ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿
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 スクフェスの前夜祭、後編です。
 物語は、裏でひっそりと動き出す――――


動き出す運命

 

 

「千歌ちゃん、大丈夫かな……」

「アイツのことだ、飯食っとけば治るだろ」

「雑っ!?」

 

 

 穂乃果とA-RISEに失礼なことを言ってしまったと後悔全開の千歌は、梨子に連れられて再びビュッフェ会場へと戻った。ショックのあまり口から魂が抜けているその姿を見ると、明日からのスクフェスで上手くライブができるのか少し心配ではある。でもアイツは凹みやすいが立ち直りも早いので、飯でも食わせて気を紛らわせてやれば割とすぐ元に戻るだろう。

 

 

「そういえば、秋葉さんは来てないの? 零君をこの会場に入れてくれたのは秋葉さんでしょ?」

「さぁな。でも来てないと思うぞ? アイツはパーティみたいな騒がしい場所が苦手だから」

「そうなんだ。聞きたいことがあったのになぁ~」

「聞きたいこと?」

「うん。穂乃果たちって、差出人が分からない人からの招待状でスクフェスに参加してるでしょ? 秋葉さんなら調べられるかなぁと思って」

「もしそれで差出人が分かったらどうすんだ?」

「お礼がしたいんだよ! スクフェスに参加させてくれてありがとうってね!」

「えらくポジティブだなお前……」

 

 

 そうだ、長らく忘れてたけど、スクフェスの招待状問題が残ってたな。1ヵ月半前、俺の家にμ's宛てのスクフェス招待状が届いた。一体誰が送ってきたのか、解散したμ'sへ招待状を送った理由や、どうしてμ's宛てなのに俺の家に届けたのか、何もかもが謎のままだ。最初は得体の知れない招待状に警戒心を抱いていたが、穂乃果の意向によりμ'sは再結成され、世間から再び注目を浴びる結果となった。歩夢たちとの衝撃的な過去、Aqoursとの色恋沙汰等、絶え間ない非日常に浸かっていたせいか、いつのまにかその謎を解決することすらも忘れちゃってたな。

 

 ちなみにその件については、ラブライブ本社で働いている絵里と希が調査をしてくれていたはずだ。だけどその結果は乏しく、何1つ差出人の尻尾を掴むことはできなかった。一企業を欺けるほどの技術を持つ奴を考えれば自ずと答えは出そうだが、一切証拠がないため確信ではない。謎だらけで気味が悪いのは確かだが、俺としてはμ'sが再びステージ上で見られるのが楽しみでならない。だから、一概に招待状を送り付けてきた奴を否定することもないんだ。

 

 

「ま、スクフェスに出てれば何らかの形で姿は現わすだろ。わざわざ解散したμ's宛てに招待状を作るくらいだし、相当なファンだろうからな」

「だといいんだけどなぁ。そのためには、スクフェスを勝ち抜かないとね! いい結果を出さないと、その人が帰っちゃうかもしれないし」

「そうだな。でないと俺の方が先に帰っちまうぞ」

「え、流石に白状過ぎない!? 恋人たちの雄姿を見届けようとは思わないの!?」

「ちょっ、お前こんなところで()()()()とか言うなって!」

 

 

「随分と仲がよろしいんですね、お二人とも」

 

 

「こ、これはちがっ――――って、歩夢!?」

「私もいますよ!」

「あっ、かすかすちゃんだ!」

「あ゛ぁん? かすみですけど!?」

 

 

 そういやそのあだ名で呼ばれるのは嫌いだったなコイツ……。かすかす、カスカス、うん、馬鹿にされてるようにしか聞こえねぇわこれ。

 俺たちの話に割り込んできたのは、虹ヶ咲の歩夢とかすみだった。穂乃果や千歌とは違い、肉山盛りの皿を持っていないだけで彼女たちのしたたかさを感じられるが、歩夢は片手に、かすみは両手にスイーツ特盛の皿を持っているのでプラマイゼロである。つうかケーキにチョコフォンデュにプリン、クレープにあまおう苺にパフェって、もう見てるだけでも胸焼けしそうだ。これだけの甘いモノを平気で平らげようとするんだから、女の子って男にはない胃袋を持ってるよな……。

 

 そんなことより、さっきの会話を聞かれてないよな?? 秋葉から俺とμ'sの関係は聞いているだろうが、極力自分から複数の女の子と付き合っていることを暴露したくない。そもそも暴露することに何のメリットもないしな。

 

 

「歩夢ちゃんたちも来てたんだね! 会場も広いし人も多いから、全然気付かなかったよ」

「実はさっき来たばかりなんですよ。練習に熱を入れてたら遅れちゃって」

「えっ、スクフェスは明日からだよ? 休まなくても大丈夫なの!?」

「かすみたちは抜かりないですからね。これでμ'sもA-RISEも、みんなけちょんけちょんです!」

「す、凄い自信だね……」

「フッフッフ、なんたってかすみたちは事前投票1位ですから! 世間の皆さんもかすみたちの実力を分かってるってことですよ! あーはっはっはっ!!」

 

 

 かすみは腰に手を当てて、ない胸を張って高らかに笑う。先輩スクールアイドルへの失礼な態度で弁解しようのない嫌味だが、さっきの千歌とは違って悪びれる様子は一切ない。むしろ相手を蔑む目的で、上から目線で威張り散らしているのだろう。態度は明らかに傲慢だけど、言い返すにも言い返せないのでもどかしくはある。虹ヶ咲がスクフェスの事前人気投票で1位なのは事実だし、PVでも自分たちの実力を遺憾なく発揮、μ'sを黙らせるほどの魅力を見せた。だからこそコイツの嫌味には相当な説得力があるのだ。

 

 とは言うものの、小柄なかすみが威張っても、ただの小悪党にしか見えない。嫌味を振りかざされているはずなのに、その姿がどこか可愛く見えちゃうのはもはやご愛敬だろう。現に穂乃果ものほほんとした表情をしており、頬を緩めた暖かい笑顔を彼女に向けていた。

 そもそもの話、穂乃果は図太いから安っぽい挑発ごときではビクともしないだろうがな。

 

 

「な、なんですかその顔は!? ほらもっと悔しがってもいいんですよぉ~?」

「かすかすちゃんは可愛いねぇ~♪」

「こ、こら頭を撫でるな!! って、かすかすって呼ぶなぁ゛あ゛あああああああああああああああああああ!!」

「相変わらずよえぇな……」

「でもこれが微笑ましいんですよね。だからこそ許しちゃうって言いますか。まあ先輩への態度はちょっと、いやかなり失礼ですけど……あはは」

 

 

 かすみの頭を撫でる穂乃果に、穂乃果をぽかぽか殴るかすみ。さっきまでは意気揚々とマウントを取っていたくせに、一瞬のうちに攻守逆転で手玉に取られている。いつもマウントを取られまくっている穂乃果にすら負けるとは、知り合いの女の子の中で1、2を争うほどのチョロさ具合だ。こりゃ真姫や善子といい勝負だな……。

 

 それにしても、海未然り、梨子然り、どこのスクールアイドルも苦労人はいるもんだ。歩夢も歩夢でいきなりキスをしてきたり、浴衣を捲ってアピールしてきたりと大胆な行動をするが、それですら常識人の部類なんだから俺の周りの女の子がいかにぶっ飛んでいるか分かる。その中でも虹ヶ咲の子たちは恋する乙女の印象が強いから、割と真面目な集団かもしれない。でももし付き合い始めたら、過去による(たが)が外れて性格が急変しそうな奴もいそうだけど……。ほら、ことりみたいな奴だよ。

 

 

「ほらかすみちゃん、そろそろ行くよ」

「えっ、もうそんな時間なんですか? うぅ、もっと零さんと一緒にいたかったのに……」

「何かあるのか?」

「はい。スクフェスの特集番組内で明日への意気込みというインタビューコーナーがあるんですけど、私たち、それに参加するんです」

「なにそれ!? 穂乃果たち呼ばれてないんだけど!!」

「あーはっはっはっ!! これがμ'sとかすみたちの実力差ってやつですよ!!」

「こらっ」

「ふにゅっ!? あ、歩夢さんチョップは禁止ぃ~!」

 

 

 かすみは涙目になり、頭を抱えながら蹲る。見てるだけでも結構なパワーで手刀が振り下ろされてたから、意外と容赦ねぇんだな歩夢って。多少だろうが頭に刺激が加わると脳細胞が破壊されるから、あの力で衝撃を加えられるとバカに……いや、かすみは最初からバカだったか。

 

 そして、かすみは歩夢に引っ張られる形でこの場を去った。あれだけ威張っておいて、最後の最後ではここにいる誰よりも扱いが底辺なことに嘲笑うことしかできない。しかし、あれでも一途に俺のことを想い続けてくれた乙女なんだよな。むしろ十数年ぶりに俺に会えたからこそ、ようやく本当の自分を曝け出すことができたのかもしれない。そう考えると、もう少し側にいてやればよかったかな? いや、この同情を誘うことがアイツの作戦だったのか。ま、これからはいくらでも一緒にいられるんだし問題ないだろ。

 

 

「さて、俺も行くかな」

「えっ、帰っちゃうの?」

「いや、トイレだよトイレ。まさかそこにまでついて来るとか言い出さねぇだろうな?」

「う~ん、零君がよければ?」

「スクフェスの前夜祭会場で、男女2人が一緒にトイレとかスキャンダル以外の何物でもないからやめろ」

「高校時代の零君なら絶対に誘ってたのに」

「そりゃあの頃は思春期真っ盛りだったんだから仕方ねぇだろ」

「今も脳内思春期のくせに♪ あっ、もうすぐA-RISEの舞台挨拶があるから、穂乃果もみんなのところに戻るね」

 

 

 こうした余計な冗談が間髪入れずに繰り出されるあたり、俺と穂乃果が他のスクールアイドルよりもどれだけ付き合いが深いかを実感できる。合同合宿の時もそうだったけど、他の女の子たちと一緒にいる時間が増えるたびに、μ'sと一緒にいる時の安心感がより浮き彫りになっていく。やっぱり女の子と付き合う上で、相手のことをよく知っておくのは重要だよな。会話のペースもテンポもμ'sだと段違いだから、話しやすいのなんのって。

 

 気付けば、会場の前方付近に多くの人が集まっていた。もうすぐA-RISEの舞台挨拶だから、それを見たさにスクールアイドルたちが集まっているのだろう。舞台挨拶とは言ってもスクフェスの参加者代表の選手宣誓みたいなものだから、彼女たちが今から特別何かをするって訳じゃない。でもA-RISEがステージに上がっている姿そのものを生で見られることが貴重だから、ああやって人がごった返しているんだと思う。プロのアイドルの生中継だもんな、そりゃそうなるわ。

 

 だけど、みんなの注目がステージに集まっているのはこちらとしても好都合だ。俺も行きたいところがあったんだけど、下手に動くと目的地に着くまでにたくさんの女の子に話しかけられそうだったからさ。

 

 

 前夜祭の会場となっているホールを出ると、階段を上って2階へ上がる。行き先はトイレ……ではなく、1階のホール全体が見渡せる、いわゆるVIPルームと呼ばれる部屋だ。もちろん俺は裏口入場なので、そんな大層な部屋には招待されていない。そもそも高級ホテルの大会場を見渡せるくらいの席ともなれば、俺たちの想像を遥かに超える金を貢がないと入れないだろう。

 

 俺はホテルの他の部屋とは違う、ロイヤルなドアの手前まで辿り着いた。見るからに傷付けることすら憚られる高級さだが、そんなことは関係ない。

 足を大きく振りかぶり、使い古された汚いスニーカーの裏でドアを蹴破った。

 

 

「おい、いるんだろ?」

「も~うっ! 乱暴だなぁ全くぅ~」

 

 

 スイートルームでは、秋葉がいつもの白衣姿で優雅にワインを嗜んでいた。多少酔っているのか俺が乱入してきたことにすら驚かず、何故か腹立つ表情でニヤけている。コイツが姉でなければ、顔面を一発殴っていたところだ。

 

 

「さっきから俺たちのことをジロジロ見やがって。覗き魔にでも転職したか?」

「失礼な! 大好きな零君を観察してたんだよ♪」

「意味一緒だろそれ……。むしろストーカーっぽいからヒドくなってるし」

「たくさんの女の子に囲まれてる零君を、スイートルームで優雅に見下す私。う~ん、快感♪」

「それが目的だったか……」

 

 

 やはりコイツは自分が心地よくなることしか考えていない。なるほど、俺を前夜祭に招待した理由はこれか。

 スイートルームの四方の壁の1つはガラス張りになっており、2階席から丁度1階のホール全体を見渡せる。しかもマジックミラーになっているようで、1階からこの部屋の様子を伺うことはできない。見れば秋葉の持っているリモコンで会場の音声を自由に操作して聞くことも遮断することもできるみたいで、思っていた以上にVIPな席だった。高級ホテルのホールだからオーケストラやコンサートにも使われるだろうし、本来はそのためのVIP席なんだろう。弟のハーレム姿を見て悦ぶために使うとか、そんな贅沢で勿体ない使い方をしたのはコイツだけだろうな……。

 

 

 秋葉の豪遊っぷりに呆れていると、突然部屋が急に暗くなった。部屋というよりもホール全体の証明が落ちたから、この部屋に明かりが入って来なくなったと言った方がいいか。

 ホールを見てみると、ステージだけに照明が当てられている。今はホールの音声がこの部屋に入って来ない設定になっているようだが、ステージの前にスクールアイドルたちが集まっているところを見れば、今からA-RISEの舞台挨拶が始まるとすぐに分かった。2階席だからステージも全体を見渡せるし、女の子たちの頭もたくさん拝める。なんか、秋葉が快感に浸っていた気持ちが少し分かる気がするよ。これだけの女の子を見下せるなんて、俺もちょっと興奮するもん。

 

 

 秋葉はテーブルにワイングラスを置いて立ち上がると、鏡越しに会場を見下す。

 さっきまで酔っ払って陽気な雰囲気だったのに、突然我が子を見守るような微笑ましい表情に変わる。コイツには母性なんてモノを感じるどころか、普段の立ち振る舞いは悪戯好きな子供そのものだから、そんな表情をするのは珍しい。

 

 

「あの子たち、いい顔してるよね」

「あの子たちって、歩夢たちのことか? それともμ's、Aqours?」

「みんなだよみんな。優勝を目指す理由は違えど、みんな同じ夢を持っている。あなたに自分たちの魅力を伝えるっていう、一途な夢をね」

「これだけたくさんの女の子たちから好かれるなんて、数年前は思ってなかったけどな。μ's以外の女の子となんて考えたことなかったから」

「ホントに、いつからこんなにモテるようになっちゃったんだろうね」

「昔の俺のおかげかな。歩夢たちを命懸けで助けた理念が、記憶を失っても俺の身体に染みついてたせいだよ。女の子に悲しみを感じて欲しくないっていう、至極単純な理念だけどさ」

「フフッ……」

「なんだよ?」

「いや、べっつにぃ~」

 

 

 恥ずかしい発言をしていることは自覚してるけど、誰かにバカにされる言われはない。でも秋葉の笑みはどこか含みがあるというか、相変わらず考えていることが読めない。また何かくだらないことを企んでいるのか、それとも本当に感傷に浸っているのか。これでも身内に対する愛は人一倍持っている方だから、含み笑いをしているからと言って一概に怪しいとは思えないんだよな。

 

 

「さて、突然ですがここで問題です。私が好きな笑顔は零君の笑顔ですが、実はもう1つあります。それは誰の笑顔でしょうか?」

「ホントに突然だな……。つうか、俺の笑顔が好きなんだ」

「可愛い弟の笑顔だからね、そりゃ好きだよ。他にももう1つあるけどね」

「お前さっき言ってたじゃねぇか。歩夢たちのじゃないのか?」

「ブッブー! まああの子たちのも好きっちゃ好きだけど、1番は――――」

「1番は?」

「自分自身の笑顔でしたーーっ♪」

「分かるかそんなもん」

 

 

 秋葉は無邪気な笑顔で問題の解答を明かす。分かるかと文句は言ったものの、コイツの性格を考えれば自分のことが一番好きだなんて分かり切ってるから、よく考えれば正解できていたかもしれない。まあ正解したところで何が嬉しいんだって話だが……。

 

 そもそも、コイツがどのような意図で問題を出題してきたのか、全くもって意味不明だ。人の笑顔を語るなんて甚だ似合わないくせに、ここへ来て虹ヶ咲の成長に感動したか? どうやら俺が記憶をなくしたあの日から、コイツと虹ヶ咲は長く深い関係にあるようなので、我が子のように見守りたくなる気持ちは分からなくもない。歩夢たちは俺と再会して、ようやく本来の笑顔を取り戻せたんだもんな。だから秋葉にとっても嬉しいことなのかもしれない。

 

 

「くだらない茶番どうでもいい。俺が聞きたかったのは、こんなところで覗き魔をしてるのはどうしてかってことだ」

「みんなの眩しい笑顔を一度に眺めたいから……は理由になってない? それ以上でもそれ以下でもないよ。みんなの笑顔を見てると、私まで笑顔になれちゃうからね」

「お前、そんなに他人に興味あったか? いつものお前なら、誰がどうなろうがお構いなしのはずだ。なのに今は笑顔笑顔って、らしくねぇな」

「スクフェスはμ'sにとってもAqoursにとっても、そして虹ヶ咲のみんなにとっても特別だからね。特別だからこそ、みんなはいつも以上の輝きを見せてくれる。一度にこれだけの笑顔が見られるんだもん、私だってテンション上がっちゃうよ」

「こんなこと言うのも失礼かもだけど、似合わねぇな」

「失礼と分かりながら敢えて踏み込んでくるその横暴さ、嫌いじゃないよ♪」

 

 

 今まで散々人を発明品の実験台にしてきたくせに、ここへ来て善人気取りとかマジかコイツ。既にお前への評価は最底辺なのに、改めて好感度アップを図ろうとするその計略、ちょっと腹立つよな。

 まあでも虹ヶ咲の子たちを小さい頃から面倒を見ていたのは事実なので、我が子の成長に感動する気持ちも少しはあるのかもしれない。仮に自分の子供がμ'sやAqoursたちと同じ舞台に立てると知ったら、そりゃ感傷に浸ってもおかしくないわな。つまり、悪魔の研究者の異名を持つコイツにも、まだ人間の心があったってことか。コイツが何かに感動するとか、誰かに期待を抱くとか、そんな様子を生まれてこの方一切見たことないから驚いたけどね。

 

 

「私はね、この時をずっと楽しみにしてたんだよ」

「スクフェスをか? お前がお祭りを楽しみにしてるなんて、世界の方が狂ってんのかなこれ……」

「確かに騒がしいのは好きじゃないけど、今回は特別。楽しみすぎて、最近は8時間しか眠れないんだから」

「十分じゃねぇか……」

 

 

 それに騒がしいのが好きじゃないって、毎回の騒ぎの元凶が自分だってことを自覚してんのかなコイツ。しかしそんな諸悪の根源でも、子供のようにはしゃいでしまうほど楽しみなイベントがあるってこった。わざわざこんなスイートルームを借りて前夜祭を満喫するくらいだから、本人が如何にスクフェスにお熱なのかが分かる。スクールアイドルの晴れ舞台に何かやらかすのかと警戒していたが、取り越し苦労で杞憂に終わりそうだ。

 

 

「じゃ、俺行くわ」

「あれ? もう?」

「ツバサたちの舞台挨拶をちゃんと見ておかないと、後で感想を求められた時に詰むからさ」

「相変わらず女の子に大人気だね。嫉妬するくらい」

「それは俺が人気者だからか? それとも女の子としてか?」

「ははっ、どっちだろうねぇ~」

「ったく……それじゃあな」

「またね――――――――――次に会う時は、終わった時かな」

 

 

 部屋を出る間際に聞こえた言葉。終わった時って、スクフェスの会場には一切顔を出さないつもりなのか? それか今回のようにまたVIP待遇の席で優雅にスクフェスのステージを観覧するとか? だとしたら会う機会はないだろうけど、どういう意味だったんださっきの……。

 

 

 

 A-RISEの舞台挨拶で会場が大きく活気付き、スクフェスに参加する全てのスクールアイドルが明日の意気込みを新たなモノにしていた。全力で楽しむ者、優勝をもぎ取ろうとする者、様々な気持ちが交錯してスクフェスを盛り上げている。俺も秋葉ほど表には出さなかったけど、女の子たちの晴れ舞台に心が躍り、子供ながらにテンションが上がってしまいそうな気分だ。

 

 遂に明日から3日間、スクールアイドルのためのスクールアイドルによる祭典が行われる。スクールアイドルとして参加する訳でもないのに、この盛り上がり様を見てると血が滾ってくるな。

 

 

 

 

 そんな中、スイートルームに残った彼女は、1人になった部屋で笑みを浮かべていた。

 

 

「そうだよ零君、ようやく始まるんだよ。この十数年、私がこの時をどれだけ楽しみにしていたか。フフッ……アハハ、だめだめ、今から笑いが止まらないよ♪ 例えどんなことがあっても、笑顔を忘れちゃダメだよ? 零君、みんな……フフ♪」

 




 μ'sやAqoursもそうですが、各グループごとに描くのが特に楽しいキャラが必ず1人は存在します。虹ヶ咲の場合は今回も登場した中須かすみで、嫌味ったらしいキャラでありながらも、小悪党かつマスコットっぽくて可愛いところが執筆していて楽しいですね!

 読者の皆さんは、この小説のこのキャラが好き――とかありますか??


 次回はスクフェスの1日目。スクールアイドルたちにとっては、決勝ステージの枠を争う予選となります。



新たに☆10評価をくださった

Ryouma5151さん

ありがとうございます!
まだ評価を付けてくださっていない方、是非☆10評価を付けていってください!
小説執筆のやる気と糧になります!



 ここからは別件となりますが、2年以上前に開催されていた『ラブライブ!』の企画小説を久々にやることになりました!

【概要】
 参加者各々が好き好きにラブライブ小説を執筆し、それらを私が毎日1話ずつ投稿するというものです。作家ごとに世界観や登場させるキャラも違うと思うので、毎日新鮮な気分でラブライブワールドを楽しめると思います!

【参加について】
 ラブライブ小説を執筆している人はもちろん、これまで書いたことがない人で『実はこういうネタを持っていたけど、書く機会がなくて……』みたいな人でも大歓迎です!
 小説の提出期限等の詳細は私のTwitterの固定ツイートをご覧ください。
 また、参加表明はTwitterでもハーメルンのメッセージでも、私に伝わる者であればどんな方法でもOKです。


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