悪になりたがりの再生者   作:Soul Pride

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道化、再び舞台にて演じる

「十四くん!」

「おう」

 

 ぶっきらぼうに十四は、なのはの呼びかけに返事をする。

 妖精女王(ティターニア)で体を形成し、遺伝子情報と精神を入力することによって本物と寸分違いがない魔力体の体を作り上げることができる。

 十四は、内側から無理やり魔力を捻りだして自分の精神を入力したティターニアを作り出し、外へと出た。

 つまり、ティターニアでありながら宿主。レアスキルを使うことのできない怪物化の十四とは違い、その能力を十全に使うことができる上、絶対服従の制限に当てはまらない。

 

「fdnguisngrfgfd──」

「ひっでー格好。なんつーか、頭の悪そうな面してんな。……自分で自分を貶してなんかすげぇ惨めだ」

 

 頭を抱えて、頭が悪いのはお互い様かと納得する。

 

「テメェら、手出すなよ。コイツは、俺の獲物だ」

「"fjngiusdnguireng"──」

「遅い」

 

 魔法詠唱に入った怪物が、十四の回し蹴りで宙に浮く。

 踏み込みが速すぎる。いつ十四が間合いに入ったのかわからないくらいに。

 決して恐ろしいほど速いわけではない。フェイトもシグナムも、高速で動く十四を見ることはできたが、動きがあまりにも自然過ぎた。まるで、動きそのものが、早送りしたように見えていた。

 

「おら、もちっと気張れやコラ」

 

 ──神威之息吹(ディバインバスター)

 

 追い打ちに砲撃。微塵も容赦はない。光の奔流に、怪物は呑みこまれた。

 それでもあの怪物は全く通じていない。それは十四自身がよく知っている。

 だからこそ、都合がいい。

 

「いいね。どうせ相手は俺だ。なんなら本気で殺してみるか」

 

 自分が相手なら、遠慮も容赦も必要がない。なんとも都合のいい相手であろうか。

 

「ちょ、ちょっと十四!私たちは……!」

「手を出すなって言っただろう。離れてろ、本気出すから」

 

 フェイトが、殺しにかかる十四を止めようとするが、十四には聞く耳は持っていない。

 

「"道化は舞台にて踊り、喜劇を演ず。喜び、怒り、泣き、楽しめ。観客(ギャラリー)は沸き、最後は喝采で以て幕は引かれる"」

 

 十四の詠唱は、さきほどの物とはだいぶ違う。

 詠唱とはイメージ。魔法の形を決める際の、具体的な形付けである。

 

「"全ては筋書の通りに。全ては脚本家(かみ)の手のひらに。神とは、支配するものである"」

 

 

 

 ──妖精大王(オベロン)

 

 

 

 妖精大王(オベロン)。それは、彼らを追い詰めた十四の最秘の奥義。

 しかし、そのオベロンは先ほどの巨大な妖精ではない。ただ、新たに十四の頭に、妖精王の王冠が乗せられた。それだけの変化であった。

 

「uisdfguwhgf!!」

 

 怪物は右手の龍の頭を十四に向け、そこから灼熱の業火を発した。

 広範囲で吐き出されたそれは、コンクリートは消し炭になるほどの超高温度。魔力で防御しても、火傷は避けられない。

 十四だけでなく管理局勢全員を対象にした広範囲攻撃。しかしそれに対して十四は、非常に落ち着いた態度であった。

 

「……だからさ、鈍いよ」

 

 怪物の背後に、十四はいつの間にか回り込んでいた。

 先ほどと同じような、超高速の踏み込み。動きそのものを加速させたような、十四の移動術。

 時を止めたわけではない。時を止めたのなら知覚そのものができない。あくまで高速移動。しかし、高速に移動しているにしては動きが自然過ぎる。

 

「俺のみを対象に、オベロンを発動する。これこそが、本当の使い方だ」

 

 この高速移動術はオベロンの効果。否、効果の一つ。

 本当の使い方。あの巨大なオベロンと時間停止はあくまで応用でしかない。

 実戦で使うなら、この方法が最善。

 

「生体時間加速。今の俺のスピードは、通常の三倍だ」

 

 それが十四の最終奥義。奥の手。最後の道化(ジョーカー)

 生体時間を加速させることによって、どんな動作も加速させて行動することができる。

 

 背後に回られた怪物は、両肩の黒い双蛇に十四を襲う。

 その牙は致死性の毒がある。噛まれたら一巻の終わり。

 しかし、十四は悠々と襲ってくる四匹の蛇の頭を、蹴って潰した。

 蹴り足が見えない速度。一つ一つの動作が通常の三倍である今、今の十四に追いつける存在は皆無であった。

 

「かかって来いよ化け物。敵はここだ」

 

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