ッダン!!!
やたらゴツいアバターを爆散させると狙撃を成功させたその小さな影は、背に背負った大きな対物狙撃銃を揺らし走り去っていった。
午後十一時頃
GGOから現実世界に帰還した『狙撃手シノン』こと朝田詩乃は、その手にアミュスフィアを持ったまま仰向けになって寝ていた。
(いつまで勝ち続けていればあの恐怖に打ち勝つことができるだろうか……)
シノンはこれまで何百ものプレイヤーに勝利してきた。
しかし、
「まだあの銃は見れない……。」
第二回BoBの参加賞として貰ったモデルガン《プロキオンSL》。引き出しに封印されたままになった銃を思い出して少し恐怖も思い出す。
「今日はもう寝よう……」
と言って、いろいろとしなければならないことをすませて寝るのだった。
郵便局の中、十一歳の体の詩乃は自らの中にある恐怖と戦っていた。
(またこの夢か……)
最近は見なくなったとはいえ、昔から見る悪夢だ。
手には夢でに限らず現実でも(その銃を知るため)何度も見た銃、《黒星五四式》。
目の前には、発狂した目で彼女を見つめる、撃ち殺してしまった男。
この場面から次にどのように動くか彼女は知っている。しかし、
この夢の中、彼女は悪夢を覆そうとしなかった。いや、できなかった。
(いや……、イヤ……、イヤ……)
この夢から目をそらす努力をするのが精一杯だった。
(早くっ、覚めて早くっ!!)
いつもならここで自分の持っている《黒星》の引き金が引かれ、男を殺し、目が覚める流れだった。
しかし、
銃の上に手が置かれ、その銃を奪ってしまった。
「えっ……?」
その手は詩乃の持っていた銃を使い、男に狙いをつけて、
ッタン
と撃ってしまった。
今まで見た事のないパターンに困惑する詩乃。
と、そこで男を撃った青年はここで初めて声を発した。
「戦うか、戦わないか俺たちにはその選択肢があるだけだ。君は戦う事を決めたんだろう?最初から逃げて ちゃだめだろ?」
「あなたは……だれ……?」
「おれはKi……
そのとき、急に視界が荒くなり、青年の声と姿が遠ざかっていく。
「まって!ちょっと!待ってってば!」
Pipipipipipipipipipipipipi、カチャン。
朝六時頃
「う゛~」
目を覚ました彼女は首をかしげながら、
「夢に出てきた人ってだれだったんだろう?」
と呟くと、
「まあいっか」
といって朝食の準備を始めた。
壁にぶら下がっている日めくりカレンダーが表示するのは、十二月十四日。
この日、詩乃/シノンは、キリトと遭遇し自分の世界が大きく変わることをまだ知らない。
読んで頂き誠にありがとう御座いました!
何分初めてなので「こいつアホじゃね?」と思われるような大ポカをしてるかもしれませんがなまあたたかい目で見守って貰えるとありがたく思います。