ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 雪穂&千歌回の後編です!
 ここまでガッツリとした恋愛話は久しぶりなので、なんだか新鮮ですね。


私の心は輝いてる

 

 今回の撮影って、元々こんなシチュエーションで撮る予定だったのだろうか?

 そう疑問が浮かんでも仕方がないくらい、今のシチュエーションが不自然だった。

 

 撮影場所はカフェから移動してとある公園。1つのベンチに俺と雪穂、千歌の3人が座っている構図である。

 だが俺たちの座っているポジションがおかしいというか、明らかにスタッフさんの遊び心で誘導されてしまった気がする。その並び順は俺がベンチの真ん中に座り、その右に千歌、左に雪穂が座っているというもの。いやね、女の子3人なら仲の良い友達同士で片を付けられるのだが、男1人を挟んで女の子2人っていうこのポジショニングは確実に悪い意図で仕組まれたものとしか思えない。今回の撮影のテーマはデートと聞いていたのだが、これでは女の子2人を侍らせているただの最低野郎じゃねぇか。まあ実際には恋人がたくさんいるため否定はできないけど、せめて撮影の中くらいではまともな恋愛を育ませてくれよ……。

 

 と言っても、このシチュエーションを仕組んだ女性スタッフさんはメガネを光らせ興奮している。休憩中に他のスタッフさんに聞いたのだが、撮影指示を出している女性スタッフさんは一度興奮すると頑なに意見を曲げない性格らしい。だからこの状況に文句を言ったところで、俺たちが折れない限り撮影は終わらないって訳だ。

 

 その女性スタッフさんの様子を見て、俺の右に座っている千歌が疑問を漏らす。

 

 

「あのぉ……雪穂さんの撮影って、いつもこんな感じなんですか?」

「あの人が現場監督を務める時は、いつも軌道を逸した写真ばかり取られるよ。でもここまで露骨なのは初めてかも」

 

 

 雪穂は暴走するスタッフさんを見ても澄ました顔をしていたため、恐らく慣れているのだろうと思っていたが本当だった。まあ職場の雰囲気は働き場所を決める上での重要な要素であり、この撮影現場は1人の暴走を覗けばほのぼのとしているためそこは割り切るしかなさそうだ。

 

 そういや女性モデルって男性モデルと一緒に写真を撮ることはあるのだろうか? 人によって異性と撮影をするのがOKだったりNGだったりを決められるとか、その辺のモデル界隈事情が分かっていないため気になるところだ。雪穂のモデルとしてのキャリアは1年程度になるけど、その間に他の男性モデルとデートのようなシチュエーションで撮影したりするのかなやっぱり。あぁ、気になり出したら撮影に集中できなくなってきたぞ……。

 

 

「零君……? 私じゃなくてカメラを見ないと」

「あっ、いやさ、お前って男性モデルの人と撮影したりすんの?」

「えっ? 私の所属している会社って女性ファッション誌専門だよ? 男性のモデルさん自体がいないから」

「あっ、そっか」

「珍しいですね、先生がそんなポカミスするなんて」

「零君、もしかして……」

 

 

 雪穂が俺以外とこんなことをしていないと安心した反面、雪穂と千歌にあっさり自分の心を見破られたので焦った。女心は今でも分からないくせに、俺の考えはすぐ女の子たちにバレちゃうんだよなぁ……。男の嫉妬ほど見苦しいモノはないと言われるが、俺って感情が顔に出やすいから見苦しい以前にバレバレなのかもしれない。

 

 

「安心してください。私の隣にいる男性は、零君しかあり得ませんから♪」

「お前……」

 

 

 な、なにこの可愛い生き物!? 女の子を惚れさせることはあっても、こうして女の子に胸を射抜かれるなんてあまりなかったからいつぶりだろう……?

 雪穂は自分の指を俺の指に絡めながら手を繋ぐと、穂乃果顔負けの明るい笑顔を向ける。普段の彼女が向ける優しい笑みとは雰囲気が全く違うため、思わぬギャップに不覚にも惚れてしまった。これはもうあれだ、雪穂さえいればいいってやつだな。

 

 

「照れている零君って久しぶりに見た気がします。案外こういうのに弱いんですね」

「うるせぇな。そんな笑顔を向けられたら、誰でも心掴まれるから。つうかお前、意外とノリノリじゃね?」

「だってこんな機会でもないと、ここまで積極的になれませんから」

「スタッフさんたちに見られてるのに? 会話は聞かれてないだろうけどさ……」

「どうしてですかね? 見せつけたい……とか?」

「俺に聞くなよ……」

「私はいいですよ、こうしているところを誰かに見られても」

 

 

 コイツ、澄ました顔で恥ずかしいことを言いやがって。しかも他の人に恋人プレイを見せつけたいとか、度し難い性格にも程があるっつうの。むしろいつもここまで積極的になれない性格上、用意されたシチュエーションならばグイグイ攻められるということだろうか。普段クールな奴のデレは破壊力が大きすぎて、俺の鋼メンタルもすぐに溶けちまうぞ……。

 

 すると、背中に目線が小さく突き刺さっていることに気が付く。そういやさっきから雪穂と対面していたので、俺の右隣に千歌が座っていることをすっかり忘れてしまっていた。もしかしたら2人だけのムードを作っていることに嫉妬しているのかと思い、恐る恐る千歌の方を振り向いてみると――――――意外なことに、怒っている以前に微笑ましい表情でこちらを眺めていた。

 

 

「なんだよその顔……」

「いやぁ先生と雪穂さん、とっても仲がいいなぁって。見ているこっちも嬉しくなっちゃいます!」

「ゴメンなさい。せっかく高海さんも参加してくれてるのに……」

「いえいえ。むしろご馳走様って感じです! 私もいつか先生と……」

 

 

 千歌は膝の上で拳を作り、ギュッと握りしめて何かの決心を固めたようだ。1発目の撮影現場では俺と手を繋ぐことさえ緊張して戸惑っていたのにも関わらず、今の千歌は俺に寄り添いながらも落ち着いている。どうやら決心を着けたことで心の乱れもなくなったらしく、もはや俺と彼女の身体に隙間などなかった。しかも自然に腕を絡ませており、100人が100人見てカップルと言い張れるほど俺たちは1つになっている。もちろんそれは雪穂も同じなので、カップルと言うよりもさっきも述べた女の子2人を侍らせているただの最低野郎って言葉の方がピッタリかも……。

 

 そしてご生憎様、俺が雪穂と千歌を侍らせている様子は無慈悲にもカメラに収められる。女性スタッフのテンションはハイで、さっき小声で『来月の雑誌はハーレム路線で行きましょう』と漏らしていたのを俺は聞き逃さなかったからな? そもそもハーレム路線なんてファッション誌のテーマとして不適切だし、一応周りのスタッフさんが止めてくれたので間違いを犯すことはないだろう。つうかスクールアイドルで活躍している雪穂と千歌を侍らせている写真が世に出回ったら……今度こそ彼女たちのファンに殺されるかもしれない。μ's全員と恋人同士という事実は未だに隠してるけど、彼女たちがここまで有名になるともう絶対に明かせないよなその事実……。

 

 

「雪穂さん、この写真って雑誌に掲載されるんでしょうか……?」

「どうして?」

「いや、Aqoursのみんなに見られたら1日中の尋問だけでは終わらないと思いまして……」

「掲載されないから大丈夫だと思うよ多分……。それに私もこの写真を亜里沙と楓に見られたら、世にも恐ろしいことになりそうだよ」

 

 

 恋は己を変えるという格言は以前にも話したが、それはその子の周りにも影響を与えるようだ。確かに思い当たる節はあり、1人で俺と勉強会をしたダイヤを鞠莉と果南が尋問したり、病気なほどブラコンな楓がここまで女の子と密着している俺の写真を見たら、それこそ親友でもその女の子を殺しかねない。恋する女の子は怖いな、他人事だけど。

 

 ちょっぴり陰湿なムードの中、テンション爆上げなスタッフさんが1人。

 まあいつもの女性スタッフさんなんだけど、興奮が収まるどころか現在進行形で高まっていた。そして俺たちの近くに歩み寄ると、メガネを光らせ息を切らせながら次の撮影の指示を出した――――のだが。

 

 

「あなたたち!! 次はホテルに行くわよ!!」

「「「は……?」」」

「撮影監督をやってるとね、一度でいいからAVのような現場を撮りたくなるのよ! 夢を見続けて早数年、零君と千歌ちゃんが来てくれたことが運命としか思えないわ!」

「俺らをAV役者に仕立て上げて運命とか言うな!!」

「はぁ、はぁ……本当は愛の欠片もない凌辱モノが良かったんだけど、この際は純愛モノで我慢してあげるから」

「どうして俺たちが妥協される側になってんだ……。つうか俺らを妄想して興奮すんな」

 

 

 俺たちをベンチごと倒す勢いで迫ってきたスタッフさんだったが、他のスタッフさんたちに呆れ顔で抑えつけられながら連行されたので九死に一生を得た。雪穂も千歌もその手の話題には慣れていないため、頬を赤面させてベンチにもたれ掛かっている。ただでさえハーレム要素を含んでいる写真なんて雑誌に掲載できないのに、AVなんか撮り出したらもはや何のための撮影なのか分からねぇな。そもそも今日撮った写真って、雑誌に使えるモノの方が少ない気がするんだけど気のせいかな……?

 

 結局その後は撮影指示するスタッフさんが変わったため、これまでの進行が嘘のようにスムーズだった。無駄な時間を取られはしたけど、雪穂と千歌の魅力を眼前で感じることができたのは良かったのかもしれない。しかも女の子とあそこまで接近するのは久々だったので、なんだか昔を思い出したよ。昔は欲求が盛っていたせいで彼女たちに手を出したりしていたが、今ではそんなこともめっきりなくなったもんなぁ……。なんでだろう?

 

 紆余曲折を経たが、とりあえず撮影は無事終了した。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「それにしても、すっげぇスタッフさんもいたもんだな。まさかAV撮影なんて言い出すなんて」

「今日は零君と高海さんがいたから興奮しちゃっただけで、いつもは優しくて頼れるスタッフさんなんだよ……」

「でも場の雰囲気が温まったおかげで、私は緊張せずに済みましたけどね!」

「それもそうだな。それに迷惑をかけたお詫びに、報酬をアップしてくれるらしいし不満はねぇよ」

 

 

 俺たちは今日の撮影会の感想を語りながら帰りの夜道を歩いていた。本来なら夕方に終わるはずだったのだが、お察しの通り女性スタッフさんの暴走により無駄に長引いてしまった結果がこれだ。しかし、そのお詫びとして助っ人の報酬が3割増しになったので特に文句はない。むしろそこまで増額してくれるならあの人にもっと暴走して欲しいと思うほどだが、あのまま放置したら本気でホテルに連れ込まれそうだったのでいい潮時だった。

 

 ちなみに千歌自身も言っているが、撮影当初は俺との急接近に戸惑っていた彼女も、撮影の最後の方ではモデルの雪穂と肩を並べるくらい役になり切っていた。千歌もまさに天職を見つけたと言わんばかりに張り切っていたので、少なくとも無駄な時間を過ごしていたってことはなさそうだ。元々はAqoursの魅力向上のヒントを得るために撮影現場にお邪魔したのだが、彼女の満足気な表情からしっかりと得るものも得たみたいだな。

 

 

「でも雑誌で見る雪穂さんよりも、生で見るモデル姿の雪穂さんの方が断然綺麗でした! いいなぁ私もスカウトされたい~」

「これもスクールアイドルで有名なったおかげかな?」

「どうやったら雪穂さんみたいに綺麗になれるのかなぁ……? 私もみんなも魅力的になれば、Aqoursの魅力ももっともっと上がるのに」

「私たちが魅力的になれたのも有名になれたのも……まぁ、後ろにいる人のおかげだよ」

「えっ、お、俺!?」

 

 

 俺は2人の後ろを歩きながら会話を漠然と聞いていたため、突然話の矛先が自分に向けられて思わず(ども)ってしまう。

 しかし、μ'sが有名になるにあたって俺は何かしたっけか? 俺はただ12人に告白をするという世間から大バッシングを受けるような犯罪行為をした挙句、あの時は高校生だった彼女たちの食べ頃の身体に手を出していた記憶しかない。そのおかげで大人の魅力が鍛え上げられたという説もあるが、むしろそれ以外にない気がするぞ……?

 

 

「私ね、色々あってμ'sを辞めようと思ってた時期があったの。でも零君が私を繋ぎ止めてくれたことで私はμ'sにいられて、自分に自信が持てた。だからね、あの時零君が引き止めてくれなかったら今の私はいないんだよ」

「先生がそんなことを……」

「だいぶ昔の話をしやがって。よく覚えてんなお前」

「当たり前ですよ。だってその時こそ、私が零君を本気で好きになった瞬間ですから」

「ふぇっ!? そ、そうなんですね!!」

「お前、今日はやたら喋るじゃねぇか……」

「スタッフさんじゃないですけど、今日は私もテンション上がってますからね」

 

 

 笑顔、笑顔、また笑顔。今日の雪穂はとてもよく笑う。

 やっぱり穂乃果と同じ血を引いてるためか、いくら普段がクールであろうとここぞという時の笑顔は凄まじく明るい。もう雪穂とは数え切れないくらい一緒にいるが、1日の間でここまでデレたのは初めてだったりする。後輩がいるから親密度を見せつけたい、といった悪ふざけを考える奴ではないので、単にデレ期にでも突入したのだろうか。このままだと俺の心が乱れに乱れて、初恋を経験した思春期男子になっちまいそうだ。いつもは受け身のくせに、いざとなったらここぞとばかりに純情を掻き乱してくるのが雪穂のズルいところだ。まあそこが彼女の何よりも可愛いんだけどね。

 

 

「やっぱり、μ'sの皆さんもそうだったんだ……」

「どういうこと?」

「私、1つ気付いたんです。Aqoursの魅力を上げる方法を」

「言ってみな。できる限りは協力してやるよ」

「あっ、言いましたね? 言っちゃいましたね?? 言質取りましたから!」

「なんだよ、またお得意の脅しか?」

「違いますよ♪」

 

 

 俺がAqoursの顧問になったのも、元はと言えばコイツが痴漢行為をバラされたくなかったら顧問になれと脅してきたからだ。俺が100%悪い事実はさて置き、そんなことをしてきた奴からいきなり言質を取ったと言われたら、そりゃ身構えもするだろ……。

 

 しかし千歌は脅迫する素振りを見せない。彼女は小走りで俺と雪穂の前に出ると、俺たちの方へと振り返った。

 

 

「Aqoursの魅力を上げるためには、まず自分の魅力を上げなければなりません。では、具体的にどうするのか? それは――――――」

 

 

 ここまで勢いよく口を動かしてきた千歌だが、ここで一瞬流れが止まる。他人には公言しにくいことなのか、はたまた恥ずかしいことなのか。どちらにせよ、自分の魅力を上げる方法は大いなる決心が必要らしい。

 

 だが、撮影中に既に決心を固めていたらしい彼女は、思っていたよりもすぐに口を開いた。

 

 

 

 

「それは、先生をもっともっと好きになることです!!」

 

 

 

 

 1つ思ったことがある。

 俺の周りの女の子って、こんなに積極的だったっけ!?

 

 いや雪穂が意外なだけで千歌がグイグイ系なのは分かるけど、彼女が東京に来てからというものここまでド直球に想いを伝えてくることなんてなかった。俺が浦の星にいた頃よりもかなりおとなしくなったなぁと思っていたのだが、これも今回の撮影で心境が変化したのか? あまりにもストレートに告白されたから、文字通り心臓が飛び出そうになったぞ……。

 

 

「雪穂さんはいつでも魅力的ですけど、より魅力的になる瞬間が今回の撮影を通して分かったんです。それは、先生と一緒に撮影をしている時でした」

「そう、なのかな……?」

「はいっ! 実際に私も先生と一緒にカメラに映って分かりました。確かに最初は緊張しましたけど、好きな人と一緒にいるのって心がポカポカするんですよね。そして自然に笑顔も零れて、いつの間にか緊張も解れていました。好きな人と一緒にいる時が、私が一番本当の私でいられる瞬間なんです。心の中の想いを全部先生にぶつけている時こそ、私は輝いてるぞって思えます」

 

 

 なるほど、撮影中に何かを悟ったような顔をしていたのは己の輝き方を知ったからか。俺が浦の星を去る前に言った『もっと輝いて見せろ』って言葉を覚えてくれたようで、なんだか嬉しくなってくるな。心の中の想いを全部先生にぶつけている時こそ輝いてる、というのはまさにその通りで、現に今の千歌の笑顔は撮影の時を含めても最高に幸せそうだ。夜なのにその笑顔は輝いて見え、千歌の嘘偽りない気持ち、想い、愛が全て伝わってきた。単純に笑顔が綺麗だからという理由で輝いているのではない。高海千歌という人物の全てが、今の彼女の様子から感じ取れるのが魅力的なんだ。

 

 千歌は見つけ出せたみたいだな、自分の魅力の上げ方を。

 だけど他のメンバーが真似して同じような輝きを放てるかと言われたら、それは分からない。μ's1人1人の輝きが異なるように、Aqoursも1人1人の輝き方は違う。他のみんなが自分の輝き方を見つけ出せた時こそAqoursの魅力も上がるだろう。それこそ俺がAqoursに一番期待していることだ。

 

 

 それにしても、これってもうガチ告白なんじゃね……?

 俺の中で返事をした方がいいのか頭を過るが、ここで早まってはいけない。俺が彼女、いや彼女たちを迎えに行くのは、Aqoursの輝きが最高潮になった時と決めているからな。

 

 

「でもさ、お前の輝き方って俺に依存してねぇか? 別にそれが悪いって訳じゃないんだけど」

「私はむしろ依存したいくらいですけどね♪」

「ぶっ!? ヤンデレは勘弁してくれ!」

「そっちの方がいいのなら、私は先生のご要望に従います。先生がお望みになるのなら……ね?」

「いや、いきなりヤンデレの雰囲気を作らなくてもいいから……」

「あははっ! あっ、私はこっちなのでこれで失礼します。先生、雪穂さん、今日はお疲れさまでした!」

「あぁ、お疲れ」

「お疲れ様!」

 

 

 言いたいことだけ言って颯爽と帰っていきやがった……。

 急展開過ぎてまだ頭の整理ができていないけど、とりあえずこれから千歌がより積極的になるってことは分かったよ。そしてそれを見た他のみんなが負けじと接近してくることも。千歌の想いを聞くことができて嬉しい反面、Aqoursの動きが活発化しそうで更に疲れそうだ。まあ、女の子にアピールされまくって疲れるのなら本望だけどね。

 

 すると、俺の隣で雪穂がクスクス笑っていることに気が付いた。

 今日はやけに積極的になったり、途端に嘲笑ってきたりとやたら俺を惑わせてきやがるなコイツ。まあ普段はド天然の亜里沙とド変態の楓と一緒にいるため、遊び心を持ち合わせていたとしても俺くらいしか発揮できる奴がいないのだろう。一番身近な姉の穂乃果は、もはや姉としての尊厳を失ってるくらいのおバカさんだしな、仕方ない。

 

 

「そんなに俺の反応が面白かったか? あんなにド直球な告白をされたのは久しぶりだから、しょうがねぇだろ」

「まあそれもありますけど、これから頑張ってくださいね。行くところ行くところで女の子を引っ掛けて、出会った子を全員惚れさせて侍らせる変態さん」

「おいっ! もはや皮肉でも何でもなくて、ただの悪口だろそれ!!」

「フフッ、零君これから大変だぁ~」

「お前、他人事かよ……」

「他人事です♪」

 

 

 雪穂は珍しく悪戯な笑顔を浮かべて俺の隣を歩く。冗談ながら悪態を突こうとも、俺を応援してくれる気持ちは伝わってきたので許してやるか。

 

 確かに想いが強くなった女の子を相手にするのは大変だろうけど、女の子1人の好意を受け入れられない奴がμ's全員を相手にできる訳ないだろ?

 

 

 

 

 それに俺からも1つ言っておこう。俺の抱いているAqoursのみんなが『好き』という想いは、Aqoursが俺を『好き』と思う気持ちよりも強いってことをな。

 これでも一途なんだよ、俺はね。

 




 時系列的にスクフェス編はサンシャイン2期よりも前のお話なので、ここまで千歌が成長しちゃうとこの小説では本気で閉校を阻止しちゃいそうです(笑) なるべくアニメの設定は踏襲したいのですが、明らかに千歌が大人になり過ぎている気が……

 そして今回は千歌がメインだったのですが、雪穂も千歌の成長に貢献する大役を果たしてくれました。それにしてもガチで妹にしたいです彼女を()


 次回は遂に300話目なので、300話到達記念回を投稿します!
 内容は当日までのお楽しみ! とりあえず普通の日常ではないことだけ……って、いつもか(笑)



新たに☆10評価をくださった

カルピスxさん、猫鮪さん、ヨッシィスーパーさん

ありがとうございます!

これにて☆10評価数がなんと250件を突破し、また1つ目標を達成することが出来ました!
もちろん次は大台の300件を目指すので、皆様是非評価の方をよろしくお願いいたします!

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