ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿

294 / 395
 今回は久々にストーリー進行回です!
 これまでとは違って、物語が大きく動きます。


PERFECT Dream Project

 

 スクールアイドルフェスティバル。通称スクフェスは、8月末に開催されるスクールアイドルによるスクールアイドルのための祭典だ。全国各地からプロからアマチュアまで幅広い実力と個性を持ったスクールアイドルたちが集まり、ライブを披露したりコラボを組んだり、バラエティのような企画にも挑戦するまさにスクールアイドル好きホイホイのお祭りなのである。しかもそのお祭りには伝説と謳われたμ'sやA-RISEも参戦予定なので、昨今のスクールアイドル界隈の熱気は止まるところを知らない。各種メディアにもスクフェスの話題は日常的に取り上げられており、若者にとってはこの夏休みの中で一番ホットな話題になっているだろう。

 

 スクフェスの目的はスクールアイドルの魅力をよりたくさんの人に知ってもらうことと、スクールアイドル同士の交流がメインとなっているが更にもう1つ目的がある、それはお互いがお互いのライブを生で鑑賞することにより刺激を与え合うことで、スクールアイドルとしてのレベルアップを図るというものだ。だからコラボやバラエティの参加でスクールアイドル同士の交流はもちろんのこと、"ラブライブ!"のように個々のライブに至っては順位付けがなされる。つまり"競い合う"というのもスクフェスの1つのテーマとなっており、悪い言い方かもしれないが単なる"慣れ合い"で終わらないのがミソとなっているのだ。

 

 一言で"競う"と言っても競い方は様々であり、お客さんがライブを鑑賞して魅力的だったスクールアイドルに投票するのが一般的だが、7月末である今の時点でも既に戦いは始まっていた。もちろん当日のライブによる投票結果が勝負の全てなのだが、これまたスクフェスを盛り上げる一貫として事前投票なるものが行われていたのだ。

 事前投票とはスクフェスの公式Webサイトで、参加するスクールアイドルの中から自分の注目しているグループを1つ選んで投票するというシンプルなもの。数多のスクールアイドルの中から投票数の多い上位のグループが公式Webサイトとテレビ番組で発表されるので、そこに自らのグループ名を載せることも1つの競い合いとなっている。まあこのような投票制は人気物が上位を占めやすいので、今回はレジェンドスクールアイドルであるμ'sとA-RISEのどちらが1位になるのかが最大の見所だろう。

 

 そして本日、その投票の結果が開示される。μ'sメンバーは俺の家に集結して、お菓子と飲み物を片手にとあるテレビ番組を視聴していた。

 『スクフェス特集』と名を打ったこの番組は、過去の"ラブライブ!"の映像を流してスクールアイドルを知らない人でもその手の知識を深めさせようとしていたり、スクフェスの最新情報を発表したりとまさにスクールアイドル好きによるスクールアイドルのための番組だ。その番組内のコーナーの1つとして事前投票結果の開示がある。だから俺たちはこうしてテレビに釘付けになっているのだが、恐らくμ's以外のスクールアイドル全員がそのコーナーを今か今かと待っていることだろう。

 

 ちなみにμ'sの中では意外や意外、穂乃果が一番そわそわしていた。

 

 

「こうしてドキドキしながら結果を待つ感覚って、なんだか久しぶりで緊張しちゃうよ」

「公式のイベントに参加するのは4年ぶりですから、仕方ないですね。スクールアイドルになりたての頃を思い出します」

「でもまだ本戦じゃなくて事前投票なんだぞ? ここで緊張していたら、ステージに上がった時はどうなるんだよ……」

「ステージにいる時はなんだかんだで楽しいから、緊張なんて吹き飛んじゃうんだけどねぇ。でも結果発表だけは久々で居ても立っても居られないというか……」

「穂乃果ちゃん、チーズケーキ作ってきたからこれで落ち着こ? はい、あ~ん」

「ホントに!? ありがとうことりちゃん! あ~ん――――ん~生きてるって感じがする♪」

 

 

 餌付けされただけで緊張が解れるなんて、穂乃果の緊張って安いな……。

 しかし、このように無邪気で気ままにいた方が穂乃果の性に合っていると言えば合っている。やはりμ'sのリーダーとしてみんなを引っ張っていた経験上、緊張など我関せず天真爛漫に振舞っている方が彼女らしい。まあいつまで立っても子供らしいってのは安心するべきなのか、早く大人になれと危惧するべきなのか……。

 

 そんな穂乃果の様子を見て、ちゃっかり俺の隣を陣取っている楓が呆れたように口を開く。

 

 

「そんなに緊張しなくても、私たちならトップに決まってるでしょ。なんせスクールアイド界のレジェンドなんて言われてるんだから」

「それを慢心って言うんだよ、楓。私たちは突発参加なんだし、PVなんてここ数年一度も投稿していない。だから注目度的には低く見積もった方がいいと思うけど?」

「相変わらず雪穂はドライというか、現実主義だよね。もっと自分が有名人で実力者だってことを自慢してもいいのに」

「お前は自慢し過ぎなんだよ。まあその傲慢さが神崎家の血筋だから仕方ねぇけどさ」

「それに私たちだけじゃなくてA-RISEの皆さんもレジェンドって呼ばれてるし、スクフェスにも出場するからそう簡単には1位になれないと思うよ?」

「亜里沙は謙虚だなぁ。もっと強者感を丸出しにして、雑魚を見下すくらいの気概を持った方が絶対にモチベ上がるよ」

 

 

 モチベの上げ方としては最低な方法なのだが、それで本人のやる気が上がるのなら越したことはない。ただ他のスクールアイドルに迷惑を掛けないという条件付きではあるけどな。今のところ楓が後輩のAqoursに対する態度は……まあちょっと見下しがちだけど、概ねいい先輩として振舞っていると思うよ。なまじμ's内でも突出した歌唱力と運動能力があるのが楓だから、傲慢さを引く神崎家の血筋も相まって他者を煽ってしまうのは致し方ないことだ。もちろん擁護するつもりはないけどね。

 

 そして穂乃果ほどではないものの、もう1人やたら緊張している子がいた。

 花陽は番組を見ている時から落ち着きがなく、投票結果の開示を楽しみだけど知りたくはないって感じで挙動不審だ。

 

 

「かよちん? どうしたのお腹空いた?」

「私が食いしん坊みたいに言わないでよ!? 投票結果が気になり過ぎてドキドキしてるだけだから!!」

「でもかよちんの緊張を解す方法って、ご飯を食べることでしょ?」

「勝手に捏造しないで!? そりゃご飯を食べてる時は心がぽわぽわして気持ちよくなるけど……」

「穂乃果といい花陽といい、食べ物でおとなしくなるなんてまるで犬ね」

「ヒドイよ真姫ちゃん!? 穂乃果ちゃんと一緒にするなんて!?」

「それは聞き捨てならないよ花陽ちゃん!? ツッコミどころはそこじゃなくて犬の方でしょ!?」

「なにやってんだコイツら……。まあ緊張が解れたみたいだし、これで良かったのか?」

「凛が話題を振ったおかげだにゃ!」

「なぜお前が威張る……」

 

 

 どちらかと言うと、凛よりも真姫の鋭い一言の方がよっぽど穂乃果と花陽の緊張を解き放ったと思うぞ? しかしその2人に飯を食わせておけば緊張やストレスの発散になるというのは間違いではなく、4年前に穂乃果と花陽のダイエットを決行した時に彼女たちは俺たちに内緒でご飯屋でつまみ食いをしていた。海未の考えたダイエットプランにより食事制限を課せられたので相当な鬱憤が溜まっていたのだろうが、それ以降2人には飯を食わせておけばとりあえず気を宥めることができると俺たちに印象付ける結果となったのだ。もはや怪しいおじさんからお菓子を貰ってホイホイついていく子供と変わらんな。

 

 こうやって大騒ぎする中でも、一番落ち着いているのは年上組だ。年長者の貫禄は凄まじく、絵里も希もにこも特に動じることなく番組を視聴している。

 

 

「全く、こんなことでギャーギャー騒げるなんて本当に子供ね。アイドルたるもの、大人っぽく清楚に堂々と振舞うべきよ」

「そんなこと言っちゃって。事前投票の結果発表、この中ではにこっちが一番楽しみにしてるってウチ知ってるから! さっきから携帯でこそこそ情報を嗅ぎ回ってることとかね♪」

「ちょっ!? 携帯を覗き見するなんて人のやることじゃないわよ!!」

「そうだよなぁ~下着を盗むなんて人のやることじゃねぇよなぁ~」

「うぐっ!」

「にこ……いい歳して子供の悪戯みたいなことはやめなさいって言ってるでしょ。穂乃果たちじゃなくて高海さんたちも後輩になったんだから、少しは大人になりなさい」

「絵里ってにこだけには厳しいわよね……。ふんっ、にこは無邪気系アイドルを目指してるから子供っぽくていいのよ!」

「さっき大人っぽく振舞うとか言ってなかったかしら……?」

 

 

 先日の下着泥棒の件なんて棚に上げ、アイドルとしての清楚さを自画自賛で褒め称える矢澤にことかいう女。よくもまぁそんなデカい口が叩けたものだとブーメランを投げたくなるが、ブーメラン発言はμ'sではよくあることなので今更言及するのもおこがましいくらいだ。しかし彼女がアイドルに注ぐ情熱は本物なので、心意気だけは認めてやるけどね。

 

 

 そんな感じでいつも通り騒がしく時間を潰していると、遂に番組内で事前投票の結果発表コーナーが始まった。さっきまで騒々しかったリビングはまるで無人かのように静まり返り、なんだかんだ全員が投票結果を心待ちにしていたことがこの雰囲気から伺える。どうせμ'sが1位だろうと初めから自信満々の者、結果発表が楽しみでワクワクしている者、じっくりと腰を据えて落ち着いている者、緊張でそわそわしている者と三者三様の反応を見せていた。

 

 事前投票の上位グループが何位まで発表されるのかは予告も何もなかったので、番組内で初めて発表される形となる。番組内では結果を表示するための特大パネルが用意され、そこには3つの枠があるため恐らく上位3グループが発表されるのだろう。思ったより枠が少ないことには驚きだが、枠が少なければ少ないほど競争は燃え上がるもの。今テレビの前にいる全国のスクールアイドルの心がざわついているに違いない。現に穂乃果たちも意外な枠の少なさに思わず息を呑んでいた。

 

 そしてどうやらこのコーナーの司会は、"ラブライブ!"の会場でよくスクールアイドルたちにインタビューをしているアナウンサーの女性のようだ。そのアナウンサーが元気よく結果発表の段取りを取り仕切る。

 

 

『これから事前投票にて上位3グループに選ばれた、現在注目されているスクールアイドルを発表します! 3位から順番に発表してドキドキを味わうのもいいですが、今回は1位から3位まで一気に発表しちゃいますよ! それでは早速――――』

 

 

 まさかの1位から3位の同時発表に、ピンと張った緊張の糸がはち切れそうなくらい更に張り詰まる。番組側的にはこの一瞬に盛り上がりを賭けているのだろう。この発表方法にはさっきまで余裕な素振りを見せていたにこや楓の堂々とした心にも多少の揺らぎを発生させた。

 

 そして遂に、事前投票上位3グループが発表される。

 

 

『事前投票で上位3グループに選ばれた、今一番ホットなスクールアイドルはこのグループだぁああああああああああああああああ!!』

 

 

 その直後だった。誰も声を発さなかったが、リビングが驚愕の色に染められる。

 穂乃果や花陽のようにいかに緊張していようが、雪穂や亜里沙たちのようにいかに謙虚に振舞っていようが、自分たちが実力のあるスクールアイドルだってことは各々が少なからず自覚している。謙遜はするけどもレジェンドと呼ばれているがゆえの優越感はμ's12人全員が抱いており、この投票結果で1位と2位を争うのは自分たちかA-RISEのどちらかだと心のどこかでは高を括っていたはずだ。

 

 だからこそ、この結果は衝撃的で全員の言葉を失わせた。

 

 

 3位 A-RISE

 

 2位 μ's

 

 1位 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

 

 まず俺たちが真っ先に思ったことは、1位のスクールアイドルの得体が全く知れないということだ。スクールアイドルに詳しいにこや花陽なら知っているかもしれないが、少なくとも俺はこんな名前のスクールアイドルは聞いたことがない。しかも同好会って名前はそもそもスクールアイドルの名前として成立していないので、多分正式なグループ名ではないのだろう。正式名を持たない=まだ駆け出しのスクールアイドルであることは穂乃果たちを含め全国のスクールアイドルが感じていることだ。こう言っては1位の同好会には申し訳ないのだが、どうしてこんな初心者のスクールアイドルがレジェンドであるμ'sやA-RISEを差し置いてトップに返り咲いているのかが甚だ疑問しか浮かばない。

 

 穂乃果たちも同じことを思っているようで、結果が発表されてからここまで誰も何も発言をしていない。ただ自分たちが想像していた現実とは180度異なっていたので、まだ目の前の事実を受け入れられないのだろう。たかが事前投票であってもμ'sにとっては久々の公式イベントだから、予想外の結果に動揺しても仕方ない。

 

 俺たちが困惑している間にも、番組内のコーナーはどんどん進行していた。

 

 

『ここで素敵なサプライズ! 本日、1位となった虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さんにお越しいただいております! それでは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さん、こちらのステージへどうぞ!!』

 

 

 舞台裏から現れたのは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーと思われる女の子9人。μ'sの初期メンバーも9人だしAqoursも9人だからかなりの因果だと思っていた矢先、俺は同好会メンバーの中の1人を見て更に言葉を失った。元々結果発表開示から一切の言葉を発していないが、思わず口をあんぐりと開けてしまうくらいには衝撃的だった。

 

 9人の真ん中に立っている女の子って、まさか――――!?!?

 

 

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のリーダー、上原歩夢(うえはらあゆむ)です! 皆さん、この度は私たちのグループにたくさんのご投票ありがとうございました!』

 

 

 上原歩夢(うえはらあゆむ)。彼女とは一度、夏祭りを一緒に回った過去がある。初対面なのに突然正面から抱き着かれただけでなく、恋をしていると告白までされて衝撃を受けた。そうやって純粋な面を見せていたかと思えば、いきなり淫乱さを助長するような行動を見せつけてきたりとキャラが掴みにくい奴だ。しかも自分の情報を意図的に隠していたので、非常に謎の多い少女だと俺の中で存在付けていた。俺が彼女について知っている情報と言えば、名前と掴みづらい性格をしていること、そして俺に恋をしているということだけだ。

 

 でも本日、また1つ彼女のプロフィールが更新された。アイツ、スクールアイドルだったんだな……。しかも事前投票で1位に選ばれるほどのグループのリーダーだったとは、もう驚かずにはいられないだろこりゃ。

 

 気になったことは彼女の登場だけではない。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は正式名称がないことから分かる通り、まだ発足して間もないグループだってことは予測できる。つまりスクールアイドルがアイドルの卵ならば、彼女たちはまだスクールアイドルの中でも卵のような存在なのだ。そんな駆け出しの彼女たちはステージ上に上がることすらほとんど経験がないor全く経験がないはずなのに、全員が全員緊張を表情に出すことなく毅然とした態度でインタビューに臨んでいた。スクールアイドルに込める魂と気概がベテランのスクールアイドルであるμ'sよりも圧倒的に上回っていると、テレビ画面を通して伝わってくる。その強靭な精神を持っているってことは、彼女たちの心を支える強い原動力があるに違いない。

 

 そしてまたも色々と考えている間に、インタビューが進んでいたようだ。

 俺は再び彼女たちへのインタビューに意識を向ける。

 

 

『まさか駆け出しも駆け出しのスクールアイドルが事前投票で1位になるなんて、これぞまさにダークホースです! 1位になるために特別やっていたこととかあるんですかね?』

『はい。私たちはとある方のためにスクールアイドル同好会を発足させたのです。その方に振り向いてもらい、そして私たちの想いを受け取ってもらえるように。私たちは9人全員が同じ気持ちでここまで頑張ってきました。とある方へ私たちの愛を伝えるため、その目標を糧として日々自分自身というものを磨き上げているのです! まだ駆け出しのスクールアイドルではありますが、心と気持ちの強さだけは誰にも負けません! でも私たちがもっともっと輝くためには、皆さんの応援が必要です。それなので皆さん、是非今後とも応援をよろしくお願いします!』

 

 

 そこで満面の笑顔を見せる上原だったが、一瞬だけその表情に妖艶さが見え隠れしていた。

 そして、俺はその艶やかな笑顔に胸を打たれる。だがその笑顔に見惚れたとか、そういうことじゃない。むしろ背筋がゾクッとする、あまり心地のよくない感覚だ。

 

 悟った。

 

 さっきの上原の笑顔は全国のファンに向けられたものじゃない―――――――

 

 

 

 

 俺だけに向けられたものだと。

 

 

 

 

 さっきの言葉も画面越しの俺の心に囁かれたものだ。

 それを裏付ける証拠などは何もない。だけどそう信じさせる意志の強さを彼女、いや()()()()から感じた。

 

 

 番組内ではそんなことも知らず、インタビューが続行されている。

 

 

『おぉ~お世話になった人への一途な思いってやつですかね? いやぁ青春青春! それでもう1つ、駆け出しの上原さんたちに質問なのですが、目標にしているスクールアイドルはいますか?』

『はい。というよりかは、スクフェスの本戦で一緒にトップ争いをしたいスクールアイドルはいます』

『おっ、好戦的なのはスクフェスの趣旨にも合っていて、運営としては非常にうれしいですよ! さて、そのグループとは?』

 

 

 

 

『μ'sとAqoursです!』

 

 

 

 

 またしてもμ'sに激震が走った。さっきから衝撃ばかりで卒倒してしまいそうだが、それ以上にどうして自分たちが標的になっているのか穂乃果たちは疑問しか浮かばない。

 それに一番驚いているのはμ'sではなく恐らく―――――

 

 

 

 

 結局その後のインタビューで交戦希望相手にμ'sとAqoursを選んだ理由は深く語られず、上原も半ばアナウンサーの質問を聞き流す形で喋っていた。

 だが俺の目からしてみれば、またアイツが何かを隠しているのは明らかであった。

 

 ちなみにこの番組が終わってからスクールアイドル界隈の現状を調査して分かったことなんだけど、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は事前投票で1位になるのも納得のできる実力を持っていた。まだPVは1本しか投稿されていないが、そのPVはレジェンドであるμ'sの目を引き付け言葉を失わせるくらいに美しかったのだ。上原の言う通りメンバー全員が確固たる強い意志を持ち、()()()()への愛を伝えようとしている。その意志の強さが彼女たちの魅力を際立たせ、視聴者を魅了しているのだろう。

 

 

 だが、その()()()()というのは恐らく――――――

 

 

 

 

 何かが、大きく動き始めた気がする……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ど、どうしてAqoursの名前が……?」

 

 

 千歌は頭に浮かんだことをそのまま口にする。

 

 

 上原の発言に、最も驚いたのはコイツらAqoursメンバーだろう。

 千歌たちも9人揃って俺たちと同じ番組を見ており、事前投票の結果を心待ちにしていた。だがμ'sとA-RISEの二大巨頭がいるため自分たちがランクインするとは最初から思っておらず、μ'sの雄姿を見るために彼女たちはこのコーナーを見ていた。

 

 だからもちろん虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が1位になったことに驚きはしたが、最も焦燥感に駆られたのは上原の口からAqoursの名が出たことだろう。どうして3位以内にランクインしていない自分たちの名前が出てきたのか、同好会が何者なのか以前にそっちの方が謎だ。μ'sは有名なので一緒の舞台で彼女たちと競い合いたいと思うのは別に変な思惑ではないが、Aqoursは誰かからそう思われるレベルにまだ達していないのだ。それは千歌たちも重々承知しており、自分たちが誰かから目標にされたり競い合いたいと思われないことは分かっている。だからこそAqoursの名が挙がったことに驚きを隠せないのだ。

 

 

 千歌たちもμ's同様に謎だらけの渦に巻き込まれ、リビングが無声無音で静まり返っていた。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 とある大学の研究室。

 スクフェス特集の番組を見ていた()()は、徐に立ち上がりリモコンでテレビを消灯した。

 

 

「あの子たちの生き様をもっと見ていたかったけど、今から研究の打ち合わせなんだよねぇ……。でも伝えたいって言っていたことは全部喋れたみたいだし、もう大丈夫かな?」

 

 

 ()()は白衣を纏う。胸元には『神崎』と書かれた名札が付いていた。

 その際に机から1枚の書類が舞い上がり、ひらひらと床へと落下する。

 

 

 その書類の題目には、こう書かれていた。

 

 

 

 

 『PERFECT Dream Project』

 

 




 この小説では基本的にストーリー性は薄く、どの回から読んでも比較的話が分かりやすいように物語を描いていました。
 ですがスクフェス編ではかなりストーリー色が濃くなり、ここまでたくさんの謎を残すのは初めてだったりします。これまでが王道かつ単調なストーリーだったので、今回のような謎が謎を呼ぶ展開もありかなぁと勝手に思っています(笑)

 読者さんもこれを機会にストーリー考察をされるのも一興かも……?


 次回はPDPメンバーであり、恐らくラブライブキャラの中で最も腹黒なあの子が登場!

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。