ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿
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 今回はヤンデレ回……というよりは、ヤンデレを題材としたネタ回と言った方がいいかもしれません。
 これまでラブライブキャラに対して数えきれないほどのキャラ崩壊をさせてきましたが、今回もその歴史に新たな1ページが……?


診断結果「ヤンデレ予備軍」

 

「おぉ~! ここがラブライブ本社? おっきな会社だにゃ~」

「そうだね。私も実際に来るのは初めてだけど、ここまで立派なビルとは思ってなかったら驚いたよ」

「自分の彼女がこんな大企業で働いてるんだ、俺も鼻が高いよ」

「零くんオジサンくさーい」

「ほっとけ……」

 

 

 俺は凛と花陽を引き連れて、ラブライブ本社に来ていた。俺は一度来たことはあるが2人は初めてなので、ネットの画像で見るよりも一回りも二回りもデカいビルに興奮している。そりゃそうだ、だってここはラブライブやスクフェスなどスクールアイドルのイベントを取り仕切っている、言わばスクールアイドル界の総本山だからな。元スクールアイドルの2人が興味を示さないはずもなく、想像以上に立派な建物に釘付けとなっていた。

 

 

「零、花陽、凛!」

「あっ、絵里ちゃん! こっちだよこっち!」

「大声出さなくてもこっちに気付いてるから……」

「集合時間より随分早いじゃない。もしかして、待ちきれずに走ってきちゃったとか?」

「凛は走ろうって言ったんだけど、零くんもかよちんも全然乗り気じゃなくて……」

「だって夏だよ? 日陰を探しながら歩きたくなっちゃうよ」

「スクールアイドルのくせに活発さが足りないよ2人共」

「そもそも俺はスクールアイドルじゃねぇからな」

 

 

 もし仮にスクールアイドルだったとしても、夏の炎天下の中で全力疾走しようなんて思う方が異常だろ。まあこの歳になっても子供ながらに走り回ることが好きな凛に何を言っても無駄だろうが。

 

 そんなことよりも、今日は絵里の紹介でラブライブ本社を案内してもらう手筈となっている。そう聞くと本社に勤めている人をコネにしているようだが、凛と花陽は元μ'sなのでこの会社自体が見学を許してくれたという経緯もある。やはり今のスクールアイドル界隈を育てたのはコイツらμ'sとライバルのA-RISEなので、会社としても感謝してもしきれないのだろう。凛と花陽が本社を見学したがっていると俺から絵里に相談したところ、どうやら上層部は二つ返事で承諾してくれたらしい。そう考えると、μ'sがもたらした社会現象って想像以上に凄まじいんだな。

 

 

「それじゃあ早速行きましょうか。普段は関係者以外立ち入り禁止のところも特別に入室許可をいただいてるから、特に花陽は興奮しちゃうかもね」

「私が……? 私が興奮するってことは、つまりそういうこと??」

「花陽がどこまでテンションが上がるか、今から楽しみだわ」

「もしかしてスクールアイドルの秘蔵映像とか、私の知らない業界極秘の情報とか……? よしっ、零君も凛ちゃんも、早く行こう!!」

「こんなに燃えてるかよちん、久々に見たかも」

「変わらねぇなコイツも……」

 

 

 花陽は高校時代からずっと全てのスクールアイドルのファンであり、μ'sとなって頂点を極めた今でも他のスクールアイドルに興味津々だ。特に共に合宿をしたAqoursや現在人気No.1の虹ヶ咲には注目をしており、どうやらグッズまで集めているという凛からの噂がある。スクールアイドル界隈では自分の方がよっぽど尊敬される存在なのに、下位のスクールアイドルに対してそこまでの熱を注げるのは彼女だからだろう。まあ自分の力を誇示せず謙虚に振舞う様はまさに花陽らしいけどね。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「はいこれ、入館証とセキュリティカードよ」

 

 

 俺たちは社内の待合室で待機し、絵里から会社の入館証とセキュリティカードを受け取った。どうやらこれがないとありとあらゆる部屋に入れないらしいのだが、今時の会社なら普通のことだ。入館証には来客用と書かれており、セキュリティカードと共に紐付きのカード入れに入っている。紐の色は社員用と来客用で分かれており、社員用は青で来客用は赤となっていた。ラブライブ本社のような大きい会社となると誰が社員なのかそうでないかなんてパッと見では見分けがつかないから、この紐の色で認識できるようにしているのだ。

 

 

「花陽もほら、首から下げて」

「う、うん……」

「さっきからスマホで何を見てるの――――って、それ、スクールアイドルたちの集合写真? しかも最近結成したグループばかり。よく知ってるわね」

「えへへ、この手の情報はいつも欠かさないから」

「流石ね。本社の社員がこんなことを言うのもおかしいけど、最近はスクールアイドルの数がとても多くなってきて、私も全てのグループを把握してる訳じゃないのよ」

「もしかして花陽、全部知ってるのか?」

「うん。さすがに公式で動画を上げていないグループまでは分からないけど、一度でも公式サイトにPVを投稿しているグループは全部チェックしてるんだ。どんなグループなのかとか、どんなメンバーがいてだとか、その子たちの自己紹介も含めてね」

「マジかよ。これがガチ勢ってやつか……」

 

 

 花陽がスクールアイドル好きってのは知っていたが、まさかここまでとは思いもしなかった。スクールアイドルが爆発的に増えている今、その全てを把握するなんてよほど好きじゃないと到底成しえないことだろう。まさに全スクールアイドルのファンと言っても差し支えないかもな。

 

 

「かよちんはスクールアイドルのPVを見て、お気に入りの部分があったら切り抜き画像でスマホに保存してるもんね」

「そ、そうだけど、面と向かってそう言われると恥ずかしいな……」

「そうだ、せっかくだから零くんと絵里ちゃんにお気に入りを見せてあげれば?」

「えぇ~だから恥ずかしいって! でもラブライブの本社に来たんだし、ちょっとくらいはいいかなぁ~なんて」

 

 

 口振りでは恥ずかしさを際立たせているが、表情は誇張抜きで太陽のような笑顔だ。めちゃくちゃ俺たちに見せたがってるじゃねぇか……。

 花陽はニコニコしながらスマホの画面を俺たちに見えるようテーブルに置く。スクールアイドルたちの画像や動画が綺麗に仕分けされているのだろう、画面にはいくつかのフォルダが映し出されていた。画像などの電子媒体然り、玩具やカードゲーム然り、収集癖のある人って整理整頓が上手い印象がある。ズボラな俺はどこに何を置いたかとかすぐに忘れちまうからなぁ。

 

 その時、いくつかあるフォルダの中から1つに目が止まった。「aaa」とだけ名前の書かれたそのフォルダは、スクールアイドルのグループ名が書かれている他のフォルダと比べて異彩を放っている。綺麗に仕分けをしているフォルダの中に乱雑な文字あったらそりゃそうだ。でもこれだけどうして適当な名前を付けてんだ……?

 

 すると、すかさず凛が花陽のスマホの画面をタッチして、そのフォルダを開いた。

 

 

「これ、なに?」

「あ゛っ!? り、凛ちゃんそれは!!」

 

 

 凛も俺と同じことを思ったようだが、彼女特有の野生の感は衝動を抑えきれなかったようだ。花陽の制止を振り切って凛は謎のフォルダの中身を開いてしまう。

 

 この時の俺は、いや俺だけじゃなく凛も絵里も中身は気になりつつも、スクールアイドルの画像や動画が入っているものとばかり思っていた。そう、つまり油断していたのだ。

 しかし、そのフォルダの中の画像を見た瞬間、俺たちは凍り付く。

 なぜなら、保存されていた画像には全て――――――俺が写っていたから。

 

 

「こ、これって、俺?」

「凄い、零くんばっかり!」

「花陽、あなた……」

「ち、ちちち違うの!! これはその、仕分けに困った画像を入れておくための場所で……」

 

 

 言い訳が苦しすぎる! どう仕分けを迷ったら俺だけの画像だけがこんなに集結するんですかねぇ……。

 しかもこの画像の中には俺たちの集合写真はもちろんだが、どう撮ったのか分からないアングルの写真まで存在する。俺が飯を食っている最中の写真や、ただ道を歩いてるだけの写真など、明らかに狙って隠し撮りでもしない限りは取れない代物だ。もはやこの画像たちを眺めているだけで俺の全身を舐め回せるくらいには、全方向アングルからの写真が列挙されていた。

 

 写真の多さで言えば楓も俺の写真を国宝のようにコレクションしているが、この画像たちはそれに匹敵するくらいの枚数だぞ……。

 

 

「は、花陽は本当に零のことが好きなのね! あ、あはは……」

「絵里ちゃん! その慰めは逆に傷付くから!!」

「かよちんは零くんの写真をいっぱい集めて、何をしようとしてるの?」

「だからと言って冷静に質問されるのも恥ずかしいよ!!」

「お前もμ'sの淫乱組と同類だったか……」

「ドン引きするのもやめてぇえええええええええええええええ!!」

 

 

 ことりや楓が俺の写真をたくさんコレクションしているのは知っていたが、まさかコイツまで写真の収集癖があったとは。淫乱組とは違って風呂やトイレの盗撮映像はないみたいだが、それはアイツらが特殊なだけで、花陽のやっていることも相当悪趣味だ。好きな人の写真なんだから集めても何らおかしくないと思うかもしれないが、そうだとしたらせめて隠し撮りはやめてもらいたいもんだよ。

 

 

「それにしても凄い量ね。いつどうやって撮ったのか想像つかないのもあるわ」

「そ、それはみんなと一緒に歩いてる時に後ろからこっそりとか、大学のキャンパスで零君をたまたま見かけた時とか……」

「かよちん……」

「凛ちゃん!? 凛ちゃんからそんな目で見られたら、もう私に味方いなくなっちゃうよ!?」

「いいよいいよ! だってただ恋人の写真を集めてるだけだもんね。うん、集めてるだけ……」

「自分で言ってて納得してないよね!?」

「いくら親友でも相手の趣味が受け入れられないことだってあるだろ。でもそれで友情が破壊される訳じゃない。だから挫けんな」

「いい話に持っていこうとしてるけど、気休めでしかないよ……」

 

 

 気が動転しているのか、普段のおとなしい彼女とは思えないくらい饒舌だ。しかしどんなに弁明しようとも、目の前に曝け出された事実には到底かなわない。いつでも花陽の味方であり大親友である凛でさえも、今回の花陽の奇行は流石に受け入れ難いようだ。この写真たちが普通に撮影したものならばこうはならなかっただろうに、ところどころに隠し撮りを疑われる写真が混じっているのが花陽の胡散臭さを加速させている。やっぱり、いくら表が清純な奴でも裏で何をやってんのか分からねぇな。

 

 

「これって、俗に言う"ヤンデレ"ってキャラだよね? まさかかよちんがヤンデレさんだったなんて……」

「違うよ! 私が病んでるとか、そんなの絶対にあり得ないから! 健全、うん、健全なはず」

「ヤンデレを拗らせてる人ほど自分の異常さに気付かないって、この前にこと飲んだ時にそんなことを言ってた気がするわ。つまり花陽は……」

「絵里ちゃんまで!? これまで私が病んでる姿、見たことある?」

「「「今でしょ」」」

「う゛っ……」

 

 

 何とか俺たちに対してマウントを取ろうとする花陽だったが、質問の洗練さが足りなかったのかあっという間に図星を突かれる。ここまで弄られる花陽も珍しいけど、彼氏としては自分の恋人の奇行を放っておくわけにもいかない。ここまで俺の写真を収集しているのは欲求不満なのか、それとも好奇心で集めているだけなのか。どちらにせよ花陽に対する警戒心が一気に高まったのは事実だ。

 

 μ'sには学年ごとに1人不思議ちゃんがいて、ことり、花陽、希、亜里沙がその部類に入る。だが花陽はその中でも飛びぬけて常識人なので、花陽、凛、真姫の世代は危険もなく無難な子たちばかりが揃っていると思っていた。

 だが今回でその根底は大きく崩れてしまう。まさか人の写真を無断で隠し撮りして収集するような奴が無難世代の中にいたとは……。まあその色物揃いの集団こそがμ'sの特徴でもあるのだが、だからと言って擁護するつもりもない。ヤンデレは可愛いけど苦い思い出もあるし、女の子のあらゆる属性の中でも扱いが大変なんだよ。

 

 

「大丈夫。凛はどんなかよちんであっても親友であり続けるからね」

「まだ病んでるって認めてないよ!?」

「確かに写真を集めてるだけでヤンデレ判定をするのは、流石にヤンデレに対するハードルが低すぎる気もするな。どこからどう撮った写真がある時点で不気味さはあるけど、その要素だけでヤンデレと決めつけるのは一概じゃない」

「ことりとかにことか、楓ならともかく、花陽だからまだ救いはあるかもね」

 

 

 サラッとそう呟く絵里だが、それは逆に言えばことり、にこ、楓の3人は救いようのない変態ってことじゃないか? まあ事実だから弁明なんてしないけど、絵里のちょっと天然さが混じった容赦ない発言にはいつもビビらされるよ。

 

 つうか、絵里の目線から見てもアイツらは救いようがないと判断してるのか。そういや俺も昔はことりやにこを更生させようとしたことがあったけど、アイツらの勢いが半端なさ過ぎて結局諦めたんだよな。そういう意味ではアイツらの方がよっぽど猟奇的なほどにヤンデレの素質があるので、花陽はまだ可愛いものかもしれない。

 

 

「分かった。花陽が病んでるかどうか確かめるためにも、ちょっくら診断してみるか」

「診断?」

「あぁ。とは言っても質問に正直に答えてくれればそれでいい。質問は俺が用意して、それを絵里から出題させるから」

「えっ、どうして私が?」

「コイツの病んでる原因である俺が質問をしたら、花陽が正直に受け答えできないかもしれないだろ?」

「別にあなたが原因じゃないと思うけど。本人の精神がちょっと不安定なだけで」

「う゛っ!!」

「かよちん!? 絵里ちゃんの会心の一撃で、かよちんのライフが0だにゃ……」

「言うようになったなお前も。いや、恐ろしくなったと言うべきか」

「そ、そんな花陽を虐めるつもりはなかったのよ!? ただ社会人になって、自分の意見は包み隠さずはっきりという根性が身に着いちゃっただけで……」

 

 

 ここまで己の考えを真っ向から放つその性格は、アイスエイジと呼ばれていたμ's加入前の絵里のようだ。むしろあの頃よりも言葉の鋭さが磨かれており、やはり社会の荒波を経験しているだけのことはある。しかも彼女はラブライブ本社の企画部なので、自分の意見を貫き通すスキルはかなり洗練されているだろう。こりゃ絵里の質問をさせたら、全ての質問を終えるまでに花陽がノックアウトしちゃうかも……。

 

 

「かよちんがことりちゃんたちと同じ部類になっちゃうのか、それとも……?」

「凛ちゃん、なんか楽しんでない?」

「そんな! 親友の一大事なんだから焦ってるに決まってるにゃ!」

「顔!! 顔とっても笑ってるから!!」

「安心しろ。お前がヤンデレを拗らせようが、俺たちは受け入れるよ。なんたって他の奴らで慣れちゃってるからな」

「治してやるって言ってくれないあたり、もう諦めてるよねそれ……」

 

 

 触らぬ神に祟りなしって諺があるように、ヤンデレちゃんに対しても下手に刺激をしない方がいいんだよ。かつてこれまで何度もヤンデレの相手をしてきて、何度も殺されかけた俺ならそれくらいの心構えはできている。言ってしまえば、()()()と一緒に暮らしているから病みやすい女の子の扱い方なんて世界トップクラス、いやトップと言い切っていいと思うぞ?

 

 さて、これから花陽の内情を赤裸々にして暴いてやるか。

 凛は親友の奇行に対し、もの珍しさで楽しんでいるけど、実は俺もそうだったりする。でもこれで本当にヤンデレだと診断結果が出た場合、一体どんな反応をしてやればいいのだろうか……? 自分から提案しておいてアレだけど、ちょっと怖くもなってきたぞ。

 

 

 こんなおっとりしていて清純な子がねぇ……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 最近はラブライブに限らずヤンデレを扱った小説が増えていますが、なんかヤンデレ判定のハードルが低い印象があります。完全に私の主観ですが、猟奇的な要素が足りないと思っています。今回の話もそれをネタにしてますね(笑)

 ヤンデレ小説は日常的なモノも然りですが、私の『非日常』のようなドロドロした展開も好きなので、また誰かラブライブでそのような小説を執筆してくれることを勝手に願っています()

 次回は花陽のヤンデレ診断です。花陽以外にも何人か診断を受けるのですが、果たしてその結果は……??


新たに☆10評価をくださった

ニャン生さん

ありがとうございます!
まだ評価を付けてくださっていない方、是非☆10評価を付けていってください!
小説執筆のやる気と糧になります!


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