ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回はらぶくえ編パート2です。
 そこまで長編にする気もないのでサクサク進みます。そしてギャグ要素強めと言いながらも、結構RPG要素を入れてしまうほどRPG好きでゴメンなさい(笑)


ラブライブクエスト2~進撃のにこにー軍団~

「わぁーー!!大きな街だね!!」

「遠くから見るよりも相当だな。まさしくゲームの中の街って感じだ」

 

 

 俺たちは、スタート地点から見えていた、お城の城下町の入口に立っていた。

 入口前の広場には大きな噴水があり、あちらこちらに大勢の人が行き交う。街中にはレンガで作られた西洋風の建物が軒を連ね、お城への道を席巻している。まさにファンタジック。ゲーム好きな俺や穂乃果だけでなく、普段ゲームをしないことりや海未もその街の内観に見とれていた。

 

 

 ちなみにここへ来るまでの道中、モンスターをある程度倒してレベルを3まで上げた。まだ魔法に慣れない穂乃果に可愛い系のモンスターに見惚れることり、ビキニアーマーにより羞恥に悶える海未、この3人の統率を取るのは一筋縄じゃいかなかったがな……。

 

 

「くんくん……あっ、美味しそうな匂いがする!!」

「おい、穂乃果!!」

「あはは、ゲームの世界でも穂乃果ちゃんらしいね……」

「この人混みですから、下手をすれば迷子になってしまいますよ」

「全くアイツは……!!」

 

 

 穂乃果は人混みを掻き分けながら屋台が並んでいる場所へ走っていってしまった。よりにも寄って自分から迷子になりに行くとは……とんだ自称魔法使いだ。

 

 

 俺たちも人混みの間を縫いながら穂乃果を追いかける。

 

 

「でもよかったな海未。同じビキニアーマーを着た女戦士たちが街にたくさんいて」

「…………斬りますよ」

「別に馬鹿にしてねぇから!!」

「やっとこのコスプレにも慣れてきたのです。もう蒸し返さないでください」

「慣れたのか……」

 

 

 意外にも海未はビキニアーマーを着こなしている。街へ向かっている時に聞いたのだが、本人曰く着心地だけはいいらしい。いくらエロい構造でも鎧は鎧、戦闘には支障がないように作られているのだろう。だが男の俺からすれば気が散りまくりなのだが……。

 

 特に剣を振り上げた時に見える、海未の腋が…………ゴクリ。

 

 

 

 

「あっ、穂乃果ちゃんいたよ!!…………あれ?」

「どうしたことり?」

「あそこ、穂乃果ちゃんと一緒にいるのって……」

「あ、あれは……!!」

 

 

 奇しくも鼻なら穂乃果並みの自信がある俺とことりは、美味しそうな匂いを辿って穂乃果をすぐに見つけることができた。できたのだが、穂乃果は屋台の前で誰かと楽しそうに話し込んでいる。それは俺たちがよく知っている人たち――――

 

 

「花陽!!凛!!」

「あっ、零君たちだ!!」

「やっと会えたにゃーー!!」

「おっと」

 

 

 凛は弾丸のように俺の胸へ向かって飛びついてきた。この抱き心地はまさしく本物の凛だ。

 だが、この鼻を突き刺すようなこの匂いは一体なんなんだ!?コイツからやけに香味の効いた刺激のある香りが漂ってきて、俺の鼻の奥を刺激する。俺はその刺激に耐え切れず、思わず鼻を手で覆ってしまう。

 

 

「凛、お前この匂いは……!?」

「匂い?あぁ、それは多分これのせいだにゃ」

「これ……?」

 

 

 凛は自分が飛び出してきた屋台の看板を指差す。そこに書かれていたのは――――

 

 

 

 

『激辛ラーメン凛々亭』

 

 

 

 

 看板には燃える炎の絵と共に、屋台の名前が高らかに掲げられていた。見てるだけでも口の中が辛味でヒリヒリしてきそうだ。それにしても、ファンタジーの世界なのにラーメンとは……世界観もへったくれもねぇな。

 

 

「お前、ラーメン屋やってんのか?」

「うん、気が付いたらラーメン屋の店主になってたんだ。初めはゲームの世界って言われて戸惑っちゃったけど、一度でいいからやってみたかったんだよね♪」

「お前……自分で作って自分で食ってるだろ。香辛料の匂いがプンプンしてるぞ」

「い、いやぁ~あまりにも美味しくって……」

 

 

 頭を掻く凛は飼い猫のようで愛くるしくて可愛いのだが、コイツが喋るたびに香辛料が効いた匂いが俺の鼻に侵入してきやがるので素直に可愛がってやることはできない。もう鼻の中が燃え上がってしまいそうだ。

 

 

「花陽はおにぎり屋なのですね」

「うん!!色々なお米でたくさんおにぎりが作れるので、もう感激です!!皆さんもお一つどうですか!?零君もどうぞ!!」

「むぐぅ!!!!」

 

 

 花陽は屋台を飛び越えて、俺の口におにぎりをギューギューと押し付ける。

 

 目の色が邪悪に染まり、人の口に無理矢理おにぎりをねじ込むその姿は、そこら辺にいるモンスターよりも邪気を放っていた。それ以前にこの街周辺のモンスターはほぼ可愛い系のモンスターばかりだったが。

 

 そんなことを思っている間にも、花陽は俺へおにぎりをねじ込むことをやめない。はぁはぁと興奮の吐息を漏らしながら、無言のまま俺の顔をガッチリホールドして――――ぐぅうううう!!もうダメだ苦しぃいいいいいいいいいいいいいいい!!

 

 

 街中で戦闘があるなんて聞いてねぇぞ!! 

 

 

「んーー!!んーー!!」

「は、花陽ちゃん落ち着いて!!零君苦しんでるよ!!」

「ハッ、す、済みませんでした!!私ってば、何をやってたんだろう……」

「正気を失うほどだったのかよ……」

 

 

 さっきの狂気、モンスターとして登場しても疑うことはなかったぞ……。

 『花陽A』『花陽B』『花陽C』みたいにグループを組んで現れて、冒険者たちにひたすらおにぎりをねじ込む……花陽ファンにとってはある意味で歓喜なのかもしれないがな。

 

 

「そうだ、花陽ちゃんと凛ちゃんも、ことりたちと一緒に旅をしようよ!!旅は人数が多ければ多いほど楽しいって言うし♪」

「う~ん、そうしたいのは山々なんだけど……」

「なにか問題があるのか?」

「うん。凛たち、この屋台からある程度までしか離れることができないんだ」

「えっ?どういうことですか?」

「ほら、こうやって屋台からどんどん離れていくと……ゴンッて見えない壁にぶつかっちゃうんだよ」

 

 

 凛が屋台を離れて城の方へ向かって行くと、数歩歩いただけで謎の壁に阻まれてしまった。それは花陽も同じらしい。だが俺たちが通ってもそんな壁にぶつかることはない。

 

 なるほど、そういうことか。

 

 

「俺たちはプレイヤーだから自由に動くことができる。だけど花陽と凛はNPC扱いだから、一定の範囲でしか動けないように設定されているんだ」

「エヌピーシー?」

「簡単に言えば、俺たちプレイヤー以外のキャラクターだよ。例えば街の人たちとかな」

「じゃあ凛たちは冒険に出られないのかぁ~残念」

 

 

 でもこのゲームの世界に連れ込んできたということは、そこら辺を歩いているNPCよりも重要な役割があるのだろう。でも秋葉のことだからただ面白がって連れてきただけ、という可能性もあるが……そもそも俺たちをこの世界へ幽閉した理由もよく分からないんだよな。

 

 

「そうだ、そう言えばお城に真姫ちゃんがいるらしいよ」

「お城に真姫が?」

「うん。おにぎり屋に来たお客さんたちが、『あのお城には赤毛で目つきの鋭い女王様がいる』って噂をしていたんだ」

「赤毛で目つきの鋭い……まさに真姫だな」

「じゃあお城に行ってみようよ!!穂乃果たちのことを心配しているかもしれないし」

「そうだな。どの道そうしないと話が進まなさそうだし」

 

 

 それにしても真姫が女王様か……似合うな。誰かの上に立つ人柄ではないけど、妙に唆られるSっ気があるので高飛車女王様としての気質は十分だ。俺を見下す時の目線なんて、全身が凍りつくぐらいだからな……ブルブル。

 

 

「あっ、それじゃあ凛から選別をあげるにゃ!!」

「選別?」

「うん!!はい、ラーメン」

「ら、ラーメン!?」

 

 

 

 

『れいたちは激辛スパイスラーメンを手に入れた!!』

 

 

 

 

「こんなの使い道あるのか!?食べたら回復するどころか、絶対ダメージ受けるだろ!!」

「え~、そうかな?美味しそうだけど」

 

 

 ありえねぇだろコイツの舌。どんな味覚してんだよ……。

 

 凛からもらったラーメンは激辛スパイスの効いた特製ラーメンなのだが、スープが見事にレッドで満たされており、マグマの中に麺を入れたみたいだ。さらにコポコポと泡も立ってるし……。

 

 しかもアイテム欄を確認してみたら、ただのアイテムではなくてキーアイテムに分類されている。これが物語で役に立つとでも言うのか……?それかただのコレクター用のアイテムなのか。

 

 

「私からはこれをプレゼントです!!」

 

 

 

 

『れいたちは黄金米おにぎりを手に入れた!!』

 

 

 

 

「ま、眩しいよ~!!」

「お米の色が……黄金に光ってますね」

「私も初めはビックリしたんだけど、やっぱりおにぎりだから捨てるに捨てられなくって……」

「それプレゼントじゃなくて押し付けじゃねぇか……俺たちは廃棄処理かよ」

「こ、神々しいからどこかで使えそうじゃないかなぁって思ったんだよ!!」

「ものは言いようだな……」

 

 

 花陽からのプレゼント(押し付け)は文字通り黄金に輝く米で握られた、黄金米おにぎりだ。まだ真昼間だというのに、その黄金米おにぎりの輝きが激しく際立っている。これも食べたらタダでは済まないだろう。見た目からして決して食べようとは思わないがな……。

 

 そして黄金米おにぎりも、先ほどの激辛ラーメンと同じくキーアイテムに分類されていた。

 

 

「一応感謝はしておく。役に立つとは思えないけどな」

「それが凛たちだと思って、一緒に旅をするにゃ!!」

「絶対私たちをここから救い出してね!!」

「穂乃果がいれば大丈夫!!魔法も慣れてきたし!!」

「お前が一番危ないんだよ……でも任せとけ」

「ことりも精一杯頑張ります♪」

「そうですね。力を合わせてゲームクリアを目指しましょう」

 

 

 みんな意気込みは十分。ここから動くことのできない花陽と凛のためにも、俺たちが何としてでもみんなをこの世界から脱出させてやらなければいけない。そしてこの様子だったら、他のみんなもNPCとして登場するみたいだから早く無事を確認したいものだ。

 

 

「あっ、そうだ海未ちゃん」

「なんですか凛?」

「その鎧似合ってるね♪」

「い、言わないでください!!!!」

 

 

 …………ドンマイ海未。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「あら、やっと来たのね」

「なんか軽いな……」

 

 

 花陽と凛と別れた俺たちは、お城で女王様となっている真姫と接見をしていた。

 金色に縁どられた、いかにも高級感が溢れる王座に座る真姫は、肘を付きながら俺たちにいつも通りの素っ気ない言葉を掛ける。

 

 

 ちなみに真姫が来ているのは真っ赤なドレス。そのドレスには宝石が至るところに散りばめられていて、一般平民の俺たちが指1つ触れたりでもしたら弁償のために一生強制労働に従事させられるだろう。でも予想通りと言うべきか、真姫の女王姿は様になっている。どこかのお偉いさん同士のパーティでこういうドレス着てそうだし。

 

 

「真姫ちゃん本当に女王様だったんだね」

「気付いたらここに座らされていただけよ。でも案外快適だわ」

「ふかふかそうで気持ちよさそうだもんね、そのイス」

「そうだけど、この部屋から出ることはできないのよね」

 

 

 やはり真姫もNPC扱いだったか。残念ながら一緒に旅をすることはできないけど、無事を確認できただけでもよかったよ。でも王様のポジションってことはこの世界情勢、つまりゲームクリアに繋がることを何か知っているかもしれない。さっき『やっと来たわね』と言っていたから、俺たちプレイヤーを待っていたのは確かだ。

 

 

「なぁ真姫、俺たちに伝えたいことがあるんじゃないのか?」

「えぇ。勇者たちが来たらこの文章を話せって指令が来ているから。でもそれがあなたたちだっただなんてね」

「どうだ?俺の勇者姿、似合うだろ?」

「穂乃果は穂乃果は!?」

「ことりはことりは!?」

「はいはいみんな似合ってる。で、でも海未のその格好は……」

「い、言わなくても結構です!!それより早く私たちに伝えたかったことを!!」

 

 

 もうやめて!!海未のHPは0よ!!

 

 

 ――――ってやつだな。実際にはHPじゃなくて、海未の精神力がゴリゴリ削られていきそうだけど。

 

 

「穂乃果はカッコいいと思うけどなぁ~戦士の海未ちゃん」

「ピンクの鎧がとってもキュートで可愛いよ♪ことりも着てみたいなぁ~」

「穂乃果もことりもやめてください!!やっと落ち着いてきたところなんですから!!」

 

 

 恐ろしや幼馴染コンビ……海未の精神を抉ることも平気でやってのける。そこにしびれ……ないし憧れないな。穂乃果とことりに悪気がないことは分かるのだが、コイツらいつも笑顔だから逆にそこが怖いんだよ……。

 

 

「もう茶番は終わった?そろそろ話したいんだけど」

「種を蒔いたのは真姫ですからね!!」

「知らないわよそんなの。とにかく話すから」

 

 

 真姫ほコホンと咳き込み、話し始める体勢に入る。

 

 

 

 

「この王国は今、魔王軍による侵略の危機に立たされているの。この大陸の周りには、魔王軍の四天王が4つの神殿を建てて常にこの大陸を監視している状態だわ。あなたたちの目的は、その4つの神殿に潜む四天王をすべて倒し、最後にその主たるべき魔王を討伐することよ」

 

 

 

 

 遂に提示されたゲームクリアの条件。ストーリーは至ってシンプルで王道だが、隠れゲームオタクである俺の血を騒がせるのには十分だ。

 

 

「すごく長い道のりになりそうだね……」

「でも目的は分かったんだ。これは大きな前進だぞ」

「ことりたちが力を合わせれば誰にだって勝てるよ♪」

 

 

 嘘つけ!!さっきスライム一匹倒せなかった奴が何を言い出す!!でもことりは逆に可愛い系のモンスター以外だったら、笑顔で虐殺しそうではある。それを容易に想像できるのが怖いところだが。またことりのヤンデレ顔が頭に浮かんできやがった……。

 

 

 

 

「それはどうかしらね!!」

 

 

 

 

「だ、誰だ!?」

 

 

 突然王宮に甲高い声が響き渡る。

 その声の主は王宮の天窓の淵に腰掛け、俺たちをゴミを見るような目で見下していた。

 

 

 ――――あ、アイツは……!?

 

 

「「にこ!?」」

「「「にこちゃん!?」」」

 

 

 王宮に現れたのはにこだった。全体的に黒のローブで身を包んでいて、コウモリのような真っ黒な翼が特徴的。自慢のツインテールが悪魔らしさを際立たせ、まさにボスですよと言わんばかりの風格だ。

 

 それにしても、ローブから垣間見えるにこの生足が相当エロい。元々肌の色が白いということもあるが、着ている黒のローブと合わさると余計に白い太ももが際立って興奮を煽られる。準太ももフェチの俺からしてみれば、今にも舌が口から出そうになっちまう。ここで太ももについて語りたいところだが、このままだと次回を使っても終わらないから断腸の思いでやめておこう。

 

 

 

 

 よし、話を戻そう。

 

 まあRPG1発目のボスなんて、小手調べ程度だし大したことなさそうだけどな。

 

 

「に、にこちゃんそんなところで何してるの!?」

「あんな窮屈な神殿なんかで待ってられなくってね、にこが直々に出向いてあげたのよ」

「神殿って、まさかにこが四天王の1人なのですか!?」

「まさか、そんな序盤で四天王が出てくるはずがないだろ」

「ビンゴよ海未!!にここそが四天王の1人、デビルロード・にこよ!!」

「なんかロック歌手みたいだな……」

「うるさいわね!!今からアンタたちをなぶり殺しにしてやるから覚悟しなさい!!」

 

 

 えっ、本当に四天王の1人なの?俺たちまだレベル3なんですけど!?しかもスライム一匹にすら手こずるようなパーティなんですけど!?そこのところ分かって攻めてきてんのかコイツ!?

 

 

「まさかことりたち、にこちゃんと戦うの!?」

「戦わなければならない時が、ここにはあるのよ!!」

「男同士の戦いに、理由は不要ってか」

「だれが男よ!!めちゃめちゃプリティな女の子だっての!!」

「お前、すぐキャラ崩れるな。しっかり悪魔を演じろよ」

「うるさいうるさいうるさい!!いくわよ!!」

 

 

 

 

『四天王のにこがあらわれた!!』

 

HP1000

 

 

 

 

「ブーーーーーーーーーーッ!!おいちょっと待て!!HPおかしくないか!?俺たちまだ最大HP2桁なんだぞ!?」

 

 

れい  ほのか ことり うみ

HP70 HP40 HP50 HP95

 

 

「ふんっ、修行不足ね」

「ふざけんな!!雑魚狩りにどれだけ時間を掛ければいいと思ってんだ!?」

「こっちは1人、そっちは4人。文句ある?」

「ありますぅーーーーーー!!そもそも勝負にならねぇだろ!!」

「諦めなさい」

「理不尽過ぎるだろこのゲーム!!」

 

 

 このままでは、一発でも攻撃を貰えばそれで確実に俺たちのHPは0になる。それまでに何か打開策を考えなければ。攻略不能という欠陥ゲームでなければ、何か突破する方法があるはずだ。

 

 

「どうやらこのままにこと戦わなければならないようですね……」

「でもどうするの!?ことりたちで勝てるの!?」

「大丈夫、俺たちのコンビネーションがあれば絶対に勝てるさ」

「こうなったら先手必勝だね!!さっき覚えた新しい魔法、使ってみたかったんだ♪」

 

 

 穂乃果は杖を構え、魔法欄から魔法を選んで発動させる。すると杖の先から大きな火の玉が音を立てて燃え上がり始めた。これまでの火の玉よりもかなり大きい。恐らく相手に与えるダメージも大幅に増えているだろう。

 

 だけど1つ気になるのは、杖を持つ穂乃果の手がプルプルと震えていることだ。こ、コイツまさか!?制御できてない!?そしてこの光景、なんかデジャヴを感じるんだが!?

 

 

「わわっ!!この後どうすればいいの零君!?どんどん火の玉が大きくなってるけど!?」

「俺が知るか!?それにこっちへ向けるなって言っただろ!!」

 

 

 だが、時すでに遅し……。

 

 

 

 

『ほのかはメラミを唱えた』

 

 

 

 

「あっちぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 

 

 

『れいに50ダメージ!!』

 

れい

HP20

 

 

「おおっ!!すごいダメージだね!!これならこれからのモンスターとの戦いも楽勝だね♪」

「もう既に死にそうなんだが……」

「穂乃果!!」

「うわぁ~ん!!ゴメンなさ~い!!」

「零君、ことりが回復してあげるね♪」

「頼んだ……」

 

 

『ことりはホイミを唱えた。れいのHPが30回復した!!』

 

れい

HP50

 

 

 正直30程度回復したところで、にこに攻撃のターンが回ってきたら一撃で粉砕されてしまうだろう。HPが0になったプレイヤーがどうなるのかは知らないが、やり直せたとしてもどの道打開策を見つけるまでここで足止めだ。考えろ……。

 

 

「次はにこのターンね」

「くそっ!!」

「まず手始めに、現れなさい!!にこにー軍団!!」

「なに!?」

 

 

 にこがマントを広げると、そこから黒い翼の生えた小さなにこたちがたくさん王宮内に散らばった。数は軽く数えても数十体はいるぞ。その全員が笑顔で『にこにこ~』と鳴き、軽い超音波攻撃を仕掛けてくる。

 こ、これがにこにー軍団!?さっきアイツ、1vs4だからアンタたちが有利みたいなこと言ってなかったっけ!?嘘つき!!

 

 

「わわっ、ちっちゃなにこちゃんがいっぱいだ!!」

「ちっちゃなにこちゃんは可愛いね♪」

「ちょっとことり!!ちっちゃなにこちゃん"は"って何よ!!一番可愛いのはこのにっこにこにーのにこちゃんに決まってるでしょ!!」

「そ、そうだね……」

「どうして引くのよ!?」

 

 

 そりゃあ悪魔の姿で"にこにこにー"のポーズしている奴を見たらそうなるだろ。最悪無視するまである。

 

 そんなことよりも、この状況を打破することが先決だ。さっきのターンににこが攻撃していれば、俺たちの中の1人は確実に倒せたはず。だけどそれをせずにコイツらを召喚したということは、次のコイツのターンでにこにー軍団の一斉攻撃を仕掛けるつもりだろう。そうなれば俺たちに勝ち目はない。

 

 

「零、何か策は思い浮かびましたか……?」

「いやまだだ。残るターンは俺とお前の2人だけ。その間に決定的な手段があればいいんだけど……おい真姫、このお城に伝説の剣とか眠ってないのか?どんな敵でも一撃で葬れる剣とかさ」

「知らないわよそんなもの。私はあの文章を読めとだけしか指示が出ていないんだから」

「くっ……」

 

 

 もしこのゲームが真っ当なRPGならば、ここへ来るまでの間に何かしらのヒントがあったはずだ。まだゲームが始まって時間も経っていないし、訪れた場所と言えばこの街と城だけ。そこで会ったのは女王である真姫と――――

 

 

 

 

 花陽と凛だ。

 

 

 思い出せば、アイツらから選別を貰ったんだよな。でもこの状況では黄金に輝くおにぎりも、激辛スパイスを効かせたラーメンも使えそうにもない。やっぱりダメか……。

 

 

 

 

 

 いや、待てよ。激辛……?

 

 

 そういえば、にこのプロフィールで――――

 

 

 

 

~公開処刑!!にこのプロフィール~

名前:矢澤にこ

学年:大学1年

年齢:18歳

身長:154cm+α(この1年成長分)

血液型:A型

誕生日:7月22日

星座:蟹座

スリーサイズ:B71(爆笑)W57H79

好きな食べ物:お菓子

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

嫌いな食べ物:"辛いもの"

 

 

 

 

 こ、これだ!!

 

 見つけたぞ!!この状況を打破する方法を!!

 

 

「早くしなさい!!どの道次のターン、にこにー軍団の攻撃で全滅でしょうけど」

「……待たせたな、次は海未のターンだ!!」

「わ、私ですか!?」

「ああ。さっきお前が覚えた技で、このにこにこうるさい連中をまとめて切り倒してやれ」

「でもそのあとはどうするのですか?」

「大丈夫、俺に任せろ」

「零……はい、あなたに賭けます」

 

 

 海未は俺たちの一歩前へ出て腰から剣を抜く。初めはビキニアーマーのせいでどう足掻いてもエロい目線でしか彼女を見られなかったけど、今のお前はとてもカッコいいよ。エロいけど……。

 

 

「行きます!!」

 

 

『うみの剣の舞!!』

 

 

 海未は目にも止まらぬ早さで次々とにこにー軍団へと斬りかかる。これがさっき海未が覚えた、敵全体を攻撃することの出来る技『剣の舞』だ。にこにー軍団はたくさんの数はいるものの、一匹一匹のHPは低い。こうして全体に攻撃してやれば一斉に葬ることができるのだ。

 

 

『にこにー軍団全員に30ダメージ!!にこにー軍団は全滅してしまった!!』

 

 

「な゛っ!?にこの可愛いにこにー軍団が!?」

「次は俺のターンだな」

「ふ、ふん!!いい気にならないことね。レベル3如きがにこを倒せる訳ないでしょうが」

「それはどうかな?俺はこのアイテムで勝負だ!!」

 

 

 俺の右手に、凛から貰った激辛スパイスラーメンが現れる。その瞬間立ちどころに、王宮に激辛スパイスの効いた刺激のある匂いが充満し始めた。

 

 

「な、なによこの鼻を突き刺す嫌な匂いは!?」

「相変わらず鼻の奥がヒリヒリしやがる……でもこれで大逆転だ」

「ま、まさか……!?」

「そのまさかだ!!この激辛ラーメンを、お前のお口にプレゼントぉおおおおおおおおおおおお!!」

「や、やめてぇえええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

 

 流石にこ!!いい声でお泣きになる!!相変わらずコイツの甲高い叫び声は俺のアレに直接響いてくるねぇ~。戦闘中だけど、ちょっぴり興奮してきた!!最近にことはご無沙汰だったからな、俺の欲求(性の方面)も喜んでるぞ!!

 

 

 

 

「お前の小さな口に、俺のアツアツの太麺をねじ込んでやる!!」

「いやぁああああああああああああああ!!犯されるぅうううううううううううううううううううう!!」

「もう逃げ場はない。観念してこれを咥えることだな」

「くっ、無理矢理だなんて……鬼畜ね」

「俺は女の子の調教が趣味なんだよ。それにお前の身体、さっきからずっとビクビクしてるぜ……興奮してるんじゃないのか?」

「にこはそんなアツアツのものになんて屈しないんだから!!」

「さぁ早く咥えろ」

「くっ……」

 

 

 

 

 

 

「えぇ~っと、あれって零君がにこちゃんにラーメンを食べさせようとしているだけだよね……」

「一気に緊張感がなくなりました……」

「あははは……」

「イミワカンナイ……」

 

 

 

 

『四天王のにこを倒した!!れいたちはそれぞれ経験値20000を獲得!!』

『れいたちのレベルが上がった!!』

 

 

 

 

To Be Continued……




 戦闘シーンはおまけ。


 エロ描写を入れようと思ったけど最後のが限界でした。一度規制されているのでやっぱり慎重になっちゃいますね(笑)
らぶくえ編が終わるまでには立ち直れるといいのですが。

 このらぶくえ編は1話辺りの平均文字数が多くなると予想されます。それでもあと3話で終われるのか微妙になってきた……


 コラボの日程は9月中旬を予定しています。


付録:RPG初心者のための用語解説

・会心の一撃
通常の攻撃よりもより多くのダメージを与えること。だからと言って、男の急所を狙わないこと。

・NPC
プレイヤーが操るキャラ以外のキャラ。例としては街の人など。

・キーアイテム
ストーリーを進める上で必要になるアイテムのこと。捨てられない。

・メラミ
魔法使いの魔法。
前回紹介したメラの上位互換。敵一体に50程度のダメージ。

・ホイミ
僧侶の魔法。
味方1人のHPを30程度回復。

・剣の舞
戦士の特技。
敵全体にダメージを与える。(ドラクエとは仕様が違う)

・激辛スパイスラーメン
スープがマグマのようにこってりドロドロしている、まさに通の中の通が好む代物。食べたものに生きて帰ってきたものはいないと言われている。


新たに高評価(☆9以上)を下さった方々(敬称略)

とんぬら!!、赤羽雷神、レイント、A's

ありがとうございました!
夏休みの課題を放って読んだという方がいらっしゃいましたが、大丈夫ですかね?(笑)


~Fate風次回予告(誰が話しているのかはご想像に)~

「にこの出番、これで終わり!?」

「次は森へ向かいなさい」

「迷いの森かぁ~」

「えっ、海未ちゃんがいなくなった!?」

「そう言えば、海未ちゃんをワシワシしたこと……なかったよね♪」

「くっ、殺しなさい……」

「聞こえるぞ!!海未の処女膜から悲鳴が聞こえるぞぉおおおおおお!!」

次回:ラブライブクエスト3~囚われの海未、処女貫通式~


Twitter始めてみた
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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