報収集を定期的に行いつつ、他のカードを集めるようにしよう」

「異議なし」

「オレも」

「それでいいだろう」

 

 大体の方針は決まったな。

 

「もちろん並行して修行もしますよ。海岸もなかなか修行に良さそうな環境です。砂場や海など抵抗が程よくあって修行にもってこいですね」

「異議あり」

「オレも」

「それはないだろう」

 

 知らなかったのか? 修行からは逃げられない。

 

 

 

 

 

 

 12月になった。

 あれからソウフラビに毎日情報収集に向かっているが何の情報も出てこない。時期がフラグだとしたら、12月ではないということだろうか? それともやっぱり時期は関係ないんだろうか?

 まだ結論を出すのは早いな。

 

 指定ポケットカードは78種まで集まった。流石に残りはSランク以上が殆どなので、簡単には集まらなくなった。これからは攻略に掛かる時間も多くなるだろう。

 

 来月には新年、つまりは1月になる。1月と言えばハンター試験がある月だ。キルアは前回のハンター試験に残念ながら落ちている。今回のハンター試験はどうするつもりだろう?

 

「キルア、来月にはハンター試験がありますが、キルアは受けるんですか?」

「あっ!」

 

 うむ。どうやら忘れていたようだ。

 キルアはそこまでプロハンターになる気はなかったみたいだけど、もう受ける気はないのかな?

 

「今日って何日だったっけ?」

「12月3日ですよ」

「もうそんな時期か。すっかり忘れていたぜ」

「あれから1年近く経つんだなぁ。何だか2、3年は一緒にいる気がするぜ」

「そうだな。かなり濃い日々を過ごしているからな。そう思うのも仕方あるまい」

 

 そうか。来月にはゴン達と知り合って1年になるんだな。

 レオリオさんの言う通りまだ1年も経っていないとは思えないくらい色々あった1年だった。きっとゴン達と一緒にいるとこれからも色んな出来事と関わっていくんだろうな。きっと退屈はしないだろうな。

 

「うーん、今すぐに行っても時間が勿体無いな」

「だったらギリギリまでここに入れば? 試験の申し込みの締め切りは12月31日だから余裕があるといえばあるわさ」

「でもあんまり遅くなっても間に合わないかもしれないぜ」

「うむ。申し込みが間に合っても試験会場に辿り着けないかもしれないからな」

「それなら大丈夫! ほら、キリコにオレ達の友達だって言えばきっと今回の会場まで連れて行ってくれるよ」

「ああ! あの魔獣か!」

「そう言えば来年も案内してくれると言っていたな」

「ああ、私も案内してくれましたよ」

 

 キリコ……凶狸狐か。懐かしいな。空の散歩は楽しかった。あれのおかげでオーラの放出による空中移動を思いついたと言ってもいい。キリコ達には感謝だな。

 

「アイシャも同じナビゲーターだったんだな」

「ええ。ドーレ港から一本杉を目指しました。親切なおじ様に教えてもらったんですよ」

「お、おじ様?」

 

 おじ様元気かな? きっと元気な気がする。ああいうタイプはかなりしぶとい。おじ様ならきっとどんな荒波も乗り越えていけそうだ。思い出したらまた会いたくなってきた。おじ様って呼ぶと怒られるだろうけど。

 

「ゴンの言う通り彼らなら案内をしてくれるだろう。少しくらいここを出るのが遅くても間に合うだろうな」

「それなら1週間くらい前に出るとするか」

「ああ、それならオレも一緒に行くぜ」

「兄貴が? プロハンターになんか興味なかっただろ?」

「……今さら家の仕事をする気にもなれないしな。かと言ってしたいこともないし、どうせだったらプロハンターの資格を持ってれば色々と便利だろ?」

 

 そんなに手軽に手に入れていいものなんだろうか。プロハンターの資格が欲しくて毎年何百万人の人が試験に臨んで、合格出来る人はその中でもほんのひと握りなのになぁ。

 でも2人の実力なら意地悪な試験じゃない限り大抵受かるだろうしな。……また寿司みたいな試験ないよね?

 

「ミルキがそう言うなら2人で行ってくればどうですかキルア?」

「うーん、ま、いっか。足引っ張るなよ兄貴」

「お前がだキル」

「まーた2人で喧嘩する~」

「ふふ。喧嘩するほど仲がいいんですよゴン」

『誰がこんな奴と! ……真似すんなよ!』

 

 めっちゃ仲良しです。息ぴったりじゃん。

 

 

 

 さて、今日もソウフラビで情報収集してこようか。多分成果はないだろうけど、それでも継続することに意味がある。というか、ここまで来ると意地だ。今さら後には引けない。もしかしたらあと1回情報収集すると何か分かるかもしれない。もしかしたら継続して情報収集し続けると何か分かるかもしれない。

 そう考えたら今さら止められないのだ。他の方法は別の人が試している。私は日々の情報収集が仕事なのだ。

 

 では、朝の修行も終わったことだしソウフラビに……? はて、空から移動スペルの音が? でも私たちは今全員いるし……ということは他のプレイヤーか?

 

 そうして空を見ると、すぐに私たちの傍……正確にはリィーナの傍に10人のプレイヤーが降り立った。

 “同行/アカンパニー”か。ここはソウフラビから少し離れているから、狙いはリィーナだな。ということは彼らはハメ組か……間違いない。以前ゲンスルーさんに会いに来ていた人もあの中に何人か混ざっている。

 

「……久しぶりだなゲンスルー。ゲームクリアから降りたんじゃなかったのか?」

「その話か。事情が変わってな。今はこいつ等とクリアを目指している」

 

 あ、ゲンスルーさんの言葉に何人かが切れかけてる。

 

「ふざけるな! オレ達から勝手に離れて、ゲームを降りると言っておきながら今さらクリアを目指すだと!」

「やっぱりオレ達を裏切る気だったのかゲンスルー!」

「なんとか言ったらどうなんだ!」

 

 ……仲間と思っていたんだからな。特に初期から一緒だった人達は複雑なんだろう。色々と憤りもあっても不思議じゃないか。

 

「皆落ち着け! ……ゲンスルー。オレ達の元に戻ってくる気はないのか?」

「……なに?」

「確かにお前は身勝手な理由でオレ達から離れていった。だが、お前がオレ達に貢献したことは小さな物じゃない。オレ達の基本となる戦法を考えたのもお前だ。今ならお前の仲間も含めてオレ達のチームに入れてもいい。報酬は少なくなるが、1人1億、お前は2億だ。もちろんお前たちが持っているカードでオレ達が持っていないカードは高く買い取ろう。……悪くない話だと思うが?」

 

 これは彼らなりの譲歩、最後の優しさだな。

 彼ら、ハメ組はもうゲームを殆どクリアしたものと思っている。ここに来たのもリィーナが持っているカードが狙いなのは明白。

 私たちが仲間になればリィーナが持っているカードはそのままハメ組の物に、仲間になるのを断ればスペルで奪い取るだけ。私たちが“堅牢/プリズン”で指定ポケットページを守れていないのも知っているのだろう。

 

 無理矢理奪いに掛かっても勝算はあると踏んでいるのに、私たちに報酬を用意してカードの買い取りまで持ち掛けるのはゲンスルーさんへの借りを返す為だろう。彼らがここまで来れたのにはゲンスルーさんの力は不可欠だったからな。例えそれがゲンスルーさんの計画の内でも、そこまでは彼らには分からないことだし。

 

「……なるほどな。そりゃいい話だ」

「なら!」

「まあ落ち着け。リィーナ先生。このまま先生がクリア出来たらオレの報酬は幾らになりますか?」

「そうですね。貴方の情報とその分析はかなりの役に立ちました。これだけの短期間でここまでのカードが集まったのは間違いなく貴方のおかげです。このままゲームクリアが出来たならば、500億の内40%をゲンスルーさん達で分けてもらっても構いませんよ。もちろん今後さらなる貢献を成したら報酬は上がるものと思って頂いて結構です」

「……というわけだ。悪いな、他を当たってくれ」

 

 おお、予想以上の報酬にサブさんとバラさんが喜色満面になっている。ゲンスルーさんはハメ組の人と交渉中だから冷静な仮面を被っているが、内心は大喜びしているな。

 何せ報酬なんて無いものと諦めていただろうからな。そこに降って湧いたように200億の報酬が手に入る可能性が出て来たんだ。喜びもするだろう。

 

「っ! 後悔するなよ! その答えが大金に目が眩んだ愚かなものだと教えてやる! “ブック”!!」

『“ブック”!!』

 

 交渉していた彼……確か以前来た時にニッケスと呼ばれていたかな? ニッケスさんがバインダーを出したのを合図に他のハメ組もバインダーを出した。全員がリィーナを20m以内の距離に収めている。スペルでカードを奪いに来たか。

 

「彼女がお前たちの指定ポケットカードを一手に集めているのは既に確認済みだ! その中でオレ達に必要なカードがあるのも分かっている! お前ならオレ達がどういう手に出るか分かっていただろうに、馬鹿な選択をしたよ! “強奪/ロブ”使用! リィーナを攻撃! No.75!!」

 

 ニッケスさんが手に持ったカードから光が飛び出しリィーナへと飛んでいく。ハメ組の人たちは皆勝利を確信した顔をしている。攻撃スペルを防ぐのに必要な防御スペルの殆どを独占しているんだ。例えこれが防がれたとしても、長くは保たないと確信しているのだろう。

 対して私たちも誰も焦っていない。リィーナはこの日の為に常に【貴婦人の手袋/ブラックローズ&ホワイトローズシャーリンググローブ】を具現化して装着しているからだ。彼らの戦法と確信は間違ってはいない。ただ、リィーナの能力がグリードアイランドというゲームに置いて予想外の能力だっただけだ。

 

「ふっ」

「……はあっ?」

 

 リィーナがスペルを掴み取って吸収した。

 ハメ組の人たちは皆呆然としている。まあ気持ちは分からなくもない。彼らからしたら想像だにしていなかった現象が目の前で起きたんだから。必勝を期した戦法がいきなりスカされたんだから放心の1つや2つくらいするだろう。

 

「え? いや、え?」

「は? す、スペルが……つ、掴まれて……」

「き、消えた?」

「おや? どうされました? もっとスペルを撃ち込んでも良いのですよ?」

 

 リィーナさん、挑発はやめてあげて。何だか可哀想になってくるから。

 

「あ、有り得ない! そうだ! 今のは“聖騎士の首飾り”の効果だ!」

「いや、お前に跳ね返っていないだろうが」

 

 ゲンスルーさんの言う通りだ。“聖騎士の首飾り”は受けた攻撃スペルを対象に跳ね返す“反射/リフレクション”の効果を身に付けていれば常時発動するというもの。つまり“強奪/ロブ”の効果が跳ね返っていないのだから、“聖騎士の首飾り”の効果というのはおかしいだろう。

 

「違う! オレも“聖騎士の首飾り”を身に付けているからだ! だからスペルが反射し続けるんだ。それをゲームシステムがスペルを打ち消すという結果にしたに過ぎない!」

 

 ああ、確かにそういう風に取れなくもないな。

 実際どうなるんだろう? “聖騎士の首飾り”を付けた者の間でスペルが反射し続けるのか、それとも消滅するのか、それとも反射は一度だけなのか。試したことがないから分からないな。

 

「“徴収/レヴィ”なら“聖騎士の首飾り”も意味はない! “税務長の籠手”を使うぞ!」

『おう!』

 

 ニッケスさんの掛け声と共にハメ組から3人程前に出てきて他のメンバーが下がった。彼らの腕には初めから籠手が装着されている。どうやら“聖騎士の首飾り”対策に何人か“税務長の籠手”の使い手を用意しているようだ。

 準備が良いことだが、まあそれも無意味に終わってしまうと思うと悲しいな。おっと、私たちも下がっておこう。巻き込まれてカードが取られても嫌だからな。

 全員分かっているようで、私が下がると同時に皆がスペルの範囲外に出た。

 

『“徴収/レヴィ”使用!!』

 

 “徴収/レヴィ”を放ったハメ組のメンバーから大量の光弾が放たれる。それぞれ範囲内にいるプレイヤーに“徴収/レヴィ”の効果が発動したのだ。

 その光弾の内の3つがリィーナに向かって飛んでいく。高速で飛来するそれは避けてもリィーナを自動追尾して必ず命中するだろう。

 だが逆に言えば避けようと思えば避けることが出来る速度だということだ。リィーナならその程度の速度のスペルなど3つが10に増えようとも全て掴み取ることが出来る。

 

「ふっ」

「……あ、あ……あり、えない……」

「そういえばさっき面白いことを言っていたな。オレも言ってやろうか? お前たちがどういう手で来るか分からないオレだと思っていたのか? 対策があるからこそ強気な態度なんだよ」

「貴方の力ではないでしょうに」

 

 ごもっともである。

 

「さあ、どういたしました? まだ“税務長の籠手”は使用出来るのでしょう? どうぞ指定ポケットのカードが無くなるまでお試しくださいませ。どうせ失うカードは余った指定ポケットカードかスペルで偽装した不必要なカードでしょうから、惜しくはないでしょう?」

「う、うあ……」

 

 ニッケスさんが、いや、ハメ組全員がリィーナの圧力に押されている。実力で劣っているからこその人海戦術にハメ技だ。これほどのプレッシャーを味わったことなどないのかもしれない。

 ……まあ、リィーナクラスのプレッシャーなんてそう味わう機会もないか。

 

「ぜ、全員でスペルを仕掛けろ! 相手は両手でスペルを打ち消している! 何らかの念能力だろうが、両手以外では打ち消せないはずだ! 全員で打ち続ければいずれは防御を突破出来る! 出来るはずだ!!」

 

 もはやすがる思いだろうな。全員で我武者羅にスペルで攻撃しようとしている。

 だが確かに有効な戦法でもある。リィーナとて人だ。無数に飛んでくるスペルの全てを両手で掴むことは出来ないかもしれない。いずれは掴み損ねてしまうだろうな。

 けど、そう来るならそれなりの対処をすればいいだけだ。

 

『“徴収/レヴィ”使用!!』

 

 ハメ組がそれぞれ“税務長の籠手”やスペルによる“徴収/レヴィ”の連続攻撃を行う。これだけ“徴収/レヴィ”を撃っても当たるかどうか分からない上に、例えリィーナの防御をすり抜けて当たったとしても“徴収/レヴィ”ではどのカードが手に入るか分からない。

 

 しかも“徴収/レヴィ”のカード化限度枚数は25枚。“税務長の籠手”で放てる“徴収/レヴィ”にも限界はある。合計したらハメ組が撃てる“徴収/レヴィ”は100にも満たないかもしれないな。上手くいく可能性は低いのにそれが分かっていない。かなり動揺しているようだ。

 

 まあ、そもそもリィーナは“徴収/レヴィ”が当たる位置にすらいないんだけどな。

 

「なっ!? い、何時の間に移動したんだ!?」

「近距離スペルの有効範囲は20m。貴方がたがスペルを使用する間に離れるには私にとって短すぎる距離です。そして貴方がたの実力では私の動きを追うことは出来ないでしょう。……誰か1人でも私の動きを捉えられていましたか?」

『……』

 

 誰もが呆然としている。実力の差というものを感じたのだろう。

 

「ところで……先ほどから悠長にスペルで私のカードを奪おうとしていますが。まさか、自分たちが攻撃を受けないとでも思っているのですか?」

「っ! ……ふ、ふふ、む、無駄だ。オレ達が持っているカードはスペルカードが殆ど。指定ポケットに入っているカードも――」

「――ああ、そうではありませんよ」

「?」

「……私を怒らせて、無事で済むと思っているのですか? と言っているのですが……理解出来ませんでしたか?」

『ひっ!?』

「まさか貴方がた、そのような方法で他のプレイヤーからカードを奪っておいて、一切恨まれないとでも? だとすれば随分おめでたいですね。確かにゲーム上で貴方がたのやり方は不正ではございませんが、だからと言って全てのプレイヤーが納得すると思っていらしたら大間違いです。……そのような甘い考えでは、いつか痛い目にあってしまいますよ?」

「あ、“同行/アカンパニー”使用! ジート!!」

 

 あ、リィーナの脅しに押されたか。青い顔をしながら“同行/アカンパニー”で逃げていった。まあ実力を見せつけられた上であんな風に脅されたら逃げもするわな。

 

「……せっかく忠告をして差し上げたというのに逃げるとは。失礼な方がたですね」

 

 ……ああ、リィーナなりの忠告だったのね今の。どう聞いても脅しにしか聞こえなかったけどね。

 

「……忠告?」

「脅しの間違いじゃないのか?」

「リィーナの中では忠告なのよきっと」

「ビスケ、聞こえていますよ」

 

 まあ丁度いい具合にハメ組への威嚇になっただろう。これで彼らもリィーナに対しては今までのやり方が通用しないと理解出来たはずだ。今後の交渉も上手くいく可能性も上がっただろう。

 ……まあ、“一坪の海岸線”が手に入らなければ交渉も何もないけど。

 それじゃ、“一坪の海岸線”を手に入れる為にも日課の情報収集に出掛けるとしますか。

 

 




 レオリオ新能力。もうレオリオが超便利キャラに。一家に1人レオリオさん! その内世界を股にかけるスーパーグローバルドクターレオリオとなるでしょう。将来的にはクランケハンターを名乗らせたい。患者をハントして健常者に戻すという意味で。

【高速飛行能力/ルーラ】
・放出系能力
 黒の書に載っていた能力をレオリオがミルキの協力のもと完成させた放出系の移動能力。瞬間移動ではなく、空を高速で移動する。その為室内や洞窟などの開けていない場所では使用出来ない。オーラを籠めた神字で目的地の名前を刻んだ目印を作成し、それを目標にする。能力発動時に刻んだ目的地名を言えばそこへ自動で高速飛行する。
 グリードアイランドの移動スペルを参考にしてイメージも完全に出来上がっていたためその完成度も高い。移動スペルと同じく高速で移動してもその移動の際に空気の壁でダメージを受けるなどといった影響はない。しかも途中に巨大建築物や飛行物体があれば自動で避けてくれる。
 移動スペルと違い術者の身体に触れている他者も一緒に移動することが出来る。別に抱きかかえる必要はないが、アイシャの場合は抱きかかえないと移動できない。他の人は触れてさえいればOK。ただし、人数が多くなるほどオーラの消耗も激しくなる。
 目印が何らかの要因で失われるとその目印へは移動出来なくなる。また目印の位置が変わると移動場所も変わってしまう。

〈制約〉
・オーラを籠めた神字で作った目印がないと発動出来ない。
・術者の身体に触れている対象も一緒に移動出来るが、1人増えるごとに消費オーラ量は倍化(2人で2倍。3人で4倍)する。
・目印の作成数に限界はないが、作成する時に消費したオーラは回復することはない。作成した目印を破棄することは術者の自由。その場合破棄した目印の作成に消費したオーラは元に戻る。また、破棄した目印を遠隔で元に戻すことは出来ない。

〈誓約〉
・特になし。





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