どうしてこうなった?   作:とんぱ
<< 前の話 次の話 >>

60 / 86
第五十八話 ※

 先鋒はドップルvsゲンスルー。
 ゲンスルーはその対戦表を見てチッと舌打ちをした後オレを睨みつけた。
 ……オレが何かしたか? 何でそんな目でオレを睨む?

 まあいい。だがゲンスルーが先鋒に出てくれたのはありがたい。敵の代表の中で最も驚異となるのがゲンスルーだろうからな。ドップルでは勝ち目はないだろう。だがそれは当初の予定通りだ。

「それでは先鋒戦。ゲンスルーさんvsドップルさん……始め!」

 リィーナ=ロックベルトが審判役を買って出たのでそれを通す。
 彼女に八百長をする気など今さらないだろう。勝つことに拘わるならもっと真面目に代表を決めればいいだけなのだからな。

「うおおぉっ!」

 ドップルがオーラを高めてゲンスルーに向かう。
 だがどの攻撃もゲンスルーにはカスリもしない。ゲンスルーは余裕の表情で攻撃を躱している。
 ……やはり相当な実力者! 恐らく純粋な戦闘ではオレでも敵わんだろう。すまんドップル。お前が先鋒に出てくれて本当に助かったぞ!

「ちっ。雑魚かよ。これじゃオレの気が収まらねぇぜ」

 そんな腹立たしい台詞を吐きながらゲンスルーはドップルの首筋を手刀で叩きドップルの意識を絶った。く、やはり駄目だったか。ドップル、よく頑張った!

「勝者ゲンスルーさん。それでは次鋒前へ」
「オレの番だな」
「頼んだぞゴレイヌ!」

 ゴレイヌが負けたらかなり厳しい物になる。
 相手はキルアか。年齢通りと思っていたら痛い目に遭う、そんなレベルの能力者だ。その能力も不明。勝てるのか?

「では次鋒戦。キルアさんvsゴレイヌさん……始め!」

 開始の合図と同時にゴレイヌが2体の念獣を具現化する。
 黒と白のゴリラ。アレがゴレイヌの能力か。

「ゴリラ? これって念獣?」
「そうだ。これがオレの能力だ。まさか卑怯とは言わないよな?」

 能力の使用厳禁とはルールになかったから反則ではあるまい。念獣で数の不利に思えるかもしれないが、使っているのはゴレイヌ本人なんだからな。

「別にそんなことは言わねーよ。さて、そのゴリラにどんな能力があるのかなっと」

 おお? キルアのあの動きはなんだ!? 複数のキルアがゴレイヌを囲むように……!
 そうか! あれは独特の足運びで残像を生じさせて相手を惑わす歩法か! なんという技術! 体術ではオレ以上か!?

「ちっ! なんだこりゃ!?」

 ぬぅ、やはりゴレイヌでも捉えきれない動きか! このままでは翻弄されていいようにやられてしまうやもしれんな……。
 ぬ? ゴレイヌが具現化した黒いゴリラに向かって殴りかかっただと? トチ狂ったのか? 一体何を――

 ――【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】――

 な! 黒いゴリラとキルアの位置が入れ替わった!? なるほど! これがあの黒いゴリラの能力か!

「うおっ!?」

 流石に自分の立ち位置がゴリラと入れ替わるとは思わなかったようだな。完全に奇襲攻撃となったゴレイヌの一撃をまともに受けてキルアは吹き飛ばされた。だが決定打にはなってないようだな。堅でダメージを減らされたか。大した顕在オーラだ。

「ってー。今のがあんたの能力かよ。結構厄介だな。……ま、しゃーないか」

 む? キルアの身体から放電が? 髪も逆立っているようだ……これはまさか……。

「まさか、オーラを電気に変化させてんのかよ……」

 ゴレイヌも気付いたか。オーラを電気に……確かに理論上は可能!
 だが一朝一夕で身に付くことではない! 拷問に近い強力な電気を浴びる修行だけでも数年は必要なはず! 才能だけではない。執念のような修行があっての賜物! 恐ろしい少年だ……。

 くっ、だが、これは厳しい! ゴレイヌの勝率は大幅に下がったと言ってもいいだろう。電撃を完全に防ぐことが出来る人間などいるわけがない。攻撃を受ける度に身体が麻痺して硬直してしまうだろう。
 もしゴレイヌの念獣が自動操作ではなく遠隔操作の類ならば、ゴレイヌが麻痺して操作出来なければそれだけで念獣は役に立たなくなってしまうぞ!
 黒いゴリラの能力もバレてしまっている。意表を突くのはもう不可能だろう。便利な能力ゆえにまだ使用は出来るが、警戒されるとされないでは大きな違いだからな。

「お前は変化系が得意系統のようだな」
「さてね。どうでもいいじゃんそんなの。それじゃ……いくぜ」

 ――【疾風迅雷】――

「がっ!?」

 は、疾い! なんだ今のは!? 動きを目で追うことが出来なかっただと!? あの一瞬でゴレイヌとの距離を詰め、さらに複数回も攻撃したのか?
 ゴレイヌがたたらを踏んでいる! しかもキルアは既に元の位置まで戻っているだと? 疾すぎる! これでは攻撃が当たるわけがない!
 ……駄目だ。勝てるわけがない。こんな反則的な能力者だとはな。オレでも勝てん……。

「どうしたの? ゴリラの能力はもう使わないの?」
「舐めんなよクソガキ!」

 ゴレイヌが再び黒いゴリラに向かって殴りつける。だが――

「がっ? ぐっ!?」

 くっ、あれでも反撃が可能だというのか。何という反射速度! 結局ゴレイヌの攻撃は当たらず、逆に数発も反撃を喰らってしまった。
 いかん! キルアはこのまま勝負を決めるつもりか! キルアの攻撃が止まらん!

「ぐっ、あがっ! くそ、った! れが!」

 ――【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】――

 おお! 白いゴリラとゴレイヌの位置が入れ替わった!
 なるほど。こっちのゴリラはゴレイヌとの居場所を入れ替える能力か。中々いい能力だ。応用によっては格上すら倒せるだろう。
 ……だが、キルア相手にはもう無理だな。既に能力は明かされてしまった。ゴレイヌのしたことはやられる時間を延ばしただけにすぎん。

「はぁ、はぁ」
「やるじゃん。でもそれで終わりみたいだね」
「へ、へへ、そいつは、どうかな?」

 ハッタリか? まだ何かが残っているように見せかけているだけか? だがゴレイヌからはハッタリだとは思わせないような凄みを感じる。そのせいかキルアも攻めるべきか様子を見るべきか悩んでいるようだ。

「使うつもりは……なかったんだがな。そうも言っていられない、か」
「へぇ。切り札とかあるんだ?」
「ああそうさ。オレの切り札が怖かったら今すぐ攻撃することをオススメするぜ?」

 上手いな。下手な挑発に聞こえるかもしれないが、ここで攻撃を選ぶのは難しい。攻撃されることを望んでいるようにも聞こえるからだ。攻撃がトリガーとなって発動する能力と思えば中々攻撃はしづらいだろう。しかもキルアは先程ゴレイヌの能力に嵌って一撃もらっているからな。警戒するのは仕方ないだろう。
 そしてキルアが挑発に乗って待つことを選択したら能力発動までの時間を稼げるというわけだ。キルアは強いとは言っても子どもだからな。ああいう挑発には弱いかもしれん。

「いいぜ。その切り札とやらを見せてみろよ」

 うむ。挑発に弱かったようだ。リィーナ=ロックベルトや仲間の何人かも溜め息を吐いている。
 だが挑発に乗せたのはいいが、このままではジリ貧だぞ? 本当に切り札などあるのか?

「【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】! 【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】!」

 なんだ? 黒と白のゴリラが横並びになった? 何をする気だ!?

「これがオレのジョーカーだ! 行くぞ! 【賢人融合/フュージョン】!!」

 お、おお!? 黒と白のゴリラが不可思議なポーズを取りながら動いている? 一体何が起きるというのだ!?

「いでよ黄金の戦士! 森の守護賢人【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】!!」

 な、なにぃ!? ご、ゴリラとゴリラが融合してゴリラが生まれただとぉ!?
 白と黒が混ざって金になるとはどういうことだ? いや、そんなことはどうでもいい! 問題はあのゴリラが強いかどうかだ。アレならキルアに勝てるのか?

 あとリィーナ=ロックベルトと仲間の女が驚愕しているな。ゴリラが融合したのがそんなに驚きか? ……いや、確かに驚いたがな。

「行け【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】! あの生意気なガキをぶっ飛ばせ!」

 黄金に輝くゴリラがキルアに向かって突進する。
 その動きはかなりの速さだ! オレの動きよりも速いだろう。ジョーカーだというのも頷ける。……ゴリラに負けているなど悔しくて堪らんが。
 だがやはりそれでもキルアよりは――

「――ま、オレより遅いね」

 そうしてキルアが一瞬で掻き消え、黄金のゴリラは幾多もの攻撃に晒され吹き飛ばされてしまった。……やはり駄目か。

「こんなもんか。じゃ、そろそろ終わらせ……あ、あれ?」

 ん? どうした? キルアの様子がおかしい……?
 む!? キルアの身体を覆っていた電気のオーラが失くなっているだと? どういうことだ!?

「あれ? まだ充電は持つはずだぞ!? どうしてオーラが電気にならないんだよ!?」
「くっくっく。【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】の能力を味わった気分はどうだ? 今ならお前の首でも簡単に落とせそうだぜ? まるで花をつむようにな」
「お、お前……! オレにいったい何をした!?」

 お、おお! ゴレイヌ! 何をしたかは分からんが勝てるかもしれん! あと、首を落とすのは止めろよ? 反則負けになるからな。

「教えてやるよ。オレの【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】は対象と入れ替わる能力。【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】はオレと入れ替わる能力。……そして【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】はな」

 ゴクリ、と全員が唾を飲み込む。
 い、いったいどのような能力だというのだ。というか、能力をペラペラ教えていいのか?
 まああれだけ一方的にやられていた所から逆転したのだから調子に乗っているんだろう。まだ逆転出来たわけではないだろうが。
 それにあの黄金のゴリラがどんな能力を持っているかは私も気になる。ここは突っ込まずに聞いていよう。

「【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は対象の得意系統と不得意系統を入れ替える能力を持っているのさ!」
『な、何ぃーーっ!!?』

 と、得意系統と不得意系統を入れ替えるだとぉ!?
 なんだそれは! ふざけているのか! そんなことをされたらまともに戦えるわけがない!
 キルアは確実に変化系だろう。オーラを電気に変化させるなんて他の系統では出来るとは思えん! つまり得意系統と不得意系統が入れ替わったキルアは現在操作系が得意になってしまったわけだ。そして変化系は最も苦手な系統となった……。それはオーラを電気に変化出来なくなるのも当然だな。

 そればかりか今までとは勝手が違うオーラのせいでまともにオーラを運用することも難しいだろうな。身体の強化率も違う。放出するオーラ量も違う。得意な系統はほぼ使えなくなる。これで系統が入れ替わる前と同じように動けるわけがない!

「さて、反撃と行かせてもらおうか……」
「う、うう……」
「やれ【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】! オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーッ!!!!」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 黄金のゴリラによる物凄いラッシュによってキルアが遥か彼方へと吹き飛ばされていく。間違いなく《再起不能/リタイア》……ではなく、決着はついただろうな。

「……完全に気絶していますね。勝者ゴレイヌさん」
「おっしゃー!」
「やったぜゴレイヌ!」
「すげぇぜ!」
「ああ、良くやってくれた!」

 皆が喜び勇んでいる。当然だ。負けたとばかり思っていたからな。
 あそこから逆転出来るとは誰も思っていなかっただろう! 間違いなく今回のMVPはゴレイヌだ!

「少々よろしいでしょうかゴレイヌさん」
「あ、な、何だよ」

 り、リィーナ=ロックベルトがゴレイヌに何の用なのだ? まさか先ほどの勝負に物言いでもする気か?

「いえ、先ほどフュージョンと仰っていましたが……。貴方、もしかして黒の書をお持ちではございませんか?」
「あ、ああ。確かに持ってるぜ?」
「今すぐ渡すか死ぬかお選びなさい3秒だけ待ちましょう321さあ返答を」
「ふぁっ?」
「なるほど死んでも渡さないといい度胸ですよろしいではこの場で――」
「――はいストップ~。ごめんね~、怖くないからね~。すぐにこの山姥をどけるからね~」
「は、放しなさい! く、黒の書が! 先生の黒の書がここに! ここにあるんですよ!」

 こ、殺される。誰もがそう思っただろう。
 特に間近で殺気を浴びたゴレイヌなんか悟りを開いたような顔をしている。これはもう死を享受しているな。

「ゴレイヌさん!」
「は!? な、なんだ?」

 おお、正気に戻ったかゴレイヌ。
 だが今度はなんだ? リィーナ組にいた女性がゴレイヌに詰め寄って来たが……。

「どうか黒の書を譲って頂けませんか!? お金が必要ならゴレイヌさんが黒の書を買い取った金額の倍、いえ3倍でも出します!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。少し落ち着いて話をだな」
「譲る気がないというのならこの場で私が――」
「だぁーもう! あんたは話がややこしくなるから黙ってなさい! ほらあんた達! ぼさっとしてないでリィーナを抑えるのを手伝いなさい!」 
『オッス!』

 複数人掛りで抑えつけられるリィーナ=ロックベルト。……こんな女性だっただろうか?

「それで、譲ってくれるのでしょうか? それとも……駄目でしょうか?」
「う、わ、分かったよ。譲る、譲るさ」

 折れたかゴレイヌ。若い女に上目使いで請われたら乗ってしまうのが男の性か……。
 あとゴレイヌ。胸に目が行きすぎだ。傍目で見ても分かるぞ。

「本当ですか!? じゃあおいくらでしょうか?」
「そうだな。正直に言うとオレが買った時の値段は1億ジェニーだ。だがもう必要もないしな。今回はタダで――」
「ふ、ふざけないで下さいませんか!? 黒の書が1億ジェニー!? ましてやタダ!? 私が100億、いえ1000億ジェニーで買取りむぐもごもぐぅ!?」
「何でもないからねぇ。気にしないでねぇ。馬鹿の戯言だからねぇ」
「あ、ああ。と、とにかく今は持っていないんだ。グリードアイランドから出たら持っていくよ。どうせリィーナさんの所に寄る予定もあったしな」

 ああ、“一坪の海岸線”の情報の報酬だったか?
 というか1000億ジェニー……グリードアイランドのクリア報酬の2倍か……。こう、こんなにもあっさりとそのような金額を提示されると、我々の今までの苦労はなんだったのかと小一時間問い詰めたくなる……。
 ……これが終わったら黒の書を探してみようかな? 確か現在4冊の黒の書が確認されているらしいしな。ゴレイヌが持っているのを除いても後3冊だ。上手く行けば一攫千金だ。そうでなくてもリィーナ=ロックベルトの恩を得ることが出来るだろう。

「ありがとうございます! 必ずお願いしますねゴレイヌさん!」
「もごぉ! むがむぐぅぅ!」

 ……なんだかどっと疲れたよ。

「あ、そうだ。ゴレイヌさん。キルアの得意系統が入れ替わったことですが、元に戻ることはないんですか?」
「ああ、安心してくれ。あの能力の効果は30分だからな。その内元に戻るさ」

 最初にまずそっちを確認しろよ。キルアが哀れでならん。



「……少々お見苦しい所をお見せしました。申し訳ございません皆様」

 しょう、しょう? ……いや、言うまい。

「では中堅戦。レオリオさんvsバリーさん……始め!」

 中堅戦が始まった。ここで勝つと勝利は目前だ。頼んだぞバリー。
 バリーは近接戦闘の得意な強化系だ。鋭い踏み込みと身軽なフットワークで敵に近付き自分の得意な距離で戦うのを得意としている。
 相手のレオリオも恐らく強化系。あの時の選考会で見せた回復能力は強化系ならではのもの。そうでなくとも隣り合わせの系統だろう。
 放出系でない場合はバリーとは戦闘距離が噛み合いやすい。そうなったら戦闘経験が上のバリーが勝つだろう。これで放出系なら距離を潰せればバリーの勝率は大きく上がるだろう。レオリオが得意とする距離が何かによって勝率は変わってくるな。

 開始の合図と同時にバリーが一気に距離を詰めようとする。レオリオもまた距離を詰めてきた。やはり強化系の可能性が高いな。

「しっ!」
「おっとぉ!」

 ……これは予想以上だな。
 選考会で感じたレオリオの実力は、未知数ながらもまだまだ熟練の域には遠いと思っていた。だがバリーと戦うレオリオを見てそれは間違いだと教えられた。
 攻防力移動、オーラの見極め、体術、顕在オーラ、そのどれもが1流に近いレベル! まだ戦闘経験の差でバリーが上手に試合を進めているが、オーラ量は確実にレオリオが上!
 信じられん! キルアといい、レオリオといい、この若さでこれほどまでの強さを手に入れるとは!

 ……いや、リィーナ=ロックベルトがいるのだ。彼女が指導したとなればそうおかしな話でもないかもしれん。それでも何年もの修行に耐えたのだろうな。才能と努力によって身に付けた実力だ。誇ってもいいだろう。

 だが! それでも勝つのはバリーだ!

「ふっ!」
「ぐぅ!?」

 執拗なボディ責め。レオリオの防御力に対してバリーではろくにダメージを与えることは出来ん。
 だが当てることは出来る。まだ体術という括りではバリーの方が上。ボディを細かく攻撃することで徐々にダメージを蓄積しているのだ!
 腹を打たれ続けると後に響くからな。攻撃力ではレオリオが勝るから、あの距離で戦い続けるのはかなりのプレッシャーを受けているだろう。
 それでも前に出て戦うバリーの健闘には頭が下がる想いだ……。頑張れバリー!

「しぃっ!」
「おらっ!」

 くっ、レオリオの学習能力が思ったよりも高い! もうバリーの動きに対応しだすとは! 攻撃も殆どガードされるようになった。そればかりかバリーにもダメージが与えられている。攻撃が当たりだしたのだ。

「へへ、ここ最近修行から離れていたからな。ようやく調子が上がってきたぜ!」

 なんと……。本調子ではなかったというのか、アレで!
 これはマズイ。レオリオの言葉が本当なのか、尻上がりのタイプなのかは知らんが、それでも動きがどんどんと良くなってきているのは確か! 既にバリーの方が防戦一方となっている……。これでは先ほどとは立場が逆だ!

 くっ! バリーの攻撃も効いているはずだ! 攻防力に差があろうとも極端な差はないんだ! あれだけ執拗なボディブロウを喰らえば動きが鈍ってもいいはずだ!
 レオリオは回復系の能力を使用している様子もない。なのに何故だ!? 何故あんなにもスピーディに動ける!

「これで……沈みな!」
「がぁっ!?」

 レオリオの鋭いアッパーカットが綺麗にバリーの顎を捉える……。あれは、無理だ。
 崩れ落ちるバリー。倒れてからピクリとも動こうとはしない。気絶したようだな……。

「それまで。勝者レオリオさん」
「よっしゃ!」
「お疲れ様でしたレオリオさん」
「おうよ! どうだアイシャ? オレの勇姿はよ?」
「何が勇姿だ。滅茶苦茶苦戦してたじゃねーか。オレならあんなの10秒も掛からないぜ」
「うるせーなー。最近勉強ばっかで鈍ってたんだよ!」

 ……クソッ! リィーナ=ロックベルトが代表者を適当に決めたというのは、オレ達を侮っていたわけじゃない……。余裕の表れだったというわけか。誰が出ようとも3勝することは出来るというな!
 これほど腹が立ったのも久しぶりだな。バリー! 仇は取ってやるからな!

「それでは最終戦、ではありませんでしたね」

 最終戦だと? もう勝ったつもりか。舐めるなよ。
 ここでオレが勝てば2勝2敗! そして最後にカストロという奴をロドリオットが倒すことが出来たら我々の勝利だ!
 カストロの実力は未知数だが、それでもジャンケンで決めたというリィーナ=ロックベルトの言葉を信じるなら大将に相応しくない実力の可能性もある。

 とにかく、今はオレが勝つことに集中すべきか。シングルハンターの実力と意地を見せてやる!

「副将戦。アイシャさんvsツェズゲラさん……始め!」

 おや? 何故アイシャの姿が逆さまに?
 いやこれは!? 世界全てが逆さまになっているだと? そうか! これはアイシャの念能りょ――







「それまで。勝者アイシャさん!!」

 ツェズゲラさんには申し訳ないけど勝負は早めに終わらせてもらった。
 どうやらツェズゲラさんは少し興奮していたようだし、開始と同時に虚を取って縮地で距離を詰めてからの柔を叩き込んだ。
 後は地面に叩きつけてから、念の為鳩尾に指を1つ入れ込んだ。そのせいでツェズゲラさんは泡を吹いて気絶している。

「ツェズゲラぁぁぁぁ!?」
「あ、大丈夫ですよ。そんなに深くは指を入れてないので、しばらくすれば意識も戻りますから」

 ツェズゲラさんを心配して寄ってきた皆さんに説明しておく。これで少しは安堵してくれるだろう。……何だか私を見る目に恐怖の色があるけど。信じてくれるよね?

「えっと、レオリオさん。良ければ回復してもらってもいいですか?」
「いいぜ。ツェズゲラには世話になってもいるしな」

 ああ、そう言えばツェズゲラさんから結構な大金を貰っていたんだったな。能力を勝手にバラされた代償金だから、貰っても当然だとは思うけど。

「……う、こ、ここは? わ、私はいったい……?」
「おお! 目が覚めたかツェズゲラ!」

 ほら、すぐ回復した。手加減してるよ? ホントだよ?

「私は…………そう、か。私は、負けたのか」
「ええ、アイシャさんの勝利でございます。これで私たちの3勝でございますね」
「……分かった。約束は守る。“ブック”。……No.000、“支配者の祝福”だ。受け取ってくれ」

 これが最後の指定ポケットカード……。
 ツェズゲラさんもやはりプロだな。負けを認めて素直にカードを渡してくれた。

「確かに。それではこれにて」
「ああ」

 リィーナも余計なことは言わなかった。
 すまなかった。申し訳ない。そんな慰めの言葉なんかに意味はない。
 こういう時に勝者が敗者に掛ける言葉はないんだ。

「ゴレイヌさん。良ければ私たちと行動を共にいたしませんか? その方がゴレイヌさんに支払う予定の報酬を渡す手間も省けるのですが?」

 絶対報酬なんて関係ないな。黒の書の為にゴレイヌさんを逃がさないようにする為だ。

「いや、オレはツェズゲラの仲間だからな。グリードアイランドにいる間はあんた達と一緒に行動するのは止めとくさ。グリードアイランドから出たら必ず風間流かロックベルト本社に寄るから待っていてくれ。もちろん黒の書も持っていくぜ」

「そうですか。了解いたしました。それでは皆様、ご機嫌よう。……ゴレイヌさん、必ずお越し下さいね?」
「あ、ああ。絶対に行く。絶対だ」

 大事なことだから2回言ったんですね分かります。
 これで来なかったらゴレイヌさんはリィーナに一生狙われるだろう。馬鹿な考えをしないことを祈る。



「これで全部のカードをコンプリート!」
「グリードアイランド攻略完了!」
「ひゃっはー! クリア報酬ゲットだぜー!」

 これでようやくクリアとなった! ゲンスルーさんも形は違うけど念願が叶ったようで何より。
 私の念願は叶わなかったけどね!

「ゴリラに負けたゴリラに負けたゴリラに負けた無様に負けた~」
「ああもううるっせーんだよクソ兄貴! そんなにオレが負けたのが面白いか!」
「ああめっちゃ面白かった。油断しまくりじゃん。お前の悪い癖だぜ?」
「ぐぎぎぎ……!」

 キルアがミルキにおちょくられてるな。
 だが今回はミルキの言う通りだ。勝っていた内容の勝負なのに、油断するから足元を掬われる。念能力者の戦いに絶対はないんだ。例え実力で勝っていようと、能力1つ戦い方1つでひっくり返ることはザラにある。今回はこれを反省材料にすることだ。

「さて、これで100種目です。さあ、何が起こるのでしょうか?」

 リィーナがバインダーの指定ポケットを全て埋めた。
 これでクリアになるはずだけど?

『おめでとうございます! あなたは全ての指定ポケットカードを手に入れました。つきましては、クリア報酬について説明いたしますので、城下町リーメイロまでお越し下さい』

 バインダーから声が聞こえたと思ったら、空からフクロウがカードを1枚落としていった。どうやらこのカードが招待状となっているようだ。

「どうやらこれを持つ者のみが城への入城を許可されるみたいですね」
「じゃあリィーナさんしか行けないってことか?」
「いえ、ゴンさんがお行きなさい」
「え? オレが?」
「ええ。ゴンさんのお父上がこのゲームの製作者なのでしょう? ならば他のゲームマスターもお父上のお知り合いのはず。この城で待っているのは恐らくゲームマスターでしょうから。話をしたいでしょう?」
「リィーナさん……! ありがとう!」

 いい子だリィーナ! 久しぶりに頭を撫でたくなってきたよ! 小さい頃は良く撫でて上げてたなぁ。技が上手に出来たのを褒めてあげるととっても喜んでいた。懐かしいなぁ。

「ただし、クリア報酬のカードを勝手に選んではなりませんよ? 1枚はバッテラさんに頼まれている“魔女の若返り薬”。残りの2つは私に所有権がございますから」
「お、オス!」
「ああ、アイシャさんは何か欲しい物はございませんか? 私は黒の書の捜索の為に“失し物宅配便”が欲しいのですが」
「え? 黒の書はゴレイヌさんが後から持って来てくれるのでは?」

 今さっきの話だぞ? リィーナが忘れるはずがない。それなのにどうしてそんなアイテムが必要になるんだ?

「……ゴレイヌさんが所持しているのは世界中に散らばっている黒の書の1つに過ぎないのです」
「……どゆこと?」

 え? 何それ初耳なんですけど? いや、え? だって黒の書だよね?
 私が書いた〈ブラックヒストリー〉は一冊だけだよ? なんで複数あるかのように言ってんのこの子?

「……ねえリィーナ。あんたもしかして黒の書の写本を作ったの言ってないんじゃない?」
「ああ! そうでした! 申し訳ございませんアイシャさん! 実は黒の書は私が原本を元に翻訳版を複製してしまったのです……!」

 嘘だと言ってよリィーナ!?

「しかも写本の写本も出回ってるわよ。私が聞いた話を統合すると、原本も合わせて4冊の黒の書がこの世に出回っているわね」
「リィーナ。クリア報酬は何としても“失し物宅配便”を選びなさい」
「りょ、了解いたしました!!」

 なんてことをしてくれたんだ!!
 あんなのが4冊も出回っているだって!? もう勘弁してくださいよホントに! いい加減泣くぞ! 恥も外聞もなく泣くぞ!?

「あれ? でも“失し物宅配便”って持ち主が失くした物しか宅配してくれないんでしょ? リュウショウ先生の私物はリィーナが遺産として賜ったから、原本とリィーナが作った写本は戻ってくるでしょうけど……」

 あ、あの、何でそんな不吉そうな言い方をするのかなビスケさん?

「残りの2冊の写本は他の人が作った本だから、その2冊は宅配されないんじゃないの?」

 意識が遠くなる。駄目だもうオシマイだ。グリードアイランドは魔の島だ。私の心を削ることしかしないのか?
 もういっそこの島全部吹き飛ばしてやろうか? 今の私なら1年ぐらい時間を掛けたら多分出来るぞこんちくしょう。







 私の精神を幾度となく消耗させたグリードアイランド。何はともあれ私たちはクリアすることが出来た。
 ゴンはゲームマスターの人達と色々と話をすることが出来たけど、やっぱりお父さんに関する情報を手に入れることは出来なかったらしい。
 クリア報酬の3枚を使って何かを考えていたらしいけど、自分の勝手で報酬を好きにすることは出来ないからと断念したそうだ。

 こればかりは私もリィーナにお願いすることは出来ない。
 何せリィーナはバッテラさんに代わってこのゲームの出資者になっている。
 私がグリードアイランドをプレイするのにもリィーナの力をかなり借りている。クリアにもリィーナの協力は不可欠だった。
 その上でさらに報酬までねだるわけには行かない。ごめんねゴン。

 結局クリア報酬は“魔女の若返り薬”、“失し物宅配便”、“死者への往復葉書”の3つになった。
 “魔女の若返り薬”はバッテラさんの注文。これは契約だから外すことは出来ない。
 “失し物宅配便”は黒の書の搜索の為だ。ビスケの言う通り、別の誰かが書いた黒の書の写本は宅配してくれないだろうけど、原本とリィーナ手書きの写本は手元に戻ってくるだろう。
 “死者への往復葉書”は……これは、リィーナの言うことに甘えさせてもらい私が選んだ。……これならドミニクさんは母さんと……。

 本当に死者から返事が来るのか分からない。でも、一度死んでこうして転生出来た私がいるんだ。可能性はある。
 ドミニクさんがこの葉書を余計な物と思う可能性もある。今さら死んだ人と葉書で話を出来ても慰みにしかならないのは分かっている。
 それでも、それでもこのアイテムの効果を知った時に、ドミニクさんに渡したくなったんだ。

「くっ。オレの“レインボーダイヤ”……!」
「“コネクッション”が……!」
「お前らどっちも意味ないこと分かってて言ってんだろうな?」

 全くだ。ミルキもレオリオさんも何を欲しがっているのか。それってどっちも相手の意識を操作するタイプのアイテムだよね? 誰に使おうとしてたのか。
 そもそもキルアの言う通り、クリア後に選べる3枚はリィーナに決定権があるから頼んでも無理だと思うよ。リィーナに甘えている私の言うことじゃないけど。

「安心なさい。代わりの報酬はお渡しいたしますよ」
「リィーナ先生! オレ達の報酬は幾らになりましたか!?」

 ゲンスルーさんは以前までは500億の内40%が報酬だったな。あれからさらに貢献しただろうから、上がったのか気になるんだろう。

「そうですね。スペルカードによる指定ポケットカードの偽装作戦は非常に上手く行きました。これがクリアへの一助となったのは明白でしょう。他にも細かな点で貴方達はよく動いてくれました。なので、全体の60%。300億ジェニーを今回の報酬といたしましょう」
『おおお!!』

 300億。かなりの大金だ。ゲンスルーさん達が狙っていた500億と比べると見劣りするのは仕方ないけど、本来なら報酬なんか何もないのが当たり前だったんだ。0から300億まで上がったなら十分だろう。ゲンスルーさん達も大喜びしている。

「丁度切り良く1人100億で分けることも出来るでしょう。どのように配分するかは貴方達がお決めなさい」
「オレとサブは50億ずつでいい」
「ああ、ゲンが1番貢献したんだ。50億でも貰いすぎなくらいだ」
「何言ってやがる! オレ達のしたことに関係なく取り分は等分するって決めてただろうが。きっちり3等分だ。これは譲らねぇからな!」

「何という厚い友情だ」
「ここだけ見るとプレイヤーキラーとは何だったのかと言いたくなるな」

 全くだ。この気持ちを他の人に少しでも向けることが出来たら良かったのにな。
 でも最近のゲンスルーさん達は私たちにもそういった感情を向けてくるから、大分改善されてはいるだろう。

「リィーナ先生、ありがとうございます!」
『ありがとうございます!!』

 うん。教育は順調のようだ。
 まだ数ヶ月程度しか教育してないからすぐに外に放つのは不安だけど、この様子なら数年もしたら自由が得られそうだ。何せリィーナにお礼を言う時のオーラが微動だにしていない。嘘偽りない謝礼だった。

「貴方達、これからも私に付いて精進しなさい」
『はい!!』

 あ、なんかカストロさんがあの4人を見てちょっとご機嫌斜めになってる。リィーナを取られたみたいで嫌なんだろうか?

「リィーナ殿! これからもご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします!」
「ええカストロさん。貴方が大成する日を楽しみにしておりますよ」
「ありがとうございます!」

 美しい師弟愛である。

「さて、残りの報酬ですが。残り200億をアイシャさんに――」
「――ちょっと待てや」
「流石にそれはないわよねリィーナ~?」
「……冗談でございますよ?」
『嘘だ!』

 これは誰もが嘘だと見抜くよ。絶対本気だった。きっと誰も反対しなかったらそうしてただろう。

「残りの200億は残った皆さんでお分けください。ああ、ビスケはなしで。貴方には“ブループラネット”を諦めていただいた代わりに私から別に報酬をお渡しますから」
「すっごく欲しかったんだから、奮発してよね!」
「分かっておりますよビスケ」
「ああ、私のブループラネットちゃん……!」

 宝石が好きなのは変わらないなぁ。ごめんね私の為に我慢させて。

「すいませんビスケ、私の我が儘を聞いてくれて……」
「……いいのよ。どうせ私が“ブループラネット”を欲しがっても、皆も他に欲しいアイテムがあるんだから私だけクリアアイテムを手に入れるなんて出来なかったわよ。アイシャなら角も立たないでしょうし、丁度良かったのよ……」

 その割には納得いってない顔だよ……。ごめんね。今度埋め合わせするからね。

「それじゃ残った報酬は等分か?」
「それだと端数が出るな」
「ああ、私は遠慮しよう。修行の名目で来ていたのでな。報酬は君たちが好きにするといいさ」
「カストロがいらないとなると残りは6人か」
「あ、私もいりませんよ。クリアアイテムまで貰っておいて、報酬まで貰うわけにはいきません」

 私もカストロさんと同じく報酬を辞退だ。
 というか、既に報酬を貰っている身だ。この上お金まで貰うなんて皆に悪い。

「じゃあ残りはオレ達で5等分か?」
「いいんじゃないかそれで」
「じゃあ1人40億ずつで!」
「なんか大金過ぎて金銭感覚麻痺しちゃいそうだよ」
「チョコロボ君がいくつ買えるか……」

 落ち着けキルア。お前は糖尿か何かで死ぬ気か?



 さあ、これでグリードアイランドともお別れだ。
 何だかんだで楽しいひと時だった。辛いことや悲しいことはあったけど、というか滅茶苦茶辛かったけど。
 それでも楽しいこともあった。皆と一緒に修行したりカードを集めたり遊んだり。そう思うとグリードアイランドを出るのも寂しいものだ。

 だが私は外の世界でしなくてはならないことがある。
 その為にも、ここで足踏みしているわけにはいかないんだ!
 さらばだグリードアイランド。もう来ることはないだろう。





「れ、レオリオさん。出来れば私を【高速飛行能力/ルーラ】で外の世界まで運んでくれませんか?」
「お安い御用だぜ」

 忘れてた。私は【ボス属性】のせいで外に出ることもままならなかったんだ……。
 レオリオさんが【高速飛行能力/ルーラ】を覚えていて本当に良かった!

 改めて。さらばだグリードアイランド!




 ハトの照り焼き様から頂いたイラストです。
 3つあった挿し絵を1つにまとめました。開いて少し待てば次の挿し絵が出てくるようになっています。


【挿絵表示】


 【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】と【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】を融合! 新たに【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】を召喚するぜ!

 ゴレイヌ。今回の魔改造キャラ。何故か特質系になって本作品に登場。ネタが入っているため納得出来ない方がいるかと思います。ちなみにホワイトゴレイヌとブラックゴレイヌの制約である距離20mはこのss独自の設定です。それだけの制約入れてないとあれ強すぎでしょう。


【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】
・具現化+操作+放出
 術者と念獣の位置を入れ替える能力を持つ。

〈制約〉
・術者との距離が20m以内である。

〈誓約〉
・特になし

 

【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】
・具現化+操作+放出
 他人と念獣の位置を入れ替える能力を持つ。

〈制約〉
・対象との距離が20m以内である。

〈誓約〉
・特になし

 

【賢人融合/フュージョン】
・特質系能力
 具現化した【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】と【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】に特定の動作を取らせることで二体の念獣を融合する能力。融合する事によりその能力は大幅に上がる。

〈制約〉
・二体の念獣を同時に遠隔操作し、特定の動作を行わなければならない。この時自動操作では効果を発揮しない。
・合体し、30分間経つと合体は解除される。

〈誓約〉
・特定の動作に失敗してしまうと念獣は消滅し、その後30分間は念能力が使用出来なくなる。
・合体解除後の30分間は念獣を具現化する事が出来なくなる。

 

【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】
・特質+具現化+操作+放出
 【白の賢人/ホワイトゴレイヌ】と【黒の賢人/ブラックゴレイヌ】が【賢人融合・フュージョン】によって融合する事で具現化される新たな念獣。融合したことによりその能力は融合前よりも大幅に上昇している(ぶっちゃけ身体能力は術者よりも遥かに高い)。もっとも、遠隔操作ゆえ術者の操作能力以上の動きは出来ない。
 対象の系統を操作し対象の得意系統と最も苦手な系統を入れ替える能力を持つ。効果時間は30分間となる。

〈制約〉
・使用する対象が【賢人融合・フュージョン】する場面を見ていなければならない。
・使用する対象の得意系統を宣言し言い当ててから【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】で対象に触れなければならない。
・具現化後、30分経つと合体は解除され【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は消滅する。

〈誓約〉
・得意系統を言い間違えて能力の発動条件を満たした場合、【金の賢人/ゴールデンゴレイヌ】は消滅し、術者の得意系統と最も苦手な系統が30分間入れ替わってしまう。

 ちなみに敵対した念能力者の苦手な系統は特質系。得意系統を苦手系統に入れ替えると相手が強化系になってしまう。特質系の能力は使えなくなるが、基礎戦闘能力が跳ね上がってしまう。




 没ネタ。

「これがオレのジョーカーだ! 行くぞ!」
 
 ――身体はゴリラで出来ている――

 ゴレイヌは静かに言葉を紡ぎ出した。それはまるで詠唱のようであった。誰にも理解されない賢人への想いを籠めた祝詞のようでもあった。

 ――DNAは人で、心は賢人――
 ――幾たびの森林を越えて不敗――
 ――ただの一度も敗走はなく――
 ――ただの一度も理解されない――
 ――彼の者は常に独り森の奥でゴリラに酔う――
 ――故に、その生涯に意味はなく――
 ――その体は、きっとゴリラで出来ていた――

 誰にも理解されることのなかったゴリラへの愛が詰まった詠唱が終わる。
 その時……世界が変わった。

「な、なんだ、これは!」

 キルアが驚愕する。
 いや、キルアだけではない。ゴレイヌ以外の全てが変わりゆく風景に驚愕した。
 それは清浄なる森林。人の手によって汚されていない森の聖地。
 そしてそこには、森の守護神にして優しき賢者、そう、ゴリラがいた。1匹や2匹ではない。10、20、いや、数え切れない程のゴリラが周囲を囲んでいたのだ。

「これがオレのジョーカー、【無限の賢(人)製/アンリミテッドゴリラワークス】だ。オレの力はゴリラを創る能力じゃない。無数のゴリラを内包した世界を創るのさ!!」

 意味が分からない。
 これがこの場にいるゴレイヌを除く全てのプレイヤーの気持ちだった。

「行くぞ雷小僧。電気の充電は充分か?」




 これは流石に没にしました。







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。