北郷一刀ちゃんの憂鬱 作:龍鱗
書いていて思ったのは・・・桂花らしさがなくなってしまったか?
後かなりオリジナル展開です。
「あーもう、腹立つ腹立つ、腹立つ!」
足音を立てながら帰路につく少女、猫を模しているのであろう頭巾を被り不機嫌そうに歩いている。
「だから男は嫌なのよ!姉様の使いで来た私を舐め回すように見て!腹が立つったらないわ!」
聞くに親族の使者で外出をしていたようだが人目も憚らず農夫などが作業をしている田道をヅカヅカと歩いている。
「でも私だってこのままじゃ終わらないんだから、何時か志高い方にお仕えしてこの知謀を振るってみせるわよー!」
握り拳を握って天に掲げる彼女の名は荀彧、王佐の才、我が子房、曹操に仕えた有名な智将が何故女性なのかは割愛する。
「はぁ・・・とはいえ、見聞が狭いのも確かよね。」
決意を新たにした瞬間ため息を付きながら項垂れた。
「漢王朝も権力の腐敗でごたごた、父様や母様も都で変えられない辛い思いをしてるっていうのに、私は何をしてるのよ・・・・。」
荀彧の両親は都、洛陽で父は武官、母は文官、姉は荀家の柱として腕をふるっているが最近腐敗著しい朝廷に頭を悩ませている。
「天の御遣いなんて言う根も葉もない占いすら縋りたいと思ってしまうこの世の中、私なら、どうする?」
思考に浸る荀彧、その身に宿した知謀でどうこの世を変えていくかを考えてみる。
「・・・?」
思考に没頭していると、異質な存在を見かけた。
「うーん、なんかおかしいな、こんな広い畑にはトラクターの一つくらいはあるはずなんだけど・・・ど田舎?」
顎に手を当てながら、畑を眺めている一人の少女、しかしその格好があまりにも異質だった。
陽光に反射する貴族すら手が出なさそうな上質な生地の白い服、奇妙な形をした包、布に包まれた細長い物。
「いやいや、そもそもうちの近くにこんな広い畑の土地があったっけ、近くに家の一つや二つでも有るはずなんだけど。」
「困ったなー折角おじいちゃんから免許皆伝もらって家宝の刀を授かったのに。」
うんうん唸りながら、まれに理解不能な言葉を使う少女に不気味なものを感じながらも同等の好奇心を感じた荀彧は・・・。
「ねえあんた、何を独り言を言ってるのよ?」
先ほどの自分を棚上げの言葉だが白服の少女は荀彧に振り向くと少し驚いた顔を浮かべていた。
「え!?えーと・・・あはは、実は道に迷ってしまったみたいで、ここって、どこでしょう?」
「はぁ?此処は許昌だけど、それがどうしたのよ?」
「・・・はい?」
奇しくも、これが天の御遣い、北郷一刀と後の曹魏の名参謀、荀彧文若の初対面だった・・・。
◆
数日後
※一刀視点※
「はぁ、まさか、気がついたら後漢末期だなんて、どんな漫画の話よ・・・。」
あの時混乱した頭でひたすら事情の把握と説明を始めた。
『はぁ!?未来から来た!?それも千何百年も先の?』
『は、はい、信じてもらえるとは思いませんし自分でも信じられません、ここは漢王朝で、今の皇帝は劉宏様なんですよね?』
『そうよ、普通だったら頭おかしいとか思うけど・・・それを証明できるものとか有るの?』
『えーと、これとかこれとか・・・?』
『なにこれ、こんな綺麗な紙に丁寧に字や絵が書かれてる、贅沢すぎるわよ。』
『此方では漢文の教科書と言って、勉学をするものに配給されてるんです。』
『は!?こんなものが沢山配られてるの!?』
『若干の金銭は必要ですけど、昔と比べて紙の生産方法も安定してきましたからね。』
『考えられないわ・・・・。』
『後、この鉛筆はとある木を削って作られていてですね。』
他にも数点見せると荀彧はやや納得した様子でため息を付いた。
『はぁ、これだけ見せられれば、嫌でも信じるしか無いじゃない・・・。』
『あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね、私は、北郷一刀といいます、姓が北郷で名が一刀、字がないといった感じです。』
『私は荀彧、字が文若よ。』
(んん!!??)
正直いって驚いて声を出さなかった自分を褒めたい気分だった、荀彧といえば三国志を知るものにはものすごい有名人物だから。
(荀彧って、曹操に仕えた張良に比肩すると言われた傑物じゃん!なんで女の子なの!?)
『そういえばあんた、未来から来たって言ったけど、行く宛なんて無いでしょ?』
『仰るとおりなんです・・・これからどうすれば・・・。』
『なら私の家に来なさいよ、あんたのその未来の知識ってのに興味がわいたわ、悪い奴じゃなさそうだしね。』
あれから、その珍しさに興味を惹かれた彼女に屋敷に招かれることになったのだが・・・本当に驚いた。
時は戻って
「まさか荀攸も女性で、族子じゃなくて姉なんてね、まあ荀攸のほうが年上だったらしいし、間違ってはないだろうけど。」
それに、聞いた話だと、今は完全に漢王朝の時代で私の知る黄巾党の動きがまだ活発化していない時期だというのは推察できた。
「一刀、いるかしら?」
「あ、荀彧、今日も話を聞くの?」
「そうよ、あんたの話は私にとって未知の宝庫なのよ、聞いておいて損はないわ。」
私が荀家の世話になってから数ヶ月、荀彧にとっての話し相手になることが多かった。
そのため、話し方も砕けた感じになり、荀彧とはそこそこ交流を交わしている。
「それにしても、あんたが来てから私兵の練度が上がったり、作物が育ちが目に見えて違ったり万々歳ね。」
「私は知識を提供しただけだよ、それをここまで再現してみせたのは荀彧と荀攸さんの手腕でしょ?」
「それでもよ、いくら有能な知者でも知らないことは実現できないのよ。」
あれから、一刀は此処でも再現可能な物を出来る限り荀姉妹に伝えることにした、タダ飯食らいは御免こうむるし何より恩返しがしたかったから。
「それにしても・・・。」
荀彧が視線を移すとノートや鉛筆に消しゴムとボールペン、其処に書かれていたのは一刀が書いた文字、その側には一本の刀が立掛けてあった。。
「墨を態々交換しないであんな細い文字が書けるなんてね、羨ましい文化よ。」
「そうかな、でも私の字は荀彧より下手だよ、あんな綺麗な字書き慣れてなきゃできないよ。」
「当たり前よ、私は何時かこの才を捧げる方に仕官して民のために才を振るってこの天下に名を挙げてやるんだから。」
「あはは、荀彧ならできると思うよ、そのために書庫とかで勉強してるんでしょ?」
「む、まぁね。」
「今の世の中、何が起きるかわからない、それこそ人がいつ死ぬかわからないくらいにね。」
「・・・少し気になったんだけど、あの日本刀だっけ?あれであんたは戦えないの?」
「どうだろ、一応剣術には自信はあるけど、この手を血に染めたことは一度もないから。」
「ああ、そういえばあんたの生まれ故郷は争いがないんだったわね。」
「昔はあったんだけどね、先人に倣って武力は自衛のものしか持ってないんだ、今じゃ人を殺そうとしただけで重い罪になっちゃうからね。」
「ふーん。」
「そして貿易を盛んにさせて文化、産業や教育をどんどんと進化させたのが今の私の時代になるかな。」
「なるほどね・・・。」
「そして私はその昔の戦争があった時よりもっと過去の武家の末裔でね、祖父から子どもからずっと剣の指南を受けてたの。」
一刀が立ち上がり布を解くと鞘に収まった一本の刀をゆっくりと引き抜く。
「ふっ。」
そのまま青眼に構えておじいちゃんに習った型を思い出すように振っていった。
(・・・きれい。)
たとえ世界が違っても、私にとって大切な思い出の詰まった剣と、この武術は身体に染み付いている。
「っと・・・こんなものかな。」
「武なのにまるで舞のようだったわね、思わず綺麗だって思っちゃったわ。」
「うぇ!?・・・その、ありがと。」
荀彧からの思わぬ賛辞に顔を赤くして私は俯いた。
「こう知識やいいもの色々見せてもらってばかりだと私も何かお返ししないとね。」
「そ、その大丈夫だよ、そんなに気にしなくても。」
「私が気にするのよ、そうね・・・じゃあ一刀、これからは私のことを桂花と呼びなさい、私の真名よ。」
「ちょ!?真名ってそれこそ神聖なもので、大切な人にしか預けちゃいけないんじゃ!?」
「そうよ、私は一刀に色々なものを教えてもらったわ、きっとこの先その知識にはこれから助けてもらうことが多いと思うわ。私の道に大きな助けになってくれた一刀に私の真名を預かってほしいのよ。」
「う、うー其処まで言われたら断れないじゃん、私には真名がないから申し訳ないよ・・・。」
「いいのよ、私が受け取って欲しいんだから。」
「わかった、桂花、ありがたく受け取らせてもらうよ。」
その後、少しばかり親密になった、桂花と私に驚いた荀攸さんがいたらしい。
そして私と桂花は一緒に書庫で勉強をしたり、荀攸さんと一緒に私兵の訓練に混ざって腕を磨いたりしながら荀家で時を過ごした。
「姉様、お呼びですか?」
「待っていました桂花、最近一刀殿と親密に過ごしているようで微笑ましいですよ。」
荀攸、桂花の姉で真名を椿花(ちゅんふぁ)、桂花を一回り成長させたような見た目で性格は穏やかであり荀家を纏めるに相応しい器を持っている、それでいてその微笑みからは想像できないような知恵を持つことでも有名である。
「実は最近近くの農民や私兵から怪しい賊が見受けられているとのことです、数人ほどは捕縛できたのですが念のため外出するときには護衛を増やしておきなさい。」
「はい。」
「桂花、あなたは特に付近豪族との関わりが深く、最近では一刀殿の協力があり荀家はとても潤っています、どうか身辺にお気をつけを。」
「ありがとうございます姉上。」
でも、私は忘れてた、そして覚悟が足りなかった、今は黄巾賊が活発になる前とはいえ、治安の悪さは大陸全体に広がっていたことを。
◆
sideout
二月程過ぎた時、桂花が使いでの帰りの道に入った時、それは唐突にやって来た。
「はあぁ、あいつ本当に気色が悪いわ。」
「荀彧様、お気持ちお察ししますが、どうか。」
「わかってるわよ盧祥、あんな奴でも豪族を纏めるやつだし、事を荒立ててもいい事なんてないのはわかってるわよ!」
桂花は荀攸の使いで様々な近隣豪族との話し合いに赴くことがある、しかし、その中には彼女のが嫌いな類の男もいる、この外史ではこれで桂花の男嫌いが加速したのも過言ではない。
「あーもう、帰ったら一刀に愚痴に付き合ってもらおうかしら。」
「その北郷様ですが荀彧様が帰ってくると聞いてお迎えに向かってるそうですよ。」
「は!?なにそれ聞いてないんだけど!」
「いえ、驚かせたいのでできるだけ内緒にとお願いされたもので。」
「はぁ、一刀のやつ・・・。」
ため息をつく桂花だったがその顔は少し緩んでいた、突発的だったとはいえ気を許せる友からの気遣いは嬉しいものだ。
しかし、そんな荀彧たちの道中に男たちが立ち塞がった、身なりは貧相だがそれぞれ手入れが届いていない武器を携帯している。
「よう、お前らなかなかいい身なりしてんなぁ、俺達に分けちゃくれねえか?」
◆
一刀視点
「もうそろそろ桂花たちとの合流地点かな?」
数人の護衛とともに一刀は馬に乗って桂花との合流地点に向かっていた。
「はい、順調に進んでいれば、もうそろそろ合流のはずなのですが・・・。」
一向に桂花たちの姿が確認できない一刀たちは嫌な不安に襲われ馬を加速して進めると、凄惨な光景が広がっていた。
「なっ、これは!?」
テレビのドラマで見るのは違う、決して少なくない本物の死体、その中で、見覚えのある人が呻いた。
「盧祥さん!」
「ほ、北郷・・・様?」
「無理に体を動かさないで!死なない傷じゃなくても傷が開きかねないよ!」
「他の皆は他に息がある人がいたら手当にあたって!襲撃をした者達は無力化して!」
「は、ははっ!」
「私のことは、それよりも、荀彧、様が・・・そこの森の中に!」
「っ!!」
ある種不安があった、当たってほしくなかった、それでも今、一刻一秒を争う現実になっている。
「!一刀様!?」
其処から先は、正直言うと【あの時】になるまで覚えていない、無我夢中に森の中を走り、掻き分けた痕跡を辿って追跡していた。
賊が迂闊だったのか、獣道のように真っ直ぐな道に数人程の足跡が続いていて、追跡は容易だった。
もしこれが賊の足跡じゃなく、別の足跡で、桂花が別の道に連れ去られていたら?
そんな不安も頭によぎるも一心に走る、そのとき、声が聞こえた。
「嫌・・・!・・・なさい!・・・・だもの!」
「げへへ、どんなに・・・って・・・来ねえよ!」
そして見えた、見てしまった、衣服をほとんど剥ぎ取られ、涙を浮かべた桂花と、下卑た笑みを浮かべた三人の男たち。
一瞬で頭が真っ白になって、どんどん赤く染まった。
その刹那、脳裏に祖父の言葉が蘇る。
『一刀よ、お主に教えているのは人を傷つける術じゃ、もしお主の目の前で危機に瀕した親しい人がいるとする、そしてお前はその手に剣を持っている、剣を使わねばその人は助けられん状況となって、一刀よ、お前にその手を血に染める覚悟はあるか?』
恐怖もなく、迷いもなく、其処にあるのは、ただ助けたいという思いと、親しい人を傷つけた者への怒り。
今まさに桂花を手篭めにしようとしている男の首元に狙いを定めて、私は刀を構えて跳ねるように飛び出した。
◆
桂花視点
護衛の人たちが次々と倒されて、私は森の中に連れ込まれた。
どんなに暴れても私の力じゃどうしようもなくて、暴れるたびに頬を張られた。
「この!放しなさいよ!この変態!」
「へ、さっきからうるせえ小娘だな!」
「だがなかなかの上玉だぜ、売ればいい金になるだろ。」
青ざめた、姉様から聞いていた話が自分に降りかかることになるなんて思わなかったのは軍師を志す者にとって失格かもしれない、それでも今の現実を信じたくなかった。
「だがよ、少しぐらい楽しんでも、なぁ?」
「うるせえ小娘をいい声で鳴かせるのも面白そうだぁ!」
「っ!?いやああああ!」
服を破られて、押さえつけられた、もがいても意味はなくて、それが悔しくて、なけなしの馬騰しか出なかった。
「嫌!放しなさいよ!けだもの!」
「げへへ、どんなに叫んだって助けは来ねえよ!」
(いや!嫌!助けて、助けて一刀!)
目尻から涙が出てこれから来る死よりも恐ろしい恐怖を前に目を瞑ってしまった。
「ぐぇぁ?あごおぉぉぉ!?」
でも、そんな思いと裏腹に、何故か聞こえたのは覆いかぶさろうとしていた男の苦悶に満ちた声。
目を開ければ、男の首から、刃が露出して、血を吹き出していた。
「・・・一刀?」
見間違うはずがない、その白い服、構えた刀、助けてと願った一刀その人が、賊に強襲をかけていた。
一刀が無言で刀を引き抜き男を私の居る方と違う方向に蹴倒した、倒れた男は首を抑えながらそのまま絶命した。
「な、なんだてめっ!?」
「はっ!」
背後に居た武器を振りかぶろうとした男に振り向きざまに刀を払うとその一閃で賊の手が、腕から離れた。
「え?俺の、手が・・・?」
徐々に離れた場所から血が流れ始めて恐慌し始める男、最後の一人に一刀は刀を向けると、すでに腰を抜かして戦意を喪失していた。
「失せろ・・・!」
「ひぃ、ひいいいいいいいいいいい!!」
「ま、待ってくれぇぇぇぇ!」
男達は呆気無く逃走した、私は、この時ようやく一刀が私を助けてくれたんだと理解できた。
「はぁ・・・はぁ・・・桂花、だいじょっ!?」
振り向いた一刀の顔を見た時、私は跳ねるように一刀に抱きついた。
怖くて、死ぬよりも怖い目にあいそうで、絶望していた中来てくれた光だった。
「怖かった・・・怖かったぁ・・・!」
「桂花、大丈夫、大丈夫だから・・・。」
安堵と未だ残る恐怖で嗚咽を漏らす私を、一刀は何も言わずに抱き返して頭をなでてくれた。
一刀が流石に半裸は不味いと荷物から野宿用の布を引っ張りだして私に被せてくれた。
それから私達を探してくれた兵の人たちが合流し私が持ってきた元々あった服に着替えをした私と一刀に頭深く謝罪をした。
「本来であれば我らがお守りしなければならないところを・・・本当に申し訳ありません!!」
「・・・気にしなくていいわ、一刀が助けてくれたし。」
「せめてお屋敷まで我ら命に変えてもお守りいたします。」
私を守ろうとしてくれた散った兵たちを弔い、馬に乗りなおして屋敷へと向かう、まだ怖さが残り一刀と二人乗りをして抱きついてしまった。
この時、なんで私は気が付けなかったんだろうか、一刀の手が僅かばかり震えていたことに・・・。
◆
sideout
その後、無事とはいかなかったが、それからは襲撃もなく、一刀達は屋敷に到着することができた。
荀攸から深々と謝礼を述べられ真名まで預けられてしまうことや、桂花に服の裾を掴まれて一緒に寝て欲しいと頼まれたりと様々なことがあった。
そして夜も深くなり、一刀は桂花と寝具をともにしたのだが、一刀は一人震えていた。
(私、人を・・・殺しちゃったんだ・・・。)
眠りにつこうとした虚ろな頭のなかで今更その恐怖と重圧がやってきた、相手は悪党だ、しかしそれとこれは話は別である。
肉を裂いたあの感触、スーパーなどで買ってきた分厚い肉を切るよりも酷く悍ましい感触だった。
首を貫き吹き出した血、腕を切り落とした感触が今にも蘇りそうで両の手を肩に抱き一刀は震えていた
その時、桂花が一刀の異変に気がついた。
「一刀・・・?」
「!?けい・・・ふぁ。」
その時桂花は思い出した、一刀は戦いとは無縁の時代の人間だということを、殺したら重い罪になると言う時代。
普通に考えればわかる、初陣の兵ですら刺し殺した感触が忘れられずに兵をやめたものが居るほどだ。
ならば、平和な時代、人を殺すということがどれほど重い意味を持つのか。
「・・・私から何を言っても無駄になると思うわ、でもこれだけは伝えたいの、あそこで一刀が助けてくれなかったら、私は死んでいたわ、一刀が敵を倒したから私は助かった。」
「桂花、私は・・・。」
「一刀があそこで人を殺したのを重いと思うのなら、私が一緒に背負うわ、一刀の分も。」
寝台の中で一刀を抱きしめると、一刀は痛いほどに桂花を抱きしめ返して涙を流した。
「う、ぐぅ、あぁ、あああ!」
「不謹慎だけど、昼とは逆になっちゃったわね・・・。」
この時二人は、共に眠りに落ちて、朝になり互いが真っ赤になった。
◆
一刀視点
その後を振り返ればあっという間だったと思う。
あの後桂花は袁家での士官が決まり、旅立つ準備を始めることになり、私もそれに追従することにした。
「本当にいいの一刀?あなたが来てくれるのは嬉しいし、正直来て欲しいと思うわ。」
「今更だよ、椿花さんにも頼まれたしね、頼まれなくても一緒に行くけどさ。」
「・・・ありがとう。」
だがいざ仕えたはいいものの、袁紹のあまりのアレっぷりに桂花が激怒し辞表を叩きつけ出奔。
「悪い人じゃないんだけど、ねぇ?」
「それひっくるめても論外よ論外!自分は良い暮らししていて民のことを最低限で蔑ろにしてるもの!兵の装備は良くてもあれじゃ持ち腐れよ!」
帰り道の道中、治安も良く、曹操が治める発展目覚ましい陳留の領地に寄り道して(と言うか運悪く許昌行きの商隊がなかった)桂花は自棄酒を起こしていた。
「全く、名家の袁家と期待してたけどとんだ期待はずれだったわ。」
「そういえば、明日この曹操様の領地で文官の採用試験があるらしいよ、申し込みは今日まで有効みたいだし、試しに出てみる?」
「曹操様かぁ・・・この街を見ると相当な御方よね、このまま家に出戻りなんて御免だし、受けてみようかしら?」
「あ、その顔、なにか献策が浮かんだでしょ。」
「まあね、一刀の教えてくれた政策をこの街に当てはめればもっと発展するわ、ちょっと試験中に一つやるわ。」
「良いけどさ、私も見ていて一つ思いついたことがあるし。」
まだまだ現役なボールペンを持って二人で微笑みながら明日の試験に備えることにした。
私と桂花は知らない、この選択が後に私達の命運が大きく変わり、私は気苦労が多くなり、桂花は嫉妬相手ができることを。
「秋蘭、見てみなさい、この解答用紙、とても興味深いことが書かれているわよ?」
「華琳様、如何しました・・・これは・・・。」
「興味深いわ、この細い字、試験内容に加えてこの街の改善案を明確に書いている二人、とてもそそるものがあるわね。」
笑みを浮かべて愛おしく解答用紙を持って秋蘭に顔を向けた。
「秋蘭、急ぎこの二人を城に招致しなさい、私自らこの二人を見極めるわ。」
「はっ、すぐに取り掛かります。」
「楽しみだわ、北郷一刀、荀彧文若、私の目に留まるようであれば、ふふふ・・・♪」
秋蘭が去った後、華琳と呼ばれた少女、曹操孟徳はその笑みを艷麗なものにして深く笑う、その光景を月だけが見ていた。
「!?」
「?どうしたのよ一刀。」
「なんか、すごい寒気が・・・。」
「風邪かしらね?気をつけなさいよ。」
「うん・・・。」
この時点で外史において一刀の影響で起こった歴史改変
桂花の一刀へのツン要素消滅(恩人補正、女なこともあるが)
麗羽の元から早期出奔し華琳の元へ行くのが早まる。
更に一刀の知恵ブーストで黄巾の乱発生前に兵糧管理を飛び越して華琳に二人が取り立てられる
その後は魏の傾国御使いに続くが華琳の一刀へのアプローチで桂花が一刀への隠れていた恋想いと華琳への嫉妬が芽生える
結果(桂花→一刀←華琳)の修羅場発生。
・・・なんじゃこのカオス