ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回はサブタイで分かる人もいるかもしれませんが、とある漫画の設定をお借りして、海未ちゃんに犠牲となってもらいました!(笑)


海未ちゃんのギリギリアウト(前編)

 

 

 本当の災難というのは、何の前触れもなく突然やってくるもので――――

 

 

「どうして縛られているんですか!!」

「う~ん、最近忙しくてイライラしてたから……かな?」

「私が聞いているのです!!」

 

 

 今のこの状況、一体何が起こっているのかを簡潔に説明しましょう。

 私、園田海未はいつの間にか誰かに眠らされ、気付いたら秋葉さんの研究室に囚われの身となっていました。以上です。

 

 

「道端で突然意識を失わせて密室に監禁するだなんて、ただの犯罪者ですよ」

「マッドサイエンティストは自らの手を汚しまくるものなんだよ。そんなことより、ほら」

「な、なんですかその緑の液体が入った怪しげな小瓶は……!!」

 

 

 もう暴走する零や秋葉さんには何度も関わっているので、認めてしまうのは不服ですがこの状況にも段々慣れてきています。だから彼女の持っている謎の液体が、また私の人生の汚点を造り上げる魔の薬物だということも分かっている訳でありまして……。

 

 

「だって海未ちゃん、まだ零君に対して素直になれないんでしょ?だけど大丈夫、このおクスリを使えば簡単にお近づきになれるから!」

「またですか!?以前も勝手に薬を盛られて、そのせいでヒドイ目にあったんですからね!!」

「うん知ってるよ、私が仕組んだんだし。でも今回は勝手に発情することはないから大丈夫だって!自然な形で零君にお近づきになれるから」

 

 

 零は言っていました。『仲間を信じろ、そしてその仲間が信じる仲間も信じろ。信じる力は絆を生む』と。しかし、こうも言っていました。『秋葉だけは信じるな』と。その言葉が今物凄く脳内でリピートされています。以前妙な薬を盛られて、胸が大きくなったのと同時に感度が数百倍に上がる恐怖を体験しました。今まさにその恐怖が蘇ってくるのが分かるのです!!早く……早く逃げないとまたしても!!

 

 しかしどれだけ動いても縄は解けるどころか縛りが弱まる素振りすら見せません。もう何回も人を実験台として縛って監禁しているので、彼女の束縛スキルは並大抵ではないのでしょう。

 

 

「縛られてるのに、この密室の研究室から逃げられる訳ないでしょ?フフフ……」

「あ、悪魔がいます……」

「私が楽しめるならそれでいいんだよ♪それに欲望が溢れ出ないと、こんなおクスリなんて作れないでしょ」

「もはや人間じゃないですね、秋葉さん……本当の悪魔です!!」

「悪魔?このおクスリは海未ちゃんの恋を大きく促進させてくれるものなんだよ?たまには零君といちゃらぶエッチしてみたいでしょ?」

「い、いちゃらぶはしてみたいですが……そ、そのあとの行為はまだ早いです!!」

「全く、私に対しても素直じゃないんだから……。まぁ、それもこれもこのおクスリがあればぜ~んぶ解決できるけどね♪」

 

 

 私への手助けなど、恐らく私で遊ぶための口実でしかないしょう。あの憎たらしい笑顔を見れば分かります。零や楓の黒い笑顔も大概ですが、私はこれほどの悪魔の笑顔を見たことはありません。

 

 しかし、危険だと察知していながらも逃げられないのが事実。縛られているから逃走は不可能、手も満足に動かせないので携帯にも触れられない、そして研究室は防音完備で大声も届かず――――完璧な監禁に一周回って関心してしまいそうですよ……。

 

 

「さぁて、最近仕事や実験が忙しかった恨みも込めて、海未ちゃんにこのおクスリを使ってみよう!」

「そんな子供の好奇心みたいに……それにやっぱりそっちが本心なんじゃないですか!!」

「まぁまぁそうカリカリしなさんな。これを機会にたっぷりと零君に甘えられるようになるから。もちろん自然にね♪」

「そ、そんな真っ黒な笑顔で近付かないでください!!」

「ん~?フフッ、悪魔はね、イタズラが大好きなんだ♪」

「い、い……イヤァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 そこで、私の意識は再び途切れた。

 途切れた意識の中で何があったのか……いや、知りたくないです。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 結局、私が目覚めたのは翌日の朝でした。

 しかし妙なのは、私の身体に一切の変化がないことです。この前のように胸が大きくなっていたり、感度が上昇していたりなどという症状が一切ありません。もしかして秋葉さんに監禁される夢でも見ていたかのようですが、あれは間違いなく現実の恐怖に間違いないです。それにあの人のことなので、まだ全然油断もできませんね。

 

 

 そして現在、私は穂乃果とことりと一緒に登校中です。そこでも特に違和感を感じることはなく、彼女たちと普段通りの会話をしている間に、秋葉さんとの一件などもう忘れ去られようとしていました。私の心に一抹の不安を残しつつも、徐々に安心の色が滲み出てきています。

 

 

 しかし、いつもの日常に戻った私に再び不安が実ったのは、穂乃果とことりと談笑しながらしばらく歩いているその途中でした。

 

 

「海未ちゃんどうしたの?歩くのちょっと遅くない?」

「そ、そうですか?穂乃果が浮き足立っているだけなのでは?」

「む~どうしていきなり馬鹿にされてるのかな!?そりゃあ冬休みが終わって零君に会えるんだから、嬉しくはあるけどね」

「ことりも零くんに会うのが楽しみすぎて、昨日は全然眠れなかったよ。零くんの声が聞きたくて、毎晩ずっと出てくれるまで電話を掛けてたくらいだしね♪」

「零君寒がりだから全然家から出てくれないもんね~困っちゃうよ!」

 

 

 ことりの異常な行動にツッコミを入れるのも忘れるくらいに、私の身体に変化が起きていたのです。さっきから……さっきからずっと――――――

 

 

 

 

 ト……トイレに行きたいです!!

 

 

 

 

 あまりこんなことは言いたくないのですが、さっき突然尿意が襲いかかってきました。もちろん我慢してはいるのですが、何故か膀胱が活発に仕事をしているのが手に取るように分かります。そのせいで我慢しようとも我慢しきれない、尿が今にも出そうな感覚に陥っているのです!!

 

 もう私は穂乃果とことりの会話など耳に入って来ず、周りの景色でさえも目に入らなくなっていました。もう脳内はどうやってこの尿意を抑えるか、その方法を探るためだけにしか働いていません。

 

 うぅ……でも迫り来る尿意のせいで、考えても考えてもいい策は思いつきません!こ、このままでは本当に漏らしてしまいます!!

 

 私は脚を内股に寄せ、もし漏らした際に少しでも被害を軽減できるように対策をしますが、果たしてこれが有効なのかは分からないです。1月だというのに汗もかき、私はいつの間にか手をスカートの上から股に当てていました。苦肉ですが、もうこれくらいしかやれることはありません!!

 

 

「海未ちゃん!」

「ひゃっ!!な、なんですか!?」

「さっきの穂乃果の話、ちゃんと聞いてた?」

「へ?あ、あぁちょっと考え事をしてたもので……すみません」

「も~!冬休みは勉強ばかりだったから、今日の放課後くらいは気分転換に遊びに行こうって話だよ」

「い、いいんじゃないでしょうか。私は別に構いませんよ……う、うぅ」

「ことりちゃん、まさか海未ちゃんがこんなにあっさり同意してくれるなんて……別人かな?」

「確かに意外だけど、海未ちゃんも勉強の煮詰めすぎで疲れてるんじゃないかな?」

 

 

 話にうつつを抜かして気を抜いてしまうと、その瞬間に漏らしてしまいそうで怖いのです!いっそのこと建物の陰に入ってやってしまっても――――い、いけません!私はなんてはしたないことを……。幸いにも学院へ行く途中にコンビニがありますから、そこで済ませられれば私の勝利です!そこに辿り着くまでは死に物狂いで持ちこたえなければ!!

 

 

「海未ちゃ~ん!元気がないんだったら穂乃果が元気付けてあげるよ♪それっ!」

「~~~~~~~~~~~~ッ!!!!」

 

 

 突然穂乃果が後ろから抱きついてきたことで、私の膀胱に衝撃が……衝撃がぁ~~……。

 さっきまで一定の位置をキープしていた尿意メーターが、穂乃果のせいで一気に決壊に近付いてます!!漏らす……耐えてください、私!!

 

 

「や、あぁ……ほ、穂乃果ぁ~……」

「おっ?海未ちゃんからそんな色っぽい声が出るなんて珍しいですなぁ~」

「穂乃果ちゃん、危ないおじさんみたいだよ……」

「ぐへへ、お姉ちゃんいいカラダしてますなぁ~」

「う、はぁ、んんっ……」

 

 

 あぁ~もう穂乃果ぁ~~!!そんなに身体を揺らされたら我慢するしない以前に、もう勝手に漏らしてしまいそう……。

 

 

「海未ちゃんのその蕩けそうな顔……もしかして、穂乃果ちゃんに抱きつかれて興奮しちゃってたり??」

「そ、そんな訳ないじゃないですか!!」

「もう、穂乃果たちには零君がいるんだよ?流石に百合は許してくれないと思うけど……」

「違います!!そんなのじゃありませんから!!」

 

 

 あっ、ダメです……大声を出せば出すほど膀胱に力が入って尿意が……。んっ、あぁ……登校前にしっかりトイレに行ってきたはずなのに、どうして急にこんなこと……。

 

 そしてふと、私は1人の女性の顔が頭に浮かびました。それはもちろんあの悪魔、秋葉さんの憎たらしい笑顔です。昨日私が彼女に捕まって意識を失う前、何やら妙な薬を投与された記憶があるんですよね。もしかしたらそれが原因?この猛烈な尿意は秋葉さんの薬の魔力によるものなのではと、勝手に推測します。

 

 ですが、秋葉さんはこう言っていました。『これを機会にたっぷりと零君に甘えられるようになるから』と。この尿意の暴走と、零に甘えられるのは一体どのような関係が?完全に気休めのため零を引き合いに出してきたとしか思えません!!もう絶対に信じないです、あの人の言葉だけは……。

 

 

 しかし、絶望の淵に立たされていた私に、遂に転機が!

 

 

「あっ、あそこのコンビニでパン買ってくるよ!」

「穂乃果ちゃん、年末年始に食べ過ぎたから今はダイエット中だって言ってたよね?」

「そ、そうだったぁ~……」

「コンビニ……コンビニ……コンビニ!?!?」

「うわっ!もう海未ちゃん急に叫ばないでよ!」

 

 

 ようやくトイレにありつくことができそうです。ですがここで安堵してはいけません。トイレの中に入って便座に腰を掛けるまでは……一瞬でも気を抜けば、私の膀胱ダムは速攻で決壊して、道端に黄金の滝が流れ出すことに――――って、何を言っているんですか私は。こんな破廉恥な表現をするなんて、まるで零みたいです……。あまりの尿意に私の思考回路がおかしくなっているだけでしょう。絶対にそうです。

 

 

「ちょっと私はコンビニに用事があるので、穂乃果とことりはここで待っていてください。ここから動いてはいけませんよ?分かりましたね!?」

「そんなに念を押さなくても……小学生じゃないんだから」

「でも海未ちゃんが登校中にコンビニに行くなんて珍しいね」

「へ?あ、あぁ、それは飲み物を忘れてきたので買いに行きたかったのですはい……」

「ふ~ん、忘れ物をするのも珍しいよね」

「そ、そうなんですよ!今朝は結構ドタバタしていて……とにかく、すぐに戻ってきますのでここで待っていてください!」

「う、うん……」

 

 

 私は2人を強引にこの場に待機させ、足早にコンビニへと向かいました。もし2人がコンビニについてきてしまった場合、すぐトイレに駆け込んだら今まで私がずっとトイレを我慢していたことがバレてしまいますからね。例え幼馴染であっても、それは流石に恥ずかしいですから。

 

 

 そして私はコンビニに突入すると、商品棚の間をそそくさと抜けトイレへと向かいます。

 あと数十秒、数秒。もうすぐでこの1人我慢大会から解放される時が来るのです。しかしさっきも言った通り気を抜いてはいけません。もしかしたら誰か他の人がトイレに入っている可能性も考慮して、まだ精神は研ぎ澄ませておいた方いいですから。

 

 もう少し……あともうちょっとでトイレの前です。誰も入っていないことを祈りながら、私は一歩一歩トイレへ歩を進めていきます。

 

 

「あ……」

 

 

 遂にトイレの前へと辿り着きドアの鍵を見てみると、どうやら鍵は空いているみたいです。

 ようやく私が尿意の恐怖から解放される時が来たのですね!尿意を感じ始めてからここまでまだたった十数分程度なのですが、今の私のとっては長年連絡が取れなかった友達に出会えたような、トイレに対してそんな喜びを感じてしまいます。

 

 さあ、私を天国に連れて行ってください。このドアこそが天国への入口。早く私に至高の快楽を――――――ん?あ、あれ……?

 

 

 

 

 ど、ドアが……開かない?

 

 

 

 

 一体どうなっているのです!?鍵は空いているのに、ドアは開かないなんて……!!

 

 

 するとここで、初めて私はトイレのドアに貼ってあった張り紙を見つけました。その張り紙には、無慈悲にも私を絶望させる文章が――――――

 

 

『トイレの鍵が故障中で、現在ご使用いただけません。不便をお掛けします。 店長』

 

 

 喜びも、安心も、天国も、その全てが私の中で崩れ去っていきます。そして同時に私の膀胱のダムも崩れ去りそうになり、私は思わずスカートの上から下半身を押さえ込みました。

 

 そ、そんなことって……どうして今日は私に不幸ばかり舞い降りるのでしょう!?そこまでして人の期待を打ち砕くのが楽しいのですか神様ァアあああああああああああああああああああ!!

 

 

 あっ……トイレに行けないと分かった瞬間に、再び膀胱が活発に仕事をし始めて――――!!不安と絶望が襲いかかってくることで、今まで以上に尿意メーターの進行が早く、このままでは店内に漏らしてしまいそう……せめて外に出ないと!でももう脚を動かすだけでダムが決壊してしまいそうなこの状況、コンビニの外へ出ることができるのかすらも危ういです!!

 

 

 

 

 あっ、また猛烈に尿意が……!!

 

 

 

 

 うっ、うぅ……店内で漏らしてしまう、この変態をどうかお許し下さい……。

 

 

 

 

 ふぁ、んっ……ダメ……もう、限界……です。

 

 

 

 

「おい、そんなところで(うずくま)って何やってんだ?」

「れ、零……?」

 

 

 誰かに肩に手を置かれ思わず振り向くと、そこにいたのは我が想いの人である零でした。彼は不思議そうな表情で私の顔を覗き込んで――――――あれ?

 

 

「どうした?さっきまで身体が震えていたのに、俺が触れた瞬間にピタッと止まったけど」

「消えてます……」

「な、何が……?」

 

 

 肩に零の手が触れたその時、私の尿意がスゥーッと引いていくのが感じられました。もうあと数秒で漏らしてもおかしくない状況だったのに、彼の手によって尿意が鎮まっていったのです!そしてさっきまで感じていた膀胱の重みも普段通り、まるで今さっき用を足してきたかのように軽くなっています。

 

 零がどんな力を発揮したのかは知りませんが、尿意の恐怖さえ跳ね除けてくれさえすれば、私はそれで満足です!やはり彼が私の白馬の王子様だったのですね!!私がどんなピンチに陥っても助けてくれると信じていましたから!!

 

 

「零!!」

「なんだよさっきから表情がコロコロ変わりやがって!?今度は明るい笑顔になってるし……」

「ありがとうございます!あなたのおかげで人生を棒に振らずに済みそうです!」

「はぁ?」

「私は今まであなたに何度も助けてもらいましたが、ここまで感謝をしたいと思ったことはありません!私が出来る範囲なら何度もしますから、是非なんなりとお申し付けを!」

「お、おう、それは嬉しいけどさ……ここコンビニだから、もう少し静かにしろよ。な?」

「あっ……」

 

 

 早朝のコンビニなので、学校や仕事に行く人でコンビニにはそこそこの人数が……うぅ、結局恥ずかしい思いをしてしまったじゃないですかぁ~……。でもこの場で漏らしてしまうことを考えたら全然マシですね。

 

 

 しかし秋葉さんの薬のことです、これからも尿意に苦しめられる時が来るかもしれません。ですが零さえいてくれればその尿意も鎮めることができます。

 

 いいでしょう、秋葉さんの卑劣な攻撃に真っ向から迎撃ってあげます。彼と一緒ならもう怖いことなど一切ありません!秋葉さんは私が尿意で苦しんで悶える姿を想像して面白がろうとしているみたいですが、その憎らしい笑顔を焦燥に変えてあげることが出来るかもしれませんね。

 

 

 

 

 だがしかし、この時の私はまだ気付いていませんでした。

 

 

 秋葉さんの罠が、これだけでは終わっていなかったと――――――

 

 

 

 

To Be Continued……

 

 




 秋葉姉ちゃんおひさ!(数カ月ぶり)


 今回は電撃コミックス『ギリギリアウト』から設定をお借りしました。
 原作も同じような作風なので、この話を読んでお漏らし我慢プレイが見たいという物好きさんがいましたら、是非読んでみてください。Webで試し読みも出来るので、購入の際に参考になりますよ!(ダイレクトマーケティング)

 そして、秋葉姉ちゃんは最近出番がなさすぎて悪魔になってしまったようです()


 次回はこの続きから。秋葉姉ちゃん、最大のトラップ!



新たに高評価をくださった

迷えるチキンさん

ありがとうございました!



Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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