ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿
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合同合宿編、13話目
今回はサブタイトルでお察しの通り、久々にイキイキとした楓ちゃんが見られます! その被害者となるAqoursのみんなには非常に申し訳ないことをしたと……


お兄ちゃん狂のお兄ちゃん教

 

 何事も実力を上げるためには実践してみるってのが最適解なのだが、それは事前知識がある前提での話だ。何の知識もなしに実践をしても、迷ったり悩んでいる時間は無駄な浪費となり得策ではない。だからこそ事前学習というのは重要で、ある程度知識が固まってきて初めて実戦あるのみという言葉が適用できる訳だ。事前に何も教えず、とりあえずやってみろって上司がいたら『あっ、コイツ教え方下手くそだな』と思っていいぞ。

 

 いきなりこんな話をし始めた理由は、これから行われる勉強会の目的でもあるからだ。その勉強会はスクールアイドルのタマゴであるAqoursに、とあるμ'sメンバーがスクールアイドルたるものを指導する内容となっている。いくらスクールアイドルがアマチュアだと言っても、今や世間を騒がせるほどの巨大なコンテンツとなっているので見られて恥ずかしい真似はできない。だからこそレジェンドスクールアイドルであるμ'sの先輩が、Aqoursのみんなにスクールアイドルとしての風格を身に着けさせようとしているのだ。

 

 まあそれらしいことを言ってるが、この勉強会を計画したのは楓ただ1人。しかも元々合宿の予定には組み込まれておらず、彼女の一存と圧力により無理矢理この予定が押し込まれていたのだ。今回の合宿のしおりを作ったのはAqoursのみんななのだが、口の上手いアイツのことだから千歌たちを言葉巧みに誘導して今回の計画を立てたのだろう。正直なところまともな勉強会になるとは思えないが、あれでも1年間は真面目にスクールアイドルをやっていた端くれ、ちょっとくらいはAqoursの力になるかもしれないと考えると咎めることはできなかった。それに今日1日はずっと練習の予定だったのだが、実際に午前中ぶっ通しで練習してそれはキツイと分かったので、息抜きがてらに勉強会があって千歌たちも助かってるんじゃないかな。

 

 そんな訳で旅館のバルコニーを貸し切って、Aqours9人に向けての勉強会が開始された。どんな権利を行使して高級旅館の施設を私物化したのかは知らないが、教卓に勉強机って用意周到過ぎるだろ……。しかも海の見えるバルコニーでの授業だから、昔ながらの青空教室に見えなくもない。つうか、この机とか黒板はどっから持ってきた……?

 

 謎が絶えないが、逐一ツッコミを入れるのも面倒なので俺はバルコニーの端っこで彼女たちを見守ることにした。

 

 

「さて、時間もないから早速授業を始めるよ。目的は事前に伝えた通り、スクールアイドルとは何たるかを把握し、己の魅力を磨き上げること。スクールアイドルがゴミのように蔓延ってるこのご時世、ただ歌って踊るだけなんてオモチャの人形でもできちゃうからね。そうならないためにも、私があなたたちにスクールアイドルのイロハを教えてあげるから心して聞くように。返事!」

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」

「よしっ、みんなやる気はあるみたいだね。でも油断しないように。Aqoursはまだスクールアイドルのタマゴ、つまりタマゴの黄身となって綺麗な卵焼きになるか、殻となってそこらの残飯スクールアイドルのように見向きもされない廃棄になるかはみんな次第だよ」

 

「言葉汚ねぇなオイ……」

 

 

 講師役とは思えないほどのワードチョイスに、初っ端から心配になってくる。基本的に自分と俺に対しては持ち上げて、それ以外の人に対しては蔑みしか言わないような奴なので平常運転ではあるのだが。

 ちなみに俺は毎日一緒にいるのでアイツの言葉遣いの汚さは慣れている(俺の言葉遣いが移ったのかも?)が、まだそこまで楓と会話をしていない千歌たちにとっては戸惑いしかないだろう。現に心配そうな顔をしている奴らが数名いるし、知ってはいたが人の前に立つような器ではないなアイツは。

 

 

「まずはスクールアイドルとは何たるか、自分の意見でいいから答えてね。はい、黒澤ルビィさん!」

「ピギィ!? ル、ルビィですか……? え、えぇっと…………仲間たちと一緒に輝き、感動を分かち合うこと――――ですか?」

「まるでマニュアルのような回答だね。でも、そんな模範回答は私の勉強会で求められてないから」

「き、厳しい……」

「みんなにはスクールアイドルとは何かを根底から知ってもらう必要があるみたい。仕方ないから、基礎の基礎からじっくり学んでいくよ。まずはこれを覚えること」

 

 

 楓はどこから持ってきたのか分からない黒板に、何やら重要そうなことを書く。授業の入りは勉強会っぽかったので、もしかしたら意外と真面目なことを教えてあげるのかも? まあ合宿の時間も限られてるし、余計なことに時間を割けないことくらいは楓も分かってるか。

 

 黒板にはこう書かれていた。

 

 

『女の子としての魅力を最大限に引き出す』

 

 

 うん、まぁ分からなくもない。スクールアイドルはもはや全国的な人気を誇るコンテンツなのだが、アマチュアであってもアイドルなので男性ファンが比較的多い。華の女子高生たちが結成したグループが多いから、男性ファンが女性ファンよりも数を占めているのはもはや必然だろう。だからこそ女の子の魅力を世間に見せつければ見せつけるほど、自分のグループがどんどん有名になっていくという算段は理にかなってはいる。だがそんなことくらいAqoursも承知のはずなので、わざわざ勉強会まで開いて言う必要は……。

 

 

「分かってる分かってる。こんな当たり前のことを今更なんて思ってるんでしょ? でもね、みんなが醸し出してる魅力はまだまだなんだよ。だからこれからあなたたちの隠れた魅力を私が引き出してあげるって訳。そこで高海千歌さん!」

「は、はいっ!!」

「朝、お兄ちゃんが全然起きてくれないとします。身体を揺らしたり声をかけているのに全然です。さて、あなたはどうしますか?」

「えっ、せ、先生の話ですか!? スクールアイドルの話だったんじゃ……」

「いいから答える」

「えっと、もっと大きな声を出したり、もっと強い力で身体を揺らしてみる……とか?」

「はぁあああぁあああああああ!?!?」

「ひゃっ!? ま、間違ってました!?」

 

 

 楓は()()()()人を見下す目と口調で千歌の回答を一刀両断する。確かに千歌の答えは無難と言えば無難な答えだが、楓がさっき言っていた通りこの勉強会に模範回答は求められていないらしい。そう言ったのにも関わらず普通の回答だったので楓は怒ったのだろうが、そもそもいきなり目的から逸れた質問をされて咄嗟に秀逸な回答が思いつくはずもない。どうして俺の話題になったのかも意味不明だし、何考えてんだアイツ……。

 

 

「もっとあるでしょ? お兄ちゃんと一緒の布団に潜り込むとか、キスして起こしてあげるとか、カッコ可愛い寝顔を盗撮して後で脅しの材料に使うとかね」

「そ、そそそそそそんなことは……しない……ですよ? い、いやちょっとだけ……あっ」

「あるのかよ……。しかも脅しの材料を調達されてたとか初耳なんだけど」

「うんうん、相手はお兄ちゃんだもんね。欲望を解放したくなる気持ちは分かるよ。でもね、さっきのは全部最適解じゃないんだ」

「えっ、そうなんですか?」

「今から黒板に書いてあげるから、各自メモを取るように。ここテストに出るから」

 

 

 楓は意気揚々と先程の質問の最適解を黒板に書いていくが、途中で内容を察した俺はあんぐりと開いた口が塞がらなくなってしまった。

 楓がニッコリとした笑顔で示した回答が――――――

 

 

『朝フ〇ラ』

 

 

「こ、こここれが最適解なんですか!?」

「当たり前でしょ。男の人のアソコって、朝が一番辛いんだよね?」

「こっちを見るな、俺に聞くな……」

 

 

 全く予想していなかったと言えば嘘になるが、スクールアイドルとしての所以を語り始めたところから今回は真面目な回になると心のどっかで油断していた。だがその希望は儚く散り、良くも悪くも平常運転であった。しかし楓のこのノリに慣れていないAqoursからすると、『朝フ〇ラ』の4文字を見ただけで気が動転する気持ちも分かる。そのせいで千歌たち9人のざわつきが半端ではなかった。

 

 ちなみに、黒板には伏字なんて生温いモノは一切ないから。しっかりはっきりとその4文字が書かれている。

 

 

「お兄ちゃんはね、寝ている時にしゃぶられると身をよがらせて悦ぶんだよ。まだ夢の中なのに身体がビクビクって震えて、気持ち良さそうにしてるお兄ちゃんが可愛いのなんのって!」

「そ、それがスクールアイドルの勉強とどう関係がありますの!? そ、そんな先生と楓さんの情事なんて晒されても……」

「ふむ、いい質問だね黒澤ダイヤさん。さっきも言ったけど、スクールアイドルは女の子の魅力を見せつければ見せつけるほど輝けるの。そこでだよ、あなたたちは一番誰に自分の魅力を見せつけたい? 言わずもがなお兄ちゃん、あなたたちの先生だよね」

「そ、それは……」

「自分の魅力をお兄ちゃんに見せつけるためには、まずはお兄ちゃんのことを知らなければならない。だったら毎日お兄ちゃんのお世話をしている私が、あなたたちにお兄ちゃんとは何たるかを教えてあげる! この勉強会が終わる頃には、みんな神崎零マニアになってるかもね」

 

 

 なるほど、コイツの目的はそれか。最初からスクールアイドルを題材にする気は一切なく、自分の大好きなお兄ちゃんの話をしたいがためにこの勉強会をセッティングしたっぽい。おかしいと思ったんだよ、コイツが自ら他人のために行動するなんて。結局この勉強会も自己満足のためであり、ようやく本題を切り出せた解放感からか本人は既に有頂天だ。

 

 千歌たちは戸惑うばかりだが、誰1人としてこの場を去る者はいない。先輩だから気を使っているのか、それともそこまで俺のことを知りたいのか……? 確かに楓ならみんなの知らない俺の一面を教えてくれるかもしれないが、まさかコイツら本当にこのまま続ける気なの……??

 

 

「みんな顔を赤くして可愛いね! そりゃ愛しのお兄ちゃんの貴重なプライベート情報だもん、聞きたい気持ちは分かるよ。Aqoursのみんなからこんなに好かれちゃって、嬉しいでしょお兄ちゃん?」

「だから、今回は俺に話を振るな……」

「Aqoursの中でお兄ちゃんを神格化してあげるから待っててね!」

「誰も頼んでねぇよ……」

「そんなこと言わずに! ほら、次のシチュエーションに行くよ!」

 

 

 もはや勉強会というより、みんなで俺とあんなことやこんなことをするシチュエーションを想像して、自分がどう行動するかを暴露するゲームになっている。如何にも修学旅行の夜に女子が部屋でやってそうなゲームだ。でもこんな真昼間から、しかも本人がいる前でやることではねぇよな……。

 

 

「おしゃぶりのあまりの気持ちよさに耐え切れず、だらしなく白いのをびゅっびゅしちゃったお兄ちゃん。さて、このあとどうする? はい、国木田花丸さん」

「ふえっ、ここでマル!? んっと……朝ごはんができてるから降りてきて、とか?」

「残念! それはもうちょっと後の話だよ。それ以前にすることがあるんだから。ね? 桜内梨子さん?」

「は、はぁ!? どうして私に振るんですか!?」

「どうしてって、答え分かってるでしょ? ねぇ~?」

「そ、それはぁ……」

「お兄ちゃんのアレ、見たことあるよね? 顔がそう語ってるよぉ?」

「う、ぐっ……!!」

 

 

 あの顔は分かってる顔だな。だが梨子は自分の裏の趣味をAqoursの誰にも言っておらず、R-18の同人誌であろうとも余裕で手を出すその豪傑っぷりは俺しか知らない。

 ん? そう考えると楓はどうして梨子に目を付けたんだ? まあ淫乱ちゃんは相手のピンク思考を読めるらしいし、心が不潔な者同士でどこか惹かれ合っているのかもしれない。現に梨子の微妙そうな表情は、如何にも知っているが恥ずかしいから黙っている顔にしか見えない。そんな梨子とは裏腹に、楓はすっごく嬉しそうだ。人を見下したり煽ったりして遊ぶのが何よりの至高だからなアイツにとっては。

 

 

「はい、それじゃ渡辺曜さん。代わりに答えてあげて」

「え、えっ!? 私!? し、知らないですよそんなこと……」

「あれぇ~いいのかなぁ~? 昨日お兄ちゃんと隠れて何をしていたのか、バラされてもいいのかなぁ~?」

「な゛っ!?」

「か、楓お前!!」

「んふふ~♪ 気付かないと思った? お兄ちゃんが部屋に戻ってきた時に、あんなにオスの匂いをプンプンさせてたのにねぇ~」

 

 

 まさかとは思ったが、やっぱり気付かれてたのか!? 楓も秋葉も何も言わないから安心してたのに……。もしかして秋葉の奴も俺が何をしていたのか察していたりするのかな? でも俺のシていた相手が曜だってよく分かったなコイツ。楓は俺に付着した女の匂いから本人を特定し、あの手この手で貶めるくらいのブラコンだからそれくらいのスキルはあるか。それで納得していいのかは別の話だけど……。

 

 そして当の本人の曜は身を縮ませて、必死に楓からの言葉攻めに耐えている。しかも千歌たちも騒然としており、俺と曜に何があったのか気になってならないようだ。

 

 

「ほらほら、言いふらされたくなかったら答えを言っちゃいなよ」

「うぅ……お、おそう……じ」

「ん? 聞こえないぞ渡辺曜!!」

「お、お掃除です!!」

「ふむ、まぁちょっと言葉足らずだけどそれでもいっか。頑張ったね♪」

「褒められても嬉しくないんですけど……」

 

 

 頑張った、曜は本当に頑張った。小悪魔のねちっこい攻撃をなんとか凌ぎ切り、羞恥心にも負けず答えを公にしたのは称賛に値する。彼女の顔は爆発しそうなくらいに赤くなっているが、唯一安心なのはお掃除の意味を知らない子たちが多いことだ。誰が分かっていて誰が分かっていないのかはみんなの顔色を見れば察することができる。梨子や善子、鞠莉などは頬を染めてそっぽを向いていあるあたり、どうやら俺との情事を想像しちゃっているのだろう。対して千歌やルビィあたりはポカーンとしているが、彼女たちはずっと純真なままでいて欲しいよ。

 

 

「さあ続きだよ。お掃除が完了したら、次は待ちに待った朝ごはんの時間。さて、あなたはどうする? 松浦果南さん」

「えぇ……。対面に座って一緒に頂きますをして、他愛もない世間話で夫婦仲睦まじく盛り上がるとか……?」

「…………」

「…………」

「あ、あれ? みんなどうしたの??」

「いや、意外と乙女チックなこと考えてるんだなぁと思って。しかも夫婦って、私そんな設定なんてしてないのに捏造しちゃって」

「あっ……」

「好きなんだね、お兄ちゃんのこと♪」

「ち、違う!! いや違わなくはないけど、違います!!」

 

 

 さっきまで淫猥ムードが漂っていたが、果南の一途なシミュレーションに場が一気に和んだ。楓もまさかここまで純情な回答が来るとは思っておらず、少々戸惑っている。

 

 果南は先程の曜と同じく発言してから事の重大さに気付いたのか、机に上半身を伏せて誰からも顔を見られないようにした。ちょっとやそっとのことでは取り乱さない彼女だが、やはり恋をすると人間は変わるもの。想いの人のことに関してだけはどうしても鉄壁な心も揺らいでしまうようだ。

 

 

「まあさっきのはさっきので素晴らしい模範回答だけど、この勉強会は無難じゃ意味ないんだよ。さあ気を取り直して、はい黒澤ダイヤさん! 神崎零と一緒に朝ごはん、あなたの取る行動は??」

「ま、またその……は、破廉恥な答えを求めているのでしょう……?」

「私はね、お兄ちゃんと一緒に暮らすうえでの最適解を伝授しているだけだよ」

「またそんな嘘を……。えぇっと、隣の席に座って、寄り添いながら食べさせてあげる……とかですか?」

「残念でした。言い換えればブッブーですわ! ってやつだね」

「私の真似をしないでください!!」

「普通の答えじゃないってことが分かってるはずなのに、わざと無難な答えで外しにいった罰だよ」

「でもダイヤからしてみれば、寄り添って食べさせてあげる行為がエッチな部類なのかもしれないね。可愛い♪」

「なら鞠莉さんはどんな行動を取りますの?」

 

 

 確かにダイヤにしては頑張って捻り出した答えなんだろうが、変態を極めた俺たちからしてみれば彼女の回答はまだまだ純度100%だ。もちろん純情乙女が好きな男性に寄り添ってご飯を食べさせてあげるなんて行為は破廉恥極まりないと思うけどね。

 

 そしてダイヤから直々に回答を指名された鞠莉だが、その表情は余裕そのもの。むしろ自分の答えが絶対に合っている自信しかないようで、もしダイヤから指名されなくても自分から答えていただろう。この勉強会がまともではなく自分たちが辱めを受けると分かっていてもなおこの余裕。たくましいっつうか淫乱思考を拗らせてるっつうか……。

 

 

「それじゃ小原鞠莉さん。答えをどうぞ!」

「ズバリ、机の下でご奉仕タイム♪」

「おっ、正解正解!! 渡辺さんもそうだったけど、Aqoursにも最適解を導き出せる人がいて私は嬉しいよ!」

「やりぃ~! どう先生、見直した??」

「だから俺に振るな。それにどこに見直す要素があったんだ……」

 

 

 ご主人様がテーブルで飯を食っている時に、机の下でメイドさんや奴隷がご奉仕しているシチュエーションは同人界隈やR-18小説ではよくある展開だ。俺もそれなりにそんな光景を夢見ているところはあるのだが、楓がこれを最適解にしてるってことは俺の思考がアイツに筒抜けなのでは……? ま、そんなの今更か。やられたことはないけどね。

 

 鞠莉が放った最適解に、またしても意味を理解している奴としていない奴の温度差が半端なかった。そもそもご奉仕の意味からして、淫乱思考の鞠莉たちと純情思考のルビィたちとでは捉え方が違っている。ことりの講座もそうだけど、このような勉強会は淫乱っ子向けというよりむしろ純情っ子向けではあるから、性教育って観点では方針としては理にかなってはいるんだけどな。講師がただやりたい放題やって自己満足するだけなので、生徒にちゃんと知識が定着できているかは分からないけどさ。

 

 つうか、シミュレーションとはいえ短時間に何回しゃぶられてんの俺……。

 

 

「次が最後のシチュエーションだね。朝のご奉仕はいよいよ大詰め! お兄ちゃんから白い朝ごはんをたっぷり頂いたら、お礼としてやってあげることがあります。さてそれは何でしょう? はい、津島善子さん。最後だからバシッと決めてね♪」

「お礼、お礼……うっ、変なことしか浮かばない」

「それでいいんだよそれで! さぁ、最適解は!?」

 

 

 頭を抱える善子だが、彼女もそっち系の知識はかなり豊富な方だから余計に迷ってしまうのだろう。現在、アイツの妄想には俺との色々なシチュエーションが想像されているに違いない。妄想するだけならタダだけど、それを口に出すとなるとかなりの勇気がいる。だが楓は待ってくれない。楓は善子の席の近くで圧力を掛けるようにニッコリと微笑みかけているから、善子の神経も大きく擦り減らされる。だから言い渋れば渋るほどより言い辛い状況となり、余計に場の空気が悪化するのだ。堕天使が小悪魔にどんどん追い詰められ、善子は頭を抱えたまま悶えていた。

 

 ここで遂に楓の圧力に耐え切れなくなったのか、どうやら覚悟を決めたらしい。

 伏せていた顔を上げると、若干言い渋りながらも意を決して口を開いた。

 

 

「セ、セ、セ……セック――――――!!」

 

 

 本人の名誉のために最後の文字は伏せるが、プライドも全てを投げ捨ててまで彼女はその言葉を最後まで言い切った。

 楓を含め、バルコニーいる俺たち全員が目を大きく見開いて唖然としている。これほどまでにド直球な言葉が出てくるなんて、誰も想像していなかったからだ。こんな暴挙に出たのも、楓によって神経を削られ我慢の限界が来ていたからだろう。しかし、小悪魔に負けずよく言ったと褒めてあげたい。静まった空気に臆して口に出せないのがもどかしいが。

 

 そして、最初に口を開いたのは楓だった。

 

 

「あ、あなた、意外とエッチだったんだね……」

「は、はぁあああああああああああああああああ!? どうせこれが最適解なんでしょ!?」

「いやぁ、私は着替えを持ってきたり歯磨きを手伝ってあげるくらいのことを想像してたんだけど……」

「なんで最後だけ普通の答えなのよ!? 私をハメたわね!? ハメたのよね!?!?」

「ハメたなんて、野外でそんな卑猥な言葉使っちゃダメだよ♪」

「お前が言うなぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 善子の怒号が旅館中に響き渡り、その声はお昼休憩中のμ'sにも聞こえていたらしい。

 つうか善子の奴、相変わらずツイてないというか不幸な奴だな。いや、これは楓の策略が見事だと言うべきか、それとも意地が悪いと言うべきか……。

 

 

 ちなみにだけどこの勉強会で何を学んだかって、俺が妹にやらせたいことが赤裸々になっただけのような気がするんだが!?

 一番の被害者って俺じゃね??

 




 今回は講座回の位置付けでいいのかな……?
 こうして見ると、Aqoursってその手の知識がある子とない子で差があり過ぎな気がしますね。まあその設定も私が考えたので、公式アニメや漫画を見るたびに違和感が半端なくなっちゃうのですが(笑)
 よく小説の感想で「アニメのμ'sに違和感を覚えてきましたwww」と笑いながら文句を言ってくださる方がいるのですが、そろそろAqoursもそんな感じになってきそう……()





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