キャラが濃いのもいるため果てしなくカオスでございます。
佐伯湾泊地でのとある1日。
私は起床し、いつもの部屋に戻る。
ドアをノックし返事がなかったのでそのまま声をかけながら入った。
「こんごーう。・・・あれ?金剛がいないなんて珍しいな。」
いつもならドアを開けた瞬間に秘書艦の金剛が飛び込んでくるのに。
たまにはそんな日があってもいいか。
そう思いながら机の方に向かおうとしたとき、突然床がせりあがった。
「床の下からこんにちはー!ゴーヤだよ!」
「床の下からこんにちはデース!金剛デース!」
気付けば床の一部がめくられ、金剛とゴーヤが顔を出してきた。
「お前たちはいきなりなんだ(笑)この床タイル製だぞ。」
「そんなことは関係ないでち。とりあえず朝ごはん用意するでち。」
なんでそんなに偉そうなんだ。
「今日はアイツからオリョクルしなくていい日をもらったでち。
だから偉いでち。」
二つの文がつながっていない。
まああの提督の子だし仕方ないのか。
・・・金剛とのプロポーズも終わったことだし早くケッコン式をしたいどころだが、戦いも近い。
そんなことを上官が許してくれるわけもない。
それでは可哀そうだと、ほかの鎮守府の提督方が自分の秘書艦たちを送ってお祝いしてくれる日を用意してくれた。
提督自身は当然忙しいから仕方ないか。
ということで、それが今日なわけである。
完全に頭から抜けていた。
この金剛と一緒にいる伊58も、どりるん提督のいわゆる嫁艦である。
・・・どうしてこうなった。
「とりあえず間宮に行こうか。」
二人は私に続いて、というか私を抜かして間宮に向かっていった。
「今日は仕事できそうにないな。」
間宮に着くと、間宮さんがいつものように朝ごはんを作っていた。
その横で今日は、見覚えのない子が手伝っていた。
「あ、提督さん。お邪魔してます。」
こちらの存在に気付くと厨房から早足ででてきた。
そして誰とは言わないが、比較したくなるほど頭を下げ礼儀正しい挨拶をかけてきた。
時雨改五提督のところから来た時雨である。
「金剛さんとケッコンすると聞いて私を送ってくださいました。実は今私は提督の秘書艦ではないのですが・・・。
提督はなぜか雪風を秘書艦に選んだみたいでね。・・・あ、これは関係なかったですね。」
おい、なにがあったんだ。という言葉は内に秘めておいた。
「すいません、まだ準備があるので失礼します。またあとでご挨拶行かせていただきますね。」
そう言って時雨はまたペコッと頭を下げ厨房に戻っていった。
なんだかんだできた子だなぁ。
ふと後ろの金剛とゴーヤを見た。
「なにか顔についてるでちか?」
「提督なにかあったデスカー?」
・・・。かわいいは正義。
自分の中で納得するしかなかった私はせっかく頑張ってくれてる時雨にも悪いので、
料理ができるのを座って待つことにした。
あととりあえず・・・。
「金剛!ゴーヤ!もう床から出てきても驚かないからタイルめくるのはやめなさい!(笑)」
朝食も終わり、金剛とゴーヤから解放されるために振り切った後、中庭にでた。
もうすぐ大きな戦いが待ってるというのに空は澄み切って雲一つない。
そんな中、茂った中庭に小さくもそこら中を跳ね回る影が・・・。
前を見ると誰もいなかった。
と思っていたその時。
「隙あり!ぷっぷくぷー!」
突然ヒザカックンされる私。
崩れた姿勢を直すとそこには卯月がいた。
「ひっかかったー!よいしょっと、・・・卯月やりましたっ!びしっ!」
この少しイタズラなところがある卯月は、どうやらくろづき提督のところから送られてきたらしい。
とりあえずダメなことはダメだと教えてあげないと。
「卯月、初対面の人にそんなことしたらダメだよ。」
そう少し叱りを入れると、卯月は腕で目を覆い泣き始めてしまった。
「え?・・・ひっく。しれいかぁ~ん、ごめんなさ~い・・・。」
泣かせてしまった。
なにか申し訳ないことしてしまったかな。
「いや、反省してくれたらいいからね?怒ってないからね?」
「・・ホント?」
わかってくれるならそれでいい。
と思っていた時、「なぁ~んてうっそぴょーん!あははは~!」
・・・なんなんだこのこの子。
「司令官が遊びに行って来いって言ってたから卯月は悪くないぴょ~ん!」
あの提督は祝う気があるのか。
ここでも体が休まる気がしない。
ひとまず卯月を同じ駆逐艦である時雨がいた間宮の方に案内し、結局金剛たちを探すことになる私であった。
中庭から戻った私は、廊下にて榛名と談笑していた金剛を見つけた。
「提督ぅー!どこいってたんですカー!榛名も来てくれましたー!私の自慢の妹デース!」
「あなたがお姉さまの提督なのですね。今日はお世話になります。」
榛名は聞くところによると、今まで様々な鎮守府に着任してきたらしい。
なので、どこから来たという表現では言いにくい。
それでも姉である金剛がプロポーズを受けたと聞いて飛んできたみたいだ。
「榛名も大変みたいだな。」
「榛名は頑張り屋さんですからネー!私はちゃんと見てマース!」
「いえいえ。榛名は大丈夫です。
そんな評価を頂けるなんて、榛名には、勿体無いです。」
なんだかんだ金剛もお姉さんしてたんだなと実感が沸いた。
そういえば58の姿が見当たらない。
「ゴーヤならいつのまにかいなくなっていたデース!」
「胸張って言うことじゃないんだけど。」
少し心配ではあるが、気にしても仕方ない。
「あ、それではほかの方たちにも挨拶したいので私はこれで。」
榛名は思い出したかのようにそう言って廊下を静かに歩いて行った。
気付けば日も落ち始め、時間の流れの早さを感じる。
金剛とイチャイチャしてたらあっという間だなぁ。
・・・比叡の前では言えないな。
そういえば周りが静かになったのは気のせいか。
そう思いつつもお腹がすいてきた。
腹の虫にはやはり勝てないようだ。
私は金剛を連れて再び間宮に向かおうと廊下を歩いた。
するとその途中で天井の板を突き破った逆さ吊りのゴーヤが現れた!
・・・ドラ○エのような戦いが起こるわけではないが、ゴーヤは私たちをなぜか通そうとしない。
「ここから先はいかせないでち。」
「なんで!?お腹すいたんだけど!」
「ダメでち。ゴーヤが言ってるんだからダメなんでち。」
なんだこの理不尽な返しは。
どんな教育をしているのか疑問である。
とりあえず私の指示により金剛は天井かゴーヤを引き摺り下ろす。
「提督のお願いだからネー!ゴーヤ、覚悟するデース!」
そのままゴーヤは床に頭を打ち、頭を押さえる。
「痛いの痛いの、飛んでかないよぉー!」
そんなゴーヤの頭に手をポンッと置き、持っていた飴をゴーヤの口に放り込んだ。
そのまま間宮の前まで行くと、常時開放中のドアが閉まっていた。
そのドアを無理やり金剛に開けさせてもいいのだが、どうしようか。
・・・直すの私だからなぁ。
悩んでいると、静かにドアが開いた。
「あ、提督さん。勝手に閉めてしまってすいません。もういいですよ。」
時雨の招き入れに応じると、私たちの目の前に見えたのは『うとでめおンコッケんさうごんこ、んかいれし』
と書かれた幕と豪華な料理の数々だった。
「なんだこれは?」
「他の鎮守府から来た私たちだけでお二人を祝う予定だったんですが、どこからか聞かれちゃったみたいでこの鎮守府の方々もお祝いしたいと。」
静かに近づいてきた榛名が申し訳なさそうに言った。
「この準備がありましたので。お姉さまとお話もしたかったのですけど。」
金剛も知らなかったようだ。
幕の向こうで跳ねまくっている卯月も自慢げな顔でこちらに向かってきた。
「あの幕は卯月と時雨、あと司令かんのところの第六駆逐隊のみんなで書いたんだぴょん!」
うちの駆逐艦たちも頑張ってくれていたんだな。
グッとくるものがある。
料理を運びながら間宮さんも、「後は妙高型のみなさんもお手伝いくださいました。
『私たちの練度を上げるために睡眠時間を削ってまで頑張ってくださいましたから』とおっしゃっていましたよ。」
確かによく見るとカツの山盛りが置いてある。
こんなの作るの1人しかいないしな。
「あれ、そういえばゴーヤはどうしました?」
時雨が私尋ねた時、ゴーヤも食堂に入ってきた。
「時間稼ぎの役なんてもう散々でち。」
「お疲れ様。そこまでしなくてもよかったんだけどね。」
ちょっとご機嫌ナナメなゴーヤを時雨が慰める。
不思議な光景だが微笑ましいものである。
そんなこんなで、私たちのケッコンのプチお祝い会が始まった。
うちの鎮守府にいるみんなも呼び寄せ、宴会状態だ。
卯月が駆逐艦たちと騒ぎまわり、榛名の煽てもあって金剛のテンションも振り切れている。
時雨は変わらず空いたお皿を片付けたりと忙しそうだ。
ゴーヤはほかの伊号潜水艦のみんなと話していた。
内容は聞いていないが愚痴ではないことを祈ろう。
日も完全に落ち、この小さい宴も終わろうとしていた。
重巡や戦艦たちにはお酒も入り、出来上がりつつある。
そんな時、「金剛とケッコンするんでしょー?みんなもいるんだしチューとかしないのー?」
と足柄が煽ってきた。
「何言ってるんだ。お前飲みすぎだぞ。」
だが、その一言で周りの空気はそれ一色になってしまった。
・・・これ、しないと終わらないやつ・・・。
見れば、金剛もお酒が入って若干その気になっている。
「ていとくー、みんなも待ってマース。はやくするデース!」
そう言って金剛は小さく作られた舞台の上に立ち、目をつむって待っている。
周りからは期待の眼差し。
・・・仕方ない。腹をくくるか。
私も舞台に立ち、向かい合って金剛の両肩に手を当てる。
初めてではないとはいえ恥ずかしい。
私も意を決して目をつむり唇を近づける。
その時舞台のはるか向こうからロケット花火が大量に飛んできた。
それに気づき、私と金剛は距離を取って暴れまわるそれを躱し、キスどころではなかった。
食堂中に花火が飛び回り、料理はもちろんのこと、全員の酔いが覚めるほどだった。
「あぁー、やっちまったー!最後の盛り上がりだったのにタイミングしくったぁー!」
そう言うのはギル提督から送られてきた天龍であった。
「天龍さん、段取りが違うじゃないですか。もう少しで提督とお姉さまが結ばれるところでしたのに。」
なぜか榛名は少しがっかりしているようだ。
そういうのに敏感なお年頃なのかもしれない。
気付けば舞台の上から見た食堂は、メチャクチャになっていた。
その状況のせいかしばらく沈黙が続いたが、こらえきれなかったみたいで横でプスッと金剛が笑った。
それをきっかけに緊張がとけたようにみんなも笑い出した。
メチャクチャなお祝いにはなったけど、ある意味うちの鎮守府らしいのかもしれない。
そんな騒がしい景色を見ながら結局夜通しで騒ぎ合う1日となり、今となっては忘れられないものとなった。
・・・「ほらていとくー。これもう2年前みたいデース!あっという間デース。またみんなとも会いたいデース!」
あれから2年後、そんな話を今でもしてくる金剛の体にはもう艤装は存在せず、左手の薬指にだけ光り輝くシルバーリングがはめられている。