駄文ですし、至らぬところも多いですがよからったら読んでいってくださいまし。
とある喫茶店で ~抜刀~
目を開ければそこは自分の経営していた喫茶店で、春の暖かな日差しが差し込み決して広いとは言えない店内をなんとも眠気を誘うまどろんだ空間へと変えていた。
広いとは言えないとは思ったが26歳になったばかりの自分には持て余してしまうほど十分過ぎる空間で、とても大切な思いが詰まっていて…
最初はこの場所を投資だよと笑ってただ同然の値段で貸してくれた地主のおばさんから始まって、それこそおいしいとは思えない普通のコーヒーを飲みに来てくれる常連さんがきてくれるようになって、告白の瞬間がこの場所になったなんてこともあって、自分が倒れる瞬間までここは何よりも代え難い大切な場所だった。
そう、俺は倒れたのだ。
もとより生まれつき身体は病弱で、だからこそ自分の身の丈にあった、けれど自分のやりたいことをするために喫茶店を始めたのだ。
今いるこの空間と同じ雰囲気だった春先のあの日、倒れた俺がこの場所に帰ってこれた記憶は残念ながら持ち合わせていない。
記憶にあるのは騒がしい救急車の中と嫌に眩しかったどこかの照明の明かりだけだ。
だから、思考して自問してここが死後の世界であるという推測が胸にすとん、と落ち着いた。
「ようやく目を覚ましたかい?おはよう」
思考によって消えかけていた眠気はその透き通った男性の声でどこかえ飛んでいってしまい、驚きと得体の知れない恥ずかしさで慌てた俺は座っていたイスから飛び起きるとレジの台の角に小指を打ち付けたまらず苦悶の表情を浮かべる。
そんな俺の滑稽な行動を見ながらも彼は落ち着きを払って俺をなだめてくれた。
改めて観察してみれば、美男子の一言に尽きるような男性である。
顔立ちは少し童顔な自分よりも大人びた雰囲気の顔立ちで、身長は170センチの自身よりも頭一つでたほどの大きさ。日本人らしい自分の同じ黒髪で、これまた体つきは自分と似た感じに少し華奢で着ているスーツがよく似合っていた。
彼に促され、正面に向かい合うように席につく。それとともに疑問のたまった自身の口は勝手に動く。
「俺は死んだんですよね?」
初対面の人に、いや初対面ではなくても普通はこんな質問すれば精神を疑われるだろう。
でも、彼には本題としてこの質問をいうべきだと本能的に判断した。
彼は俺の質問に満足げに頷くと言葉を紡ぐ。
「あぁ、君は死んでしまったよ。生まれつき身体が弱かった君はついに病魔に適わなかった。平凡に生き、平凡に学業を修め、平凡にお店を開き、そして平凡に死んでいった。」
「でも、俺にはその平凡がたまらなく幸せでした。だから、未練が無いとは言えませんが後悔はありません」
再度、彼は満足げに頷くと手元のコーヒーを美味しそうに口にした。
「俺はこれからどうなるんですかね?」
「すまないけど、僕はそれには答えられないんだ。僕の役目は見守ることだから本来はこういう会話もしてはいけないんだけどね」
バレなきゃ大丈夫だよ、なんて笑う彼に俺はそうですかとしか返せなくて。
「心配なんてしなくて大丈夫だよ。僕の仕事は見守り、記録し、そして君を導くことだ。導くのならなぜ今教えてくれないんだとは思うかもしれないけど、今は妥協してほしい」
「妥協しようと、しなかろうと、俺には今のところ行動の選択肢なんてものはありませんから」
「そうだね、まず言えることは今から来る人が今後のことを話してくれるから君は君のやりたいようにやりなさい。それじゃあね」
そういって彼は裏口へと足を運ぶ。
そういえばと思い、彼を止めようとして
「貴方の名前をーー」
教えてください、という言葉は玄関の扉蹴りあけるうるさい音にかき消されてしまった。
入ってきたのは一言で言えばチャラい。ホストのような白に染めた華美な格好にサングラス。
ぶっちゃけなくても典型的に嫌いなタイプだ。
「ふーん、へー。今回の転生者はお前かー。まさに病弱ですといわんばかりの弱々しい身体してんなー」
品定めするようなサングラス越しでも分かる鋭い視線。
ひょうひょうとしていて刺々しい口調。
やはりだいっきらいなタイプである。
「転生、とはあのよくある神様が輪廻転生であらたな人生をさせてくれるというあれですか?」
「そうそうそれそれ、この会話もテンプレだけどその神様が俺なの。わかる?俺、神様なのよ。敬えよ、凡人」
神様はにへらと嫌らしい笑みを浮かべると俺の額を小突く。
「しかも、普通の転生なんかじゃなくて望んだ世界に行けるという当たり券でありながらべったべたなテンプレだ。ほら、どこ行きたいよ」
唐突に何処に行きたいかと問われても困る。内心、喜びがないかと聞かれたら否定はできないが。
かといって、思いつきで決めるべきことでもない。
「刀語の世界に行きたい。助けたい人たちがいる。変えていい話しかといえばあの物語はそういう類の物ではないこともまたわかっている。それでも機会が与えられるなら、俺はもしもの結末を見てみたい」
それに対して神様は遠慮することなく笑い声をあげた。
「あぁ、小説なんて文字の羅列は見てねえが、アニメなら見たわ。
あの最終話で死ぬ手前に話しがアホみたいに長かった女だろ?奇策士だったっけかな?確かに女としてはよさそうだもんなー」
「俺はそういう目的でじゃないよ。神様もそういうこと考えるんだな。見た目通りすぎて残念だよ」
こめかみをひきつらせる神様。
「生意気な口叩くじゃねえか。まぁ、転生者なんて所詮は神の間のお遊びみたいなもんだ。お前がどうなろうと、俺らを楽しませてくれればそれでいい」
「さいですか」
呆れたように返事をすれば、神様は再度ほれほれと、うざったい仕草をかましてくる。
いい加減ぶん殴ってもいいだろうか…
殴りたくなる衝動を抑えてその仕草の意味を促す。
「これもまたまたテンプレだが、転生には特典が付き物だ。二つだけならくれてやる」
その問いの答えはすでに決めていた為、即答する。
「一つは一芸に秀でれるための身体、もう一つは何よりも『速さ』が欲しい」
「何だ、ひねりがねえな。吸血鬼の能力が欲しいとか、人類最強を襲名したいとかそんなのはねえのか?」
「いらない。俺には速さがあれば十分だから」
「つまんね、これじゃ早死に確定だな」
神様はつまらなそうにあくびを一つして、指ぱっちんを二回。
「そんじゃ、せいぜい楽しませてくれ。どうせお前は失敗するんだ。無駄にあがいて、できるだけ長生きしてくれよ」
「イヤだね、お前なんかの期待になんか答えてやるかクソ野郎」
「そうかいそうかい、ならお前が中途半端に失敗したら奇策士ちゃんは俺がもらっていこう。何もできないお前の目の前でってのはそそりそうだ」
「そんなことはさせねえよ。なんとしてもやり抜くし、お前みたいなダメな神様には灸をすえてやるよ」
かすかににらみを聞かせると、怖いなぁとおどけたように笑みを浮かべる。
「んじゃあ、最期に転生後の生まれ場所だ。どこがいいかはお前が
願っていればいい。もちろん、誤字にあらずだ」
「理解はした、だが誤字にあらずってどういう意味だよ」
「そりゃ言葉の綾だ。さぁ、逝ってこい。これもまた、誤字にあらずだぜ?」
は、だからお前は何を言ってるんだと聞こうとしたときにはすでに首元に迫る鉄の板。それが刀であることを認識したと同時に俺は意識を手放した。
ごとりという首が落ちる音はせず、喫茶店の店内は赤に染まることもない。
青年は姿を消して、神様だけがそこに残った。
「あー…、さてどうやって突き落としてやろうかな」
道化のような神様の笑顔は、空に浮かぶ三日月のようにひどく歪んでいるように見えた。
改めまして、ナタDeココと申します。
ここでは今までは読み手でしたが思い切って執筆をしてみることに致しました。
この話しは自身の妄想であり、理想であり、自己満足である、そんなお話です。
一番はこの導入に手こずっておりました←
これからはスムーズに更新していけると思いますので遅くても週1更新で行こうと思います。
原作にもはいっていない導入ですが、これからもよかったら読んでください。
目を通していただきありがとうございました。