不器用な僕と彼女のお話


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近すぎる僕と彼女のお話です



日常の中の素直な気持ち

僕は今珍しくお洒落なコーヒーショップにいる

 

窓際に陣取り人ごみの彼女を探している

 

桜の開花宣言も出た午後の日差しはそれなりに暖かく、待ちゆく人も少し薄めの服を着ている

 

実は僕は戸惑っていた。なぜにいきなり呼び出すのか

呼び出さずとも同じ町内だというのに

 

それこそ彼女とは腐れ縁と言うやつだ

母親同士が友人で、兄弟以上に仲良く育った

 

彼女の初恋は知っている。僕の初恋も彼女は知っている

居て当たり前の存在があるなら彼女だ

 

「ひろ君、、、」いきなり目の前でよばれてびっくりした

彼女が僕の目の前に立っていた。

「え?、お、お前いつからそこにいた」

「うーん、たっぷり一分」

 

なんてこった。おいらは彼女に気付かなかった

と言うより、彼女がきちんと化粧をしたのを見たことが無かった

いや、、、彼女を美人だと思ったのはこの時がおそらく初めてだと思う

 

「お、おう。なんだね?今日はいきなりよ。わざわざ何の用事?」

 

「いや、ひろ君にはさ。とりあえずいっとこうかなあと」

「なんだよ?」

「いや、ちょっと見合いしてきてさ」

 

????はあ????

なんですか、それは?

 

無表情で彼女が続ける

「会社のさ、上司の紹介で断れなくてさ。でも、条件もいいし、優しそうだし、親もお前しだいって言うしさ。」

 

「おう、、、で、おまえはどうなのよ?」

 

「結婚したら幸せになれるかもね」

 

そう聞いた時の俺の気持ちはいったいなんだったのだろう。

当たり前に傍にいるやつが離れていく。いや、自分の半身が居なくなる。俺の記憶の中の半分が無くなる、、、

かなりの勢いで頭をフル回転させていた

そしてかわいそうなおれの頭はそれについていけなくて停止した

 

結局発した言葉は

「おまえがいいならいいなじゃね?」

 

その時の彼女の、絶望したような、あきらめたような顔

 

ふーと音にしてため息をつき、僕の目を真直ぐに見た

 

「あのさ、小学校の校舎取り壊しが決まったんだって。理科室があった校舎。」

「そうなの?」

『理科室だよ?」。

 

「、、、、」

 

「あー、もういいや。」

 

席を立った彼女は泣いているように見えた。小さい声で「うそつき」といったようだった

 

 

 

 

実家に久しぶりに戻ることにした

何かが胸にチクチク引っかかったからだ

 

関東近県だがまだ、田んぼも畑もある。あきれる位昔の街だ

 

キャベツ畑を横目に見ながら、夕焼けの街を歩くと「おう、ひろくん!今日は帰ったのか」とあちらこちらで声をかけられる

 

僕はやはりこの街が好きだと思う。

 

家に帰る前に小学校に寄ってみた

 

淡い夕陽に桜の花が照らされていた。ふわりふわりと枝を揺らし「お帰りなさい」と言われている気がした

 

外からだけ見るつもりだったが、思わず校舎に入っていた。いや、許可は取った。かぎも借りた。理科室の、、、

 

取り壊しが決まった理科室にはもう何も置いてはいない

そうでなければ、劇薬さえ保管している理科室の鍵など貸してくれはしない

西日のあたる理科室。しばらくボーとしていた。やはり何かが引っかかるのだ。

 

しかしその訳がどうしても分からない

 

諦めて帰ろうとしたとき。一人の女の子が転がり込んできた!!!

 

 

「こらこら、危ないよ」

「だって、ひろくんがいなくなっちゃたんだもん!!!!」

おや、僕と同じあだ名の子じゃないか。

 

『掃除サボったから怒ったら、いきなりいなくなったんだもん。私のせいだ!!!!」

 

女の子大号泣。いやいや、君のせいじゃないそもそも掃除をさぼったひろ君が悪い

そう言えば、僕もそんなことがあったな。彼女が烈火のごとく怒った事があった。

あれは僕が掃除をさぼって、、えーとそれから、、、

 

女の子はまだ泣いている。僕は「もう遅いから一緒に帰ろうか?大丈夫僕はここの卒業生だし町の人も僕を知っているから」

 

女の子は少し怪訝な顔をしたが信用してくれたようだ

 

キャベツ畑の間を歩いていると、意外に彼女の家は僕の家の近くの様だった

最近越してきたの?」

 

「ううん、生まれた時から」

 

はて、この年代の子供が近くにいただろうか?

改めて女の子を見てみると、服装の年代が少し違う。

 

しかも、女の子彼女に似ている。と言うより小学生の時の彼女、、、、

 

まさかそんなわけはない。いくらなんだって、、と思いながらも

 

「ひろ君も、ここいらの子なの?」

「うん、あの角曲がって、大きな樹があるおうち」

 

ごめん、それ、僕のうち、、、

 

「君,ひろ君のお友達なんだ」

「うん、お友達と言うより、、、大好き」

ええと、、ちょっと待て。

この子が彼女でこの子のお友達のひろ君が僕なら、彼女は僕が好きだと?

そういう事か?いや、待て待て、、、俺のかわいそうな頭はまた思考停止した

 

僕は二つ質問した。

 

「君は松本綾乃ちゃん?」

「うん、そうだよ」

「ひろ君は山口博人君?」

「うん、そうだよ」

 

僕は夢でも見ているのか。

小学生の彼女が僕の目の前にいて僕を大好きだと言った

 

小さい時からチクチクと胸に引っかかっていた感情はこれだったのか

当たり前すぎて気づかなかった恋心。

 

しかし、もう遅いのかもしれない

 

僕はつぶやくように言った

「ひろ君が大人になってお嫁さんになってと言ったらどうする?」

女の子は夕陽より顔を赤くしてきっぱりいった

「そんなの、うんって言うに決まってる」

 

僕はあまりにも潔いその返事に感動した。

 

彼女の家と僕の家を分ける三差路で僕は女の子を見送った

夕焼けの中走り出した女の子は夕焼けの中消えて代わりに彼女が現れた

 

 

「ひろ君、帰ってたの?」

「おお、ちょっとな」

「なによ、どうしたのよ」

「今な,学校いってきた」

「ああ、そうなんだ」

「理科室も行ってきた」

「へえ、、、」

「おまえ、掃除の時間僕がさぼった時、泣きながら全教室探し回ったってな」

「何昔の話してるのよ」

「でも、お前理科室で誰かに合ってない?」

「えっ、、その話は、、誰にもしてないんだけどな」

 

「松本綾乃さん。結婚してと言ったらうんと言ってくれますか?」

 

彼女は目に涙を一杯にした

 

「そんなの、うんと言うに決まってる」

 

 




少しだけ不思議なお話です
けれど、そこいらにもいるヘタレ君のお話でもあります

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